( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです
- 56: ◆BYUt189CYA :2007/10/06(土) 20:54:01.78 ID:ffp2WNFi0
- (;゚д゚ )「……今のは幻術か?」
/ ゚、。 /「似たようなもの、と答えておこうか。
瓦礫に突っ込む瞬間に入れ替わらせてもらった。
幻術といえど高度なものでね……そこに存在するかのようなリアルさを表現することがが出来る」
だから気付けなかった。
何せ瓦礫の中で倒れていたダイオードもまた、本物と同一だったのだから。
その間に死角で悠々と攻撃の準備を行う――反則ともいえる技だろう。
敗者を生み出せば生み出すほど、その能力を増やしていく魔剣。
その正体は、やはり人知の及ばぬ何かなのだろうか。
/ ゚、。 /「さぁ、お前達が偽物を相手にしている間に準備は整った。
受けてもらおうか」
(;´_ゝ`)「来る……!?」
(´<_`;)「くっ……ジゴミル! 頼む!!」
黒い剣が振りかぶられると同時、弟者が一歩踏み出して盾を構えた。
黄金の面が上空へと向けられ、同じ色の光を発する。
それは弟者を中心に一瞬で広がった。
ジゴミルの限界突破だ。
かつてハインリッヒ戦にて使われた、広範囲において味方を守護する巨大なバリアドーム。
以前よりも格段に展開速度が上がったそれは、数瞬の時を以って完成へと持って行く。
- 59: ◆BYUt189CYA :2007/10/06(土) 20:55:57.49 ID:ffp2WNFi0
- / ゚、。 /「だが、その程度で防ぎ切れると思うなよ――!」
振られるブロスティーク。
同時、刀身に一際巨大な赤い文字が疾走する。
【十七連魔弾射出魔術陣『衰』】
黒色斬閃が生まれ、しかし発せられたのは別次元の塊。
応じるように、今度はダイオードの背後に巨大な魔法陣が生まれた。
各部に散った十七もの小さな円が赤色に輝く。
その光景は、静止画で見る花火のような神々しさを放っており
/ ゚、。 /「食い荒らせ……!」
一層の光を以って発動する。
美しさなどなく。
そこにあるのは、ただの異常だった。
ど、という衝撃音。
同時、深紅の魔術陣から十七もの魔弾が発射された。
それらは四方へ放物線を描くように降下し、あるタイミングで収束を開始する。
(´<_`;)「――ッ!」
収束点は、言うまでもなく弟者の張った結界だ。
- 62: ◆BYUt189CYA :2007/10/06(土) 20:57:54.96 ID:ffp2WNFi0
- まず響いたのは弾かれる音ではなく無音という異音だ。
十七もの黒点が、溶けるようにしてバリアの表面へと落ちていく。
それを呆然と見送る軍神達の表情に、安堵の色などまったく無い。
まずい、と直感した時にはもう遅かった。
「「ッ!!?」」
元より無謀だったのだ。
アレは、あの巨剣は『理屈』や『力』で計れるものではない。
数々の世界を渡り、あらゆる強者から奪ってきた力に、こちらの世界のルールなど適用されるわけがない。
能力は『強奪模倣』。
しかしその真の効果は『万象無視』と言えるだろう。
証明するかのように、ダイオードの放った闇がジゴミルの結界を侵食し始める。
そして
(;゚д゚ )「ぐっ――?!」
「「ああぁぁぁぁぁ!!?」」
もはや逃げられない。
半円球の結界をすっぽり覆った黒色が、今度は内部にいる人間に牙を剥いた。
神経を貪るように撫でられる――そんなおぞましい感覚が襲いかかったのだ。
経験による対異常耐性を持つ軍神ならともかく
普通の人間である兄者達には、とてもではないが耐え切れるようなものではなかった。
- 68: ◆BYUt189CYA :2007/10/06(土) 20:59:54.57 ID:ffp2WNFi0
- (´<_`;)「ぁ――うぁ――っ――」
苦しみの色を示していた声が消えていく。
次第に、ざ、という闇が蠢く音のみが場に残った。
/ ゚、。 /「…………」
ダイオードが、ゆっくりと地面に降り立つ。
