( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

98: ◆BYUt189CYA :2007/06/27(水) 22:02:25.63 ID:yeAPhPGE0
从'ー'从「内藤くーん」

渡辺ののん気な声が聞こえる。
慌てて左手を背後へ隠し

(;^ω^)「えと、何か手伝うことがありますかおー?」

从'ー'从「ううん、こっちは大丈夫。
      内藤君は中枢の制圧に向かっていいよー」

(;^ω^)「え? 僕一人なんですかお?」

从'ー'从「私はこのまま貞子のプログラム書き換えを続けるつもりだしね。
      それが終われば私も中枢に向かうけど、それまで時間が必要なの。
      だから先に内藤君、行ってていいよ」

(;^ω^)「え、いや、その……貞子さんがいれば心強いかなぁ、なんて――」

从'ー'从「行ってていいよ?」

(;^ω^)「……ワカリマシタデスオ」



102: ◆BYUt189CYA :2007/06/27(水) 22:03:55.83 ID:yeAPhPGE0
ほんの少しだけ肩を落とし、ブーンは奥の扉へと顔を向けた。
その背後から

『……君は彼女に何か弱みでも握られているのか?』

(;^ω^)「いや、何ていうか……問答無用の波動が僕を襲うんだお」

『よく解らないな。
 日頃から君を観察してはいるが、女性に対しての権力が低いようにも思えるぞ』

要は『尻に敷かれている』と言いたいのだろう。
ブーンは、周りにいる女性という女性を頭に浮かべた。

クー、しぃ、ジェイル、ツン、渡辺、軍神。

意外と少ないことに気付く。
しかし、どれもこれも我という芯を持った強い女性ばかりだ。

( ^ω^)(あ、ハインなら心労が少ないお!)

彼女であれば、それほど気を遣うことはない。
ブーンにとっては娘のようなものだ。

娘? つまり子供? 誰との?

……クー?

( ^ω^)「…………」

( ////)ボッ



108: ◆BYUt189CYA :2007/06/27(水) 22:05:17.97 ID:yeAPhPGE0
『……どうした内藤ホライゾン、気持ち悪いぞ。
 コロッケかそれは』

(; ゚ω゚)「い、いや僕としては清らかな御付き合いを前提にって突き合うって意味じゃなくて清らかなそのあのえと――」

『心拍数が凄いことになっているな。
 これから大事な戦いに望むのだというのに、大丈夫なのか』

(;^ω^)「――はっ! そうだったお!」

『頼むぞ』

(;^ω^)「おk、おkだお」

うんうん、頷いて冷静さを取り戻そうとする。
と、そこでふと思う。

( ^ω^)(僕らがここにいるってことは、他の皆も……)

ドクオやショボンも心配だが、ハインも同じように心配だ。
出来れば誰か……最悪ジョルジュの傍でもいいから、護ってくれる人と一緒にいれば良いのだが。

( ^ω^)「心配だけど、とにかく中枢を制圧出来れば――」

『あぁ、この戦いも終わらせることが可能だろう』

( ^ω^)「……よし、行くお!」

倉庫の奥にある鉄扉。
ブーンは新たに意気込み、その重い扉を開いた。



110: ◆BYUt189CYA :2007/06/27(水) 22:07:02.12 ID:yeAPhPGE0
包んでいた包帯が舞った。

それは風に乗り、そのまま周囲の闇の中へと消えていく。

現われたのは

*(#‘‘)*「!?」

奇妙な色だった。

黒を基調とし、そして様々な色を無闇に混ぜたような不気味な配色。

それは

从メ゚∀从「僕の身体に残る15th−Wの残滓ですよ……!」

人ではない色をした、しかし人の腕だった。



113: ◆BYUt189CYA :2007/06/27(水) 22:08:31.80 ID:yeAPhPGE0
*(#‘‘)*「馬鹿な!? 既にその細胞は消滅しているはずじゃないんですか!?」

从メ゚∀从「クーさんがくれた血のおかげで、今も徐々に消えていっています」

*(#‘‘)*「まさか、切断されたはずのお前の両足が存在する理由って――」

从メ゚∀从「えぇ、この15th−Wの再生能力の恩威です。
      逆を言えば、僕の両足と右手はまだ15h−Wそのものですけどね。
      それも段々と消滅していって、僕の体内で作られた新しい細胞が隙間を埋めていってます」

