( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

2: ◆BYUt189CYA :2007/05/23(水) 15:53:17.98 ID:WsiWt4vU0

ごめん思い切り酉間違えた

活動グループ別現状一覧

( ・∀・) (,,^Д^)
所属:不滅世界
位置:FC十四階・社長室
状況:過去の因縁

(#゚;;-゚) / ゚、。 /
所属:機械世界&秩序守護者
位置:FC三階
状況:戦闘中

┗(^o^ )┓ \(^o^)/
所属:英雄世界
位置:FC内部
状況:突破中

( ,,゚Д゚) ( ´_ゝ`) (ミ,,"Д゚彡 (*゚ー゚) (´<_` ))
所属:不滅世界
位置:FC四階
状況:防衛中

( ^ω^) 川 ゚ -゚) 从 ゚∀从 ('A`) (´・ω・`) 从'ー'从
所属:不滅世界
位置:不明
状況:不明



3: ◆BYUt189CYA :2007/05/23(水) 15:56:01.36 ID:WsiWt4vU0

第二十二話 『護られる兄、護れない猫』

FC四階。
ここは別棟への渡り廊下がある階だ。
別棟には、医療施設や倉庫などのサポート的な意味合いが強い施設が存在している。
しぃや弟者、フサギコも、別棟の病室で眠っているはずだ。

今は迅速な離脱命令が下っているため、いつも静かな別棟が騒がしくなっている。
その入り口に二人の男がいた。

( ´_ゝ`)「モララーさんも心配性だなぁ。
      俺がいれば、ここの守りは完璧なのに」

( ,,゚Д゚)「むしろお前だからこそ、俺が呼ばれたような気が」

( ´_ゝ`)「待て待て、俺には心に決めた人がいるんだ……主に画面の中に」

( ,,゚Д゚)「……恨むぞ、モララー」

などと言い合いながら
未だ避難が終わっていない別棟にいる人達のために、入り口を守っている。



5: ◆BYUt189CYA :2007/05/23(水) 15:57:53.18 ID:WsiWt4vU0

( ´_ゝ`)「そういや、ギコさんが来る前にモララーさんから連絡があった」

( ,,゚Д゚)「何だ?」

( ´_ゝ`)「別棟の避難が終わったら、すぐに脱出するようにだと。
      たとえ交戦中でも」

( ,,゚Д゚)「社員全員を逃がしているのも、そのためか……」

( ´_ゝ`)「何か絶対負けるんだって言ってた。
      まぁ……解らんわけじゃないけど」

( ,,゚Д゚)「何か知っているのか?」

( ´_ゝ`)「武力に強い力って何だと思うよ?」

( ,,゚Д゚)「そりゃあ……」

少し考え

( ,,゚Д゚)「権力じゃないか?」

( ´_ゝ`)「そういうこと。
      武力の塊であるFCが、権力の塊である世界政府には勝てない。
      これは俺の推測なんだが……FCは何か理由を付けられて潰されるんじゃないか、と」



6: ◆BYUt189CYA :2007/05/23(水) 15:59:24.15 ID:WsiWt4vU0

( ,,゚Д゚)「……ふむ」

( ´_ゝ`)「つまり――」

ギコを見ていた瞳を動かす。
渡り廊下の先、つまり本棟の方へ首を動かした。
そこには二つの人影。

( ´_ゝ`)「ああやって武力で押さえ込むってのは、現状でナンセンスなはずなんだけどなぁ」

( ,,゚Д゚)「……英雄か」

ギコの青い指輪が光、その形を巨剣へと変貌させる。

┗(^o^ )┓「まだそちらの避難は終わってないようですね」

\(^o^)/「では、行きましょうか」

剣と槍を携えた男二人。
その身からは、得体の知れない雰囲気が溢れ出ていた。
問答無用のようで、完全に戦闘態勢に入っている。



8: ◆BYUt189CYA :2007/05/23(水) 16:01:19.79 ID:WsiWt4vU0

( ´_ゝ`)「さてさて……ギコさんや、どうしますかい?
      避難が済めば退くことが出来るけど、相手の目的くらいは知っておきたいもんだ」

( ,,゚Д゚)「大体は見当がつくがな。
     しかしまともに挑んでも勝ち目は薄いから性質が悪い」

あっさりと答え

( ,,゚Д゚)「この渡り廊下は直線で、割と距離がある。
     お前の持つ銃器で牽制し続ければ、少しくらいの時間は稼げるだろう。
     流石に銃弾の雨を掻い潜ることは出来まい」

