( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです
- 52: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 15:56:49.74 ID:SvPFe6Eb0
- 「――そこからは私が説明してあげましょう」
爪゚ -゚)「!」
社長室の奥隅。
その暗がりから、黒衣を纏った男が出現した。
いや、最初から居たかのように立っている、と言った方が正しいか。
(;´・ω・`)「貴方は……」
( <●><●>)「御久しぶりですね」
渡辺が研究所跡にいる、という情報を与えてくれた低身の男。
得体の知れない人間の一人。
そして秩序守護者という人知を超えた存在。
現状で最も警戒すべき存在が、FCの中枢であるこの場所に出現したのだ。
すぐさまジェイルが戦闘体勢をとり、モララーを背後へ隠す。
川;゚ -゚)「どうやってここへ……!?」
( <●><●>)「力の行使は計画的に、そして効果的に」
右手を前方へ。
何も握られてはいないが、何か得体の知れない気配が漂う。
- 54: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 15:58:23.02 ID:SvPFe6Eb0
- (;^ω^)「や、やっぱり敵なのかお……!」
( <●><●>)「貴方達の選択次第、と言いたいのですが
そこまで待つほど暇でもありませんので」
从'ー'从「敵になる可能性があるのなら、その芽を早めに摘んでおく……かな?」
(;゚∀゚)「ちっ、下にも敵がいるってのによ……!」
全員が構える。
その様子を黒衣の男が平然と見つめ
( <●><●>)「これで確証が持てましたよ」
川;゚ -゚)「何がだ」
( <●><●>)「私には解っています。
貴方達の心中に『戦いに対する迷い』が生じていることを。
その迷いが無ければ、すぐにでも襲い掛かるはずでしょうしね」
( ・∀・)(……やはりか)
- 57: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:00:01.31 ID:SvPFe6Eb0
- 爛々と輝いた目が光った。
その目から視線を外せなくなってしまう。
( <●><●>)「そして私には解っています。
迷いの正体と違和感の元を。
あの時、確かに発揮していたはずの力を、何故か発することが出来ない理由を」
川;゚ -゚)「何を――」
( <●><●>)「――あの時」
クーの声を遮り、黒衣の男が言葉を被せた。
( <●><●>)「あの時……十年前から始まり、リトガー死亡までの一連の戦い。
貴方達は違和感を感じることがなかったのでしょうが、アレこそが違和感の元凶なのです」
(;'A`)「元凶……?」
( <●><●>)「一つ問いましょうか。
貴方達は何故、リトガーと戦ったのですか?」
漠然とした質問。
そして決着がついたはずの疑問。
- 60: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:01:42.67 ID:SvPFe6Eb0
- (:^ω^)「知ってしまった僕らがやらなくちゃ……いけなかったんだお」
ただし、当時の思いと今の思いは異なる。
本当の真実を、渡辺の口から知ってしまったから。
リトガーが世界を護ろうとして立ち塞がったことを。
それでもあの時に感じた感情を、ブーンは丁寧に吐き出した。
対して黒衣の男が疑問を投げる。
( <●><●>)「本当にそうだと言えますか? 本当にそうだったと言えますか?」
(´・ω・`)「何が言いたいの?」
( <●><●>)「秩序については説明を受けてますね?」
从;゚∀从「……予め決められた未来への道筋、ですよね」
川;゚ -゚)「まさか……」
( <●><●>)「そう、一年半前の貴方達は操り人形だったのですよ。
秩序という筋道に従っただけの、決められた未来へ歩んだだけの」
( ・∀・)「…………」
( ゚∀゚)「気に入らねぇな。
っつーことは、あの時の戦いで頑張った俺らは何なんだ?」
( <●><●>)「その点に関して気にする必要はありません。
世界全ての人々が、秩序の操り人形のようなものですから……それが当然なのですよ」
- 61: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:03:14.15 ID:SvPFe6Eb0
- ( <●><●>)「貴方達が最近に感じている違和感の正体。
それは、進むべき先を見失ったことによる無意識下での戸惑い、です」
言うことが解らないわけではない。
前回の戦いなど、決められた未来へ進んだだけであって
秩序が壊れつつある現状、ブーン達は進むべき先を見失いつつあるということだ。
( <●><●>)「マリオネットは糸が切れてしまえば、機能を果たすことなど出来ません。
つまり今まで背中を押してくれていた存在を無くしつつある、ということにになります。
機械世界と通じた瞬間から、貴方達は行動に不安を覚えていたはずです。
『止めなければ』『戦わなければ』……そう漠然と思えるも、その理由に確信を持てない」
川;゚ -゚)「だが何故、我々だけが違和感を持つ……?
