( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

  
221: ◆BYUt189CYA :2007/03/06(火) 21:39:34.46 ID:S6V5Fdvb0
  
川 -川「では」

(;,,゚Д゚)「ぐぁ!?」

何故か光の干渉を受けない貞子が、ギコに接近して一撃。
足を動かせないギコはサンドバッグと化す。

(;^ω^)「やばいお!」

慌てふためくブーン達。
その隣に位置する戦場では、光が飛び交っていた。

川 ゚ -゚)「ッ!」

クリアカラーの7th−W『ガロン』を脇に挟み、右方向へと身を飛ばす。
直後、音速で光弾が掠めていった。

前転。
土埃を身に纏わせながら、跳ね上がるように身を起こしながらトリガーを引く。

空気の抜けるような音と衝撃。

三連射の光弾が向かうが、渡辺は軽いステップで回避する。
その身のこなしは良いとは言えない。
それでも一度も当たらぬところを見るに、どうやら弾道を見極めているらしかった。



  
222: ◆BYUt189CYA :2007/03/06(火) 21:42:23.58 ID:S6V5Fdvb0
  
思考の時間すら与えられない。

体勢を戻した彼女が握っている白い銃の口が発光。
音速超過の弾が連続で飛来。

川;゚ -゚)「――くっ」

膝を酷使し過ぎて抵抗を感じる。
それを無理矢理に動かして地を蹴った。

大腿部に違和感。

足の使い過ぎによる危険シグナルだ。
疲労が溜まり、痛みとダルさが広がっていく。

が、止まることは許されなかった。

隙を見せれば次々に飛来する光の弾。
周囲は瓦礫が山を築いているが身体を隠すには脆く小さい。
たまに崩れ掛けた壁があるが、薄過ぎて盾になるかも怪しい。

実質、ただの足場が悪い戦場でしかなかった。
今まで回避し続けられたのが奇跡だと思えるほど。



  
226: ◆BYUt189CYA :2007/03/06(火) 21:44:24.76 ID:S6V5Fdvb0
  
川;゚ -゚)(やはり接近戦に持ち込むしかないか……!?)

噴き出る汗も拭わずに思考。
銃しか持たぬ敵に格闘戦を仕掛けるのは有効な手段だ。

しかし、それくらい彼女も解っているのではないだろうか。
だとすれば、対抗手段を用意していてもおかしくはない。

――いや、確実に罠がある。

从'ー'从「逃げててばかりじゃ面白くないよー?」

川;゚ -゚)(どうする……?)

判断は一瞬。
これ以上、避け続けるのにも限界がある。
ならばギルミルキルの高速移動を用いて接近し、一撃離脱を仕掛けた方が――



  
227: ◆BYUt189CYA :2007/03/06(火) 21:46:13.29 ID:S6V5Fdvb0
  
しかし、やはりそこで思い留まる。

川;゚ -゚)(誘いの可能性も考えられる、か……)

