( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

  
37:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 18:05:25.20 ID:y0CRY5Wo0
  
しかし、それは一瞬で中断された。

「あれれー? そっちは誰ですかー?」

(`・ω・´)「!?」

(#゚;;-゚)「……ヘリカルか」

*(‘‘)*「おっひさー、軍神ちゃん」

ヘリカルだ。
相変わらずのゴスロリ衣装で、背景となっている森とまったく合っていない。
コロコロと軽い笑いを漏らしながら近付いてくる。

*(‘‘)*「渡辺ちゃんが呼んでるんです。
     是非とも軍神ちゃんの力を貸して欲しいって」

(#゚;;-゚)「やっぱりこの件は渡辺やったんか。
    まぁ、そうなるとウチとアンタらの目的は一緒いうことやね……」

*(‘‘)*「話が早くて助かるです。
    既にデフラグおじちゃんがGDFの所在を探してますよ」

(#゚;;-゚)「なぁるほど……ウチが誘いに乗る乗らん関わらずに回収するつもりかい。
    ウチが断っても、GDFはアンタらの手に落ちる。
    ウチがおれば、GDFを与えて戦力増強……選択肢云々の問題以前やな」

*(‘‘)*「私は何も知りませんですよ?」

(#゚;;-゚)「はン、女狐が」



  
38:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 18:07:09.80 ID:y0CRY5Wo0
  
心底嫌そうな溜息を吐き、シャキンの方へ振り返る。

(#゚;;-゚)「アンタはどうする?
    ウチはこのお嬢ちゃんについていくんやけど。
    一緒来る言うなら、仲間入れるために紹介してあげても構わんよ」

(`・ω・´)「いや……別に目的があるからやめておく」

(#゚;;-゚)「目的?」

(`・ω・´)「兄に会うという、な」

(#゚;;-゚)「それやったらついて来ればええやないか。
    最終的に、ラミュタスはウチらのトコに来るよ」

(`・ω・´)「それじゃあ駄目なんだ」

その瞳を見たでぃは理由は問わなかった。
確固たる意思が宿るそれに気圧されたわけではない。

ラミュタスの恋人とはいえ、でぃは所詮他人だ。
この兄弟の間に割って入ることなど出来ない。

(#゚;;-゚)「そか……まぁ、せいぜい頑張りぃ」

(`・ω・´)「兄に会う前に貴女に会えてよかった。 ありがとう」

(#゚;;-゚)「礼を言われる筋合ないよ……別にウチは何もしとらん」

(`・ω・´)「俺が勝手に感謝の念を覚えているだけだ。 気にするな」



  
39:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 18:08:45.46 ID:y0CRY5Wo0
  
言い残し、シャキンは背を向けて去っていった。
その後姿を眺めるでぃに声が掛かる。

*(‘‘)*「浮気?」

(#゚;;-゚)「阿呆」

苦笑し

(#゚;;-゚)「で、GDFの回収はいつ頃になる?」

*(‘‘)*今週中には回収出来るだろうって言ってましたです」

(#゚;;-゚)「そか。 アレはウチの翼やからな……早目の回収頼むよ」

歩き出す。
シャキンとは逆方向だ。
慌ててヘリカルが追いつくも、歩く速度は緩めない。

軍神の黒い瞳には、暗く燃える炎が宿っていた。
それは復讐か、使命か、それとも別の何かなのだろうか。

いずれにせよ、


それが、現時点で最強の力を持つ女が渡辺側についた瞬間だった。



  
40:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 18:09:54.74 ID:y0CRY5Wo0
  
カラン、と扉に備え付けたベルが鳴る。
それは入店と出店の合図だ。

(´・ω・`)「いらっしゃい」

声の先。
そこには二人の男が立っていた。

('A`)「うぃっす」

( ゚∀゚)「んだよ、テメェか……」

明らかに落胆の色を見せているのはジョルジュ。
しかし今の彼に犬の尾があれば、パタパタと振っていることだろう。

(´・ω・`)「お隣の人は誰かな?」

(`・д・')「俺は――」

('A`)「あぁ、ちょっとした友達だ……ちょっと悩み事を聞いて欲しくてな」

(´・ω・`)「ん、別に構わないよ」

言いながら、コーヒーメーカーのスイッチを入れる。
それを見つつ、ドクオとラミュタスはカウンター席に座った。



  
41:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 18:11:20.53 ID:y0CRY5Wo0
  
