( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです
- 5: ◆BYUt189CYA :2007/07/20(金) 18:06:46.72 ID:7i2QT9Uk0
- 活動グループ別現状一覧
( ^ω^) 川 ゚ -゚) 从 ゚∀从 ('A`) (´・ω・`) 从'ー'从
爪゚ -゚) ('、`*川 ( ゚∀゚)
所属:不滅世界
位置:都市ニューソク
状況:奇襲
( ФωФ) (´・_ゝ・`) ( ・ω・)=つ <ヽ`∀´> *(‘‘)*
川 -川 ξ゚听)ξ (゜3゜) ,(・)(・),
所属:機械世界・アギルト連合軍
位置:都市ニューソク・連合軍アジト
状況:防戦
- 7: ◆BYUt189CYA :2007/07/20(金) 18:08:33.75 ID:7i2QT9Uk0
- 第二十六話 『「本」当の「気」持ち』
黒線が走った。
それは全ての事象を呑み込みかねないほどに深い闇を持っていた。
白線が走った。
それは戸惑いつつも己の正解を見出そうとする清い光を持っていた。
激突する。
飛沫が舞う。
空間が激震する。
(#^ω^)「うああぁぁぁ!!」
( ФωФ)「おぉぉぉ!!」
拳と拳がぶつかり合う。
魔力同士が衝突し、互いを喰わんと牙を剥く。
( ФωФ)「クハハハハ!」
(;^ω^)「!?」
( ФωФ)「前に言ったな!? テメェには技術知識経験が足りねぇと!」
(#^ω^)「それが――」
( ФωФ)「どうだ!? テメェの技術知識経験は俺に追いついたか!?」
- 9: ◆BYUt189CYA :2007/07/20(金) 18:10:20.18 ID:7i2QT9Uk0
- そんなもの、と思い
(#^ω^)「アンタが勝手に判断すればいいお!」
( ФωФ)「ならよぉ!」
姿勢が変わった。
背後へ伸ばすような格好に、ブーンは思わず吸い込まれそうになる。
( ФωФ)「――まだだ、と言うぜ?」
まるで試すような口調。
そして試すような攻撃が来た。
速度を落とし、タイミングをわざと狂わせての一撃。
(;^ω^)「くっ!」
( ФωФ)「クハハ! なかなか反応いいじゃねぇか!」
ブーンの必死の回避行動に、ロマネスクは楽しそうに吠えた。
ほんの数週間前まではフルボッコにされていたはずの連撃を、ギリギリではあるが捌けているのだ。
(;^ω^)(ありがとうございますお、ペニサスさん……!)
ブーンは心の中で感謝する。
彼女との訓練は無駄ではなかった、と。
貞子の時は人外ということで効果を発揮することがなかったのだが、今度の相手は本物の人間である。
しかもロマネスクの実力はペニサスよりも少し下だと思えるほど、今のブーンには余裕があった。
- 15: ◆BYUt189CYA :2007/07/20(金) 18:14:59.64 ID:7i2QT9Uk0
- ( ФωФ)「ハ! 随分と反射が良くなってやがる!」
(#^ω^)「お前を倒すためだお!」
攻撃がブーンに向かう。
彼はそれら全てを視界に収め、どれが危険か否かを見極める。
完璧に、とまではいかないものの、ダメージを最小限に抑える努力は確実に効果を発揮していた。
( ФωФ)(コイツ――)
以前に比べて格段に堅牢となったブーンの防御を見て、ロマネスクは感心の息を隠すのに少し苦労する。
攻撃が見切られたわけではない。
ただ、どの攻撃を回避すれば一番被害が少なくなるかを稚拙な目で判断しているのだ。
( ФωФ)(面白ぇ……!)
