( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

  
4:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 17:30:26.04 ID:y0CRY5Wo0
  
第七話 『軍神と呼ばれた女』

都市ニューソクから少し離れた山中。
坂はほとんど無い。
散漫的に樹木が生え、視界を狭くしている。

そんなほとんど人の手が入っていないであろう森の中に、一つの人影。

(#゚;;-゚)「…………」

顔に幾つもの傷を持つ女が歩いていた。
その瞳には輝きなどなく、ただただ黒い色が支配している。

身は、薄汚い茶色のマントによって包まれていた。

都市ニューソクの郊外に現れた彼女であったが
人ごみを極端に嫌うため、こんな場所へ自らの意思で来ている。
自然の息吹を身に受けながら、淡々と何処へ行くでもなく歩き続けていた。

(#゚;;-゚)(初めて見るなぁ……こんな自然は)

彼女のいた世界は、数百年前から荒廃していた。
生まれてからまともに樹木など見たことがなかったし、こんな澄んだ空気も嗅いだことがなかった。



  
5:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 17:31:54.94 ID:y0CRY5Wo0
  
ふと足を止め、目を瞑る。
木々のざわめきや、鳥の鳴き声が耳に入った。

どれもこれも初めての経験。

こんな柔らかい土も初めて踏み、周囲の緑の色の量など当初は驚いたものだ。
空気の中には充分な水分も含まれており、呼吸は快適である。

(#゚;;-゚)「楽園言うても過言じゃない、か……」

己がいた世界と雲泥の差を感じる。
もし、自分がこんな世界に生まれていれば――

そこまで考え、甘い思考を振り払った。

(#゚;;-゚)(何考えてんのや。
    こんな甘い誘惑で、ウチの目的……いや、役割を忘れたらあかん)

軽く首を振って苦笑。
一人ぼっちだというのに、何を考えているのか。

(#゚;;-゚)(何にしても、まずはウチ以外の人間を見つけな……)

自分一人だけがこの世界に飛ばされたとは考え難い。
そして、その考えに至るだけの理由を五年前に知っていた。



  
6:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 17:33:20.78 ID:y0CRY5Wo0
  
(#゚;;-゚)(『秩序崩壊論』、か。
    確か名前は……渡辺、言うたかな)

護国院のトップである四部門の長。
その一つである科部長だった若い女性、それが渡辺だった。

若いながらに知識・発想が冴え渡っており
連合軍入隊から一年で科部長にまで登りつめたと聞いていた。

もっとも、直接の面識はない。
五年前の事件さえ無ければ、渡辺のことを憶えることさえ無かっただろう。

(#゚;;-゚)(まぁ、事件言うより……下らないプライドが起こした隠蔽――)

音が響いた。
風を切り裂く音。
ブースターが火を噴き、その勢いで飛ぶ音。

段々と近くなり、でぃが軽くその方角を見上げた時。

機械の塊といえるそれが、彼女の視線の先に降り立とうとしていた。



  
7:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 17:35:02.56 ID:y0CRY5Wo0
  
(#゚;;-゚)「これは……」

轟音を響かせながら着地。
地面が揺れ、木々が暴れ、枯葉が舞い上がる。

それは人型の機械だった。

全長七メートルほどで、銀と黒の色を基調とした鋭角的な機体。
メインカメラとしての『眼』が頭部で不気味に赤光を発している。

各部のモーターが低音を響かせ、足腰の関節を動かした。
軽く重心を落とすような姿勢はどう見ても突撃体勢。

(#゚;;-゚)「『鉄機人』、アンタもこっち来とったんかい。
    護国院の地下でパートナー待っとったん違うんか?」

答える声はない。

(#゚;;-゚)「ま、当然か……アンタは機械やからな」

声は無いが、答える動作はあった。

疾走だ。
その巨躯は、一歩で数メートルの距離を無にし、更に一歩で同じ距離を消す。
動作は機械とは思えぬほどの機敏さ。
二十メートルはあったはずの彼我距離が、たった四歩で存在を無いものとされた。



  
11:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 17:36:23.00 ID:y0CRY5Wo0
  