(`・д・')「……客はいないのか?」

(´・ω・`)「痛いところ突いてくるね」

(`・д・')「あぁ、失礼だったな……すまなかった」

(´・ω・`)「別にいいんだけどね。 もう慣れたし。
      でも、こういう風に悩み事を相談するには良い環境だと思わないかい?」

と、クッキーの入った皿を出す。

(´・ω・`)「これはサービスだよ。
      で、どんな悩み事なのかな?」

ドクオはラミュタスの顔を見る。
どうやら彼本人も悩み事の内容を知らないらしい。

少しの沈黙後、ラミュタスは口を開いた。

(`・д・')「俺は、異世界の人間だ」

(´・ω・`)「…………」

('A`)「…………」

( ゚∀゚)「…………」

しばらくの沈黙が流れる。
誰も動かず、誰も喋らず。
ただただ、息を吸って吐く音だけが木霊した。



  
42:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 18:12:48.44 ID:y0CRY5Wo0
  
溜め込まれた静寂という雰囲気は、時を以って爆発する。

( ゚∀゚)「異世界だぁ!? 寝言は寝て言えよプギャーwwwwwwwwwwww」

('A`)「ちょwwwwww俺の立場考えてwwwwwwwwww」

(`・д・')「…………」

(´・ω・`)「いや、そこまで馬鹿にするのもどうなの?
      それに異世界という単語、僕は正直言って寝言の類だとは思えない」

( ゚∀゚)「何でよ?」

(´・ω・`)「忘れたのかい? クルト博士の日記に、それらしい言葉があったじゃないか」

('A`)「あぁ、『向こう側』だとか何とかだっけ?」

(`・д・')「クルト……?」

ラミュタスが顔を上げた。
表情には『疑問』と『驚愕』が張り付いている。
そしてその驚愕は、他の三人にも同じように張り付いた。



  
45:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 18:14:08.80 ID:y0CRY5Wo0
  
(´・ω・`)「……知ってるのかい?」

(`・д・')「直接の面識は無い……が、五年ほど前の資料に関係者として名があったのを憶えている」

('A`)「五年前……おかしくねぇか?
   確かクルト博士が死んだのって十年くらい前だろ?」

(;゚∀゚)「ゆ、ゆゆゆ幽霊か!?」

(´・ω・`)「その資料の年代は確かなのかな?」

(`・д・')「あぁ、これは絶対だ。
     今は言うことが出来ないが、俺のいた世界で重要な『ある事』をまとめた資料だからな」

(´・ω・`)(ある事……?)

('A`)「でも、五年前ってのはおかしいだろ……誰かがクルトの名を騙ったとか?」

(`・д・')「こちら側の認識としては科学者だったが、そちらは?」

(´・ω・`)「僕らの方も科学者、だね。
      最強生物を自らの手で作り出そうとしたくらいだから」



  
47:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 18:15:53.68 ID:y0CRY5Wo0
  
(`・д・')「最強、生物……」

('A`)「知ってるんスか?」

(`・д・')「あ、いや……悪いが知らないな。
     だが、共通点から考えるに同一人物だと思った方が良いかもしれない」

(´・ω・`)(何か怪しいね……騙している? いや、言うことが出来ないのかな……?)

(`・д・')(やはりこちらでは、そういう認識だったか……)

湯気が立つコーヒーカップを手に取り、ラミュタスは思考する。
その様子を見ていたショボンが

(´・ω・`)「で、悩み事って具体的に何なのさ?」

( ゚∀゚)「異世界やら何やらで忘れてたぜ」

(`・д・')「悩み事というか、むしろ頼み事に近いかもしれない。
      今から言うモノを探し出して欲しいんだ」

(´・ω・`)「今はそういう仕事はしていないんだけど……とりあえず聞こうか」

(`・д・')「――『GDF』だ」



  
49:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 18:17:29.71 ID:y0CRY5Wo0
  