同時、場を支配していた黒色の何かが、粘着性の高い音を発して割れ消えた。
残るは苦しみに打ち震える数名の人間だ。
(;゚д゚ )「……ぁぐッ」
(;´_ゝ`)「ッはっ……痛っ……てぇ……」
そんな中で唯一立っていたのは軍神。
しかし流石の彼女もノーダメージでいることは出来なかったらしい。
身を前に折り、今にも膝が地面に着こうとしていた。
(#゚;;-゚)「――っく……」
/ ゚、。 /「成程、少し力を出し過ぎたようだな。
相変わらず加減の難しい武器だ」
蔑むように、手に持ったブロスティークを睨む。
どうやら彼女自身、あの巨剣を自由に操り切っているわけではないらしい。
- 72: ◆BYUt189CYA :2007/10/06(土) 21:01:21.41 ID:ffp2WNFi0
- (;゚д゚ )「だ、が――ッ」
それが一体どうしたというのだろう。
あの程度の些細な事実など、弱点にも隙にもなりはしない。
踏まえて尚、有り余る性能を発揮することが出来る相手なのだから。
蟻が象に挑むとはこの事か。
いや、それくらいの差で済めば良い方であろう。
何せダイオードは遊び半分で戦っている。
一度本気を出されれば、こちらの身など数秒も存在出来るかどうか怪しいものだ。
それが隙になっているのも重々承知している。
遊び半分で戦っているということは、追い詰められるか飽きるまで本気を出さないということだ。
しかしそこを突くには、『一撃でダイオードを葬れる』レベルの攻撃が無いと無駄に終わる。
(;゚д゚ )(何か、決定打があれば……!)
今いるメンバーの中で最も強いのは軍神だろう。
だが彼女は、必殺と呼べる技を持っていない。
雑魚や中途半端な、そして大量の敵に対しては正に一騎当千なのだが――
それを責めることなど出来はしない。
彼女は『異獣の群を蹴散らす』という命を刻まれた偽りの神。
決して『同レベル、もしくは自分以上の強者を一撃で倒す』ようには作られていないのだ。
- 73: ◆BYUt189CYA :2007/10/06(土) 21:04:03.45 ID:ffp2WNFi0
- / ゚、。 /「哀れだよ、軍神」
(#゚;;-゚)「…………」
/ ゚、。 /「一度は命を失いかけ、しかし勝手な上層部によって強者――いや、神へと仕立て上げられ。
しかしそんな人々を護るために鬼神の如く戦い抜いたお前が。
今このようにして、立っているのも危うい状態にいるとは、な」
(#゚;;-゚)「…………」
/ ゚、。 /「その程度か? 軍の神と呼ばれ崇められたお前の力は、そこが限界なのか?
機械世界で生まれたヒーローは、そこで潰えてしまうのか?」
対する軍神は無言。
しばらく息を整え、そして微かに笑みを浮かべた。
/ ゚、。 /「何が可笑しい」
(#゚;;-゚)「いや、アンタがヒーローなんて言葉を出すとは思わんかったわ。
……でもな、えぇこと教えといたる」
はぁ、と深い息を吐き
(#゚;;-゚)「ヒーローは成るもんやない。 勝手に来よって勝手に名乗るもんや」
その直後。
訝しげな表情になったダイオードの背中を、強烈な衝撃が貫いた。
- 79: ◆BYUt189CYA :2007/10/06(土) 21:06:28.58 ID:ffp2WNFi0
- / ゚、。 /「――ッぉ!?」
身を逆くの字に折り曲げた彼女は、溜め込んでいた肺の空気を搾り出される嫌悪感に襲われる。
しかしそれだけだ。
確かに衝撃は凄まじいものであるが、それだけでダイオードを崩すことは出来ない。
現に彼女は、その見開かれた眼を背後にいる襲撃者へと向け
/ ゚、。 /「お、まえは……」
(メ・∀・)「ヒーロー参上――!!」
そこにはモララーがいた。
着こなしていたスーツは汚れに汚れ、所々がボロボロに裂け破れている痛々しい格好だ。
額には一筋の血が流れ、しかしモララーは更なる攻撃を試みる。
馬鹿な、という思いがまず生まれた。
この男は戦意喪失していたのではないのか、と。
そもそもこれほどの気配に、何故今まで気付かなかったのか。
/ ゚、。 /(そうか、こいつら私と同じことを――!?)
