( ^ω^)ブーンが戦い、川 ゚ -゚)クーが護るようです

11: ◆BYUt189CYA :2006/12/05(火) 21:02:23.50 ID:QKJP9sTH0
  
最終話 『とりあえずの結末』


――戦おう、君のために―――――――――――

――――――護ろう、貴方のために――――――

――――謳おう――――――――――――――

――――――――――――己の正義を――――

――叫ぼう――――――――――――――――

―――――抵抗の証を拳に籠めて――――――



14: ◆BYUt189CYA :2006/12/05(火) 21:04:35.69 ID:QKJP9sTH0
  
白い巨塔の屋上部。

そこでは最終決戦という抗いの戦が、遂に終わりを告げようとしていた。

終わらせるモノの名は『限界突破』。
それが狙う標的の名は『完成品・ハインリッヒ』。

両足を切断されたハイリッヒを囲うように、十一の指輪の戦士達が円状に構える。



16: ◆BYUt189CYA :2006/12/05(火) 21:06:34.04 ID:QKJP9sTH0
  
まず力を発したのは――

('A`)「『OVER ZENITH』――ッ!!」

7th−W『ガロン』の使い手であるドクオだ。
その限界を超えるための命令と共に動き始めるのは、その長大な銃身。

前部の銃身が開き、更なる力を発するための新たな銃身が内部から伸び出る。
それが固定された次の瞬間には、新たな、そして巨大な銃口がその姿を現していた。

続いて後部が展開される。
内部からは細長いミラー状の板が――以前とは違い、八枚出現する。
二倍にその姿を増やした板は、ドクオの背後で八方向に展開。

そして中部。
変形し掛けているガロンの各部が開き、その内部からは球体状の物体が四つ。
それらは不安定に揺れながらも浮遊し――しかし銃口の周囲に集う。
高速回転。
銃口の先で輪を描くようにそれを始めた球体は、遂にその姿が判別出来なくなるほどの速度を発す。

その瞬間。
ガロンの各部から光が漏れ出始め――



19: ◆BYUt189CYA :2006/12/05(火) 21:08:58.91 ID:QKJP9sTH0
  
(#'A`)「何が最強だ! 何が人体の限界突破だ!!」

言葉は更なる発光を促す。

(#'A`)「あぁ、そうだよ! 俺は弱くてヘタレで臆病者だ! 悔しいさ!!」

だが

(#'A`)「それがどうした!? 弱くちゃ駄目なのか!?
    ヘタレだと、臆病者だと生きてちゃ駄目なのか!?」

声と共に発光、そして何かを充電するような電流音が響きだす。

(#'A`)「そんなことあるわけがねぇだろ!
    俺は生きてやる!
    俺だって、こんな俺だけどやれることはあるんだ!
    親友を少しくらい支えてやることくらい、絶対に出来るんだ!!」

それは甲高く鳴り響き、そして――

(#'A`)「ヘタレでも弱くても!
    それは力に成りえるってことを証明してやらぁぁぁ!!」

叫びと共にトリガーを引く。
次の瞬間。
強烈な発光と共に、戦いを終わらせる初撃が咆哮する。



23: ◆BYUt189CYA :2006/12/05(火) 21:11:42.41 ID:QKJP9sTH0
  
レーザー、という以外に説明が不可能なほどの一撃が発射された。
それは地を、空気を、空間を抉りながら、一瞬でハインリッヒを捉える。
轟、という音がした時には、既にハインリッヒは黄色い光に飲まれて消えていた。

その強烈な衝撃と光と威力を受けたハインリッヒの身体は屋上部を飛び出し、宙へと身を投げ出される。

( ´_ゝ`)「『OVER ZENITH』――!!」

兄者の声と共に現われるのは魔方陣。
それは宙に投げ出されたハインリッヒを助けるように掬い上げる。

( ´_ゝ`)「リトガー……アンタが何を企んでいたのかは知らんが
      他人のフンドシで戦うようなことはすべきではなかった」

もはや彼の手に書物は握られていない。
しかしその周囲には、書物に収まっていた全てのページが規則正しく並んで浮遊していた。

( ´_ゝ`)「残ページ数で威力が変動するという、少々使い勝手が悪い限界突破だ。
      今の状態では威力MAXに程遠いが――」

片腕を上げ

( ´_ゝ`)「足りない分は俺の怒りで補うさ」

指を鳴らした。



25: ◆BYUt189CYA :2006/12/05(火) 21:14:08.04 ID:QKJP9sTH0
  
それを合図としたかのように魔方陣が光を発する。
撃音と共に出てきたのは腕だ。
明らかに人外の、そして桃色の巨大な腕はハインリッヒの存在を叩き上げる。
殴られ飛んだハインリッヒが、屋上部の真上まで来た時。

