( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

2: ◆BYUt189CYA :2007/05/04(金) 14:21:41.95 ID:mv9d85ga0
  
活動グループ別現状一覧

( ・∀・) 爪゚ -゚)
所属:??世界
位置:FC十四階・社長室
状況:良からぬことを企み中

( ゚д゚ ) ( ゚∀゚) ('A`)
所属:??世界・Aチーム@
位置:隣都市
状況:僕達は餌

川 ゚ -゚) 从 ゚∀从
所属:??世界・AチームA
位置:FC五階・会議室
状況:私達は釣り人

(´・ω・`)
所属:??世界・Bチーム
位置:FC九階・情報管理課
状況:情報収集



3: ◆BYUt189CYA :2007/05/04(金) 14:23:04.83 ID:mv9d85ga0
  
( ^ω^)
所属:??世界・Cチーム@
位置:FC七階・訓練室
状況:8th−Wと会話中

( ,,゚Д゚) (#゚;;-゚) <_プー゚)フ (`・ω・´) ('、`*川
所属:??世界・CチームA
位置:FC四階・総合兵軍課
状況:防衛の日々

从'ー'从 ( ´_ゝ`) [゚д゚] (-@ハ@)
所属:??世界・Dチーム
位置:FC地下二階・資料室
状況:量産体制

( ФωФ) (´・_ゝ・`) ( ・ω・)=つ  <ヽ`∀´> *(‘‘)*
川 -川 ξ゚听)ξ (,,^Д^) (゜3゜) ,(・)(・),
所属:機械世界・アギルト連合軍
位置:連合軍アジト
状況:不明

ミ,,"Д゚彡
所属:??世界・アストクフル家執事
位置:FC別棟・病室
状況:意識不明

ノハ#゚  ゚)
所属:英雄世界
位置:不明
状況:不明



7: ◆BYUt189CYA :2007/05/04(金) 14:24:25.89 ID:mv9d85ga0
  
英雄世界編
第十九話 『終わりへの第一歩』

約二十年前、この世界で一つの大規模な戦争が起こった。

歴史に残った名は『第三次世界大戦』。

国同士ではなく大陸同士が争った、まさに世界全てを巻き込む戦争だった。

その傷跡は今でも各地に残っており
都市ニューソクの隣に広がる『戦跡荒野』も、その一つだ。

しかし後半では、ミサイルや戦闘攻撃機を用いた『破壊的戦闘』はあまり行われなかった。

では何が主だったのかと問われれば
形無き戦いである『電子戦』である、と答えるしかないだろう。



9: ◆BYUt189CYA :2007/05/04(金) 14:25:53.66 ID:mv9d85ga0
  
互いに相手の『穴』を見つけ、情報を持ち出し、それを元に相手を貶める。

戦力を削っていくのではなく国力を削り合うような戦い。

それは人を殺すことを主に据えない、ある意味クリーンな戦争だった。

これは『リアルネット』や『パラライフ』といった
『擬似的な現実世界』が流行っていた時代背景があったからだろう。

元よりインターネットは当初、軍事目的で作られていたことから
発展型の『リアルネット』を使用するのは当然と言えば当然だった。



11: ◆BYUt189CYA :2007/05/04(金) 14:28:01.20 ID:mv9d85ga0
  
電子上の戦争は五年ほど続き、これによってかなりの数の国が機能を失った。
そして二○三五年、イクヨリの『世界運営宣言』によって終結する。

名残として現在、各大陸を統治する七大国が残り
それらを政治的にまとめる『世界運営政府』が作られた。

あれから二十数年。
表向き、世界は平和に見えるが
政治的な観点から見れば、決してそうとは言えない状況にあった。

もはや大国同士に信頼関係などない。
利益上の理由から貿易は普通に行われているが
世界で協力して行われるようなイベント――例えばオリンピック――が皆無となっている。

全世界が冷戦状態のようなものだった。

だからこそ、非戦国であるはずのJAPANの中で
フィーデルトコーポレーションという軍事目的の企業が容認されている。
もちろん警察や自衛隊も、それなりの軍隊レベルの装備と練度を誇っている。

