( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

50: ◆BYUt189CYA :2007/10/20(土) 20:41:24.12 ID:vB90+Vhe0
lw´‐ _‐ノv「……っていうか誰?」

( ・∀・)「FCの都市観察課に所属していた私の部下だよ。
     世界政府本部襲撃時はこの古城に待機してもらって、情報を集めさせていた。
     異獣が現れてからたった数日で、集めた情報を報告出来るまでにまとめたのは彼の手腕さ」

自信満々に言うからには、かなり信頼しているのだろう。
ポリフェノールは笑顔で頷き、口を開く。

|;;;|:: (へ) ,(へ)|シ「まず知っているとは思いますが、ある時刻を境に空が赤く染まっています。
           詳しいことは解りません……ですが一つ確認出来たのは、昼も夜も色が変わることがないという事実です」

(´・ω・`)「その『ある時刻』……って、やっぱり世界交差?」

从・∀・ノ!リ「だろうな。
      そして疑問は、やはり赤い空に尽きる」

レインはニダー達を見た。
元々世界交差を企んでいた組織の一員であるが故に、理由を求めたのだろう。
しかし、彼は首を振る。

<ヽ`∀´>「……正直言ってウリは知らんニダ。
      確かに世界交差の概要は渡辺本人から聞いていたが、空が赤くなるなんてことは言ってなかったニダ」

*(‘‘)*「私もニダーと同じ意見です。
    ただ、彼女が本当のことを言っていたのだとしたら、の話ですがね」

( ・∀・)「軍神君は? 何か知らないかね?」

(#゚;;-゚)「赤い空、か。 そんな記述をどっかで見た――ような気ィするなぁ」



57: ◆BYUt189CYA :2007/10/20(土) 20:43:44.85 ID:vB90+Vhe0
うーん、と腕を組んで考え込む軍神。
ニダー達は心当たりがないのか、視線を合わせて首をかしげた。

(#゚;;-゚)「……あー、そやそや。 思い出したわ」

( ゚∀゚)「お?」

(#゚;;-゚)「確かに、ウチがまだ機械世界におった時に見たことある。
    二百年以上も続いとった異獣との戦いの情報を載せた資料を、ちらーっとな。
    そこに『赤い空』っていう記述が確かにあったわ」

(*゚ー゚)「それはどういう……?」

(#゚;;-゚)「戦いが始まって間もない――いや、それこそ初期中の初期やったな。
    異獣が姿を見せ始めた頃、一時的に空が真っ赤に染まったって書いてあったわ」

( ゚д゚ )「やはり異獣が現れる前兆のようなものなのか」

(#゚;;-゚)「前兆っていうか初期現象やね。
    空が赤くなったから異獣が来たんやなくて、異獣が来たから空が赤くなった感じ」

lw´‐ _‐ノv「……つまり」

川 ゚ -゚)「やはり、もうこの世界に異獣が現れているということか」

言葉に、全員が息を呑んだ。
それぞれが顔を見合せ、そしてポリフェノールへと視線が集中する。

|;;;|:: (へ) ,(へ)|シ「なら、次は世界の現状の報告へ参りましょうか」



61: ◆BYUt189CYA :2007/10/20(土) 20:45:20.82 ID:vB90+Vhe0
かち、という音と共に画面が切り替わる。
表示されたのは世界地図だ。
次々と画像を出しつつ、ポリフェノールは説明を開始する。

|;;;|:: (へ) ,(へ)|シ「これを御覧下さい」

一際大きく映し出されたのは、どこかの都市のような光景だった。
しかし大きな違和感がある。

(`・ω・´)「何だ、周囲にある真っ白なモノは……? 雪でも積もっているのか?」

|;;;|:: (へ) ,(へ)|シ「その全てが異獣ですよ」

(;´_ゝ`)「なっ――」

<_;プー゚)フ「うっそぉぉぉぉぉ!!?」

(;><)「気持ち悪いんです!!」

幾名かが驚きの表情で立ち上がった。

無理もない。
都市の大きさから考えれば、囲っている異獣の数など想像も出来ないほど多いということが解る。

今更ながら、彼らは敵の規模の大きさに驚いていた。



64: ◆BYUt189CYA :2007/10/20(土) 20:46:55.40 ID:vB90+Vhe0
|;;;|:: (へ) ,(へ)|シ「この都市だけではありません。
            世界各国の都市や街の周囲に、このような異獣の群れが確認されています。
            ただ不可解なのは、囲うだけでほとんど何処も襲われていないという点ですね」