振りかぶられた鉄槌は当初より更に巨大化し、かつてのような稲津は纏っていない。
これはただ、勢いと質量を以って相手を打ち砕く限界突破だった。
- 82: ◆BYUt189CYA :2007/10/06(土) 21:08:55.89 ID:ffp2WNFi0
- (メ・∀・)「おぉ――!!」
振られた黄色は横薙ぎの軌道。
ダイオードが反応し、ブロスティークを盾とするように身の横に持っていく。
だが
/ ゚、。 /「!? ッッ……っぐ!」
モララーの一撃は容易く『それ』ごと打ち貫いた。
直接当てる必要は無い。
ハンマーなどの打撃系武器は、衝撃を与えることに全てを賭ける無骨で直線的なスタイルだ。
間に何枚もの壁があろうとも、打ち込まれる衝撃の強さ如何によっては全てを無視することが出来る。
今、モララーとダイオードの間には黒色の巨剣のみ。
ウェポンからすれば、そんな咄嗟に構えられた金属の一枚や二枚など無に等しい。
衝撃とは、震動の集合によって生まれる力である。
面ではなく点でもなく、原子の結合を砕く純粋な力。
例えダイオードが強固な防御能力を誇っていようとも
その震動を直接内部へと伝えることさえ出来れば関係ないのだ。
むしろ硬ければ硬いほど、ダイオードの受けるダメージは増加する。
足りなかったのは速度――つまり隙。
決定的に足りず、覆すことも出来なかったはずの要素を、しかしモララーは簡単な策を以って繋ぎ合わせる。
- 90: ◆BYUt189CYA :2007/10/06(土) 21:11:34.03 ID:ffp2WNFi0
- 全てはあの時、悪態と共に放たれた右手が示していた。
それに軍神が気付いたのは僥倖なのかもしれないが、戦いは結果が全てだ。
運が悪かった、などという言い訳で生死が覆るのならば
(メ・∀・)「それこそ、私はジェイル君を……だが――!」
振りかぶられる三度目。
頂点に達した時、2nd−W『ロステック』に課せられた条件が整った。
堅い音が響く。
それはロステックの槌頭から。
音の正体は『変形』である。
組み上げられていたパーツを分解寸前にまでズラし、組み替えていく。
そうすることによって、ロステックの機構はその形を変えていった。
/ ゚、。 /「ちィっ――!」
流石に危険だと判断したのだろう。
ダイオードの口元から笑みが消え、モララーの攻撃範囲から逃れようと足に力を入れるが
(#゚;;-゚)「逃がすかい、ボケが……!」
軍神がそれを止める。
いつの間にか背後にいた彼女は、すぐにでもダイオードに飛び掛かれる姿勢を作っていた。
- 93: ◆BYUt189CYA :2007/10/06(土) 21:13:23.13 ID:ffp2WNFi0
- / ゚、。 /(なっ――)
予想外にも程がある。
軍神がいた位置からこの位置までは多少の距離があり、一息で埋められないのは解っていた。
しかし、現に彼女は己の背後にいる。
何故、という問いが生まれるが、今はそれどころではない。
軍神とモララーに挟まれている現状、起こる結果は二つに一つ。
動いて軍神に攻撃されるか、動かないでモララーに砕かれるか。
どちらが良いのかなど問うまでもない。
しかし、問うまでもなかった一瞬の躊躇がダイオードの明暗を分けた。
槌頭の片方が光を噴く。
それはスラスターでもバーニアでもなく。
それは推進装置でも姿勢制御装置でもなく。
――正体は、ブースターと呼ばれる増加速装置だった。
増加速という名は伊達ではない。