从'ー'从「というわけで、GDFを最優先で探し出しまーす。
      デフラグさんは現状を報告して下さい」

渡辺達が潜むアジト。
その広い空間にて、少人数での会議が行われていた。
会議といえど、ただ倉庫のような空間にて、各々好きな体勢で話し合っているに過ぎないが。

煙草を口にくわえたデフラグが

[゚д゚]「どうにも情報が出てこなくなった。
    俺が思うに、既に誰かの手に渡ってると見て間違いねぇと思う」

<ヽ`∀´>「誰かの手に? 一体誰が?」

[゚д゚]「それが解んねぇから言ってんだろうが、ニダ坊」

(#゚;;-゚)「GDFの価値が解っとらん奴が持っとるんやろうなぁ……でないと、隠す理由に繋がらん」

[;゚д゚]「うぉ!? いきなり後ろから声出すんじゃねぇよ!
     ってかテメェは軍――」

(#゚;;-゚)「あぁ、さっきこのグループに入った『でぃ』言います。
    本当はDって呼んで欲しいところなんやけど、今は『軍神』で名が通ってますよ、と」



  
50:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 18:19:13.71 ID:y0CRY5Wo0
  
<ヽ`∀´>「軍神……久しぶりニダね」

(#゚;;-゚)「お、ニダー。
    アンタは軍長なってから前線に出ることなくなったからなぁ。
    常に最前線に出てたウチとは、一年ぶりくらいちゃう?」

そこで手を叩く音が響く。

从'ー'从「はいはい、過去を振り返るのは後にしてね」

*(‘‘)*「どうにもこのメンバーは御喋りが多いです」

(#゚;;-゚)「アンタも負けとらんよ」

从'ー'从「デフラグさん、それでGDFを今持ってる人ってのは解んないんでしょ?
      それは大体の位置も解らないってこと?」

[゚д゚]「いや、幾つか見当はつけてるぜ。
    コソ泥は普通の戦闘機と間違えてるはず……運ぶなら陸路か海路だろうよ。
    見当つけてんのは三ヶ所で、あとは絞り込むだけだ」

<ヽ`∀´>「虱潰しに散るのは出来ないニダ?」

从'ー'从「人手少ないし、あまり人目がある場所に出るのも良くないなぁ」

[゚д゚]「心配すんな……あと二日あれば特定してやる」

(#゚;;-゚)「頼もしいねぇ」



  
51:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 18:20:57.40 ID:y0CRY5Wo0
  
ヘラヘラと笑う軍神を、半目で睨むデフラグ。
その瞳は『嫌悪』の類ではなく、むしろ『好奇』の色で染まっている。

[゚д゚]「俺はこれしか出来ねぇからな。
    それと軍神、お前は後で俺の部屋に来い」

*(‘‘)*「わぉ! 大胆です!」

[゚д゚]「ちげぇよ馬鹿タレ。
    渡辺、お前は気付かねぇのか? 軍神の身体に」

(#゚;;-゚)「あぁ、もうガタが来てたんかい」

[゚д゚]「どっかで無茶しやがったな?
    まぁいい、この機会に俺が新品同様にしてやんよ」

(#゚;;-゚)「おおきに」
    (鉄機人のが効いたんかなぁ)

そういえば、最近は戦闘ばかりでロクな調整をしていなかった。
思い出し、でぃは心の中で苦笑する。

自分は生きたいのか、それとも逝きたいのか、と。



  
52:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 18:23:11.88 ID:y0CRY5Wo0
  
都市ニューソクの郊外。
『戦跡荒野』に最も近い倉庫であるここに、怪しい人影があった。

(  `ハ´)「フホホ、大体の準備は出来たアルね」

中国風の服を着ている彼はシナーという名を持っていた。
いわゆる『裏』に精通している人間であり、武器商人でもある。

都市ニューソクのスラム街を拠点に活動し
同じような『裏』に潜むテロリスト、国外の武装ゲリラなどに武器・兵器を売るのが主な仕事だ。
その何処の組織にも加担しない姿勢から、『無属のシナー』と呼ばれている。