*(#‘‘)*「……それを見せてどうするつもりですか?」

从メ゚∀从「戦うんですよ、この力を使って」

立ち上がる。
右手を振るい、その先をヘリカルへ向けた。

*(#‘‘)*「ッ……力を使えばどうなるか解って言ってるんですか」

从メ゚∀从「活性化を受けた15th−W細胞は息を吹き返すでしょうね。
      そして僕の身体を再度、侵食し始めるはずです」

三十分だ、と判断する。
身体全てが15th−Wに支配されるまでの限界時間だ。



118: ◆BYUt189CYA :2007/06/27(水) 22:09:47.47 ID:yeAPhPGE0
無論、侵食された部分は戦闘が終わっても残る。
つまりこの戦闘以外の戦闘使用を含めても、三十分が限度だということだ。
その想定時間を越えれば――

从メ゚∀从「その前に貴女を倒します!」

*(#‘‘)*「自身の身を削ってまで戦う理由はなんですか!?」

从メ゚∀从「僕が僕である理由を打ち立てるためですよ!!」

ヘリカルへと突進する。
両足を構成する膨大な力に任せ、たった一足で目の前に迫り

*(#‘‘)*「ッ!?」

慌てて構えたステッキに強烈な衝撃が走る。
目を瞑ってしまう瞬間と、そしてまた開いた瞬間とでは光景が異なっていた。

握った柄の中間点に、大きなヒビが入っている。

*(#‘‘)*「そ、そんな……!?」

ステッキ自身にも魔力防護は施してあるはずだ。
つまりハインリッヒの放った右腕の一撃は、容易くその防護を貫いたことになる。



122: ◆BYUt189CYA :2007/06/27(水) 22:11:04.40 ID:yeAPhPGE0
流石は15h−Wというべきなのだろうか。
本来の力を失ったはずのそれは、しかし内在する魔力だけで十二分に戦える代物だった。
魔力という火薬を詰めた炸裂拳といった方が早いだろう。

从メ゚∀从「てりゃぁぁ!」

二撃目が来た。
発声と気配で察知したヘリカルは、魔力の勢いに任せて後退する。
距離を稼ぎ、そしてそのまま砲撃戦に入るつもりだ。

たとえハインリッヒの右腕が強力だろうが、接近されなければ問題はない。
兵法の基本中の基本をヘリカルは忠実に守った。
相手が強敵だからこそ、だ。

*(#‘‘)*「この距離なら!」

折れ掛けたステッキを振り回し、その先端を視線の先へと向ける。
人差し指に引っ掛けられたトリガーを三度引けば
ガシュ、という音と共にマジックカートリッジが三つ吐き出された。

次の瞬間、マジックカートリッジから供給された莫大な魔力がステッキ先端に集約される。
高音が響き、桃色の衝撃波がヘリカルを中心に広がっていく。



127: ◆BYUt189CYA :2007/06/27(水) 22:12:57.87 ID:yeAPhPGE0
その先をハインリッヒへと向け、しかし一瞬だけ動きを止めた。

相手は人の形をしている。

ヘリカルは軍人ではあるが、あくまで対異獣のために編成された部隊の一員だ。
決して人を殺すために戦っているのではない。

だからといって、人を殺したことがないわけではない。
裏切り者を始末したこともあるし、異獣に降伏しようなんて言った馬鹿を殺したこともある。

しかしそれでも人を殺すことには慣れていなかった。
いや、慣れようとしなかった。
痛めつけるのは好きだが、殺すのは駄目だと思っているのだ。

そんなことに悩むヘリカルに対し、かつてロマネスクはこう言った。

――敵対した存在を、人だとは思うな。

当時の、今ほど強くなかったヘリカルは納得した。
人を殺すのが嫌ならば、相手を人だと思わなければ良い。

それを悟ってから、ヘリカルは目に見えて強くなっていった。
何か心に引っ掛かるモノはあったが、それも全て無視を決め込んだ。
結果、八連MCホルダーという高級装備を付属した汎用型ステッキを手に持つこととなる。



129: ◆BYUt189CYA :2007/06/27(水) 22:14:21.03 ID:yeAPhPGE0
*(#‘‘)*(敵を――)

