( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです
- 153: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 13:56:12.76 ID:9kIeQKni0
- 活動グループ別現状一覧
( ^ω^) 川 ゚ -゚) 从 ゚∀从
所属:??世界・後継者
位置:都市ニューソク・内藤家
状況:平和な午後
从'ー'从 (#゚;;-゚) 川 -川 [゚д゚] <ヽ`∀´> *(‘‘)*
所属:機械世界・連合軍
位置:連合軍アジト
状況:不明
( ФωФ) (´・_ゝ・`) ( ・ω・)=つ
所属:機械世界・連合軍
位置:都市ニューソク
状況:ハインリッヒを拉致するために活動開始
(,,^Д^)
所属:世界運営政府・特殊部隊『ラウンジ』
位置:オーストラリア→JAPAN
状況:都市ニューソクへ移動
ノハ#゚ ゚) ┗(^o^ )┓
所属:英雄世界
位置:不明
状況:不明
- 155: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 13:57:46.14 ID:9kIeQKni0
- 第十三話 『狙われた最強』
(,,^Д^)「……こりゃ酷いな」
嫌でも目に入る惨状を見て、男は苦々しげに言う。
そこはまさに死屍累々と言った様相であった。
ここは世界運営政府が、都市ニューソクを監視するために作られた機密軍事施設。
存在すら知られてはならないこの場所では、血の匂いが充満していた。
警護していた兵士はおろか、非戦闘員のはずの情報部の者達でさえも殺されている。
灰色を基調としていたはずの床は、今や何処も彼処も真っ赤であった。
(゜3゜)「生存者はいません」
部下である田中が報告をする。
(,,^Д^)「何者だ……世界政府に喧嘩でも売っているつもりか?
そもそもこの施設の位置をどうやって知った?」
- 156: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 13:59:53.42 ID:9kIeQKni0
- 不自然な点はまだあった。
(,,^Д^)「何だ、これは……?」
足元に死体。
額に綺麗な穴を開けられているのだが
(゜3゜)「……弾が見当たりませんね」
死体を調査していた部下が言う。
状況を見る限り、敵と思われる集団は銃器を主に使用していた可能性が高い。
しかし、それを証明するための弾が一つも見付からないのだ。
(,,^Д^)「壁にも天井にも穴が開いているが、あれは――」
(゜3゜)「ラウンジが使用する専用の銃弾のみが発見されました。
それ以外の弾が見付かりません。
敵の銃はラウンジが使用するモノと同じ……というのも考え難いです」
どういうことだろうか。
銃を使用しているくせに、弾を使わないのだろうか。
空気銃などの一種ではないかという意見もあったが
今の技術では大掛かりな装置を使わねば、殺傷レベルの威力を出すなど不可能である。
- 157: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 14:01:20.62 ID:9kIeQKni0
- (,,^Д^)「槍や矢のような武器を使った可能性は?」
(゜3゜)「あり得ませんね」
死体を見下ろし
(゜3゜)「刺突のような攻撃で殺傷した場合、どうしても皮膚が内部に抉りこまれますし
貫通した際に肉がブチ撒けられるはずです」
田中の言葉に、足元の死体を見る。
(゜3゜)「しかし、死体を見てもそのような痕がないでしょう?
