( ^ω^)ブーンが戦い、川 ゚ -゚)クーが護るようです

11: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 21:11:24.18 ID:tleOweXb0
  
第二十話 『白銀騎士』

白い巨塔。
その根元に、幾つかの人影が見える。
それらは動いていた。

高速で、鋭く。

片方は白銀だ。
白銀の甲冑に身を包み、その表情は鉄仮面によって伺うことは出来ない。
両手に持つのはやはり白銀。
剣と槍が風を切り、大気を貫き、そして前方の獲物を喰わんとする勢いで迫る。

対するは四人の戦士。
モララー、フサギコ、ドクオ、弟者の四名だ。
彼らは騎士を囲むように移動しつつ、攻撃を仕掛けていく。
しかし――

(  )「甘い」

その一言で悉く攻撃を捌かれていく。
あのモララーでさえ、未だ一撃を与えていない状況だ。



15: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 21:13:51.01 ID:tleOweXb0
  
( ・∀・)「面白い……本当に面白い」

月夜の明かりに照らされながら、口元に笑みを乗せつつ彼は笑った。
2nd−W『ロステック』を片手で振り回しながら、騎士の隙を見つけようと忙しなく動く。

その動きを補助するのはフサギコだ。
怪我で思うように戦えない彼は、モララーのために囮をする程度のことしか出来ない。

ミ,,"Д゚彡「しかし、あの武器は何なのでしょうか?
      ウェポンの攻撃を受けても砕けませんし――」

背後で援護射撃をしていたドクオが

('A`)「アレが14th−Wじゃねぇのか?」

(´<_` )「有り得ない話ではないが……しかし違和感を感じる」

違和感とは、形状。
今まで見てきた十三のウェポンは、全て異なる形状を持っていた。
剣、槌、鎌、書、槍、靴、銃、拳、鎖、翼、杖、盾、斧――

しかし騎士の持つ武器は『剣』と『槍』。
1stと5thとに被るのだ。
そんなことはあり得るのだろうか。



18: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 21:16:10.19 ID:tleOweXb0
  
もしかしたら剣と槍が一組のウェポンだということも――

(  )「違う」

心を読んだかのように、騎士が語る。

(  )「我が武器と装甲は、主であるリトガーが作りし対ウェポン用装備」

( ・∀・)「なるほどね……故に壊れず、砕かれず、傷一つ付けられぬ、か」

(  )「来い、武器の使い手達よ。
    我は貴様らを相手にするためだけに生まれてきた」

(´<_` )「何……?」

気になる言葉を耳に入れ、疑問に思った瞬間だ。

騎士が何かに気付き、一瞬で後退する。
その地に橙色の羽片が大量に突き刺さった。

('A`)「これは――」

(*゚ー゚)「皆、無事?」

しぃだ。
彼女が上空から降り立ちながら問う。



21: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 21:19:02.68 ID:tleOweXb0
  
(´<_` )「俺達は、な。 そちらはどうなったんだ?」

(*゚ー゚)「うん、こっちも全員大丈夫だよ」

言葉と同時。
背後から複数の人影が飛び出してくる。

( ´_ゝ`)「ジャジャーン! 魔法少女兄者、参上!!」

(´・ω・`)「ここがどうやら終着点らしいね」

( ,,゚Д゚)「そのようだ……後の雑魚はモララーの兵に任せよう」

( ゚∀゚)「あーあー、今からあの塔登るのかよ、面倒くせぇ」

口々に言いながら出てくる四人。
その姿はほとんどが無傷だ。

何故か兄者だけ服装がボロボロなのだが、厄介事に巻き込まれたくないためか誰も問わない。

ミ,,"Д゚彡「というか――」

(;'A`)「な、何でお前がここにいんだよ!?」

( ゚∀゚)「あー?」



24: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 21:22:27.50 ID:tleOweXb0
  
頭をポリポリと掻きながら、問われたジョルジュが心底面倒くさそうに説明を始める。

( ゚∀゚)「俺様、俺様のために動いた→テメェらも同じような目的→じゃあ、手伝ってやんよ。 むしろ手伝え。
     以上、反論・異論・質問は全部却下な」

( ,,゚Д゚)「つまりは今日だけ助っ人というわけだ。
     腹が立つが、皆には我慢してもらいたい」

(;゚∀゚)「腹立ってんの、テメェだけじゃねぇか?」

( ・∀・)「やぁやぁ、随分と騒がしくなったのは好ましいことだ。
     しかしとりあえずこちらを手伝ってくれると嬉しいのだが、どうかね?
     意外と厄介なのだよ、これが」

