( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

63: ◆BYUt189CYA :2007/09/21(金) 21:16:17.21 ID:fjRVA6UF0
( ・∀・)「では聞くが……機械世界や他世界にも秩序があるのだろう?
     だとすれば、そこへの侵入も不可能のはずだが」

[;゚д゚]「シャキン達が戦った英雄も言っていたらしいが、この世界の秩序は本当に特別なんだ。
    『滅び』の要因となる要素を全て弾き、消去する強力な干渉力を持ってるんだからな」

(,,゚Д゚)「何やらよく解らんが……本来ならば、異獣はこの世界に侵入出来るはずがないのか」

[;゚д゚]「ミルナ、お前の勘違いじゃねぇのか?」

( ゚д゚ )「俺に聞かれても何とも言えん。
     本人であるヒートに聞けば何か解るかもしれんが……意識が戻っていない以上、な」

( ・∀・)「ならば保留だね。 話を戻そう。 四世界の目的の相異という点についてだが」

皆の注目が、再びモララーに注がれる。

( ・∀・)「ここで問い、そして帰ってきた答え……それは四世界の一部の意見だと私は思う。
     例えば機械世界の住人で、世界交差を望んでいない者もいるかもしれない。
     だからここで私は提案しよう」

目を細め

( ・∀・)「これからの戦闘準備に当てる一週間。 それぞれの世界の住人は意見をまとめておいてくれ。
     足並みを揃えるという意味でも、是非にやってほしい」



66: ◆BYUt189CYA :2007/09/21(金) 21:17:46.53 ID:fjRVA6UF0
そんなことがあったものだから、それぞれの世界の住人同士で集まる時間は必然と多くなる。
生まれるのは無意識下での『心の壁』であり、自然と世界同士の交流も減っていく結果となった。

(,,゚Д゚)「あのエクストですら姿を見なくなったからな……奴は奴で思うところがあるのだろうか」

(´<_` )「しかし、それにしてもモララーさんの考えが解らん。
     確かに足並みを揃える必要はあるかもしれんが……あの言い方だと『各自勝手にやれ』って言っているようなものだ」

(,,゚Д゚)「あぁ、下手すれば空中分解……いや、同志討ちで自滅か?」

(´<_` )「特に機械世界には強硬派が多いと聞くしな。
     後で敵となるのならば、今の内に潰しておこうなんて言い出しかねんぞ」

(,,゚Д゚)「上手く軍神辺りが抑えてくれるのを祈るしかない。
    せめて、世界政府との決着がつくまでは協力状態でいたいものだが……」

と、そこで会議室の扉が開かれた。
入ってきた人物に、ギコ達は一瞬だけ訝しげな視線を向ける。
見慣れない人間だったからだ。

ハ(リメ -゚ノリ「ここにモララーさんがいると聞いたのですが」

(,,゚Д゚)「お前は……」

ハ(リメ -゚ノリ「ミツキといいます。 ここへ到着した時の自己紹介以来ですね」



69: ◆BYUt189CYA :2007/09/21(金) 21:21:04.54 ID:fjRVA6UF0
(,,゚Д゚)「……あぁ、俺はギコだ。 よろしく頼む」

ハ(リメ -゚ノリ「えぇ」

柔らかい声でありながら、その顔に笑みはない。
こちらを信じてはいない証拠だ。
とはいえ、まだ出会ってから数日なのだから仕方ないだろう。



|゚ノ ^∀^)「ん……あれは……?」

会議室の外。
冷たい空気に満ちた廊下で、レモナはある気配に気付く。

|゚ノ ^∀^)「ミツキ?」

薄く開いた扉の奥にミツキの後姿が見えている。

|゚ノ;^∀^)「…………」

僅かな逡巡。
ここへ来てから、彼女はミツキの声どころか顔さえも見ていない。

父親の仇なのだから、避けて当然ではあるが。



71: ◆BYUt189CYA :2007/09/21(金) 21:22:50.34 ID:fjRVA6UF0
しかしレモナは迷っていた。
あの夜、ヘリの中で軍神が言った言葉。