彼女はウェポンを理解している。
無論、クーがその戦法を使用出来ることも。

甘い誘惑だ。

こうすれば勝てるかもしれない、という希望をチラつかせた罠。
可能性は高いが――

从'ー'从「それそれー!」

飛来音さえ聞こえぬ速度で光弾が来る。
厄介なことに対策が無く、もはや攻撃の気配のみで予測しているという状況だ。

川;゚ -゚)「!?」

震動と激音が同時に響く。
クーが盾代わりにしていた薄いコンクリートが、容易く破砕された。



  
229: ◆BYUt189CYA :2007/03/06(火) 21:48:02.12 ID:S6V5Fdvb0
  
( ・∀・)「ふむ……」

二ヶ所の戦いから少し離れた位置。
モララーとジェイルは、戦闘そっちのけで歩き回っていた。

今、目の前に風の壁がある。
脱出しようにも、触れれば身体がバラバラになるほどの強さ。

触れぬよう壁を伝って歩いていくと

爪゚ -゚)「発見しました」

ジェイルの報告の声。
視線の先に、紫色の光を発する石が一つ置かれていた。

爪゚ -゚)「精査終了……これを含めて周囲に八つ展開されております」

( ・∀・)「どうやらこの石が、超常現象を巻き起こしているみたいだね」



  
231: ◆BYUt189CYA :2007/03/06(火) 21:49:47.70 ID:S6V5Fdvb0
  
とりあえず触れようとする。
その手を、ジェイルが掴んで止めた。

爪゚ -゚)「私に御任せを」

反対側の手を伸ばし、石へと近づけた直後。

耳障りな音が響く。

見れば、ジェイルの右肘から先が捻じ曲がっていた。
もはや原型を留めない腕を見つめ

( ・∀・)「……ふむ」

爪゚ -゚)「強制的な力を感じました。
    取得データは記録しておきますが、データベース上にこのような事象は登録されておりません」

( ・∀・)「まぁ、超常現象を引き起こすくらいだからね。
     ということは、この石には手出し出来ぬというわけか」

視線を逸らし、背後を見る。
その先には戦場があった。

光が飛び交い、金属音が響き、誰かの悲鳴も聞こえる。

爪゚ -゚)「現状から判断するに、やはりあの女性を屈服させるしかないようです」

( ・∀・)「まったく面倒なことだよ戦いなど……やれやれだね」

ジェイルは腰から刀剣、モララーはロステックを肩に担いながら戦場へと歩き出した。



  
233: ◆BYUt189CYA :2007/03/06(火) 21:52:05.71 ID:S6V5Fdvb0
  
突如として発生した竜巻と光。
少し離れた樹木の天辺。
そこに、その異常を外側から見つめる影が二つあった。

メ(リ゚ ー゚ノリ「なぁ、どっちが勝つと思うよ、姉貴?」

先日、渡辺の下に現れた赤髪の男と

ル(i|゚ ー゚ノリ「何を言っている、兄上。
      渡辺側が勝たねば意味がないだろう? そのために私達は動いていたはずだ」

似たような雰囲気を持つ青髪の女だ。

メ(リ゚ ー゚ノリ「でもよぉ、向こう側に情報を提供した奴って――」

ル(i|゚ ー゚ノリ「あぁ、十中八九『秩序守護者』だ。
      どうしても自分達のルールが大切らしい」

メ(リ゚ ー゚ノリ「それ言ったら、俺達も似たようなもんじゃないか」

ル(i|゚ ー゚ノリ「ふっ……まぁな」

二人で笑みを浮かべる。
その表情はまったくの同一だった。

メ(リ゚ ー゚ノリ「さて、これが終わったら忙しくなるぜ。
      まず『王』に報告するだろ。
      んで、喰う……あれ? 何だ、意外とやること少ねぇや」



  
235: ◆BYUt189CYA :2007/03/06(火) 21:54:24.20 ID:S6V5Fdvb0
  
ル(i|゚ ー゚ノリ「ただ喰うのも面白くないな。
      滅多にないこの機会……少し趣向を凝らして楽しんでも良いかもしれない」

メ(リ゚ ー゚ノリ「どうすんだ?」

ル(i|゚ ー゚ノリ「そうだな、真面目に戦争でもするか?」

メ(リ゚ ー゚ノリ「戦争ぉ? うっわ、つまんねぇ」

ル(i|゚ ー゚ノリ「確かに普通に攻め込めば、この世界など三日三晩で終わるだろう。
      だから、私は少し時間を与えたいと思っているのだ」

少しだけ目を輝かせながら言う。

ル(i|゚ ー゚ノリ「今まではすぐに喰い始めていたが……今回は奴らが熟すまで待ってみよう、とな。
      現にあの世界では、我々の油断で時間を与えてしまったばかりに
      まだ抵抗する人間がいるだろう? 少数だがな」