金属音を織り交ぜながら聞こえた声。
その方向に展開されているのは、モララーと騎士が高速の攻防を繰り広げている光景。
剣を避け、槍をかわし、鉄槌を繰り出すが避けられ、しかし反撃の蹴りを往なす。
そんな高速攻反撃の中でモララーは喋っていた。

( ,,゚Д゚)「モララー……そいつは?」

( ・∀・)「ははは、人が一生懸命に戦っている時に質問はやめたまえ。
     集中力が――あ、痛いよ痛い!」

肩を少し切り裂かれたモララーが、余裕で声を上げる。



28: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 21:25:43.29 ID:tleOweXb0
  
(´<_` )「内藤だけが塔内に入れてもらっている状況だ。
      俺達はアイツを倒さないと入れてくれないらしい」

( ,,゚Д゚)「ならば、話は簡単だな。
     近接攻撃が出来る奴らで一気に畳み掛ければいい」

(´・ω・`)「さっさと行こう」

( ゚∀゚)「誰がトドメ刺せるか勝負な」

ギコとショボンとジョルジュが走り出す。
それに気付いた騎士が、その場で動きを止め――

(  )「数での戦力計算は無意味だと言ったはずだ」

( ・∀・)「やってみないと解らないではないかね」

体勢を戻したモララーも、同じタイミングで襲い掛かる。

(  )「愚かな――」

声と同時。
巨剣と槍、鎖と鉄槌が一度に襲い掛かった。
連続した金属音が鳴り響く。



32: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 21:27:58.41 ID:tleOweXb0
  
('A`)「やったか!?」

ミ;,,"Д゚彡「い、いえ――」

(´<_`;)「これは――」

(;´_ゝ`)「予想GUYです」

残った者達の視線の先。
そこには――

(  )「だから言っただろう。 数など戦力計算の内に入らぬ、と」

未だその場に女騎士。
彼女が現状最強であろう四人の攻撃を全て防いでいた。
二つの武器で四つの武器を押さえることなど可能だろうか。

答えは、否。

では、何故受け止められたか。
答えは簡単だ。

(;*゚ー゚)「う、腕が――」

(;'A`)「増えた!?」

女騎士の腕が――四本に増えていた。
新しく生まれた腕には、それぞれトマホークと長棒が握られている。
それらに全ての攻撃を防がれた四人は、流石にその光景に驚愕した。



37: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 21:30:05.61 ID:tleOweXb0
  
(;,,゚Д゚)「馬鹿な――」

(;´・ω・`)「これは厄介、だね……」

( ・∀・)「ははは、だから言ったではないかね」

(;゚∀゚)「っていうか、人間ってレベルじゃねぇぞ!」

弾かれるように一斉に離れる四人。
それを追わず、女騎士は入り口を守るように仁王立ちする。

(  )「我は人間に非ず。
    主であるリトガーが作りし、戦闘人形『ジェイル』――それが我が名」

四つに増えた武器をそれぞれ振り回しながら、声は続く。

(  )「かかって来いよ、指輪の担い手。
    我が命、そのために生まれてきたのだから――



41: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 21:32:31.90 ID:tleOweXb0
  
塔の根元から少し離れた戦場。
そこでは白い兵士達が、残った黒い兵士を駆逐している。

「よぉし、ここらはもう大丈夫だな」

一人の兵士が意気揚々に言う。

「んじゃ、他ん奴の援護に行っちまおうぜ」

「それにしても――」

「ん? どうした?」

「いや、どうにも簡単すぎる気がしてな……あの巨大な奴も案外簡単に倒されただろ?」

「そりゃあ、社長の『MJ−D型』とかいうのが強かったからじゃねぇか?
 今は燃料切れでそこらにぶっ倒れてるけど」

「まぁ、そうなんだろうが……どうも気になる」



43: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 21:34:32.00 ID:tleOweXb0
  