――アンタは恨む相手を間違えとる。
   レモナの父親を殺したんは、その男やない――

ずっと心に引っかかっていた。

父親を殺したのはミツキではなくダイオード。
突然そう言われても、今までミツキを犯人だと思い込んでいたレモナには信じられない話である。

しかしここへ来てから、そのことについて冷静に考えてみたのも事実。

掘り出すのは古い記憶。
突如として鳴り響いた城の警報音は、未だ鮮明に記憶の中に刻まれている。



『――!』

警報という甲高い音が、記憶の始まりを示した。

数年前の当時、彼女は城内の庭で剣の稽古をしていた。
警報を聞いた時、『泥棒か何かが侵入したのだ』と直感したのを憶えている。



73: ◆BYUt189CYA :2007/09/21(金) 21:24:05.69 ID:fjRVA6UF0
汗も拭わず、剣を持って現場へと走った。
今思えば非常に無謀な行動ではあるが、当時の彼女は父親に認めてもらいたい一心だったのである。

侵入者を討ち取れば、きっと父は褒めてくれる。
一人前だと言ってくれる。

もはや妄想に似たレベルの未来を思い浮かべ、彼女は意気揚々と足を動かした。

途中で一人の兵を捕まえ、現場の位置を知る。
地下研究格納庫だった。
開発中のEMAや魔法兵器を開発している、レモナにはまったく縁の無い場所。

慣れないそこへ足を向けた時点では、もう既に父親の命は奪われていたのだと思う。

|゚ノ ^∀^)『……え?』

その声のトーンや、沈黙の間隔さえも鮮明に憶えていた。
更に記憶に焼きついたのは、格納庫の中心近くに赤い色。

見たことも無い量に驚き、それが血だと理解するまで数秒を必要とした。

|゚ノ ^∀^)『……え?』

二度目の疑問の声。
それはぶち撒かれた血液ではなく、その上に立っている人物へと向けられていた。



78: ◆BYUt189CYA :2007/09/21(金) 21:25:54.56 ID:fjRVA6UF0
ハ(リメ -゚ノリ『…………』

ミツキ。
父親の直属の部下にして、オークス王国のツインエースと呼ばれた二人の内の一人。
レモナがまだ幼かった頃の記憶から存在している、いつも笑顔で優しかった男。

視線は自然と下へ向かい、そこでやっと気付いた。
己の父親が、無惨な骸を晒していることに。

|゚ノ;^∀^)『何……これ……?』

解っていた。
誰かに答えられなくても、解っていた。

ミツキがこちらを見る。
表情からは笑顔が消え失せており、眉のハの字に曲げていた。
とても哀しそうで、しかしレモナからすれば違和感を受ける顔だ。

ハ(リメ -゚ノリ『ごめん』

その言葉で、レモナは瞬時に理解する。

|゚ノ;^∀^)『ミ、ミツキ……貴方……?』

ハ(リメ -゚ノリ『……ごめん』



82: ◆BYUt189CYA :2007/09/21(金) 21:27:32.06 ID:fjRVA6UF0
それは肯定だったのか謝罪だったのか。
今にしてみれば疑問を持ってもおかしくない発言であったが
当時のレモナには、そんな思考の猶予など残されていなかった。



|゚ノ;^∀^)「――――」

そこで記憶が途切れている。
いや、途切れているというよりも閉じ込めたかのような感覚。
思い出そうとすれば思い出せるはずなのだが、意識がそれを拒んでいるような。

|゚ノ;^∀^)「何……なの?」

今までこんなことはなかったはずなのに。
記憶が途切れている、などということさえも思ったことがなかったのだが。

鍵が必要だ、と直感的に思った。
何かしらの理由で封印された記憶を思い出すにはキーが必要だ、と。

|゚ノ;^∀^)「……っ」

頭の中を探ると、頭痛がする。
気分が悪い。
何かを忘れているのは解っているのに、それを思い出せない苛立ち。



85: ◆BYUt189CYA :2007/09/21(金) 21:29:02.51 ID:fjRVA6UF0
額に汗を浮かべ、ここから離れようかと思った時。

(´<_` )「アンタは確か魔法世界の人間だったよな。
     世界政府に回収された青いEMAを取り戻したいんだっけ?」

弟者の質問の声が聞こえる。
それはミツキへと向けられており、レモナの興味を引くには充分であった。

思わず扉の傍へ。
聞き逃すまいと、会議室内へ神経を集中する。

ハ(リメ -゚ノリ「それもありますが……僕はモナーさんを助けたいですね」

|゚ノ;^∀^)(え……)