さて、重量が無い者に対して重量がある者が発するべき、最も効率的な攻撃は何だろうか。

答えは簡単だ。
その重量を全力でぶつければ良い。

『鉄機人』と呼ばれた機体も同じことをした。
足元にいるでぃを、その勢いと体重で踏み潰すかのような動作。

彼女の真上から影が差し、それは一瞬で濃さを増す。
鋼鉄の脚部は地面を打ち抜くかのような踏み付けを繰り出した。

彼女の数百倍もの重量が降りかかる。

激音と共に地が揺れ、空間が響いた。



  
12:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 17:37:58.79 ID:y0CRY5Wo0
  
渡辺達が潜んでいる、いわばアジト。
広域な空間を持っており、未だ使用されていない部屋も多い。

その一室。
武器保管庫と書かれた薄暗い部屋の中。
そこにニダーが、やはり軍服を着込んで立っていた。

<ヽ`∀´>「……全然駄目ニダ」

周囲の銃器・武器を見るが、ニダーの納得出来る量・質ではないらしい。
隣にいる渡辺が苦笑しつつ

从'ー'从「この世界の武器は、ちょっと素材効率が悪いからね。
      あまりお金を掛けずに集めてみたんだけど」

<ヽ`∀´>「懸命ニダ。
      やっぱり武器としてはEWが一番ニダね」

从'ー'从「EWかぁ……でも魔粒子を選別する職人さんが必要だよ?」

<ヽ`∀´>「それはデフラグに任せても良いと思うニダ。
      あのオッサンなら、技術さえ教えればモノにするはずニダ」

从'ー'从「信用してるんだね」



  
13:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 17:39:31.83 ID:y0CRY5Wo0
  
彼女が敢えて『信用』という言葉を使った理由を、ニダーは理解していた。
つまり、自分達はそういう関係なのだ、と。

『信頼』ではなく『信用』。

信じて用いる――それが『信用』。
互いが互いを、違和感なく利用するための便利な言葉だ。

<ヽ`∀´>「そういえば、軍神もこっちに来てるニカ?」

从'ー'从「もちろん。
      彼女は単体戦力で見れば、間違いなく最強だからね。
      私達と目的は一緒のようなものだから、きっと仲間になってくれると思うけど……」

<ヽ`∀´>「彼女のことだから、勝手に突撃して死ぬ事だって考えられるニダよ」

从'ー'从「はは、そこまで馬鹿じゃないでしょ。
      それにヘリカルちゃんから聞いた話だと、死ねない理由が出来たんだっけ?」

<ヽ`∀´>「あぁ、二年くらい前に男が出来たって噂になってたニダ」

从'ー'从「よっぽど屈強な人なんだろうね。
      何せあの人を相手にするくらいなんだから」

<ヽ`∀´>「それがそうでも無いニダよ。
      あの『リフレクション』から出てきた奴らしいニダ」

从'ー'从「リフレクションから……?」



  
14:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 17:41:03.78 ID:y0CRY5Wo0
  
<ヽ`∀´>「随分と無愛想な男で、ウリはあまり好きじゃなかったニダ。
      でもGDFの腕ならエース級……軍神もそこに惚れたらしいニダよ」

从'ー'从「へぇ……」

笑みを深くする渡辺。
祝福や驚愕の類というよりも、新しい玩具を見つけたかのような笑顔だ。
その微妙な表情を見ながらも、ニダーは平静を崩さずに語る。

<ヽ`∀´>「とりあえず最優先回収目標はGDFと軍神ニダ。
      前者はどうにでもなるが、軍神は生きて移動もしているから早めの接触を勧めるニダ」

从'ー'从「うん、今デフラグさんが探して――」

[゚д゚]「呼んだか?」

从'ー'从「噂をすれば何とやら、ってね」

<ヽ`∀´>「?」

从'ー'从「噂をしていると、その時に限って本人がやってくる。
      そんな感じの諺だよ」

[゚д゚]「はっ、んなもん確率の話だろうが……下らねぇ」



  
15:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 17:42:39.75 ID:y0CRY5Wo0
  