二〜三倍に膨れ上がった魔力を操作し

*(#‘‘)*「――人だと思うなぁぁぁぁ!!」

直射砲を発射する。
その反動で身体が背後に引っ張られるが、足を地面に踏ん張らせて耐えた。
桃色に染められたレーザービームが、一直線に道路を削りながら走る。
その先にはハインリッヒ。

从メ゚∀从「あぁぁぁ!!」

吠える。
避けるどころか前へと身を飛ばし、真っ向勝負でも仕掛けるような軌道で走った。

*(#‘‘)*「ば――」

馬鹿か、と思う。

たとえ右腕と両足が15th−Wそのものだとしても他の部位は生身の人間だ。
その状態で魔力直射砲の中へ飛び込んでしまえば、生身部分が消し飛ぶだろう。

魔力とは、単純な力ではない。
物理法則を書き換える『奇跡』なのだ。
魔力以外の如何なる防御を用いても、自身を気力で充実させようとも結果は変わらない。

その中へ、ほとんど生身のハインリッヒは飛び込んでいった。



136: ◆BYUt189CYA :2007/06/27(水) 22:17:40.48 ID:yeAPhPGE0
光が道路を粉砕蹂躙する。
桃色光線という一条の光は、都市ニューソクの中を駆け抜けていった。

*(#‘‘)*「…………」

後には何も残らず、そして残るわけがない。
パラパラ、と音を立てる瓦礫と煙以外は動くものさえもない。

*(‘‘)*「馬鹿です」

呆気ないほどに簡単に終わってしまった。
魔力を用いた戦いは、大体このようにあっさりと終わってしまう。
今では慣れたこととはいえ、ヘリカルはその空虚さを受け入れるようなことはしない。

人が死ぬということに対して順応してはならないのだ、と強く思う。
そしてまた、人を殺しておいて、とも思う。

*(‘‘)*「……やっぱり、殺すのは異獣が一番楽しいですね」

アレは単なる害悪だ。
人間、悪という存在を倒すことに多大な快感を覚える。
どの時代にも正義のヒーローが求められるのは、そういう部分もあるからだ。

そしてヘリカルもその一人で、ただ異獣を殺すという目的のために動いている人物であった。



138: ◆BYUt189CYA :2007/06/27(水) 22:19:20.25 ID:yeAPhPGE0
後味の悪い戦闘を終えた彼女は、苦い顔でその場を去ろうとする。
背後を振り返り、そして表情が大きく変わった。

从メ゚∀从「やっと気付いてもらえました」

*(;‘‘)*「!?」

消えたはずのハインリッヒが、そこにいた。

服などボロボロで半裸に近い。
しかし身体に欠けた部分など見当たらなかった。
あのレーザーの中を、無傷で突破したとでも言うのだろうか。

*(;‘‘)*「何で……」

思わず、疑問の声が出てしまう。
それによって動揺を悟られてしまう、と考えるよりも
真実を知りたい、という思いが大きかった。

从メ゚∀从「僕は15th−W以外のウェポンを、一つだけ使うことが出来るんです」

それは前回の最終戦で備えられた能力。
リトガーが最後まで装着していたウェポン。

从メ゚∀从「――11th−W『ミシュガルド』。
      幻影を生み出すことの出来る能力を持つウェポンですよ」

*(;‘‘)*「……そんな」



141: ◆BYUt189CYA :2007/06/27(水) 22:20:45.31 ID:yeAPhPGE0
从メ゚∀从「といっても流石に無傷は無理でしたけどね」

