( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

4: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 15:24:18.14 ID:SvPFe6Eb0
活動グループ別現状一覧

( ・∀・) 爪゚ -゚)
所属:??世界
位置:FC十四階・社長室
状況:指揮

( ,,゚Д゚) ( ゚д゚ ) (`・ω・´) ('、`*川
所属:??世界・Bチーム
位置:FC一階・エントランスホール
状況:対英雄戦

┗(^o^ )┓ \(^o^)/ |  ^o^ |
所属:英雄世界
位置:FC一階・エントランスホール
状況:FC殲滅戦

( ^ω^) 川 ゚ -゚) 从 ゚∀从 ('A`) (´・ω・`) ( ´_ゝ`) <_プー゚)フ
(#゚;;-゚) 从'ー'从 [゚д゚]  (ミ,,"Д゚彡 (*゚ー゚) (´<_` ))
所属:??世界
位置:FC
状況:不明



6: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 15:26:43.97 ID:SvPFe6Eb0

( ФωФ) (´・_ゝ・`) ( ・ω・)=つ  <ヽ`∀´> *(‘‘)*
川 -川 ξ゚听)ξ (゜3゜) ,(・)(・),
所属:機械世界・アギルト連合軍
位置:連合軍アジト
状況:不明

/ ゚、。 /
所属:秩序守護者
位置:戦跡荒野
状況:処理中

(,,^Д^)
所属:世界運営政府
位置:不明
状況:FCへ接近

メ(リ゚ ー゚ノリ ル(i|゚ ー゚ノリ
所属:不明
位置:不明
状況:FCへ接近



10: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 15:29:43.68 ID:SvPFe6Eb0
第二十話 『戦線散開』

夜闇が照らす社長室。
その中でモララーは珍しく、その頭脳をフル稼働させていた。
手に持つのは通信機と各資料だ。

続々と来る報告の嵐に対応しつつ、先を読んだ対策を立てていく。

各階の守りに割く戦力の計算。
非戦闘員の脱出指揮。
地下研究施設の情報や機材の持ち出し。
動かないと言い張る『老人共』への説得。

刻々と変化する戦況に対応しつつ、モララーは的確な指示を部下へ発す。
自然と流れる汗も拭わず、冷静に判断していく。

先ほどまでに比べれば報告の嵐は大人しいものだ。
一階で暴れる英雄を、何とか抑えている仲間がいるからである。



11: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 15:31:21.04 ID:SvPFe6Eb0
( ・∀・)「ふぅ……ジェイル君、熱い御茶を頼むよ」

爪゚ -゚)「了解です」

通信機を切り、軽い疲労の息を吐く。
大体の損害報告や対策提案を受け終わったようだ。
後は一階の状況が動くまで、少しばかりの時間が残る。

( ・∀・)「さて」

しかし休んでいる暇など無い。
手元の資料をデスクの上に放り出し、また異なる資料を取り出す。
それはブーン達の、ここ最近の訓練結果を記したものだ。

違和感がある。

漠然としたそれを感じ始めたのは、つい最近のことだった。



13: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 15:33:10.27 ID:SvPFe6Eb0
研究所の一件から始まり、ギコへの夜襲、渡辺との戦闘、戦跡荒野での迫撃戦、
ロマネスクの襲撃、アストクルフ家襲撃、そして今起きているFCへの襲撃。

これまでの大きな戦闘や事件を思い、そして結論を出す。

――負け過ぎている、と。

今挙げた戦闘のほとんどが、こちら側の敗北で終わっている。

相手が強過ぎるのかもしれない。
運が悪かっただけなのかもしれない。

ただ、それだけでは説明出来ない何かをモララーは感じていた。

その違和感を示すように、三兄弟によって一階に設置していたFC部隊が全滅した。
彼らは、かつて機械型クックルという大軍相手に奮闘したはず。
代わってミルナ達が応戦しているも、やはり押され気味だと言う。

