( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

183: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:20:48.73 ID:dP04uHTD0
  
比較的狭い部類に入るコックピット。
風防から見える景色は、星が輝く夜空だ。

(`・ω・´)「良い世界だな、ここは」

一人で呟く。

彼はGIF『レイドール』のシートに座っていた。
左右のスロットルレバーを握り、左右のペダルに足を乗せて。

眼下。

装甲列車が高速で滑走し、その周囲を装甲車両とジープが走り回っている。
たまに瞬く光は攻撃の証だろうか。

何にせよ、状況が解らない。
あの装甲列車の中にGDFがあるのは解っているのだが――

(`・ω・´)(さて、どうするか……)

少し考え、ふと空を見上げる。

(`・ω・´)(……何か動きがあるまでは、空でも見ておこう)



186: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:22:10.29 ID:dP04uHTD0
  
新たに現われた戦闘機。
見慣れぬそれを、クー達も視認していた。

川;゚ -゚)「何だ、あれは……」

FCのモノではない。
そもそもあんなに空をゆっくりと飛ぶ戦闘機など、見たことがない。

(#゚;;-゚)「来たか」

呟き

(#゚;;-゚)「もう遊んどる暇は無いなぁ。
    悪いけど、そこどいてもらえる?」

川 ゚ -゚)「私は、言われてどくような素直な女じゃない」

(#゚;;-゚)「痛い目――」

声が途切れる。
いや、途切れたのではない。
直後、腹部に鈍痛が走る。

川;゚ -゚)「がっ……!?」

鳩尾に、下部から思い切り拳がめり込んでいた。

(#゚;;-゚)「――見たなぁ」



188: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:23:34.22 ID:dP04uHTD0
  
ギルミルキルに匹敵するレベルの速度。
その高速を用いて接近し、目にも止まらぬ拳を放ったのだ。

膝を折り、その場に崩れながらクーは痛感する。

今までのは全て手加減していたのだ、と。
遊ばれていたのだ、と。

川;゚ -゚)「き、貴様は――ッ!」

衝撃によって四肢が麻痺し、呼吸さえも困難となる。

(#゚;;-゚)「ほな」

動けぬクーを傍目に軍神は足を進めた。
手をヒラヒラと振り、装甲列車の先頭を目指して歩き始める。

もはや追いつけぬ背に、クーは震えた声で問いかける。

川;゚ -゚)「一つ、ッ聞かせろ……お前達の、目的は何なんだ……!?」

(#゚;;-゚)「ここまで来て解らんか?
    世界が変われど、ウチらの生まれた時から刻まれた目的は変わらん」

息を吸い込み

(#゚;;-゚)「――『異獣』の滅び、や」



193: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:25:20.49 ID:dP04uHTD0
  
目の前で展開された光は直前で逸らされた。
いや、逸らされたのではなく、己が動かされたのだと気付いたのは直後。

(;^ω^)「え……?」

ふと気付けば、頭にラミュタスの腕が乗っている。
どうやら彼が無理矢理に姿勢を動かしてくれたらしい。

(;`・д・')「くっ……」

苦悶の声。
そして鼻につく血の匂いが、ブーンの止まっていた脳を動かした。

(;^ω^)「ラミュタスさん!?」

見れば、彼の右肩から出血しているのが見える。
ニダーの放った光弾が貫通したのだ。

<ヽ`∀´>「馬鹿なことを……何でこのガキを助けたニカ?
      戦力的に考えてアンタが怪我する必要はないニダよ」

(;`・д・')「人の死を目の前で受け入れられるほど、俺はまだ壊れていない……!」

<ヽ`∀´>「なら、壊れる前に死ね」

(#^ω^)「おっ――!!」

ニダーの構える銃を殴り飛ばす。
耳障りな音が響いたと同時、銃身がへの字に折れ曲がった。



195: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:26:42.67 ID:dP04uHTD0
  
<ヽ;`∀´>「何つー馬鹿力ニダ!」

