( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

59: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:49:31.02 ID:h5MIUEZa0
  
限界を知るということは、戦略の取捨選択の材料として使える。

この程度の攻撃ならば回避する必要は無い。
あの程度の攻撃ならば防御する必要がある。

これだけでも解っていれば動きに大きな違いが出るのだ。

戦闘において一番恐ろしいものは『知らない』『解らない』である。
知らなければ予知さえ出来ないし、解らなければ対処のしようがない。

それと同じで
自分の限界を知らなければ、最高の力を発揮することなど出来ないのだ。

('、`*川「ってことで、今回は防御・耐久力を知ってちょうだい。
     どの程度まで耐えられるか、どのくらいまでの威力なら我慢出来るかとか」



61: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:51:03.22 ID:h5MIUEZa0
  
攻撃にも種類がある。

例えば、『掌底』などは打ち抜き系だ。
威力を与えるのではなく、相手の背後までに突き抜く技。
連打は不可能だが、簡単な動作で相手を吹き飛ばしたりも出来る。

『手撃』という技もある。
掌を相手に押し付けて発動させるものであるが
これは基本的に内臓などの、身体内部を破壊するために用いられる。
使い難いが、防御の手段が少ないという玄人向けの技だ。

『拳打』や『蹴込』などは基本的な殴打系に分類される。
力任せの攻撃で、外傷目的で使われることが多い。
格闘といえば、基本はこれだ。

('、`*川「あとは『目打』や『金的』みたいな急所を狙う技もあるわね」

( ^ω^)「お? 大体は急所を狙って攻撃するんじゃないんですかお?」

('、`*川「あれは一つの技で色んな場所を狙うでしょ?
     目打や金的は、その部位のみの攻撃を目的とした、いわば専用攻撃みたいなものかな」

応用性がなく、察知されやすいが
当たれば一撃必殺に近い効果を得ることも出来る。



63: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:52:52.30 ID:h5MIUEZa0
  
('、`*川「んで、それらを混ぜてコンビネーション化した『連撃』だね」

腰や肩の捻り、足首の配置などを考慮した『連続打撃』のことだ。
リズム良く刻むのは難しいが、これが出来るようになると一方的に攻撃することも可能である。

( ^ω^)「それなら一応は出来ますお」

('、`*川「君は出来て当然。
     ここで問われるのは、どのくらい耐えられるかだね」

(;^ω^)「それを知るために僕は殴りまくられるわけですかお……」

確かに納得出来る理論ではあるが
やはり自分が殴られるのに快くOKなど出せるわけがない。
そんなのドMな奴だけだ。

('、`*川「もちろん色んな攻撃混ぜてみるつもり。
     ま、期待しててよ」

文句を言いたい気持ちを押さえつけながら

(;^ω^)「で、では御願いしますお」

('、`*川「まっかせなさぁーい」

拳をペキペキと音立てながら歩み寄ってくるペニサス。
地獄が始まった。



66: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:55:33.70 ID:h5MIUEZa0
  
<_プー゚)フ「あれ? シャキンじゃん」

(`・ω・´)「お前ら……」

FC七階部。
訓練室へ向かっていたギコ達は、情報管理課から移動していたシャキンと合流した。

(`・ω・´)「Bチームの話が終わったから、そちらに向かっていたのだが。
      確か四階じゃなかったか?」

( ,,゚Д゚)「もうこちらの話も大体終わった。
     席を外していた内藤達にも伝えようと、移動していたところだ」

(`・ω・´)「そうか」

(#゚;;-゚)「訓練室ってあれ?」

軍神の声に、三人が視線を向ける。
七階部のほとんどを支配している空間への扉があった。
見るからに頑丈だが

<_;プー゚)フ「……尋常じゃない熱気を感じる件について」

(#゚;;-゚)「心地えぇなぁ」