床を汚している血は、死亡後の流血によって発生したものです。
そもそも、そんな原始的な武装でこの施設を制圧するなど、自分には考えられませんよ」
(,,^Д^)「だろうな……」
イクヨリが懸念していたのは、この事なのだろうか。
何にせよ、何か得体の知れない武器を持っている可能性があった。
腰に下げている剣へ視線を向ける。
もしかしたら、意外にも早くコイツの出番が来たのかもしれない。
- 159: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 14:02:49.85 ID:9kIeQKni0
- (,,^Д^)「ところで、この施設から救援連絡はなかったのか?」
(゜3゜)「いえ、襲撃時と思われる時間に救援を呼んでいるらしいのですが……。
ワケの解らないことを叫ぶばかりで」
(,,^Д^)「ワケの解らないこと?」
(゜3゜)「『奴らは化け物だ』とか『両目傷の男が』などと喚くばかりですよ。
両目傷ってのは……まぁ、尻尾を掴みやすくなるでしょうが
僕的には使っていた武装の詳細を教えて欲しいものです」
肩を竦めて言う。
その態度に少しばかり苛立ちが募るも、しかし正論であった。
大きな組織になればなるほど連携は重要視される。
もちろん巨大な組織ほど味方同士の綻びは多くなるのだが、だからこそ互いの連携は重要である。
如何に己の命が危険に晒されようとも
有効な情報は生きている仲間に伝えるべきなのだ。
(,,^Д^)「まぁ、そういうケースもある」
諦め、顎に手をやる。
ここを襲撃した者達は既に消えていた。
つまり、この施設を制圧することが目的でないと言えるだろう。
- 160: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 14:04:32.87 ID:9kIeQKni0
- (,,^Д^)「この施設には、特に重要な情報などはないはず。
ならば何故、襲撃した……?」
(゜3゜)「ただの享楽?」
(,,^Д^)「馬鹿言え。 リスクが高過ぎる」
この襲撃は、解釈次第では世界を敵に回すようなものだ。
はっきりとした理由は解らぬが
(,,^Д^)「……どうやら、都市ニューソクに何か関係があるのだろうな」
(゜3゜)「そもそもここってニューソク監視用の施設ですしね。
ってか、何であそこは妙な連中が多いんでしょうか?」
(,,^Д^)「知るか。
とりあえず施設の復旧作業を始めるぞ。
我々『ラウンジ』は、ここを拠点に活動を開始する」
(゜3゜)「了解です」
軽い敬礼をして駆け出す田中。
(,,^Д^)(……妙な胸騒ぎがするな。
あの男も一枚噛んでいるのか……?)
- 161: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 14:06:04.45 ID:9kIeQKni0
- 闇に染まり始めた道路。
あまり人が住んでいない閑静な新築住宅街に、三つの人影。
ブーン、ハインリッヒ、クーだった。
彼らは買い物袋を手に下げ、談笑しながら歩いていく。
从 ゚∀从「いやぁ、『マジカル・ユン』の主題歌『一族郎党晒し首☆』が手に入って良かったです」
川 ゚ -゚)「私も『月刊:死体の上手い隠し方』を買えた。
お使いも良いものだな」
(;^ω^)(何か色々とんでもない物品だお……)
ブーンの肩にはバッグが一つ。
中には、汗にまみれた道着が入っている。
週に三度ある少林寺拳法の練習に行っていたのだ。
その帰りにお使いを頼まれたクー達と合流したのである。
あれから一日が経っていたが、未だに心のモヤは取れていない。
師に心の内を話そうかとも思ったが
あのオッサンは、きっと自分を殴り飛ばすに違いなかったので口にはしなかった。
- 162: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 14:07:28.73 ID:9kIeQKni0
- 練習の時に、何も考えずひたすら打ち込むのが好きだった。
しかし今日は色々な考えが浮かんでくるため、とてもじゃないが楽しめなかった。
( ^ω^)(何か悪循環だお……)
どうすれば良いのか。
結局のところ、関わらないのが一番なのだろうが。
思考した時間は一日だけだ。
しかしその短い期間の中で、ブーンの心境は確実に変化していた。
事なかれ主義とでも言うのだろうか。
様々な自信を失った彼は、今や完全にネガティヴな思考へと切り替わっていた。
と、そこで何かが背中を刺しt。
静電気のようなものが背筋を走る感覚。
視線だけで隣を見れば、クーの顔に緊張が走っているのが見える。
川 ゚ -゚)「……振り向くな」
从 ゚∀从「え?」
川 ゚ -゚)「尾行されているようだ……よくは解らんが」
クーが言うのだ。
間違いはないのだろう。
先ほどの静電気のようなものは、視線の一種だと今更ながらに理解する。
- 164: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 14:08:51.31 ID:9kIeQKni0
- (;^ω^)「どうするお?」
川 ゚ -゚)「出来れば捕らえて吐かせたいな。
関わるなと言った渡辺達とは思えないが、関連性があると見る」
まただ。
また自ら首を突っ込もうとする。
改めてその姿勢を見て異常だと思い、しかし否定する気持ちが湧く。
(;^ω^)(僕の方が異常なのかお……?)