おそらくは英雄仕込みの技だろう。
付け焼刃にしては効果的なところを見て、ブーン自身の素質もなかなかのものである。
(#^ω^)「おっ!」
( ФωФ)「っとぉ!」
思考に巡らせた隙を突かれる。
その空白は僅かだったはずなのだが、それを見事に捉えたブーンを見てロマネスクは笑みを更に深めた。
- 17: ◆BYUt189CYA :2007/07/20(金) 18:16:58.38 ID:7i2QT9Uk0
- (;^ω^)「な、何だお……キメェ」
( ФωФ)「いや、別に――」
あまりに今の空気に似合わない表情を見て、露骨に表情を引きつらせるブーン。
( ФωФ)「ただ、嬉しいだけだ」
(;^ω^)「何を……」
( ФωФ)「この世に神がいるってんなら、なかなかオツなことをしてくれる。
今日一日だけに限って感謝してやろうって気にもなるぜ」
(;^ω^)「…………」
( ФωФ)(俺の最後の相手に……こんな面白い奴をぶつけてくれるなんて、な)
ロマネスクには解っている。
突如として現れたブーン達と戦闘を開始し、その疑問を持ったのはすぐだった。
兵の配置を見て疑問は確信へと変わる。
もはや戻れないところまで進ませてしまっていた、と。
- 19: ◆BYUt189CYA :2007/07/20(金) 18:18:57.10 ID:7i2QT9Uk0
- ロマネスクには、この戦いの決着が既に見えていた。
そして、自分はこれからどう足掻いても無事に済まないことも解っていた。
死ぬにせよ拘束されるにせよ、彼にとって今の戦いこそが自意識下での最後の戦闘だと――
( ФωФ)「――だからこそ、だ!」
(;^ω^)「!?」
( ФωФ)「だから、俺はテメェに再度問う!」
拳を振り
( ФωФ)「テメェは何なんだ!?」
突き出す。
最短距離で放たれた黒拳は、反応すらさせずにブーンの腹に直撃した。
(;^ω^)「あぐっ!?」
不本意な悲鳴を漏らし、ブーンは背中から壁に激突した。
『内藤ホライゾン……!』
(;^ω^)「だ、大丈夫だお」
生身の人間であれば、おそらく肋骨の何本かを持っていかれたことだろう。
『大丈夫』と言えるのは身体強化の恩威だった。
痛みを訴える腹部を無視し、すぐさまロマネスクの方へと意識を集中させる。
- 21: ◆BYUt189CYA :2007/07/20(金) 18:20:33.73 ID:7i2QT9Uk0
- ――テメェは何なんだ。
その妙な問い掛けに一つの心当たりがある。
ロマネスクと初めて拳を交えた時に、それに似た答えを突きつけられた記憶があった。
(;^ω^)(お前は一般人じゃない、って……)
指輪という魔法兵器を用い、異世界を交えた戦いに身を染めつつあるブーン。
彼という人間のカテゴリーは、もはや一般人という範疇を軽々と超えている。
まだ戻れると――いや、戻りたいと願っていた。
全てを無かったことに、などとは言わない。
クーやハイン、ギコ、モララーなどといった、戦いを通じて絆を得た存在がある。
それらを無くしてまで逃げ出したい過去ではない。
( ^ω^)(でも、それは――)
わがままだと強く思い、それでも、と撤回の弱音が生まれる。
しかしそれで構わないと思える自分がいる。
中途半端で何が悪いと思ってしまう自分がいる。
何故なら内藤ホライゾンという存在は、ただ――
( ^ω^)(ただ……?)