しかしまだ一丁残っている。
拳を突き出した姿勢のブーン目掛けて、トリガーを引いた。

一拍の空白。

その間にブーンは拳を動かしていた。
銃口と自分の身体の間に、まるで盾とするように手を置いたのだ。

<ヽ`∀´>「馬鹿が!」

声と共に光弾が放たれる。
直後、何かが弾けるような音が響いた。

(;^ω^)「……お?」

痛みはない。
衝撃で少し痺れた手を見れば、白い煙を上げながらも無事であることが確認出来た。

<ヽ;`∀´>「な、何で貫かないニダ!?」



197: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:28:02.16 ID:dP04uHTD0
  
(`・д・')「そのグローブ……」

( ^ω^)「お? ウェポンっていう特殊な武器だお?」

(`・д・')「そうか……グローブには魔力が満ちて……。
      それをコーティングするから……そういうことか……」

<ヽ;`∀´>「ウェポン……これが渡辺の言っていた『唯一の見所』ニダか!」

よく解らないが、どうやらクレティウスで光弾を防ぐことが出来るらしい。
それを理解したブーンは笑みを浮かべる。

( ^ω^)「苦節十話……ここにきてようやく主人公らしい活躍が出来そうですお、カーチャン」

構え

(#^ω^)「うりゃー!!」

ニダーの顔面目掛けて、その握った拳を――

<ヽ`∀´>「ニダッ!」

( ゚ω゚)「ふぉぉぉぉぉ!!?」

ニダーが咄嗟に蹴り上げた足が、ブーンの股間を見事に捉えた。



205: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:30:13.63 ID:dP04uHTD0
  
爪先を吊り上げ、内股になりながら

( ゚ω゚)「こ、れが……僕の、か、つやく……オワタ」

細かいジャンプをした後に耐え切れなくなったのか、その場に倒れた。
意識はあるようだが、股間を押さえて悶えている姿を見ると戦える状態にないのが解る。

<ヽ;`∀´>「コイツ馬鹿ニダ……接近こそが一番隙を突かれ易いというのに」

(`・д・')「……格闘に自信を持っていた証拠だな。
      あまり敗北の経験が無いのだろう」

あまりに哀れな主人公その1を眺め、二人はそれぞれコメントを残す。
次の瞬間、弾けるように距離をとった。

<ヽ`∀´>「さぁ、後はお前だけニダ」

(`・д・')「だがそれも終わりだ!」

ラミュタスの持つ武器。
その手元に付属していたトリガーを引き込む。
キィン、という甲高い音が響き、柄尻から乾電池のような筒が叩き出された。



210: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:31:39.95 ID:dP04uHTD0
  
(`・д・')「……あまり人に用いる武器ではないのは承知。
      だが降参しないと言うのならば……俺はきっと斬るのを躊躇わないだろう」

<ヽ;`∀´>「ぐっ……」

銃を構えるが、この距離ではかわされてしまう。
一発一発の間隔が広いため、一度潜り込まれれば退くしかない。
が、己の背には貨物室のドアがあるのみ。

(`・д・')「どうする」

問いかけの後、ニダーはある事に気付いた。
それは上からの気配。
笑みを浮かべ

<ヽ`∀´>「――逃げるのも降参するのも断るニダ!」

言葉と共に貨物室の天井がぶち破られる。
ラミュタスとニダーの間、破片の雨と共に舞い降りてきた影は

(#゚;;-゚)「…………」

軍神だった。



212: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:33:03.20 ID:dP04uHTD0
  
(;`・д・')「なっ――」

(#゚;;-゚)「……あぁ、ラミュタスかい」

呟き

(#゚;;-゚)「何しとん? さっさとこっちに帰ってこんかい」

(`・д・')「いくらお前の言葉でも、それは出来ない」

(#゚;;-゚)「はぁ……何? 後継者達に何か吹き込まれた?」

(`・д・')「これはこの世界に来る前から決めていたことだ。
     俺は世界交差を認めない」

(#゚;;-゚)「……もう終わったことをgdgd言うたって仕方ないやろ?」

(`・д・')「まだ終わってはいないはずだ」

((( ゚ω゚)))(お?)