川 ゚ -゚)「確か近くに公園があったな。
今の時間なら人もいなくなる頃だろう……誘き出すぞ」
彼女の目は真剣そのものだ。
何も意見を持っていないブーンが、文句を言えるわけがなかった。
聞こえないように溜息を吐いて歩く。
やがて見えてきた公園の中へ入り、その中心部で足を止めた。
川 ゚ -゚)「……やはり私達に何か用があるのか」
周囲から刺すような視線を感じる。
以前の自分なら気付くことさえ出来ないであろう気配を、今は確実に感じ取れるのだ。
いつの間にか鍛えられているのだ、と心の中で苦笑する。
- 165: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 14:10:13.54 ID:9kIeQKni0
- 川 ゚ -゚)「!」
動きがあった。
それは公園の入り口からだ。
( ФωФ)「よぉ」
クーと同じような黒コートの男。
両手はポケットへ突っ込まれており、隙だらけに見える。
しかし周囲に彼の仲間が潜んでいるのは明白だった。
川 ゚ -゚)「私達を何者か知っての尾行か」
( ФωФ)「尾行っつーか、襲撃っつーか。
とりあえずそこの女に用があるんだぜ」
その視線はハインリッヒへと向けられていた。
川 ゚ -゚)「……渡辺の関係者か」
( ФωФ)「あぁ? まぁそんな感じだな。
んなことどうでも良いから、そこの女よこせ」
川 ゚ -゚)「断る」
( ФωФ)「即答かよ。
んじゃあ、力尽くで貰って行くけど良いな?」
- 167: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 14:11:34.36 ID:9kIeQKni0
- 周囲の殺気が鋭くなる。
クーが隠し刀を取り出して構えた。
( ФωФ)「クハハ、そうブルブルと身構えるな。
囲ってリンチすんのは好きじゃねぇんだ。
部下は使わないでおいてやるよ」
男が軽く手を上げる。
途端、周囲の気配が一斉に消えた。
( ФωФ)「何つーの? やっぱり手に入れたいブツは自分の力で手に入れたいじゃん?
っつーわけで俺とタイマン張れよ」
川 ゚ -゚)「……信用出来ないな」
( ФωФ)「敵同士、信用するのもどうかと思うぜ?
んなもん映画の中だけにしておけよ」
今度は視線をブーンへ向けた。
( ФωФ)「おい、そこでビクビク女の陰に隠れてる小僧。
男を自負してんだったら俺と戦ってくれよ。
女殴るのは好きじゃねぇんだ」
- 168: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 14:12:41.06 ID:9kIeQKni0
- その言葉に、ブーンは頭の中で何かが切れたような音を聞く。
錯覚であろうが、行動の理由としては充分であった。
( ^ω^)「……解ったお」
川 ゚ -゚)「ブーン、誘いに乗るな。
罠の可能性が――」
(#^ω^)「うるさい!!」
川;゚ -゚)「……!?」
8th−Wを発動。
白色の光からグローブが現われる。
(#^ω^)「いきなり怒鳴って悪かったお。
でも、ここはちょっと僕に行かせてほしいんだお」
返事も聞かずに歩き出す。
( ФωФ)「おうおう、男らしいねぇ」
(#^ω^)「黙れお……」
苛立ちは最高潮まで達していた。
このムカつく野郎をぶん殴って、それでこの嫌な気持ちを発散しよう。
それが終われば、きっと自分は元に戻れているはずだ。
- 170: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 14:14:11.09 ID:9kIeQKni0
- ( ФωФ)「はっは! じゃあ行くぜ!」
男が両手をポケットから出して構える。
素手。
コートを見ても、重そうなモノ――例えば銃器などを隠している様子は無い。
ブーンも構えた。
両手にはクレティウス。
生身の敵を相手にするのは、少し反則気味だ。
しかし、そのようなことを考慮する慈悲の心など要らない。
(#^ω^)(ちょっとサンドバッグになってもらうお!)
駆け出す。
一歩目から全力。
敵目掛けて身を飛ばし、そのままの勢いで
( ФωФ)「ッ!?」
腹部に一撃。
それだけで終わらない。
相手の身体が浮いたことを確認し、更に一歩踏み出す。
衝撃。
アッパー気味に構えられた拳が男の顎を穿つ。
まるでバク転するような格好で吹っ飛んだ。
- 171: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 14:15:25.01 ID:9kIeQKni0
- 从;゚∀从「おぉ! 凄いです!」
ハインリッヒの声。
いつもなら、その声に応えることも出来ただろう。
しかし今はとてもそんな気分になれなかった。
とにかく殴りたい。
とにかく蹴り飛ばしたい。
このイライラを、腕の一本でも折って発散させたい。
何かドス黒いモヤが、ブーンの心にまとわり憑き始めた。
( ФωФ)「……クハハ」
仰向けに倒れていた男が起き上がる。
口の端から血を流し
( ФωФ)「いいねいいね、その稚拙な殺気」
(#^ω^)「そのムカつく口を潰してやるお!」
- 175: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 14:16:59.07 ID:9kIeQKni0
- 尚も突進。
接近の合間に、男はポケットへ手を突っ込んだ。
(#^ω^)「!?」
( ФωФ)「来いよ、馬鹿!