( ・∀・)「この違和感は何だ……?」

言葉にするが解らない。
ただ解っているのは、前回の戦いに比べて明らかに何かが異なるということだけだ。
それを言葉にするならば

( ・∀・)「感情を理性が抑えてしまっている、とでも言うのか……」



14: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 15:35:07.43 ID:SvPFe6Eb0
衝動的な行動が少なくなっている。
言うなれば、脇目も振らずに突き進む、という行為が出来なくなっている。

あの最後の戦い。
あれはもはや勢いで攻め込み、勢いで勝ったようなものだ。
理由として弱いが、勝利の条件としては納得出来る。

あの全てを叩き伏せる勢いが、今の自分達に見られないのだ。

( ・∀・)「皆も私も大人になった、か?
     馬鹿な……私などは既に大人だろうし、まだまだ子供の考えを持つ者もいる。
     考えを改めるような出来事が、全員の身に起こったとでも?」

ありえない。
そもそもモララー自身、そんな経験をこの一年半でしていない。
あの時から自分の考えを改めた憶えはない。



16: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 15:36:28.71 ID:SvPFe6Eb0
( ・∀・)「何とも歯痒いものだね、知っているのに解らないというのは。
     このままでは何とも不安だ……秩序や世界が壊れつつあるという大事な状況なのだが」

わざとらしく溜息を吐く。
と、そこでモララーの目が軽く見開かれた。

( ・∀・)「……今、私は何と言った?」

――秩序や世界が壊れつつあるという――

( ・∀・)「秩序が、壊れつつある……」

秩序とは未来への道筋。
決まった結果へと導くためのレール。

( ・∀・)「……そうか」

そういうことか。

相手が強過ぎるのもあるだろう。
後手に回ざるを得ない状況というのもあるだろう。

しかし、根本的な理由はもっと根深い部分にあったのだ。



22: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 15:38:24.64 ID:SvPFe6Eb0
( ・∀・)「皮肉なものだ……この考えは過去を全否定するようなもの」

そして結論として出たのは

( ・∀・)「この戦いも我々が負ける、ということだね」

仮定の域を出ない推測だが、おそらくはこの考え方で合っているはずだ。
こちら側が劣勢になっているのではない。
『在るべき』本当の姿に戻っただけなのだ。

考え、思考を切り替える。
切り開くための戦いではなく、逃げ延びるための戦いへと。

思うが同時、通信機を手に取る。

( ・∀・)「こうしている場合ではないな。
     今現在にて一番危険なのは――」



26: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 15:39:53.61 ID:SvPFe6Eb0
一階エントランスホール。
天井が比較的高く、高音はとことんまで響く空間だ。
その中で、甲高い音が連鎖する。

それは剣撃の音。
それは踏込の音。
それは穿貫の音。

一つ目の音源はペニサスとジュカイ。
足VS剣という、世にも奇妙な攻防が展開されていた。
轟風唸らせる美脚が舞い、風斬る刀剣が閃く。

('、`*川「やるじゃん『剣帝』!」

┗(^o^ )┓「そちらも流石ですよ『二極』」

その叫びは闘気でなく歓喜。
互いに活きの良い獲物を狩るかの如く、戦場を駆け回る。

飛び跳ねるようなフットワークで攻めるのはペニサスだ。
一瞬の隙が懐へ潜り込ませる好機となるため、対応するジュカイの防御は慎重。

その刀身を砕かんと足が迫る。
ぶつかり合った次の瞬間に衝撃波が広がり、周囲の塵や埃を吹き飛ばした。



29: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 15:41:50.37 ID:SvPFe6Eb0
二つ目の音源はミルナとオワタ。
相変わらずの高速刺突が嵐のように攻め入るが
その速度に慣れたミルナが、反撃を試み始めていた。

