( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

56: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:17:19.22 ID:O+X6LG5W0
  
異変には気付いていた。
自身が、異なる世界へと飛ばされたことも含めて。

だからこそ外界からの接触を遮断した。
自分の持っている力が、どれほど強力なものであるか理解しているからだ。

悪用すれば生死のバランスを崩せるだろう。
善用すれば何万人もの人々を救えるだろう。

あらゆるパワーバランスを覆すほどの力を持っているにも関わらず
彼らは、そんな自分に接触を図ってきた。

それだけであったならば、興味本位で話を聞くこともしただろう。
実際、彼らの話を聞いている最中である。

しかし機嫌が良いとは決して言えなかった。


( ФωФ)「へぇ、こんなちっちゃいのが神――『英雄神』なのかよ」

,(・)(・),「……人を見かけで判断するのは良くないナリだす」



57: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:19:15.32 ID:O+X6LG5W0
  
睨むようにロマネスクを見上げる。
このタマネギのような格好をした小人が、英雄神その人であった。

ただ、強制的なコンタクトを図られたせいなのか
その機嫌はかなり悪いように見える。

(´・_ゝ・`)「しかし、我々の出した茶菓子を頬張っていては
      その説得力も薄れるというものですな」

言葉通り。
椅子に座った英雄神は、目の前にある茶菓子を掻き込むように食していた。
まさに『見た目は子供(ry』である。

( ФωФ)「アレだなぁ……もちっと威厳があると思ってたんだが」

,(・)(・),「だから人を見かけで判断するのは良くないナリだす」

( ФωФ)「いや、見た目くらいしか判断材料ねぇし」

,(・)(・),「見る?」

( ФωФ)「h――」

言葉を発そうと口を開いた時に気付く。
菓子を包んでいたゴミが、己の頭に乗っかっていることに。

ざわ、と周囲の兵士達がざわめいた。



58: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:21:15.16 ID:O+X6LG5W0
  
ロマネスクは黙ってそれを手にとり、眺めるように見つめる。

( ФωФ)「…………」

,(・)(・),「百聞は一見にしかず、ということナリだすー」

(;´・_ゝ・`)(これは予想GUYですなぁ……)

周囲の兵士達は例外なく、全員が目を丸くしている。
どうやらあの速度を捉えた者は、この中に誰一人としていないらしい。

,(・)(・),「というわけで、おいどんに何用ナリだす?」

自信満々で問いかける英雄神。
ロマネスクは少し黙った後、ゆっくりと口を開いた。

( ФωФ)「……ぶっちゃけると力を貸して欲しいわけだ。
        小規模だが、世界の行く末を決める闘争を勝ち抜くためにな」



59: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:23:15.35 ID:O+X6LG5W0
  
適当に現状を説明する。
彼は既に異獣を知っているので、比較的短時間で終了した。

,(・)(・),「異世界から警告を送ってきてたのは、アンタらだったわけか。
     いやぁ、おかげで少しだけでも対策を練ることが出来たナリだすよ。
     ありがたやーありがたやー」

