( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

5: ◆BYUt189CYA :2007/10/12(金) 21:18:15.56 ID:jpces/WK0
活動グループ別現状一覧

( ・∀・) (,,゚Д゚) (*゚ー゚) ミ,,"Д゚彡 ( ´_ゝ`) (´<_` )
(`・ω・´) <_プー゚)フ (#゚;;-゚) [゚д゚] ( ゚д゚ ) ノハ#゚  ゚) 
从・∀・ノ!リ ( ><) (*‘ω‘ *) |゚ノ ^∀^) lw´‐ _‐ノv
所属:四世界
位置:オーストラリア・世界政府本部
状況:強襲中

( <●><●>) |(●),  、(●)、|
( ̄ー ̄) ( ^Д^) (゜3゜) ,(・)(・), ┗(^o^ )┓ \(^o^)/ |  ^o^ |  ( ´∀`)
( ^ω^) 川 ゚ -゚) ('A`) (´・ω・`) ( ゚∀゚) ('、`*川 从'ー'从 川 -川 <ヽ`∀´>
所属:世界運営政府
位置:オーストラリア・世界政府本部
状況:迎撃中

ル(i|゚ ー゚ノリ メ(リ゚ ー゚ノリ 从ξ゚ -゚ノリ 〈/i(iφ-゚ノii
所属:異獣
位置:オーストラリア・世界政府本部
状況:???



6: ◆BYUt189CYA :2007/10/12(金) 21:20:38.07 ID:jpces/WK0
第四十話 『無限凌駕』

人が戦っている。
人と戦っている。

同じ形をしたそれは、しかし所属が異なるという理由で戦い合っている。

これを滑稽と呼ばず、何と言おう。

共通の敵を前にして何故争うのか。
生き物の本能としては正しいが、理性としてはまったく正しくないのだというのに。

何処の世界も似たようなものだった。
勝手に身内で滅ぼし合い、こちらが攻めてみれば動揺して自壊していく。
その内、異獣の中で一つの結論が生まれた。

――人間はプライドが高いだけの生き物である、と。

果たして、この世界にもそれは適用されるのか。
この点に関してのみ、異獣は今回の出来事に淡い期待を抱いていた。

四世界が繋がっているという希少なケースによって、何か劇的な変化があるのではないか、と。

しかし、その期待も今では落胆に変わりつつあった。
現状を――森の中や建物の中で、二つの勢力が争っている様を見ればすぐに解る。



8: ◆BYUt189CYA :2007/10/12(金) 21:22:59.96 ID:jpces/WK0
これでもマシな方だった。
当初など、四つの組織が入り乱れていた程なのだから。
それに比べれば、今の状態は決して悪いとは言えない。

しかし、その過程があまりにも愚か過ぎた。


ル(i|゚ ー゚ノリ「……ふむ」

青髪の女は巨大な扉の前に立っていた。
この扉の先には、彼女達が目的とする世界交差装置が在るはず。
それを作動させれば、この世界は『詰み』だ。

ル(i|゚ ー゚ノリ「存外つまらんものだな」

此度の戦いを一言で言うならば、それである。


とはいえ、土台は元から出来ていた。

機械世界という、異獣に多大な敵対心と経験を持つ世界。
英雄世界という、英雄という強大な闘争力を持つ世界
魔法世界という、魔力を利用した高度な技術力を持つ世界。

そして、滅びという未来を完全消去された不滅の世界。



10: ◆BYUt189CYA :2007/10/12(金) 21:25:27.94 ID:jpces/WK0
この四世界を繋げようとしている者がいると聞いた時、彼女達は喜びを隠せなかった。

何せ、いくつもの問題が一気に解決したようなものだったからだ。

不滅世界の秩序は、滅びを全て弾く非常に特殊なものである。
滅びの要因である異獣では、絶対に通ることの出来ない壁。
それを破壊してくれる人物がいると聞いた時、流石に神の存在を疑ったものだ。

一応、異獣側にも解決口はあった。
それが青髪の女であり、赤髪の男の存在ある。
しかし非常に面倒な手順を踏まなければならず、どうしようかと悩んでいた時、渡辺の存在を知ったのだった。

