( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

26: ◆BYUt189CYA :2007/07/26(木) 17:30:01.76 ID:te3tLM6t0
<_プー゚)フ「何か裏があるんかね」

( ・∀・)「裏にしろ表にしろ、後で彼女からの要求があるだろう。
      しかもそれなりに大きな形で、ね」

(,,゚Д゚)「そう思える理由は?」

( ・∀・)「君が言った口の軽さだよ。
     こちらの欲する技術を先に提供し、本命の要求を断りにくい空気にする。
     もちろん簡単にその手に乗るような馬鹿ではないがね、私は」

その『要求』の話が来たのは数分後のことだった。
何やら重要な話らしく、二人でコソコソと話し合い始める。
皆の注目の中、レインの口から内容全てを聞いたモララーは開口一番

( ・∀・)「うむ、良かろう」

「……あっさり乗った件」
「っつーか、軽ッ!」
「氏ね馬鹿」

( ・∀・)「落ち着きたまえ、諸君。
     あと『馬鹿』と言った人は、自分が馬鹿なのだよ?」

(;´_ゝ`)「マジでッ!?
      どうしよう弟者! お前の兄貴が馬鹿になっちまう!」

(´<_` )「もう慣れてるから大丈夫さ」

( ´_ゝ`)「そっかぁ、大丈夫かぁ」



28: ◆BYUt189CYA :2007/07/26(木) 17:32:42.77 ID:te3tLM6t0
というやり取りの後、半目睨みの集中砲火がモララーへ襲い掛かる。
しかし彼は平然と受け流し

( ・∀・)「彼女が望むモノと、我々が望むモノが一致していたのだよ」

(`・ω・´)「望むモノ?」

( ・∀・)「レイン君、彼らの前でもう一度説明を御願い出来るかな?」

从・∀・ノ!リ「うむ」

一歩踏み出したレインは、無い胸を張って言い放つ。

从・∀・ノ!リ「我は特殊なEWを開発したいのだ。
      そのために、おぬし達の組織と設備を使用させてもらいたい。
      この世界には魔力の知識がないようじゃが、機械関係の技術は我らよりも数段上なのでな」

<_プー゚)フ「せんせー、EWってなぁにー?」

(´<_` )「Enchant Weaponの略で『魔法兵器』のことだ……って、さっき説明されただろうがヴォケ」

( ´_ゝ`)「で、その特殊なEWって何よ?」

うむ、と、レインは勿体ぶってから詳細を言い放った。

从・∀・ノ!リ「超大出力の超大型EW――『龍砲』じゃ」



31: ◆BYUt189CYA :2007/07/26(木) 17:34:36.08 ID:te3tLM6t0
言い放たれた言葉は、しかし誰の反応をも呼ばない。
生まれたのは沈黙だ。
誰もが互いを見渡し、頭に『?』を浮かべている。

( ・∀・)「……いわゆる超大型の広域殲滅兵器を作り出したい、ということだよ」

<_プー゚)フ「おいおい、まさかそれを世界政府の本拠地にぶち込むつもりじゃねぇだろうな?」

( ・∀・)「だとしたら?」

<_;プー゚)フ「んなことしたらテメェ……た、楽しいことになるじゃねぇか」

「「「ならねぇよ」」」

その場にいたほとんどの人間のツッコミが入り、エクストが精神的なダメージを負って倒れる。
と、そこで静観していたギコが手を上げた。

(,,゚Д゚)「その対象は……まさか異獣か?」

( ・∀・)「流石に察しが良いね。
     来るかもしれない対決に備えるための決戦兵器だと思ってもらいたい。
     誓うよ、決して人との戦いに用いたりはしないと」

(´<_` )「なるほど……まぁ、それがレインの要望ならアンタが頷いたのは納得だ」

( ・∀・)「ただ、残念ながらそれだけに終わらなくてね」



32: ◆BYUt189CYA :2007/07/26(木) 17:36:58.64 ID:te3tLM6t0
レインを見て、次に皆を見て

( ・∀・)「超大型EWを『作るだけ』なら可能として、しかし出力元が通常のものでは駄目だとは解ると思う。
      我々が知るようなルイルを用いても、その膨大な出力を賄うことなど出来ないだろう」

