( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです
- 429: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:07:48.10 ID:sE5eprg40
- 活動グループ別現状一覧
( ^ω^) 川 ゚ -゚) 从 ゚∀从 ( ゚д゚ ) ('、`*川
所属:??世界・後継者
位置:内藤家
状況:平穏
( ФωФ) (´・_ゝ・`) ( ・ω・)=つ <ヽ`∀´> *(‘‘)* 川 -川
所属:機械世界・アギルト連合軍
位置:連合軍アジト
状況:不明
从'ー'从 (#゚;;-゚) [゚д゚]
所属:無所属
位置:不明
状況:FCへ移動
(,,^Д^) (゜3゜)
所属:世界運営政府・特殊部隊『ラウンジ』
位置:都市ニューソク周辺
状況:異変の監査
ノハ#゚ ゚) ┗(^o^ )┓
所属:英雄世界
位置:不明
状況:不明
- 438: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:17:29.86 ID:sE5eprg40
- 第十五話 『かつて』
オーストラリア。
世界運営政府が活動する巨大施設。
建物最奥に構えられた、豪華絢爛な会議室。
そこに約二十名の人間がテーブルを囲うように座っていた。
( ̄ー ̄)「では、そろそろ世界運営定例会議を始めますよ。
まずは各国の報告から御願いします」
イクヨリの言葉から始まり、順に部下達が報告を開始する。
アメリカ、イギリス、ロシア、中国、アフリカ、オーストラリア、JAPAN。
各国政府の意向、市場の状態、天災被害状況、難民問題、食糧問題、潜伏テロリストの動向――
それぞれの国が抱える問題や主張をリストアップし、優先順位をつけて吟味していく。
全世界をまとめるための会議だ。
私情を挟まずに、あくまで事務的に進んでいく。
- 440: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:20:28.40 ID:sE5eprg40
- そして
「JAPANへ送っている『ラウンジ』の隊長であるプギャーから報告が入っております」
( ̄ー ̄)「彼らは何と?」
「『異変の関係者との接触、大まかな情報の入手に成功。
手に入れた材料を吟味した結果――』!?」
報告していた部下の声が止まる。
目を見開き、その内容が信じられないというように何度も文を読み返す。
( ̄ー ̄)「判断するのは私です。 貴方の見解は要りません。
文のままに伝えなさい」
「は、はい……。
『――吟味した結果、世界を揺るがす可能性のある事象を確認。
迅速に都市ニューソクの――』」
一旦、硬い唾を飲み
「『――都市ニューソクに対する、都市閉鎖命令の発令を願う』」
「都市閉鎖……!?」
会議室にいた者達がざわめき始めた。
それぞれが顔を見合わせ、どういうことだと騒ぎ合う。
- 441: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:22:10.98 ID:sE5eprg40
- ( ̄ー ̄)「――静かに」
鶴の一声。
その貫くような中性的な声により、会議室は一瞬で静寂を取り戻した。
しかし、全員が焦りの表情でこちらを見ている。
( ̄ー ̄)「皆さん、慌てる必要はありません。
ラウンジからの報告はそれだけですか?」
「いえ、データディスクも一緒に届けられています」
( ̄ー ̄)「そのディスクに、都市閉鎖発令の根拠が収められているのでしょうね。
後で私が内容を確認してみます」
「は、はい」
( ̄ー ̄)「まだ報告が残っていますが後日にしましょう。
ラウンジの情報収集力が腐っていなければ、迅速な行動を求められるはずですから」
イクヨリの有無を言わさぬ決定により、定例会議は終了した。
JAPAN政府に『都市ニューソクの都市閉鎖』命令が発令されたのは
それから一時間後のことであった。
- 445: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:23:53.36 ID:sE5eprg40
- その連絡は本当に突然だった。
早朝四時。
未だ寝静まっている内藤家。
この誰も目を覚ましていない家に電話のベルが鳴り響いた。
最初に出たのはクー。
最も電話に近い位置の部屋で寝ていた彼女は、寝ぼけた頭で相手の声を聞く。
見開かれたのは直後。
その後、クーはブーン達を叩き起こす。
何事かと文句を言えば、彼女は珍しく慌てた顔でこう言った。
川;゚ -゚)「FCへ行くぞ!