ル(i|゚ ー゚ノリ「最初は順調だったのだがな。
       まぁ、これも人間に頼ろうとした罰なのかもしれん」

結果的にこうして直接手を下さなければならなくなった事実に、青髪の女は溜息を吐く。
しかしすぐに気を取り直し、目の前にある巨大な扉を押して開いた。

重い音。

そして奥から、神々しいまでの白い光が差し込んできた。

ル(i|゚ ー゚ノリ「ほぅ」

白い床、白い壁、白い天井。
体育館ほどの広さを持つその部屋の最奥に、機械の群がある。
周囲には大小様々なカプセルが並び、その中に紫の色を放つルイルが見えた。



12: ◆BYUt189CYA :2007/10/12(金) 21:28:09.53 ID:jpces/WK0
「――来ましたね」

声に振り向けば、

( <●><●>)「貴女がここに来るのは解っていました」

と、そんな予言めいたことを言う黒衣姿の男――ワカッテマスがいる。
その隣には、決して友好的とは言えない笑みを浮かべる男が立っていた。

( ̄ー ̄)「貴女が……異獣ですか」

ル(i|゚ ー゚ノリ「秩序を統べる者に、この世界を統べる者か。
       迎えとしてはこれ以上の適任者もおるまい」

( <●><●>)「迎え? 迎撃の勘違いですか?」

ル(i|゚ ー゚ノリ「どちらにせよ、私にとっては同じようなものだよ。
      紅茶を御馳走されようが攻撃されようが、な」

やはり余裕の笑みを浮かべて言う女。
クン三兄弟、英雄神を突破してきた実力は決して嘘ではないのだ。

ル(i|゚ ー゚ノリ「さて、ゆるりとしたいところなのだが、こちらも少々時間が押していてね。
      貴様らには早々に御退場を願いたい」

( <●><●>)「何を馬鹿なことを」



13: ◆BYUt189CYA :2007/10/12(金) 21:29:52.21 ID:jpces/WK0
両腕が動く。
その先にはブラックホールのような黒い穴。

( <●><●>)「貴女はここで消えるんですよ」

ル(i|゚ ー゚ノリ「やれやれ……そういう類の台詞は聞き飽きたのだが」

( <●><●>)「ならば、これで最後にしましょう」

腕をかざした瞬間、青髪の女の下半身を闇が包み込んだ。
ブーン達を都市ニューソクへ移動させた、あの穴だ。

( <●><●>)「本来の使い方は空間転移ですが、これを途中で閉じれば――」

直後、青髪の女の身体が切断された。
下半身は穴の中へと封じられ、残った上半身が衝撃で吹き飛んだのだ。

( ̄ー ̄)「断頭台……いや、断胴台ですか。 相変わらず容赦がない」

( <●><●>)「ここまで彼女を通してしまったのは、その容赦が英雄達に残っていたのが理由です。
        侵入者は即刻排除が望ましい」

ル(i|゚ ー゚ノリ「確かに」

(; ̄ー ̄)「!?」

( <●><●>)「……どうやって」



16: ◆BYUt189CYA :2007/10/12(金) 21:32:38.65 ID:jpces/WK0
ル(i|゚ ー゚ノリ「なに、別に特別なことではない。
      貴様が今切断したのは、身代わりというヤツでね」

