( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです
- 154: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 15:54:31.16 ID:dP04uHTD0
- 第十話 『軍神と風鷲』
轟風が吹き荒ぶ中、クーは驚愕に目を見開く。
視線の先には軍神。
その右手の皮膚が、剥けているのだ。
川;゚ -゚)「な、何だそれは……!?」
その表情には、珍しく『驚愕』と『恐怖』が張り付いていた。
(#゚;;-゚)「見たまんまや」
彼女の左手には、右手首から先の皮膚が握られている。
そして皮膚を失った右手は
川;゚ -゚)「機械……!?」
(#゚;;-゚)「あぁ、そやね。
でもウチはサイボーグとか機械人形とか、そんな類やあらへんよ」
- 156: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 15:56:01.04 ID:dP04uHTD0
- 川;゚ -゚)「どういう――」
(#゚;;-゚)「軍神」
川;゚ -゚)「?」
(#゚;;-゚)「軍神……これは渾名なんやけどな。
何でウチがこういう名で呼ばれとるか……知らんよな?」
川;゚ -゚)「貴様と戦うのは今日が初めてだ。
知るわけがない」
だが、と続け
川 ゚ -゚)「その強さから、そういう名が付いたと言うのならば……納得は出来る」
彼女自身が得た感覚からの言葉だった。
あれほどの動体視力を持ち合わせているというのならば
『軍神』という名を授かっても、別に不思議ではない。
むしろ納得だ。
- 158: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 15:57:36.98 ID:dP04uHTD0
- (#゚;;-゚)「なら、教えといたる」
しかし、軍神は別の答えを出した。
(#゚;;-゚)「ウチはな、元々こういう力を持ってなかったんや」
川 ゚ -゚)「……生まれもった能力ではない、と?」
(#゚;;-゚)「そや」
ふと目を伏せ
(#゚;;-゚)「ウチのいた世界はな……二百年ほど前に世界の90%以上が滅んでしもうたんや」
川 ゚ -゚)「滅んで……?」
(#゚;;-゚)「残った10%は世界の果てともいえる小さな島国に逃げた。
しかし、いずれ滅ぼされることは明白やった」
川 ゚ -゚)「……言葉からすると『滅ぼした勢力』がいるわけか」
(#゚;;-゚)「ウチらは『異獣』と呼んどるけどな。
で、その10%は最後まで抵抗することにしたんよ」
- 160: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 15:59:27.01 ID:dP04uHTD0
- その決断は、まさに苦渋の決断といえるものであった。
当時の民間人と軍人の割合は丁度五割同士。
軍人は『抵抗する』と叫び、民間人は『滅びを待とう』と言い返した。
結局のところ、力の関係で言えば軍人が圧倒的に強かった。
しかしそのまま強行的に抵抗を続けようとしても、民間人の邪魔が入ることは明白である。
(#゚;;-゚)「そこで軍人達は一つの選択を選んだ。
それは、軍人と民間人のどちらの願いも叶えるという夢のような手やった」
川 ゚ -゚)「……ありえるのか?
抵抗と滅びを同時にこなすなど――」
(#゚;;-゚)「その方法とは、『民間人を安全な檻に閉じ込める』いうことやった」
その『檻』という言葉に聞き覚えがあった。
川;゚ -゚)「檻、だと?
まさかそれが『リフレクション』……!?」
(#゚;;-゚)「ラミュタス辺りが言うたんか? まぁええわ。
それから軍人共は、三ヶ月ほどで『リフレクション』を作り上げた」
- 161: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:01:20.27 ID:dP04uHTD0
- 川;゚ -゚)「たった三ヶ月で……?