渡辺の身柄を確保したそうだ!」
- 447: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:25:23.79 ID:sE5eprg40
- それから二時間後。
都市ニューソクの隣に位置する都市。
その中心部付近に建てられたフィーデルト・コーポレーション本社。
クー達が歩くのは、まだ全社員の半数も揃っておらず、暖房も効き切っていない社内。
从-∀从「まだ眠いですー」
川 ゚ -゚)「文句を言うな。
会議室とやらに着いてから眠れ」
ブーン、クー、ハインリッヒの背後を歩くのは
('、`*川「ってか、何で私達まで?」
川 ゚ -゚)「今からの件は、きっと貴女達にも関係があることだ。
話だけでも聞いて欲しい。
異世界跳躍についても詳しい話を聞けるはずだ」
( ゚д゚ )「ふむ……この妙な世界へ飛ばされた詳細を聞けるなら」
エレベーターに乗って八階へ。
そのまま正面の廊下を歩き、突き当りを右折。
両開きの大きな扉が見えた。
上部の札には『大会議室』と表記されている。
- 448: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:27:08.84 ID:sE5eprg40
- ノックすらせずに押し開く。
内部は白を基調とした広い空間。
椅子と長机が並び、いつでも会議が出来るようにセッティングされていた。
(´・ω・`)「あ、ブーン」
('A`)「やっぱお前らも呼ばれたか」
まずこちらに気付いたのはショボンとドクオだ。
椅子に座り、二人ともブーン達と同じく眠そうな目をしている。
( ^ω^)「おいすー」
(´・ω・`)「後ろの男女は誰かな?」
( ^ω^)「異世界の人だお」
从 ゚∀从「あ、ギコさん!」
ハインリッヒの視線の先。
会議室の端の椅子に座っているのはギコだ。
( ,,゚Д゚)「この様子では、どうやら全員召集らしいな」
川 ゚ -゚)「しぃはどうしたのだ?」
( ,,゚Д゚)「しぃも弟者も、ニューソクの病院からFCの医療棟へ運ばれた。
何やら緊急らしいのだが……アイツの考えることはよく解らん」
- 450: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:28:46.73 ID:sE5eprg40
- そこで、クー達が入ってきた扉とは別の扉が開く。
颯爽と中へ入ってきたのは
<_プー゚)フ「よぉ、お前ら」
('A`)「エクストさんじゃないッスか」
(`・ω・´)「……ふむ、何やら見たことある顔とない顔があるな」
( ^ω^)「お、シャキンさんもいるお。
そういえば、二人はFCで働いてるんだったっけ?」
<_プー゚)フ「そういうこった」
周囲を見渡せば、携帯ゲーム機で遊ぶジョルジュや
ノートPCの前でニヤニヤしている兄者の姿もある。
- 452: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:30:47.97 ID:sE5eprg40
- ( ,,゚Д゚)「何やらよく解らんが……渡辺の身柄を確保したそうだな」
川 ゚ -゚)「あぁ、私も同じ旨の連絡を受けた。
となると――」
鉄扉が軋む音。
視線を向ければ、最奥にある扉が開いていた。
内部からは
( ・∀・)「久々だね、諸君」
スーツ姿のモララー。
隣には、修復されたと思われるジェイルが控えていた。
全員が黙って彼の言葉を待つ。
( ・∀・)「既に解っているとは思うが、我々FCは渡辺の身柄を確保した。
何やらよく解らんが妙に協力的でね……。
以前からの謎に対して答弁をしてくれるらしい」
( ,,゚Д゚)「……ところで、お前とFCは関わらないんじゃなかったのか?」
( ・∀・)「渡辺の目的がはっきりと解っていないから手出しし辛い……私はかつてそう言った。
今日、この答弁で目的が解るかもしれない。
そういう情報入手のチャンスを、私は無駄にはしたくないのだ。
というわけで――」
(´・ω・`)「あ、ちょっと待って下さい」
( ・∀・)「何かな?」
- 455: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:32:14.90 ID:sE5eprg40
- (´・ω・`)「フサギコさんの姿が見当たりませんが」
( ・∀・)「……何?」
言葉に、全員が周囲を見渡す。
この部屋にいない弟者やしぃは当然だが、あるべき彼の姿だけが無いのだ。
( ,,゚Д゚)「連絡はしたのか?」
( ・∀・)「あぁ、早朝に失礼かとも思ったがね。
渡辺以外のことで緊急事態が起きたから、急を要すと伝えてあるのだが……」
爪゚ -゚)「アストクルフ家への連絡の記録は残っております」
( ・∀・)「急な用事でも出来たのだろうか?
いや、しかし……律儀な彼に『急を要す』と言えば来ると思うのだが」
('A`)「そう言って半年前も来なかったッスよね」
( ・∀・)「だが少し気になる。
ジェイル君、再度の連絡の手配を。
それでも駄目なら直接迎えに行きたまえ」
爪゚ -゚)「了解です」
踵を返し、ジェイルが会議室から出て行った。
- 457: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:34:15.34 ID:sE5eprg40
- 川 ゚ -゚)「そこまですることなのか?」
( ・∀・)「私としても乱暴だとは思うが、時間が無いのでね。
今日を境に都市ニューソクは完全に機能を失うのだよ。
そろそろ騒ぎになる頃ではないかな」
(;^ω^)「え……!?」
( ´_ゝ`)「どういうこった?」
( ・∀・)「世界運営政府の命令だ。
『都市閉鎖』と言ってね。
ある一定以上の危険と認識された都市への立ち入りを完全に封鎖する。
そういう旨の絶対命令がJAPAN政府を介して、今日にでも発令されるとの情報が入った」
(;'A`)「ちょ、ちょっと待った!