( ФωФ)「つっても、当時の連合軍最高司令官の命令だったんだがな。
        礼ならソイツに言ってくれや……ここにはいねぇけど」

,(・)(・),「で、おいどんにも異獣ってヤツを倒す手伝いをしろ、と?」

( ФωФ)「アンタの力なら、この世界に散ってる英雄を集めることも可能だろ?
        そういう意味も籠めての『力を貸してくれ』だ」

,(・)(・),「出来ないこともないナリだす。
     でも、断った場合はどうするナリだすか?」

( ФωФ)「あ? もし断るってんなら……出て行ってもらうかぁ」

ロマネスクの言葉に、周囲の兵やデミタスが驚きの表情を見せる。
英雄神も似たような表情を作った。

,(・)(・),「はて、聞いた話と違うような?
     『戦力になりえる要素は強引に引き込む』ってのが君らのやり方じゃないのかい?」

( ФωФ)「誰がアンタを『強引』に引き込むってんだ?
        俺らが束になって掛かっても、アンタなら突破できんだろが」

,(・)(・),「正論ナリだすなー」



61: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:25:19.80 ID:O+X6LG5W0
  
ポリポリとちょんまげを掻き毟る。
タマネギは少しだけ考える素振りを見せ

,(・)(・),「ふぅむ……で、主導権はこっちにあるナリだすな?」

( ФωФ)「アンタの住処としている純正ルイルを使わせてもらえば
        その優位性は更に上がることになるがな」

,(・)(・),「ってことは最終的に、おいどん消えてなくなるナリだすかー」

( ФωФ)「あぁ、アンタの本体ってあの純正ルイルだもんな。
        ん? じゃあ、今のアンタは何なんだよ?」

,(・)(・),「立体映像みたいなもんナリだすよ。
     もちろん実像を伴ったヤツ」

( ФωФ)「やりたい放題だな……で、自分が消えるから協力は無しか?」

,(・)(・),「いや、別に協力することに抵抗はないけども……」

言葉に、タマネギは首(身体?)を振る。
そして指を立て、こう言った。

,(・)(・),「ちょっと条件があるナリだす」

(´・_ゝ・`)「条件……?」



62: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:27:44.79 ID:O+X6LG5W0
  
訓練室では、相変わらずの打撃音が響いていた。

('、`*川「オラオラオラオラオラオラ!!」

(メ;^ω^)「うりゃりゃりゃりゃりゃりゃ――へぶぁ!?」

神速の打撃群を迎え撃つも、途中で追いつかずに顔面直撃を受けるブーン。
そのまま背後へと吹き飛ぶ。

('、`*川「防御回数二十回突破……よし、最高新記録だね」

(メ;^ω^)「やったお……」

頭上に星を瞬かせながらのガッツポーズ。
ペニサスは、それを見ながら軽く笑った。

今ではマシに見えるが、初日こそ防御の回避も出来ずに殴られ放題であったブーン。
しかし一週間という時を経て確実に、そして少しずつであるが成長しているようだ。

女性とはいえ、英雄を名乗る彼女の拳に対して、ある程度であるが対応し始めている。
必然的に受ける傷も減っていた。



63: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:29:29.99 ID:O+X6LG5W0
  
<_;プー゚)フ「ひぇ〜、慣れっつーのは怖いもんだなぁ」

(´・ω・`)「見ていてこっちが痛くなるのにね」

特訓の様子を見ている人影がいくつか。
エクスト、クー、ショボン、ギコだ。

川 ゚ -゚)「彼は元より努力家で集中力も少しはある。
     一度火が点けば、ああいう風に突き進んでくれると思っていた」

( ,,゚Д゚)「というか、お前ら何でここにいる?」

視線の先にはクーとショボンだ。
A、Bチームのリーダーが、Cチームの管轄内に入っていることを言っているらしい。

(´・ω・`)「僕はポリフェノールさんの情報待ち。
      暇になったから、ブーンの様子でも見てみようかと」

川 ゚ -゚)「私もミルナ達が帰ってくるまで暇なのでな。
     ちなみに雑務の方は、ハインリッヒに任せてあるから大丈夫だ」

(;,,゚Д゚)「いいのか、それ」

川 ゚ -゚)「あの子が言ったんだ。
     『内藤さんの様子でも見てきたらどうですか』と」

<_;プー゚)フ(クーさんよりハインリッヒって子のが大人だな、こりゃ)



64: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:30:58.91 ID:O+X6LG5W0
  
隣に座る男が失礼なことを思っているとは露知らず。
クーはブーンの様子をじっと見つめている。

(´・ω・`)「ところで……最近のクーさんってブーンと一緒にいないこと多いよね」

川 ゚ -゚)「ん……」

( ,,゚Д゚)「珍しいな。
     以前は離れている方がおかしかったのだが」

川 ゚ -゚)「……別に、何でもないさ」

<_;プー゚)フ(解り易すぎて逆に判断しづらい件……)

