( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

7: ◆BYUt189CYA :2007/10/13(土) 20:40:43.49 ID:P3TmrJ1n0
活動グループ別現状一覧

( ^ω^) 川 ゚ -゚) ( ・∀・) (,,゚Д゚) (*゚ー゚) ミ,,"Д゚彡 ( ´_ゝ`) (´<_` )
(`・ω・´) <_プー゚)フ (#゚;;-゚) [゚д゚] ( ゚д゚ ) ノハ#゚  ゚) 
从・∀・ノ!リ ( ><) (*‘ω‘ *) |゚ノ ^∀^) lw´‐ _‐ノv ( ´∀`)
('A`) (´・ω・`) ( ゚∀゚) ('、`*川 从'ー'从 川 -川 <ヽ`∀´>
所属:四世界
位置:オーストラリア・世界政府本部
状況:戦闘中

( ^Д^) (゜3゜)
,(・)(・), ┗(^o^ )┓ \(^o^)/ |  ^o^ |
所属:世界運営政府
位置:オーストラリア・世界政府本部
状況:崩壊

( <●><●>) |(●),  、(●)、|
所属:秩序守護者
位置:???
状況:???

ル(i|゚ ー゚ノリ メ(リ゚ ー゚ノリ 从ξ゚ -゚ノリ 〈/i(iφ-゚ノii
所属:異獣
位置:オーストラリア・世界政府本部
状況:世界交差



12: ◆BYUt189CYA :2007/10/13(土) 20:43:26.78 ID:P3TmrJ1n0
第四十一話 『朽ちる魂、志半ばで』

室内に明かりは無かった。

既に戦いが終わり、敗者が身を倒しているだけの元戦場である。
勝者は既に先へと進み、残るは血と動かない身体のみ。


そこに、新たな影が入ってくる。

重く巨大な扉を押し開き、倒れる音と一緒に何者かが入り込んだのだ。

,(・)(・),「あイテテテ……」

タマネギ。
いや、英雄神――本来の名をbR『シャーミン』といった。
ある平凡な世界を、英雄世界へと作り変えた張本人かつ立役者である。

英雄の神を名乗り、そして自身も英雄以上の強さを身に付けていた。

その彼が、身体中に傷を負って現れる。



15: ◆BYUt189CYA :2007/10/13(土) 20:45:08.72 ID:P3TmrJ1n0
,(・)(・),「いやぁ、やられちゃったナリだす……」

声には余裕が満ち溢れているが、微かに震えていた。

,(・)(・),「で、誰かいる……じゃなくて、生きてるナリだすかー?」

「その御声は……英雄神様ですか?」

応じるように声が来る。
しかし、ここからでは暗闇のため姿を確認することは出来ない。

「生きている、と言えば生きてますね……身体は既に死んでますが」

「ジュカイはまだマシです。
 私など、右足がコマ切りにされたのですよ」

「それは大変ですね」

,(・)(・),「……君らには焦燥感ってのがないナリだすか?」

ともかく、恐ろしいほどの生存執念である。
ミリアからの攻撃を受けた英雄神は、それがどれだけ凄まじいことかを理解していた。

命あることが既に奇跡で、未だそれを保てること自体がありえないことだ、と。



20: ◆BYUt189CYA :2007/10/13(土) 20:47:37.07 ID:P3TmrJ1n0
,(・)(・),「思えば、最初から君らは別格ナリでしたなぁ」

過去のことだ。
まだ英雄の数が、それほど多くなかった時代。

当時、英雄という存在は仙人に等しいとされてきた。
一般の人間から生まれた子供がなれるべくもなく、まさに選ばれた存在だと。

実際はそうではない。
既に世界には、英雄の遺伝子が浸透していたのだ。

が、英雄=仙人という認識が、英雄としての才能の開花を邪魔していたのだ。

そこで英雄神は、英雄という存在を一般に近付けるために弟子をとった。
普通の人間でも努力次第で英雄となれるのだ、と民衆に証明して見せるためである。
そうしてある村から、大変珍しいと話題になったばかりの三つ子が選ばれることとなった。

ただ、それを英雄神は軽く見ていた。

どうせ一般に証明して見せるだけの、簡単な儀式のようなものだ、と。
もし英雄としての才能が無くとも適度に育て上げ、英雄らしく見せられればそれで良い、と。

が、幸か不幸か、英雄神の目論見は容易く打ち破られることとなる。

まだ幼かった三兄弟は英雄神を一目見て、そして口を揃え

――貴方は何なのですか?

