( ^ω^)“ブーン”が閉じ込められたようです
- 1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 22:10:57.87 ID:y6ADGOvvP
きりきりきり。
きりきりきりきりきりきりきりきり。
かりかりかり。
かりかりかり―――
きりきり。
- 2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 22:12:43.32 ID:y6ADGOvvP
-
( ω )「う…あ……」
脳内に霜を踏みしめるような不気味な音が幾つも重なっている。
穏やかな響き。しかし、静かに心を叩く。
叩く叩く叩く。
騒ぐ、心が。
心を騒ぎたてる不気味な音と、ドクンドクンと鼓動する心臓の大きさに驚き
汗をかきながら、彼は自身を襲う壮絶な違和感で目を覚ました。
( -ω-)「……」
( -ω゜)「……ん……ぁ?……」
覚醒と共に、さらに強まる違和感、混濁した意識。
- 7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 22:15:32.32 ID:y6ADGOvvP
( ^ω^)「うう……」
誰に言うでもなく、言葉を漏らす。
やけに頭が痛む。
風邪を引いた時のようなキンキンギンギンとした痛みではない。
もっと深く、鈍く、重い、
自身の裡から湧き出てくるような、黒みを帯びた痛み。
( ノω^)「う…ナンだ…一体ここは何処ナンなんだ…?」
痛む頭を手でさすりさすり。
目覚めた彼が始めに認識したのは、手足の感覚すら曖昧にするほど重い空気と、
ともすれば天地の差すら分からなくなるほどに果てしなく広がる闇だった。
- 8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 22:16:36.52 ID:y6ADGOvvP
-
( ^ω^)「???暗闇?此処は…?」
二つの眼までが闇に溶けてしまったかのように部屋は暗い。
わけのわからないまま、
彼は痛む頭と高鳴る鼓動を抑えながら、立ち上がろうとした。
それは生まれたての獣が
自身の置かれた状況が何一つ理解できぬにも関らず
まず立ち上がろうとする姿にも重なって見えた。
彼は混沌とした意識の中で
そこにあるのかどうかもはっきりしない床に手をつき、立ち上がろうとした。
- 11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 22:18:03.38 ID:y6ADGOvvP
手で体を支えて立ち上がろうとすると、
地面についた手のひらから、地面のゴツゴツとした無慈悲な硬さを感じる。
骨まで沁みる程の冷たさと、
地面の堅さを同時に掌から受けた彼は、静かに溜息を吐いた。
( ^ω^)「なんだってんだ…本当に」
見覚えの無い、部屋。
何故自分はここにいるのか、と、彼は気を失う以前の記憶を手繰り始めた。
たしか、自分は学校から帰宅する為に電車にのっていたはずだ
そう、帰宅途中電車で暇つぶしがてらにケータイでオムr――――
(;^ω^)「うっ」
そこまで思い出したところでズキリと響く痛みに思考が遮られた。
- 12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 22:19:15.98 ID:y6ADGOvvP
-
痛みと湧き出る疑問で忙しい脳内とは対照的に、
部屋は変わらず、すべての物が動きを止めたようにしんとしていた。
部屋の外も内も、空気の流れが死んだように止まって、
ただ剃刀の刃のような乾いた冷たさだけが、彼の頬を撫でる。
驚くほどに、空虚な空間。
( ノω^)「く、くう…」
頭を抑え、暫く頭の痛みに耐えボウッとしていると
少しずつ目が暗闇に慣れ、部屋に天窓が備えられている事に気が付く。
( ノω^)「……おお、窓があるのか」
天井に備え付けられている拳大ほどの小さな天窓からは、
暗く重い色のした月の光が僅かに零れだしており、今は夜である事を教えてくれた。
( ^ω^)「……今日は満月、か」
- 15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 22:22:02.21 ID:y6ADGOvvP
蛍の光のようにおぼろげで、小さな光。
しかし、暗闇に満ちた部屋の中、唯一の希望ともいえる光。
頼りない光とようやく暗闇になれた目を頼りに、辺りを見回してみる。
(^ω^ ≡ ^ω^) キョロキョロ
( ^ω^)「本当になんだってんだ此処は…」
終の栖になるかもと予感させるほど殺風景なその部屋は
四面がざらざらとしたコンクリートの壁で囲まれ、
その上に同じような殺風景な天井が被せられ、更に部屋の中を冥いものにしていた。
壁に大きな鳩時計がかかっているのも見えた。
長針が、もうすぐ短針に追いつきそうだ。
( ^ω^)「まるで牢獄のような部屋だな」
部屋の奥の方までは見えないが、部屋はそれほど広くないようだ。
見回しながら起き上がろうとすると、
頭だけでなくギシギシと体も痛んだ。
どうやら、思っていたより長時間寝ていたようだ。
- 17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 22:25:28.08 ID:y6ADGOvvP
-
パラパラと手に付いた砂を払い、立ち上がる。
( ^ω^)「.........」
少し周りが見えるようになってきたが、やはりまったく状況が飲み込めない。
何故此処にいるのか、というか此処はどこなのだろうか。
きりきりと痛む頭を押さえ、考えてみるものの、
霧の中でジクソーパズルに挑むような無意味な感覚に囚われる。
それに......