四人が傍観している間にも特訓は続いている。
再度の攻防を終えたブーンが、打たれた腹を押さえつつ

(メ^ω^)「ハァ、ハァ……フヒヒ」

('、`*川「いや、キモいから」

(メ;^ω^)「すまんかった……。
       何か自分で手応え感じるから、つい嬉しくて」



65: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:32:34.57 ID:O+X6LG5W0
  
('、`*川「嬉しがる気持ちも解るけど、そこで満足しちゃダメだよー。
     人は向上心を失った時から死んだも同然だからね」

(メ^ω^)ノシ「はーい」

('、`*川「解ってんなら、そのヘラヘラした笑みを消しときなさいな。
     ってか、今日辺りで防御訓練は終わった方がよろしいみたいね」

(メ;^ω^)「な、なんだってー!
       じゃあ、ついに次からは攻撃訓練かお!?」

期待を籠めた眼差しを受け、ペニサスは

('、`*川「え? 私が殴られ役ってこと? 勘弁してよー。
     私ゃ殴るのは好きだけど殴られるのは……状況によるわー」

(メ;^ω^)「なんですとー!?」

あっさりと拒否する。
ブーンをサンドバッグ代わりにしていたという噂は本当だったらしい。



67: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:34:17.69 ID:O+X6LG5W0
  
(メ;^ω^)「じゃあ、僕はどうすりゃいいんですかお!?
       防御ばかり出来ても仕方ないお!」

('、`*川「攻撃訓練はミルナ君に頼んでみよっか。
     あの子、ドMだし……たぶん喜んで殴られてくれると思うよ」

(メ;^ω^)(衝撃の真実ktkr)

('、`*川「ま、今日はここまでにしましょ。
     今までの経験を復習する時間があってもいいしね。
     それにあんまり痛めつけてもアレだし」

(メ;^ω^)「初日は、たんこぶで目も見えませんでしたお」

('、`*川「そりゃ避けなかったアンタが悪い」

コツン、と額を軽く叩かれた。
ペニサスの顔に笑みが浮んでいるのを見ながら

(メ^ω^)「ありがとうございましたですお」

('、`*川「はははー、別に言ってくれりゃいつでも殴ってあげるからねー」

(メ^ω^)「うん、素直に勘弁願いたいですお」



68: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:36:11.71 ID:O+X6LG5W0
  
意思無しの表示として
拳にはめていた8th−W『クレティウス』を解除させようとする。
しかし

(メ;^ω^)「あ、あれ……?」

('、`*川「どしたの?」

(メ;^ω^)「おかしいお……指輪に戻らないですお」

気合を入れながら拳を握る。
やはり戻らない。
微かな白光を発しつつ、クレティウスはグローブのままに形を残している。

(メ;^ω^)「どうな『――応えよ』って――!?」

自分の声に被さる声。
それは一年半前にも聞いた声だ。

(メ;^ω^)(まさか……)

(  )『聞こえるか、内藤ホライゾン』

(メ;^ω^)(……クレティウスさんですかお?)

(  )『別に「さん」付けで呼ばれるような関係でもない気がするが、その通りだ』



69: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:37:44.48 ID:O+X6LG5W0
  
(メ;^ω^)(お久しぶりですお……ってか、どうしたんですかお?)

ブーンの疑問も無理はない。
クレティウスがこちらにコンタクトを図ってきたのは、一年半も前の話だ。
何故、今になって――


('、`*川「……おーい、内藤くーん」

ひらひらと眼前で手を振る。
しかしブーンは気付かない。
虚ろな目で、何処を見るでもなく突っ立っている。

('、`*川「ねぇねぇー、内藤君が壊れちゃったー」

(;,,゚Д゚)「勝手に壊すな」

(´・ω・`)「クーさん、あれって……」

川 ゚ -゚)「あぁ……ペニサス、そっとしておいてやってくれ」

('、`*川「ん? 解った」

川 ゚ -゚)(何かヒントを掴んだのか……それとも……?)