(`・ω・´)「あそこに内藤とペニサスがいるのか」

( ,,゚Д゚)「……開けてはならん気がするが、とりあえず行くしかあるまい」



67: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:57:02.14 ID:h5MIUEZa0
  
先を歩いていたエクストが扉に手を掛け、開いた。

まず見えたのは拳の残像。
そしてボロボロのサンドバッグ。
いや、あれは――

('、`*川「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」

(#)#)ω(#(#)「くぁwsでrftgyふじこlp;@:!!?」

ペニサスが発する超高速の連打がブーンに襲いかかっていた。
もはや彼の身体は、拳によって空中に固定され
為すがままに殴られ続けている。

一瞬、四人が唖然とする。
我を取り戻したエクストが

<_;プー゚)フ「すげぇ! 現行殺人の現場だ!」

(#゚;;-゚)「えぇ音……惚れ惚れするなぁ」

見当違いなコメントが出ている間にも、殴打音が連続で響き続けている。



68: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:58:29.96 ID:h5MIUEZa0
  
(`・ω・´)「止めなくていいのか?」

( ,,゚Д゚)「本人らが望んでやっているのなら、止めるなど無粋だろう」

<_;プー゚)フ「望んでやってるってんなら相当のSM好きだろ……」

( ,,゚Д゚)「一応、クレティウスを装着しているみたいだな。
     死ぬことはないだろう」

(#゚;;-゚)「で、どうするん?」

( ,,゚Д゚)「先ほど決めた項目を載せた資料がある。
     ここに置いておけば、後で目を通すだろうよ……生きていれば」

入り口近くにあったベンチに紙束を置く。
四人はブーンに生暖かい視線を送りながら、激音が響く訓練室を後にした。



71: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 18:00:19.19 ID:h5MIUEZa0
  
―Dチーム―

Bチームの話を終えた渡辺と兄者は、その足で地下へ向かった。

( ´_ゝ`)「そういや、ここに入ったのは初めてだな……」

从'ー'从「そうなんだ?」

歩きつつ、兄者がキョロキョロと薄暗い通路を見渡した。
釣られるように渡辺も首を動かす。

現在位置、地下二階。
FCの地下施設は四階まで存在していた。
主に兵器開発や実験研究に使われ、下に行くほど機密レベルが高まるらしい。

モララーの話では、『老人共』と呼ばれる科学者達が
自由気ままに研究を繰り返しているらしい。
ジェイルの特殊兵装もここで生まれたものだ。

( ´_ゝ`)「えーっと……あ、ここだな」

視線の先には、札に『資料室』と表記された鉄扉。
開くと、薄暗い空間の中にいくつかの人影が見えた。



73: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 18:02:13.01 ID:h5MIUEZa0
  
[゚д゚]「遅ぇぞ」

FC兵に見張られ、機嫌悪そうにしているデフラグだ。
そして隣には白衣を着た老人が椅子に座っている。

从'ー'从「これでも結構急いだんだけどなぁ」

(-@ハ@)「ほほう、アンタも異世界の人か……めんこいのぅ」

( ´_ゝ`)「ってか誰よ?」

(-@ハ@)「ワシは『アサヒ』という、ただの老人じゃよ。
      ちょっくら未知のモノに興味津々なだけのな」

( ´_ゝ`)「アンタがモララーが言ってた『老人共』の一人ってわけか」

(-@ハ@)「おうおう、年寄り扱いはいかんのぅ小僧」

(;´_ゝ`)「自分で老人って言ったじゃん」

(-@ハ@)「あぁ? 何だってぇ? この歳になると耳が遠くていかんなぁ」

( ´_ゝ`)「コイツぶん殴っていいかな?」

[゚д゚]「やめとけやめとけ……ジジイ殴って良いことなんて一個もねぇよ」

溜息を吐きつつ、デフラグは悟ったような口調で兄者を止めた。
どうやら既に被害者らしい。



74: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 18:03:35.86 ID:h5MIUEZa0
  
