( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

2: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 14:19:55.01 ID:O+X6LG5W0
  
活動グループ別現状一覧

( ・∀・) 爪゚ -゚)
所属:??世界
位置:FC十四階・社長室
状況:不明

( ゚д゚ ) ( ゚∀゚) ('A`)
所属:??世界・Aチーム@
位置:隣都市
状況:僕達は餌

川 ゚ -゚) 从 ゚∀从
所属:??世界・AチームA
位置:FC五階・会議室
状況:私達は釣り人

(´・ω・`)
所属:??世界・Bチーム
位置:FC九階・情報管理課
状況:情報収集



4: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 14:21:37.58 ID:O+X6LG5W0
  
( ^ω^) ('、`*川
所属:??世界・Cチーム@
位置:FC七階・訓練室
状況:暴打フォン

( ,,゚Д゚) (#゚;;-゚) <_プー゚)フ (`・ω・´)
所属:??世界・CチームA
位置:FC四階・総合兵軍課
状況:警備の日々

从'ー'从 ( ´_ゝ`) [゚д゚] (-@ハ@)
所属:??世界・Dチーム
位置:FC地下二階・資料室
状況:アレレー?魔力足リナイヨー?

( ФωФ) (´・_ゝ・`) ( ・ω・)=つ  <ヽ`∀´> *(‘‘)*
川 -川 ξ゚听)ξ (,,^Д^) (゜3゜)
所属:機械世界・アギルト連合軍
位置:連合軍アジト
状況:不明

ミ,,"Д゚彡
所属:??世界・アストクフル家執事
位置:FC別棟・病室
状況:意識不明

ノハ#゚  ゚) ┗(^o^ )┓
所属:英雄世界
位置:不明
状況:不明



8: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 14:24:28.72 ID:O+X6LG5W0
  
第十八話 『闘争への布石』

午後五時。
FCが存在する街中の小さなファミレス。
まだあまり人がいない店内にて、疲労の溜息が聞こえた。

(;'A`)「くはぁー……疲れたぜー」

ドカ、と勢い良く椅子に座るのはドクオだ。
それに倣うように

(;゚∀゚)「オレンジジュースくれー」

( ゚д゚ )「アイスコーヒー」

ジョルジュとミルナが口々に言いながら座る。
適当に飲み物を注文してから、三人は同時に溜息を吐いた。

( ゚д゚ )「今日も進展がなかったな」

(;'A`)「もう慣れっこッスけどね」



9: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 14:26:06.10 ID:O+X6LG5W0
  
現在、四チームが行動を開始して一週間が経過している。
その中で最も役に立っていないのは、このAチームだった。

毎日のように外へ出て、ほとんど情報を得ずに帰ってくる。
そんな調子で七日という時間が経過してしまっていた。

最初は『頑張ろう』などと励まし合っていた彼らだが
もはやこのような状況になってくると、出てくるのは諦めの言葉ばかりである。

(;゚∀゚)「最近さ、FCに帰るのが嫌なんだけど。
    たまにはデカい顔して帰ってみてぇなぁー」

('A`)「お前も空気くらいは読めたのか……意外だ」

( ゚д゚ )「二人とも考え過ぎだ。
     流石に『役立たず』などと思う奴など……仲間の中に、いないだろう?」

(;'A`)「頼むから疑問系はやめて下さい、泣きたくなるから」



10: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 14:27:59.84 ID:O+X6LG5W0
  
再度、三人が溜息を吐く。

( ゚∀゚)「ってか、何で街中でしか動かねぇわけ?
     もっと山の中とか人気のねぇ場所の方が、囮になるだろー?」

('A`)「調査・情報収集という名目で人気のない山の中へ行く。
    どう見ても囮です、本当にありがとうございました」

( ゚∀゚)「お? どういたしまして?」

(#'A`)「…………」

( ゚д゚ )「俺達はあくまでも『外部調査班』。
     調査という姿勢を崩すのは、怪しまれるから駄目だ」

(;゚∀゚)「めんどくせぇー」

ウエイトレスが注文の品を運んできた。
一日中歩き回り、疲労困憊の表情を浮かべる三人を訝しげに見ながら
ジュースやコーヒーをテーブルの上に置いていく。

( ゚д゚ )「さて、そろそろ定時連絡の時間だな」

コーヒーを一口飲み、ミルナは携帯電話を取り出した。
情報を統括するモララーと、Aチームのリーダーであるクーに報告をするためだ。



12: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 14:29:42.01 ID:O+X6LG5W0
  