メ(リ゚ ー゚ノリ「おぉ、成程成程。 歯応えが出るかもしれねぇってこったな?
      もしかしたら、あの『軍神』みてぇな奴が現われるかもしれねぇな。
      そうなったら言うこと無しだ」

ル(i|゚ ー゚ノリ「まぁ、まだ先の話か……今は結果を待とう」

青髪の女が懐中時計を取り出す。

ル(i|゚ ー゚ノリ「残り五分、か。
      面白いものだ……あと三百秒で世界の行く末が決まるというのだから」



  
237: ◆BYUt189CYA :2007/03/06(火) 21:57:02.86 ID:S6V5Fdvb0
  
(;,,゚Д゚)「くそッ……!」

襲い来る打撃。
それが、光の床によって足の動かぬギコに迫った。

骨が軋む音と衝撃が脳を揺さぶる。
口の端から血を流しながら耐えるが、苛立ちは積もるばかりだ。
それはすなわち焦りを生み出し、防御の穴が増えることを意味する。

そこを狙い済ましたように、貞子の拳が唸る。

(;,,゚Д゚)「つぁッ!」

打撃に耐え、右手に持ったグラニードを横殴りに叩き込んだ。
しかし、足が動かせないために思った力が出ない。
軽くあしらわれた後に、強烈なカウンターがギコの腹部に直撃する。

(;*゚ー゚)「ギコ君……!」

その様子を見ているのは空中に浮かぶしぃ。
羽片を放てば傍らにいるギコにまで当たる可能性があるために、なかなか攻撃出来ずにいた。

从;゚∀从「うわぁ動けませんー!!」

光る地面の上で、尻餅をつきつつM字開脚をしているのはハインリッヒ。
隣では、やはり足を動かせないブーンが棒立ちしている。

貞子の発した符の効果は、ゆっくりとだが広がるばかり。
このままでは殴られ放題だ。



  
239: ◆BYUt189CYA :2007/03/06(火) 21:58:51.27 ID:S6V5Fdvb0
  
と、そこで疾駆の音が聞こえる。

( ^ω^)「あ、あれは……」

爪゚ -゚)「目標確認」

ジェイルが轟音と共に高速で走ってくるのが見えた。
光る地面をものともせず、一直線に貞子目掛けて突進。

川 -川「!!」

爪゚ -゚)「覚悟」

激音。
ジェイルの刀剣が、防御した貞子の掌を貫く。

力任せに引き抜きながら回転。
そのままの勢いで殴りつけるように刃を――

川 -川「ッ!」

しかしそれは阻止される。
一瞬で腰から引き抜いた金属製トンファーが、刀剣の刃を粉々に砕いたのだ。



  
243: ◆BYUt189CYA :2007/03/06(火) 22:00:38.19 ID:S6V5Fdvb0
  
爪゚ -゚)「この光を発する地面……どうやら束縛対象は『生物』のようですね」

折れ砕けた刀剣を投げ捨て、今度はハンドガンを取り出す。
そのまま構えながら

爪゚ -゚)「つまり貴女も、私と同じ機械人形だと判断します」

川 -川「訂正を求めます」

トンファーを振り回しながら

川 -川「『同じ』ではありません。
     私の方が圧倒的に上だと、そう判断してもらいたいものです」

二人は合図も無しに同時に激突。
ジェイルのハンドガンが至近距離で火を噴き、しかし目標を穿たない。
むしろそれを囮として蹴りを走らせる。

対する貞子の反撃は鋭いものだった。
両腕を背後へ引き抜き、その反動を利用しての回転攻撃。
軽いステップを踏みながら、打ち抜くようにジェイルの破壊を求める。



  
245: ◆BYUt189CYA :2007/03/06(火) 22:02:39.65 ID:S6V5Fdvb0
  
金属がぶつかり、銃声が響き、踏み込みの動作が踊る。
まるで予め決められていた演武を見ているかのような光景。

目の前を銃弾が掠めていくというのに、貞子にはまったく動揺が見られない。
どちらかといえば押されているジェイルも、同じく焦った様子は感じられない。
しかし、それだけに一瞬の隙が多大な効果を生み出す。