聞いた話によれば、『リフレクション』は二つほどの都市を
丸ごと包み込むような超大型の箱庭だと聞いたが……」
(#゚;;-゚)「こっちの技術とウチらの技術には天と地ほどの差があんねや。
ウチらの世界は『機械世界』言われててな。
その名の通り、機械技術に関しては何処の世界にも負けんかった」
誇らしげな表情ではなく自虐の色を見せる。
その表情を見て、クーは一つの疑問を浮かべた。
川 ゚ -゚)「ちょっと待て……『リフレクション』の話は確かに聞いたが
その彼もまたリフレクションの住人だったぞ。
二百年も前に作られた檻に、まだ入っているということは――」
(#゚;;-゚)「そう、まだ軍人と異獣の戦いは続いとるいうわけやな」
川;゚ -゚)「なっ……」
(#゚;;-゚)「そしてウチらのメンバー全員、その軍人達の子孫なんや。
抵抗を続けるために、檻の外の世界で生まれた人間は全員が軍人になることに決められててな。
ウチや渡辺も、望まずの異獣抵抗に狩り出される結果になった」
川 ゚ -゚)「渡辺も……」
やはり、彼女は異世界の人間だった。
流石兄弟やモララーの考えていた推論は正しかったのだ。
- 163: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:02:42.74 ID:dP04uHTD0
- (#゚;;-゚)「で、ウチが何故『軍神』呼ばれるか……」
目を瞑り
(#゚;;-゚)「ウチはな、五年ほど前に異獣に捕まったことがあるんよ」
当時のでぃは、それほどの力を持っているわけではなかった。
むしろ女性ということもあってか一般男性よりも弱い部類であった。
では、何故彼女が捕まったのかといえば
(#゚;;-゚)「異獣の興味は、結局のところウチらの世界の人間にあった。
これがどういう意味か……解るか?」
川 ゚ -゚)「…………」
(#゚;;-゚)「人体実験、とでも言うんかな。
ウチは生きたまま、首から下の皮膚を全て剥がされた」
川;゚ -゚)「……ッ」
言葉からは想像出来ないほどの地獄を味わったのだろう。
その証拠に、彼女の目には感情が宿っていない。
思い出すことにおいての『悲しみ』や『苦しさ』を蘇らせないようにしているのだろうか。
- 165: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:04:24.62 ID:dP04uHTD0
- (#゚;;-゚)「一体、人体の何が知りたかったのかは今になっても解らん。
調査が終わったのか知らんが、ウチはそのまま軍人達――つまり連合軍へと帰された」
そのまま放っておけば確実に死に至ったはず。
しかし、今の彼女に生命があるということは
(#゚;;-゚)「連合軍に回収されたウチは、試験的に作り上げていた機械皮膚を装着させられた。
それは強化服の効果を持った――本来は皮膚の上から着る薄型タイプやってんけどな」
その結果
(#゚;;-゚)「ウチは、二度と元には戻れない身体となってしもうた。
まぁ、それだけなら命があるだけマシやった……死ぬよりはマシやからね。
とはいえ、生身のままである首から上は傷だらけになってもうたけども」
川 ゚ -゚)「その口調からして、まだ何かあるようだな」
言葉に、軍神は軽く頷く。
少しだけ遠い目をしつつ
(#゚;;-゚)「……連合軍は何を思ったのか、ウチを勝手に英雄扱いし始めた。
『異獣に捕らえられ、しかし自力で帰還した勇者』として」
川 ゚ -゚)「…………」
- 166: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:06:06.39 ID:dP04uHTD0
- (#゚;;-゚)「解るか? もう戦いたくないと思った矢先に、その戦いを強制されられたんや。
強化服のお陰で、首から下はほとんど怪我しなくなった。
だからウチは前線から退くことはほとんど無くなってもうた」
川 ゚ -゚)「何処かに逃げるなどの選択肢はあったはずだ。
それを選ばなかったのは何故だ……?」
(#゚;;-゚)「『軍神』は、兵の士気を上げるためだけに作られた偶像や。
もしそれを失えば連合軍の敗北も考えられるやろ」
川;゚ -゚)「己を戦いに向かわせた軍を守るために、お前は嫌々戦場に立つというのか……!?」
(#゚;;-゚)「『軍神』の名は、もう一人の名やない」
双眸が鋭くなる。
全身から殺気――それ以上の何かが発せられる。
(#゚;;-゚)「『軍神』の名を信じて死んだ仲間が十万人以上。
『軍神』の名を恐れて死んだ敵が二十万以上。
……合計して三十万以上の死霊を背負ってんのや、ウチは」
川#゚ -゚)「人を……人の死を数で計算するな!