甲高い音と共に、三種の魔方陣が更に展開される。
それらは無抵抗のハインリッヒを囲うように色を、音を発した。

まず一枚目の魔方陣から出てきたのは足だ。
どう見ても人外の、そして桃色の巨大な足は無抵抗のハインリッヒを蹴り飛ばす。

続いて二枚目の魔方陣から出てきたのは尾だ。
蹴られて飛んだハインリッヒを、また元の位置へ戻さんという勢いで振られる。
高速で風を切る尾の先端が轟音と共にぶつかった。

最後の三枚目の魔方陣から出現したのは顎だ。
どう見ても桃色のドラゴンにしか見えないそれは、向かってくるハインリッヒ目掛けて大口を開けた。

噛み砕く。

ブチブチ、と繊維が切れるような音と共に、ハインリッヒの右腕がその存在を失った。
それを見届け満足したのか、桃色のドラゴンは魔方陣の中に消えていく。



29: ◆BYUt189CYA :2006/12/05(火) 21:16:22.15 ID:QKJP9sTH0
  
( ´_ゝ`)「あー……やっぱり全身召喚は無理だったか」

舌打ちをしつつ限界突破を解除する。
魔方陣が消え去り、その場に残るは右腕を失ったハインリッヒ。
落下。
その身体を狙うのは――

( ・∀・)「次は私がやろうかね」

声と共に2nd−W『ロステック』を構える。
そして発せられる言葉は一つ。

( ・∀・)「『OVER ZENITH』――!」

瞬間、変化。
先ほどまでの鉄槌が姿を変える。
巨大な頭部を持った、明らかに規格外の鉄槌。
その周囲には電流が尾を引いて――

( ・∀・)「地味目なのがロステックの良いところでね……その代わり効果は保証しよう」

稲光。
掲げた鉄槌にそれが煌く。



32: ◆BYUt189CYA :2006/12/05(火) 21:18:15.43 ID:QKJP9sTH0
  
( ・∀・)「非論理的なのは重々承知」

稲妻が光り、鉄槌を纏い――

( ・∀・)「承知はしているが、足を伸ばせばそれは明確な一歩。
     その積み重ねこそが……私達の抱き続ける明日への願いだよ!」

高く跳躍し、稲妻を纏った巨大な鉄槌を振りかぶった。

( ・∀・)「喰らえよ、雷神の一撃を!!」

雷光。
それが落下途中のハインリッヒに襲い掛かる。
凄まじい電流が身体を蹂躙し、焼き、そして内部で暴れ狂う。
それらの破壊動作は一瞬だ。

刹那という時を以って雷光は己の役目を果たす。



40: ◆BYUt189CYA :2006/12/05(火) 21:19:59.40 ID:QKJP9sTH0
  
光が消えた後には、更に焦げ痕を増やしたハインリッヒの姿。
それを狙った一つの影。

( ,,゚Д゚)「『OVER ZENITH』!!」

地で巨剣を構え、限界突破命令を発す。
しかし、いつかのような限界突破とは姿勢が違った。

以前のように、跳躍はしない。
以前のように、振り回さない。
以前のような、左腕は無い。

( ,,゚Д゚)「グラニード! 今度こそ決めるぞ!!」

声と同時。
足元にギコを中心とした青い魔方陣が生成された。
円の内部に小さな○が更なる円を作り、その中心部に模様が描かれている。

( ,,゚Д゚)「『かつて』と『これから』に、どんな過ちを犯そうと――」

足を引き、その手に持つ青い巨剣を天に掲げた。

( ,,゚Д゚)「この一歩だけは間違えはしない!!」

ギコ咆哮に応えるかのように、1st−W『グラニード』の新たな限界突破が発動した。



50: ◆BYUt189CYA :2006/12/05(火) 21:22:26.85 ID:QKJP9sTH0
  
青い発光。

その光は天へと昇り、夜空に僅かながら浮かぶ雲を掻き乱した。

一瞬の沈黙。
そして轟音。

空を砕き、大気を切り裂きながら落ちてくるのは青い剣。
もはやその大きさは『デカい・大きい』などという範疇には入れない。
巨人が持つようなその剣は、一気に巨塔の屋上を目指し――

