( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです
- 2: ◆BYUt189CYA :2007/10/02(火) 20:08:30.63 ID:8X8P7LJL0
- 活動グループ別現状一覧
( ・∀・) (,,゚Д゚) (*゚ー゚) ミ,,"Д゚彡 ( ´_ゝ`) (´<_` )
(`・ω・´) <_プー゚)フ (#゚;;-゚) [゚д゚] ( ゚д゚ ) ノハ#゚ ゚)
从・∀・ノ!リ ( ><) (*‘ω‘ *) |゚ノ ^∀^) lw´‐ _‐ノv
所属:四世界
位置:オーストラリア・世界政府本部
状況:強襲中
( <●><●>) |(●), 、(●)、| / ゚、。 /
( ̄ー ̄) ( ^Д^) (゜3゜) ,(・)(・), ┗(^o^ )┓ \(^o^)/ | ^o^ |
( ^ω^) 川 ゚ -゚) ('A`) (´・ω・`) ( ゚∀゚) ('、`*川 从'ー'从 川д川 ( ´∀`)
所属:世界運営政府
位置:オーストラリア・世界政府本部
状況:迎撃中
(メ _) ハ(リメ -゚ノリ
所属:魔法世界
位置:オーストラリア・世界政府本部
状況:戦闘開始
メ(リ゚ ー゚ノリ ル(i|゚ ー゚ノリ
所属:???
位置:???
状況:???
- 7: ◆BYUt189CYA :2007/10/02(火) 20:10:47.56 ID:8X8P7LJL0
この部屋の中へ押し込められてから、どれほどの月日が流れただろうか。
求められるのは『彼女』という個ではなく、詰め込まれた『知識』のみ。
それだけのために部屋から出され、用が済めば逆戻りだ。
人としての扱いなどされていない。
闇の中に浮かぶ人の形をした何か。
これは、もはや物である。
从 ー 从「…………」
それでも彼女は何かを待ち続けていた。
口元に、微かな笑みを浮かべて。
もはや狂っているのかもしれない。
声は出さないものの、彼女はこの部屋で過ごす時間は常に笑っているのだから。
- 13: ◆BYUt189CYA :2007/10/02(火) 20:13:20.72 ID:8X8P7LJL0
- その様相は酷い有様であった。
元々着ていた白衣は、既に白衣と呼べる色ではない。
美しかったセミロングの髪も、肌も、何もかもがみすぼらしく朽ちかけている。
それでも彼女の目から生気が失われることはなかった。
如何なる非道な扱いを受けようとも、彼女は生を諦めるようなことはしなかった。
在るのは確固たる意志。
生まれた時から教えられ、そして夢見ていた野望。
執念とさえいえる心が、彼女を支えている。
正体は何か。
問いに対する答えは簡単だ。
彼女の目的――いや、人生の目途は異獣を滅ぼすことである。
それが叶うのであれば、彼女は平気で命を投げ出すだろう。
それを叶えるためであれば、彼女は本気で命を護ろうとするだろう。
何故そうまでして抗うのかなど、もはや彼女の記憶では答えられなかった。
しかし考える必要はない。
ただ、そうすべきだと本能が悟っている。
――この身と心は既に、『奴ら』を滅ぼすためだけに特化していた。
- 17: ◆BYUt189CYA :2007/10/02(火) 20:16:13.11 ID:8X8P7LJL0
- 从 ー 从「そう……あの獣を、消さなくちゃ……」
もう何度目になるか解らない呟きは、変わりなく部屋の中に霧散していく。
永遠とも思われる長い時間の無変。
通常の人間ならば発狂してもおかしくはない。
しかし、渡辺は冷静に耐え続ける。
从 ー 从「……?」
変化の無い時間は、しかし意外とあっさり最後を迎えた。
それは、そろそろ次の『知識抽出』が始まるかと予想した時である。
音が響いた。
聞き慣れない音だった。
反射的に、空耳だとさえ思った。
