( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです
- 34: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 14:51:33.44 ID:O+X6LG5W0
- 既にミルナはフェンリルと関係を持っていたのだ。
しかも言葉からするに、戦闘さえも経験している。
( ゚д゚ )「俺が思うに決して弱くはない。
獣特有の俊敏な動き、気配察知、攻撃力……どれも人間を超えている」
(;'A`)「それで群れてるんスか……」
大量の狼が津波のように襲ってくる様子を想像する。
真正面からでは、どうにも勝てない気がした。
( ゚д゚ )「まぁ、対策の方はDチーム辺りが立ててくれるだろう」
フェンリルを知っている渡辺や、長年戦い続けていた軍神がこちらにいる。
もし戦うことになった場合でも何とかなるのだろうか。
('A`)(…………)
なると思いたい。
( ゚∀゚)「じゃあ、そのフェンリルと戦ってたのが理由なのか?」
ジョルジュの問いにミルナが首を振る。
( ゚д゚ )「イリミリルに入ってから数ヶ月、俺達はフェンリルと散発的に戦い続けた。
そしてあれは半年後くらいか……」
- 37: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 14:53:08.81 ID:O+X6LG5W0
- 溜め込むように息を吸い込む。
少しだけ過去を思い出すような表情をした後
( ゚д゚ )「……ある冬の日、ヒートが俺の隣からいなくなった」
(;'A`)「え?」
あの時に限ってミルナは、ヒートとは別の戦場で戦っていた。
早朝に戦闘を開始し、彼女が行方不明となった知らせを聞いたのは夕方。
戦場を信頼する部下に任せ、ミルナはヒートが戦っていた場所へ急いだ。
既に捜索は始まっていた。
居ても立ってもいられなかったミルナは、捜索隊に混じって延々と捜し歩いた。
最終的に彼は、体力が切れて気絶していたところを部下達に発見されることとなる。
( ゚д゚ )「結局、俺はヒートを見つけることが出来なかった。
あれから一年近く経っている今もな」
('A`)「そんな……」
( ゚д゚ )「そして一つの結論に辿り着いた」
(;゚∀゚)「まさかそれって――」
( ゚д゚ )「あぁ……アイツは、フェンリルに連れ去れたのだ、とな」
- 38: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 14:55:01.03 ID:O+X6LG5W0
- FC最上階に存在する社長室。
いつもの景色の中、いつもの社長が茶を飲み、いつもの秘書が報告を開始していた。
爪゚ -゚)「それぞれのチームからの総合報告です。
それと茶菓子です」
( ・∀・)「いつもすまないね」
爪゚ -゚)「それは言わない約束です」
( ・∀・)b「『御約束モード:病弱な老人と健気な娘編』……流石、高性能だ」
妙な行動で性能を確かめる男はさておき
幾枚かの紙束を持ったジェイルが、機械的に報告を始める。
爪゚ -゚)「まず四チームからの報告をまとめました。
Aチームからはいつものように、これといった有効な情報はありません」
( ・∀・)「ふむ」
- 39: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 14:56:43.97 ID:O+X6LG5W0
- 外部調査の名を冠してはいるが、あのチームはクーが言う通り『囮役』である。
そのチームから何も成果が出ないということは
そして周囲に張らせておいたFC兵にも、怪しい人物を見つけられなかったことを考慮すれば
( ・∀・)(この都市内に連合軍等の者が混じっている可能性は低い、か……)
秩序守護者などの超越者はともかく
何故か連合軍は、こちらの行動を読んでいる節があるのだが。
何かが引っかかる。
しかし解らない。
( ・∀・)「とりあえず都市内に危険は少ないと見て良いかもしれないね。
油断は禁物だが……そろそろ外へ手を出してみるか。
では、次を頼むよ」
爪゚ -゚)「Bチームからの報告は――」
紙を一枚めくり
爪゚ -゚)「敵勢力である連合軍に属する都市ニューソク以外の拠点探査の件ですが……特に存在しないようですね。
つまり連合軍は、まとまって都市ニューソクに潜伏しているかと」
( ・∀・)「攻撃に転じた場合、他方向からの強襲を受けることはないわけだね。
もし仮に受けたとしても……おそらくは対処出来る数だろう、ということか」
- 40: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 14:58:26.60 ID:O+X6LG5W0
- 爪゚ -゚)「他の英雄についてですが、曖昧な情報ばかりで選別が難しいそうです」
( ・∀・)「ふむ……英雄は諦めた方が良いかもしれないな」
爪゚ -゚)「どういう意味ですか?」
( ・∀・)「こちらには既に二人の英雄がいる。
上手く使えるかは指揮官である私の腕に掛かっているわけだが
あまり強者が多過ぎても、それはそれでどうかと思うわけだよ」
使い勝手が良いユニットを持つ場合、一つ気をつけなければならないことがある。
そればかりに頼りがちとなるという点だ。
真正面からの攻防には強くなるが、側面からの攻撃に脆くなってしまう。
( ・∀・)「負け惜しみに聞こえるかもしれないが、二人くらいが丁度良いかもしれない。
あとは彼らや彼女らが補ってくれるはずだ」
爪゚ -゚)「私も微力ながら力添えいたします」
( ・∀・)「おや、自ら戦おうとするとは珍しい」
爪゚ -゚)「戦闘用秘書の使命であります」
( ・∀・)「相反した属性が織り成すファンタジーだね?