その姿を横目に、ドクオはコーヒーにミルクを入れる。
ブラックも嫌いではないが、やはりコーヒーにはミルクが必須だ。

( ゚∀゚)「そういやさ」

('A`)「あん?」

オレンジジュースを飲んでいたジョルジュが話しかけてきた。

( ゚∀゚)「お前、何でこの件に関わってんだ?
     ぶっちゃけ知らん顔してても構わねぇわけだろ?」

どうやら本来の意味が解っているらしい。
あのホワイトボードの一件は
己の手で関わるかどうかを見定めるための、いわば儀式的な側面を持っているのだ。

( ゚∀゚)「前の時みたいに『友達のため』とか、そんな感じなのか?」

('A`)「誰から聞いたんだよ、そんな恥ずい話……。
   っつか、自分の世界がピンチかもしれねぇってのに黙ってシカト出来るか?」

( ゚∀゚)「俺ならするね」

('A`)「は? 言葉と行動が矛盾してるだろ……常識的に考えて」



13: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 14:31:15.36 ID:O+X6LG5W0
  
( ゚∀゚)「退けない理由みてぇなのがあるわけよ。
     本当は俺だって、こんな面倒なことに関わりたくねぇさ」

('A`)「お前に理由があったのか……これまた意外だ。
   とりあえず興味本位で聞いてやるよ」

表面ではクールぶっているドクオであるが、心中は穏やかではない。

自分の行動理由が安定していないのは事実。
それを意外な人物に指摘されたこともだが、ジョルジュ本人に戦う理由があるという事実を
ドクオ自身、どこかで信じられなかったのだ。

(;'A`)(くっそぉ……流される者同士だと思ってたのに)

戦う理由がないわけではない。
しかし、それが戦う理由なのかと問われれば……。

思い悩むドクオを知ってか知らずか、ジョルジュは語り始める。

( ゚∀゚)「俺さー、バーボンハウスが好きなんだ」

('A`)「……は?」



14: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 14:33:05.27 ID:O+X6LG5W0
  
意外だった。
ショボンが言うのなら解るが、よりによってジョルジュの口から出たのだ。

(;'A`)「え? だ、だって……お前、ショボンに嫌われてんじゃん?」

( ゚∀゚)「いや、俺だってショボンは嫌いだぜ?
     でも何つーか……居心地がいいんだよ」

これも意外だった。
自由奔放な彼が、束縛され得る場所を選んでいるのだ。
更にはあの変態もいるというのに。

( ゚∀゚)「ぶっちゃけ楽しいんだよな。
     早起きして、接客して、飯食って、寝て、たまに買い物行ってさ」

('A`)「ただの住み込みアルバイトじゃん」

( ゚∀゚)「んー……俺、ちゃんとした人間じゃねぇのは知ってるよな?」

('A`)「……知ってる」

ジョルジュは人造人間だ。
しかも役目を与えられたクーやハインリッヒとは異なる、実験作のような存在。
今更だが、もしかすれば仲間の中で一番存在が危ういかもしれない。



16: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 14:34:48.28 ID:O+X6LG5W0
  
( ゚∀゚)「んでもって馬鹿だろ?
     だから、昔から利用されっぱなしだったんだ」

決して過去を語ることをしなかった現状主義の男が
何故か、少しだけ過去を明かし始める。

( ゚∀゚)「それでも運動神経やらそこら辺は他の奴よりも良くて……そういう誇れるモンがあった。
     ま、それがあったから利用されてたんだけどな」

('A`)「利用って……例えば?」

( ゚∀゚)「お前らから見ての『裏仕事』ってヤツだ。
     下手に運動出来たから窃盗や殺しとか……あんまり良いもんじゃねぇ。
     結局、荒巻の野郎も俺を駒と見なして接触したみたいだしな」