いつもより体が重いやうな......?なんか視点も高く......?
これは己の身体なのか......?いつもと感覚が違うような…己は...
( ^ω^)「おや」
そこまで思考を進めたとき、
ガタッ...チロチロチロ、という音が暗闇の彼方から聞こえてきた。
- 19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 22:28:30.47 ID:y6ADGOvvP
-
(;^ω^)「だれだっ!?」
彼は音がする方に向かって、おずおずと声を出した。
返事はない。
怯えながらもう一度声を掛けると、返事の代わりのように、
チロチロチロ...ペロッと、何か液体を舐めているような音がもう一度聞こえた。
(;^ω^)「………」
不気味な感覚に、身構える。
彼は身におかれた状況すら、まだ知り得ていない、
そんな中正体不明の不気味な音が聞こえてくるのだ
わけわかんないにわけわかんない、わけわかんないの満貫である。
- 20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 22:31:08.02 ID:y6ADGOvvP
-
闇の向こうにじっと目を凝らし、気を張り詰める。
目はかなり暗闇に慣れてきたといっても、光源は天窓から漏れた月光の欠片のみである。
見え始めたといっても、ほんの身の回りだけ。
この闇の中から音がする方は皆目検討もつかない。
まるで闇から音がひり出されているとも感ぜられる。
( ^ω^)「行くしかない...か」
慣れぬ暗闇の中歩を進めようとすると、心に沸いたドス黒い不安の塊が
ぬとぬとと底なし沼のように、まとわりつき、彼の脚を掬い取った。
この先なにがあるか皆目検討つかない。
だが、行かぬ訳にもいかない、虎穴に入らずんば、虎子を得ず、だ。
そう自身を奮い立たせる。
不安、恐怖、二つの強大な敵と戦いながら彼は音がする方へ歩を進めた。
- 21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 22:34:34.42 ID:y6ADGOvvP
-
古い床なのか、歩を進めるたびに廊下がキィキィと微かな唸りを立てた。
キィキィキィキィ...
チロチロチロペロペロペロ......
まだ已まない例の音と、
廊下が奏でる不協和音が混ざり、不安を煽るように心を乱す。
(;^ω^)「はぁはぁはぁ......」
極限の緊張の中、さらに歩を進める。
撫でる冷えた外気が、ほてった頬に快い。
歩く歩く歩く歩く。
歩く。
- 23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 22:38:28.31 ID:y6ADGOvvP
チロチロチロペロペロペロ
洗面台の下...パルプから漏れた水溜りの中、それは居た。
でつ
( ^ω^)「ん、ネズミ?」
チロチロチロペロペロペロ…チューチュー >でつ
極限の緊張の末見つけたのは、水を飲むネズミであった。
カビの生えた廊下の上に溜まった水溜りの中
美味しそうに水を啜っていた。
( ^ω^)「なんだネズミかい?驚かせやがって......」
安堵の溜息を落とす。
どうやら、心配は杞憂だったようだ。
だが、次の瞬間彼の表情が驚愕の色で塗り固められる事となる。
- 26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 22:44:42.41 ID:y6ADGOvvP
( ^ω^)「ん、いや、ちょっと待て」
( ^ω^)「これはどういう.........」
ネズミと安心した後、引っ掛る。
ネズミ?ちょっと待て
嫌な汗が、吹き出てくる。
なぜならこのネズミの姿が、
これまでに見たこともないような彼の理外の外にいる姿をしていたからだ。
( ^ω^)「でつ……なんだこいつは、ひらがなの「で」と「つ」がくっついたような姿...いや......
それより、なぜこいつを見て己は違和感なくネズミだと思ったのだ...これはいったい..」
彼はそれを蠢いている文字だと認識しようとした。
しかしやはり見ていると、それは文字であると同時に、ネズミだと彼の心が言っているのだ。
文字であり、ネズミ。
( ^ω^)「どういう事だ......」
- 29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 22:47:56.17 ID:y6ADGOvvP
-
これは......かつて己が活動していた掲示板の...
アスキーアートであるネズミ......?