苦笑し、右腕を掲げる。
盾に代わりにしたのだろうか、その腕は少し歪み、灰煙を上げていた。
ボロボロに裂けている服もそれが原因だろう。

*(;‘‘)*「じゃあ、何で私を殺さないんですか?」

ヘリカルの口から当然の疑問が出た。
相手の背後を取ることが出来たのならば、躊躇する道理はない。

今、ヘリカルは自分の状況が不思議でならなかった。
背後をとり、しかも気付かれないないという状況がどれだけ幸運か知っているからだ。

状況的に考えて、彼女は死んでいないとおかしいのである。

それが何故か生きている。
目の前で眉尻を下げた『最強』を前に、自分の意思があるのが不思議だった。

从メ゚∀从「だって――」

何故という問いに対して、ハインリッヒは力無く笑い

从メ゚∀从「何がどうあれ、僕は人を殺すのは嫌なんです」



144: ◆BYUt189CYA :2007/06/27(水) 22:22:09.90 ID:yeAPhPGE0
*(‘‘)*「……私は敵ですよ」

从メ゚∀从「その前に人間です。
      異世界の人でも、僕と同じ人間です」

その言葉に、ヘリカルは軽く目を見開いた。
彼女はこう言ったのだ。

自分も人間なのだ、と。

『最強』と呼ばれ、『完成品』と呼ばれ、人間を超えた能力を持ち、そして正規の人間でもなく
しかしなお、彼女は自身を人間だと言った。

そして、ヘリカルも同じ人間だと言った。
人を殺し、異獣を狩り、ロマネスクに協力する自分にそう言ったのである。
敵を人だと思うなと思い続けたヘリカルにとって、その言葉は衝撃の一言だった。

*(;‘‘)*「な、何を馬鹿なことを。
     敵は倒す……それが絶対に正しいんですよ」

从メ゚∀从「敵味方関係ありません。 僕は人を殺すのが、傷付けるのが嫌なんです」



147: ◆BYUt189CYA :2007/06/27(水) 22:23:32.18 ID:yeAPhPGE0
それは正直な心中である。

かつてのハインリッヒは破壊の象徴だった。
近付くもの全てを敵だと認識し、全てに牙を剥き、そして傷付けた。
その時の記憶は曖昧ではあるが、その事実を事実だと知っている。

だからこそ『もう傷付けるのは嫌だ』と強く願った。

自分はそんな存在ではないと。
そんな存在だったのかもしれないが、それでは嫌だと。

*(;‘‘)*「偽善です……テメェの言ってることは全て偽善ですよ……!」

从メ゚∀从「偽善でいいです。 本当の善なんて僕は知りませんから。
      だからせめて僕の思う善を信じ抜きます」

*(;‘‘)*「自分を打ち立てるのが偽善で良いんですか?」

从メ゚∀从「偽善だとか……そういうのは他人が決めることです。
      でも僕がそれを信じたら、それは僕の支えになってくれるんですよ」



150: ◆BYUt189CYA :2007/06/27(水) 22:24:58.66 ID:yeAPhPGE0
秩序だとか、未来への道筋だとか、そういう大規模な話は関係ない。
ハインリッヒは言は、ただ周囲の人間を見て出した答えだった。

クーやブーン、モララーやギコ。
彼らは不器用ながらも自分の道を見出そうとし、そしてその上を走っている。
いや、正確に言うならば走っていた。

ハインリッヒは知っている。
彼らの芯はとても脆い存在ではあるが、とても綺麗なものなのだと。
だから彼女は強く思い、そして願った。

从メ゚∀从「僕は他人に言われた善よりも、自分の信じる偽善の上に立ちたいんです」

*(;‘‘)*「……!」

逆だ、と思ってしまった。
ロマネスクの教えを心に染めた自分と逆なのだ。

他人の考えに依存したヘリカルと、自分の考えを支えにするハインリッヒ。

まったく逆の考えを持っていると自覚し、そして眩しいとも思った。
その眩しさが何なのかは解らないが

*(‘‘)*「……ズルいです」

と、そんな嫉妬の言葉が出てきた。



154: ◆BYUt189CYA :2007/06/27(水) 22:26:43.81 ID:yeAPhPGE0
从メ゚∀从「何と言われようとも構いません。
      ですが僕は僕を曲げるつもりはありませんし、貴女を曲げるつもりもありません」

*(#‘‘)*「……それがズルいんですよ!」

激昂の言葉をスイッチとして、抜けていた力が全身を駆け巡った。
呼応するように魔力が風を巻き起こす。

从メ;゚∀从「わぷっ!?」

*(#‘‘)*「興が削がれました! 今回は見逃してあげます!」

从メ;゚∀从「へ? 僕が見逃される側なんですか?」

*(#‘‘)*「うるさいうるさい!」

『引』の魔力で己の身を浮かし、持っていたステッキの腰を乗せる。

*(#‘‘)*「次に会ったらテメェを論破してやるです!」

妙な捨て台詞を残し、ヘリカルの身体は上空へと昇っていく。

*(#‘‘)*「憶えてやがれです!」

魔力が噴射される。
一筋の桃線が、桃色の雫を撒き散らしながら夜空を走った。

从メ;゚∀从「……論破?」

ハインリッヒはそれを、首を傾げて呆然と見送った。



157: ◆BYUt189CYA :2007/06/27(水) 22:28:00.83 ID:yeAPhPGE0
その部屋は、貞子と戦った空間に負けないほど広かった。