(`・д・')「本来の世界交差とは複数の世界を交わらせる、言わば『世界合成』と言うべき所業。
     今の状態は『住人』のみが一つの世界に集っているだけの状態」

つまり、と続け

(`・д・')「まだ世界交差は完了していないんだろう?
     人だけが集まっても、それはただの異世界跳躍に過ぎない。
     本当の世界交差はまだ終わってないんだ」



215: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:34:28.86 ID:dP04uHTD0
  
(#゚;;-゚)「……へぇ」

(`・д・')「渡辺が世界交差を完了させない……いや、出来ない理由があるはず。
     これは俺の推論だが、相応の『力』が無いからだと思っている」

( ゚ω゚)(力……)

(`・д・')「世界の合成。
     そんな神がするような事を、一人の人間が出来るわけがない。
     だから強大な力を得る必要がある……そして――」

彼は言った。

(`・д・')「この世界に、その『強大な力』とやらがあるのだろう?」

ブーンは、ようやく痛みが引いてきた股間を撫でながら

(;^ω^)(……この世界に、渡辺が望む大きな力があるのかお?)

足りない頭で考えるが該当するようなモノは見付からない。
そもそもこの世界に、渡辺が求めそうな強大な力を持つ物質など無いはずだ。
他世界には『ルイル』という物質があるらしいのだが――

と、そこで疑問が浮かぶ。

(;^ω^)(あれ? 何で無いんだお……?)

それは逆転の発想ともいえた。
しかし今の彼の頭で、これ以上の考察は不可能だった。



219: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:36:03.51 ID:dP04uHTD0
  
?マークを浮かべる彼を余所に

(#゚;;-゚)「……だとすれば?」

軍神が問いかけ

(`・д・')「……目的は解るが、他世界を巻き込むな」

風鷲が答える。
その言葉に噛み付いたのはニダーだ。

<ヽ`∀´>「馬鹿言うなニダ!
      もうウリ達の力だけでは、どうにもならないのは解ってるはずニダよ!」

(`・д・')「だから他世界を巻き込むのか!?
     何も知らぬ彼らの命を、俺達が勝手に使っても良いのか!?」

(#゚;;-゚)「落ち着きぃ、ラミュタス。
    知らんのはこの世界だけや……それに、ここの住人は巻き込む予定は無いよ」

ラミュタスは、倒れているブーンを指差し

(`・д・')「現に巻き込んでいるではないか!」

(#゚;;-゚)「どんな物事にも例外はある。
    もっとも、この子達は巻き込まれるべきして巻き込まれたと思うけどもな」



221: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:37:25.48 ID:dP04uHTD0
  
<ヽ`∀´>「そりゃそうニダ。
      何せ、あのクルトの関係者らしいニダ」

(;^ω^)「お!?」

ニダーの口から出た名前に目を見開いて驚く。
問い出そうとするも、しかし未だ残る股間の痛みがそれをさせない。
『うー』という呻き声を連呼しながら蠢く姿は、どう見てもイモ虫です本当に(ry

そんな哀れな姿を余所に、やはり三人は勝手に話を進めていく。

(#゚;;-゚)「とりあえず時間無いみたいやし……GDF回収せなな」

<ヽ`∀´>「デフラグの情報によれば、ちゃんと二機あるみたいニダよ」

(`・д・')「回収は勝手にしろ。
     だが、俺のGDFは俺が持っていく」

(#゚;;-゚)「あくまで、ウチらのトコに来る気は無いと?」

(`・д・')「悪いがな……それに、付けなくてはならない決着がある」

空いた天井から見える夜空を見上げ

(`・д・')「何処かの馬鹿が俺を待っているようだ。
     だから俺は、その馬鹿を馬鹿から解放してやらなきゃならん」



226: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:39:33.50 ID:dP04uHTD0
  
その空虚な目は、ある種の威圧を生み出していた。
右肩を抑えながら歩き始める。
ニダーが一瞬だけ険しい視線を向けるも、尚進もうとするラミュタスに気圧されてか道を譲った。