防衛用の機材を盾に、兄者が黒塗りの銃器を構える。

( ´_ゝ`)「アーウィンは使えないけど戦う力はあるんだぜ?」

躊躇することなくトリガーを引いた。
銃口が火を噴き、鉛弾が連続で発射される。
それらが到達する前に、渡り廊下の入り口に立っていた二人が壁の陰に身を隠した。

( ,,゚Д゚)「弾薬は?」

( ´_ゝ`)「たっぷり」

兄者の足元には、ある程度の攻撃を凌ぐには充分な量の弾薬。

( ,,゚Д゚)「さて、どう出てくるか……」

グラニードを肩に担ぎ、ギコは静かに呟いた。



11: ◆BYUt189CYA :2007/05/23(水) 16:03:13.71 ID:WsiWt4vU0

┗(^o^ )┓「さて、どう出ましょうか」

壁を背にしてジュカイが言う。
咄嗟に物陰に隠れることとなったが、このままでは進軍のしようがない。
今、銃声は鳴りを潜めているが、顔を出せばまた嵐のように襲い来るだろう。

出来ることと言えば

\(^o^)/「一応、投擲は可能ですが」

槍を五本ほど背負ったオワタが提案する。

┗(^o^ )┓「ですが、それで仕留められるか……」

兄者一人ならばタイミング次第で可能だ。
しかし隣にギコがいる。
ブームの光矢を弾いていた実力があれば、投げ槍も防ぐことが出来るはずだ。

\(^o^)/「連射出来るほどの量もありませんからね」

┗(^o^ )┓「かと言って、突破を図るには距離がありすぎる」

こちらから向こうまでは約二十メートル。
天井も幅も、あまり広いとは言えない。
二人の速度で突っ込んだとしても、蜂の巣になることは明らかだった。



16: ◆BYUt189CYA :2007/05/23(水) 16:07:28.21 ID:WsiWt4vU0

ふむ、と二人で考え込む。

あまり時間はない。
このままモタモタしていては世界政府が動いてしまう。
そうなれば、早急にFCから離脱しなければならない。

┗(^o^ )┓「それまでに何としても指輪を手に入れなければ」

それが彼らの主な目的だった。
FCの主戦力を支えているのは軍神・GIF・指輪の三種。
その中で、簡単に無力化可能なのは指輪だ。
こちらが使えないにしても奪うだけで効果があり、内在魔力も得られる。

現在、最も奪取が容易とされるのはしぃと弟者。
つまり渡り廊下さえ突破出来れば、後はどうにでもなるのだ。

┗(^o^ )┓「あまり考えている暇はありませんね」

\(^o^)/「方法は無くはないですが、危険です」

┗(^o^ )┓「何を今更……危険の中にこそ生を見出す価値があるのです。
       それに、ここで戦えずに退くのならば死んだ方がマシですよ。
       私にとって、闘争こそが愉悦なのですから」