全世界の人々も秩序によって動かされているのならば、彼らも違和感を感じるはずだろう?」
( <●><●>)「秩序を知らぬ人間に感じられるわけがありません。
貴方達は知り過ぎた故に、その弊害を間近で受けているに過ぎないのです」
- 63: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:04:56.71 ID:SvPFe6Eb0
- 漠然と理解出来てしまった。
前回の戦いの勢いは、結局は秩序による補正を受けているに過ぎなかったのだ。
土壇場で出た底力。
全員が力を合わせて突き破った黒の壁。
最強生物への限界突破攻撃。
全ては秩序の加護だった。
倒すべきブーン達が倒すための、都合の良い修正だったのだ。
しかし今現在、秩序が消えつつあるらしい。
彼の言うことが事実ならば、消えれば消えるほど自分達の力が弱体化していることになる。
いや、弱体化ではなく本当の力に戻っていく、と言った方が正しいか。
( <●><●>)「安心しなさい。
別に秩序の存在は悪いことでも、特別なことでもありません。
どの世界でも日常的に行われている所業でありますし、ね」
(;^ω^)「そんな……」
- 66: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:06:32.36 ID:SvPFe6Eb0
- あの戦いが。
むしろ過去の全てが否定されたような感覚。
その過去の勝利を支えていた秩序が機能を失いつつある。
それはつまり、絶対無敵の加護を受けることが出来なくなるということだ。
ここ最近、こちら側が圧倒的に押されていた理由が解った気がした。
渡辺に、軍神に、ロマネスクに、そして今の状況に。
秩序の加護を失った、ただ自分達だけの力で立ち向かって負けただけの話。
加護を無くせば、これほどまでに自分達は弱かったのだ。
从'ー'从「で、それを言いに来た……ってだけじゃないよね」
( <●><●>)「私は秩序守護者。
秩序と交信し、未来を先読みする『未来視』の能力を持ちます。
故に――」
右手を握り込む。
ゴ、と地震が起きたかのように足元が揺れ始めた。
- 68: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:07:56.04 ID:SvPFe6Eb0
- 川;゚ -゚)「これは、空間が……!?」
( <●><●>)「貴方達が一階に到達されると困るのですよ。
秩序の加護を失った貴方達の戦力は目に見えていますが、その数と能力が厄介ですので。
我々の目論見を達成させるためにも、貴方達には消えてもらいます」
轟、と空間に穴が開いた。
それは闇色で、ブーンの知る言葉の中では『ブラックホール』が一番合うだろう。
(;'A`)「お、おわっ!?」
(;´・ω・`)「吸い込まれる……!?」
( <●><●>)「この穴自体に殺傷力は無いので御安心を。
ただし、向こうの空間にて消えてもらいますが」
川;゚ -゚)「そう簡単に……やられてたまるか!」
クーが14th−Wを発動させる。
そのまま黒衣の男に攻撃を仕掛けようとするが
川;゚ -゚)「!?」
(;^ω^)「うわっぷ……!?」
吸引力が上がる。
もはや耐えられるような力ではなかった。
目の前に開いた黒い空間の中に引き摺り込まれていく。
- 70: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:09:30.41 ID:SvPFe6Eb0
- ( <●><●>)「抵抗は無駄ですよ。
これは『修正』と言う所業。
秩序の人形である貴方達が抗えるような力ではありません」
川;゚ -゚)「くそっ!」
既にドクオ、ショボン、ジョルジュの姿が無い。
そして渡辺も、半身以上が黒色の穴の中に収まっていた。
悲鳴も音も聞こえない。
ただ黒衣の男の囁きが、まるで耳元で鳴っているかのように聞こえる。
( <●><●>)「過去……貴方達は戦い、そして自分の中の何かを護った。