都市閉鎖されたら、中の人はどうなるんスか!?」
( ・∀・)「もちろん全員出て行ってもらう。
周囲の都市や街にも知らせが行っている頃だろう。
都市ニューソクの住人を受け入れるように、と」
- 458: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:35:44.74 ID:sE5eprg40
- 話によれば、学校や公民館を用いて受け入れるのが一般的らしい。
都市を出る際に、どの街に受け入れられるかを定めたカードを受け取る。
そのカードに従って指定された村や街へ行くのだが――
( ・∀・)「あぁ、そこら辺の心配は無用だ。
君達の分のカードは、私が裏から手を回して改竄してある。
今日から君達はFCで生活してもらうことになっているよ。
もちろん君達の家族に連絡はするし、受け入れ先もちゃんと調べることを約束する」
まぁ、と言い
( ・∀・)「そういう意味での緊急だったわけだね。
事前に情報を得た私は、皆がバラバラにならぬように配慮したわけだ。
さぁ、大いに褒めたまえ」
無茶しやがって、と全員が半目でモララーを見る。
( ・∀・)「ふふふ、ゾクゾクするよ」
- 460: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:37:39.63 ID:sE5eprg40
- ( ,,゚Д゚)「御託は良いから俺の質問に答えろ。
『都市閉鎖』は滅多なことでは発令されないはずだろう?
ロシアでの細菌兵器漏洩事件や
アメリカの凶悪かつ大量のテロリストが、都市一帯を占領した場合に発令されたと記憶しているが」
それほどの危険が都市ニューソクにあるのだろうか。
全員が不満と不安の表情を見せる。
( ・∀・)「一つだけ心当たりがあるのだが……。
まずは渡辺君の話を聞いてからにしようではないか。
と、その前に」
ペニサスやシャキン達に目を向け
( ・∀・)「自分達の身分を明かし合った方が良いね。
まずは我々から名乗ろう」
襟を正す。
ネクタイを調整し、服装を軽く整え
( ・∀・)「私の名はモララー。
この会社の社長という座についており、まぁ、割と偉い地位の人間だ」
('、`*川「うわ、何か変質者っぽい!」
( ゚д゚ )「……そういうことは隠れて言え」
( ・∀・)「否定はしないのか。 だがそれが良い」
- 465: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:38:52.71 ID:sE5eprg40
- それからこの世界の人間が自己紹介を始める。
ギコ、兄者、ショボン、ジョルジュ、ドクオ、ハインリッヒ、クー、ブーン。
己の世界背景も交えて説明していく。
続いて
(`・ω・´)「俺はシャキン。
機械世界という、こことは異なる世界の住人だ。
今はワケあってFCに在籍している」
('、`*川「機械世界? 私達の世界とは違うの?」
( ゚д゚ )「だろうな」
('、`*川「へぇー……じゃあ、そっちのお兄さんも?」
<_プー゚)フ「エクストっつー名前があるっての。
シャキンと同じ世界の人間で、同じくFC在籍だ」
('、`*川「手? モミアゲ? 襟?」
<_プー゚)フ「何がだコラ」
- 469: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:40:46.83 ID:sE5eprg40
- 今度は、先ほどからしきりに感心しているペニサスへ視線が集う。
それに気付いた彼女は後頭部をポリポリ掻きながら
('、`*川「あ、私はまぁ、しがない女ですよ、はははー」
( ゚д゚ )「誤魔化すな……。
コイツはペニサスで、俺はミルナ。
英雄世界という世界で暮らしていたが、何故かこの世界に跳躍してしまっている」
川 ゚ -゚)「英雄世界?」
('、`*川「私達のいた世界には英雄制度というのがあってね。
二十歳になったら試練を受けないといけないんだけど――」
( ゚д゚ )「それに受かれば、『英雄』を名乗ることが出来るという制度だ。
まぁ、そういうわけで『英雄世界』などと呼ばれてるのだと俺は思っている」
( ゚∀゚)「ってことは、俺でも英雄になれるってことか?」
('、`*川「残念、違う世界の人は無理だなー」
( ゚∀゚)「ちぇー」
- 473: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:42:14.39 ID:sE5eprg40
- (`・ω・´)「……ということは」
( ・∀・)「あぁ、この場には三世界の人間が集っていることになる」
<_プー゚)フ「んで、誰も真実を知らねぇ、と。
とんでもねぇ無能の集まりじゃねぇか」
( ・∀・)「まぁ、そういうわけで渡辺君から聞こうというわけだよ」
指を鳴らす。
モララーが出てきた鉄扉が開き、内部から
川;゚ -゚)「……!」
両手を拘束された人間が、FC兵に囲まれて歩いてくる。
从'ー'从「…………」
[゚д゚]「…………」
(#゚;;-゚)「…………」
渡辺、デフラグ、軍神の三人だ。
- 476: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:43:55.10 ID:sE5eprg40
- ('、`*川「ねぇ、あの顔が傷だらけの女……」
( ゚д゚ )「……あぁ」
(`・ω・´)「…………」
それぞれ、様々な意味が含まれた視線で三人を睨む。
先ほどまであった、ある程度の緩やかな雰囲気が一気に引き締められた。
川;゚ -゚)「危険ではないのか?