ミ,,"Д゚彡「大出力を持つ相応の元が必要なのですね?」

フサギコが理解を示し、順にギコやシャキンも無言で一つ頷いた。
相変わらずエクスト辺りが首を捻っているが、話が進まないので無視する。

さて、通常のルイルが駄目だとすれば、

从・∀・ノ!リ「方法は二つじゃ。
       まず一つは多量の魔力を詰め込んで……という方法じゃが、これはあまり良い方法ではなくての。
       いくら人工魔力を作れるようになるとはいえ、その使い道はあり余るほどじゃからな」

(´<_` )「と、なればアレしかないか」

( ・∀・)「そう……魔法世界の純正ルイルだ」

( ´_ゝ`)「ん? ちょっと待て」

兄者が手を上げた。
一瞬だけ露骨に嫌な顔をしつつも、モララーは頷き一つで発言を促す。

( ´_ゝ`)「渡辺ちゃんから聞いた話だと、魔法世界の純正ルイルは既に無いんじゃなかったか?
      地殻変動期以前から世界中に砕け散ってたって話だろ?」

从・∀・ノ!リ「うむ、間違ってはおらん。
       しかし逆に問わせてもらうが……ルイルが最初からその形を持って存在していると思うか?」



35: ◆BYUt189CYA :2007/07/26(木) 17:39:38.18 ID:te3tLM6t0
( ´_ゝ`)「……うーん」

从・∀・ノ!リ「結論から言えば、純正ルイルには『核』が存在しておる。
      その核から魔粒子が生まれ、結晶化し、宝石のような煌きを発するようになるのだ」

<_プー゚)フ「っつーことは、俺らが普段から使ってるのは『実』みてぇなモンか」

从・∀・ノ!リ「そういうことじゃ」

(,,゚Д゚)「話からすると、魔法世界の純正ルイル核が存在しているのだな?
     しかもおそらく何処にあるのかが、アンタには解っている」

( ・∀・)「そしてその在り処が厄介だからこそ、適度で自由な軍事力を持つ我々を頼った。
     技術提供の第二の理由として、そうだね?」

モララーの問いに、レインは黙って頷く。

<_プー゚)フ「で、その在り処ってのは?」

从・∀・ノ!リ「EMAじゃ」

(*´_ゝ`)「エッチなマジシャン明日を夢見る?」

<_プー゚)フ「あのさー頼むからマジで一回氏ねよーセンスねぇよー」

(`・ω・´)「お前が言うな」

从・∀・ノ!リ「さっきの赤いEMAの動力が、魔法世界の純正ルイル核の片割れじゃよ。
       そしてもう一つの片割れは――」



36: ◆BYUt189CYA :2007/07/26(木) 17:41:26.60 ID:te3tLM6t0
時刻は午後八時過ぎ。
夕食を終えたモナーは、ミツキの話に耳を傾けていた。
それは食後とは思えないほどの重要な話であり

(;´∀`)「え……つまり、貴方の乗っていた機体には、そんな大事なモノが?」

ハ(リメ -゚ノリ「あぁ」

モナーの家は、何やら神妙な空気で溢れていた。
テーブルを囲うように、モナー、シュー、レモナ、そしてミツキという男が並んで座っている。

話を聞けば、やはりあの山中に落ちた青いロボットの乗り手らしい。

そして彼の口から、その機体に搭載している大切なモノの話を聞いていたのだが――

(;´∀`)「……えっと」

ミツキの話に驚くモナーであるが、それよりも気になることが一つあった。

|゚ノ#^∀^)「…………」

レモナだ。

ミツキの反対側に座る形になっている彼女は、鬼のような目で彼を睨んでいる。
ここへ来て、ミツキを一目見た時からずっとこの調子だった。



38: ◆BYUt189CYA :2007/07/26(木) 17:44:01.98 ID:te3tLM6t0
(;´∀`)「あの、レモナさん? 様って呼んだ方がいモナ?
     何でミツキさんをそうやって、親の仇のように睨んでどうしたんですかモナ?」

