( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

  
53: ◆BYUt189CYA :2007/03/09(金) 21:51:23.90 ID:r+btzLdX0
  
まだ納得出来ていない様子。
クーがその髪を丁寧に撫でながら

川 ゚ -゚)「今の状況で何を言っても仕方ないだろう。
     気持ちは解るが、気分転換でもしてストレスを溜めないようにしなくてはな。
     そうだ……今日は帰りに本屋にでも寄るか?」

その言葉を耳に入れたハインリッヒは、パァッと目を輝かせた。

从*゚∀从「本当ですか!?
      『ぶっかけ三人組』の最新刊が、この前発売してたんですよ!」

( ^ω^)「僕も週刊ジャンポウが買いたかったところだお」

川 ゚ -゚)「よし、なら決まりだな。
     丁度内藤も食べ終わったことだし、そろそろ行こう」

立ち上がり、三人で店を出る。

帰り道を歩く足取りは軽かった。
クーの前で、ハインリッヒとブーンが楽しそうに話している。
それを見る彼女の顔には、幸せそうな微笑が張り付いていた。



  
56: ◆BYUt189CYA :2007/03/09(金) 21:53:35.61 ID:r+btzLdX0
  
('A`)「…………」

午前十時。
ドクオは、道路の真ん中で立ち竦んでいた。


時間は数分前に遡る。
朝から、かれこれ二時間ほど走っていたドクオは疲労困憊で帰ってきた。
高校を卒業して一人暮らしを始めていた彼は、昼食の内容を考えながら走っていたのだが――