故に例えば、いきなり街中に戦車や銃を持った兵士が現われても、それほど大きな騒ぎにはならない。
特にJAPAN以外の大国では、それが日常茶飯事とさえ言える。


それがこの世界の『普通』だった。



13: ◆BYUt189CYA :2007/05/04(金) 14:30:03.83 ID:mv9d85ga0
  
「こちらB小隊コミュ支援班。
 現在『戦跡荒野』を……順調に横断中」

『了解』

ザ、とノイズが混じった応答。
簡単な定時報告をこなした後、その兵士は通信機のスイッチを切った。
そのまま周囲を見渡す。

ガタガタと揺れる視界。
彼は今、軍用車両の助手席に座っている。
隣には陰鬱な表情を浮かべてハンドルを握る友人の姿。

窓の外を見れば、周囲は闇に閉ざされている。

そして同じような軍用車両がいくつか目に入った。
最新の高速移動型戦車も確認出来る。



15: ◆BYUt189CYA :2007/05/04(金) 14:31:37.64 ID:mv9d85ga0
  
「……やだねぇ、望まない戦いってのは」

運転していた男が呟くように言った。

「馬鹿らしいよな。
 あのロマネスクの仲間になるのを拒否ったら殺される。
 でも仲間になったらなったで、こんな風に戦闘に放り出されるんだぜ?
 どっちにしても死ぬようなもんじゃねぇか」

「お前はまだマシさ、自分の事だけ考えてりゃいいんだから。
 俺なんて十になる娘の命が掛かってんだ」

彼らは機械世界から、この世界へ降り立った兵士だった。
世界政府から譲り受けた兵器や武器を携え、今まさにFCへの襲撃を仕掛けるために移動している。
そういう旨の命令をロマネスクから受けたからだ。

おそらくFCは、既にこちらの動きを察知しているだろう。
待ち構えもしているだろう。

しかし、それは完全に無駄だと判断する。

彼らにはどう転んでも勝ち目など無く
この襲撃も、結局は建前のようなものなのだから。



16: ◆BYUt189CYA :2007/05/04(金) 14:33:08.40 ID:mv9d85ga0
  
街中で戦闘をしても困ることはなかった。

それがこの世界での『非日常』とは、一概に言えないからである。
そういう世界なのだとロマネスクが言っていた。

責任問題についても心配はないらしい。
むしろ、それこそがFCに対する切り札となるのだ。
死なない程度にドンパチ騒ぎを起こして、適当なタイミングで逃げ帰れば良い。

異獣討伐に比べれば、これは安全な任務なのだ。


そうなのだと、今の今まで思っていた。


「……ちょっと待て、前見ろ」

「あ?」

前方。
戦争の傷跡が生々しく残る荒野の中。
そこに、微かに見える程度だが一本の棒が立っている。



19: ◆BYUt189CYA :2007/05/04(金) 14:34:45.89 ID:mv9d85ga0
  
「……?」

いや、棒ではない。
あれは

「!?」

立っていたのは人間だった。
黒色の何かを着込んでいるだけの、紛れもなく人間だった。

「ちょ、待てよ……何でこんな場所に……?」

現在位置、『戦跡荒野』のド真ん中。
都市ニューソクからもFCのある都市からも、最低でも十km以上はある地点だ。
そんな場所に一人で突っ立っている。

構うな、という旨の通信が小隊長から入った。
つまり『そのまま直進し、避けなければ轢き殺せ』ということである。
幸い、あの人間がいるのは自分達の進路上ではなかった。
轢き殺す役は、二台左隣の車両だ。