何なのだろうか。
何を求めているのだろうか。
一般人ではないと言われて、何がそんなに嫌だったのだろうか。
- 23: ◆BYUt189CYA :2007/07/20(金) 18:22:46.68 ID:7i2QT9Uk0
- ( ФωФ)「…………」
視線の先にはロマネスクが立っている。
異獣に蹂躙された世界の、しかし未だに抵抗する組織の一員。
ブーンの知るのはそれだけだ。
そしてそれ以外の過去など知らず、知ろうとも思わない。
両目の縦傷がどんな理由で刻まれたのか。
黒色のブレスレッドをどういう経緯で手に入れたのか。
どんな思いを持って機械世界で戦い、この世界へと渡ってきたのか。
それらを知らないのに、彼という人間を既存の枠に当てはめることなど出来ない。
しかしその過去があったからこそ、今のロマネスクという人間が自分の前に立ちはだかっているのは事実だ。
逆も言えるだろう。
ロマネスクは、内藤ホライゾンの何を知っているのだと言うのだろうか。
何を以って『一般人ではない』などと言えたのだろうか。
( ^ω^)(……もしかして)
そこで、気付いた。
おそらくではあるが許せなかったのだろう。
戦えるはずの力を持ち、しかしその力を自分のモノとして認めようとしなかったブーンのことを。
戦える力を切望したが、己の守りたいものを守れずにここまでやってきたロマネスクからすれば。
しかし引っかかる部分がある。
彼は何故、ブーンに対して執拗に責めるのか。
そして何故、ロマネスクはここまでブーンのことを許せないのだろうか。
- 25: ◆BYUt189CYA :2007/07/20(金) 18:24:38.89 ID:7i2QT9Uk0
- ( ФωФ)「俺とテメェは別モンだ」
まるで心を見透かしたかのように、ロマネスクは言葉を放つ。
( ФωФ)「テメェがどんな選択をしようが、どんな死に方をしようが知ったこっちゃねぇ」
( ^ω^)「だったら――」
( ФωФ)「だがな」
言葉は続かず。
ロマネスクは何故か黙り込む。
( ^ω^)(……まさか)
平行世界という言葉があるように、平行存在という言葉もある。
出発点を同じくして、しかし異なる歴史を歩んだ世界が無数にあるということは
この世界に自分がいるのならば、あの世界にも自分がいることになるはずだ。
本来ならば出会うはずのない自分同士。
しかしどうにかして出会ってしまえば、果たしてどうなってしまうのだろうか。
ロマネスクとブーンのように、理由無く引かれてしまうのかもしれない。
それは例えば、たった一度の敗北を許さずリベンジを誓うブーンのように。
それは例えば、この状況下においてリベンジを受けるロマネスクのように。
- 29: ◆BYUt189CYA :2007/07/20(金) 18:26:31.13 ID:7i2QT9Uk0
- だとすれば――
(;^ω^)「お前は、僕の……」
( ФωФ)「かもしれねぇし、そうじゃねぇかもしれねぇ」
確かめようはない。
証拠もない。
ただ理由無く引かれる、という理由があるだけだ。
( ФωФ)「だが決着を付けようぜ。
異獣や連合軍など関係ない……俺とお前の決着だ」
違和感がある。
まだ二回しか顔をつき合わせていないはずなのに、あの男の言動に違和感を得る。
まるで昔から知っているかのような既知感があった。
( ФωФ)「同じ人間が同じ世界に存在するのには限界がある。
故に世界は、どちらかの存在を否定しようとする」
( ^ω^)「それが、この戦いだと言うのかお?」
( ФωФ)「秩序守護者が設定した戦い、と考えれば納得がいくだろう?」
(;^ω^)「……何となく」
- 30: ◆BYUt189CYA :2007/07/20(金) 18:28:24.92 ID:7i2QT9Uk0
- ( ФωФ)「さぁ、答えてみろ。
テメェは何なんだ?」
(;^ω^)「僕は――」
何にせよ、ロマネスクは本気だ。
その問いはふざけているのではなく、本当の答えを知りたがっているために出たものだ。
根拠などないが、自然とそう思えた。
ならば本気の問いに対し、こちらも本気で答えなければならない。
言葉だけではなく対応として。
猜疑によって制動を掛けられていた、心の引き金を。
『使うか、内藤ホライゾン』
( ^ω^)「……使うお。
アイツが……ロマネスクが本気だって解ったから、僕も本気で答えなきゃならないお」
『ならば言え、限界突破の鍵語を』
相棒の言葉に頷く。