しかし今までそんなものを聞いた例がなかったため、勘違いという可能性は頭の中から消去する。
音が大きくなる。
よくよく耳を澄まして聞いてみれば、どうやら音の主は相当に無茶をしているようだった。
それは、金属のような硬い物質を殴る音だったのである。
- 21: ◆BYUt189CYA :2007/10/02(火) 20:18:46.43 ID:8X8P7LJL0
- 从;ぅー'从「――!!」
撃音と共に、突如として光が部屋の中へと入ってくる。
同時、唯一の出入り口である頑丈な扉が開かれたのだと理解した。
从'ー'从「誰……?」
状況から判断して、味方である可能性は高い。
モララー達の性格や性質、目的から、この世界政府本部へと攻めてくるのは解っていた。
しかし、世界が異なれば価値観も異なる。
立場によっては、渡辺を利用する人間もいるだろう。
果たして部屋の中に入ってきた人物は、どういう意図を持って渡辺を助けに来たのか。
メ(リ゚ ー゚ノリ「よぉ」
その声は聞き慣れないものだった、聞いた憶えがあった。
段々と明瞭になっていく視界のど真ん中に、仁王立ちしている男の姿が見える。
赤い長髪を首の後ろに束ねた、黒ずくめの男。
从;'ー'从「貴方は――」
記憶を掘り出し、そして己が知っている人物だと知る。
彼は、世界交差計画の初期から渡辺に接触してきた男だった。
名前も所属も知らないが、渡辺にとって有益な情報を運んでくる謎の人物。
メ(リ゚ ー゚ノリ「王子様が助けに来てやったぜ」
- 25: ◆BYUt189CYA :2007/10/02(火) 20:21:26.61 ID:8X8P7LJL0
- 从;'ー'从「…………」
メ(リ゚ ー゚ノリ「おぉっと、別にそんな警戒する必要はねぇよ。
ほれ、コイツも連れて来てやったぞ」
男がその場から一歩だけ退く。
背後から顔を見せたのは
川д川「御久しぶりですね、マスター」
从'ー'从「貞子……」
メ(リ゚ ー゚ノリ「アンタにはコイツが必要なんだろ?
ジェイルっつー人形の方は手遅れだったが、コイツは何もされてねぇみてぇだ」
当然だ。
ジェイルはともかく、貞子に使われている技術はこの世界では扱われていない。
そのため渡辺は知識の抽出を強制されていたのだが、手遅れになる前に間に合ったようだ。
メ(リ゚ ー゚ノリ「それと、これも」
眼前に差し出されたのは、白いショットガンのような銃器。
渡辺が愛用している『ゲシュタルトブラスト』だ。
- 32: ◆BYUt189CYA :2007/10/02(火) 20:24:23.32 ID:8X8P7LJL0
- 从'ー'从「どうして……それに、どうやってここへ?」
メ(リ゚ ー゚ノリ「んー、説明してやってもいいんだが、それよりもアンタは行動しなきゃならねぇ。
今、この建物は襲撃を受けてんだ。
けど、まだ施設内への侵入はほとんどされてなくてね」
从'ー'从「モララー達だね。 私が内部からそれを手伝えってこと?」
メ(リ゚ ー゚ノリ「そういうこと。
俺は別の用事があるからここでさよならだけどな」
从'ー'从「……そう、解ったわ。 助けてくれてありがとう」
メ(リ゚ ー゚ノリ「はっは、礼を言うのはちょっと違うんじゃねぇかなぁ」
从;'ー'从「?」
メ(リ゚ ー゚ノリ「ま、いいや。 んじゃ、俺は行くぜ」
片手を軽く振り、男は階下への通路を歩き始める。
そのままのんびりとした歩調で進みつつ
メ(リ゚ ー゚ノリ「この階の一帯は牢獄が占めてるらしい。 他の仲間も助けてやってやれよ」
从'ー'从「貴方……名前は? 何者なの?」
- 36: ◆BYUt189CYA :2007/10/02(火) 20:26:49.16 ID:8X8P7LJL0
- 言葉に、男の足が通路の突き当たりで止まった。
顔を半分だけ振り向かせ
メ(リ゚ ー゚ノリ「俺の名前?