特に軍神など両手を拘束したくらいでは……」
( ・∀・)「まぁ、本人らが抵抗しないと言っている。
その言葉は、今の所は事実となっているようでね」
从'ー'从「やっと信じてもらえて良かったよ」
( ・∀・)「だが、まだ捕虜のようなモノだということを忘れないように。
無礼な発言をした場合は……ちょっと痛い目を見てもらうよ」
何やら懐から鉄の棒を取り出す。
スイッチを入れると、棒に紫電が纏わり始めた。
从'ー'从「わぁ、怖い怖い……なんてね。
別に挑発したりする気はないんだけど」
クスリ、と笑い
从'ー'从「さ、何でも質問して頂戴?」
- 477: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:45:14.18 ID:sE5eprg40
- ミ;,,"Д゚彡「ハァ、ハァ……!!」
防戦一方だった。
周囲は慣れ親しんだアストクフル家の敷地内。
何処に何があるのか、目を瞑ってでも歩けるほど理解した空間。
無論、トラップが何処にあるのかも解っている。
が、押されていた。
( ФωФ)「おいおいおいおい!
3rd−W『ウィレフェル』ってのを使ってんじゃねぇのかぁ!?」
使っている。
最初から全力だ。
全力を出さねばならぬ理由がある。
ξ;゚听)ξ「フサギコ……!」
主が。
主であるツンが、妙な兵士達に捕まっているのだ。
本気を出さぬ理由は全く無い。
- 480: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:46:35.94 ID:sE5eprg40
- だが
ミ;,,"Д゚彡「くっ!」
ロマネスクの動きに翻弄される。
この人間の動きを超えた機動に、少しだけ見覚えがあった。
ミ;,,"Д゚彡(これは、内藤さんの――!)
思った次の瞬間
( ФωФ)「ほらよぉ!」
ミ;,,"Д゚彡「ぐはっ!?」
俊敏な動きで懐に潜り込まれ、一撃を入れられる。
膝を折りつつも後退。
ワケが解らなかった。
この男と、率いる兵達のことだ。
警備交代の時間を狙っての早朝襲撃。
まともな準備運動をしていないので、腕や足の筋が少し痛む。
襲撃者達は有能であった。
次々と屋敷を制圧していき、遂にはフサギコの防護をも突破してツンを捕縛する。
そして今、彼は庭園にて一対一の勝負を強制させられていた。
- 483: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:47:56.24 ID:sE5eprg40
- ミ;,,"Д゚彡「御嬢様を離せ……!」
( ФωФ)「あぁ? 敵に紳士的態度求めんなよ!
そんなの自分でやって自己陶酔しとけボケが!」
来る。
ワンステップで攻撃範囲内にまで入られた。
ミ;,,"Д゚彡「ッ!」
ウィレフェルを構え、鋭く薙ぐように払う。
しかし当たらない。
( ФωФ)「クハハハ!」
連打。
右肩、左鎖骨、左脇腹を穿たれる。
ミ;,,"Д゚彡「あ……が……ッ!」
呼吸を封じられた。
酸素が断たれ、それを欲しがる細胞が悲鳴を上げる。
内部からの鈍痛がフサギコを襲った。
- 486: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:49:41.38 ID:sE5eprg40
- ( ФωФ)「はン、ちょっと人質とったらコレかよ」
その声には、明らかにつまらなそうな色が混じっている。
フサギコは必死に息を吸い、そしてロマネスクを見上げるように
ミ;,,"Д゚彡「貴方達は……人質をとって勝って嬉しいのですか!?」
( ФωФ)「あぁ、嬉しいねぇ」
呆気無く言う。
( ФωФ)「この世界に来て思ったんだが、お前らは心が弱過ぎるわ。
人質程度で加減するなんざ馬鹿がすることだぜ」
ミ;,,"Д゚彡「貴方は、異世界の……!?」
( ФωФ)「やっと気付いたかよ愚鈍。
そもそもテメェが持ってるウェポンだって異世界の物だろうが。
今更驚くのに驚きだわ」
確かに、聞いた話では
この武器は異世界のルイルという物質から作られているらしいが。
ミ;,,"Д゚彡「それが何だって……」
( ФωФ)「わっかんねぇかなぁ? 結局のところ、俺はそのウェポンってヤツが欲しいわけよ」
ミ;,,"Д゚彡「なっ……」
- 487: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:51:08.91 ID:sE5eprg40
- ( ФωФ)「おっ! そうだ、こうしようぜ!
お前がそれくれるってんなら、あの金髪女を解放してやるよ!」
ミ;,,"Д゚彡「え?」
( ФωФ)「お前だってこれ以上痛い目見たくねぇだろ?
