( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

32: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:38:36.17 ID:Az796pJ70
lw´‐ _‐ノv「レモナ」

シューが遮るように立つ。
右手は刀の柄を掴み、その姿勢で意思を表していた。
手を出せば許さない、と。

|゚ノ#^∀^)「アンタもアンタよ。
      何でそんな奴を庇うの?」

lw´‐ _‐ノv「…………」

|゚ノ#^∀^)「はン、何? もしかして惚れちゃってるの? そんな奴に?」

lw´‐ _‐ノv「レモナ、今はこういうことをしてる場合じゃない」

|゚ノ#^∀^)「勝手に話題を変えないでくれる?
      私は今、目の前にいるヘラヘラした男をぶん殴りたいわけ」

lw´‐ _‐ノv「それで何になる?」

|゚ノ#^∀^)「何かにならなきゃ動いちゃ駄目なの?」

風が吹いた。
もはやレモナの口調に冷静さなど微塵も見られない。
親を殺した人間が自分の思う最悪の人格を持っていると知った今、彼女の怒りは最高潮にまで達しているのだ。
止まらぬ怒りを含んだレモナが一歩踏み出し、シューが腰を微かに下げ

ハ(リメ -゚ノリ「!」

ミツキが、何かに気付いたかのように頭を上空へ向けた。



34: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:40:25.00 ID:Az796pJ70
釣られるように見上げれば、戦闘用ヘリがこちらを監視するかのように浮いているのが見えた。

lw´‐ _‐ノv「あれは……」

ハ(リメ -゚ノリ「嫌な予感がする。
      とりあえずここは隠れよう。 いいね?」

|゚ノ#^∀^)「ふン」

ここで突っ立っていても状況は好転しない。
そう判断したミツキ達は、これから起こる事象から逃れるかのように草むらの陰に入った。

赤いEMAの動きが止まったのは、同時である。

『――!』

何かに気付いたかのように空を見上げ、一歩だけ足を下げる。
そして一瞬だけ戸惑うように首を振り

『!』

渾身の跳躍を以って、その場から離脱した。
轟音と共に土煙が舞い、短時間で赤いEMAは長距離を跳んでいく。

一度だけ振り向いたのが見えた。
まるで『次こそは』と、再度の激突を望んでいるかのような感情が見え隠れしている。
この離脱は彼にとってかなり不本意であることが手に取るように解った。

ハ(リメ -゚ノリ(ミカヅキ、君は――)



36: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:42:28.00 ID:Az796pJ70
lw´‐ _‐ノv「何か降りてくる……誰かたくさん出てきた」

|゚ノ ^∀^)「EMAに近づいてる?
      まさか連中の目的って――」

lw´‐ _‐ノv「理由は解らないし、アレの価値を知ってるか解らないけど……たぶんEMAの奪取」

|゚ノ ^∀^)「止めないと!」

ハ(リメ -゚ノリ「動かないで、レモナ」

飛び出そうとしたレモナを、ミツキが手で制す。
更に文句を言おうとした口をシューがすかさず手で封じた。

ハ(リメ -゚ノリ「僕達三人だけで、あの人数を相手するのは無理だ。
       彼らが持っている武器を見てごらん」

|゚ノ ^∀^)「小型の銃器……」

ハ(リメ -゚ノリ「僕らの世界では為し得なかった理想のEWの形……それだけ、この世界の技術力は高いってことさ。
       それにいくら君とシューがいるからといっても、あの男がいる限りは迂闊に動くことが出来ない」

視線の先に一人の男がいた。

( ^Д^)「…………」

野戦服を着て、しかし腰に一本の剣を吊った男だ。
その雰囲気は狼のように薄暗く、そしてその表情は笑みの一辺倒。
否が応にも悪寒を与えてくる不気味さを醸し出している。



38: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:44:21.09 ID:Az796pJ70
lw´‐ _‐ノv「……強い、ね」