ハ(リメ -゚ノリ「一晩とはいえ、モナーさんには良くしてもらいました。
       それにシューの言うことを信じてくれた数少ない人ですから」

シューとは、あの細目の女剣士である。
イルド国の王女であるレインの護衛を務める実力者だ。
ほとんど同い年のレモナは、彼女を一方的にライバルとして見ている。



89: ◆BYUt189CYA :2007/09/21(金) 21:30:56.17 ID:fjRVA6UF0
ハ(リメ -゚ノリ「珍しいんですよ。
       シューが他人に懐くなんて」

(,,゚Д゚)「そうなのか」

(;*゚ー゚)「えっと、私は懐かれなかったような……ちょっとショックかも」

ハ(リメ -゚ノリ「落ち込むことはありません。 それが普通ですよ」

何やらよく解らないフォローに、しぃが苦笑する。
他愛のない世間話に移行したらしい。

途中、モララーが弟者に近付いて耳打ちするのが見えた。
何やら仕事を任されたらしく、弟者は真剣な顔で強く頷いている。
どうやら雰囲気的に解散の流れになったようだ。

レモナは、無意識に諦めの息を吐く。
しかし

(´<_` )「で、ミツキさん……アンタ、あのレモナって子に恨まれてるって聞いたけど」

などと弟者が核心を突く発現をかましたので、レモナは驚きに目を見開くこととなった。



94: ◆BYUt189CYA :2007/09/21(金) 21:32:45.03 ID:fjRVA6UF0
ハ(リメ -゚ノリ「どこでそんなことを?」

(´<_` )「モララーさんがレインさんから聞き出したらしい。
     仲間となる人間の事情は知っておくべきだ、って言い訳してたけど」

ハ(リメ -゚ノリ「……仲間とはいえ、個人の過去を探って言いふらすのはどうかと思いますが」

(;*゚ー゚)「べ、別に悪気があったわけじゃないわ、きっと、多分。
     モララーさん、ほら、あの、その、ひ、控えめに言って犯罪的っていうか――」

控えめで犯罪的となれば、控えなければ何になるのだろうか。
頭の隅、好奇心と共に生まれた問いは、しかし頭を振ることで霧散させる。

ハ(リメ -゚ノリ「でもまぁ……全て終わる前に誰かに話しておきたかったので、構いませんよ」

あくまで柔らかい声で応対するミツキ。

(´<_` )「で、概要は聞いてあるんだが……レモナの父親を殺したのは、本当にアンタなのか?」

ストレートな問い――直線的であるが故に回避不能。
はぐらかすことなど出来ない。
ミツキは少し俯き

ハ(リメ -゚ノリ「正確に言えば、殺したのは僕ではありません」



99: ◆BYUt189CYA :2007/09/21(金) 21:34:37.40 ID:fjRVA6UF0
|゚ノ;^∀^)「……!!」

(,,゚Д゚)「ではやはり……他に殺した誰かがいたのか?」

ハ(リメ -゚ノリ「はい、僕はその瞬間も見ていました」

カチリ、と記憶が分離していく。
二分されたその間に、消えていた記憶が割り込んでくるような感覚。

(´<_` )「なら何故、それをレモナやミカヅキに言わない?
     ちゃんと事情説明をすれば、ここまで恨まれることもなかったと思うのだが」

ハ(リメ -゚ノリ「……これは傲慢な考えですが」

前置きし

ハ(リメ -゚ノリ「僕は彼らを護りたいんです」

(*゚ー゚)「どういう……」

ハ(リメ -゚ノリ「僕の見た犯人は、軍神が言っていた通りダイオードという女性騎士でした。
       しかしただの騎士ではなく――そして、人ではありません」



101: ◆BYUt189CYA :2007/09/21(金) 21:36:04.73 ID:fjRVA6UF0
|゚ノ;^∀^)「ッ!」

言葉に反応するように、失われていた何かが合致した。
あの、父親を殺された場面に新たな記憶がはめ込まれる。

それは背景。

地下研究格納庫で行われた殺害の場面に、地下研究格納庫としての背景が色を見せる。
頭の中に組み上がった記憶という映像を再生し、レモナは新たな事実に目を見開く。

|゚ノ;^∀^)(これ、は……?)