\(^o^)/「その順応速度……やりますね『騎士王』」

(;゚д゚ )「悪いがこっちは必死でな……返答の変わりに拳を御見舞いするぞ『槍王』!」

穂先が来る。
点という攻撃に対しては防御も回避も容易いのだが、線の攻撃に比べて圧倒的に速度が速い。
欠点を補うような攻撃の嵐。

しかし、その一度に放つ最大攻撃回数は六度。

六度目の攻撃後、必ずオワタに隙が出来る。
それは本当に一瞬ではあるが、英雄にとってはその一瞬こそが貴重な好機。

その六が来る。
もはや形を持った風が吹きぬけた。
右手をゴッソリと持っていかれたような錯覚に陥るが、その恐怖を振り払って反撃に出る。

しかし相手も伊達に英雄を名乗ってはいない。
反撃が来るのは承知済みだったらしく、向かい来る拳へ視線を向ける。
タイミング良く足を下げて距離をとる。

\(^o^)/「馬鹿正直過ぎますよ」

( ゚д゚ )「それが取り柄だ……!」



31: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 15:43:35.60 ID:SvPFe6Eb0
三つ目の音源はシャキン達とブームだ。
四方八方から襲い来る光の矢を、その恵まれた運動神経でかわしていく。

(`・ω・´)「これほどまでの戦力差とは……甘く見ていた」

|  ^o^ |「その油断が死に直結する世界なのですよ、現状」

言葉は現実になろうとする。
空中に設置されていた光の矢が迫り、シャキンの身体を貫こうとするが

( ,,゚Д゚)(対処出来ない速度ではない……!)

ギコが巨剣を巧みに操り叩き落とす。
防御するモノを持っていないシャキンを庇いつつ、攻撃のチャンスを見出そうとする。
しかし放たれる光矢は絶え間なく、ブーム本人にも隙が無い。

(`・ω・´)「ギコ、こっちだ!」

物陰に飛び込んだシャキンが呼ぶ。
周囲に光矢が無いことを確認し、ギコは何とか逃げおおせた。



32: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 15:45:21.76 ID:SvPFe6Eb0
(;,,゚Д゚)「近付かん限りは打破出来んな。
     それでもこちらの攻撃が通るかどうか……」

(`・ω・´)「銃弾を避けるということは、当たればダメージになるということだ。
      そもそも避ける、という行為自体があり得んのだが……突き入る隙がないわけじゃない」

と、そこでシャキンの腰部から甲高い音が鳴った。
通信機だ。
手に取り、聞こえてきた声に耳を傾ける。

( ・∀・)『生きているかね?』

(`・ω・´)「社長か……何とか全員無事だ」

( ・∀・)『ならば良い。
     だが残念ながら、別に安否を聞くためだけに連絡をしたわけじゃない。
     今から重要なことを言うから、従ってくれ』

いいか、と続け

( ・∀・)『ギコ君を今すぐに下がらせろ。
     殴っても気絶させてもいいから、絶対にだ』



37: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 15:47:09.42 ID:SvPFe6Eb0
( ,,゚Д゚)「どういうことだ……?」

(`・ω・´)「今彼がいなくなると、こちらとしても少し厳しいのだが」

( ・∀・)『地下で身体の調整を終えたでぃ君、装備を整えたエクスト君が向かっている。
     ギコ君退避の理由は時間が無いので後で話すよ』

それを聞いたシャキンが僅かに安堵の息を漏らした。
隣のギコも、自分が離れることによる戦力低下を気にしていたのか
納得したように頷く。

(`・ω・´)「了解した。
      すぐにギコを戦線から離脱させる」

( ・∀・)『ギコ君は四階の別棟入り口へ向かってくれ。
     兄者君が待っているから、そこの守備を任せる』

( ,,゚Д゚)「解ったが……問題はここからの退避だな」

妙な静けさを感じ取る。
攻撃の前に来る独特の沈黙だ。

そしてそれを証明するかのように、光の矢が走る。



38: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 15:49:31.11 ID:SvPFe6Eb0
(`・ω・´)「行け、ギコ!」