俺もいつ隙を突かれるかドッキドキでさぁ。
どうよ? 悪くないっしょ?」
心の中に焦りが生まれる。
どうするべきか、と。
この武器は強力だ。
易々と渡すことなど出来はしない。
しかしその性質上、自分にしか扱えないのは解っている。
相手がそれを知っているのかによるが――
ミ;,,"Д゚彡「…………」
ξ;゚听)ξ「フサギコ……」
駄目だ。
彼女よりも大切な物などない。
自分の命よりも重要である彼女に勝るモノなど、ない。
ミ,,"Д゚彡「……解り、ました」
( ФωФ)「お?」
- 489: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:52:45.08 ID:sE5eprg40
- ミ,,"Д゚彡「……解りました。
これを差し上げますから、彼女の解放を御願いします」
( ФωФ)「いいだろう、その心意気は買っちゃうよぉ?
さぁさぁ、こっち渡しな」
ミ,,"Д゚彡「…………」
3rd−W『ウィレフェル』を指輪に戻す。
それを指から外し、ロマネスクの手へ乗せた。
( ФωФ)「クハハ、ありがとよ!」
ミ,,"Д゚彡「彼女の解放を御願いします」
( ФωФ)「えー? やだやだー。
俺、あの子気に入っちゃったもん」
ミ;,,"Д゚彡「なっ……!?」
( ФωФ)「誰がそんな約束守るかよボケナスが! 馬鹿かテメェは!
クハハハハハハハハ! この世界の人間は馬鹿で愚鈍で能天気だなぁ!?」
呆然とするフサギコの目の前で大笑いを始める。
- 492: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:54:44.63 ID:sE5eprg40
- ミ#,,"Д゚彡「貴様はァァァ!!」
叫びは途中で遮られた。
布が穿たれるような音と共に、フサギコの右肩から鮮血が散る。
( ФωФ)「わぉ♪」
続いて右肩。
そして左膝、更に右膝。
順に撃ち抜かれたフサギコは、糸を失ったマリオネットのように崩れ落ちる。
そしてトドメと言わんばかりの一撃が、胸の中心を穿った。
狙撃だ。
しかも超精密な。
ミ;,,"Д゚彡(ど……こから……)
微かに動く首を動かすが解らない。
痛みの増大と共に視界が上下から黒色に染まっていく。
意識を保とうとするも、激痛が脳の動きを阻害していった。
- 495: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:55:29.48 ID:sE5eprg40
- ミ#,,"Д゚彡「貴様はァァァ!!」
叫びは途中で遮られた。
布が穿たれるような音と共に、フサギコの右肩から鮮血が散る。
( ФωФ)「わぉ♪」
続いて左肩。
そして左膝、更に右膝。
順に撃ち抜かれたフサギコは、糸を失ったマリオネットのように崩れ落ちる。
そしてトドメと言わんばかりの一撃が、胸の中心を穿った。
狙撃だ。
しかも超精密な。
ミ;,,"Д゚彡(ど……こから……)
微かに動く首を動かすが解らない。
痛みの増大と共に視界が上下から黒色に染まっていく。
意識を保とうとするも、激痛が脳の動きを阻害していった。
- 497: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:56:47.55 ID:sE5eprg40
- ξ;凵G)ξ「――! ――!!」
ツンが何かを叫んでいる。
しかし聞こえない。
表情から、何かを必死に心配しているのが、ギリギリ見える視界から解った。
大丈夫ですよ。
心配しないで下さい。
口を動かすも、声として出ない。
遂に視界が黒に染まる。
ミ,,"Д゚彡(私は――)
そこで、フサギコの意識までもが闇へ落ちた。
- 499: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 13:58:23.27 ID:sE5eprg40
- まず渡辺に対して投げかけられた質問は
『クルト博士との関係と、その背景』――つまり過去の詳細であった。
色々と、特に世界交差について聞きたいところであるが
まずは以前からの疑問を解消する必要があるという判断からだった。
从'ー'从「ちょっと長くなるけど……」
少しだけ目を瞑った彼女は、ポツリと語り始めた。
从'ー'从「私のいた世界――機械世界は、『異獣』によって滅ぼされ掛けたのは知ってるよね?」
(`・ω・´)「二百年前ほどの話らしいな。
そして民間人を避難させるために『リフレクション』という巨大箱庭を作った、と」
シャキンとエクストが暮らしていたのがリフレクションだった。
外界と完全に遮断された世界で、彼らは独自の文化形態を作っていく。
そこから生まれた産物の一つが、GIFという戦闘機だ。
从'ー'从「まぁ、そのリフレクション内の話は知ってると思う。
だから外の世界の話から始めるね」
川 ゚ -゚)「それがクルト博士に関係あるのだな?」
从'ー'从「うん」
