( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです
- 4: 映画館経営(大分県) ::2007/04/03(火) 15:54:18.26 ID:QfbXw9x+0
- 第十二話 『擦れ違いの始まり』
GDFを巡った戦闘から数日後。
まだ陽が高い位置にある時間。
バーボンハウスでは、幾人かの青年達がダラダラと過ごしていた。
(´・ω・`)「へぇ、なかなか貴重な体験だったみたいだね」
コーヒーを注ぎながらショボンが言う。
カウンターテーブルに突っ伏しているのはブーン。
(;^ω^)「ぶっちゃけ疲れたお……状況報告とかでFCに拘束されることになったんだお。
帰してもらえたのは翌日だし……」
川 ゚ -゚)「まぁ、仕方ないと言えば仕方ない。
幸いだったのは内藤の母の器が大きかったことだな」
从;゚∀从「普通にモララーさんと話して納得してましたよね……」
- 6: 映画館経営(大分県) ::2007/04/03(火) 15:55:59.30 ID:QfbXw9x+0
- ( ゚∀゚)「で、テメェは何でそんなことなってんだ?」
ジョルジュの好奇の視線の先。
そこには背中に『KOB』と書かれた紙を張られたドクオの姿。
彼はテーブルに突っ伏しながら耳を塞ぎ
('A`)「あーあー、何も聞こえなーい」
( ゚∀゚)「KOB? 『去年の俺はバリバリ最強bP』の略か?
ちょっと待てよ、今年はどうなんだよ」
('A`)「断トツでワーストbPだよ黙ってろよ」
( ^ω^)「まぁ、落ち込むなお。
ドクオだっていつかは役に立つはずだお」
('A`)「今残酷な言葉を聞いたような。
しかもこの紙張ったのお前だよな」
( ^ω^)「これをバネに頑張るんだお!」
(;'A`)「お前何でそんな目がキラキラしてんの?
何か俺が悪いみてぇじゃん……理不尽じゃん」
川 ゚ -゚)「何やらよく解らんが、あの日からずっとこんな調子でな。
まぁ、落ち込まれるよりはマシだが」
(´・ω・`)(…………)
- 8: 映画館経営(大分県) ::2007/04/03(火) 15:57:33.47 ID:QfbXw9x+0
- と、そこでバーボンハウスの扉が開かれる。
『いらっしゃい』と言おうとしたショボンの表情が固まった。
異変に思ったブーン達も同じように視線を向け、同じように固まる。
( ´_ゝ`)「よっ!」
現われたのは兄者だった。
しかし、その頭と腕には未だに包帯が巻かれている。
(;´・ω・`)「……退院出来たの?
怪我が治ったようには見えないけど」
( ´_ゝ`)「半分くらい治ったから退院出来た。
看護士さんにセクハラばっかしてたら追い出されたってのもあるが」
(;'A`)(どう考えてもそっちじゃねぇか……)
荷物を片手に持って店内に入ってくる。
カウンターに座り
( ´_ゝ`)「久々にショボンのコーヒーが飲みたいなぁー」
(´・ω・`)「久々って……一週間くらいじゃない?
まぁ、喜んでもらえるなら良いけど」
- 10: 映画館経営(大分県) ::2007/04/03(火) 15:58:55.61 ID:QfbXw9x+0
- 準備を始めたショボンを満足そうに見ていた兄者。
今度は、同じようにカウンター席に座っているブーン達へ視線を向ける。
( ´_ゝ`)「で、俺がいない間に何か色々とあったんだってな。
俺もすぐに復帰するだろうから教えてくれよ」
(;^ω^)「兄者さん、無理しない方が良いですお」
从;゚∀从「そ、そうですよ!
怪我人は安静にしてて下さい!」
( ´_ゝ`)「……これはアレだな?