仕留められる時に仕留めないのは、大馬鹿がすることだぜ!」
(#^ω^)「嘗めんなッ!!」
拳が頬を直撃。
男の体勢が崩れた。
続けざまに足払い。
そして防御さえも出来ない状態の男に連打を叩き込む。
( ФωФ)「クハァ……たまんねぇなぁ!」
(#^ω^)「なっ――」
男の手に何かが握られている。
それは、先ほど取り出したのであろうブレスレッド。
光沢が一切無い黒色を発しており、綺麗というよりも先に不気味さが滲み出ていた。
それを軽い手付きで装着する。
- 177: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 14:18:14.79 ID:9kIeQKni0
- ( ФωФ)「その目に刻み込めよ! テメェを負かす相手の姿をな!」
黒光。
闇に溶け込むようなそれは
(;^ω^)「ウェポンの……!?」
色からしてみればフサギコの持つ3rd−Wだ。
しかし、何かが決定的に異なる。
光であって、しかし光でないのだ。
川;゚ -゚)「闇……!」
それは黒のカーテンとも言えた。
そのまま収束し、男の両腕に吸い込まれるように消えていく。
現われたのは
(;^ω^)「なっ……!?」
( ФωФ)「いいねいいね、その驚いた表情! クハハハハ!!」
漆黒のグローブを装着している男の姿だった。
- 179: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 14:19:29.26 ID:9kIeQKni0
- ( ФωФ)「驚いたぁ!? やっぱり驚くよなぁ!?
自分達だけが所有していると思ってたんだもんなぁ!」
激情の声は一瞬で氷点下まで下がる。
( ФωФ)「なら死ね」
衝撃。
鈍痛。
吐気。
三連続の刺激がブーンを襲った。
呆けていて隙を見せた鳩尾に相手の腕がめり込んだのだ。
(;^ω^)「うげぁ……!?」
思わず膝を折る。
まったく予想し得なかった攻撃は、見事に鳩尾深くまで突き込まれている。
痛みに悶える暇など無い。
すぐさま右鎖骨に痛みが走り、蹴られたのだと気付いた時には空が見えていた。
- 181: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 14:20:49.47 ID:9kIeQKni0
- 川;゚ -゚)「内藤!?」
(メ^ω^)「……来るなお!」
( ФωФ)「うるせぇんだよ馬鹿!」
(メ^ω^)「ごはっ!?」
蹴られ、地を転がる。
強化を受けているはずの身体が、いとも容易く吹き飛ばされるとは
(メ^ω^)「そのグローブは何だお……!?」
( ФωФ)「あぁ? テメェが持ってるのと似たようなもんさ」
(メ;^ω^)(ってことは、純粋に向こうのウェポンの力が強いってこと――)
( ФωФ)「勘違いすんじゃねぇぞ。
別に強化が、お前のよりも格段に強いってわけじゃねぇ」
(メ;^ω^)「え……?」
( ФωФ)「技術の差だよ、決定的なのは。
お前よりも俺の方が、純粋な身体の強さにおいて勝ってるってことだ。
知識も経験も――なぁ!」
(メ;^ω^)「うぐっ……!」
- 184: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 14:22:15.24 ID:9kIeQKni0
- 理解は出来る。
この状況の理由は、単に自分が弱いからだ。
如何に強力な力を持っていても、扱う人間が弱ければ話にならない。
例えば『一斬りで命を絶つ刀』を素人が持ったとしても
普通の刀を持った剣術の達人に勝てはしないだろう。
それと同じ状況なのである。
実のところ、感じる力はそれほどでもない。
モララーやギコを目の前にした時よりも、幾分か弱く感じられるほどだ。
しかし
( ФωФ)「おらよっ!」
脇腹を狙った回し蹴り。
速く、そして重い。
防御が出来たとしても、その衝撃によって強制的に隙を生み出されるだろう。
だから退く。
(メ;^ω^)「っ――!」
そのブーンを追うように拳が迫った。
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