( ^ω^)「一体......どういう......」
疑問に疑問が重なり、?で頭が埋め尽くされる。
嫌な脂汗が頬を伝う、理解できない、どういう事だ。
( ^ω^)⊃ スゥ
疑問を解消しようと、ネズミを手にとり、よくみようと手を伸ばす
が、ネズミを手にとる前に、ネズミを掴もうと伸ばした自身の手を見て気付く
( ゜ω゜)⊃
( ゜ω゜)⊃ !!
( ゜ω゜)「お・・・おお・・・これが・・・これがおれの・・・手・・・?これが手?嗚呼…まさか...」
目覚めた時感ぜられた、不安や違和感。
霧の中手探りで行われていた疑問のジクソーパズル、
解かれてはいけない、パズルのピースがカチリと合う音が脳内で響く。
- 30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 22:50:40.59 ID:y6ADGOvvP
-
同時に黒い靄が脳内の中に流れこんでくる。
ぐるぐるぐるぐる、脳髄をかき回される。
( ゜ω゜)⊃「これが己の手......?記号ではないか......!」
その靄をたぐり寄せるようにして洗面台
.........いや、正確には洗面台に備え付けられた鏡に彼は足を伸ばした。
所々割れ、サビが目立つカガミにに顔を寄せてみると、
まるで雪崩の瞬間のように、
その流れ込んだ黒い靄がいっせいに己の脳髄を侵略するのを感じた。
そして、その黒い靄の中幾つか‘自分’でない者がいるのを感ぜられた。
- 31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 22:52:08.55 ID:y6ADGOvvP
-
( ゜ω゜)「ああ。ああああ…」
カガミを、見入る。
見入る。
オメガで出来た金玉唇。
だらしのない、ニヤけた目。
小太りの体、つるつるの頭。
すべて記号で出来ている。
やはりそうだ、すべて記号で出来ている。
ネズミと同じだ。
僕は、記号で出来ている。
だけど、記号じゃない、生きている、命を感じるのだ。
命を、熱を確かに感じるが、記号なのだ。
これは...一体どういう事なのだろうか。
- 33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 22:53:13.19 ID:y6ADGOvvP
-
( ゜ω゜)「ああ。ああああ…」
カガミを、見入る。
見入る。
オメガで出来た金玉唇。
だらしのない、ニヤけた目。
小太りの体、つるつるの頭。
すべて記号で出来ている。
やはりそうだ、すべて記号で出来ている。
ネズミと同じだ。
僕は、記号で出来ている。
だけど、記号じゃない、生きている、命を感じるのだ。
命を、熱を確かに感じるが、記号なのだ。
これは...一体どういう事なのだろうか。
- 38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 22:56:35.92 ID:y6ADGOvvP
-
( ^ω^)「...............でも、カガミに映るこいつは己じゃない...」
( ^ω^)「............こいつは…おれじゃない....誰だ.....」
いや、正確には、知っている。
だが、こいつは己ではない、ありえない。
( ^ω^)「ブーン…ブーンだ…AAのブーンだ...」
- 39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 22:58:01.45 ID:y6ADGOvvP
-
( ^ω^)「いや、まて僕はブーンではない」
( ^ω^)「そうだ……僕はAAなどではない...記号なんかでもない、生きている人間だ
そうだ、そのはずだ、それで間違いない」
決して多くはないが、友にも恵まれ。
実を結んだことはないが、幼馴染に密かに恋心を抱く
勉強もスポーツも普通のどこにでもいる高校生だったはずだ。
記号なんかじゃない、ブーンなんかじゃない。
( ^ω^)「そうだ……僕はけっしてAAなんかじゃない」
オタクとバカにされるから、友人には黙っているが
ニュー速VIPのパートスレの一部である
“ブーン系小説”という書き物の世界に魅了され
それで、恋愛小説やほのぼの物を多く書いてきた、それだけの、人間だ。
それだけの、人間のはずだ。
- 42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 22:59:47.67 ID:y6ADGOvvP
-
目の前の出来事が、余りに突飛なものなので、
思わず彼は、ずっと遠くの世界の出来事のようでもあり、
また自身に関係ない、なにかの陳腐なお話のようにも思えた。
だが、現実逃避を進めたところで、現実は変わらない。
何度覗いてもカガミに映るのは、記号で出来た体、ブーンとなった自分の顔。
かつての自分では無い。
先程まで仄かに辺りを照らしていた天窓から見えた幾条もの月の光が、
厚い雲に覆われたのか、光を放つのをやめ、辺りはまた完全な暗闇と化した。
光を失いさらに歪む、無言劇。
( ^ω^)「.........」