- 501: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 14:00:41.00 ID:sE5eprg40
- 外の世界に残った連合軍は、命尽きるまで異獣と戦うことを決意した。
しかし大きな問題があった。
从'ー'从「彼らに戦う意思はあったんだけど、戦うための武器がなかったの」
( ゚д゚ )「随分とのんびりした世界だな」
从'ー'从「あることにはあったんだけど……この世界の武器レベルくらいはね。
でもその武器では異獣に通用しなかった。
まぁ、通用しないから滅亡寸前まで追い詰められたんだけど」
このままでは簡単に滅亡してしまう。
そう判断した連合軍は、有り余る技術を用いて異世界へのアクセスを試みた。
新たな武器や技術を求めて、だ。
从'ー'从「そして最初に繋がったのが『魔法世界』と呼ばれる世界だったの。
その世界は、魔法という特殊な技術を用いて
『EW(Enchant Weapon)』という武器を独自に開発していた」
( ^ω^)「あ、質問だお。
魔力とか魔法っていつかも聞いたけど、結局何のことなんだお?」
从'ー'从「あ、その説明は後でしてあげるね。
今するとややこしいから」
- 503: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 14:02:43.67 ID:sE5eprg40
- 渡辺は語りを再開する。
その魔法世界から仕入れた『EW』という武器。
異獣に対して使ってみたところ、自分達の武器に比べて多大な効果があることが判明する。
それからは仕入れた技術を用いて、使い易いように開発していったらしい。
だからなのか、『魔法世界』と『機械世界』のEWの系統が異なる進化を遂げたという。
例えばラミュタスが持っていたブレード。
あれが『魔法世界』から直接仕入れた、真作『EW』。
例えばニダーが持っていた白い銃器。
あれが『機械世界』にて独自開発された、贋作『EW』。
近距離用に作られたEWが魔法世界の
遠距離用に作られたEWが機械世界のモノというわけである。
- 505: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 14:04:40.22 ID:sE5eprg40
- 从'ー'从「それらの開発配備は、技術にモノを言わせて高速で行われたらしいの。
でも、異獣の知能は高かった。
最初こそは押されていたものの、すぐに弱点を把握して押し返し始めた」
以後は開発合戦だったらしい。
新たな仕様のEWを作っては、異獣に弱点を見破られ
また新たな仕様のEWを作っては、また異獣に弱点を見破られる。
そんな膠着状態が百年以上も続いた。
<_;プー゚)フ「そんなにかよ……とんでもねぇな、どっちも」
从'ー'从「私が生まれてから成人するまでも未だに続けられてたよ。
あの世界に生まれた人は、全員が軍人になることになってるから
私も勉強をして連合軍へ入隊した」
とはいえ、女性に出来ることなど限られている。
頭脳に秀でていた渡辺は、科部という科学技術を専門とする技術班へ送られた。
- 506: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 14:06:18.45 ID:sE5eprg40
- 从'ー'从「私は、この状態をどうしても打破したかった。
そして研究の末、私は一つの打開策を発表することにしたの」
その打開策とは
从'ー'从「――『秩序崩壊論』」
( ,,゚Д゚)「秩序……崩壊?」
何やら大層な話になってくる。
とはいえ、異世界が絡んでいる時点で大き過ぎる話なのだが。
从'ー'从「『歪』魔力っていう、本来は存在しないはずの人工魔力を用いて
各世界を遮っている壁を破壊する。
そんなことを為すための計画みたいなものかな」
( ´_ゝ`)「そうするとどうなるのだ?」
从'ー'从「その世界を中心して、周囲世界の要素が引き込まれるの。
特に『存在力』が大きい人や物が巻き込まれ易いかな。
まぁ、ある程度の指定は技術次第で可能だけど」
存在力とは、他の人々にどれだけ認知されているということを示す力。
いわば知名度に近いものらしい。
- 509: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 14:08:03.82 ID:sE5eprg40
- 从'ー'从「そうやって引き込んだ要素――つまり戦力や技術を用いて
異獣に対抗するっていう論だったんだけどね」
( ・∀・)「つまりランダムで落ちてきた玩具で遊ぶようなモノか。
楽しめる玩具があれば、つまらない玩具が来る可能性もある……一種の賭けだね」
从'ー'从「でも、私の案はすぐさま否決された」
('A`)「何で?
良さそうな案じゃん……周囲から見ればスゲェ迷惑だろうけど」
从'ー'从「秩序崩壊論って言ったよね?