('A`)「…………」

( ゚∀゚)「俺とお前らが戦ってた頃……よく『殺したい』とか言ってたじゃん?」

('A`)「何か薬でもやってんのかと思ってた」

(;゚∀゚)「うるせぇやるかボケ」

悪態を吐きながらストローを口へ。
そのまま音を立てながら中身を吸い込み、笑みを浮かべ

( ゚∀゚)「俺、馬鹿だったからさー……殺したりすれば構ってもらえるとか思ってたんだよな」



17: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 14:36:32.14 ID:O+X6LG5W0
  
( ゚∀゚)「笑えるだろ?
     あん時の俺は、殺すか殴るか盗むくらいしか考え付かなかったんだぜ?」

心底おかしそうに笑い始めるジョルジュ。
しかしその下品な声の中に、少しだけ負の色が見え隠れてしていたのを
ドクオは見逃せなかった。

(;'A`)(笑えるかアホ……)

その彼がバーボンハウスを気に入っている。
理由はひどく簡単なものだった。

( ゚∀゚)「いや、何つーか……居てもいいっていう雰囲気が好きなんだ。
     必要とはされてねぇかもしんねぇけどさ」

('A`)「そういうネガティヴな思考はやめとけ」

( ゚∀゚)「んぁ、まったくだなー」

('A`)「ってことは、お前はバーボンハウスのために……?」

( ゚∀゚)「そういうことになるわな。
     俺は俺の生きたい場所を取り返すために戦ってるみてぇなモンさ」



19: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 14:38:18.40 ID:O+X6LG5W0
  
肩を竦めつつ軽い笑いを見せ

( ゚∀゚)「くだらねぇだろ?」

('A`)「……くだらなくねぇよ」

( ゚∀゚)「ま、俺はそんな感じで戦ってるってこった、今はな。
     こういう下らねぇ理由で命張ってるアホもいるんだぜ」

――あぁ、そういうことか。

昔の彼が見せていた残虐性は、以前から利用されていた事による反動のようなもの。
『それ』しか知らない彼の、無意識でのSOSだったのかもしれない。
しかし、今のジョルジュは『それ』から解放されている。

('A`)(最近、際立って馬鹿になってきたとか思ってたけど……)

もしかしたら、単に本来の性格が出てきただけなのかもしれない。
目の前にいるのが本当のジョルジュであって、昔の彼は仮面を被っていたようなものだ。

('A`)「なるほどなぁ……」

ドクオは、ジョルジュに対する見方を改め始めた。
後でショボンにも話しておこうと思う。



20: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 14:40:10.76 ID:O+X6LG5W0
  
( ゚∀゚)「あ、何か頼んでいい? 腹減った」

答えを聞く前に注文を始める。
その姿に呆れつつ、しかし納得しながら

('A`)「ジョルジュ」

(;゚∀゚)「あ? やっぱ勝手に注文したらマズかった?」

(;'A`)「いや、代金はミルナさんのサイフから出るから別にいいんだけど。
    じゃなくてだな……えーっと」

頭を少し掻き

('A`)「ありがとな」



( ゚∀゚)「……は?」



21: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 14:41:13.35 ID:O+X6LG5W0
  
心底不思議そうなに首を傾げるジョルジュ。
その間抜けな表情から察するに

……こいつ、何も考えてねぇ。

馬鹿馬鹿しくなったドクオは、意地の悪い笑みを浮かべながら

('∀`)「何かその軽い動機を聞いたら安心したぜwwwwww
    下には下がいるんだなってよwwwwwwww」

( ゚∀゚)「てめぇwwwwwwwww」

( ゚д゚ )「何だ? 何かあったのか?」

連絡を終えたミルナが、不思議そうにこちらを見る。

('A`)「いやいや、別に何もねぇッスよ。
    ちょっと戦う理由みたいな、ありがちなことについて話してただけッス」



23: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 14:42:39.09 ID:O+X6LG5W0
  