既に資料や飲み物が用意された古い机の周囲に、皆が着席する。
少しの白髭を蓄えたアサヒが

(-@ハ@)「社長が言うには面白いことを聞かせてくれるらしいのぅ。
      そりゃもしかして、ウェポンとやらに関係してるんかい?」

从'ー'从「うん、まぁね。
      今から貴方達に説明するのは『魔力』という特殊な力についてだよ」

( ´_ゝ`)「何つか、俺には定義がよく解らんのだ。
      それは一体何なんだ? どんな用途で使われるんだ?」

从'ー'从「そこが魔力の特筆すべき点。
      実は決まった定義なんて特になくて、色々なことに使えるの」

(-@ハ@)「そんな便利なモノがあるのか……続けてみぃ」

アサヒは興味を持ったようだ。
続きを促がされ、渡辺は頷きながら話を続ける。

从'ー'从「魔力という力は、魔粒子と呼ばれる目に見えない粒子の集まり。
      で、その魔粒子はルイルから生み出されているわけ」

( ´_ゝ`)「だからこの世界に魔力……いや、魔粒子が存在しないんだな」



76: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 18:05:25.40 ID:h5MIUEZa0
  
(-@ハ@)「その目に見えないほど小さな魔粒子ってのは
       どうやって集めるんじゃ?」

从'ー'从「その方法は後で教えてあげる。
      だから今は、その特性について説明するね」

机の上にあった金属片を手に取る。
すぐに兄者が正体に気付いた。

( ´_ゝ`)「それは、炎上爆発したGDFって戦闘機から回収された……?」

渡辺が手に持ったのは一本の剣。
それはかつて、ラミュタスが使用していたブレードだった。
しかしその刀身は半分以上が損失しており、全体的に焼けただれている。
とても使えるようには見えない。

从'ー'从「魔粒子を一定以上集めてコンパクト化したモノを
      『マジックカートリッジ』と言ってね……これだよ」

柄尻のギミックを動かす。
内部から、いくつかの乾電池に似た円筒が転がり出てきた。

(-@ハ@)「ほほぅ……薬莢みたいなもんか」

从'ー'从「魔粒子を集めて詰め込んだ状態が、これだね」



77: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 18:07:39.90 ID:h5MIUEZa0
  
( ´_ゝ`)「そのマジックカートリッジがどうなるんだ?」

从'ー'从「この高密度状態を瞬間圧縮して、衝撃を与えた時に『魔力』は力を発揮する。
      条件が厳しい感じだけど、その効果は物理法則を捻じ曲げるんだ」

(-@ハ@)「物理法則をぉ? 信じられんのぅ」

从'ー'从「というわけで、実際にその目で見てもらいまーす」

マジックカートリッジをブレードに叩き込む。
軽い金属音が響いた。
刀身と柄の間にある小さなトリガーに指を掛け

从'ー'从「何か壊して良い物あるかな? 出来るだけ強固なのがいいけど」

(-@ハ@)「これなんてどうじゃ?」

部下に目配せし、『これ』を持ってこさせる。

( ´_ゝ`)「おー、何て御都合主義」

部下が五人掛かりで持ってきたのは巨大な鉄の塊だった。
見た感じ用途不明で、強いて言えば破壊実験に使われそうな
そんな、意味を見出せない物体だ。

(-@ハ@)「フヒヒ、流石にこの鉄塊を壊すなんて出来まいて」

( ´_ゝ`)「うわぁー、すげぇありがちなフラグだぁー(棒読み)」



78: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 18:09:19.36 ID:h5MIUEZa0
  
从'ー'从「いきまーす」

カチン、とトリガーを引き込む。
微かに耳鳴りのような甲高い音が発生し
柄尻からマジックカートリッジが勢い良く吐き出された。

( ´_ゝ`)(……ふむ?)

完全に朽ちたはずの刀身に
何か命のようなモノが宿ったようにも見える。
言うなればオーラのような、そんな胡散臭い何かを感じた。

从'ー'从「えいっ!」

振り下ろす。
鉄塊に触れた途端

(;´_ゝ`)「おわっ!?」

(;-@ハ@)「フォォォォ!?」

激音と共に、鉄の塊が完全に『粉砕』した。
何十もの鉄屑に分散し、破片をその場にぶちまける。

渡辺とデフラグ以外の人間が目を丸くして驚いた。



80: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 18:11:10.79 ID:h5MIUEZa0
  