携帯灰皿に、煙草の吸殻を突っ込む。
ポケットから新たな煙草を取り出しながら

[゚д゚]「軍神さんの位置、判明したぜ」

从'ー'从「流石だね、ありがとう」

[゚д゚]「礼を言うのはこっちだよ、嬢ちゃん。
    よくもまぁ、この都市中にネットワーク張ったもんだ。
    おかげで手に取るように状況が掴める」

从'ー'从「時間だけはあったしね。
      貞子の協力もあってか、駄目元でやったのが成功してラッキーラッキー」

<ヽ`∀´>「で、彼女は何処ニダ?」

[゚д゚]「都市から少し離れた山中だ。
    そこに、この世界じゃ在り得ない反応がある。
    少し気になるのが、そのすぐ側に大型のルイル反応があるってことなんだが……」



  
17:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 17:44:22.78 ID:y0CRY5Wo0
  
その言葉に、二人は眉をひそめる。

<ヽ`∀´>「ルイル反応……EMAかGDFニダ?」

从'ー'从「ありえないよ。
      EMAがこの世界にあるわけないし、GDFが勝手に動くなんて考えられない」

[゚д゚]「お前ら、自分の世界のことも解ってねぇのか?
    クルトの野郎との約束を忘れたとは言わせねぇぞ」

从'ー'从「鉄機人……?」

[゚д゚]「俺達の世界に在る自動稼動の機動兵器なんていやぁ、それしかねぇだろ。
    護国院に封印されてんのが、世界交差に紛れて漂着してしまったんだろうよ。
    しかも運が悪いことに起動してやがる……。
    パートナーも異獣もいない今の状況じゃあ、中途半端に暴走状態だぜ」

从'ー'从「そんなのが付近にいるってことは――」

<ヽ`∀´>「……まずくないニダ?
      あの女のことだから破壊してしまいそうニダよ」

从'ー'从「えぇ〜、それは困るなぁ」

[゚д゚]「だろうと思って、一応ヘリカルを向かわせておいた。
    間に合うか解んねぇが……ここは居もしない神に祈るしかねぇよ」



  
18:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 17:46:22.93 ID:y0CRY5Wo0
  
彼女の名は『でぃ』と言った。
しかし、その可愛らしい響きと表記が気に入らず、他の者には『D』と呼ばせていた。

なかなかその名で呼ばれず、どうでも良くなったのはいつからだっただろうか。

彼女は、自身が異世界へ飛ばされていることを理解している。
そんな状況下にありながらも、混乱などせずにいられるのには幾つかの理由があった。

一つは、世界が異なろうと己の目的は変わらないから。
一つは、心に決めた愛する人がいるから。

そして、最後の一つは彼女の異名にあった。

(#゚;;-゚)「……下らんなぁ」

その声に、鉄機人が少しだけうろたえる様な動作を見せる。
動きを足裏の下で感じ取りながら

(#゚;;-゚)「ウチの渾名を忘れたとは、言わせんよ」

そう、彼女のもう一つの名とは

(#゚;;-゚)「『軍神』……人やなくて『神』言われる所以、知りたい?」

彼女の身は潰されていなかった。
その華奢な右腕を掲げ、それが土が付着している足裏を支えている。

数トンの重量が掛かっているにも関わらず、だ。
腕に震えは無く、その表情にも余裕しか見受けられない。



  
20:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 17:48:18.75 ID:y0CRY5Wo0
  
(#゚;;-゚)「……理由は解る。
    ターゲットである異獣がいない今、最も強い力を放つのはウチやもんな。
    闘争本能の塊言えるアンタがウチ襲うのも納得や」

でもな、と付け加え

(#゚;;-゚)「喧嘩売る相手くらい、ちゃんと見極めなあかんよ」

言葉と共に動作。
軽く鉄機人の足を押し返し、出来た隙に高速で移動。
土煙を巻き上げながら巨人の背後を取る。

しかし鉄機人の反応も早かった。
力任せに腰部を回し、その勢いのままに鋼鉄の拳を突き出す。

激音。

圧倒的な重量差があるにも関わらず、その拳は片手で止められた。

(#゚;;-゚)「あかん、ウチの力を差し引いても弱い……やっぱりパートナーがおらな本気出せんか?」

言葉が聞こえたのかは解らない。
しかし鉄機人の目といえる赤光が、僅かに鈍ったのをでぃは見逃さなかった。

(#゚;;-゚)「安心しぃ……アンタのパートナーはこの世界におる。
    誰かは解らんが、きっと誰かが見つけてきてくれるはずや。
    それまで暴れるな言うのは酷やけど、出来るだけ静かにしてほしいなぁ」

