( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

37: ◆BYUt189CYA :2007/07/22(日) 17:34:01.41 ID:qL8ulUZH0
( ´∀`)「ということは、この世界のモノは珍しいんじゃないモナ?
     車とか……ほら、さっき入ったスーパーとか」

lw´‐ _‐ノv「ううん」

( ´∀`)「じゃあ、そっちの世界にもあるモナ?」

lw´‐ _‐ノv「無い」

( ´∀`)「?」

向こうの世界に無いはずなのだが、車もスーパーも知っているという。
よく解らない回答にモナーは首をかしげる。
すると、シューは

lw´‐ _‐ノv「……だって、私は元々この世界の人間だから」

と、何やらとんでもない発言をぶっ放した。

( ´∀`)「…………」

言葉を頭の中で反芻し、そして意味を理解する。

(;´∀`)「……えぇ!? つ、つまりこっちからあっち行ってあっちからこっちに来たってことかモナ!」

lw´‐ _‐ノv「うん。 この世界ではきっと、行方不明扱いになってると思う」

(;´∀`)「お、親御さんは?」

lw´‐ _‐ノv「ずーっと昔に死んでる。 だから私は師匠の家に住んでた」



38: ◆BYUt189CYA :2007/07/22(日) 17:36:16.79 ID:qL8ulUZH0
腰に吊ってある刀を掴む。

lw´‐ _‐ノv「私が今この刀を持っていられるのは……レインを護れるのは師匠のおかげ。
       でも、私があの世界に迷い込んだのは師匠のせい」

(;´∀`)「師匠の……?」

lw´‐ _‐ノv「修行だとか言ってた。
       意味が解らないけど、結果的に私はもっと強くなった」

嬉しいのか、それとも怒っているのか。
声と表情からは、彼女の感情をまったく読み取れなかった。
そのことに違和感を覚えつつ、モナーは納得したかのように首を縦に振る。

( ´∀`)「だから、この世界のモノを知ってて……」

lw´‐ _‐ノv「米もね。
      でもあっちの世界には無かった」

ぎゅ、と米袋を抱き締めるシュー。
好物の無い世界にいた彼女は、やはり精神的に飢えていたのだろう。
今朝の米に対する執着心は、ここから来ていたのだ。

(;´∀`)「…………あぅ」

その姿を見て、悪いことをしたな、と思う。
結果的に、切望していた米で彼女を釣ったのだ。
知らなかったこととはいえ、モナーは心の内が痛むのを無視出来なかった。



42: ◆BYUt189CYA :2007/07/22(日) 17:38:53.84 ID:qL8ulUZH0
(;´∀`)「で、でも良かったモナ、元の世界に戻れて――」

lw´‐ _‐ノv「そうなのかな」

(;´∀`)「え?」

lw´‐ _‐ノv「私は、この世界に何の想いも持ってない。
       私の大切な人は、全員あっちの世界にいるのに……」

( ´∀`)「シュー……」

人間、生まれた場所よりも育った場所の方に心が寄るものだ。
シューも同じく、育った向こうの世界を大切に思っているのだろう。
それは悲しいことであるが、本人ではないモナーが口を出すべき部分ではない。