と、未だ誰も疑ったことのなかった英雄神の存在を疑ったのだ。



23: ◆BYUt189CYA :2007/10/13(土) 20:50:21.35 ID:P3TmrJ1n0
,(・)(・),「……あん時はホントぶったまげたナリだす、いやマジで」

「いえいえ……ただの偶然ですよ」

,(・)(・),「はは、偶然ならここまで強くなれんナリだすよ。
     君ら本来なら、普通に『神』の称号を与えても良かったんナリだすから」

ジュカイは『剣帝』、オワタは『槍王』、ブームは『狙帝』の業名を授かっていた。
士<師<王<帝<神というランクから見れば、相当の実力者であることが解る。

しかし英雄神は、クン三兄弟ならば更に上の『神』でも構わないと言ったことがあった。
ならば何故、この三兄弟が帝や王のランクにされているのかといえば

,(・)(・),「……そう、君らはキッパリと断ったんナリだすな。
     『上を目指せねば何を目標にして良いか解らなくなる、だから階位を下げてくれ』って。
     いやぁ、あれはあれで可愛かったナリだすなぁ……ははは」

「それを笑い事にしますか貴方は。
 しかし……今でも同じ思いですよ」

「私もオワタに同意します……が、悔しいですね」



27: ◆BYUt189CYA :2007/10/13(土) 20:52:22.81 ID:P3TmrJ1n0
,(・)(・),「何がナリだすか?」

「せっかく、あの異獣という我々を凌駕する強敵と出会えたのですが
 ……このように、情けなく骸を晒す運命のようでして」

「奇跡的に生き残れたとしても……もう、二度と満足には戦えないでしょうね」

「ジュカイ……まだ両腕が辛うじて残っている貴方が言うべきではないかと」

とまぁ、とりあえず彼らの闘争心は失われていなかったようだ。
一番危惧していたことが起きていない事実に、英雄神は内心で安堵する。

,(・)(・),「んじゃあ、五体満足で無事に生き残れたら嬉しいナリだすか……?」

「無論――ですが」

,(・)(・),「解ったナリだす」

「「?」」

,(・)(・),「おいどんが、何とかしてあげるナリだす」

それは意外な言葉だった。
しかし、すぐに彼のやろうとしていることを察した三兄弟は

「お止め下さい。
 私達を助けるということは、貴方が――」

,(・)(・),「……おいどんはもうすぐ消えちゃうナリだす。
    最上階の扉が突破された今、世界交差が行われるのは時間の問題ナリだす」



31: ◆BYUt189CYA :2007/10/13(土) 20:54:20.63 ID:P3TmrJ1n0
「「…………」」

沈黙。
絶対的な自信を持っていた三兄弟は、己の不甲斐無さを噛み締めているのだろう。
あれだけ問題ないと言い張ったくせに今の様は何だ、と。

,(・)(・),「あの時は言えなかったけど、今こそ言うナリだす」

それは消えぬ内に伝えておかなければならない言葉。

,(・)(・),「――異獣を、倒してほしいナリだす」

「それは……貴方が果たすべきでは、ないのでしょうか?」

,(・)(・),「所詮おいどんは立役者ナリだす。
     倒す役は、此度の戦いで生き残った者達ナリだす。
     そしてそれは君らも例外じゃないナリだす」

「……ですが、私達が忠誠を誓うのは貴方だけです」

,(・)(・),「もう大義だとか使命だとか、そういう仰々しいもんで戦う必要はないナリだすよ」

「どういう――」

,(・)(・),「異獣が出てきた今……戦わなければ生き残ることが出来ないナリだす。
     生きたければ、異獣に勝つしかないナリだす」



32: ◆BYUt189CYA :2007/10/13(土) 20:56:07.02 ID:P3TmrJ1n0
,(・)(・),「確かに大層な理由――大義や使命、忠誠などの力は凄まじいナリだすよ。
    でも、最終的に勝負を決するのは『生存本能』だとおいどんは思うナリだす。
    『生きていたい』という願望こそが、何よりも強い力を生むナリだす」

