( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

  
3:造園業(大分県) :2007/03/26(月) 15:37:06.79 ID:y361l3On0
  
第八話 『此処とは異なる彼方の世界』

都市ニューソク。
中心街の数ブロック隣にある小さな地区。
そこは、人が住むような雰囲気ではなく、まるで地区全体が裏道といった様相だ。

古い家屋や、誰も利用していないであろう建物。
草が伸び放題になっている小さな公園。
窓ガラスが砕け散っている古いマンション。

その地区だけ世界の滅びが来たかのような光景が広がる。

そんな中、未だに活動を続ける店があった。

<_プー゚)フ「ふぅ、ここか……」

引き千切ったチラシを片手に、男が足を止める。
目の前には、真新しい小さなコンビニのような店。
ただし内部は曇りガラスによって伺うことが出来ないでいる。



  
5:造園業(大分県) :2007/03/26(月) 15:38:42.75 ID:y361l3On0
  
自動ドアをくぐれば、白い壁と床が彼を出迎えた。
入ってすぐのカウンターには、一人の女性が座っている。
そして彼女はこう言った。

「――いらっしゃいませ、そしてお帰り下さい」

<_;プー゚)フ「は!?」

「直接いらっしゃった、ということはチラシを見ての御来店ですね?」

<_;プー゚)フ「あ、あぁ」

「我が社、『フィーデルト・コーポレーション』は
 基本的に専用電話番号にて御連絡を下さった方の御依頼しか受け付けません」

<_;プー゚)フ「ちょっと待て……その電話番号なんてのはチラシには書いてないし
        そもそも、だったらこの店は何なんだよ?」

「ダミー、ということになりますか」

<_;プー゚)フ「えぇぇぇぇぇ」

「説明は以上です、お帰り下さい」

有無を言わせぬ雰囲気を放つ女性。
完全に気圧され、男はトボトボと店を出ることとなった。



  
7:造園業(大分県) :2007/03/26(月) 15:40:15.81 ID:y361l3On0
  
外はまだ肌寒い風が吹いている。
それを身に受けつつ

<_;プー゚)フ「マジかよ……どうなってんだ、この世界は?
         もしかして全部こんな感じなのか!?」

爪゚ -゚)「いえ、違いますが」

<_;プー゚)フ「うぉ!?」

いつの間にか、真横に女性がいる。
紺色のスーツを着た、金髪ロングが美しい女性だ。
少し違和感があり、その根源は首に巻かれた鉄製の包帯のようなモノ。

爪゚ -゚)「どいて頂けませんか」

言葉に対して男は一瞬だけ考える。
女性の視線を追えば、自分が店のドアの前に立っていたことに気づいた。

<_;プー゚)フ「あ、あぁ、悪いな」

慌てて立ち位置を変えると、金髪の女性はすぐさま店の中へと入っていった。

<_プー゚)フ(……客?)

疑問に思うと同時、女性は来た時と同じ格好で颯爽と店を出る。
そのまま、まるで男が見えていないというように無視をして歩き出す。



  
9:造園業(大分県) :2007/03/26(月) 15:41:59.84 ID:y361l3On0
  
<_プー゚)フ「あ、おい」

爪゚ -゚)「…………」

<_;プー゚)フ「んだよー」

女性はそのまま直進し、しかし突然足を止めた。
携帯を取り出して耳に当てる。

爪゚ -゚)「はい――えぇ、構いませんが」

澄んだ、よく通る声が男の耳まで届いてくる。
聞く気はあまりなかったのだが、それは半ば強制的に鼓膜を振るわせた。

爪゚ -゚)「――はい、ではこちらから。
    えぇ、構いません……そちらの恩威は社長もよく把握しておりますので」

少しの沈黙。
彼女は頷きながら

爪゚ -゚)「GDF、ですか……解りました」

<_;プー゚)フ「!?」



  
11:造園業(大分県) :2007/03/26(月) 15:43:38.20 ID:y361l3On0
  
GDF。
彼女は確かにそう言った。
携帯電話を懐にしまい、そのまま歩き出そうとする彼女に男は思わず声をかける。

<_;プー゚)フ「お、おい! アンタ今、GDFって言ったよな!?」

爪゚ -゚)「……盗み聞きは感心しませんが」

<_;プー゚)フ「いや、アンタの声が大き過ぎるだけだ。
         ってか、GDFをどうするつもりだ!?」

爪゚ -゚)「部外者に口外することは出来ません」

<_プー゚)フ「頼む、教えてくれ!
        俺はそれの奪還を頼むために、ここまで来たんだよ!」

その言葉に、一瞬だけ女性は眉をひそめる。

爪゚ -゚)「どういう意味でしょうか?」

<_プー゚)フ「そのままの意味だ。
        俺はGDFがある場所を知っていて
        でも人手が足りねぇからFCとやらに借りようと思ってたんだよ」