|゚ノ#^∀^)「っていうか親の仇だし」

(;´∀`)「な、なんだってー!?」

慌ててミツキを見れば

ハ(リメー゚ノリ「そういうことになるのかな」

と、彼は苦笑混じりに答える。
恨まれている相手を目の前にしているとは思えなかった。

(;´∀`)「ど、どういうことですかモナ?」

ハ(リメ -゚ノリ「ん……まぁ、僕からは何も言えない。
      彼女から聞いてくれ」

|゚ノ#^∀^)「言うわけないじゃない馬鹿」

(;´∀`)「ひぃ! そんな睨んだら『女王様』って呼びたくなるからやめてぇ!」

その鋭過ぎる視線に、ついつい目を逸らすモナー。

lw´‐ _‐ノv「…………」

年上の貫録というモノが無さすぎる様子に、シューの口元が僅かに吊り上がった。



40: ◆BYUt189CYA :2007/07/26(木) 17:46:15.81 ID:te3tLM6t0
それをミツキが目ざとくそれを見つけ、感嘆といえる声を発す。

ハ(リメ -゚ノリ「シューが誰かに笑みを見せるなんて珍しいな」

lw´‐ _‐ノv「なっ」

(*´∀`)「え? それってシューが僕に懐いて――ヘアッオ”!?」

何かがモナーの股間を直撃する。
奇声を上げて倒れる彼を、レモナが心底気持ち悪そうな目で睨んだ。

ハ(リメー゚ノリ「ははは、シューの照れ隠しもなかなか可愛くなってきたね」

(;´∀`)「可愛く……?」

ハ(リメ -゚ノリ「うん、僕が初めてシューと会った頃は普通に刀で切りつけられたりしたものだよ」

腕をまくり、数本の刀傷を見せてくるミツキ。
何故か楽しい思い出を語るような口調に、シューが無表情で

lw´- _-ノv「……ポッ」

(;´∀`)「いやいやいや、『ポッ』じゃないモナ!」

|゚ノ#^∀^)「そうよ! なんでその時に殺してくれなかったの!?」

(;´∀`)「君は出来れば黙っててほしいモナ!」



42: ◆BYUt189CYA :2007/07/26(木) 17:48:52.62 ID:te3tLM6t0
早くも異世界の住人との、いわゆるワールドギャップに驚愕するモナー。
習慣の違いは覚悟していたし、実際その通りだったのだが、まさか感覚まで異なるとは。

(;´∀`)「異世界おそるべしだモナ……!」

|゚ノ;^∀^)「何言ってんのアンタ、キモい」

( ´∀`)「……そういえば、レモナは何で黙ってるんだモナ?」

|゚ノ#^∀^)「は? 何が?」

地べたの虫を見るような目に、モナーは震えてる視線を逸らしつつ

(;´∀`)「い、いや、レモナ様の親の仇がミツキさんだって言うけど
     すぐさま襲うようなことをしないし、それはどうしてかなぁごめんなさい殺さないでくださいモナ」

|゚ノ;^∀^)「それは、その、別に……」

ハ(リメ -゚ノリ「レモナ」

ミツキの優しい声が響く。

ハ(リメ -゚ノリ「今すぐに僕を殺したいならそうするといい。 別に抵抗はしない」

lw´‐ _‐ノv「ミツキ」

ハ(リメ -゚ノリ「いいから」

立ち上がりかけたシューを手で制するミツキ。
その視線は、逡巡するような表情を見せるレモナへと向けられている。



45: ◆BYUt189CYA :2007/07/26(木) 17:50:50.89 ID:te3tLM6t0
|゚ノ ^∀^)「……私は、確かに、アンタが憎い」