( ゚∀゚)「そういやミルナも何か理由があるっつってたな。
     ロマネスクって奴じゃなくて、フェンリルの方に」

( ゚д゚ )「……まぁ、な」

声のトーンが明らかに落ちる。
触れてはマズい話題だったらしい。
ドクオが慌てて他の話題を出そうとした瞬間

( ゚∀゚)「おーっしゃ、俺様に聞かせてみろよ!」

空気の読めない男二号が胸を張って言ってしまった。
ちなみに一号は兄者である。

(;'A`)「馬鹿! 空気嫁って!」

( ゚д゚ )「いや、別に隠していたいわけでもない。
     時間も余っているようだから軽く話しておこう。
     俺のことも少しは知っておいてほしいしな」

ミルナが姿勢を変える。
両肘をテーブルの上に乗せ、少し俯いた状態だ。
明らかに雰囲気が変わったのを感じ取り、ドクオとジョルジュも背筋を伸ばした。

(;゚∀゚)(やっべ、こんな空気になるんなら言わなきゃよかった……)

(;'A`)(最悪だな、お前)



24: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 14:44:45.46 ID:O+X6LG5W0
  
聞こえぬ声でヒソヒソと話す二人。
知ってか知らずか、ミルナはポツリと語り始めた。

( ゚д゚ )「いつか説明した通り、俺は今から二年ほど前……『業名の儀式』という試練を受けた。
     そして英雄神に合格をもらって、英雄となった」

『騎士王』という業名を授かったらしい。
守護の天才とまで謳われるほどの才能を持っていたミルナ。
しかし

( ゚д゚ )「その試練は俺一人だったら絶対に受からなかっただろうと、今でも思っている」

('A`)「ミルナさんほどの人でも難しい試練だったんスか?」

( ゚д゚ )「確かに難しかった。
     だがそれ以上に、支えてくれる人がいたから俺は試練に打ち勝てたんだ」



27: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 14:46:37.12 ID:O+X6LG5W0
  
ヒート。
それがミルナを支えてくれた彼女の名だった。
赤茶色の美しい長髪を持ち、明るく気高い性格の太陽のような女性。

業名は『蜘蛛姫』。
激流といえる攻撃性を示した業名。

『騎士王』と『蜘蛛姫』の名は、わずか半年ほどで世界に知れ渡ることとなる。
それだけの才能と気概を持っていたのだ。

( ゚∀゚)「恋人?」

( ゚д゚ )「別にそういう関係ではなかった。
     アイツは、恋沙汰なんかよりも強さを純粋に求めていたからな」

しかし、と言い

( ゚д゚ )「俺は確かに彼女が好きだった……多分、今も」

( ゚∀゚)「そんな熱の篭った目でこっち見んな」

(;゚д゚ )「む……すまん」



31: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 14:48:20.69 ID:O+X6LG5W0
  
少し落ち込んだ様子のミルナを、ドクオは半ば感心しながら見ていた。

一週間一緒にいて解ったのだが、この男はいつも真っ直ぐなのだ。
街を歩き回る時も、何も得られないでFCに帰還する時、定時連絡の時も、話し合いの時も。

常に目は前を見て、物怖じせずに誰とも話す。

その会話の中にはジョークや世間話のような類はなく
ただ事実を、言うべきことしか言わない。

今の好意の言葉も、本当にそう思っているからこそ言えるのだろう。
彼の心には『恥』や『照』などといった要素がないのだ。

('A`)(すげぇ……)

フラフラと迷っている自分とは大違いである。
気概も、立場も、己の歴史も。



32: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 14:49:49.40 ID:O+X6LG5W0
  
( ゚∀゚)「で、有名になってどうなったんだ?」

( ゚д゚ )「俺達はその後、イリミリルという傭兵軍隊へ入った。
     平和に暮らす人々に害為す、ヴァラシャ島に現われた異形生物を倒すために」

それは狼型の化け物だった。
群れを成し、鋭利な爪跡、鉄さえ貫く牙を持つ。
証明するように、ヴァラシャ島にあった村が一晩で消えてしまった。

危険と判断した英雄達は、討伐するためにイリミリル軍を差し向ける。

己の力を人のために、と思っていたミルナとヒートが
イリミリル軍へ入隊したのは当然のことであった。

(;'A`)「ってか、異形生物って……まさか……」

( ゚д゚ )「あぁ、『フェンリル』だ。
    当時の俺らは知らなかったのだがな」

渡辺が言っていた言葉を思い出す。
機械世界に居座っている本隊とは別の分隊が、英雄世界に現われたのだ、と。



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