22: ◆BYUt189CYA :2007/05/04(金) 14:36:10.32 ID:mv9d85ga0
  
一瞬で通過する。
ちょっとした興味本位で、どうなったのかと背後を見た。

目に飛び込んできたのは死体ではなく、猛烈な光。

「――!?」

爆発だと理解するのに数瞬。
同僚がブレーキを踏み、反動で頭を打ちつけたのは次の瞬間だった。
周囲の仲間達も慌てて車両を停めるのが、揺れる視界で確認出来た。

「な、何だ!?」

銃を引っ掴み、慌てて車両から降りる。
まず向かってきたのは

/ ゚、。 /「下らんな」

爆音に混じった女性の声だった。

身を黒色の甲冑で包み込み、右手に巨大な剣を握っている。
背後で巻き起こる爆炎に照らされ、その姿は神秘ささえ感じさせられた。



23: ◆BYUt189CYA :2007/05/04(金) 14:37:42.47 ID:mv9d85ga0
  
「何者だ……!」

ようやく事態を飲み込んだ小隊長が震える声で問う。
女性は少しだけ視線を向け

/ ゚、。 /「……解らんか?」

風を切る音。
巨剣が回り、重々しく彼女の肩に担われる。

/ ゚、。 /「勝手な都合で悪いのだが、FCへ向かうのを止めてもらいたい」

「それは出来ない……俺達にだって事情がある」

/ ゚、。 /「そうか」

右足を踏み出す。
動作と共に、兵達が一斉に銃を構えた。

/ ゚、。 /「ならば足を切断してまでも止まってもらう。
      丁寧に言ってやった時に従わなかったことを後悔しろ」

「う、撃て!」

得体の知れない何かを感じ取ったのか、上擦った声で小隊長が叫んだ。
同時、銃声が連鎖する。



24: ◆BYUt189CYA :2007/05/04(金) 14:39:23.53 ID:mv9d85ga0
  
キュ、という銃弾が地面を抉る音の中に、キン、という金属音が混じった。
舞い上がった砂煙で見え辛いが

「あの剣で防御しているのか!?」

「囲め! 一方だけの防御など多方攻撃で潰せる!」

今は慌てているが、周囲の兵達は決して素人ではない。
小隊長の言葉を聞いた途端、弾けるように各々のポジションへ走った。

「え――」

しかし隣の男の声と同時、金属音が消えていることに気付く。

「いない、だと!?」

いつの間にか射線上に女の姿がなかった。

/ ゚、。 /「自らの所業で視界を潰すとは愚頂だな」

声は周囲からはではない。
それが上空から飛ばされたと気付く時には、既に彼女の姿勢は攻撃を示していた。

見上げた瞬間、すれ違うように黒い何かが高速で落下する。



25: ◆BYUt189CYA :2007/05/04(金) 14:40:54.69 ID:mv9d85ga0
  
形容し難い、生々しい音が響いた。

緊張で痛みを感じる首を無理矢理に動かすと
少し前まで生きていたはずの小隊長が、丁度頭の頂点から真っ二つに両断されているのが見えた。
血など噴き出す暇など与えられない速度だ。

どぷ、と溢れ出すように断面から何かが漏れ出る。
一瞬後に両断された身体が崩れるように倒れた。

「う、うわぁぁぁぁ!?」

誰かが叫ぶ。
大の大人達が威厳もなく怖がる様子を、ダイオードが静かに見渡す。
そして軽い溜息を吐いた。

/ ゚、。 /「かつては異獣を相手にしていた……にしてはリアクションが大き過ぎるな。
      この程度に驚いていては世界など救えはしないぞ?」

不気味に薄笑いし、皮肉を籠めて言葉を投げる。
しかしそれに怒りを発する者も、そして反応する者さえいなかった。
つまらなそうに目を伏せ

/ ゚、。 /「ワカッテマスも随分と妙なことを言う。
      漁夫の利を狙うのではなかったのか……発言の撤回は信用を失うというのに」



27: ◆BYUt189CYA :2007/05/04(金) 14:42:26.47 ID:mv9d85ga0
  
そんな独り言の後、まぁいいと呟く。

/ ゚、。 /「とりあえず一つ言えるのは、貴様らがFCへ行かれると邪魔になるということだ。
      漁夫の利とは本来、二つの争いの利を得ることだからな。
      三つ目の勢力には御引取り願おう」