- 44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 23:01:31.77 ID:y6ADGOvvP
( ^ω^)「己はブーンでは無い、なのになのに...」
カガミに映る自分の姿を否定するかのように、
ペタペタ、と自分の顔を触って確認する。
ぷにぷにした、金玉唇。
ニヤけた、どこか狂気を孕む細い目。
ぷっくりとした輪郭。肉のような感触はあるが……記号なのだ。
ブーンだ。ブーンだ。ブーンだ。
ブーンだ。ブーンだ。間違いない。愛をもって接してきた僕にはわかる。
いままで、小説で使ってきたブーンに
自身がそうなっている、いや、自分の魂がブーンに乗り移ったといったほうがしっくりとくる。
整形や、姿を似せたなんてもんじゃない。
AAのブーンになってしまっている。
だからこそありえない、
ありえちゃいけない。
ブーンや、他のAAたちに、物語を与え、演じさせてきた。
はずである、なのに
- 45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 23:02:18.25 ID:y6ADGOvvP
-
( ^ω^)「………」
・ ・ ・ ・ ・
作者であるはずのぼくが、あろうことか、ブーンになっているのだ。
そこまで彼が考えた時、
先ほど見かけた鳩時計の長針が短針に追いつこうとしていた。
- 47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 23:03:56.70 ID:y6ADGOvvP
- ( ^ω^)「これは一体…どういう……」
奇妙な感覚が、
肌にぬとりとまとわりつく
カチッカチッカチ……
長針が、短針を追いかけている。
思考は止まらない。
カチッカチッカチ……
長針が、短針を追いかけている。
思考が定まらない。
奇妙な感覚が、
体内まで浸透してくる。
カチッカチカチ
長針が短針に追いついた。
重なった、重なった、重なった、重なった、重なった、重なった。重なった。
そして追い越した。
( ゜ω゜)「ウワア嗚呼嗚呼嗚呼ああああああああああああああああああ!!!!!」
限界を超えた彼の脳が声にならない、叫びを繰り出した。
- 48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 23:04:53.32 ID:y6ADGOvvP
( ^ω^)“ブーン”が閉じ込められたようです
このお話は2008/12/11〜に投下され、
オムライスさん(http://vipmain.sakura.ne.jp/603-top.html)
にまとめられた同名読み物のリメイク版です。
元の話を読んだ事がある方も、読んだことない方も
読めるように書き直したつもりなので、惹かれるものを感じたら是非読んでみてくださると嬉しいです。
- 50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 23:07:37.31 ID:y6ADGOvvP
( ^ω^)「ありえない、ありえない……」
許容を超える理解不能な状況に体中の血液が一気に降下し、
めまいを起こしかけたがなんとか耐える。
何故か、彼の脳内にブーン系を知った時の事が巡った。
暇つぶしにVIPに来たとき。
たまたまアルファベットで戦うようですのスレを開き魅了され、心奪われたあの時が。
その勢いで総合案内所に出向き、即興で短編を仕上げ、
そのまま“ブーン系”にノメりこんだ、ただの一作者と成ったあの時が。
その勢いでウキウキと現行を書き始めたあの時が。
- 51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 23:08:28.74 ID:y6ADGOvvP
-
( ω )「..................」
「ブーン系は楽しかった。」頭を抱えながら彼は呟く。
それほどたくさんファンがいたり、
話題になったり、凄くスレが伸びる事はなかったが、それでも楽しかった。
たまにファンから絵を貰い、
読者から感想を貰い、
そして、まとめサイトにまとめてもらった。
他では中々味わえない、自身が生み出した物を読んでもらえる創作の喜び。
あの時、確かにブーン系は楽しかったのだ。
恋愛物やほのぼのを得意とし、生み出した物を認められる
嬉しさを噛み締め一人満足感に浸っていた、ただの一作者の彼。
‘ブーン’ではなく、作者であった頃の彼。
- 52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 23:09:49.20 ID:y6ADGOvvP
-
( ω )「..................」
「ブーン系は楽しかった。」頭を抱えながら彼は呟く。
それほどたくさんファンがいたり、
話題になったり、凄くスレが伸びる事はなかったが、それでも楽しかった。
たまにファンから絵を貰い、
読者から感想を貰い、
そして、まとめサイトにまとめてもらった。