lw´‐ _‐ノv「……でも、EMAとミツキが来たっていうことは」

( ´∀`)「あ!」

そうだ。

シューとEMAとミツキがこの世界に現れたと言うことは、彼女の言う『大切な人』も来ているのかもしれない。



43: ◆BYUt189CYA :2007/07/22(日) 17:41:23.59 ID:qL8ulUZH0
( ´∀`)「なら、早く探さないと」

lw´‐ _‐ノv「うん」

( ´∀`)「出来る限り、僕も手伝うモナ」

lw´‐ _‐ノv「……いいの?」

( ´∀`)「ここで見捨るなんて教師たる僕には出来ないモナ」

lw´‐ _‐ノv「先生なんだ」

(;´∀`)「頼りないかもしれないけど……モナ」

ううん、とシューが首を振った。

lw´‐ _‐ノv「そんなことない。 頼れる」

(*´∀`)「……べ、別に御世辞言ったって夕飯が豪勢になるわけじゃないモナよ!」

文句を言いつつも、今日の夕食は米メイン料理にもう一品増やしてやろう、などと考えるモナー。

優しいのか甘いのか、もしくはどちらともなのか。
単純だという意見が一番多そうではあるが。



47: ◆BYUt189CYA :2007/07/22(日) 17:44:06.33 ID:qL8ulUZH0
と、その時だった。

lw´‐ _‐ノv「!」

突如、シューが立ち上がった。
あれほど大切にしていた米袋をベンチに置き、右手を刀の柄に添える。

その瞳は鋭い。
彼女の視線を追うように向けると、今までいなかった人影があった。

|゚ノ ^∀^)「…………」

女性だ。
ここからではよく見えないが、美しい金髪だけは視認出来る。
それだけなら良かったものの

( ´∀`)「あれは……?」

女の右腕に何かが握られていた。

大きな物体だ。
灰色を基調とし、その大きさは人間よりも少し小さい程度。
よく見えないため正体が解らないが、少なくとも女性が持つような大きさの物体ではない。

三人以外誰もいない公園内が、不穏な空気に包まれる。



49: ◆BYUt189CYA :2007/07/22(日) 17:46:55.21 ID:qL8ulUZH0
lw´‐ _‐ノv「モナー」

シューが、視線を女性に向けたまま言う。

lw´‐ _‐ノv「言ったよね、大切な人もこの世界に来たかもしれないって」

( ´∀`)「……言ったモナ」

lw´‐ _‐ノv「でも私は忘れてた。
      『大切じゃない人』も来てる可能性があるんだって」

見える女性が、その『大切じゃない人』なのだろう。
今も一歩一歩ゆっくりと近付いてくる姿は、何よりも悪寒を感じさせた。

憎悪、とでも言うのだろうか。
背後に黒い何かが錯覚として見えるほど、彼女の雰囲気は不気味だった。
嫌な予感がする。

(;´∀`)「シュ――」

lw´‐ _‐ノv「モナーはここから動かないで」

返事も待たずに歩き出す。
か細い音を立てつつ刀を抜き、正眼に構えた。



52: ◆BYUt189CYA :2007/07/22(日) 17:48:15.11 ID:qL8ulUZH0
変化は直後。

向こうにいた女性が前方へ身を飛ばしたのだ。
一瞬だけ遅れ、シューもまた地を蹴って走った。

ぶつかる。
甲高い金属音がモナーの鼓膜を震わせた。

(;´∀`)「!」

距離が近くなって、シューと相対する女性が持っているモノの正体を理解する。

あれは、巨大な諸刃剣だ。

いや、それにしてはあまりに無骨過ぎる。
むしろ剣の形をした岩、と言った方がしっくりくる武器だった。
そしてシューの持つ刀と同じく、その手元に一つのトリガーが存在している。

「ッ!」

息を詰め、女性が身を横に回した。
駒のような動きから繰り出される一撃は、遠心力と質量とが相まって強烈になる。

無理に受け止めることをせず、シューは一歩下がってやり過ごす。



54: ◆BYUt189CYA :2007/07/22(日) 17:51:19.17 ID:qL8ulUZH0
lw´‐ _‐ノv「レモナ」

諭すような口調で単語を述べる。
おそらく女性の名前なのだろう。

それを聞いた女性は、しかし苛烈に眉を逆ハの字に立て

|゚ノ#^∀^)「……ミツキは何処!? さっさと居場所を言いなさい!」

lw´‐ _‐ノv「言わない」

|゚ノ#^∀^)「言いなさい!」

lw´‐ _‐ノv「だから、言わない」

|゚ノ#^∀^)「このっ!」

レモナと呼ばれた女性がトリガーを引き込む。
次の瞬間、柄尻から乾電池のような筒が吐き出され、高音が響く。

叩きつけるかのような一撃。
しかしシューの身体を裂くことなく、土の地面を爆ぜさせるのみに終わる。

その威力の程は、離れているモナーにも簡単に理解出来た。



56: ◆BYUt189CYA :2007/07/22(日) 17:53:39.55 ID:qL8ulUZH0
シューが一歩二歩と下がりつつ

lw´‐ _‐ノv「レモナ、混乱してるのは解るけど敢えて言う。
       情報元である私を殺したら何もならないと思う」

|゚ノ#^∀^)「うるさいうるさいっ!
      敵国の一員であるアンタに『そうですか』って言って素直に下がるもんですか!」

lw´‐ _‐ノv「理性とプライドの問題。
       この場合、理性を優先させた方が良いと思われ」

|゚ノ#^∀^)「だったらミツキの居場所を教えなさいよ!」

なかなか奇妙な関係にあるようだ。
レモナの方はシューに敵意を持っているが、逆はそうでもないらしい。
むしろ暴走する友達を止めるかのような、シューはそんな口調で言葉を放っている。

( ´∀`)(ふぅむ、どういう関係なんだモナ……?)