リロードだ。

ハンドガンの弾には当然だが限りがある。
全ての銃弾を撃ち尽くせば、新たなマガジンを叩き込まねばならない。
そこを貞子は狙った。

最後の弾が撃たれたのを確認した彼女は、相手がリロードの動作に入る直前に『溜め』を作る。
つまり動作に入ったと同時に全力の攻撃を仕掛けるつもりだ。

(;^ω^)「!!」

ブーンは感じ取る。
攻撃の直前に出来る独特な『沈黙』を。

如何なる攻撃であろうと、力を溜める時間は絶対に必要だ。
求める力が強ければ強いほど、その沈黙ははっきりと浮かび上がる。

距離が離れている彼にも感じ取れるほどの違和感は、それだけで圧倒的な危険を臭わせた。

それを一番近い距離で感じ取っているはずのジェイル。
しかし、まるでそれに気付いていないかのようにリロードの動作に入った。



  
246: ◆BYUt189CYA :2007/03/06(火) 22:04:58.00 ID:S6V5Fdvb0
  
ジェイルの指がリリースボタンを押すと同時に、貞子の両腕が高速で動き出す。

マガジンが落下すると同時に、貞子が右足を踏み出す。

右手が無いため、腰に接続したマガジンへ銃を向かわせるが
その間に貞子は目の前まで接近していた。

絶対に間に合わない。
ブーンが思わず目を逸らしかけた瞬間。

川 -川「!?」

直撃すると思われていたトンファーが止められた。
しかも両方だ。

何事かと目を丸くする視線の先。
貞子の両腕は、ジェイルの両腕によって掴まれ阻まれていた。

川 -川「隠し腕――!」

爪゚ -゚)「最近では年末の宴会にてジャグリング披露の際に使用しました」



  
253: ◆BYUt189CYA :2007/03/06(火) 22:07:21.50 ID:S6V5Fdvb0
  
ジェイルの両肩から生えた隠し腕が、貞子の手首をホールドしている。
驚く暇さえ与えずに動作。

その掴んだ手首をそのままに、ジェイルの身体が横にロール。
まるで回転人形のように貞子の周囲を半周し

川 -川「ッ!?」

遠心力を利用した裏拳を放つ。
衝撃波さえ見えそうな威力のそれは、確実に彼女の後頭部を打ち抜いた。
一瞬遅れて硬質な音が響き渡る。

膝を軽く折りながら姿勢を崩す貞子。
直後、呼応するように地面の光が消えた。

( ,,゚Д゚)「これは――……」

( ^ω^)「おっ! チャンスだお!

ギコがその場に膝をつく。
どうやら貞子からのダメージが予想以上に積もっていたらしい。
すぐにしぃが介抱に向かった。



  
256: ◆BYUt189CYA :2007/03/06(火) 22:08:55.62 ID:S6V5Fdvb0
  
足が自由になったブーンは、ジェイルの援護に走る。
しかしそれよりも早く彼女の顎が、突如として真下から穿たれた。

前屈みになった貞子。
その右足の踵が、まるでその傾いた身体と対称となるように叩き上げられたのだ。

爪゚ -゚)「――ッ」

突然の衝撃に思わずよろめくジェイル。
その華奢な首に、貞子の腕が伸びた。

川 -川「甘いと言わざるを得ません。
     私があの程度の衝撃で、機能不全を起こすと思いましたか?」

爪゚ -゚)「そう思わせる動作性能でしたが」

川 -川「認識・判断能力の不備でしょう。
     修理及びバージョンアップをオススメします」

ですが、と付け加え

川 -川「もはや無駄でしょうが」

貞子の指が擬似皮膚を突き破り、内部のケーブル類を掴んだ。
そのまま無理矢理に引き千切る。
ジェイルの顔が異常な角度に曲がり、その白い首からオイルや部品を撒き散らした。



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