他では中々味わえない、自身が生み出した物を読んでもらえる創作の喜び。
あの時、確かにブーン系は楽しかったのだ。
恋愛物やほのぼのを得意とし、生み出した物を認められる
嬉しさを噛み締め一人満足感に浸っていた、ただの一作者の彼。
‘ブーン’ではなく、作者であった頃の彼。
- 53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 23:11:35.72 ID:y6ADGOvvP
-
ブーン系特有の妙味を知った彼は、
ここまで熱心になれるものがあったのか、
と、自分でも驚くほど、ブーン系の世界にのめり込んでいた。
進む筆、はじめはそれほど有名でなかったが、
書く度にブーン系に慣れ、筆力が上がり、実力も上がり
いつしか、彼は‘ユウメイサクシャ’と周りから呼ばれる存在と成っていた。
‘ユウメイサクシャ’と呼ばれる為に書いてきた訳ではないが
騒がれるのは、正直悪い気がしなかった。
今まで書いた自分の作品を、自分の実力を認めてもらった証だと
自分の努力や苦労が報われたのだと、そう受け取っていた。
ブーン系における境遇がよくなる度に、
彼の小さな自己顕示欲はほどよく刺激され、彼の筆は更に早くなった。
だが、その筆がピタリと已む事となる
ほんとうに、ピタリと。
- 56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 23:14:51.92 ID:y6ADGOvvP
キッカケは大した事ではない。
オムライス と言うブーン小説で有名なまとめサイトがある。
そこに、彼の作品がはじめてまとめられた。
所謂、ほのぼの作品であった。
それが、オムライス にまとめられた。
読んでくれて、いっしょに騒いでくれるファンもたくさん付いてくれた。
それだけだ。
それだけの事だが
どうもそれが気に障る連中がいたらしい。
- 57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 23:16:54.74 ID:y6ADGOvvP
-
某スレ、というところで、散々叩かれた。
オムライスにふさわしくない、だとか
ほのぼのなんて、ただの手抜き、だとか
空気作者のくせに、生意気、だとか
萌え豚釣って人気貰って満足かよ、だとか
果ては、あんなのまとめるオムライスも、たいした事ないな
そこまで言われる始末。
自分が悪くて叩かれるのは仕方ない、此処はVIPなのだから。
だが、彼らが発す悪意はそういうものじゃなかった。
彼らは、叩ければ、なんでもいいのだ。
理由や、正しい正しくないはニの次。
純然たる、悪意。
そういう悪意を持った者から、袋たたきにあった。
- 59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/24(金) 23:19:07.43 ID:y6ADGOvvP
-
悪意に蹂躙された彼はブーン系に対する興味を急速に失った。
ブーン系に対する想いが、恋のようなものだったのかもしれない。
良さに引かれ急激に熱中していったが、
悪い部分が目立つようになると、同じくらい急激に冷めていった。
あそこで長くやれる人間は、、
おそらくブーン系の良さ悪さひっくるめて好きになれる人間なのだろう。
一抹の寂しさと虚しさを感じながら、彼はブーン系は身を引いた。
そして、久しぶりに思い出したかのように......
本当に久しぶりにブーン小説でも読もうとケータイでオムライスを開いた。
その瞬間、これだ。
- 68: ◆TR2vneJwo2 :2009/04/24(金) 23:48:48.92 ID:y6ADGOvvP
-
( ^ω^)「此処は、ブーン系AAの世界なのか...?」
ぶつけるアテのない疑問を、空にぶつけてみる。
走る不安、とさらに大きくなる頭痛。
ぬるり、と思考の沼におぼれかけた時
後方から人の声が聞こえた。
同時にカチッという音と共に電灯が灯った。
( <●><●>)「ほう、もうお目覚めでしたか」
男の後方に扉が視認される。
扉があったのか、いまさらながら気づく。
暗闇でよく見えず気付かなかったが、明るくなってよくわかった。
ネズミや己だけでなく、家具や部屋までもが
記号で出来たアスキーアートなのだという事実だ。
此処にある者は、全て記号で出来ているのだ、突きつけられた。
( ^ω^)「.........本当に、AAの世界なのだな、此処は」
- 70: ◆TR2vneJwo2 :2009/04/24(金) 23:53:08.14 ID:y6ADGOvvP
-
( ^ω^)「キミ…は…?」
突如登場した男に言葉を投げかける。
と、彼の大きな目が、一際鋭く光ったように見えた。
その黒々とした光彩は、まるでひとつの生き物のようにはっきりと自己を主張し、
尖った顎と共に、彼の表情にどことなく不吉な雰囲気を漂わせていた。
この男は、大きな両目で己を見つめながら、己の心の底を見透しているのではないか
彼はふと、そんな想いに駆られた。
そういう彼の心の動きを察したかのように、大きな目でしょう?