秩序っていうのは、世界を隔てる壁のことを指すんじゃないんだ」
そこから何やら小難しい話が始まる。
ブーンを始め、一般人には理解出来ない話だったが
モララーやシャキン、兄者などには理解出来る内容らしい。
- 512: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 14:10:29.29 ID:sE5eprg40
- 要約すると
从'ー'从「『運命』なんていうように、大体の歴史の道筋って実は決まってるの。
その『運命』をアカシックレコードなんて言ったりするんだけど
そこへ辿り着くための道筋のことを『秩序』って表現するんだ」
通路で言うならば壁や天井。
線路で言うならばレール
つまり超えられないライン、または壁のことだ。
从'ー'从「『秩序』を超えようとするような事を、その世界の住人は出来ないわけ。
まぁ、そのラインの近付き方によって結果が変わったりするんだけどね」
( ^ω^)(何かよく解んないけど、それがあるから道を外れることが出来ないのかお)
从'ー'从「で、研究によって、世界を隔てる壁を破壊した場合
その秩序も一緒に取り除かれることになるっていうことが解った」
( ・∀・)「だから否決されたわけだね」
( ゚∀゚)「え? 何で?」
- 513: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 14:11:58.53 ID:sE5eprg40
- ( ・∀・)「例えば、君の目の前に一本の糸があったとする。
糸は途中から見えなくなっており、しかし確実に何処かに繋がっている。
その先には『成功』や『失敗』といった結果があるのだよ」
( ,,゚Д゚)「渡辺がしようとしたのは……」
( ・∀・)「そう、その糸を消去しようとしていたことになる」
( ゚∀゚)「それが何で駄目なんだよ?」
( ・∀・)「例えばね、ジョルジュ君。
糸の先が『成功』に繋がっていたとしたら……どうするかね?」
( ゚∀゚)「引っ張る!」
( ・∀・)「だが、現実は糸の繋がっている先など解らない。
しかし『成功』に繋がっている可能性も否定出来ないね?」
連合軍は恐れたのだ。
『勝利』という結果が待っている可能性があるのだというのに
渡辺は、その糸の消去を望む案を出した。
成功するかもしれない可能性を、わざわざ潰すことはない、と。
- 516: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 14:13:50.94 ID:sE5eprg40
- ( ・∀・)「未来が見えぬからこそ、その未来に期待したわけだね」
从'ー'从「そういうこと。
で、私はとんでも理論を打ち立てた大罪者とされてしまった」
危険人物の行く先は大体決まっている。
そのまま殺すか――
从'ー'从「というわけで、私は機械世界からの強制追放を命じられちゃったの」
川 ゚ -゚)「まさか……」
从'ー'从「追放先――到着した世界は奇妙な世界だった。
魔法や魔力といった要素が無いにも関わらず繁栄していて
その機械技術も、他世界に比べて高度なものだった」
一息。
从'ー'从「でも魔力が無ければ、帰るどころか異世界へのアクセスすら出来ない。
焦った私は情報を必死に掻き集めた。
その手の技術に通じてそうな研究機関を渡り歩いてね。
そして、本来出来ないはずのアクセスを為した人物がいたことを発見したの」
それこそが
从'ー'从「『クルト=リルロンド』。
私のいた機械世界へアクセスして、そしてルイルを受け取った科学者」
- 519: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 14:15:57.44 ID:sE5eprg40
- (;^ω^)「…………」
繋がり掛けている。
あの日記の冒頭へ繋がり掛けているのだ。
しかし湧き上がったのは妙な既視感だけではない。
( ・∀・)「一つ聞きたい。
クルト博士は魔力とやらが無いのに
どうやって機械世界とコンタクトをとったのだね?」
从'ー'从「それは私にも解らない。
同じ疑問を持って調べてみたの。
向こうからのアクセスじゃないこと以外、結局答えが得られることは無かった」
- 521: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 14:17:57.97 ID:sE5eprg40
- 話は続く。
クルト博士がアクセスした世界は、滅亡の危機に瀕していた。
『異獣』という化け物が人間達を喰らっていたのである。
その話を聞いたクルトは大層驚き、そして喜んだそうだ。
『この世界ならば存分に、そして誰にも咎められずに、自分の研究の成果が試せる』と。
(;^ω^)「!?」
川;゚ -゚)「……ッ」
そこでブーン達は気付く。
気付いてしまった。
彼が研究していたモノは何だ?
彼が興味を持っていたモノは何だ?
――最強の生物。
从;゚∀从「…………」
- 524: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 14:19:21.87 ID:sE5eprg40
- 从'ー'从「つまりはそういうこと。
クルト博士はルイルという魔法石、そして数多の技術と引き換えに
完成した最強生物を戦力として送ることを約束した」
( ・∀・)「だから完成『品』と名付けたのだね。
ハインリッヒ君は、まさに機械世界へ送るための品だったわけか……」
川;゚ -゚)「…………」
口の中がひどく乾く。
声を出して疑問を口にしたいが、それが出来ない。
心臓が不安定になり、頭痛が頭を揺さぶる。
幸いだったのは、聞きたいことを皆が次々に質問をしていったことだ。
( ,,゚Д゚)「……クルトの行動は大体解った。
だが、俺は残り二人の行動も知りたいところだな」
从'ー'从「私とリトガーだね。
まずはリトガーの方から話そっか」
- 526: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 14:21:00.16 ID:sE5eprg40
- 彼がクルト博士の助手となったのは、渡辺よりも前である。
クルト博士と同じく、己の興味を突き詰めるタイプ。
そしてどちらかと言えば臆病だった。
しかし彼は、クルトの目的とは異なる目的を持っていた。
それはウェポンと呼ばれる人知を越えた武具。
从'ー'从「彼は機械技術の方に精通していた。
だからなのか、彼の興味は最強生物などではなく
クルト博士が開発していた擬似精神とウェポンにあったの」
最強生物製作に加担していたのは、ウェポンや擬似精神の技術を盗むためであったのだ。
そしてリトガーは、その技術を自分のモノとした。
( ・∀・)「その証拠がクックルであり、ジェイル君であるわけか。
成程……高度なAIだと思っていたが、実のところは擬似精神に近かったわけだね」
彼が対ウェポン用防具を開発出来たのも
機械世界からの技術を用いたからだったのだ
- 529: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 14:23:56.35 ID:sE5eprg40
- ( ,,゚Д゚)「その後のリトガーが、ウェポンの回収をしようとしたのは?