\(^o^)/「……解りました」

背から一本の槍を取り出す。
その穂先を、ジュカイの胸元へ向け

\(^o^)/「では、私が愉悦へ送り出してあげましょう……失敗すれば死にますが、その時は許してくださいね」



18: ◆BYUt189CYA :2007/05/23(水) 16:09:17.53 ID:WsiWt4vU0

( ,,゚Д゚)「来るぞ」

( ´_ゝ`)「任せとけぃ」

尋常ではない殺気が、渡り廊下の向こうから放たれてきた。
覚悟を決めたのか、それとも何か策があるのか。

( ,,゚Д゚)「やることは変わらん……お前が弾幕を張り、俺が抜けてきた攻撃を叩き落とす」

( ´_ゝ`)「単純な戦術こそ、使い方によっては効果高いよなぁ」

( ,,゚Д゚)「少人数戦の鉄則だ」

構える。
姿を見せた途端、蜂の巣。
万が一その弾幕を抜けたとしても、ギコの巨剣が突破を許さない。
如何に相手が英雄といえど、この狭い空間では鉄壁の作戦だ。

後は別棟の避難が終わるまで、こうして耐え続ければ良い。
そう思った矢先だった。

( ´_ゝ`)「……来た!」

廊下の先、右側の通路から影が飛び出す。

\(^o^)/「では」

オワタだ。
バットを構えるように長槍を両手で振り上げた格好で、左側の通路へと走る



20: ◆BYUt189CYA :2007/05/23(水) 16:11:15.65 ID:WsiWt4vU0

( ´_ゝ`)「加減は利かんぜにょ!」

フルオートの衝撃に舌を噛みつつ、兄者の銃器が弾を吐き出した。
対してオワタは一度も止まることなく、右から左へと突っ切る。
しかし、その様相が普通ではなかった。

(;,,゚Д゚)「なっ……」

振りかぶった槍の先。
そこに低身のジュカイがしがみついている。
気付いた時には、既に『発射』されようとしていた。

振られる。
神速の槍から、ジュカイの身体が射出された。
兄者の射線上から上手く回避している状態で、そして猛スピードで突っ込んでくる。

(;´_ゝ`)「あ、やべ、間に合わん」

そんな無責任発言を聞いたギコは、すぐさま迎撃に入る。
一直線に飛んで来るジュカイを野球ボールに見立て、その青い巨剣を振りかぶった。

( ,,゚Д゚)「悪いな、砕け散れ!」

刃ではなく、剣の腹をぶつけるような軌道で振った。



21: ◆BYUt189CYA :2007/05/23(水) 16:12:52.05 ID:WsiWt4vU0

しかし認識が甘かった。
英雄とは、そんな生半可な攻撃で防げる存在ではないのだ。

┗(^o^ )┓「――御覚悟を」

小さく呟き、右手に持った剣を構える。

激突。

鼓膜をつんざく金属音が響いた。
少し離れた兄者が顔をしかめていることから、その衝撃の強さが伺える。
その力をまともに受けたギコは

(;,,゚Д゚)「ぐっ……うぅ……!!」

┗(^o^ )┓「闘争こそ、愉悦」

押される。
こんな華奢な身体の何処からこんな力が出るのか。
全体重を掛けているギコの足が、一歩二歩と後退していく。

( ´_ゝ`)「やばくね?」

オワタに対して弾幕を張りつつ、のん気に兄者が言う。
反論したいのだが、ジュカイから放たれる強い力によって言葉を発する余裕など生まれてこない。



23: ◆BYUt189CYA :2007/05/23(水) 16:14:21.15 ID:WsiWt4vU0

そして遂に

(;,,゚Д゚)「ぐぁ!?」

踏ん張っていた足が地を離れる。
前方から来る勢いのままに、ギコの身体が後方へと吹き飛んだ。
背後にある自動ドアを突き破り、そのまま別棟の中へ。

(;´_ゝ`)「おいおい、大丈夫か……ド派手に飛んでいったが」

視線だけで見送る。
侵入されたのはマズいが、だからと言ってここから離れるわけにはいかない。
まだオワタという敵が残っている。

( ´_ゝ`)「しかしこれが作戦、か……?」

兄者はふと思う。
ジュカイという戦力を無理矢理に叩き込むだけで終わりなのか、と。
英雄……特にクン三兄弟は、聞いた話では闘争心が異常に強いらしい。

では残った一人が、あのまま大人しくしているだろうか。



26: ◆BYUt189CYA :2007/05/23(水) 16:15:47.52 ID:WsiWt4vU0

答えはすぐに出る。
音を証明として。

聞こえたのは、ヒュ、というか細い音。
それが示すものとして、もっとも妥当なのは――

(;´_ゝ`)「ぬぉぁ!?」

右肩を、槍が掠めていった。
慌てる兄者の視線の先、オワタが背中から槍を抜きつつ

\(^o^)/「大体、今ので感覚が掴めました。
      次はその心臓を貫かせてもらいます」

( ´,_ゝ`)「HAHAHA、俺のハートは燃え尽きるほどクール!
      それに心臓ってwwwwwwゲイ・ボルク乙wwwwwwwww」

ドヒュン、という音。
傍目から聞いてもヤバイ速度を誇っているであろう槍が、一直線に心臓を狙う。
攻撃の気配を敏感に察知した兄者は、すぐさま防衛用機材の陰に隠れた。



28: ◆BYUt189CYA :2007/05/23(水) 16:17:33.48 ID:WsiWt4vU0

耳障りな音が響く。

衝撃を感じ、ふと視線を右へ移すと

( ´_ゝ`)「…………」

オワタの放った槍が、頑丈な機材をぶち抜いているのが見えた。
あと少しでもズレていれば本当に心臓を穿たれていただろう。

非現実的な光景に、兄者は思わず尿を漏らしそうになったというか少し漏らした。

\(^o^)/「ふむ……もう少し左ですか」

やばい。
次は死ぬ。

直感的に感じ取った兄者は、すぐさま身を起こし

(;´_ゝ`)「ここで牽制しないと俺死ぬ!」

銃を構えてトリガーを引いた。
しかし思っていた反動が来ない。
どう見ても弾切れです、本当に

(;´_ゝ`)「ありがとうございましたァァァァァ!!」

リロードなどする暇はない。
三本目の槍が、兄者の心臓を食らうために飛翔してくるのだ。



29: ◆BYUt189CYA :2007/05/23(水) 16:19:22.80 ID:WsiWt4vU0

床を蹴り飛ばして身体を投げ出すように退避させる。
一瞬遅れて槍が通過し、背後のガラスを突き破った。
あのままボーっとしていたら、確実に胸に刺さっていた軌道である。