と自慢するように言って、目を指差しながら、男がかすかに笑った
( <●><●>)「何を仰ってるのです」「私は私ですよ、ご存知でしょう?」
凍るような、笑み。
( ^ω^)「私は私ですよ、ご存知でしょう?」
なるほどな、知ってるといえば知っている。
だが、聞きたいのはそういう事ではないのだ。
- 72: ◆TR2vneJwo2 :2009/04/24(金) 23:54:06.17 ID:y6ADGOvvP
-
( ^ω^)「……僕が言っているのは、そういう事じゃぁない」
「確かに、僕はキミがワカッテマスという名のAAであるという事は知っているし」
「使ったこともある、性質も作品で使う際の使い勝手もわかっているつもりだ」
「だが」
「目の前にいる君は、僕が知っているワカッテマスと別人だろう
僕は、ブーン系の作者として、AAである君を扱う術を知っているにすぎない」
( ^ω^)「短い時間しか、此処に居ないが、こんなボクでも流石に気付いたよ
此処はブーン系AAの世界なのだろう?
体や身の回りのものが記号で出来てるんだからね、まったく可笑しな事だ
何故作者である己がブーンになり此処にいるかわからないが……」
( ^ω^)「此処がAAの世界と言うのであれば
君は己の知るAAのワカッテマスとは異なるモノだろう?
( ^ω^)「自由意志の元に動く、君はどういった人物なのかも知らないのだ」
( ^ω^)「そういう意味で、己はキミは誰だ、と尋ねたのだよ」
- 73: ◆TR2vneJwo2 :2009/04/24(金) 23:55:02.19 ID:y6ADGOvvP
( <●><●>)「ふうむ…ズイブンと難しいことをお考えのようですね」
( <●><●>)「其れに、此処がAAの世界だとお気づきになられていらっしゃる」
( ^ω^)「まァね」
( <●><●>)「そしてその現実を、受け入れてもいらっしゃる」
( ^ω^)「なんとかね」
( ^ω^)「それより、キミは一体......質問に答えておくれよ」
男はぽりぽりと頭を掻きながら、彼の言葉を飲み込み
言葉を返した。
( <●><●>)「言いたい事はわかるのですが......
まあ、いいじゃないですか、そういうムズカシイ事は」
( <●><●>)「本当に聞きたいのは
そういう事じゃ、ないんでしょう?」「わかってます」
( ^ω^)「……」
目の前にいるワカッテマスの立ち振る舞いを見て、
自分が知っているAAであるワカッテマスと同じような性格だと知り、少し安堵する。
- 75: ◆TR2vneJwo2 :2009/04/25(土) 00:00:31.06 ID:gE6oqXZzP
-
( <●><●>)「此処はいったい何処なのか?」
( <●><●>)「何故ご自身がブーンの姿に」「何故自分がAAに」
( <●><●>)「そういった事を、お聞きになりたいんでしょう?」
「ワカッテマス」「ワカッテマス」
「私には、ワカッテマス」
( ^ω^)「ならさっさと…」
( <●><●>)「先生、そうお急ぎにならないでください」
「物事には、なんにしろ、順序がある」「そうでしょう?」
「仮にも、物書きである先生にはわかっているはずです」「ワカッテマス」
( ^ω^)「難儀な性格をしてるのだな、君は...」
- 79: ◆TR2vneJwo2 :2009/04/25(土) 00:05:56.16 ID:gE6oqXZzP
-
( <●><●>)「先生、疑問文を疑問文で返すようで」
「悪いのですが
一つ、質問いいですか?」
( ^ω^)「ああ、どうぞ存分に言ってくれ給えよ」
いや、自分の知ってるワカッテマスとは違うのかな
そう思いながら、彼は返答をした。
ふわふわとした、
現実味のない奇妙な感覚には、もう慣れかけてきた。
( <●><●>)「先生」「先生にとって」
「ブーン小説とは、なんですか?」
( ^ω^)「ブーン小説とは…?」
- 82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/25(土) 00:09:53.39 ID:gE6oqXZzP
-
( ^ω^)「自分を試す場、かな」
( <●><●>)「ほう?」
( <●><●>)「それは一体どう言う?」
( ^ω^)「元々ね、ぼくはマンガが好きで漫画家になりたかった」
( ^ω^)「でも、それは現実的な夢って訳じゃなくて、おぼろげな憧れだったのさ」
( ^ω^)「自分ならこの展開からああする、自分ならこのキャラをこう生かす」
( ^ω^)「妄想しながらマンガを読むのが、とっても好きでね」
( ^ω^)「漫画家を目指し、そんな一か八かのバクチを打つ胆力は僕にはなかったし
何より絵がかけなかった、書こうとする努力もしなかったしね」
( ^ω^)「よって、僕は文字を書くしかなかった」
「それで、ぼくの妄想が本当におもしろいものなのかどうか」
「試すために、ブーン系作者になった」「反応がすぐ返ってくるし」
「何より、色々あるけど、基本的にぼくはブーン小説って、
面白いが正義を体現してる場だと思っているしね」
- 84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/25(土) 00:15:05.95 ID:gE6oqXZzP
-