何故、彼はハインリッヒまで利用しようとした?
彼は俺達との戦いの後を見ていた……一体、何を見ていたんだ?」
从'ー'从「私が悪かったんだよね、アレは」
( ^ω^)「どういうことだお?」
从'ー'从「この世界に到着して、クルト博士やリトガーと関わって、地位を高めて……。
ある程度自由にルイルを触れられるようになった私は
一つの計画を密かに企てていた」
川 ゚ -゚)「それこそが、この世界で行う『秩序崩壊論』――『世界交差』というわけか」
从'ー'从「そう。
『歪』魔力の作成方法は解ってたから、ひたすら地道に魔力を集め続けた。
隠していたつもりだったんだけど、彼らは少し解ってたみたい」
その作業のみに二年の歳月を費やす。
ある程度、完成の目途が立ったと判断した彼女は
从'ー'从「用済みとなっちゃったんで、クルト博士の研究内容をちょっとだけ裏ルートで流したの。
最強生物なんて言っても、所詮は実験作だしね……。
私が信用出来なかったから、後で回収して自分好みに仕立て上げようと思ってた。
後は知っての通り、私とリトガーは行方不明になって博士は自殺した。
私がいたという事実は有耶無耶になり、計画は誰にも知られることなく潜行する」
- 531: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 14:26:26.22 ID:sE5eprg40
- ハインリッヒは機械世界への寄贈品として。
クーはハインリッヒが暴走した場合、確実に止めるための予防策。
ジョルジュは、いわば実験作。
それらの要素を残して、あの一年半前の戦いが始まったのだ。
というのならば、リトガーは何故あのような行動をとったのか。
从'ー'从「最初に『リトガーは臆病だ』って言ったでしょ?
そう思った理由として、彼は酷く私を恐れていたの」
『世界交差』とは、『秩序崩壊論』を実行に移すための計画名である。
ブーン達のいる世界を中心として、他世界の要素を引き込もうとしていたのだ。
そんなことをしようとしていた渡辺を恐れていたということは
(´・ω・`)「……彼は、この世界を『世界交差』から護ろうとしていた?」
从'ー'从「まぁ、ぶっちゃけるとそうなるんだろうね。
彼の本当の目的は私の殺害だった。
だから組織を作り、ウェポンを集め、ハインリッヒを目覚めさせた。
全ては『世界交差』を引き起こそうとしていた私を倒すために」
- 533: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 14:28:26.11 ID:sE5eprg40
- しかしその目論見はブーン達によって破られる。
己を監視する者がいなくなった渡辺は、誰にも見られることなく準備を進めることとなった。
从'ー'从「ちなみに貞子は、ジェイルを真似て暇潰しに作った子だよ。
予想以上に完成度が高くてお気に入りかな。
そして月日は流れて――」
( ・∀・)「あの研究所で、君と出会った時に繋がるというわけだね」
モララーの言葉を皮切りに沈黙が発生する。
予想以上に大きかった話に、全員が戸惑っているのか。
- 538: キンキキッズ(大分県) :2007/04/05(木) 14:29:41.28 ID:sE5eprg40
- ( ・∀・)「感傷は後だ。
まずは全てを知ることを望もう」
从'ー'从「それはありがたいなぁ。
んじゃあ、そろそろ私の話も聞いてくれない?
もちろん質問に答えながらで良いよ」
( ・∀・)「それで全てが解るというのならば」
从'ー'从「じゃあ、私が聞いて欲しいことを言うね。
それはこれからのこと」
これから。
この世界は現状、二つの世界と通じている。
そしてロマネスク率いる連合軍が、荒々しいやり方で世界交差を進めようとしている。
更には、まだ詳細が解らないグループがいくつかある。
混沌とも言える状況だ。
この混乱した『今』と、先を見据えるための『これから』。
果たして渡辺は未来の標となり得るか。
少し呼吸した後、彼女は言った。
从'ー'从「私からの聞いて欲しい御願いはたった一つ。
異獣を倒すのを――手伝ってほしいの」
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