ロマネスクを正面から見据え、右拳を掲げて口を開き、吐き出された言葉は
(#^ω^)「OVER ZENITH――!!」
- 33: ◆BYUt189CYA :2007/07/20(金) 18:30:28.87 ID:7i2QT9Uk0
- 限界を超えるキーワード。
本気の相手に対して隠してはならない本気の形だ。
白い光が溢れるように生み出され、数秒の間だけブーンの身体全体を包み込んだ。
( ФωФ)「…………」
その様子を見つめるロマネスクは微動だにしない。
口元を微かに吊り上げた表情は、まるで期待していた事が実現したのを喜ぶかのような色だ。
それが白色光に照らされたのは数秒間だけ。
次の瞬間、光が収まったと同時に口を開いた。
( ФωФ)「それがテメェの本気か?」
呟いた先、そこには本気になった相手がいた。
( ^ω^)「…………」
白の手甲を両腕に装着しているのは内藤ホライゾン。
しかし、以前のような威圧感が削られている。
その形は、以前に比べて貧相といえるほどに細くなっていた。
- 36: ◆BYUt189CYA :2007/07/20(金) 18:32:19.71 ID:7i2QT9Uk0
- ( ФωФ)(いや……)
変化はそれだけではない。
『行くぞ、内藤ホライゾン』
( ^ω^)「おkだお」
ブーンとは異なる男の声が、強く響いた。
まるでブーンの隣にいるかのような、そんな存在感を持つ声である。
そしてそれは事実だった。
ブーンの右横、顔よりも少し高い位置にクレティウスが存在していた。
ただし人間の姿ではなく『グローブ』である。
手首から先を模った白色の手甲が、手品のように浮いているのだ。
それを見て、ロマネスクはすぐに狙いを理解する。
( ФωФ)「はン、成程な。
技術で勝てねぇんなら、単純に手数を増やそうってわけか」
( ^ω^)「本当にそうなのか見てみるがいいお」
身体を動かす。
左足を前へ出し、右足を軽く曲げた構え。
その両拳は固く握られ、それぞれの定位置に備えられる。
残ったクレティウスがサポートするように、ブーンの肩辺りで浮遊する。
- 38: ◆BYUt189CYA :2007/07/20(金) 18:34:10.91 ID:7i2QT9Uk0
- ブーンの本気を受け、ロマネスクは満足げな笑みを浮かべる。
しかしすぐに歪みを訂正。
身体を動かし、今まで見せたことのない構えをとった。
( ФωФ)「時間がねぇ。 答えは殴り合いの中で聞かせてもらうぜ」
( ^ω^)「時間……?
いや、もうそんなことは良いお。 解ったお」
言葉が終わると同時、ブーンとロマネスクは同じタイミングで身を飛ばした。
両者とも右足を蹴立て、利き手である右腕を胸の前に持ってくる。
「「おぉ――!」」
同じ咆哮で威嚇し、そして激突。
白と黒の残滓が衝撃波に乗って撒き散らされた。
切り裂かれるような不可視の波動が二人に襲い掛かる。
しかし一歩も引かず、更なる攻撃を重ねるために四肢を出した。
ブーンの右腕が風に乗る。
愚直なまでの真っ直ぐな拳に対し、ロマネスクは左腕を切るようにして防御。
その瞬間だ。
( ФωФ)「ぬ!?」
軽い衝撃と共に鈍痛が走った。
- 39: ◆BYUt189CYA :2007/07/20(金) 18:35:56.59 ID:7i2QT9Uk0
- 無防備だった頬に当たったそれは、宙を飛んで元の位置へと戻る。
グローブ姿のクレティウスだ。
イメージ的には、『空飛ぶ補助腕』といったところだろうか。
人間の腕は、機能という面で考えると究極の汎用型器具と言えよう。
その使い方次第ではどんなことでも表すことが出来る。
例えば力であったり、形であったり、訓練すれば意思や感情の伝達さえも――
人間は、それが二本という仕様だ。
それ以上でもそれ以下でもない。
だからこそ二本で充分だというのに、今のブーンは更にもう一本追加されている状態だ。
自由に、そして自在に飛ぶ拳は厄介の一言である。
しかもブーンの命令を必要としない意思を持っているが故に、二人の人間を相手にしているかのような錯覚を受ける。
いや、実際に二人を相手にしているのだろう。
( ФωФ)「小賢しいんだよ!」
湧き上がる苛立ちを肯定し、力として足を出すが
(#^ω^)「クレティウス!」
( ФωФ)「ッ!?」
その軌道中に止められてしまう。
クレティウスが、完璧なタイミングと位置に飛来したのだ。
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