それは、想像していたまともな光景ではなかった。

鋼鉄で構成された壁や床に無事な部分が無かったのだ。
全てに斬線が入り、焼け焦げ、そして溶かされている。

それは一つの真実を示唆していた。

ここで、人ではない何かが暴れたのだ、と。

もはや人のすることでは――いや、人の出来ることではない。
人以外の、もしくは人を超越した何かが行った悪魔のような所業。

その中に父親が血塗れで伏せており、傍らに哀しそうな表情をするミツキがいた。



104: ◆BYUt189CYA :2007/09/21(金) 21:38:10.00 ID:fjRVA6UF0
ハ(リメ -゚ノリ「あれは挑んではいけない存在……そして、戦ってはいけない存在です。
       挑めば殺され、戦えばこの世の地獄を見るでしょう」

ミツキの声が引き締まっている。
あれは真剣だとかそういう感情ではなく、純粋な恐怖に縛られている声だ。

ハ(リメ -゚ノリ「だから僕は犯人となった。
       ミカヅキ達がダイオードへと目を向けないためにも、彼女以外の人間が犯人とならなければならなかった」

(,,゚Д゚)「……確かに傲慢だな」

ハ(リメ -゚ノリ「それでも良いんです。
       下手にダイオードを追いかけ、そのまま地獄を見て死なれるよりは」

|゚ノ;^∀^)「……ミツキ」

彼の顔には優しい表情があった。
眉尻を少しだけ曲げた、苦笑に近い顔にレモナは何かを感じる。

从・∀・ノ!リ「ふむ」

|゚ノ;^∀^)「っ!?」

背後からの声に、レモナはびくりと肩を震わせる。
慌てて振り向けば、そこにはレイン達が神妙な顔で立っていた。



108: ◆BYUt189CYA :2007/09/21(金) 21:39:51.24 ID:fjRVA6UF0
从・∀・ノ!リ「何か事情があるとは思っておったが、成程な」

|゚ノ;^∀^)「レ、レイン……」

从・∀・ノ!リ「いや、残念ながら我も知らなかったのだ。
       青いEMAを持って亡命してきた時は何事かと思ったが、そういう理由があったとは……」

納得したかのように頷くレインの横で

( ><)「つまりミツキさんは、レモナさんやミカヅキさんに倒されるために?」

从・∀・ノ!リ「手っ取り早く敵となるには他国へ亡命すれば良い、と考えたのだろう。
       EMAを持ってきたのは、おそらくその敵意を更に確固たるものにするためじゃな」

|゚ノ;^∀^)「…………」

考えたことを、レインが言い当てる。

从・∀・ノ!リ「レモナ、どうする?」

|゚ノ;^∀^)「え……」

从・∀・ノ!リ「軍神の言ったこととミツキの証言から、あの話は限りなく真実に近いはず。
       しかし、嘘だと言ってしまえば通ってしまうような、そんな脆さも兼ね備えている」



111: ◆BYUt189CYA :2007/09/21(金) 21:41:37.24 ID:fjRVA6UF0
選べ、ということなのだろう。
ミツキや軍神の言うことを信じず、彼を仇として見るか。
それとも彼らの言うことを信じて、仇を諦めるのか。

|゚ノ;^∀^)「…………」

从・∀・ノ!リ「やはりすぐには答えは出ぬよのぅ。
       まだ出撃まで三日あるから……よく考えておけ」

レモナの頭を撫で、立ち上がる。

从・∀・ノ!リ「ちなみに我はどちらを選んでも構わないと思っておる。
       信じないのであればミツキの思惑通りだろうし、信じるのであれば真実を心に刻むことが出来る。
       どちらが正しいのかなど誰にも解らぬ……おぬしの好きなようにするといい」

護衛であるチンとビロードを引き連れ、去ろうとするレイン。
その後姿に、レモナは先ほど思った疑問をぶつけてみる。

|゚ノ;^∀^)「あの、どうしてここへ?」

从・∀・ノ!リ「……少し気になる顔がおってな。
       雰囲気的に話を聞けるような状況ではなさそうなので、出直すよ」



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