71: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:38:58.94 ID:O+X6LG5W0
  
(  )『私が望むのは二度目の対話だ、内藤ホライゾン』

(メ;^ω^)(お?)

(  )『君は擬似的であるが己の限界を知ったはず。
    ならば、超えるべきラインも明確に見えてきているはずだ』

つまり

(  )『想像せよ、次なる限界突破の形を』

(メ^ω^)(…………)

(  )『考えろ、活かせ、進め、突き破れ――君にはそれが出来るはずだ』

(メ^ω^)(僕は――)



――出すべき、答えは。



72: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:40:35.98 ID:O+X6LG5W0
  
様々な思惑が交錯する都市ニューソク、及び周辺都市。
そこから離れた山中に一つの喫茶店があった。
本来ありえない位置に建てられたそれの中には、数少ない常連客がいる。

蝋燭の明かりが照らす薄暗い店内。
コーヒーの匂いが充満した中で、三つの人影が言葉を交わしている。

( <●><●>)「本格始動といったところですか。
        連合軍、FC、異獣、そして我々……バラけていた要素が固まったようです」

/ ゚、。 /「燻っていた分、彼らの動きは速く、そして力強いものとなるだろうな」

|(●),  、(●)、.:|「対して、我々のやることは地味ですけどね」

ダディが苦笑する。

簡単に言えば漁夫の利を狙うのだ。

現状は膠着状態であるが、いずれ確実にFCと連合軍は争うこととなる。
そこに切り込んでいけば確実にどちらも混乱することになる。

更に疲弊していることを考えれば、自分ら三人での制圧も不可能ではないだろう。



74: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:41:55.82 ID:O+X6LG5W0
  
/ ゚、。 /「要はタイミングと役割だな」

( <●><●>)「軍神や英雄神レベルに対抗するのはダイオードさん。
        魔力を使った武器に対抗するのはダディさん。
        そして何の能力も持たない普通の人間を相手するのは私です」

|(●),  、(●)、.:|「そう考えるとダイオードさんが一番危険ですねぇ」

/ ゚、。 /「ふン、例え神と呼ばれていようが所詮は人造神だ」

( <●><●>)「力の過信は油断を生みますよ」

/ ゚、。 /「実際に強ければ、それ相応の力を出すまでさ」

背負った黒の巨剣に目を向ける。
その瞳には絶対の自信が備わっていた。

|(●),  、(●)、.:|「ただ、異獣の動きが気になりますなぁ」

( <●><●>)「今はほぼ単独で行動していますが……」

/ ゚、。 /「何を考えているのか解らん」

積極的に攻撃してくるでなし
策を朗じて混乱させてくるでもなし

ただ、状況を観察をしているのみだと思われた。



75: うどん屋(大分県) :2007/04/23(月) 15:43:41.55 ID:O+X6LG5W0
  
( <●><●>)「まぁ、能動的に動かないのならば都合が良いかもしれません。
        とりあえずは二勢力の無力化を、少ない被害で達成しましょう。
        世界交差という……世界の秩序を破壊する大悪事を止めるために」

言葉を聞いたダディが、コーヒーカップを持った手を止め

|(●),  、(●)、.:|「……誰が正義なのですかねぇ」

/ ゚、。 /「誰もが正義だろう。
      奴らも私達も、善だろうが悪だろうが心に正義を持っている」

( <●><●>)「…………」

/ ゚、。 /「だからこそ、これまで生き延びれた。
      誰もが本当の正義を持っているからこそ強いんだ」

|(●),  、(●)、.:|「正義の種類が重要ってことでしょうか……」

感慨深げに呟く。
そんなダディを横目に、ワカッテマスはコーヒーを飲みつつ

( <●><●>)(秩序が壊れつつある今、我々の絶対勝利が薄らいでいます。
        今の内に何とかしないといけないかもしれませんね……)



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