視線の先、甲高い音を立てて落ちる銀閃。
それは白い刀の束であった。
つまり黒衣の男が切断したと思っていたのは、いわば刀で作られた人型だったのだ。

ル(i|゚ ー゚ノリ「今度はこちらの番でよろしいかな?」

問答無用。
答えを聞く前に、女の周囲に変化が起きる。
白い床から、まるで植物のように刀が生えてきたのだ。

( ̄ー ̄)「あれは――」

( <●><●>)「下がってください。
         貴方が傍にいると、迎撃に無駄が出ます」

ル(i|゚ ー゚ノリ「良い判断だな」

続々と生み出される白い刃。

数にして二十余り。

その不気味な光景は、さながら刃の葦群であった。



19: ◆BYUt189CYA :2007/10/12(金) 21:34:30.46 ID:jpces/WK0
ル(i|゚ ー゚ノリ「参る」

放たれる。
白色の閃光が煌き、その切っ先を一斉に黒衣の男へと向けたのだ。

音もなく発射された白色の刀の群が、一斉に殺到し

( <●><●>)「ッ――!!」

黒色に染められた。

振られた腕に呼応するかのように穴が開き、刀が飛び込んでいく。

作成された穴の数は刃と同じく二十余り。
その全てが、刀を飲み込んで消滅していった。

ル(i|゚ ー゚ノリ「ふむ……やはり数ではそちらに分があるようだな。
      何せ秩序がある限り、貴様は無限の魔力を得ることが出来るのだから」

( <●><●>)「貴女も似たようなものでしょう」

ル(i|゚ ー゚ノリ「似てはいるが絶対的に異なる。
      貴様は無限から得られるが、私の場合は蓄えられた膨大な有限であるからな」

貯えがあるということは、限りがあるということだ。

それは、気の遠くなるような時間を掛けて得た貯蓄である。
もはや常人からすれば無限に等しい量だった。



22: ◆BYUt189CYA :2007/10/12(金) 21:36:44.74 ID:jpces/WK0
しかし有限は有限。
無限に適うことはない。

ル(i|゚ ー゚ノリ「貯蓄魔力の使用権限を与えられてはいるが、無限と根競べする意味はないか。
      ならば比べるべきは数ではなく、最大出力になるだろう」

言葉と同時、今度は一振りの刀が出現する。
見た目は今までのものと大差ないが、籠められた力は膨大だった。

( <●><●>)「ならば」

両腕を突き出すと同時、捻られた空間を穿つように一際大きな闇が生まれる。

それは穴ではなく別の形へと変貌し、無明の球体を作り上げた。

「「行け――!」」

両者の構えた武装が放られる。
直線の軌道を描き、そのまま真正面から激突した。

轟音。

互いの最大出力を競うための一撃が、ただそれだけのために牙を剥く。

(; ̄ー ̄)「っ……!!」

その衝撃たるや爆撃そのもの。
熱や破片はないが、生みだされた暴風は密閉空間である最上階に乱反射し
行き場を失った衝撃が、場にいるモノ全てに襲い掛かることとなる。



25: ◆BYUt189CYA :2007/10/12(金) 21:39:22.41 ID:jpces/WK0
(; ̄ー ̄)「御願いですから、世界交差装置には傷を入れないでくださいよ……!」

( <●><●>)「もちろんです」

黒衣の男の声は余裕だった。
生まれた衝撃を機械に当たらぬよう、巧みに操作する。

ル(i|゚ ー゚ノリ「成程……最大出力を放っておきながら尚も余剰があるか」

( <●><●>)「無限、と言ったのは貴女ですよ。
        力が無限ならば、一度に作ることが出来る力の数も無限なのが道理。
        貴女が如何に強力であろうとも、私に勝つことはないのです」

有限が無限に敵うわけがない。
唯一の勝てる見込みであった最大出力も、無限の一言であっさりと敗れ去る。

これは、曲げようのない事実だった。

青髪の女の力では、ワカッテマスを倒すことが出来ない。
それを一番理解しているのは、力比べをした張本人である女だけで

ル(i|゚ ー゚ノリ「しかし困ったな……これでは私に勝機など無いではないか」

と、彼女はあっさりと負けを認めた。



27: ◆BYUt189CYA :2007/10/12(金) 21:42:11.02 ID:jpces/WK0
( <●><●>)「では、諦めたらどうでしょうか?」

ル(i|゚ ー゚ノリ「戯言を……勝てぬのならば、勝てるようにすれば良いだけのことだよ」

その時だった。

( <●><●>)「――!」

女の声を合図としたかのように、白い壁が激音を立てて破壊される。
破片が内側に向かって爆砕したことから、つまり外側からの――

メ(リ゚ ー゚ノリ「おぉーっす」

白煙から身を出したのは赤髪の男、キリバだった。
機械腕からの放熱で景色を歪めつつ、のんびりとした口調と歩調で参上する。

室内の熱と煙が空いた穴へと吸い込まれる中、青髪の女が呆れるように手を腰へとやった。

ル(i|゚ ー゚ノリ「少し遅いぞ、兄上」

メ(リ゚ ー゚ノリ「これくらい大目に見てくれよ、姉貴。
      こっちは一仕事終えてきたばっかなんだぜ?」

その様は双子以外に他ならない。
ただ髪の色と型が異なるだけの二人は、性を別としながらも同じ顔だった。



29: ◆BYUt189CYA :2007/10/12(金) 21:44:51.63 ID:jpces/WK0
そしてもう一つ、気配が追加される。
大きな扉が控えめな音を立てて開いたのだ。