爪゚ -゚)「…………」



  
12:造園業(大分県) :2007/03/26(月) 15:45:28.62 ID:y361l3On0
  
<_プー゚)フ「アンタFCの関係者だろ?
        客としてあの店に入ったんなら、出て来た時に落胆や憤りを見せなきゃおかしい。
        何せ、店に入った時点で何も知らない素人って証拠だからな。
        その様子を見せねぇってことは、カラクリを知ってたってことだ……違うか?」

爪゚ -゚)「…………」

ジッ、と無言でこちらを見つめる女の鋭い双眸。
見ているだけで射殺せそうな視線を、男は意地で受け続けた。

爪゚ -゚)「では、こうしましょう」

<_プー゚)フ「?」

爪゚ -゚)「私が独自に見つけた情報提供者、それが貴方。
    FCが直接、貴方の御依頼を受けることが出来ませんが、関係することは可能です」

<_プー゚)フ「……つまり、アンタに来た方の依頼を優先しろってことだな?
        GDF捜索はあくまでソイツの依頼であって、俺の依頼ではない。
        奪還後、そのGDFは依頼主の手に渡る、と」

爪゚ -゚)「はい」



  
13:造園業(大分県) :2007/03/26(月) 15:47:09.37 ID:y361l3On0
  
男は少しだけ考える。
向こうの依頼者とやらがGDFを知っているという事は、己と同じ世界の人間かもしれない。
むしろその可能性の方が高い。

GDFが依頼主に渡る点はどうにでもなる。
そもそも自分が得ても仕方のない代物だ。
今はとにかく、妙な連中の手に落ちないことを優先すべき。

少し引っかかるのは、依頼主とやらがGIFではなくGDFを求めるという点だが

<_プー゚)フ(このまま無駄に行動しても、GDFが運ばれちまったら意味がねぇ。
        ここは意地を捨ててでも関係を持った方が正解だな……)