重さで計るものなんかじゃない!」
(#゚;;-゚)「怒るのも無理は無い。
けどな、ウチはそういう無駄な問答するために軍神の説明をしたのとちゃうよ。
長々と話した理由は二つある」
川;゚ -゚)「何!?」
- 167: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:07:48.87 ID:dP04uHTD0
- (#゚;;-゚)「一つは単純な時間稼ぎ。
そして二つ目は――」
伏せられていた目が上がる。
その口元には笑み。
(#゚;;-゚)「アンタをボコすのは、僅かな時間があれば足りるってことや」
突如、軍神が突進する。
両腕を軽く広げた姿勢だ。
すぐさま反応したクーは、透明色の刀を構えるが
川;゚ -゚)「ぐぁ!?」
(#゚;;-゚)「身体も!!」
刀身を弾き飛ばしたのは右手。
そして応じるように左手が動く。
(#゚;;-゚)「精神も!!」
川;゚ -゚)(フェイント――!?)
思うが同時、クーの顎に衝撃が走る。
- 169: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:09:12.97 ID:dP04uHTD0
- (#゚;;-゚)「その、全てが!」
川;゚ -゚)「うっ……!」
叩き上げられた顔。
結果的に腹部のガードが疎かになる。
(#゚;;-゚)「背負ってるモンが違う!!」
川;゚ -゚)「がはッ!?」
強烈な蹴りが、クーの腹部に直撃した。
弾けるように身体が背後へと吹き飛ばされる。
川;゚ -゚)「げほっ……くそっ……!」
速い。
経験の差もあるのだろうが、その底を支えているのがあの速度だ。
人間のモノとは思えないそれに対抗するには
川 ゚ -゚)「6th−W『ギルミルキル』――!」
応じるように刀が消え、透明色のブーツが現われる。
それはクーの足を包み込むように展開された。
- 170: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:10:31.01 ID:dP04uHTD0
- 川 ゚ -゚)「これなら!」
立ち上がり、轟音と共に地を蹴る。
一瞬で音速を超え、景色が一瞬で吹き飛び、でぃの横を掠め、その無防備な背後へと――
川;゚ -゚)(え?)
不意打ちを仕掛ける直前、クーは違和感を得る。
(#゚;;-゚)「…………」
川;゚ -゚)(私を見ている!? この速度を捉えたのか!?)
(#゚;;-゚)「その程度でウチを翻弄出来ると思うな――!」
回し蹴りが来る。
速度も、威圧も段違いのレベルだ。
川;゚ -゚)(これが軍神……!)
一足飛びでバックステップ。
直後に風を、空間を切り裂くような蹴りが横薙ぎに払われる。
川;゚ -゚)「ギルミルキルでも駄目か……!」
考えろ。
相手は無敵ではなく、ただ強いというだけだ。
自分は十三もの能力を持っている。
それらを組み合わせて戦えば、勝つ事は出来なくとも太刀打ちくらいは出来るはず――
- 173: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:11:46.96 ID:dP04uHTD0
- (#゚;;-゚)「甘いなぁ」
川;゚ -゚)「!?」
(#゚;;-゚)「戦闘中に思考するのは構わんが、それを見せるのはあかん。
油断を呼び、集中力を浪費し、焦りを相手に悟られてまう」
川 ゚ -゚)「相手が相手だからな……少しは慎重にいってもバチは当たるまい」
(#゚;;-゚)「まさか勝てるとは思っとらんよな?