俺がいない間に、俺の株が急上昇としていたというイベントだな?」
川 ゚ -゚)「よく解らないが、話題には一度も出なかったぞ」
( ´_ゝ`)「これが世に言うツンデレか……やるねぇ」
(;゚∀゚)「馬鹿は病院行っても治らねぇみてぇだな」
- 12: 映画館経営(大分県) ::2007/04/03(火) 16:00:18.71 ID:QfbXw9x+0
- それから兄者の異常とも言える粘着により、ブーン達はここ数日の出来事を報告した。
ふむふむと言いながら兄者は聞き入り、そして言う。
( ´_ゝ`)「つまり……どういうことだ?」
('A`)「頼むから、もう一回病院逝ってこい……頭の方の」
川 ゚ -゚)「つまり、まとめるとだな――」
コーヒーを片手にクーが説明を始める。
・渡辺の仕業によって、ある一つの異世界との壁が取り除かれた。
・その異世界から住人と物がこちらの世界に現われ始めた。
川 ゚ -゚)「ここまでは解るな?」
( ´_ゝ`)「あぁ……ところで住人や物とやらは、どういった基準で跳躍してきたのだ?」
( ^ω^)「お?」
( ´_ゝ`)「それは何者かに選ばれて現われたのか。
それとも完全にランダムなのか……そこら辺はどうなのよ?」
- 13: 映画館経営(大分県) ::2007/04/03(火) 16:01:44.75 ID:QfbXw9x+0
- 確かに思ってみれば不自然だった。
この世界に現われたのは
GDFやGIF。
それを操るパイロット。
そして、渡辺側にいる軍神や魔砲少女。
ランダムで選ばれたと言うのならば、これほど妙なことは無い。
確実に選別されている。
川 ゚ -゚)「だが、おかしくないか?
確かに軍神やGDFを選別して跳躍させたなら解るが
シャキンやエクストは、どう見ても要らない要素のはずだろう?」
( ´_ゝ`)「ただのイレギュラーなのか、それとも……。
まぁいい、続きを頼む」
その言葉に頷いたクーは、更なる説明を再開した。
・ラミュタス、エクストと名乗る男を、それぞれドクオ、ジェイルが拾う。
・彼らの依頼によって、GDFという戦闘機を奪還することに。
・GDFを持って隣都市を目指していた武器商人を追いつつ、渡辺達と戦うことに。
- 17: 映画館経営(大分県) ::2007/04/03(火) 16:03:12.03 ID:QfbXw9x+0
- ( ´_ゝ`)「で、結果は?」
・ラミュタスはシャキンとの戦闘で死亡。
・もう一機のGDFは渡辺達の手に落ちる。
・シャキンとエクストは一時的にFCへ身柄を保護されることに。
説明を聞いた兄者は、考え込むように唸り始めた。
しばらく思考した後
( ´_ゝ`)「そういや、誰か渡辺達に接触したんだろ?
その時に何か情報を得られなかったのか?」
(;^ω^)「……えーっと」
ブーンは少しだけ迷った。
あの夜、渡辺の口から発せられた台詞。
――仲良くすることだって出来る。
――貴方達は好きだけど、貴方達の周囲に見え隠れする連中が大嫌いなの。
この言葉がどうしても引っかかる。
しかし、容易に口にしても良いものなのか。
特に渡辺を敵視しているクーは、どのような反応を示すのか。
悩むブーンを横目に、クーが軍神とのやり取りを説明する。
『リフレクション』の外側世界。
『異獣』と呼ばれる、軍神がいた世界を滅ぼした存在。
そして渡辺達の目的は『異獣』の滅びだということ。
- 18: 映画館経営(大分県) ::2007/04/03(火) 16:04:49.67 ID:QfbXw9x+0
- ( ´_ゝ`)「ちょっと待て。
異獣ってのは渡辺達の世界にいるんだよな?