爪゚ -゚)「如何しますか」

<_プー゚)フ「OK、その案に乗るよ。
        もちろん情報は知ってる限り全てを話す……その代わり――」

爪゚ -゚)「えぇ、この件への関与を認めます。
    向こう側の依頼主が了承すれば、の話でしょうが」



  
15:造園業(大分県) :2007/03/26(月) 15:48:46.53 ID:y361l3On0
  
<_プー゚)フ「交渉成立だな……あ、ちなみに俺は『エクスト』って名前だ。
        互いに呼び難いから、アンタの名も教えてくれ」

爪゚ -゚)「――ジェイルと申します」

<_プー゚)フ「OK、よろしくな、ジェイルさん」

爪゚ -゚)「では、こちらに待機させてある車両へどうぞ。
     これから依頼主様が待つ場所まで移動します」

言葉が終わると同時、背を向けて歩き出す。
その華奢な背中を追いながら、エクストは思った疑問をぶつけた。

<_プー゚)フ「ところで何処なんだ、そこは?」

ジェイルは首だけ振り向かせ

爪゚ -゚)「――バーボンハウスです」



  
16:造園業(大分県) :2007/03/26(月) 15:51:03.43 ID:y361l3On0
  
内藤家。
現在時刻は六時半。
少し早めの夕食が終わったリビング。
ソファの上で、ブーンとハインリッヒが携帯ゲーム機で遊んでいた。


『愛してるぜぇぇ! カァァァシィィィムゥゥゥ!!』

『やはりラムダドライバなどという不完全な……いや、俺の腕が及ばなかっただけか……』

ドカーン


低い不気味な音楽と共に、画面に『GAME OVER』の文字が浮き出る。

(;^ω^)「ガウルン強過ぎワロタ」

从;゚∀从「毎ターン集中+覚醒、ラムダドライバは無いですよね……」

(;^ω^)「序盤でこれはねぇお」

ガウルン? どうせ今回も防御馬鹿だろう?
そう思っていた時期が僕にもありました。



  
18:造園業(大分県) :2007/03/26(月) 15:52:51.70 ID:y361l3On0
  
J( 'ー`)し「はいはい、御飯を食べ終わったら食器を運びなさいねー」

川 ゚ -゚)「手伝います」

J( 'ー`)し「ありがとうね」

川 ゚ -゚)「お前達もちゃんと運ぶんだぞ」

从 ゚∀从「は、はい!」

( ^ω^)「はーい」

と、そこでブーンの携帯が軽快な着信音を奏で始めた。
画面には『ショボン』という表記。

( ^ω^)「お? ショボンからだお」

通話ボタンを押し、耳に当てれば

(´・ω・`)『やぁ、ブーン』

( ^ω^)「おっおっ、こんな時間にどうしたんだお?」

(´・ω・`)『いや、ちょっと聞きたいことがあってね』



  
19:造園業(大分県) :2007/03/26(月) 15:54:14.38 ID:y361l3On0
  
( ^ω^)「お?」

(´・ω・`)『いきなりだけど、君は『世界交差』という言葉を聞いて何を想像した?』

確かに、いきなりだ。
しかしショボンは、意味も無くこんな質問をするために電話を掛ける奴じゃない。
それが解っているブーンは少しだけ考え

( ^ω^)「うーん……単純に世界が交わる感じかお?
      言葉にしにくいけど、幾つかの世界がごっちゃ混ぜになるような」

(´・ω・`)『だとすれば、その証拠はどのように現われると思う?』

( ^ω^)「それは簡単だお。
      異世界の人間や物が現われるはずだお」

(´・ω・`)『うん、正論だ』

( ^ω^)「で、それがどうかしたのかお?」

(´・ω・`)『前から思ってたけど、君ってかなり鈍いよね』

(;^ω^)「おっおっ」

(´・ω・`)『君がこの調子だと、クーさんも結構苦労してるかもしれない。
      まぁそれは置いておいて』

個人的に一番気になる部分を置いていかれてしまった。
どうしようかと思考を巡らせている間にもショボンは話を続ける。



  
21:造園業(大分県) :2007/03/26(月) 15:55:36.87 ID:y361l3On0
  
(´・ω・`)「で、僕が言いたいのはね。
      その異世界の人物が、こちら側で確保出来たってことなのさ」

( ^ω^)「おー、マジかおー」

(´・ω・`)『…………』

(;^ω^)「……マジで!?」

(´・ω・`)『それが天然なのか確信犯なのか、僕には判断つかないなぁ。
      とにかく時間があるならバーボンハウスまで来てよ。
      ちょっと君達にもやってもらいたい仕事が出来そうだし』