ノハ#゚  ゚)「……見張ってるだけ?」

|;;;|:: (へ) ,(へ)|シ「という見方が有力ですな。
            しかし、ほとんどの場所が襲われていないと言いましたが
            もちろん襲撃されている場所も存在します」

それは、と言いながら新たな画像を表示。
煙と炎を撒き散らす施設だ。

|;;;|:: (へ) ,(へ)|シ「いわゆる軍事施設ですね。
            襲撃というよりは『内部にいた人間を追い払った』に近いという情報もあります。
            これが何を意味するか解りますか?」

(;^ω^)「抵抗出来ないよう、武力を奪ってるってことかお?」

(´・ω・`)「そして街や都市の人間を外部へ逃がさないよう、囲って見張る。
      このままじゃ物資の流通までストップしちゃうね」

|;;;|:: (へ) ,(へ)|シ「まだ一部の海路と空路、そして地下が使えますが……限界は目に見えているでしょう」



68: ◆BYUt189CYA :2007/10/20(土) 20:48:47.30 ID:vB90+Vhe0
(;><)「でもそうだとしたら、その異獣の目的は何なんですか?
     それだけの数と力があるんなら、すぐにでも世界征服出来ちゃいそうなんです」

あぁそうか、と皆が頷く。
強者が弱者を生かす理由など、利用価値があるからに他ならない。
敢えて生かす理由を挙げるとすれば――

( ゚∀゚)「ワッカンネ」

<_プー゚)フ「んー……あんまり言いたかねーが、手足をもがれてる感じがするぞ。
        抵抗する手段を潰して、後でじっくりゆっくり食われるような、そんな気味悪さだぜ」

从・∀・ノ!リ「我らの世界にある蜘蛛がおってな。
      そいつは、獲物の羽や足を生きたまま食い千切ってから食事に入るという。
      おそらくそれと似たようなものじゃろうな」

( ゚д゚ )「比べるべくもなく桁違いの規模なわけだが。
     どちらにせよ、出来るだけ急がねばならんらしい」

(`・ω・´)「……とは言え、何をどう急げば良いのやら」

( ・∀・)「指標ならあるさ。 ポリフェノール君、例の画像を」

頷いたポリフェノールがPCを操作する。
いくつかのファイルを開き、何やら極秘っぽい画像を画面に表示させた。



72: ◆BYUt189CYA :2007/10/20(土) 20:50:55.81 ID:vB90+Vhe0
(*゚ー゚)「これは――」

('、`*川「ボール?」

ペニサスの呆けた言葉通り、白いボールが茶色の地面に置いてあるような画像だった。
しかし当然、そんなわけもなく

|;;;|:: (へ) ,(へ)|シ「元々は世界政府本部が在った場所を、高度から撮ったモノです」

(;,,゚Д゚)「本部って……まさか、俺達が戦った所か?」

<_;プー゚)フ「これまたうっそぉぉぉぉぉぉ!? 森とかあったじゃん! 何処行った!?」

|;;;|:: (へ) ,(へ)|シ「消えた、としか言いようがないですな。
            詳しい理由は不明なのですが、とにかく言えるのは周囲が荒れ地になっている、と。
            そしてあの白い巨大な円は全て異獣で、中心地は世界政府本部があった位置と一致しています」

(;^ω^)「あれも全部僕らの敵なのかお……」

(;゚д゚ )「他の地域にいる奴らも合わせて、一体どれほどの数がいるんだ……」

( ・∀・)「さて、指標と言ったからにはあの地点が重要でね。
     あそこから超高濃度の魔粒子が検知されている。
     どうやら周囲の異獣は、あの中心地を守ろうとして固まっているらしい」