じゃあ、何で奴らはこっちの世界にいるんだ?」
(´・ω・`)「解らないけど、一つだけ気になるワードならある」
( ゚∀゚)「んだよ?」
(´・ω・`)「以前、ギコさんが襲撃された話を思い出して御覧よ。
モララーさんも言ってたはずだ。
僕らを『戦力』として見ている可能性があるって」
川 ゚ -゚)「まさか……」
(´・ω・`)「この世界で戦力を集めて、その異獣とやらに備えている。
そういう解釈の仕方もあるってことさ」
( ´_ゝ`)「だが、この世界で活動する理由に繋がらない。
世界を繋げられると言うのならば、向こうの世界で勝手にやれと」
(´・ω・`)「今の情報だけでは、そこら辺を理解するのは難しそうだけどね。
とりあえず渡辺達に対して、僕らはどうすべきなのかってことで――」
- 19: 映画館経営(大分県) ::2007/04/03(火) 16:06:23.64 ID:QfbXw9x+0
- そこでショボンの声が止まる。
未だに悩んでいるブーンへと視線を向けて
(´・ω・`)「ブーン、何か言うことがあるんじゃない?」
(;^ω^)「お……」
( ´_ゝ`)「隠し事をしてもタメにならんぞ。
お前にとっても、俺達にとっても」
川 ゚ -゚)「何か知っているのなら、話してくれ」
クーがこちらを見つめる。
兄者の顔が邪魔であるが、ブーンの心を動かすには充分だった。
しかし、敢えて自分の意見として口に出す。
( ^ω^)「……僕には、渡辺達が敵には見えないんだお」
(´・ω・`)「さっきの仮説が正しければ、敵に見えなくてもおかしくはないよ」
( ^ω^)「でも、敵じゃないにしてもおかしい点があるお。
何で彼女は僕達を生かすんだお?」
- 22: 映画館経営(大分県) ::2007/04/03(火) 16:07:49.00 ID:QfbXw9x+0
- 一度口を開くと、止め処無く言葉が溢れる。
( ^ω^)「敵じゃないにしろ、僕達の存在は渡辺にとって少なからず邪魔なはずだお。
それなら実力で排除するとか、何らかの実害を受けても仕方ない気がするんだお」
( ´_ゝ`)「俺、怪我したんだけど」
( ^ω^)「命まではとられてないお?
渡辺が異世界の住人で、異獣というのを倒そうとしているのなら
この世界の人々なんてどうでも良いはずだお」
川 ゚ -゚)「確かに……言動が少し噛み合っていない気がするな」
残虐性を覗かせておきながら、しかしその行動は生易しい。
軍神と相対したクーは特に思う。
あれほどの実力があれば、自分の命など一瞬で刈り取られるはず。
しかし動きを封じるのみの攻撃に終わっている。
何故か。
敢えて生かす理由は何だ。
从 ゚∀从「あの」
ジュースを飲んでいたハインリッヒが軽く手を上げた。
- 25: 映画館経営(大分県) ::2007/04/03(火) 16:09:07.78 ID:QfbXw9x+0
- 从 ゚∀从「これは僕個人が勝手に感じたことなんですけど
何というか、渡辺さん達はこちらを攻撃するのを躊躇っている気がするんです」
川 ゚ -゚)「躊躇う?」
从 ゚∀从「細かいとこを言えば、躊躇っている人と躊躇っていない人がいるみたいな感じです。
例えば、ジープからミサイル撃った人は殺す気でいたんでしょうが
僕と戦ったヘリカルさんは『死ね』じゃなくて『負けろ』と言ってたんです。
だからというのもアレですが
彼女達は僕らを殺すことを良しとしていない……という感じなんですが」
( ^ω^)「…………」
頷けるような頷けないような。
何かが足りないと思えるような違和感。
心に引っかかるものがあるのだが、それが何か解らない。
川 ゚ -゚)「確かに不自然ではあるが……やはり理由が不明だとな」
ただの気まぐれという可能性もある。
ただ遊んでいるという可能性もある。
- 27: 映画館経営(大分県) ::2007/04/03(火) 16:10:44.65 ID:QfbXw9x+0
- ( ^ω^)「あ」
もう一つの情報を思い出した。
('A`)「どした?」
( ^ω^)「そういえば渡辺が言ってたお。
次に繋げる世界にはヒーローがいるって」
川 ゚ -゚)「ヒーロー?」
( ´_ゝ`)「何? 戦隊モノや何とか仮面がナチュラルに在る世界?
今からwktkが止まりません」
(´・ω・`)「ヒーロー……つまり英雄ってことだね」
( ゚∀゚)「何か神話じみてきやがったなぁ、おい」
('A`)「お前、神話が何か知ってんのか?」
( ゚∀゚)「んー、『ネーメの盾』とか『地翼ボイカス』とか?