( ^ω^)「おk、把握したお」

通話を切り、携帯を折りたたむ。

从 ゚∀从「誰からだったんですかー?」

( ^ω^)「ショボンからだお。
      それと、これからちょっとクーと一緒に出かけてくるお」

川 ゚ -゚)「む?」

台所にいるクーが振り返る。
その口にはスプーンが咥えられており、頬がモゴモゴと動いている。



  
22:造園業(大分県) :2007/03/26(月) 15:57:06.56 ID:y361l3On0
  
(;^ω^)「……おかわり? 相変わらずよく食べるお」

川;゚ -゚)「……いや、その……君の母が作る料理は美味しいからな、うん。
     それで私が何だと?」

( ^ω^)「今からバーボンハウスに行くんだけど、一緒に来れるかお?」

川 ゚ -゚)「何かあったのか?」

( ^ω^)「多分、行けば解るお」

川 ゚ -゚)「ふむ、解った」

いつもの黒コートを引っ掴み、外出準備を整え始める。
とはいえ、そのコートを着るだけなのだが。

从 ゚∀从「僕も一緒に行ったら駄目ですか?」

( ^ω^)「うーん、どうするお?」

ハインリッヒに関して最高発言力を持つクーへ視線を向ける。
彼女はコートの襟を直しながら

川 ゚ -゚)「バーボンハウスなら危険も無いだろうし、別に良いと思うぞ」

从 ゚∀从「やった!」

J( 'ー`)し「外は寒いから、ちゃんと上着を着なさいよー」

从 ゚∀从「はい!」



  
23:造園業(大分県) :2007/03/26(月) 15:58:34.50 ID:y361l3On0
  
それから二十分後。

バーボンハウスの内部。
薄暗い店内に、幾つかの人影。

バーボンハウスまで辿り着いたブーン達が、ショボン達と話し合っている。

(´・ω・`)「まぁ、これこれこういうことがあって
      異世界から来たっていうラミュタスさんを、ドクオが拾ったってわけだね」

( ^ω^)「おー」

('A`)「おいコラテメェ、あんまり信じてねぇな?」

( ^ω^)「そういうドクオはどうなんだお?」

('A`)「……五分五分ってトコか」

( ^ω^)「僕もそんな感じだお。
      異世界なんていきなり言われても信じられるわけがないし
      でも、状況が状況だけにまったく信じないわけにもいかないお」

川 ゚ -゚)「話の内容で判断するには、少し材料が足りない気もするが」

(´・ω・`)(比較的信憑性は高いと思うけどなぁ……クルト博士のことを知ってるみたいだし)

(`・д・')「…………」



  
24:造園業(大分県) :2007/03/26(月) 16:00:23.84 ID:y361l3On0
  
と、そこで車の走行音が近付いてくる。
それは店の前で停まり、続いてドアが開き閉められる音。

カランカラン、とバーボンハウスの扉が開かれた。

爪゚ -゚)「こんばんは」

(´・ω・`)「やぁ、来たね」

( ^ω^)「お? もう復活したんですかお?」

ブーンの記憶が間違っていなければ、ジェイルは数日前に首を引き千切られたはずだ。
今、彼らの目の前にいる彼女は、首に鉄を巻いている他は何ら変わりない姿で立っている。

爪゚ -゚)「いえ、応急処置中という状態です。
    通常行動には支障ありませんが、戦闘行為などの激しい運動は不可能となっております。
    なので御主人様の護衛が出来ない今、自分に出来ることをしている状況にあります」

(´・ω・`)「聞いた話によれば、各ダミー店のチェックに回ってるとか。
      ついでに仲介人も買って出てるらしいね」

爪゚ -゚)「今の所、そのくらいしか出来ないでしょうから。
    私や貴方達の所に来た、キチガイじみた客の相手……意外に大変だと痛感しました。
    後で御主人様に仲介人の待遇改良提案をしてみるつもりです」

<_;プー゚)フ「何かものすげぇ失礼なこと聞いたような」

(´・ω・`)「そちらが情報提供者さん?」

爪゚ -゚)「はい」



  
25:造園業(大分県) :2007/03/26(月) 16:02:07.48 ID:y361l3On0
  
(`・д・')「――!」

<_;プー゚)フ「あ!?」

ラミュタスとエクストが目を合わせた途端、二人は驚愕に目を見開く。

( ^ω^)「?」

<_;プー゚)フ「……あ」

(`・д・')「…………」

どうするべきか。
知らぬフリをするべきか。
エクストの脳内にメリットとデメリットが駆け巡り、損得勘定するも――

しかし無駄だということを思い知らされる。

(`・д・')「……久しぶりだな、エクスト」

<_;プー゚)フ「あちゃー」



  
26:造園業(大分県) :2007/03/26(月) 16:03:35.12 ID:y361l3On0
  
(´・ω・`)「もしかして、互いに知ってる仲なのかな?」

(`・д・')「コイツはエクスト=プラズマン……俺の、元部下だ」

そう言う彼の目は、どう見ても気まずさが見てとれる。
その雰囲気を全身で受けつつ

<_プー゚)フ「その人はラミュタス。
        俺の元上司で……『風鷲』って呼ばれてた凄腕パイロットだ」

从 ゚∀从「パイロットさんなんですか?」

(´・ω・`)「例えば、何の?」

エクストはチラリ、とラミュタスを見る。
彼は『我関せず』と言わんばかりに、腕を組んで目を瞑った。
仕方ないのでエクストが口を開く。

<_プー゚)フ「……GIFとGDF、だ」

('A`)「そもそもその『ジフ』と『ジーディーエフ』って何だ?
    何か奪還するって話らしいが、何なのかが解らないとやりにくいぜ」

<_プー゚)フ「その説明もしなきゃならないな。
        それに、俺達やGDFといった異世界のモノが来てるってことは
        警戒すべき奴がいる……その説明も、な」



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