さて、次を頼むよ」
- 41: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 14:59:57.88 ID:O+X6LG5W0
- 無表情で頷いたジェイルは、
爪゚ -゚)「Cチームは色々と防衛策を考えているようですね。
戦力的に考えても最強かと判断出来ます」
( ・∀・)「それは良いことだ。
彼らには後で色々と頑張ってもらう予定だからね」
爪゚ -゚)「なお、内藤様とペニサス様の訓練も順調かと。
日に日に内藤様の傷が少なくなっています」
あれから一週間。
ブーンは相変わらずペニサスに殴られ続けているが
その成果は少しずつ出てきているようだ。
( ・∀・)「しかしながら……思っていたよりも彼の成長は早いようだ。
もしかすると大化けしてくれるかもしれない」
爪゚ -゚)「ですが彼には決定的な欠点が存在します」
( ・∀・)「それは?」
爪゚ -゚)「メンタル面の脆さ……そして限界突破の相性です」
( ・∀・)「流石だ、解っているね」
- 42: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:01:47.38 ID:O+X6LG5W0
- ( ・∀・)「内藤君は性格的に一撃必殺というタイプではない。
それだけの隙を見出す技術も、回転の速い脳も持ち合わせてはいないからね。
動体視力はそれなりに高いようだが……素材を活かしきれていないという印象だ」
爪゚ -゚)「では逆に問いましょう。
どうすれば良いのでしょうか、と」
( ・∀・)「解っているくせに問うなど、私を試しているつもりかな?
別に私が答えを出しても彼の耳には届くまい。
それに彼自身が気付かねば意味がないだろうし……ペニサス君辺りがきっと導いてくれるよ」
爪゚ -゚)「今現在も殴られ続けていることにより、多少はメンタル面の改善も期待出来ます。
それらが完璧に終了した場合、彼は――」
( ・∀・)「かなりの戦力になってくれると思っているよ、私は。
彼の心次第かもしれないがね」
- 43: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:03:17.21 ID:O+X6LG5W0
- モララーが右手に持った茶をすする。
こういった動作を話の途中で行うのは、次へ進めという無意識での合図だった。
モララーを世界で一番熟知しているジェイルは、その意図を読み取り
爪゚ -゚)「では、Dチームの報告を」
白く細い指が紙をめくる。
爪゚ -゚)「魔法――『魔粒子制御法』を用いた、対魔力防護技術の件ですが
どうやらそれなりの装備が完成したようで……あとは量産するだけだそうです」
( ・∀・)「確か魔力が足りないなどと言っていたようだが?」
爪゚ -゚)「えぇ、ですから捻出したようです」
( ・∀・)「予想は大体出来ているが、どこから?」
爪゚ -゚)「はい、それは――」
- 44: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:04:50.80 ID:O+X6LG5W0
- FC地下二階。
広めの室中で、いくつかの人影が忙しなく作業していた。
[゚д゚]「でもよぉ、本当によかったのか?」
( ´_ゝ`)「何が?」
巨大な機械を前に作業している兄者。
一心不乱にコンソールを叩く彼の背中に、デフラグの声が掛かった。
[゚д゚]「何がって……それだ、それ」
指差す先には指輪。
しかし、それは既に4th−W『アーウィン』とはいえなかった。
桃の色を放っていた指輪は、今や黒や白の汚れが混じっている。
かつてのような神秘さは消え失せ、ただの古ぼけた指輪に見えた。
[゚д゚]「実験用や防護用装備のために魔力を吸い出したわけだが
多分、もう使えねぇんだろ?」
( ´_ゝ`)「内容魔力を全て吐き出してるからな。
多分じゃなくて、絶対に力の行使など出来んだろう」
- 46: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:06:32.47 ID:O+X6LG5W0
- 仕方なかったのだ。
まさか他の者の指輪を勝手にイジるわけにもいかないし
余っている13th−Wや6th−Wには所持者がいない。
擬似的にとはいえ、指輪は生きている。
所持者の許可無しにでも魔力の吸い出しは可能であるが
それは兄者の感情が許さなかった。
というわけで、己の指輪である4th−Wと言葉を交わし、協力の了承を得たのだ。
[゚д゚]「まぁ、俺らは非常に助かったわけだが」
( ´_ゝ`)「無駄になるならともかく、役立ったらなら本望だろうさ」
- 49: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:08:02.93 ID:O+X6LG5W0
- 兄者は少し離れた台の上に視線を向ける。
そこには、灰色の何かが山積みにされていた。
[゚д゚]「実験したとおりだな。
これが量産されれば、ある程度の魔力攻撃は防ぐことが出来る」
( ´_ゝ`)「魔力には魔力、ね」
結局、それが答えだった。
魔力を防げるのは魔力。
同じ力同士、ぶつかれば相殺し合う。