車両から出る直前。

(`・д・')「……でぃ」

(#゚;;-゚)「何?」

(`・д・')「お前は生きるのか」

(#゚;;-゚)「……ま、納得するまで精一杯?
    邪魔する者は叩き砕いて我が道行かせてもらいますよ、と」

(`・д・')「何故に疑問系なのかは解らんが……お前らしいな」

(#゚;;-゚)「アンタはどうなん?」

(`・д・')「……俺は」

(#゚;;-゚)「ここでリタイアする?」

(`・д・')「俺は、俺の意思を継ぐ者を見つけた。
     そいつに背負ってるモノを渡してくる……リタイアはそれから決めるさ」

言い残し、ラミュタスはGDFを収納している車両へと向かった。



229: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:42:01.78 ID:dP04uHTD0
  
(#゚;;-゚)「…………」

主人公が悶えている空間。
タタン、という列車の鼓動と溜息が響く。

<ヽ`∀´>「……とりあえず決着とやらが済むまでは、手出ししない方が良いニダね。
      今のラミュタスは頭に血が昇ってる状態ニダ」

(#゚;;-゚)「はン、まぁええわ。
    今日はウチらじゃなく、ラミュタス達の決着がつく日やってんね」

身を翻し

(#゚;;-゚)「大事の前の小事や……今日は鉄鳥の決闘でも見ながら酒飲みましょ、と」

<ヽ`∀´>「ところで、このガキはどうするニカ?」

ニダーの視線は、哀れなブーンへと向けられる。
同じように目を向けた軍神は

(#゚;;-゚)「今回のウチらの目的は、あくまでGDFの回収。
    一機はラミュタスが持っていくみたいやけど、残ったウチのは回収出来るやろうね。
    この可哀想な子は放っといてええやろ。
    それに、ちょっと渡辺に聞きたいことが出来てな……まぁそういうことで」

片手をヒラヒラさせながら歩き出す。

(#゚;;-゚)「とりあえず列車止めてくるわ。
    愛する風鷲の飛び立ちを、二度と戻らぬ飛翔を支援するためになぁ」



232: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:43:21.79 ID:dP04uHTD0
  
車両の扉を開く。
冷たい空気と同時、鉄の香りが鼻をくすぐった。
それは彼にとって懐かしい匂い。

(`・д・')「……また、乗ることになるか」

呟きの先。
灰色の鉄翼が、その身を列車の鼓動に委ねていた。
薄暗い中での存在は、しかしハッキリと浮かぶように感じられる。

ラミュタスは、そんな雰囲気を放つGDFに近付き

(`・д・')「…………」

腰からブレードを引き抜く。
そしてもう片方の手で、機体を柔らかく撫でた。

辿り着いた先は開閉スイッチ。
軽く押し込むと、空気が抜ける音と共に風防が軽く開いた。



233: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:44:34.94 ID:dP04uHTD0
  
滑り込むようにシートへ。
内部で身を預け、少しだけ目を瞑った。

(`・д・')「……行くか」

目を開き、ブレードを正面足元の窪みに差し込んだ。
高い電子音が響き、メインコンソールウインドウに光が灯る。

『Gravity Disregard Fighter 【Ecid】』

その文字列から始まり、数々の処理が自動的かつ高速に為されていった。
篭った機会音が響いて機体に命が吹き込まれる。

グォ、という音に始まり、キ、という音が続き

(`・д・')「――待ってろよ、愚弟」

言葉と共に状況が動いた。
鋭い音と同時に翼が開き、引力操作によって機体が浮遊を始める。
右ペダルを思い切り踏み込んだ瞬間

「――!」

天井部を突き破り、灰色の鉄鳥が夜空へと舞い上がった。



235: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:45:55.48 ID:dP04uHTD0
  
そのまま加速。
前方へ直進し、すぐさま半円を描くように上昇を始める。

その先に見えるのは、もう一機の黒い機体。

通信が入る。

『――久しぶりだな』

無感情といえる弟の声。
それに対し、ラミュタスは微かな懐かしみを以って答える。

(`・д・')「二年振りか」

『探したよ』

(`・д・')「逃げ続けたさ……追いつかれないように」



238: 序二段(大分県) :2007/03/29(木) 16:47:26.97 ID:dP04uHTD0
  
『とりあえず何も聞かないし、何も言わない。
 俺はアンタを超えに来た』

(`・д・')「今は何も聞く必要は無く、何も言う必要は無い。
      俺はお前の壁となるためにいる」

『それも今日で終わりにしよう。
 俺がアンタを超えることによって』

(`・д・')「あぁ、終わらせよう……俺がお前を墜とすことによって」

二機は旋回するように飛び続ける。
かつてを懐かしむように、これからを期待するように。

『……行くぞ』

(`・д・')「来い」

言葉と共に、二機は同時に加速した。
互いを突き放すようにして、更には撃墜するために。



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