( <●><●>)「面白ければ、有名作者という結果に繋がると?」
( ^ω^)「そうだね、他の読み物に比べると、実力の比率が高いと思うよ
ぬるい馴れ合いがあるには、あるけど
面白くなければ、すぐ叩かれる
面白ければ、賞賛され、まとめられ、有名になっていく
実に、わかりやすくて、僕はすきだな」
( ^ω^)「どこぞの面白くないけど、
作者さんが頑張ってるから星5つ!みたいなコミュニティよりよっぽどいいじゃないか」
- 88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/25(土) 00:16:35.34 ID:gE6oqXZzP
( <●><●>)「ふうむ」「やはり、いろんな考えがあるのですね」
「あっ、いや、否定している訳ではないのです」
( <●><●>)「それでいい」「それもいい」
( <●><●>)「ですが先生」「私は、こう思うのです」
・ ・
( <●><●>)「ブーン系とは、“麻薬”のやうなものではないかと」
( ^ω^)「麻薬…と?」
( <●><●>)「ええ、そうです、麻薬です」
( <●><●>)「たとえ、スレが1000までイっても」
「たとえ、大御所作家と呼ばれるほど有名作家になっても」
「しょせん、雲の霞のやうなものです」
( <●><●>)「なんにもならない」「なるわけがない」
「非常に限定された電脳のステータスなんて、無価値ですよ」
「万が一出版される事を考えたら、ケータイ小説でも書いていたほうが有意義です」
- 91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/25(土) 00:21:17.03 ID:gE6oqXZzP
-
( <●><●>)「だけど、作者はみな、勉強する時間を寝る時間を、遊ぶ時間を」
「ありとあらゆる時間を削り」「作品を書く、または雑談する」
「なあんにも、なりゃしない、のにね」
( <●><●>)「なんにもなりゃしないのに、恐ろしいまでにハマりこんでしまう」
「麻薬ですよ、これはもう」
( ^ω^)「麻薬、ねえ」
言い得て妙だな、と声を落とす。
( <●><●>)「 はい、そうです
ブーン小説小説とは、麻薬なのです」
( <●><●>) 「音楽や演説などと違い、さあ、やるぞという革命には至らない
いい小説とは、じんわりとその人の思考にしみこみとける麻薬なのです」
「バカな市民たちには、麻薬でちょうどイイ革命はいらないのです」
( ^ω^)「はあ」「ナルホド」
「そうですか…」
- 95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/25(土) 00:27:59.12 ID:gE6oqXZzP
( <●><●>)「私はなあんの計画も無しに作者である先生を監禁した訳じゃありません」
「先生は、いい物を書きます
ですが、最近筆が止まってしたね?」
( ^ω^)「……」
お前が此処に連れてきて、監禁したのか。
と言おうともしたが、それ以上に
筆が止まった事をAAに指摘されたことになんともいえない面白さを感じ、ぼくの口が、とまった。
( ^ω^)「……まあ、そうだね、某のクソどもにボロカスに叩かれて
ここんとこ、やる気をなくしていた、事実だよ、認めよう」
( ^ω^)「だが、それがどう関係あるんだ?」
( <●><●>)「関係あるんですよ」「私は貴方にもっとブーン小説を書いてほしい」
「ここには某スレも」「なあにもありゃしません」
「さてさて」「此処なら、存分に書けるんじゃぁないですか?」
( ^ω^)「フウム…」
- 96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/25(土) 00:30:28.02 ID:gE6oqXZzP
( ^ω^)「つまりナンだ・・・
きみは私に麻薬のやうな小説をかけというのだな」
( ^ω^)「その為に、ここに呼んだ」「と」「そういう訳なのだな?」
( <●><●>)「……“私”が」「と、いう訳じゃありませんが」
「ま、おおまかそう考えて頂けたらいいでしょう」
ワカッテマスが、ホレ、と部屋の隅にある机を指差した。
あそこで、書けという事なのだろうか。
( ^ω^)「フウム…解せんな」
( ^ω^)「疑問はたくさんあるが…まあいい」
( ^ω^) 「聞きたい事が」「二つある」
( ^ω^)「なぜ僕なのだ?自分で言うのもナンだが」
「僕よりすぐれた作者はいくらでもいる」
「そして、なぜ僕はブーンの姿をして、此処にいるんだい?」
- 98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/25(土) 00:34:14.84 ID:gE6oqXZzP
-
( <●><●>)「.........」
( <●><●>)ニィ
緊迫した質問に、ワカッテマスが返したのは微笑みであった。
その、醜く歪んだ微笑に私は、あっ、という声が、思わず口から洩れそうになるのを、防いだ。
胃が、粘土の塊りを入れたように重くなっていた。
( ;^ω^)(……)
( <●><●>)
押し黙った彼を大きな目で一瞥すると、
ワカッテマスは冷たい微笑みを再度浮かべ、続けた。