「どういうこった?」

「何ていうか……今、ここで起きてる戦いって……。
 『もしかしたら戦いですらない』、って気がしてな」

「はぁ?」

「……あー、いやいい、気にしないでくれ。 さっさと行こう」

「え、あ、あぁ……解った」

「社長、無事かなぁ」

「無事だろ……あの人が死ぬところなんて想像できねぇ」

「だな――」



46: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 21:36:43.75 ID:tleOweXb0
  
激戦。
この状況を例えるならば、それが一番近い。

(;'A`)「し、信じられねぇ……」

ドクオが青い顔で呟く。
視線の先に、その激戦といえる戦いが繰り広げられていた。

( ,,゚Д゚)「つァッ!!」

( ・∀・)「ふっ!」

巨剣と鉄槌が迫るが、ジェイルは槍一本でそれを往なした。
その隙にジョルジュが鎖を振るい、足元を狙う。
地を這う鎖が迫り――

(  )「お見通しだ」

声と共にジェイルが跳躍、そして回避。
その飛んだ身に向かったのはしぃだ。

(*゚ー゚)「!」

彼女の翼から羽片が大量に撒き散らされる。
橙色の小さな刃が、ジェイルに襲い掛かるが――
しかしそれらは前方で回転させた棒によって全て弾かれた。



50: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 21:39:15.74 ID:tleOweXb0
  
その下。
兄者が書物を広げ

( ´_ゝ`)「くらえぃ! 稲妻ー!!」

ページを破り、宙に放り投げ――
次の瞬間。
小さな音と共に、飛んだ紙が真っ二つに裂かれた。
原因は斧。
トマホークのような形をしたそれは、回転しながら魔法書の紙を切り裂いたのだ。
無論、魔方陣は無効化される。

(;´_ゝ`)「……mjd?」

着地したジェイルは、背後から新たなトマホークを取り出す。

その死角から攻めるはショボンだ。
槍を脇に挟み、身体ごとぶつかるような姿勢で槍を突き出すが――

金属音。

しかしその槍の先端は、強固な甲冑によって阻まれた。

(´・ω・`)「そんな――」

言葉を言い終わる前に、ジェイルの蹴りがショボンの身体が吹き飛ばす。

(;´・ω・`)「くっ……」

転がるように地を滑るが、慌てて体勢を立て直し――



52: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 21:41:58.00 ID:tleOweXb0
  
(  )「遅いな」

しかしジェイルは既にショボンに迫っていた。
手に持つ銀光がショボンの喉を狙う。

(´<_` )「む!」

金色の盾がそれを阻んだ。
斥力によって剣の行く手が捻じ曲げられ、ジェイルの姿勢がほんの僅かに崩れる。
そこにつけ込んだのはジョルジュだ。

( ゚∀゚)「俺の攻撃無視すんじゃねぇ!」

声と共に放たれた鎖が、今度こそジェイルの右足を捉えた。
それを確認したジョルジュは一気に鎖を引く。

(  )「――!」

身が空へと飛ばされる。
その体勢が出鱈目になった状態のジェイルに仕掛けるのはギコとしぃだ。
しぃの羽片がジェイルの身体に襲い掛かり、その背後から巨剣を構えたギコが飛ぶ。

( ,,゚Д゚)「喰らえ!」

巨剣の刀身が甲冑に当たるが、金属音が響くのみで傷さえ入れられない。
『硬い』、『強固』とかいう問題ではない。
もはや甲冑はウェポンの攻撃を『無効化』するかのような性能を誇っている。



53: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 21:44:10.00 ID:tleOweXb0
  
舌打ちをしつつ、ジェイルを蹴り飛ばし背後に飛ぼうとした瞬間。
ガシリ、とその右足を捕まれたと気付いた時には、既に視界が逆を向いていた。

(;,,゚Д゚)「うぉ!?」

投げられ、一瞬で頭から地面に墜落。
激音と共に一気に砂煙が舞い、視界が暗転する。

(;*゚ー゚)「ギコ君!?」

(  )「他人の心配する暇などない」

(;*゚ー゚)「!?」

気付けば、ジェイルが背後にいた。
振り向こうとするが遅い。
両翼の鉄鋼部分を両手で固定され、背に膝が当てられる。

(;*゚ー゚)「うっ――!?」

(  )「空を飛ぶ貴様は厄介だ……故に落とさせてもらう」

言葉と同時に落下。
慌てて羽ばたこうとするも、翼が固定されていてはそれも適わない。

(;*゚ー゚)「きゃああああぁぁ!?」

悲鳴。
そして墜落。
轟音と共にギコと同じような砂煙が舞った。



57: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 21:47:24.21 ID:tleOweXb0
  