自分の住むアパートが見えた時。

('A`)「……え?」

その入り口に最も近い道路に、何かが横たわっているのが見えた。

(`-д-')「――――」

どう見ても人です、本当にありがとうございました。



  
58: ◆BYUt189CYA :2007/03/09(金) 21:55:07.09 ID:r+btzLdX0
  
('A`)「…………」

(`-д-')「――――」

(  )彡クルッ 「…………」

(`-д-')「――――」

('A`)彡クルッ 「…………」

(`-д-')「――――」

何度見ても現実は変わらない。
やはりドクオの前方には、どう見ても人が倒れている。

とりあえず状況分析を開始。

うつ伏せで地に伏せており、身体を見るに男だと解る。
その服装は

(;'A`)「……野戦服?」

灰の色をしており、それは素人目にも野戦服に見えた。
その腰には妙な形をした金属製の何かが付属されている。



  
60: ◆BYUt189CYA :2007/03/09(金) 21:56:43.77 ID:r+btzLdX0
  
恐々と近付き、そもそも命が在るのかを確認。
背中が軽く上下していることから、どうやら生きているらしい。

(;'A`)「……どうしよう」

周囲を見るが、こんな時に限って誰もいない。
さて、どうしたものかと思った時だ。

(`・д・')「!!」

突如、男が跳ね上がるように身を起こした。

(;'A`)「うぉ!?」

(`・д・')「ここは……何処だ……」

フラリと身を揺らし、周囲を見る。
その目には明らかな疲労が見て取れた。

(;'A`)「あ、あの……大丈夫ッスか?」

(`・д・')「君は……?」

(;'A`)「え? えっと、ドクオって名前ッスけど」

(`・д・')「名前を聞いてるんじゃない。
     何処の人間だと聞いているんだ……まさか連合軍か?」

本当に不思議そうな表情で、わけの解らないことを問う男。



  
64: ◆BYUt189CYA :2007/03/09(金) 21:58:26.41 ID:r+btzLdX0
  
(;'A`)「ちょ、ちょっと待って下さい!
    連合軍とか言われても、俺は一般人ッスよ!」

(`・д・')「一般人?
     俺以外にも『リフレクション』を出た奴がいるのか……?」

男の手が腰の金属片に伸びる。
危険を察知するも、身体が動く前に男は行動を開始していた。
汗を流すドクオの首筋に、冷たい感触が当てられる。

(`・д・')「答えろ、どうやって出た?
     亀裂を見つけたとしても、一般人が『GIF』を扱えるわけがない……!」

(;'A`)「ちょ、待っ! 何が何だか解らないッスよ!!」

(`-д・')「とぼけるな、知らないで済むと――」

男の眼球が揺れる。
そのまま膝が折れ、ドクオに寄りかかるように身を崩した。

(;'A`)「え? え?」

慌てて抱きとめる。
揺り動かすも反応はなく、どうやら気絶したようだった。



  
70: ◆BYUt189CYA :2007/03/09(金) 21:59:47.03 ID:r+btzLdX0
  
(;'A`)「んだよ、朝から……どうしろってんだ……」

救急車か警察を呼ぶべきか。
思い、男の身体を支えながら携帯電話を取り出そうとした時。

グゥ、という間抜けな音が響いた。

(;'A`)「そういや、朝から飯食ってなかった」

グゥ、と、またもや間抜けな音が響く。
音源はどう見ても、目の前で気絶している男の腹からだった。

(;'A`)「…………」

時が止まったかのようにドクオの動きが無くなる。
しばらくして、彼は『やれやれ』と首を軽く振った。

('A`)「ったく、しゃーねぇなぁ……」

男の身体を軽く引き摺りながら歩き出す。

向かう先は病院や警察、ゴミ捨て場などではなく、目の前の古いアパートだった。



  
71: ◆BYUt189CYA :2007/03/09(金) 22:01:38.95 ID:r+btzLdX0
  
暗闇がある。
光源は、高い天井に幾つかがあるだけ。
そこは巨大な倉庫のような空間だった。
大きめのコンテナが無造作に置かれ、廃材や木材が地面に横たわっている。

冷えた空気が充満し、否が応にも背筋を振るわせる。
そこはまるで、腹を空かせた猛獣がいる檻の中のようだった。

コツ、とヒールがコンクリートの地面を叩く音。
それは丁度十歩目で音を潜める。

从'ー'从「…………」

渡辺だ。
少しの間、沈黙を放つ。
おもむろに右手を軽く掲げた。

それを合図としたかのように、照明から発せられる光が強くなる。
今まで闇で隠していた部分を強制的に照らした。



  
74: ◆BYUt189CYA :2007/03/09(金) 22:03:08.73 ID:r+btzLdX0
  
部屋の大部分が視認出来るようになったことを確認した渡辺は

从'ー'从「久しぶり、かな?」

と、誰に話しかけるのでもなく声を発する。
その先には、複数の人影があった。

<ヽ`∀´>「……とんでもないことをしてくれたニダ」

軍服を着た屈強な男。

[゚д゚]「落ち着け、ニダ坊。
    まずは嬢ちゃんの話を聞こうじゃねぇか」

頭に鉢巻を巻き、煙草をくわえた中年の男。

*(‘‘)*「渡辺ちゃん、とうとうやっちゃったんですか? か?」

ゴスロリチックな衣装を着た、小柄な女性。

服装・雰囲気・年齢がバラバラな三人が、射抜くように渡辺へ視線を向ける。



  
77: ◆BYUt189CYA :2007/03/09(金) 22:05:05.23 ID:r+btzLdX0
  
从'ー'从「まぁまぁ、とりあえずは再会の挨拶といきましょう。
      十年振りだね、皆」

<ヽ`∀´>「こっちからしてみれば五年ニダ」

[゚д゚]「皆って、まだ全員は揃ってねぇぞ」

*(‘‘)*「再会するたぁ、思ってなかったですよ」

口々に文句を垂れる。
その否定的な態度を、笑顔で受け止めながら

从'ー'从「あ、そっちはまだ五年なのかぁ……懐かしいね。
      ちなみに全員が揃うまでは、もう少し掛かりそうだから先着組に挨拶という事で。
      ヘリカルちゃんは残念だったね」