しかしその天井や壁は機械に覆われ、せっかくの広さを殺してしまっている。

正面には巨大なメインウインドウ。
周囲にはメインを補佐する数々のサブモニター。
見慣れぬ機械が並び、赤や黄の光を明滅させている。

( ^ω^)「…………」

重い震動が鼓膜を震わせた。
ゴ、という音の連鎖が原因である。
それは稼動している機械群から発せられているようだ。

心臓が、いつも以上に激しく鳴っていた。
悪寒が背筋を断続的に撫で続け、強い吐き気が込み上げてくる。
それほどの緊張感を与える空間だった。

そして

( ФωФ)「よぉ」

メインコンソールの前に立っていた男が、振り向いた。



162: ◆BYUt189CYA :2007/06/27(水) 22:29:18.56 ID:yeAPhPGE0
(;^ω^)「……!」

思わず息を呑む。

ロマネスクは変わっていなかった。
あの時と変わらない黒コート、変わらない表情、変わらない雰囲気だ。
そしてあの時と同じ、狂気とも殺気ともいえる不気味な気配を纏っている。

( ФωФ)「勝手に侵入しといて挨拶も無しかよ?」

(;^ω^)「こ、こんにちはだお……」

( ФωФ)「いいねぇいいねぇ、馬鹿は好きだよ俺」

クク、と喉を震わせて笑う。

( ФωФ)「しかしまぁ面白いことになってんじゃねぇか、あぁ?」

(;^ω^)「?」

( ФωФ)「何だ、知らねぇのかよ」



166: ◆BYUt189CYA :2007/06/27(水) 22:30:39.64 ID:yeAPhPGE0
背後のコンソールを叩いた。
軽い電子音と共に、メインモニターがいくつもの画面を作り出す。
それは各所に仕掛けられた監視機から送られてくる映像だった。

(;^ω^)「おっ!?」

まず右上の画面では、ジェイルが派手に暴れていた。
そして横の画面では、クーとジョルジュが小人と戦っている。
さらに横の画面では、ドクオとショボンが建物の影で各々の武器を構えている。
その真下の画面では、ペニサスとタマネギが睨み合っている。

飛ばされた皆の現状が解り、ブーンは安堵した。
そして同時に焦燥の念に駆られる。

(;^ω^)「皆、戦ってるお……!」

( ФωФ)「奇襲作戦としちゃあ悪くねぇ。
        各地に戦力をバランス良く配置し、出来るだけ敵を引き付ける。
        で、少数精鋭がこうやって中枢まで突っ込んでくる、か」

(;^ω^)「でも、それは――」

( ФωФ)「もちろん解ってるぜ。 秩序守護者の仕業だってんだろ?」

(;^ω^)「そ、そうだお」

( ФωФ)「空間転移なんざを軽々とやってのけるのは秩序守護者くらいだろうしな」



171: ◆BYUt189CYA :2007/06/27(水) 22:32:35.71 ID:yeAPhPGE0
しかし、と言い

( ФωФ)「何故に奴らがここへ飛ばしたのか……それは知らねぇ、と」

(;^ω^)「……お前は知ってるのかお」

( ФωФ)「わざわざ言う義理はねぇから教えねぇけどな。
        それよりもすることがあるんじゃねぇかぁ?」

ロマネスクの腕が掲げられた。
その腕には黒色のブレスレッド。
光沢などない、ただただ真っ黒な物体が装着されていた。

( ФωФ)「リベンジだろ? 相手してやるから掛かってきな」

おかしい、とブーンは思う。
目の前の男がロマネスクらしくないのだ。
諦めの念さえも感じ取れそうなほど、その存在が薄いようにも思える。

(;^ω^)「待つお」

( ФωФ)「俺の好きなことの一つは、『待って』と言う奴に――」

黒光。
次の瞬間には、ロマネスクの両腕に黒色のグローブが姿を現した。

( ФωФ)「――『待たねぇ』って言ってやることなんだぜ!」

それまでゆったりとしていた彼の身が、突如として鋭くなる。
黒色を撒き散らしながらの突進が始まったのは直後だった。



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