从ξ゚ -゚ノリ「…………」

滑り込むように入って来たのは、ダイオードを殺した銀髪の女。
右手に持った大鎌を身体全体で抱き締め、そして少し不安げな表情で二人の男女を見据えた。

メ(リ゚ ー゚ノリ「おう、お前も来たか――ってか、俺より遅いってどゆこと?」

从ξ゚ -゚ノリ「…………」

メ(リ;゚ ー゚ノリ「……は!? 邪魔だったからダイオードを殺してきたぁ!?
       おま、勝手にっつか下手に向こうの戦力を削るなよ!」

从ξ゚ -゚ノリ「…………」

メ(リ;゚ ー゚ノリ「いや、確かに四世界側の戦力は削ってねぇけど!
       だからってダイオードを殺すのはちょっと頂けねぇぞ!」

ル(i|゚ ー゚ノリ「ふむ……まぁ、そうまで怒るな兄上。
      逆を言えば、あのダイオードよりも強いという証明が出来たようなものじゃないか。
      この後のことを考えれば、私はある意味で安心出来るよ」

メ(リ#゚ ー゚ノリ「姉貴は甘ぇ! ぜってー甘ぇ!
       ダイオードの野郎に引導を渡すのは、生前世話になった俺達って言ってたろ!?」

ル(i|゚ ー゚ノリ「まだ生前の事を引き摺っているのか兄上は……それに女なのだから『野郎』ではないだろう」

メ(リ#゚ ー゚ノリ「いちいち揚げ足とんなっつーの!!」



32: ◆BYUt189CYA :2007/10/12(金) 21:47:15.36 ID:jpces/WK0
一言で言うならば異常な光景だった。

あの異獣が、人間のような格好で、人間のように怒り、笑い、話し合っている。
異獣の何たるかを多少ながらも知っているワカッテマスは、その光景に背筋が冷えるのを自覚した。

(; ̄ー ̄)「あれが……異獣なのですか?」

一方、イクヨリは拍子抜けしたような声を出す。
ただの人間であるが故に、あの異常さを感じ取れないのだろう。

ル(i|゚ ー゚ノリ「さて」

折り合いがついたのか、青髪の女がこちらを見る。

ル(i|゚ ー゚ノリ「ともあれ、そろそろ我々の目的を果たさなければな」

メ(リ゚ ー゚ノリ「うーっす」

从ξ゚ -゚ノリ「…………」

三対六眼が鋭くなった。
瞬間、周囲の景色が歪曲したかと錯覚を受ける。
処刑直前――いや、今まさに刃が額に落ちてきているような絶望感。
ワカッテマスは、その込み上げる吐き気と殺気を何とか振り払い

( <●><●>)「二つほど聞かせて欲しいことがあるのですが?」

と、場違いのようであり、そうでもない疑問を発した。



36: ◆BYUt189CYA :2007/10/12(金) 21:49:07.93 ID:jpces/WK0
ル(i|゚ ー゚ノリ「……ふむ、確かに納得出来ない部分もあるだろう。
      同じ死ならば、納得してからの方が安らかに逝けるかもしれん」

メ(リ゚ ー゚ノリ「長話なら俺ァ寝るぞ」

ル(i|゚ ー゚ノリ「すぐ終わるさ。 質問の如何によってはな」

良い、と許可を視線で送ってくる青髪の女。
微かに俯いたワカッテマスは、その爛々と輝く瞳を異獣へと向ける。

( <●><●>)「まず一つは貴女の名前です」

ル(i|゚ ー゚ノリ「成程、確かに名を知らずに会話するのも面倒か。
      私の名は……そうだな、『ミリア』とでも呼んでくれ。
      かつての名は憶えているのだが、あまり良い思い出がなくてな」

( <●><●>)「解りました」

では二つ目、と前置きし

( <●><●>)「……何故、今になって貴女達が?」

ル(i|゚ ー゚ノリ「時が来たからだ」

( <●><●>)「時とは?」

ル(i|゚ ー゚ノリ「貴様らも知っているとは思うが、当初から我々異獣はこの世界に踏み込んでいた。
      その理由から話してやろうか」



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