ハ(リメ -゚ノリ「ここは退くべきだね。
       確かにEMAを手放すのは惜しいけど、呼び出そうと思えばいつでも呼び出せるだろう?
       さっきみたいに、ちゃんと受信装置は動いているみたいだし」

(#゚;;-゚)「でも、その受信装置とやらを壊されたらアウトやなぁ」

ハ(リメ -゚ノリ「そこは賭けさ……随分と分が悪いけどね」

(#゚;;-゚)「うんうん、男らしくてええわぁ」

|゚ノ;^∀^)「っていうかアンタ誰――って、ホント誰!?」

lw´‐ _‐ノv「な……っ?」

いつの間にか会話の中に軍神が混ざっていた。
突如として現れた彼女に気付けなかった三人は、その実力の高さを肌で感じ取る。

(#゚;;-゚)「とりあえず初めまして。
     自分、でぃ言います……軍神の名の方が有名かもしらんけどもね」

屋根から屋根へと伝い、最短距離でここまで跳んで来たにも関わらず、その息はまったく乱れていない。
彼女はきょろきょろと周囲を見渡しながら

(#゚;;-゚)「で、EMAは? あそこ? あー、青い方みたいやなぁ」



40: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:45:40.46 ID:Az796pJ70
|゚ノ;^∀^)「何でEMAを知ってるのよ!」

(#゚;;-゚)「金髪……? もしかしてアンタがレモナ?」

|゚ノ;^∀^)「そ、それが――」

(#゚;;-゚)「ふぅむ、写真で見せてもろた頃よりも随分と逞しくなっとるなぁ」

嬉しそうな笑顔で、軍神はレモナの頭を軽く撫でる。
あまりに素早い動作だったため、レモナが反応したのは撫で撫でが終わった後だった。

|゚ノ;^∀^)「ちょ……!?」

(#゚;;-゚)「ま、事情説明は後にして、とりあえずウチについて来てくれるかな?」

lw´‐ _‐ノv「知らない人について行く人はいないと思う」

(#゚;;-゚)「ごもっともかもしらんが、そういうこと言うてる場合やないんよ。
    世界政府も近いトコにおるわけやしな。
    もし言うこと聞いてくれんのなら、力尽くでも連れて行く……っていうのはどう?」

笑みが冷たくなる。
反応するようにレモナとシューが双眸を細めたが、相手が悪かった。

(#゚;;-゚)「ほいっ」

軍神の腕が掻き消え、ほぼ同時にレモナとシューの首筋に衝撃が走る。
一瞬にして意識を刈り取られた二人は、そのまま軍神の脇に抱えられることとなった。



41: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:47:47.99 ID:Az796pJ70
(#゚;;-゚)「ふむ……ちょーっと強引になってもたけど、結果オーライ」

ハ(リメ -゚ノリ「それを結果オーライというのなら、世界は随分と物騒になったものだね」

(#゚;;-゚)「アンタがミツキやな」

言葉に、ミツキは黙って頷く。

(#゚;;-゚)「悪いけど、今は青いEMAは諦めて。
    そしてこの二人と一緒に、ウチんトコに来てもらえる?」

ハ(リメ -゚ノリ「解った」

(#゚;;-゚)「おぉ、何ともスッキリな返事だとことで」

ハ(リメ -゚ノリ「僕はEMAに乗ることしか能がない。
       そんな僕をも連れて行くということは、あのEMAを奪還して利用するつもりなんだろう?」

(#゚;;-゚)「ふむふむ、なかなか頭の回転が速くて助かるわぁ。
     レインの言う通りや。
     ま、詳しい事情説明は道中にするとして、とにかくここから移動したいんやけど――」



43: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:48:56.52 ID:Az796pJ70
ハ(リメ -゚ノリ「……あの青いEMAには一般人が乗っている」