(;'A`)「しぃさん!?」

砂煙から出てきたのはジェイル。
その背後の地面で、しぃがうつ伏せで倒れていた。

(´<_`;)「何という――!」

( ´_ゝ`)「私に任せて! そぉい!」

兄者が一気にページを破り、バラ撒く。
ジェイルは何もせず、ただそれを傍観するだけだ。

魔方陣が複数展開される。

( ´_ゝ`)「ゆけい!」

指を指すと同時、炎や水、稲妻が発射された。
しかし向かう先に既にジェイルの姿は無い。

(;´_ゝ`)「あれ? ど――」

何か口から発そうとした瞬間。
いつの間にか兄者の真下にしゃがんでいたジェイルのアッパーカットが炸裂した。

(;´_ゝ`)「がふぁ!?」

首を、そして身体を仰け反らせながら吹き飛ぶ兄者。
木の幹に激突し、そのまま動かなくなる。

(´<_`;)「兄者ー!!」



62: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 21:49:54.51 ID:tleOweXb0
  
(  )「この程度、か……」

殴った腕を少し振り、つまらなそうに呟くジェイル。
その鉄仮面の中の表情は伺えぬが、明らかに落胆の色が見えて取れた。

(  )「よわ――」

『弱い』、と言いかけた瞬間――ジェイルの頭部に鉄槌が落ちた。
強烈な衝撃と音が鉄仮面に響く。

(  )「貴様……」

フラリ、と一瞬よろめきながら、不意打ちをした本人を見る。

( ・∀・)「戦いは敵を全員倒すまで続くのだよ。 君はそれが解っていない」

(  )「嘗めた真似を――」

ピシ、という音。
見れば鉄仮面にヒビが入っていた。
その亀裂はみるみる内に広がっていく。

(  )「これ、は――」

( ・∀・)「これがロステックの能力だよ。
     『粉砕力の強化』――割と地味だが、効果は高い。
     本当なら君の身体ごと割れても良いはずなのだが……リトガーという男、なかなかの技術力だね」

言葉と同時に、破砕音と金属が割れる音と共に、鉄仮面が遂に砕けた。



67: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 21:52:01.14 ID:tleOweXb0
  
中から現われたのは――

爪゚ -゚)「…………」

長髪で金髪の女性だった。
無骨な甲冑に似合わない綺麗な顔立ち。
人が作ったとは思えないほどの美しさだ。

( ・∀・)「おぉ……やはり美人だった!」

(;'A`)「モララーさん、アンタ顔が見たくて――」

( ・∀・)「当然ではないかね。
     私は声から既に『美人だな』と思っていたのだよ。
     いや、もちろん先に甲冑を砕き、辱めることも出来たが
     それでは鉄仮面と相まってアンバランスだからね……ぶっちゃけ萎えるだろう?
     故に私は鉄化面から砕くことにした」

(;'A`)「話長いけど、つまりは顔が見たかっただけ、と」

( ・∀・)「よし、顔が見れたから私は満足だ。
     さっさと倒してしまおう」

爪゚ -゚)「貴様――」

睨むような表情でモララーを見る。



75: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 21:54:03.79 ID:tleOweXb0
  
その刺すような視線を受け流しながら

( ・∀・)「ははは、美人がそんな顔をしては駄目だよ。
     もっと色っぽく! 誘うように! こう、もっと身体をくねらせて――」

( ,,゚Д゚)「……貴様の趣味を語ってどうする」

( ・∀・)「おや、生きていたのかね」

( ,,゚Д゚)「だいぶ首が痛い……だが、その分を返すつもりだ」

(;'A`)「な、何か方法があるんスか?」

ドクオが問う。
しかし、ギコは首を振った。

( ,,゚Д゚)「正直、無事に勝てる気はしない……が、逃げるわけにもいかんだろう」

( ・∀・)「鉄仮面はともかく、あの甲冑は割れる気がしないね……どうしたものか」

ミ,,"Д゚彡「あの――」

それまで傍観していたフサギコが手を上げる。



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