今、彼は新たな商品を手に入れて喜んでいた。

彼の目の前には、全長十五メートルほどの巨大な機体。
灰色を基調としたそれは『戦闘機』と呼ばれる形状を持っていた。

(  `ハ´)「ラッキーだったアル。
       まさか朝の散歩中に、戦闘機を拾うとは思わなかったアルよ」

精査した結果、この戦闘機は既存のモノと性能が大きく異なることが解っていた。
ちなみに『異なる』ということが解っているが、それが何なのかは不明であったりする。

どうやら、自分達の技術では到底理解出来ない代物らしい。
しかも鍵が無いのか、起動させることすら出来ない状態である。



  
54:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 18:25:03.84 ID:y0CRY5Wo0
  
(  `ハ´)(でも関係ないアル。
       ワタシはとにかく売れれば良いアルからな)

今回、この戦闘機を売る相手は久々に大物だった。
何せ『世界政府』なのだから。

世界政府。
正式名称は『世界運営政府』だ。
その名が示すとおり、世界を統一する巨大政府機関のことである。

この世界は、東西の巨大大陸と南大陸、そして西側寄りの島国から成っている。
過去には様々な国があったのだが、今はほとんどが七大国に吸収されている状況。

第三次世界大戦後、世界は七つに分けられていた。
アメリカ、イギリス、ロシア、中国、オーストラリア、アフリカ、そしてJAPAN(日本と呼ぶのは日本人だけ)。

しかし巨国が集えば、利益のいざこざは避けられない。
そこで七大国を統一する機関がオーストラリアで生まれた。

それは、『イクヨリ=エイチ』という男を筆頭に生まれた組織。
圧倒的なカリスマ性を持ったこの男が、七大国のトップ達を説き伏せたのが始まりだ。



  
55:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 18:26:39.62 ID:y0CRY5Wo0
  
利益に捉われず、ただ世界平和維持のために黙々と仕事をこなすことから『世界運営政府』と呼ばれた。

表向きは綺麗な仕事しかしていないように見える。
むしろ世間の認識はそうだ。
しかし、そういうイメージが定着しているのも
汚い仕事――つまり裏を担う『ラウンジ』という特殊部隊が在るからだ、という噂があった。

(  `ハ´)(そんな組織が、武力の塊である『戦闘機』を欲しがるということは
       やはりラウンジの戦闘力強化に使われるアルかなぁ)

思うが、口にはしない。
誰が聞いているのか解らないからだ。

相手は慈善行為をしている組織といえど、その力は強大。
敵に回すには相手が悪過ぎる。

(  `ハ´)(まぁ良いアル。
       こちらとしては金が入れば文句無いアルよー)

視線を移せば、そこには連結された装甲列車の姿。
距離的に五十キロメートルはあるであろう『戦跡荒野』を越えるために必要な『足』だ。
これに商品を載せて、国外へ飛ばすための飛行場を目指す。

今回は極秘を心掛けなければならないので、連れて行く人数は少数となるが

(  `ハ´)(多分、大丈夫アルよ……誰も知られずに運べばすぐ終わるアル)



  
56:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 18:28:24.37 ID:y0CRY5Wo0
  
それを、陰から見つめる姿があった。

<_プー゚)フ(おいおい、何かヤベェんじゃねぇのか……?)

彼の手にある小さなレーダー。
ある反応を追跡するそれは、シナーの目の前にある機体から反応が発せられていた。

<_プー゚)フ(もう積み込みしそうな雰囲気だな。
         ったく、価値も知らずに勝手に自分の物にすんなよ)

軽く舌打ちするが、それで現状を何とか出来るわけではない。
武器と言えば、腰に銃を一丁差してあるだけ。

今は一人でいるようだが、暴れれば待機している部下達が襲い掛かってくるだろう。
この武器だけでGDFを奪って逃走など出来るわけがない。
というか、そもそもキーが無ければ起動さえしないのだ。

<_プー゚)フ(さて、どうしたもんかね……)

目的のモノでなかったのが悔やまれるが、だからといって放ってはおけない。
何処に運ばれるのかは知らないが、アレを扱えるのは一人だけだ。

<_プー゚)フ(何がどうあれ、持ち主のモノは持ち主のモノだしな……んあ?)