言葉をさえぎるようにミツキは強い声で言った。
首をひねる軍神は『はて』と呟き、次の言葉を待つ。

ハ(リメ -゚ノリ「欲を言えば、EMAと同時にその一般人も助けたいと思ってるんだ。
       それが出来ると約束するなら僕は協力を惜しまない」

訪れたのは沈黙。
少し離れた場所から世界政府兵が走る音が響き、その中で軍神は口元を歪めた。

(#゚;;-゚)「はン、誰にモノ言うとんねん。
     ウチは軍の神やぞ? もし誰に出来なくともウチが達成したるわ」

と、自信満々に答えた。



45: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:50:01.23 ID:Az796pJ70
|゚ノ ^∀^)「ん……」

音が響いている。
轟音とも重音とも言えるモノは、身体全体に染み込んできていた。
それと同時に震動が生まれ、更に身体を揺らしてくる。

|゚ノ ^∀^)「……?」

誰かに膝枕をされているようだ。
手を動かし、その太ももの感触を確かめる。

堅かった。

冷たく、堅い足だった。
それはまさに機械といった感触で――

(#゚;;-゚)「起きた?」

上から声が降ってくる。
見上げれば、顔中に傷が刻まれている女性がこちらを見ていた。
そしてようやく、その彼女に膝枕をされているのだと気付く。

|゚ノ;^∀^)「え? あ、あれ?」

慌てて起き上がり、周囲を見る。

暗くてよく見えないが狭い空間だった。
シートが四人分ほど一列に並んだだけで、後は機械や鉄に囲まれている。



46: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:51:20.49 ID:Az796pJ70
(#゚;;-゚)「あんま動かんといてな。
    ここ、ヘリの中やから」

|゚ノ ^∀^)「ヘリ……?」

頭がボーッとして動いてくれない。
言われた単語の意味を理解しようと、レモナは目を逡巡させるように走らせる。
それを見た軍神は、笑みを浮かべ

(#゚;;-゚)「かわえぇなぁ。
    ええよ、目が覚めるまで時間あげる」

|゚ノ;^∀^)「ど、どうも」

lw´‐ _‐ノv「…………」

ハ(リメ -゚ノリ「…………」

視線をズラすと、シューとミツキが座っているのが見えた。
二人とも顔を俯かせ、眠っているようにも感じられる。

|゚ノ;^∀^)「……!」

そして、その瞬間にすべてを思い出した。

|゚ノ;^∀^)「ア、アンタ!」

(#゚;;-゚)「っと?」



47: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:53:06.19 ID:Az796pJ70
飛び退くように後退しようとし、そのようなことが出来るスペースがないことを知る。
格好だけ引いたレモナを軍神はじっと見つめ

(#゚;;-゚)「そんな警戒せんでええ。
    ウチはアンタらを助けるし、その後は一緒に戦ってもらうつもりや」

|゚ノ;^∀^)「なっ……誰がアンタなんかと!
      それに、ミツキと一緒には戦いたくないわ!」

(#゚;;-゚)「何で?」

|゚ノ;^∀^)「コイツはお父さんの仇なのよ!? 何で私が――」

ハ(リメ -゚ノリ「…………」

指を差されたミツキは、しかし何も言わずに黙っている。
言われたことが正しいから何も言わないのか、それとも――

(#゚;;-゚)「それは間違っとるよ」

静かな声。
ヘリの奏でる爆音に紛れ呟かれた言葉は、レモナの耳にしっかりと届いた。

|゚ノ;^∀^)「ま、ちがって……?」

(#゚;;-゚)「アンタは恨む相手を間違えとる。
    レモナの父親を殺したんは、その男やない」

レモナはミツキを見る。
憎悪を疑念を混ぜた、刃のような視線をぶつけた。



50: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:54:35.48 ID:Az796pJ70
ハ(リメ -゚ノリ「……知っているのか」