激震。

青い光で構成された本当の意味での巨剣が、ハインリッヒの頭上に墜落する。
光塔が立ったのかと見間違える光景だ。
それを見つめながら

( ,,゚Д゚)「ちっ……片腕が無い分、遠距離にしてみたが
     思ったほどの威力ではないな」

掲げ、そして広げていた右手を握る。
ガラスが砕ける音。
巨剣が一筋の光となって天に昇った後には、破壊された白い床と倒れているハインリッヒだけが存在していた。



52: ◆BYUt189CYA :2006/12/05(火) 21:24:05.37 ID:QKJP9sTH0
  
从 ゚∀从「オォォォ……!!」

ググ、と身を震わせながらも起き上がろうとする。
四人分の限界突破を喰らってもなお、身体はその形を残し、そして意識は途絶えていない。

完成品たる所以か。
最強たる所以か。

その震える身体に、灰の色が墜落する。

激音。
そして、金属を打ち鳴らす音。

( ゚∀゚)「『OVER ZENITH』っと……!」

落ちてきた物とは巨大化したユストーンだった。
その巨大で長大な鉄の連鎖が、頭から一気にハインリッヒの元へと落ちたのだ。



55: ◆BYUt189CYA :2006/12/05(火) 21:26:06.73 ID:QKJP9sTH0
  
( ゚∀゚)「なぁにが完成品だ、なぁにが最強だぁ!?
     この世の中に完璧なモンなんてあるわけねぇだろうが!!」

声が続く中、なおも鎖の落下は終わらない。

( ゚∀゚)「完璧なモンはねぇのに、テメェは『完成品』とかぬかしやがる!
     よってテメェは存在がおかしい! 矛盾存在だ!!
     だから『優秀』である俺様がテメェをぶっ殺すッ!!」

激音、激音、激音。

( ゚∀゚)「そして最終的には俺様の一人勝ち!
     どいつもこいつも黙らせて、風通しの良い未来を作ってやろうじゃねぇか!!」

最後の鎖が直撃した。
そして灰色の発光と共に、その姿を消す。

( ,,゚Д゚)「次ッ! 近接攻撃開始――!!」

(*゚ー゚)「『OVER ZENITH』!!」

言葉と同時に、しぃの身が一気に浮上する。



62: ◆BYUt189CYA :2006/12/05(火) 21:28:26.14 ID:QKJP9sTH0
  
眼下。
両足を切断され、右腕さえも失くしたハインリッヒは、しかしその身を上げようと左腕を動かしていた。

飽くなき闘争心とでもいうのだろうか。
それとも、自分達と同じく『諦め』の言葉が無いのだろうか。

その哀れと言える姿を視界に収めながら、しぃは呟いた。

(*゚ー゚)「――ごめんね」

来世というモノがあるのなら、是非とも幸せになってほしい。

身勝手な理論。
これから本人を殺すのだというのに。

望まれぬ最強。
それがハインリッヒという存在の理由。
あまりにも理不尽な命。

だから

(*゚ー゚)「せめて、祈らせて……」

次の命では幸福でありますよう――

祈りと共に動きは起こる。
翼の展開だ。
限界まで広がった二対の骨格は、しかしその身を伸ばし続け――そのまま天を向く。
まるで橙色の翼が彼女の背後で円を描くようだ。



67: ◆BYUt189CYA :2006/12/05(火) 21:30:47.34 ID:QKJP9sTH0
  
橙の色が吠える。
キィン、という金属を打ち付けるような音が鳴り響いた。
更に硬質な音が響いた瞬間、身を天に伸ばしていた骨格が地と水平に向く。
そこから生まれるのは幅数十メートルという巨大な翼だ。

(*゚ー゚)「行きます!!」

声と共に動作。
身を落とすようで、しっかりとハインリッヒを狙った軌道だ。

ヒ、とも、キ、とも聞こえる高速で風を切り裂く音。
しかしそれは一瞬の出来事だ。
その一瞬という時を以って、彼女の翼はハインリッヒにぶつかった。

橙色の衝撃。

翼ごと地面に叩きつけられたハインリッヒは、しかしその身を反動によってバウンドさせる。

しかし未だ意識は残っている。
残っている限りは、動く限りは、たとえ卑怯と言われようとも容赦を止めてはいけない。
確実に、機能的に動かなくなるまで――

(´・ω・`)「『OVER ZENITH』!」

紫色の発光。
その光は槍から発せられる。



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