ふと、近くの壁にチラシが張ってあるのが目に入る。
シンプルなデザインの中央に、大きくこう書かれていた。

『個人の正義は、我々が代弁します!
 〜フィーデルト・コーポレーション〜 』



  
58:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 18:29:55.78 ID:y0CRY5Wo0
  
暗い部屋。
一つの古い電灯が、室内を薄暗く照らしている。

その中に二人の人間がいた。

一人は、ベッドの上でうつ伏せになっている。
一人は、その寝ている人間の背中を触っていた。

[゚д゚]「ったく、何でこうなるまで放っておいたんだ?」

声は、うつ伏せで寝ているでぃに掛けられていた。
彼女は衣類を全て脱ぎ去って寝ている状態。
その背中を、デフラグは細長い機器を用いて作業していた。

(#゚;;-゚)「常に最前線で気張っとったからなぁ。
    本陣で出来るようなメンテナンス機器なんて無かったし、そもそもイジれる人間がおらんかったわ」

[゚д゚]「何やってんだよ、護国院は。
    兵達の心の支柱になっている軍神の扱いを、ちったぁ考えやがれってんだ。
    そもそも前提が人間だろうが……」

(#゚;;-゚)「嬉しいこと言うてくれるなぁ。
    でも現実はそうもいかんのよ、これが」

その言葉に、デフラグは手を止める。

[゚д゚]「どういうこった?」



  
60:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 18:31:52.69 ID:y0CRY5Wo0
  
(#゚;;-゚)「『軍神』……認識の違いはあれど、結局は渾名。
    言うなれば都合の良い『偶像』言うことやね……これの意味、解る?」

デフラグは沈黙で答える。
その静寂を否定と受け取ったでぃは、少し声のトーンを落とし

(#゚;;-゚)「代わりはいくらでも利く言うことや。
    ウチが死んでも、代役を立てようと思えばいくらでも可能なんよ。
    おそらく、次の軍神はラミュタスかニダーやったんやろうね」

[゚д゚]「はン、御上様が考えそうなこって」

溜息を吐きつつ彼は作業に戻る。
機械をイジる音が再開するが、すぐに止んだ。
二度目の溜息を吐いた彼は、だが、と続け

[゚д゚]「断言するが『軍神』はアンタしかなれねぇよ。
    言葉通り、人じゃなくて神だからな」

(#゚;;-゚)「そりゃ微妙なモノ言いやなぁ……」

[゚д゚]「アンタの過去は知っているつもりだ。
    だからこそ、軍神と呼ばれるってことも解ってるつもりだ。
    解っているからこそ、こうやって完璧なメンテナンスをしている」

(#゚;;-゚)「それが?」

[゚д゚]「今ので解れよ……俺達は『軍神』という偶像じゃなくて、アンタ自身の力を必要としてんだってことさ」

沈黙が訪れ、しばらく作業音が続く。



  
61:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 18:33:25.68 ID:y0CRY5Wo0
  
(#゚;;-゚)「……ふっ」

でぃの口元に笑みが浮かぶ。
可笑しいような嬉しいような、そんな意味の篭った息が噴き出たのは直後。

[;゚д゚]「な、何が可笑しいんだ」

(#゚;;-゚)「いや、別に何も」

笑みを残したまま

(#゚;;-゚)「なぁ……ちょっと眠くなったから、寝てええかな?」

[゚д゚]「あ? 構わねぇよ。
    あと一時間くらい掛かるから、終わったら起こしてやる」

(#゚;;-゚)「おおきに……ふあぁ」

小さい欠伸。
そのまま目を瞑って眠りの世界へと落ちていった。
意識が闇に染まる寸前、彼女は思う。



  
63:お世話係(大分県) :2007/03/20(火) 18:34:22.92 ID:y0CRY5Wo0
  

色々と酷い、目も当てられない人生。

今も尚、己はその醜い人生を恨んでいるはずだ。



しかし

だが、しかし



この祭り上げられた偽りの力ではなく


自身が得た、忌まわしき力を必要とされるのならば――





――それもまた、悪くないことなのかもしれない。






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