部外者である自分に解るはずもなく。

しかし、両者の動きが非常に卓越した技術の下に発されていることは理解出来た。
足捌きや体重移動は、素人のそれとは比較にならない。

両者ともに戦闘慣れしている。

それも、モナーの想像を遥かに超えるほどに。



58: ◆BYUt189CYA :2007/07/22(日) 17:55:41.06 ID:qL8ulUZH0
|゚ノ#^∀^)「はぁっ!」

振り回すかのような連撃の合間を縫い、高速の突きを放つ。

lw´‐ _‐ノv「駄目」

言葉と共にシューが消える。
いや、素早い身のこなしがそう見せているのだ。
それらを織り交ぜつつ、互角と思える攻防が展開される。

(;´∀`)(いや……違うモナ)

レモナの攻撃を、シューが回避しているだけだ。
攻撃側の迫力が凄いからか、高度な戦いに見えているのだろう。

そんな一方通行の攻撃は、意外な言葉で収まることとなった。

lw´‐ _‐ノv「一つ聞く」

|゚ノ#^∀^)「何よっ!」

lw´‐ _‐ノv「そう言うレモナはミカヅキの居場所、知ってるの?」

|゚ノ;^∀^)「……ッ」

ピタリ、とレモナの剣が止まった。



62: ◆BYUt189CYA :2007/07/22(日) 17:58:09.90 ID:qL8ulUZH0
|゚ノ;^∀^)「……し、知らないわよ」

lw´‐ _‐ノv「じゃあミツキの居場所を知っても意味ないと思う」

|゚ノ#^∀^)「わ、私がミカヅキ様を見付けた時のために、ミツキの居場所を知っておくのよ!」

lw´‐ _‐ノv「それは駄目。
       あの二人の戦いに私達が手を出すのは。
       私達は二人のパートナーでも何でもないんだよ?」

|゚ノ;^∀^)「くっ……」

lw´‐ _‐ノv「解ってる?」

|゚ノ;^∀^)「……うぅ」

正論のオンパレードらしい。
顔に『悔しいが反論出来ない』と書いてありそうなほど、彼女の恨めしそうな睨みは強い。
話から察するに、レモナがルール違反をしようとしていたようだ。

シューの言葉に反することが出来なかったレモナは、半分泣き声で

|゚ノ ;∀;)「だ、だって……いきなりミカヅキ様が消えるし、全然解んない場所に来ちゃったし……。
      私、不安で、でも、こういう時こそミカヅキ様の役に立たなきゃって……」

lw´‐ _‐ノv「うん、普通の人間だったらその混乱は当然」

と、シューがこちらを見た。



64: ◆BYUt189CYA :2007/07/22(日) 18:01:25.59 ID:qL8ulUZH0
そして、大きな声で言った。

lw´‐ _‐ノv「モナー、また一人客が増えるけどいいかな?」

(;´∀`)「……モナ?」

要するに、そういうことらしい。

lw´‐ _‐ノv「レモナ良かったね、いいって言ってくれた」

(;´∀`)「いや、許可してないモナ!!」

lw´‐ _‐ノv「それじゃあ駄目?」

(;´∀`)「え? えーっと……」

混乱しつつある頭を落ち着かせ、冷静に考える。
そして出てしまった結論に肩を落とし

(;´∀`)「……OKですモナ」

lw´‐ _‐ノv「ありがと」

そしてまた一人、モナーの家に奇妙な客人が増えることとなった。

(;´∀`)(でも僕の家にはミツキって人がいるモナ……それはいいんだろうかモナ)

まさかレモナの前で言うわけにもいかず。
モナーは、突き抜けるような青い空を見上げて溜息を吐いた。



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