二人同時に物陰から飛び出し、シャキンが前へと走る。
階段へ駆け出したギコが

( ,,゚Д゚)「死ぬなよ。
     あまり互いを知らんが、それでも知り合いが死ぬのは後味が悪い」

(`・ω・´)「こちらの台詞だ」

|  ^o^ |「逃がしは――」

<_プー゚)フ「ハッハー! 好きにはさせねぇってんだよ!!」

シャキンから見て右方から弾丸がバラ撒かれる。
不意の攻撃に、弓を構えていたブームが一足飛びで退避した。
その隙にギコは階段を上り、シャキンとエクストが合流する。
ブームから見付からない位置に隠れつつ

(`・ω・´)「意外と早かったな」

<_プー゚)フ「パートナーチェンジは御早めにってな。
        軍神はもう少し掛かるってよ」



43: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 15:51:49.85 ID:SvPFe6Eb0
<_プー゚)フ「とりあえず色々武器持ってきたが、どうよ!?」」

腰に下げたいくつかの銃器を床に置く。
他にも手榴弾やナイフなど、基本的な戦闘装備が揃っていたが

(`・ω・´)「並の武器じゃ駄目だ。
      そもそも使い手の差が大きい」

<_;プー゚)フ「だろうと思ったぜ。
         空なら勝ち目があるんだけどなぁ……っつーか勝つのに」

(`・ω・´)「無い場所ねだりをしても仕方ない。
      今はとにかく死なないように、そして突破させないように戦おう」

<_プー゚)フ「もしかしたらアレを使うかもしれねぇな」

(`・ω・´)「あまり使いたくはないのだが……心を持っていかれないようにするのが、意外と大変でな」

<_プー゚)フ「俺のは無愛想だが扱いやすいぜ。
         いざとなったら、俺が突撃してやんよ」



46: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 15:53:40.59 ID:SvPFe6Eb0
シャキンとの通信を終えたモララーは、室内に入ってきたブーン達を迎えていた。
クー、ハインリッヒ、そしてドクオやジョルジュ、ショボンも一緒だ。
途中で合流した渡辺もいる。

( ^ω^)「何ですかお?」

川 ゚ -゚)「一階に敵がいるというのに……のんびり集まっている場合ではないと思うが」

( ・∀・)「君達は、彼らに勝てると思うかな?」

(´・ω・`)「無理です」

即答する。
ジョルジュが何かを言いたそうであったが、概ね全員の意見は同じだった。

監視カメラに映ったエントランスロビーの光景。
目にも止まらぬ速さで攻める三兄弟と、それに立ち向かう味方勢。
あのギコでさえ圧倒されているのを見て
『勝てる』や『太刀打ち出来る』などと思える者はいなかった。

( ゚∀゚)「だから俺らを集めたのかよ? バラけると速攻で昇天すっから?」

( ・∀・)「それもあるが、少し話があってね」

川 ゚ -゚)「こんな時にか……」

呆れるようにクーが溜息を吐く。



47: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 15:55:10.40 ID:SvPFe6Eb0
( ・∀・)「重要だから聞いておきたまえ。
     まず前提なのだが……渡辺君との接触以来、君達は違和感を持ったことがないかな?」

('A`)「違和感……?」

(;^ω^)「いきなりそんなこと言われても……」

( ・∀・)「聞いた私が馬鹿だったようだ。
     つまり『我々にしては負け過ぎてはいないか』ということを言いたい」

彼が言うには
この一ヶ月ほど、団体戦・個人戦において負け越しているのが気になるらしい。
負けている本人らに自覚はないようだが。

(;^ω^)「でもでも、軍神さんや渡辺さんとか見ていて納得だお。
      あんな強さじゃ僕らが負けるのは当然だと思うお」

( ・∀・)「生憎私が思うのは強さではなく、我々の過去の戦績を考慮しての話だ。
     どうにも負けるべくして負けているような気がする」

頭に『?』を浮かべる面々。
いまいちモララーが言いたいことに対して理解出来ないのだ。
概念的な話をしているのは、辛うじて解るのだが。



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