順番に軽く流す。

[゚д゚]「んじゃ、挨拶はそこくらいで終わって、次は俺達の質問タイムな。
    とりあえず、お嬢ちゃんがこっちの世界にいた間のことを産業くらいで頼むわ」

从'ー'从「十年掛けて準備
      世界交差成功」

<ヽ`∀´>「二行……」



  
80: ◆BYUt189CYA :2007/03/09(金) 22:06:52.12 ID:r+btzLdX0
  
从'ー'从「ま、それだけ準備に集中していたってことで。
      こっちは二人だけの行動だったし……そこらは許してね、ニダー雑戦副長さん」

<ヽ`∀´>「五年も経って生きていれば、地位だって変わるニダ。
      今のウリは陸戦軍長ニダ」

从'ー'从「へぇー、昇進したんだねー」

クスクスと笑う渡辺を、中年の男が半目で睨んで溜息。

[゚д゚]「しかしまぁ、諦めてなかったとはな……気丈なお嬢ちゃんだ。
    まさか本当に世界交差を実現させるとは思わなかったぞ」

从'ー'从「何せ私は正しいからね。
      そういう正しきロジックは好きでしょ、デフラグさん」



  
83: ◆BYUt189CYA :2007/03/09(金) 22:08:36.11 ID:r+btzLdX0
  
<ヽ`∀´>「アンタが護国院に提出した『秩序崩壊論』……確かに理論上は正しかったニダ。
      臭いモノに蓋をしてきたウリ達や他世界とは違うニダ」

*(‘‘)*「でもでも、だからこそ却下されたんですよねー?
     大前提となっていた秩序の崩壊が根元にあったからこそ」

从'ー'从「そういうこと……だから、この世界で行おうって魂胆なのさ」

肩を竦めて首を振る。
そんな様子に対し、ニダーが手を挙げ

<ヽ`∀´>「ちょっと待つニダ。
      世界交差を成功させたってことは、もうこの世界の秩序は無いニダ?」

从'ー'从「まだ残してるよ。 いわば第一段階だね、今は。
      よっぽど下手しない限り、私達が死ぬことはありえない。
      もちろん最終段階まで移行すれば、その先はどうなるか解んないけどね
      とりあえず、詳しい説明は後でするとして――」

軽く両手を広げる。
そのままの姿勢で笑顔を生み

从'ー'从「さてさて、貴方達はどうしますか?」

問うた。
それに対して、三人は沈黙を発する。
ニダーは俯き、デフラグは目を瞑り、ヘリカルは唇に人差し指を当てて。
それぞれ思考を始めたようだ。



  
85: ◆BYUt189CYA :2007/03/09(金) 22:10:09.31 ID:r+btzLdX0
  
まず声を発したのは

*(‘‘)*「ま、私は前々から渡辺ちゃんの理論に賛成だったですし
     正直言って、護国院のやり方じゃ時間が掛かりすぎると思ってましたです。
     というわけで……私は渡辺ちゃんの味方をするです!」

从'ー'从「ありがとう、ヘリカルちゃん」

続いて

[゚д゚]「アンタがここまで強情だとは思ってなかったぞ。
    感服したってのもあるが……とりあえず俺は機械をイジれればそれで良い。
    戦争には興味ねぇが、手を加えた機械が役立つんなら手伝うぜ」