絞り出すような言葉は、確かにどす黒い怨念が籠っていた。
先ほどまであった明るい雰囲気が一瞬で消え失せる。

|゚ノ ^∀^)「でも」

首を振り

|゚ノ ^∀^)「アンタを殺す役は私なんかじゃない……アンタを殺すべき人は、別にいる」

ハ(リメー゚ノリ「うん、そうだね」

ミツキが満足そうに頷く。
自分の殺害という話題にはとても見えない表情だ。

そこにあるのは、ただただ圧倒的な違和感である。
モナーは背筋が凍るのを感じつつ

(;´∀`)「ど、どういう……?」

ハ(リメ -゚ノリ「ん、悪いけど……やっぱり僕の口からは言えない」

目を瞑り、首を横へ振る。
聞き出そうとしても、例え殺されようとも絶対に口を割らないだろう。
そんな冷たい雰囲気を臭わせる。

表情は笑顔のはずなのだが、それが笑顔に見えない何かがあった。



47: ◆BYUt189CYA :2007/07/26(木) 17:53:35.01 ID:te3tLM6t0
その時、いつもの雰囲気とは異なる部屋の中に、聞き慣れない音が聞こえた。

lw´‐ _‐ノv「――!」

まず動いたのは、刀を掴み、勢いよく席を立ったシュー。
続くようにレモナとミツキも窓へと駆け寄った。
釣られるようにモナーも視線を向け、そして目を見開く。

赤色だ。

甲冑にも見えるそれは、赤色の鉄身を構成する装甲。
闇夜に浮かぶ二対の紅蓮は、死神の瞳を彷彿とさせる不気味さがある。

それは巨人。
いや、それは人型兵器だった。

ハ(リメ -゚ノリ「来たか」

ミツキが暗い声で呟く。
青い機体の乗り手は、あの赤い機体の正体を知っているらしい。

lw´‐ _‐ノv「でも、何故ここが解ったんよ?
       魔力反応を調べようにも、私達の武装はロックしてるはず……」

ハ(リメ -゚ノリ「システム『キオル』の力だろうね。
       ただ、正確な場所までは把握出来ていないらしい……まだ、僕達を見つけたわけじゃなさそうだ」

確かに、赤い巨人はこちらを見てはいない。
不気味に光る機械の瞳を動かし、何かを探しているようにも見受けられる。



49: ◆BYUt189CYA :2007/07/26(木) 17:55:20.65 ID:te3tLM6t0
(;´∀`)「っていうか、こんな場所であんなモノが暴れたらパニックになるモナ!」

ハ(リメ -゚ノリ「それはいけないね。
       シュー、僕のEMAは?」

lw´‐ _‐ノv「隠してきたけど、受信装置は動いてる」

ハ(リメ -゚ノリ「ありがとう」

懐から取り出したのは、腕時計のような円を描く機械だ。
小さなパネルと数個のボタンがあり、ミツキはその一つを押した。

電子音。

ハ(リメ -゚ノリ「後は待つだけなんだけど――」

言葉が止まった。

突如、部屋の中を緊張感が走る。
痺れるような感覚を受け、モナーは思わず窓の外を見た。
そして危うく腰を抜かしそうになる。

(;´∀`)「……!?」

赤い巨人が、こちらを見ているのだ。



52: ◆BYUt189CYA :2007/07/26(木) 17:57:19.11 ID:te3tLM6t0
lw´‐ _‐ノv「レモナ」

感情の籠らない、しかし鋭い声。
見れば、レモナが灰色の巨剣を持って笑みを浮かべていた。
その剣身には幾筋かの光が走っている。

|゚ノ ^∀^)「私はミカヅキ様の味方。
      敵の位置を教えるのは当然でしょう?」

lw´‐ _‐ノv「一宿一飯の礼を欠かすか……オークスの人間の質も堕ちた」

|゚ノ ^∀^)「ふン、私はそういう面倒事は嫌いなの。
      ただミカヅキ様のために……それだけよ」

lw´‐ _‐ノv「前々から思ってたけど、レモナって可哀想だね」

|゚ノ ^∀^)「……何ですって?」

lw´‐ _‐ノv「可哀想、って言った。
       自分の親の仇さえも奪われている貴女は、もはや他人にすがって生きているだけ」

レモナの表情が凍る。

lw´‐ _‐ノv「もし、ミカヅキとミツキの決着がついたとして。
      レモナは以後の人生をどうやって生きるつもり? 何を先に見るつもり?
      それとも――」



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