しかし今回は訳も状況も、かつてはあったはずの最強の後ろ盾もありません。
貴方達に抗える道理はなく……そして護れるものなど無い」
川;゚ -゚)「……ッ」
言い返せない。
まったくの正論に対して、反論など出るわけがない。
気付けば残っているのは自分だけだった。
クーの下半身も、既に闇色に紛れて確認出来なくなっている。
- 71: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:11:18.02 ID:SvPFe6Eb0
- 抗いの力も虚しく、そしてそのまま引き摺り込まれた。
モララーとジェイルを除いて。
どうやら穴の力は、彼らに及ぶ設定が為されていないようだ。
( ・∀・)「ジェイル君、君も行きたまえ」
爪゚ -゚)「しかし」
( ・∀・)「命令だよ」
爪゚ -゚)「……かしこまりました……御武運を」
白いリュックサックを掴み、一足飛びで、ブーン達が引き摺り込まれた空間へと飛び込んだ。
黒衣の男は邪魔をするでもなく、ただその動作を眺めている。
モララーはある種の確信を心に秘めつつ
( ・∀・)「何故、私だけ仲間外れなのかね?」
( <●><●>)「貴方には貴方の相手がいますので」
そうか、と笑みを浮かべて頷くモララー。
その『相手』が誰なのかを、既に理解しているようだ。
- 72: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:12:43.93 ID:SvPFe6Eb0
- ( <●><●>)「それが解っていて聞いているのなら、私も知っていて問い返しましょう。
何故、今の間に彼らと一緒に飛び込まなかったのか、と」
( ・∀・)「来る未来から逃げて何処へ逃げるのだと?
過去? 現在? それとも別の何処かへ?
少なくとも私は来るべき未来からは逃げないよ……他に行く場所もないしね」
彼の視線は黒衣を見ていなかった。
その先にある、社長室の入り口へと向けられている。
( ・∀・)「さて、君は何処へ逃げていたのかな?」
(,,^Д^)「…………」
プギャーが、そこに居た。
抜き身の剣を片手に、そして身動きせずにただ立っている。
- 74: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:14:15.33 ID:SvPFe6Eb0
- ( <●><●>)「思った以上に早かったですね……。
やはり秩序が壊れていては、正確な未来を掴み辛い」
( ・∀・)「成程……君の力も、ある程度は落ちているというわけか」
( <●><●>)「最近になって、完全な未来を読めなくなりました。
内藤ホライゾン達を送ったのも、『向こうに送るのが良い』という曖昧な未来によるものです。
その先に何があり、そして何が起こるのか……そういった具体的な未来は見えません」
( ・∀・)「そんな事をベラベラと喋るということは――」
( <●><●>)「伝えても問題ない内容、ということですよ。
そしてもう一つの大きな理由としては」
そこで言葉を切った。
ゆっくりとした動きで背後のプギャーへ視線を送る。
そしてまた、ゆっくりとモララーの方へ身を動かし
( <●><●>)「貴方はその情報を、近々の内に伝えることが出来なくなりますから」
( ・∀・)「……その未来、塗り替えて見せよう」
( <●><●>)「別にどちらでも構いませんがね。
では、私はもう一つの『修正』へ向かいますので、貴方達は勝手にやって下さい」
我関せずとでも言うように呟き、黒衣の男は闇に溶けるように消えていった。
- 76: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:15:40.63 ID:SvPFe6Eb0
- 残された二人の内、モララーがわざとらしく溜息を吐く。
( ・∀・)「まったく……好き勝手に場を荒らしておいて謝罪も無しに出て行くとは。