振りかぶった分の慣性さえもねじ伏せ、ただただ一直線に押し出す愚直な力は強大の一言。
結果として秒にも満たぬ速度でロステックが走り、僅かに逃げ遅れたダイオードの背中へと――
/ ゚、。 /「――ッッッ!!?」
加速と質量が合わさった強大な震動が、烈破の如く衝撃を伝えた。
- 104: ◆BYUt189CYA :2007/10/06(土) 21:15:44.46 ID:ffp2WNFi0
- それは粉砕の音。
響く残響は鈍く重い。
ダイオードの身体は、そのままの勢いで吹き飛ばされることとなった。
壁に激突し、またもや瓦礫の雨を被る。
素人目に見ても大ダメージ必至だ。
あれがまた偽物でなければ、かなりのダメージを与えたはずだが――
(´<_`;)「えっと……色々と、何で?」
厳しい視線を向けるモララーに、一応は安全と判断した弟者達が問いかける。
(メ・∀・)「何がかね?」
(;´_ゝ`)「いや、アンタ……」
戦意喪失していたのではないのか。
そういう問いかけの視線は、むしろ羽交い絞めにしていたはずのミルナへと向けられていた。
(;゚д゚ )「いや、まぁ……あんな清々しい笑顔で『もういいよ』なんて言われたら、離すしかないだろう?」
(;´_ゝ`)「……つまりモララーさん? アンタ最初から謀ってた?
ジェイルたんの仇をとるために激昂したんじゃないの?」
(メ・∀・)「馬鹿を言っちゃいけない。
私はちゃんと怒っているよ? はははははははHAHAHAHA」
と、真顔で語るモララー。
不気味としか言い様がない。
- 109: ◆BYUt189CYA :2007/10/06(土) 21:18:05.60 ID:ffp2WNFi0
- (´<_`;)「んん、まぁそれは突っ込むの怖いから良いとして。
突然消えたと思ってたら、まさかダイオードの背後を狙っていたとは」
弟者が気付いたのは、黄金のバリアを張っている最中だった。
ダイオードの放った闇に包まれた瞬間、バリアを無理矢理に抜け出す気配を察知したのである。
スーツが破れ、額から血を流しているのはそのためだ。
守護の力は内外関わらず発揮される。
外から来るものを拒み、内から出るものを阻むのだ。
そんな鉄壁を、モララーは己の力だけで脱出したことになる。
出来ないことはないが、もし仮にそうだとしても――
(;´_ゝ`)「どうやってダイオードの背後をとったんだ?」
言うまでもなくダイオードは強者である。
そんな彼女の背後に気付かれないよう近付くならば、相当のスキルが必要なのは明白だ。
しかしいくらモララーでも、そのようなスキルを持っているわけがなく。
(メ・∀・)「だから軍神君に協力してもらおうと思ってね。 これだよ、これ」
右腕を掲げ、親指を立てた拳を作る。
それを上下逆さまにして、地面の方へと軽く落とした。
(´<_`;)「あ、それってまさか――」
( ゚д゚ )「『俺のことは気にするな』だったか」
( ・∀・)「うむ、その通り。 そしてこれを私はダイオードに向けて放った」
- 111: ◆BYUt189CYA :2007/10/06(土) 21:19:55.17 ID:ffp2WNFi0
- これだけだと意味不明だろう。
しかし僥倖にも、軍神には意味が伝わっていた。
(#゚;;-゚)「つまり『ダイオードにモララーを気にさせるな』っていうウチに当てたメッセージやろ?
この中で、そのジェスチャーに一番関係が深かったのはウチやし……でもなぁ――」
半目でモララーを睨み
(#゚;;-゚)「ぶっちゃけ普通なら気付かんレベルなトコはどうなん?