強い方が弱い方を差し引いて残ることから、『軽減』といった方が正しい。
つまり、魔力を持たない物質に魔力を塗りこむことにより
他の魔力攻撃を軽減する盾となるのだ。
[゚д゚]「でも定期的に整備しなくちゃならんから、そこらへんは気をつけろよ」
( ´_ゝ`)「それに関して渡辺に聞きたいトコがあるんだが……彼女は何処行った?」
『あ?』とデフラグが首をかしげた。
後頭部を掻きつつ
[゚д゚]「……そういや上から呼び出されて出て行ったなぁ」
- 50: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:09:36.15 ID:O+X6LG5W0
- 从'ー'从「というわけで、呼び出されてきたわけだけど」
( ・∀・)「あぁ、適当に座りたまえ」
社長室に入ってきた白衣姿の渡辺。
ところどころが黒い何かで汚れ、目の下には小さな隈が出来ている。
少し危なっかしい歩き方で、来客用のソファに腰掛けた。
と、そこで正面に座っていた二つの人影に気付く。
渡辺が珍しく、軽く目を見開いた。
从'ー'从「……あ」
( ・∀・)「身構える必要はない……事情は既に話してあるからね」
モララーの言葉に、二人は頷いた。
( ・∀・)「さて渡辺君、寝不足のところすまない。
少し話しておきたいことがあるのだ」
从'ー'从「何? この二人のことかな?」
( ・∀・)「いや、少し私の考えを聞いておいてほしくてね。
そんなに時間をとることはしないから安心したまえ」
ジェイルが湯飲みを置いて茶を注いだ。
それなりに高級なモノらしく、良い匂いが渡辺の鼻を刺激する。
- 51: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:11:07.32 ID:O+X6LG5W0
- ( ・∀・)「この一週間、君はどう見る?」
从'ー'从「それは連合軍側のこと?
それとも私達側のこと?」
( ・∀・)「そこまで解っているならば、単刀直入に言おう」
笑みを浮かべ
( ・∀・)「来る頃だろうと思っているのだが……君はどう思うかな?」
从'ー'从「微妙だねぇ」
( ・∀・)「この一週間、様々な面から連合軍を突いてみたわけだが
私の予想ではそろそろだろうと思っている」
爪゚ -゚)「攻め込むタイミングでしょうか?」
( ・∀・)「逆だよ、逆。
連合軍側が業を煮やして攻めてこないか、という話だ。
ま、簡単に言えば……
この四チームでの行動自体が、連合軍側を誘き出す『餌』ということになる。
もちろん各チームの皆は知るわけもないが」
爪゚ -゚)「なるほど」
- 52: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:12:34.90 ID:O+X6LG5W0
- 一回の説明で全てを理解した彼女は、『しかし』と言い
爪゚ -゚)「その場合、相当に不利な戦況になると予想します。
我々の立場上、FCの外で戦うことは出来ないので
どうしても小規模かつ高密度な防衛戦を強いられることになるかと」
乱戦になる確率が高い、とジェイルは予想している。
密度の高い攻防戦となれば、必然的に同士討ちも多くなるだろう。
数や戦力では同等かそれ以上であるが、攻める方が強いのは道理だ。
しかも周囲からの助けを求めることが出来ない。
世界政府は少なくとも味方ではないのだ。
( ・∀・)「その通り……そして向こうも同じようなことを予想しているはず。
だからこそ我々は、その裏を掻く」
爪゚ -゚)「まさか――」
( ・∀・)「一年以上前からの仕込み……ようやく役立つ時が来たようだ。
まぁ、ロマネスクが攻め込む判断をするかによるが」
从'ー'从「するんじゃないかなぁ」
( ・∀・)「ほぅ?」
- 53: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:15:27.78 ID:O+X6LG5W0
- 从'ー'从「十年、向こうから見れば五年間……それだけ離れてたから無責任な発言だけど
彼の性格上、重要なことを行う場合は邪魔を全て排除するからね。
会議前の資料作りの時とか、よく部屋に篭ってたっけ」
( ・∀・)「何やら真偽は微妙なところだが、引き篭もり理論としては上出来だね。
あとは情報チームが動きを察知すれば作戦開始だ」
おおよその戦力配置も頭の中で組み上がっている。
というか、おそらく仲間達は勝手に行動するだろうから、それを踏まえての布陣だった。
( ・∀・)「問題はイレギュラーの存在だね」
人生経験が浅いか、予想外の出来事に弱い連中が多いのだ。
( ・∀・)「秩序守護者や世界政府の邪魔は入ってもおかしくはないとして
その他の新しい勢力に介入されたりでもしたら……」
从'ー'从「主導権は向こうにあるからねぇ。
予想は出来るかもしれないけど、対応は無理でしょ」
( ・∀・)「だろうね……もはや仲間の奮闘に期待するしかないようだ」
肩を竦める。
そして渡辺の前に座っている人物らに視線を向け
( ・∀・)「ま、そのためにも君達に動いてもらうわけだが……期待しているよ?」
言葉を聞き、二人はしっかりと頷いた。
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