「つまり貴方は、私達に生き恥を晒してまで生を望め、と?」

,(・)(・),「どういう受け取り方をされても構わんナリだす。
    おいどんは最初から異獣の滅びを目的としていたナリ――だす――」

ノイズが入る。
何かが弾けるような音と同時、英雄神の身体が僅かに霞んだ。

,(・)(・),「っと、もう時間がないナリだす。
    強行的に事を運ぶけど、文句言うなら生き残ってからにしてほしいナリだす」

「……それが」

,(・)(・),「うぉー、おいどんの秘められし力よぉー……お?」

「それが貴方の願いなのですね」

問われ、英雄神は少しだけ黙り込む。
何度目かの呼吸を経て

,(・)(・),「君らがおいどんの願いを叶えてくれるのならば、それ以上の喜びはないナリだすよ」



38: ◆BYUt189CYA :2007/10/13(土) 20:57:44.36 ID:P3TmrJ1n0
強烈な発光。

英雄神を中心として、眩い光が部屋を照らす。
壁や天井に反射した光は粒子となり、優しく降り注いだ。

,(・)(・),「んじゃ――さよ――なら――」

英雄の神が消える。
小さな身体に詰め込まれた膨大な力が、雨のように降り注ぐ。

,(・) 「――ナリ――だ――す――」

一陣の風。

「「――!!」」

後には、何も残ることはなかった。

神とまで呼ばれ、崇められた英雄――シャーミン。
その最期を見届けた者の数は、たったの三。

しかし、悪くはない。

その三人こそが、彼が最も信頼していた者達なのだから。



44: ◆BYUt189CYA :2007/10/13(土) 20:59:46.85 ID:P3TmrJ1n0
衝撃と声は同時で、そして何よりも突然であった。

从'ー'从「ハインちゃん!」

从;゚∀从「ほぇあ? うひゃああああ!?」

頑丈な扉を何とか破壊し、牢の中へと一目散に駆け込んだ渡辺は
暗い室内にて呆けていたハインリッヒにタックルで飛び付く。

从;゚∀从「え、えと? 渡辺さん? あれ? 何でここに?」

从'ー'从「今度こそハインちゃんだ!
     良かった、無事だったんだねー」

頭に『?』をたくさん浮かべるハインを余所に、渡辺はもう離さないと抱き締める。

从;゚∀从(あっれー、僕、この人には嫌われてると思ってたのになぁ……)

何せ仲間になった後でも避けられていたのだ。
そう感じていたのはハインだけだったかもしれないのだが、今の彼女にそれを判断する材料はない。
豹変したように見える渡辺に慌てるばかりである。

从;゚∀从「……っていうか、『今度こそ』って?」

从'ー'从「ううん、気にしないでいいよ」



47: ◆BYUt189CYA :2007/10/13(土) 21:01:24.79 ID:P3TmrJ1n0
――ここから回想――

ハインリッヒが捕らえられている場所とは、少し離れた牢。
鍵を無理矢理にこじ開け、渡辺が牢の中に突入する。

从'ー'从「ハインちゃん!」

「う、うおお! 何じゃあ!?」
「ウヒャホーイ! 助けキター!!」
「こんな男くせぇ場所からはすたこらさっさだぜぃ!」

从'ー'从「…………」

中にいたのはハインリッヒではなく、FCの主力部隊の面々であった。
FC襲撃時、あっさりとクン三兄弟に倒された彼らは世界政府に捕らわれていたわけだが
それを覚えてる者は少なかったりする(色々な意味で)。

「っていうか、渡辺さんじゃないっすか!」
「救世主! 救世主! 女神! 女神!」

从・∀・ノ!リ「何じゃこの騒ぎは……」

「うぉ!? よ、幼女だ!!」

从#・∀・ノ!リ「幼女!? 幼女と言ったか!? よし、ちょっと殺す!!」

キャーオタスケーウタナイデーヤメテーイタイヨーキモチイイヨーア、シンダー

――ここまで回想――



52: ◆BYUt189CYA :2007/10/13(土) 21:03:29.01 ID:P3TmrJ1n0
从'ー'从「……色々あったんだよ」

从;゚∀从「そ、それで返り血とか浴びてるんですか……ナムナム」

从;'ー'从「あ、いや、これは関係ないんだけどね、うん」

何やら初々しい空気を醸し出す二人。
両者の関係上、仕方のない話のかもしれない。

从・∀・ノ!リ「ふむ、おぬしがハインリッヒか」

从;゚∀从「え? ど、とちら様ですか?」

从・∀・ノ!リ「そういえばおぬしは我らを知らんかったな。
      一方的に知られるのも気持ち悪かろう。 どれ、軽く自己紹介でもしておくか」

( ><)「この御方はレイン様なんです!
     そして僕はビロードなんです! こっちがチン=ポッポちゃんなんです!
     魔法世界からやって来たんです!」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽー」