ウチなんかしばらく考え込んで、やっと意味を理解したくらいなんやけど」
(メ・∀・)「どうせ君とダイオードが戦うのは解っていた。
伝わらなければ伝わなければで何とかするつもりだったよ……兄者君辺りを使って」
(;´_ゝ`)「ちょ、囮って明言しないのが怖いんだけどそこんとこどうなんですか!!」
( ゚д゚ )「だから軍神が機械皮膚の全機能なんかを、あの場面で発動させたのか。
少しおかしいとは思っていたんだ」
(#゚;;-゚)(……どちらにしろ使う予定だったなんて言えん空気やなぁ)
ともあれ、ダイオードに手痛い一撃を見舞ったのは事実。
残る懸念は『そのダイオードが偽物』という可能性と、『どの程度のダメージを与えたのか』という情報だ。
決して安心は出来ない状況。
証拠として、モララーは今の間に一度たりともダイオードから目を逸らしていない。
その鋭い視線こそが、現状を簡潔に示していた。
- 116: ◆BYUt189CYA :2007/10/06(土) 21:21:53.65 ID:ffp2WNFi0
――正直言えば、流石にこれは効いた。
未だ身体は衝撃が蹂躙している。
痺れるような痛みに、波打つ痛みが丁度良くブレンドされたような。
背骨が折れた、というレベルではなく、背骨を持っていかれた、と感じる衝撃。
まるでダルマ落としのように、身体の一部が欠けてしまったかのような悪寒。
それほどまでに、モララーの三度目の威力は高かった。
おそらく『そういう』制約が掛かっていたのだろう。
でなければ事前に二度も殴ったりせず、最初から全力を叩き込めば良かったはず。
尚更、言い訳は出来まい。
二度というチャンスがありながらも、まんまと三度目を喰らったのは事実だ。
こうして尻をついて、瓦礫を頭から被っている現状が全てである。
そういえば、このような状況を示す言葉があったはずだが――
/ ゚、。 /(……油断大敵、か)
久しく忘れていた言葉だ。
そして今も思い出しはしたが、それがどうした、という言葉が後に付く。
- 121: ◆BYUt189CYA :2007/10/06(土) 21:23:23.80 ID:ffp2WNFi0
- / ゚、。 /(さて、しかしどうしたものかな)
痛みはあるが、ダメージは無い。
損傷はあるが、行動に支障は無い。
そろそろ遊びも終わりにしなければならないだろう。
敵は彼らだけではない。
必要によっては、森の中で暴れている虫も始末せねばなるまい。
軍神との戦いを終わらせるのに多少の惜しみはある。
あれほどの力を持つ敵は何十年振りだろうか、と思わせる実力があった。
しかしダイオードには、まだ上の――つまり軍神以上の――御馳走が待っているのを知っている。
異獣だ。
/ ゚、。 /(そうだな……もう軍神との戦いは充分に楽しんだことにしようか)
心に決めた感情は、もはや覆らない。
手足や身体に乗る瓦礫を振り払いつつ、ダイオードはゆっくりと立ち上がった。
- 124: ◆BYUt189CYA :2007/10/06(土) 21:24:57.15 ID:ffp2WNFi0
- 「「――っ!!」」
やはりというか、それを見た軍神達が一斉に構える。
軍神とモララーには怒りの意思が見てとれるが、ミルナや流石兄弟には戸惑いと恐怖が感じられる。
あぁ、と溜息を吐きそうになるのをダイオードは寸前で堪えた。
殺す気で殺さねば可哀想であろう。
ここまで来て、ここまで自分を追い込んだのだ。
ならばせめて『眼中にはあった』と教えながら殺さねばなるまい。
しかし、もう時間をかけるのはよそう、と思った。
この後には簡単な掃除が、そして極上の敵が待っている。
今目の前で警戒心を露わにしている彼女達のような、そんなレベルの話ではない。
この自分に真っ向から、そして笑みさえも浮かべて向かい来ることが出来る敵がいるのだ。
- 125: ◆BYUt189CYA :2007/10/06(土) 21:26:17.14 ID:ffp2WNFi0
- (メ・∀・)「っ!?」
突如、モララーが身を震わせる。
(´<_`;)「ど、どうした?」
(メ・∀・)「今、私のロステックが悲鳴を挙げた……」
(;´_ゝ`)「え? 悲鳴って――」
そう、
/ ゚、。 /-゚ノリ「――――」
自身の胸の中心から生えた黒い刃を見ながら、ダイオードは静かな頭で思う。
――このように、己に気配を悟られずに致命傷を与えてくる敵がいるのだ、と。
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