これが噂のYUTORIというヤツか」
さて、と気を取り直す。
ようやくプギャーの目を見て
( ・∀・)「久しぶりだね、プギャー君」
まるで友人に対するような、楽しげな色の言葉を発する。
対して人形のような不気味な笑みを浮かべる男は、モララーの言葉を吟味するように沈黙した後、静かに口を開いた。
(,,^Д^)「……約十年振りか」
( ・∀・)「このふざけた手紙は何のつもりかな?」
懐から取り出したのは、先日モララー宛に届いた手紙だ。
(,,^Д^)「俺が突然現われたことに動揺して、そのせいで負けたと言い訳にされたくないからな」
( ・∀・)「見くびってもらっては困るよ。
私の心を揺るがしたいのならば、『彼女』を今ここに呼び出すくらいのことをしてもらわねば」
『彼女』という言葉にプギャーが明確な反応を示した。
笑みは相変わらずなのだが、何処か憎悪の色を混じらせる。
- 77: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:17:46.92 ID:SvPFe6Eb0
- (,,^Д^)「まだ憶えていたか」
( ・∀・)「顔は思い出せないが……私と君の人生の転機だったからね」
(,,^Д^)「転機、だと?」
一歩踏み出す。
(,,^Д^)「お前は、あの瞬間を『転機』だと言い表すのか?」
( ・∀・)「君は何だと?」
二歩目。
(,,^Д^)「歯車が狂った日、とでも言おう」
( ・∀・)「詩人のつもりかな?」
三歩目。
(,,^Д^)「実を言えば、言葉さえも交わしたくなかった。
だが貴様の顔を見たら、ここは敢えて言葉を投げかけようと心変わりした。
そのふざけた顔を、後悔の色に染め上げて地獄に落ちてもらう、とな」
( ・∀・)「引き摺って引き摺って擦り切れた君に、私の高尚な命を奪うことなど出来はしない。
そもそも後悔など在りはしない」
- 80: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:19:04.39 ID:SvPFe6Eb0
- 四歩目。
同時、モララーが懐に手を突っ込む。
取り出したのは、拳銃と呼ばれる飛び道具だった。
( ・∀・)「生憎、過去のことでgdgd言い合いたくはない。
数少ない友人を、自分の手で殺すのは心が痛むが……」
(,,^Д^)「痛むが?」
五歩目。
モララーの拳銃の先は、明らかにプギャーの頭部を狙っていた。
距離的に考えて、当たる確率は非常に高い。
しかし尚も突き進んでくるプギャー。
対応は、モララーは宣言するように言い放った言葉だった。
( ・∀・)「ただ、それだけなんだよ」
直後、銃声が響いた。
- 82: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:20:46.37 ID:SvPFe6Eb0
- エントランスロビーでは、相変わらずの攻防が続けられていた。
拳と槍、足と剣、銃と弓。
用途も射程も異なる武装が、相手をただ打ち砕くために交差している。
(;゚д゚ )(この調子では、終わるものも終わらんな)
一拍の隙を用いて距離をとる。
オワタは追ってこない。
英雄とは言え、ミルナと同じく体力には限界がある。
周囲も、当初に比べて音が小さくなっていた。
感情のままにぶつかる『動の戦闘』から、僅かな隙を穿つ『静の戦闘』に移行しているようだ。
この状態になれば、交わされるのは攻撃ではなく言葉になるケースが多い。
身体を揺さぶるのではなく、精神を揺さぶるのだ。
('、`*川「あーんもう、楽しいけど疲れるー!」
<_;プー゚)フ「楽しい!? こっちは必死なんだけどな! どうよ!?」
('、`*川「そりゃ弱いのが悪い」
<_#フ;ー;)フ「テメェそりゃアレだ切実だよなぁ……!」
(`・ω・´)「落ち着け」
(;゚д゚ )「味方同士で挑発し合ってどうする……」
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