割り込んできたビロードが先に紹介を済ませてしまう。
邪魔をされたレインは、もちろん頬を膨らませて抗議するが

(;><)「レイン様とハインさんと渡辺さんが並ぶと見難いんです!」

と、ワケの解らない言い訳をするビロードを、レインは脳天直撃チョップで沈める。



56: ◆BYUt189CYA :2007/10/13(土) 21:05:24.17 ID:P3TmrJ1n0
泣きながらチンに慰められるのを傍目に、

从;゚∀从「えと、名前はおkですけど……事情がよく解りませんね。
      何がどうなってるんですか?」

从・∀・ノ!リ「と言っておるが?」

从'ー'从「貞子、産業で」

川 -川「FC襲撃。
     ハインリッヒ様救出。
     不穏な空気」

从;゚∀从「お、おぉ……何やらよく解りませんが、救出の部分は何となく理解しました。
      つまり皆さんが助けに来てくれたんですね?」

从'ー'从「そういうこと。
     で、ハインちゃんは変なことされなかった? すぐに動ける?」

从 ゚∀从「あ、はい! 大丈夫ですこの通り!
      何かちょっと力が抜けてる感じがしますが、問題ないですよ!」

声の調子からして無理はしていないらしい。
すぐにでも走れそうなほど、体力も余っているようだ。

現に今、恐ろしい速度で仲良くなったビロード達と飛び跳ねている。



58: ◆BYUt189CYA :2007/10/13(土) 21:07:34.20 ID:P3TmrJ1n0
从・∀・ノ!リ「しかし何もされなかった、というのも微妙に引っ掛かるのぅ。
      世界政府はハインリッヒを人質としか見ておらんかったのか?」

从'ー'从「……それ以上の価値を見極められなかったみたいだね」

从 ゚∀从「え?」

从'ー'从「ハインちゃん」

从;゚∀从「は、はい」

从'ー'从「貴女は、まだ完全じゃない」

渡辺から放たれたのは意外な言葉だった。
頭に『?』を浮かべるハインリッヒは、恐る恐ると言った様子で

从;゚∀从「完全、ですか?
      それってまさか僕が僕になる前の……?」

一年以上前にもなる戦いの最終局面にて、ハインリッヒは産声を上げた。

『最強』の名を刻まれた、在るはずのなかったウェポンを扱う人造人間。

当事者でありながら話でしか聞いていないという不思議な感覚の中、ハインリッヒはそれを思い浮かべた。



63: ◆BYUt189CYA :2007/10/13(土) 21:09:20.62 ID:P3TmrJ1n0
しかし、渡辺は首を振る。

从'ー'从「ううん、違うよ。
     15th−Wは貴女自身に刻まれた力だから」

从;゚∀从「え? ってことは……どゆことですか?
      僕はあの時の騒動で――」

从'ー'从「うん、でも対異獣用として設定された能力は、まだ発現していないの。
     一年半前の騒動での力は、いわゆる単独戦闘用として設定された非常時の能力だよ」

単独戦闘用。
非常時。
それはつまり――

从'ー'从「そう、貴女には『常時使用すべき力』が存在するの。
     15th−Wでもなく、他のウェポンでもなく、貴女専用の貴女が使うべき力が」

从;゚∀从「ど、どういう……それに何故、貴女が知ってるんですか……?」

从'ー'从「だって、私も貴女を開発した者の一人だもの。
     不滅世界側の研究者として、そして裏では機械世界側の科学者として。
     まぁ、こっち側ではデータを読み取るので精一杯だったけど」

从;゚∀从「僕のデータを……?」

从'ー'从「もちろん機械世界の護国院へと送るために、ね」



66: ◆BYUt189CYA :2007/10/13(土) 21:10:54.36 ID:P3TmrJ1n0
从;゚∀从「ごこくいん?」

从・∀・ノ!リ「護国院といえば、機械世界のアギルト連合軍の中枢か。
      呼んで字の如く『国を護る機関』。
      かつて軍神や風鷲、ロマネスクやニダー、ヘリカル……そしておぬしも所属していた組織じゃな」

(;><)(あ、あぁ! だから貴女達が並ぶと大変なことになるんです! 特に左側が! 左!!)

ビロードの悲痛な声が届くことはない。
彼を放る三人は、ハインリッヒの真実へと踏み入れようとしていた。
しかし

从;゚∀从「う、うわぁ!?」

爆弾が落ちたかと錯覚するほどの大震動が、彼女らを襲った。
ぱらぱら、と天井から埃が落ち、壁が軋みを挙げるのを聞く。

从'ー'从「これ、は――」

从・∀・ノ!リ「む……!!」

思わず膝を折る。
姿勢を低くしても尚、身体を安定出来ない程の強い振動だ。



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