えっと、確か……キ……キリ……リー? レ……ター、ド……?
んん? 随分昔のことだから憶えてねぇなぁ……」
何だっけ、と呟き
メ(リ゚ ー゚ノリ「うん、『キリバ』でいいや。
え? 所属? えーっと、所属は――」
こちらに向いている口端が吊り上がったのを、渡辺は確かに見た。
メ(リ゚ ー゚ノリ「――異獣、と言ったらどうする?」
从;'ー'从「ッ!?」
目を見開いた時には、既に男――キリバの姿はない。
貞子が一歩前へと出て、警戒を促すが
川д川「反応、ロストしました」
从;'ー'从「そんな……何で……」
- 39: ◆BYUt189CYA :2007/10/02(火) 20:28:54.62 ID:8X8P7LJL0
- 渡辺の声は震えていた。
キリバという男の一言で、全てを理解したからだ。
从;'ー'从「私は最初から『監視』されていた……?
異獣を倒すための準備に、異獣が関与していた……?」
思えば、奴は準備初期段階から姿を見せている。
しかし接触する時間が短かった上、全ての行動は渡辺にとって有益だったために勘違いをしていた。
おかしいと思わなければならなかった。
異獣の目的は、この世界の純正ルイルの捕食にある。
しかし世界の壁ともいえる秩序は、異獣にとっては真の壁だろう。
つまり異獣の目的を言い返るならば、それは『秩序の破壊』なのだ。
対し、渡辺には計画があった。
異獣を倒すには、出来るだけ多くの力――他世界の戦力をも結集して対抗しなければならない。
世界を繋げるためには『秩序の破壊』は必要不可欠。
つまり最初から、異獣は渡辺に協力する意味があったのだ。
途中までは泳がせておいて、その結果のみを掠め獲ることが目的だったのだ。
何故、そこに気付かなかったのか。
从;'ー'从(異獣は、秩序を超えることが出来ないと――!)
そういう前提があった。
如何なる存在であろうが、準備や対策無しに世界を越えることなど不可能だ、と。
- 43: ◆BYUt189CYA :2007/10/02(火) 20:33:02.01 ID:8X8P7LJL0
- 川д川「落ち着いてください、マスター」
从;'ー'从「落ち着けるわけ――!」
言い、渡辺は右手で顔を押さえて首を振った。
今やるべきことは、無暗に怒りを発することではない。
从'ー'从「……そうだね、冷静に対処しなきゃ」
川д川「追いますか?」
从'ー'从「ううん、私達に危害を加える気はないみたいだからいい。
私達だけで勝てる相手じゃないだろうし。
それよりも、今の内に助けられる人は助けておかなきゃ」
川д川「解りました」
周囲を見渡す。
キリバが言っていた通り、この階域は牢獄だらけらしい。
渡辺が入っていた部屋と同じような部屋が、各所に設けられていた。
一つの扉に近付く。
見ればドアのノブ付近に青いマークがあり、鍵は掛かっていない。
隣の扉には赤いマークがあり、扉は開くことがなかった。
どうやら青いマークは空室、赤いマークは鍵がかかっている、という意味らしい。
貞子に頷いてみせ、赤いマークの入った部屋を探すように命じる。
- 45: ◆BYUt189CYA :2007/10/02(火) 20:34:40.36 ID:8X8P7LJL0
- 川д川「マスター、こちらです」
しばらくすると、すぐに貞子が使用中の牢を見つけてきた。
从'ー'从「貞子、御願い」
川д川「イェス、マスター」
激音。
貞子の腕から放たれた弾丸が、扉の隅を穿つ。
相当に頑丈なのか、それでも完全に壊すことは出来なかった。
从'ー'从「えいっ!」
機能を失いかけたそれを、渡辺が蹴り飛ばす。
扉は勢いよく部屋の中へと吹っ飛び、そのまま床を転がって沈黙。
暗闇の中にいたのは
<ヽ`∀´>「……渡辺ニダか」