( <●><●>)「先生、そうむずかしくかんがえなくてもヨイのです」
「麻薬だなんて、とんでもない」
「いい小説を書いてほしいだけなのです、私たちは」
- 100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/25(土) 00:36:08.70 ID:gE6oqXZzP
-
先ほどと同じような返答。
質問には、答えない、という意思表示なのだろうか。
答えを求める彼を軽くいなし、机のほうへ、囃し立てる。
( <●><●>)「ささっ、先生」「もういいじゃないですか、そんな些細なことは」
( <●><●>)「先生も本当は、書きたいはずなんです」
( <●><●>)「某スレに叩かれて、しょげたのですよね?」
「ワカッテマス」「ワカッテマス」
( <●><●>)「PCは用意できませんでしたが......」
「なあに、心配いりません」「似たような鉛筆とノートを用意しました」
指差す方には、やはり汚らしい机、
それとそれの上に載っているノートと鉛筆。
- 102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/25(土) 00:38:00.05 ID:gE6oqXZzP
先ほどと同じような返答。
質問には、答えない、という意思表示なのだろうか。
答えを求める彼を軽くいなし、机のほうへ、囃し立てる。
( <●><●>)「ささっ、先生」「もういいじゃないですか、そんな些細なことは」
( <●><●>)「先生も本当は、書きたいはずなんです」
( <●><●>)「某スレに叩かれて、しょげたのですよね?」
「ワカッテマス」「ワカッテマス」
( <●><●>)「PCは用意できませんでしたが......」
「なあに、心配いりません」「似たような鉛筆とノートを用意しました」
指差す方には、やはり汚らしい机、
それとそれの上に載っているノートと鉛筆。
- 104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/25(土) 00:40:38.27 ID:gE6oqXZzP
-
( ^ω^)「結局、なんにも答えてくれなかったキミだけど」
「一つ、わかったことがあるんだ、伝えてもいいかな?」
( <●><●>)「……どうぞ」
( ^ω^)「此処がAAの世界だと気付いて、ずっと思ってたんだけどね」
( ^ω^)「このスレは、本当は全部僕の書いた物語で、
そういう物語でしたってオチじゃないかなって、と考えてたんだ」
( ^ω^)「突如AAキャラになるなんて、在り得ないからね」
「このスレが‘そういう物語’って考えた方が、まだソレっぽい」
( ^ω^)「でも、どうやら」「違うやうだ」
( <●><●>)「なぜ、そのような事を?」
- 105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/25(土) 00:43:45.89 ID:gE6oqXZzP
( ^ω^)「ぼくは、ワカッテマスが大ッ嫌いだからね」
( ^ω^)「“己”の設定の“ブーン”を話に出すのなら
唯一の己以外の登場人物をキミにするわけないじゃないか」
( ^ω^)「大好きなハインにするに、決まってるからね」「きっとそうさ」
( ^ω^)「だから、そういう状況じゃないって事だけは理解できたよ」
( ^ω^)「これは、そういう物語ではない」
( ^ω^)「それだけわかっただけでも、満足だよ」
- 106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/25(土) 00:45:22.08 ID:gE6oqXZzP
-
( <●><●>)「……面と向かって嫌いといわれたのは、初めてです」
( ^ω^)「だろうね」
「でも、作者としてAAのワカッテマスが嫌い、それだけの事だよ?」
( <●><●>)「それはわかってます」「ワカッテマス」
「ワカッテマスが…」
少し、不機嫌そうな顔をして、
ワカッテマスは扉へ向かい、歩いてゆく。
( )「……でも、なんだか、不愉快です」
扉を潜りながら
そういうと、ワカッテマスはガチャリと扉を閉ざした。
次いで、鍵がしまる音が響いた。
- 109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/04/25(土) 00:51:24.97 ID:gE6oqXZzP
( ^ω^)「はは、唯一の僕以外の登場人物を怒らせてしまったやうだ」
「果たして」「これから」「どうなることやら」
ポリポリと頭を掻くと、彼は机に向かった。
何故か、迷いは消えている。
久々に脳内を妄想が駆け巡る。
バトル、ファンタジー、SF、ほのぼの、恋愛、ギャグ。
( ^ω^)「今なら、なんでも書けそうだ」
不思議な事に脳汁が、湧き出てくる。
( ^ω^)「書くしかないと言うのなら....書くしかないだろうなあ」
( ^ω^)「ブーン系、をね」
こうして、奇妙なブーン小説を書くという行為を強制させられる
不思議な監禁生活が、はじまった。
願わくば、よい監禁生活を。
-終-
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