呟かれた声は一つの事実を示唆する。
軍神の言った言葉が正しいのだ、と。

(#゚;;-゚)「一部だけやけどね。
    アンタが何で亡命したんかとか、何で真実を言わんのかは知らん」

|゚ノ;^∀^)「な、何なのよ、真実って……!?」

(#゚;;-゚)「ええんかな?」

ハ(リメ -゚ノリ「知っているのならば構わない。
      ただ、間違いがあっても僕は訂正しないよ」

(#゚;;-゚)「ん」

一つ咳払い。
その目でレモナを見やり

(#゚;;-゚)「アンタの父親を殺したんはミツキやなく……ダイオード言う女や」

|゚ノ;^∀^)「っ?!」



52: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:55:39.09 ID:Az796pJ70
(#゚;;-゚)「ただ、これはダイオード本人から聞いた話で物的証拠っちゅーもんがない」

|゚ノ;^∀^)「なら――」

(#゚;;-゚)「が、奴はアンタの父親の技を奪った言うとってな。
    そしてそれは事実やった」

ハ(リメ -゚ノリ「…………」

(#゚;;-゚)「こんだけの話なんやけど、これを信じるかどうかはレモナ……アンタ次第や。
    ウチは現場も詳しい事情も知らん。
    それらを見てきたレモナの判断が、きっと正しいんやと思う。
    でもな――」

言葉が途切れる。
一瞬だけ目を伏せた軍神は、その鋭い眼光をレモナへ向け

(#゚;;-゚)「アンタがどんな判断を下そうとも、ウチは絶対にダイオードを殺す。
    それが、ウチの仇討ちや」

はっきりと、言った。



54: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:57:01.78 ID:Az796pJ70
ロシア北部に位置する古城。
FC残党が潜むこの施設の内装は、城などと呼べない様相を為している。
白色の通路が根のように通り、電気が通っているのは当たり前で、地下には格納庫が存在しているという始末だ。

一種の基地ともいえる建物の中に、大会議室がある。

教室四つ分ほどの広さを持つ空間。
床や天井はやはり白色に染められ、白色の光を放つ電灯に照らされている。
長机とパイプ椅子が並び、ホワイトボードがある以外は何もないという簡素な状態だ。

そこに人がいた。
しかも複数。
合計して約二十の人間は、思い思いの格好で何かを待っている。

時か、人か。

それぞれの思いはバラバラで、しかし一つの目的へと集約されている。
だからこそ、この城の中に、この大会議室に集っているのだ。

会議室の扉が開く。
ほぼ全ての人物が視線を向け、待っていたモノが来たのだと吐息する。

( ・∀・)「皆、揃っているね?」

現れたのはモララー。
いつものスーツ姿にいくつかのファイルを脇に挟んでいる。
そのまま皆の中心を割るように足を向けた。



56: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:58:56.92 ID:Az796pJ70
そのまま中央を歩き、ホワイトボードの前まで来ると身を反転させた。

( ・∀・)「集まってもらった理由は解っていると思う。
     軍神君が、レイン君の言っていた魔法世界のメンバーを発見したらしい。
     これで四世界の主要メンバーが、ほぼ揃ったと言っていいだろう」

(,,゚Д゚)「世界政府に捕らわれた内藤達は別として
    クン三兄弟やらミカヅキやらがいないようだがな」

( ゚д゚ )「信念に食い違いが出るのは当然だろう。
     正義の裏は悪じゃなく……第二の正義だ」

<_プー゚)フ「っていうか、お前、だいじょぶ?」

( ゚д゚ )「もう問題ない。 やるべきことがある」

(`・ω・´)(……どうだか。 俺から見れば危うさの塊だが)

(´<_` )「で、それを報告するために俺達を集めたわけじゃないだろう?」

( ・∀・)「時間がもったいないから単刀直入に言おうか」

一度だけ言葉を区切り

( ・∀・)「決断したよ。 我々は一週間後――」

息を吸い、はっきりとした口調で言った。


( ・∀・)「――世界運営政府に喧嘩を売る」



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