良くて太刀打ち出きるか程度?」
でぃは更に笑みを見せる。
(#゚;;-゚)「甘い、甘いなぁ。
ウチは不敗を命じられた軍の神。
人であるアンタが、万が一にも勝つなんてこと無いよ」
- 174: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:13:10.03 ID:dP04uHTD0
- 川 ゚ -゚)「――私は、人ではない」
(#゚;;-゚)「何?」
川 ゚ -゚)「私は人ではない……人によって作られた、しかし人ではない生物だ」
(#゚;;-゚)(まさか……)
でぃの脳内に一人の男の名が浮かぶ。
彼の言動を思い出し、でぃの疑念は確証へと変わった。
(#゚;;-゚)「そか、アンタも人やないか」
拳を構え
(#゚;;-゚)「なら手加減するのも御門違いやな。
人外同士、人という範疇を超えた殺し合いをしようやないか」
轟、と大気が叫ぶ音が響く。
人造神と人造人がぶつかり合ったのは、次の瞬間だった。
- 176: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:14:35.21 ID:dP04uHTD0
- 高速で走る列車の脇。
そこでは銃撃戦が繰り広げられていた。
爪゚ -゚)「四時方向、来ます」
言葉と共にジェイルがハンドルを切る。
射線から退避した後に、ドクオの6th−W『ガロン』が光弾を吐き出していく。
連続で飛ぶ光。
風を切り裂くそれは、なかなか右背後を走るジープを捉えない。
<_プー゚)フ「下手クソ!」
(;'A`)「うるせっ! アンタだって当ててないだろ!」
<_プー゚)フ「言ったな!? 見てろ!」
小型の銃を突き出して射撃。
ガロンから発せられる光弾よりも小さな光が鋭く飛翔する。
しかし当たらない。
('A`)「…………」
<_;プー゚)フ「んだよ、その『やれやれ』みてぇな顔!?」
爪゚ -゚)(射撃専門だというのに射撃下手とは……役に立ちませんね)
- 177: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:16:05.55 ID:dP04uHTD0
- まともな戦闘になっていない。
渡辺側からはミサイルやバズーカなどの攻撃が迫るのに対し
こちらは当たらない光弾を延々と撃ち続けるのみ。
ジェイルの運転技術に、全員の命運が掛かっていると言っても過言ではない状況であった。
<_;プー゚)フ(くそっ、俺IFがあれば何とか出来るかもしれねぇのに――)
無いモノをねだっても仕方ない。
とりあえず撃ち続けるしか――
そこで、音が聞こえた。
<_;プー゚)フ「――!?」
キ、という大気を強引に切り裂く音。
覚えがある。
いや、ありすぎた。
それは空を自由に飛翔する鉄翼の鳴き声。
未だ攻撃が続く中で、エクストは弾かれるように見上げた。
<_プー゚)フ「――来やがったか!!」
- 180: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:17:22.94 ID:dP04uHTD0
- その音は、ジープに乗っていた渡辺達にも聞こえていた。
[゚д゚]「この音は――」
从'ー'从「来たね……旧式の鉄翼が」
川 -川「どうされますか?」
从'ー'从「あとは軍神さんと彼氏さんに任せようかな。
とはいえ、攻撃の手を休めるつもりはないけど」
[゚д゚]「何だ、結局は何も変わらねぇわけか」
新たな連装ミサイルを担いでデフラグが笑う。
その声を耳に入れつつ、渡辺は彼には聞こえない声で
从'ー'从「変わるよ……誰がどう転ぶか解らないけど、ね」
と呟いた。
- 182: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:19:06.50 ID:dP04uHTD0
- まともな戦闘になっていない。
渡辺側からはミサイルやレーザーなどの攻撃が迫るのに対し
こちらは当たらない光弾を延々と撃ち続けるのみ。
ジェイルの運転技術に、全員の命運が掛かっていると言っても過言ではない状況であった。
<_;プー゚)フ(くそっ、GIFがあれば何とか出来るかもしれねぇのに――)
無いモノをねだっても仕方ない。
とりあえず撃ち続けるしか――
そこで、音が聞こえた。
<_;プー゚)フ「――!?」
キ、という大気を強引に切り裂く音。
覚えがある。
いや、ありすぎる。
それは空を自由に飛翔する鉄翼の鳴き声。
未だ攻撃が続く中で、エクストは弾かれるように見上げた。
<_プー゚)フ「――来やがったか!!」
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