俺的にはJAPANよりも、ロシアとかそこら辺の『アルタニフス・オーレン』とか好きだな」
(;'A`)(意外だ……)
- 30: 映画館経営(大分県) ::2007/04/03(火) 16:12:20.29 ID:QfbXw9x+0
- 川 ゚ -゚)「まさかそのヒーローとやらは、神話のような力を持っていたりするのだろうか」
( ´_ゝ`)「そうだとすれば間違いなく勝ち目ないな。
相手は竜を殺したり、世界焼き尽くしたり出来るってことだし」
兄者の言ったことを全員が想像する。
どの視点から見ても、最悪な方向へ行ってしまった。
(;^ω^)「……これはねぇお」
从;゚∀从「いや、まさか……でもハムスターは好きです」
('A`)「何を想像したんだ、お前は」
( ´_ゝ`)「しかしまぁ、神話通りの奴らが来るとは限らん。
そもそもこっちが大人しくしておけば平和だろう、結局のところは」
兄者の言葉に、少しだけクーが俯く。
( ^ω^)「…………」
そうなのだ。
結局のところ、こちらが面倒事に首を突っ込んでいるだけなのである。
- 32: 映画館経営(大分県) ::2007/04/03(火) 16:13:42.71 ID:QfbXw9x+0
- 何もしなければ何も起こることはない。
モララーも似たような理由で手を引いたのだろう。
今回の件は、どう見ても自分達の手には負えない。
更に言えば今の自分達に、身を削ってまで戦う理由など無い。
前回の出来事は、結局のところクーに振り回された結果であると思っている。
言い方は悪いが、クーのせいで関わった。
クーのせいで指輪に認められ、クーのせいで戦いに赴いた。
クーのことは確かに好きだが、彼女が原因になっているのは否定出来ない。
今回はどうだろうか。
クーはともかく、これこそ自分はまったく関係ないのではないか。
まったくその通りである。
( ^ω^)(……少し、考えた方が良いかもしれないお)
どうすれば良いのか解らない自分がいる。
大きな理由も無いのに関わっても結局、堅い芯を持っている渡辺達に適うことはない。
シャキン達の件で、ブーンは何処か確信していた。
――自分には向いていないのだと。
面倒事に首を突っ込み、ワケの解らないまま走り回り、怪我をして敗北。
今回の件を要約すればこんなものだ。
知っている渡辺達から見れば、迷惑この上ない。
- 34: 映画館経営(大分県) ::2007/04/03(火) 16:15:16.85 ID:QfbXw9x+0
- しかしクーは関わり合いを持とうとする。
親であるクルト博士のことを知りたいのか。
きっとそうなのだろう。
しかし、それがどうしたと言うのだ。
真実を知ってどうなると言うのだ。
先に待っているのは過酷な事実だろう。
夢や希望もない、この現実への醜い道筋だろう。
――知ったとしてどうなのだろうか。
自分は渡辺に『決めるために知る』と言った。
確かにその言に偽りは無い。
クーやハインリッヒも同じようなことを思っているはずだ。
だが、心のどこかで『もう嫌だ』と言っているのも事実だった。
痛い思いまでして知るメリットが無いからである。
- 35: 映画館経営(大分県) ::2007/04/03(火) 16:16:35.40 ID:QfbXw9x+0
- ( ^ω^)「…………」
(´・ω・`)「ブーン? どうしたの?」
(;^ω^)「え? あ、いや……何でもないお」
いつの間にか周囲が見えないまでに黙考していたらしい。
まったく、自分らしくない。
( ´_ゝ`)「さて、これからどうするかだな……」
川 ゚ -゚)「おそらく異変があるはずだ。
それを追えば、きっと何かにぶつかるはず――」
クーが真剣な目で語っている。
彼女が解らない。
むしろ怖い。
更に言えば『気味が悪い』とさえ思えた。
(;^ω^)(……何を思ってるんだお、僕は)
下らない。
何が?
クーやハインリッヒが?
真実が? 渡辺が?
( ^ω^)(……ワケ解んないお)
- 39: 映画館経営(大分県) ::2007/04/03(火) 16:17:38.46 ID:QfbXw9x+0
- 結局、自身への問いかけの答えが出ることはなかった。
そのことに苛立ちが募る。
結局この日、ブーンはほとんど話し合いに参加せずに終わってしまう。
ショボンが違和感に気付いているようだったが、何も言われることはなかった。
しかし、ブーンの心境に微かな変化がある。
それは俗に言うネガティヴで、非常に現実的な、いわゆる『普通の人間』としての訴え。
『特殊な状況』を知った者としての、悲痛な訴え。
――ただ平穏を望む、極々普通の心理だった。
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