(;´_ゝ`)「す、すげぇ……!」

あんなひ弱な攻撃で、あんな強固っぽい鉄塊を破砕した。
つまり『魔力』という存在が、それだけ強大だということである。

从'ー'从「条件そろえるのに、それなりの技術や材料が必要だけど
      それさえクリアすればこの通り。
      本来は戦闘なんてしない私でも、こんな芸当が可能なの」

(;-@ハ@)「こりゃ凄いのぅ……」

(;´_ゝ`)「原理はどうなってんだ?」

从'ー'从「言ったでしょ? 魔力は物理法則を捻じ曲げるって。
      ちなみに今のは『砕』の魔力を用いた一撃だね」

言葉からするに、魔粒子にはいくつか種類があるらしい。

『震』『貫』『砕』『斥』『引』『勢』『衰』の七つの属性が存在しており
それぞれに、与える効果が異なるという。

从'ー'从「今のは『砕』の効果だから、あの鉄塊が粉砕したってわけ。
      『貫』だったら貫通しているだろうし……内藤君が見たのも、それだね」

( ´_ゝ`)「なるほど……対象の硬度に関係なく効果を適用させるのか」

(-@ハ@)「確かに物理法則を捻じ曲げておるのぅ」



82: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 18:12:49.13 ID:h5MIUEZa0
  
从'ー'从「で、先ほどアサヒさんが言った通り
      この魔力はウェポンという武具にも使用されてるの」

1st−Wは『引』、2nd−Wは『砕』、3rd−Wは『勢』、4th−Wも『勢』、5th−Wは『貫』
6th−Wは『勢』、7th−Wは『震』、8th−Wは『勢』、9th−Wは『勢』と『衰』
10th−Wは『引』と『震』、11th−Wは『衰』、12th−Wは『斥』、13th−Wは『砕』と『勢』――

二つの属性を持つものは、威力などが少し劣っているらしい。

( ´_ゝ`)「ふーむ……そう考えれば、ほとんどのウェポンの説明がつくな」

(-@ハ@)「じゃが、そのエネルギーは無限ではないじゃろ?
      先ほどの一撃で使用されたマジックカートリッジには既に魔力が入っていない。
      つまり魔力とは、無限ではなく有限エネルギーのはず」

从'ー'从「うんうん」

(-@ハ@)「だったらウェポンにも使用限度があるのかの?」

从'ー'从「そこがウェポンの特殊な部分だね」

細く白い指を一本立てる。

从'ー'从「質問です。
      ウェポンを使用する際に、体力や精神力が必要なわけですが
      それは何故でしょう?」



83: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 18:15:17.15 ID:h5MIUEZa0
  
( ´_ゝ`)「うーん?
      やっぱり力を引き出すには
      それなりのモノを代価として差し出さねばならんのじゃね?」

从'ー'从「ぶぶー、ハズレ。
      正解は魔力のコーティングでした」

( ´_ゝ`)「?」

言葉に疑問を持ち、周囲を見渡す。
やはり渡辺とデフラグ以外が首を振った。

从'ー'从「人間の生命力を『膜』として魔力の漏洩を防ぐ。
      体力と精神力さえあれば、半永久的にウェポンの力を行使出来る理由だよ」

( ´_ゝ`)「リサイクル主義万歳だな」

从'ー'从「その辺の詳しい話は後にして。
      まずはこの魔力を用いた攻撃を防ぐ術の件についてだね」

( ´_ゝ`)「やっぱあるんだな?」

从'ー'从「うん、それを証明するために魔力が必要だね。
      あと肝心な防御手段にも使用するんだけど――」



84: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 18:16:31.38 ID:h5MIUEZa0
  
朽ちたブレードを操作する。
柄尻が展開し、二つのマジックカートリッジが転がり落ちてきた。
それを掌に乗せ

从'ー'从「ぶっちゃけ、この二つ程度じゃ足りないんだよね」

(;´_ゝ`)「は?」

兄者が素っ頓狂な声を上げる。
その言葉の意味が、『足りないから無理です』と言っているようなものだったからだ。

技術研究・戦力強化を主とするDチーム。
その行く先は前途多難らしい。



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