まるで赤子を相手にしているような態度と口調。
対して、鉄機人が少しだけ力を緩めた。



  
22:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 17:51:05.77 ID:y0CRY5Wo0
  
(#゚;;-゚)「えぇ子や」

受け止めていた手を少しだけ離す。
すっかり大人しくなった鉄機人は、でぃを見下げながら棒立ちし

(#゚;;-゚)「お」

背部ブースターから火を噴かせる。
その推進力と、脚部のバネで天高く跳躍した。

巻き起こった突風から目を守りつつ、轟音が遠ざかっていくのを耳で確認。
風が収まったのを感じて視界を上げれば、もう鉄機人の姿は何処にも無かった。

(#゚;;-゚)「やれやれ、元気やなぁ」

吐息し、身を翻す。
そのまま静寂が戻った森を数歩歩いて

(#゚;;-゚)「……出てこんかい、そこの誰かさん」

(  )「…………」

声を発した途端、薄かった気配が濃密になる。

鉄機人が来る前から感じていた。
この世界の人間が自分を知るわけがないことから考えて、己を知る者だと見当はつけていた。



  
23:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 17:52:51.45 ID:y0CRY5Wo0
  
しかし、出てきた人物は

(`・ω・´)「…………」

(#゚;;-゚)「……誰?」

見覚えが無かった。

(`・ω・´)「その肩の紋章……連合軍か」

(#゚;;-゚)「だから何や?
    それ知ってて、ウチ知らん言うことは……軍関係者やないってことか?」

自分で言っておきながら『ありえない』と思う。
あの世界では、国民全員が軍人だ。
軍内で最も有名といえる自分を知らなくて、連合軍の存在を知っているという事は

(#゚;;-゚)「『リフレクション』の人間? しかもそこから出た……」

そこで改めて気付く。
目の前の男に、少しだけ見覚えがあるのを。
しかも、己にとって一番大事な人だ。

(#゚;;-゚)「……アンタ、兄弟おる?」

(`・ω・´)「あぁ」

(#゚;;-゚)「その名前は?」

男は少し黙り、そして警戒する様子もなく口を開いた。



  
24:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 17:54:38.31 ID:y0CRY5Wo0
  
('A`)「ラミュタス?」

(`・д・')「あぁ、それが俺の名だ。
     別に世話になる気はないが、助けてもらった者に名乗らないわけにもいくまい」

ドクオの住むアパート。
その狭い一室、小さなテーブルにて、向かい合わせに座っている男二人。

互いの中間にはカップメン。

('A`)「あとはお湯を注いで、っと……あ、俺の名前はドクオッス」

(`・д・')「そうか、ならば改めて礼を言おう。
      助けてくれてありがとう、ドクオ……それとすまなかったな」

謝罪の理由は解っていた。
最初の出会いにて、刃を首に突きつけたことを詫びているのだろう。

あれから一時間が経過していた。

とりあえずラミュタスを運んで布団に寝かせたドクオは、飯を適当に炒めて昼食を食べていた。
匂いにつられたのだろうか。
数十分後に、涎を垂らしそうな表情で起きてきたのだ。

というわけで、彼に食べさせるためのカップメンを引っ張り出してきたわけである。



  
26:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 17:56:30.19 ID:y0CRY5Wo0
  
(`・д・')「しかし面白いものだな……湯を入れるだけで完成するのか」

('A`)「カップメン見たことないんスか?」

(`・д・')「いや、携帯食料なら似たようなモノがあったが
     こんなにも美味しそうな匂いを発するタイプは初めてだ」

物珍しそうにカップメンを見ているラミュタス。
その様子を見て、ドクオは笑みが浮かぶのを止められなかった。

(`・д・')「……どうした?」

('A`)「いや、まさかカップメンを知らない人がいるなんて思わなかったッス。
   もしかして異世界の人だったり?」

冗談交じりで言った言葉。
それを耳に入れたラミュタスの表情が変わった。

(`・д・')「……そうか、そういうことか」

('A`)「え?」

(`・д・')「あ、いや、何でもない……で、これは食べても良いのか?」

('A`)「そろそろ三分だから良いッスよ」



  
30:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 17:58:09.63 ID:y0CRY5Wo0
  