「三つ目、だと……?」

疑問の声。
しかしその音色は震えてなどいない。

つまり、彼女の周囲で怖がっている兵達ではないということだ。
それに気付いたのか、ダイオードは興味深げに声の方向を見る。

(,,^Д^)「つまり俺達とFC以外の、第三勢力が動いているというわけか」

車両からゆっくりと降り立ったのはプギャー。
今の今まで、身動きせずに事を見守っていたのだろう。



30: ◆BYUt189CYA :2007/05/04(金) 14:44:17.80 ID:mv9d85ga0
  
その行為の名を、ダイオードは静かに口にした。

/ ゚、。 /「臆病、だな」

(,,^Д^)「このことを臆病だと言うのならば、戦争を生き抜いた軍人らは臆病の集団となるが。
     まさかお前は、死して最上とでも言うつもりか?」

/ ゚、。 /「成程、それは済まなかった」

だが、と言い、巨剣を肩から下ろす。
見た限りでも相応の重さを持っていると思われるそれを、片手で水平に掲げた。

/ ゚、。 /「死して下衆、生きて最上とも言えまい。
      時に死することが英雄たる所以となることもあるだろう?」

(,,^Д^)「……だから躊躇無く殺すのか」

/ ゚、。 /「必要があるのならば」

沈黙。
周囲の兵達も、その問答の行方を見守るばかりだ。



32: ◆BYUt189CYA :2007/05/04(金) 14:45:48.46 ID:mv9d85ga0
  
しばらくし、プギャーは背を向ける。

/ ゚、。 /「逃げるか、それとも殺せというサインか?」

(,,^Д^)「前者だ」

/ ゚、。 /「愚かな……易々と逃がす程度の力なら、お前達の前には立たん」

(,,^Д^)「殺される程度の力なら、お前に背などを向けはしない」

言葉と共に走り出した。
他に比べて少し大きめの車両に飛び乗り、素早い動作で積荷を解く。

中から現われたのはバイクのような機体。
細かい戦場を高速で駆け回るための、地上用小型戦闘機だ。
すぐさま走り出す。

/ ゚、。 /「逃がすと思って――」

一歩踏み出した時。
プギャーのいる先から、一筋の鋭い何かが飛来する。
甲高い音を立て、それは巨剣によって真っ二つとされた。



33: ◆BYUt189CYA :2007/05/04(金) 14:47:03.60 ID:mv9d85ga0
  
/ ゚、。 /「これは……」

黒塗りの鞘。
先ほどまでプギャーが腰に差していたモノだ。

つまり今の彼の手には、抜き身の剣が握られているはず。
もはや必要がないと判断したのか
それとも別の理由――例えば爆薬が仕込んであったり――があるのか。

一瞬ではあるが、その思考の隙が大きかった。

次に顔を上げた時には、既に小型戦闘機の姿は小さくなっているのが確認出来る。

/ ゚、。 /「機敏な男だ」

この時点で追う気など湧かない。

そもそも自分の役割は、この周囲で震えている兵の処理。
小義のために大義を落とすのは馬鹿がやることだ。



35: ◆BYUt189CYA :2007/05/04(金) 14:48:08.89 ID:mv9d85ga0
  
ふン、と鼻を鳴らし

/ ゚、。 /「いいだろう……。
      何かが貴様を駆り立てるのならば、それを結果として私に見せてみろ。
      壊れつつある秩序を塗り替えるというのならば、証明として未来を変えてみろ。
      そう――」

一息吐き、虐殺が再開される。
悲鳴が連なる中心にて、ダイオードは微かな笑みをこぼして呟いた。



/ ゚、。 /「あの男……モララーの死を証拠として」



38: ◆BYUt189CYA :2007/05/04(金) 14:49:50.19 ID:mv9d85ga0
  
社長室の扉を開いたのは女性。
いや、女性の形をした機械だった。

爪゚ -゚)「御主人様」

( ・∀・)「あぁ、解っている」

珍しく、彼は椅子から離れていた。
いつもは社長用の椅子に腰掛けてふんぞり返っているはずなのだが
その身は窓の傍まで移動している。
視線は南東へ。

戦跡荒野に当たる地点から、濛々と煙が上がっているのが確認出来た。

爪゚ -゚)「……こちらに向かっていた世界政府の戦力が
    たった一人の人間によって殲滅させられたそうです」

( ・∀・)「もはや人間とは呼べまい。
     どうやら、私達はとんでもない相手を敵に回しているようだ」

秩序守護者と異獣の、戦力としての尺度は渡辺から聞いていた。
が、やはりこうして現実になっているのを見ていると、自らの認識の甘さが悔やまれる。



戻る次のページ