すぐさま立ち上がり、背後へダッシュ。
背後から尋常ではない悪寒を感じるが、無視して走った。
破壊された自動ドアを潜り抜け、オワタの攻撃射線上から退避するために足を動かす。

目の前にある突き当たりを左折すれば何とかなるはずだ。
如何に強力であろうとも、この分厚い壁を破壊することは出来まい。

( ´_ゝ`)「ふははは! 勝った!」

何が勝ったのかは不明だが、兄者は高々に宣言した。

無論、この時に生まれるのは油断だ。
左折しようとした時。

(;´_ゝ`)「へぁんっ!?」

慣性によって身体のバランスが崩れ、それを見計らったかのように足が床を滑る。
右足が上がり、左肩から落ちる。
当然、無防備な頭も床に激突。

ゴ、という痛々しい音が響いた。



31: ◆BYUt189CYA :2007/05/23(水) 16:21:09.88 ID:WsiWt4vU0

(:´_ゝ`)「……つぁ」

思わず苦痛の声が漏れた。
もう奇声なんて発している状況じゃない。

情けない。
自分はこうも弱かったか。
うん、弱かった。

何とか起き上がり、軽く頭を振る。
脳が心臓のように鼓動しているような錯覚。


本来なら、そんなことをしている場合ではなかった。


苦痛の声を漏らしている暇があるのなら。
起き上がる暇があるのなら。
頭を振る暇があるのなら。

全力でその場から退避しておくべきだったのだ。

無様でも、転がっても、足掻いてでも、壁の陰に逃げ込むべきだったのだ。



32: ◆BYUt189CYA :2007/05/23(水) 16:22:49.68 ID:WsiWt4vU0

気付いた時にはもう遅い。

( ´_ゝ`)「あ」

背後。
猛烈な殺気と共に来るのは槍。

頭を打った時に脳の回転数が上がったのか、その穂先の輝きまでも視認することが出来た。
そしてそのことから、妙に冷静な頭で結果を予測する。

( ´_ゝ`)「――死んだわ、これ」

まさに『どうにもならない』とはこの事だった。

死、及び激痛を覚悟した兄者の目は、思わず瞑られることとなった。



33: ◆BYUt189CYA :2007/05/23(水) 16:24:11.05 ID:WsiWt4vU0

FC別棟。
病室が並ぶ廊下。
ほとんどの避難は終わっているが、未だに人が残っている。

そんな中、金属音と火花を散らしながらぶつかる存在が二つあった。

( ,,゚Д゚)「チィ……!」

┗(^o^ )┓「ふッ……!」

猛烈な斬撃が襲い来る。
ギコは右手の巨剣を巧みに操り、その剣撃を捌いていた。

しかし技術の差は圧倒的だ。

身体こそ傷付いてはいないものの、剣撃を受ける度に一歩ずつ後退してしまっている。



35: ◆BYUt189CYA :2007/05/23(水) 16:26:01.08 ID:WsiWt4vU0

(;,,゚Д゚)(くそっ!)

左手を失ってから、右手だけで戦えるように訓練してきた。
独特な体捌きを覚え、遠心力を最大限に用いた剣の振り方もマスターした。

しぃへの負い目があったのだろうか。
彼女のせいで剣を持てなくなった、などと言いたくなかったのか。
解らないが、片腕を失っても、ギコ自身の闘争心は失われなかった。

あれから一年。
ブランクという言い訳が出来るほど戦闘という世界から離れていた。

もちろん『ブランクだから』という言い訳をするつもりはない。
しかし、秩序の加護を失ったという事実を抜きしても、彼自身の戦闘力は以前に比べて格段に落ちていた。

勘は失われてはいない。
ただ、何故か身体が上手くついてきてくれない。
しぃという幸福を手に入れた代償なのかもしれない、とギコ自身は思っている。

しかし今だけは負けることが許されない。
負ければ、彼女の身が危ないかもしれないのだから。



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