从'ー'从「ありがとう、デフラグさん。
      貴方の技術力は是非とも欲しいと思ってたんだ」



  
89: ◆BYUt189CYA :2007/03/09(金) 22:11:47.02 ID:r+btzLdX0
  
そして

<ヽ`∀´>「……ウリは『秩序崩壊論』に反対だったニダ。
      理論上では正しいと思っていたが、他世界まで巻き込むのは何か違う気がしていたニダ」

从'ー'从「…………」

<ヽ`∀´>「しかし、もう世界交差は始まってしまったニダ。
      こうなったら個人的な感情は捨てて、最優先目的である天敵排除を目指すニダよ」

从'ー'从「協力してくれるってことで良いかな?」

その言葉に、ニダーが頷く。
そして言葉を放った。

<ヽ`∀´>「ここまで状況が進んでるのなら、文句を言っても仕方ないニダ。
      本来の任務の形が変わっただけだと判断するニダ」

从'ー'从「流石、ただの軍人さんじゃないだけあるね。
      その調子だと『第二の軍神』って呼ばれても良いんじゃない?」

<ヽ`∀´>「冗談が過ぎるニダよ、渡辺元科研長。
      そんな称号をもらったとしても、あの女と比べられて永遠に恥を掻くだけニダ」

と、軽く苦笑する。



  
93: ◆BYUt189CYA :2007/03/09(金) 22:13:28.16 ID:r+btzLdX0
  
その横で、吸い終えた煙草を投げ捨てたデフラグが声を上げた。

[゚д゚]「とりあえずメンバーはどうすんだ?
    まさか俺達と、残りの奴らだけで仕掛ける気なのか?」

*(‘‘)*「そりゃ自殺行為ですよ。
     『軍神』がいて、GDFがあって、英雄がいて、EMAがあったとしても
     駒となる兵隊がいなくちゃ話にならないです」

从'ー'从「うん、そこは私も流石に承知してる。
      だから第二段階移行時に引き込もうと思ってるんだ」

<ヽ`∀´>「では、当面の目的は?」

从'ー'从「個人個人の戦力増強。
      同志の召集と、強者の仲間への勧誘。
      各世界の技術吸収、転用、応用……くらいかな?」

技術、という言葉を聞いたデフラグが笑みを浮かべる。

[゚д゚]「異世界の技術か、面白そうじゃねぇか。
    いい加減GDFばっかで飽きてたんだよな……出来ればEMAってのをイジってみてぇ」

嬉しそうに言う彼は、懐から新たな煙草を取り出した。
おそらくは自分の技術に絶対の自信を持っているのだろう。
そう思わせる笑みだった。



  
97: ◆BYUt189CYA :2007/03/09(金) 22:14:53.51 ID:r+btzLdX0
  
从'ー'从「それはちょっと待って欲しいかな。
      接続した世界はまだ一つだけだし」

*(‘‘)*「一つだけ……ってことは、私達の世界だけなんですか?」

从'ー'从「一気に全部繋いだら混乱が起きるでしょ?
      それに人数が少ない今の状態で、効率よく増強するなら一つずつが良いの」

<ヽ`∀´>「考えてるニダね」

从'ー'从「私達の世界を最初にしたのは、その世界を解っているから。
      だから回収すべきモノも解ってるだろうし
      この世界に馴染むための行動として見ても、難易度的に考えて低いでしょ?
      とは言え、私は五年間いなかったから
      優先して回収すべきモノを教えてもらいたいわけだけど――」



  
99: ◆BYUt189CYA :2007/03/09(金) 22:16:25.00 ID:r+btzLdX0
  
都市ニューソク。
その郊外に位置する、小さなスラム街に近い地域。
荒くれ者や裏の人間が集い、秩序が秩序として成り立っていない場所だ。

その裏路地の暗い広場。

一陣の轟風と光が発せられた。
円状に展開したそれは、一時的に膨らんだ後に収束して消える。

直後、その光が消えた場所に一人の人間が立っていた。



  
101: ◆BYUt189CYA :2007/03/09(金) 22:17:46.00 ID:r+btzLdX0
  
直後、その光が消えた場所に一人の人間が立っていた。

(#゚;;-゚)「…………」

顔に複数の傷跡を持つ女性。
痛々しいほどの数を誇り、未だに治りきっていないものもある。

目に輝きは無く、ただただ景色を目に入れているのみ。

周囲をゆっくりと見渡し、次に地面を見る。
そのまま首を上げて空を見上げ、鼻から息を吸って匂いを嗅ぎ

(#゚;;-゚)「……あぁ」

納得したかのような吐息の後、言った。

(#゚;;-゚)「何や……世界を越えてしもうただけか」

身を翻し、何処へ行くでもなく歩き出し

(#゚;;-゚)「まぁええわ、ウチがやることは変わらん……」

歯噛みの音が、ギリ、と鳴り

(#゚;;-゚)「――待っとれよ、異獣共が」



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