酷くやつれたニダーだった。
そして同時に、鼻をつく悪臭が漂ってくるのに気付く。
- 49: ◆BYUt189CYA :2007/10/02(火) 20:37:07.31 ID:8X8P7LJL0
- 从'ー'从「うわ……これでよく無事でいられたね?」
<ヽ`∀´>「命は在る、という意味では無事ニダ」
从'ー'从「あはは、お互い苦労をしたようで」
<ヽ`∀´>「ふン」
手枷を外してもらったニダーは、身体の調子を確かめるかのように肩を回す。
从'ー'从「あちらさんは?」
視線の先、ニダーとは少し離れた場所に何かが蹲っていた。
それは俗に言う『腐りかけた死体』というもので、しかし渡辺の位置からは誰なのか解らない。
<ヽ`∀´>「デミタス。 ロマネスクについてた技術者ニダよ。
何かブツブツ言ってたけど、すぐ動かなくなったニダ」
从'ー'从「で、しばらく一緒に死体と過ごしていたと……」
<ヽ`∀´>「死体は慣れてるから問題ないニダ」
本当に平気そうな顔で言うニダーは、やはり並大抵な経験をしていないらしい。
あまり彼の本性と過去を知らない渡辺としては、それを知れただけでも収穫であった。
- 52: ◆BYUt189CYA :2007/10/02(火) 20:39:28.98 ID:8X8P7LJL0
- と、そこで音が聞こえる。
機械の音で、渡辺にとっては近しく感じる類のものである。
( ・ω・)=つ「シュシュシュ!」
死体の陰から出て来たのはボッコスだった。
デミタスが貞子を真似て作り上げた、と、そう聞いている。
从'ー'从「よいっしょ!」
( ・ω・)=つ「しゅしゅsy――」
それを一踏みで破壊する渡辺。
飛び散った破片と火花が、暗い室内を一瞬だけ照らした。
从'ー'从「んじゃ、使えそうなパーツがあれば貞子、勝手に回収していいよ」
川 -川「特に見当たりません」
从'ー'从「よしよし」
<ヽ`∀´>「…………」
ニダーは渡辺の行動を見ても、特に口を挿むことはしない。
『そういう女』だということを、既に本能的に悟っている。
- 56: ◆BYUt189CYA :2007/10/02(火) 20:40:56.22 ID:8X8P7LJL0
- 从'ー'从「それで、ちょっとまずいことになってるかもなんだよね。
異獣も絡んでるっぽいし、手を貸してくれれば嬉しいんだけど」
<ヽ`∀´>「……良いニカ?」
从'ー'从「ん?」
<ヽ`∀´>「ウリは一度アンタを裏切ったニダ」
ロマネスクが離反した時だ。
権利を奪われた渡辺について行くか、ロマネスクと共に異獣と戦うか。
ニダーと一部の兵は、異獣と確実に戦える方を選んだ。
元々はそれが目的で軍に入ったのだから
指揮権利を失った渡辺について行く義理などなかったのだ。
<ヽ`∀´>「言っておくが、あの選択が間違っていたとは思っとらんニダ。
結果的にアンタの方が正しかったかもしれない……が、ウリは自分の選択を否定しないニダ」
从'ー'从「うん、それでもいいよ」
あっさりと頷く渡辺。
言葉に、ニダーの表情が止まった。
- 58: ◆BYUt189CYA :2007/10/02(火) 20:42:26.77 ID:8X8P7LJL0
- 从'ー'从「私が貴方に求めているのはたった一つの要素。
……異獣を倒す気は、ある?」
<ヽ`∀´>「あるニダ」
即答するニダーに、渡辺は笑みを浮かべる。
从'ー'从「流石ニダー君。
だったら私達は同志――それで問題ないでしょ?」
<;ヽ`∀´>「今思ったけど……アンタ、実はかなりお人好しニカ?」
从'ー'从「あはは、まさかぁ」
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