ペリペリとフタを剥がす。
何とも食欲をそそる匂いが、ラミュタスの鼻を刺激した。

(`・д・')「……おぉ」

そして箸を手に取り

(`・д・')「む、これはどうやって使うのだ?」

(;'A`)「えぇ〜……じゃあ、これ使って下さい」

プラスチック製のフォークを差し出す。

(`・д・')「これなら解るぞ」

お食事開始。
初めはその熱さに戸惑っていたものの、次第に慣れていったのか貪るように口に入れ始める。
その様子を眺めながら、ドクオは一つの疑問を口にした。

('A`)「ところで、あの剣みたいなのは何なんスか?」

視線はラミュタスの足元へ向けられる。
銀の色を放つ剣のような金属が置かれていた。

(`・д・')「ん……悪いが聞かないで欲しい。 そして触れてはいけない」

('A`)「……はぁ」

気圧すというよりも、興味をもたれたことに恐怖を感じているかのような口調。
それを不思議に思いながらも、ドクオは一応引き下がった。



  
32:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 18:00:00.48 ID:y0CRY5Wo0
  
食事が終わり、一息つく。

ラミュタスが立ち上がったのは、数十分後だった。

('A`)「トイレッスか?」

(`・д・')「いや、あまり長居するわけにもいかないだろう……俺はもう行こうと思う」

('A`)「何処に行くんスか」

ラミュタスの口から沈黙が発せられる。
答えない、というよりも、答えられない、という様子の沈黙だった。

(;'A`)「……もしかして行く当てがない? 記憶喪失?」

(`・д・')「確かに、記憶は無い」

嘘は言っていない。
彼の記憶に、この世界のことは一切無いからだ。

('A`)「なら、はいそうですかって見送ることは出来ないッスね」

少し考え

('A`)「あ、そうだ……どうせ外に出るつもりなら、ちょっと行こうと思ってトコがあるんスよ。
   そこにはちょっとした情報通もいるし、一緒に行きません?」

(`・д・')「それは何処だ?」

('A`)「バーボンハウスッスよ」



  
34:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 18:01:28.40 ID:y0CRY5Wo0
  
森の中。
静寂が支配する中で、二人の男女は会話を続けていた。

(#゚;;-゚)「そうか、アンタも解らんか……」

(`・ω・´)「『リフレクション』を脱出したのは良いが、連合軍本隊まで辿り着けなかったからな。
      途中で離遠戦中の連合小隊を会った程度で、その時に連合軍の存在を知った。
      それと、エクストという友人と一緒に行動していたのだが
      突然の異世界跳躍で離れてしまっているのが現状だ」

(#゚;;-゚)「で、アンタは何でここにおるん?」

(`・ω・´)「……人ごみは嫌いなんだ」

まるで叱られた子供のように、少し拗ねた口調で言う。
むしろ言うことが恥だと思っているようだった。
でぃは笑みを浮かべる。

(#゚;;-゚)「安心しぃ、ウチもや」

(`・ω・´)「似た者同士か」



  
36:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 18:03:06.82 ID:y0CRY5Wo0
  
(#゚;;-゚)「アンタもウチも似たような境遇かも解らんなぁ。
    人からの注目を嫌うようになってもうた、って感じやろ?」

(`・ω・´)「まぁ、な……兄が下手に有名だったから
      その弟である俺も注目されるのは当然だったのだが」

(#゚;;-゚)「ウチは自分の力のみに注目されとるからなぁ……まぁ、今更何言うても変わらん変わらん」

(`・ω・´)「……そうだな。
      それと『アンタ』じゃなくて、『シャキン』という名がある」

硬い表情が少しだけ和らぐ。
それを見ながら

(#゚;;-゚)「アンタ、ホンマにラミュタスに似とるな。
    ちょっと優しくされたら簡単に心を開く……今まで友達とかおらんかったタイプやろ?」

(;`・ω・´)「…………」

(#゚;;-゚)「あぁあぁ、落ち込む必要ないよ」

ラミュタスも同じような反応をしていた。
かつてを思い出し、でぃは少しだけ感傷に浸る。



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