76: ◆BYUt189CYA :2007/10/20(土) 20:52:29.33 ID:vB90+Vhe0
単純に考えて『守る』ということは、そこを突かれるとまずいということだ。

lw´‐ _‐ノv「……世界交差が発動した地点。
      もしかしたら、そこが異獣達にとって扉的な意味を持っているのかもしれない」

(;^ω^)「ってことは、そのドアを閉じれば――」

世界に異獣が溢れている現状、その全てを相手にて勝つのは不可能。
つまり、この事態を打開するには

( ゚∀゚)「おいおい、んじゃ簡単じゃね?
     あの化物が守ってるっつー場所に、核ミサイルでも何でもブチ込めばいいじゃねぇか」

(´・ω・`)「まさか君が正論を言うとは」

うへへ、と妙な笑みを浮かべるジョルジュ。
しかしレインが首を振る。

从・∀・ノ!リ「確かに常套手段であるが……異獣という存在が、今までどれだけの世界を渡って来たか知っておるか?
       そんな単純な手段で駄目になるのならば、この世界に来るまでに滅ぼされておるよ」

|;;;|:: (へ) ,(へ)|シ「そういうことですね。 やはり一筋縄ではいかないようで。
            異獣が守っている地点、つまり世界政府本部があった場所には結界のような何かが張られています」

<_;プー゚)フ「結界だぁ? どこのファンタジーだよ」

(`・ω・´)「……コイツは無視していいから先を頼む」



83: ◆BYUt189CYA :2007/10/20(土) 20:54:35.82 ID:vB90+Vhe0
|;;;|:: (へ) ,(へ)|シ「観測した限りでは、超濃密な魔力ドームといったところですか。
            弟者さんの12th−W『ジゴミル』の限界突破を、規格外に強化したイメージで良いでしょう。
            生身はもちろん、並の対魔力装備でも弾かれる以前に消滅してしまうかもしれません」

ノハ#゚  ゚)「その結界を解かない限りは、近付けもしないわけか。
      やはり重要な場所であることは確実だね。
      魔力には魔力だけど……何か手はあるの?」

( ・∀・)「一応考えてはいるが、成功させるのはいくつかの段階を踏まねばならない。
     君達に直接動いてもらう必要がある」

( ゚∀゚)「んで、その後に核ミサイルちゅどーんってか」

( ・∀・)「いや……それはあまり確実とは言えない方法だと思うよ」

(,,゚Д゚)「何故だ?」

<ヽ`∀´>「相手は膨大な魔力を持ち、操れるニダ。
      ミサイルなんかいくらでも無効化可能だと、ここ最近で魔力に触れたアンタ達なら解ると思うニダ」

<_;プー゚)フ「んじゃあ、どうすりゃいいんd――」



川 ゚ -゚)「――直接叩くしかあるまい」



86: ◆BYUt189CYA :2007/10/20(土) 20:56:11.69 ID:vB90+Vhe0
凛とした、騒がしい会議室によく通る声。

『ほぅ』とモララーが吐息する中、クーは静かに皆を見渡す。
その視線を自分に集めたのを確認し、ゆっくりと口を開いた。

川 ゚ -゚)「……状況から解る通り、長期戦及び物量戦に持ち込むのは圧倒的に不利だ。
     ならば、持ち得る全戦力を以って敵の中枢に突撃し、モララーの策とやらで結界を破壊する。
     続いてそのまま迅速に根源を断つのが、出来る限りの正しい戦い方になるだろう」

( ・∀・)「というわけだね」

その声を起因として、会議室が沈黙に包まれた。
が、それも一瞬のことで

(;゚∀゚)「ねーよwwwwwwwww数が違い過ぎるwwwwwww」

<_;プー゚)フ「死にに行くようなもんだろwwwwwwwww」

(;´_ゝ`)「あばばばばばばwwwwwwwwww」

(*‘ω‘ *)「ぽぽぽぽぽぽぽぽ!!」

(;><)「チンちゃんは真似しなくていいんです!」

<ヽ`∀´>「……いつもこんな感じニカ?」

(´<_` )「……悔しいが否定出来ん」



90: ◆BYUt189CYA :2007/10/20(土) 20:58:15.13 ID:vB90+Vhe0
ざわつくもの当然だ。

まず数が違い過ぎる。
そして彼らは二機のEMAが撃墜される様を見ていた。
戦力も数も劣っている現状、この慌てようは当然である。

しかし何人かが、クーの意見に賛同した。

(#゚;;-゚)「うーん、そない言うほど悪くないって思うんやけどなぁ」

ノハ#゚  ゚)「確かに全てを相手にするというのなら、それこそ勝ち目がないと思う。
      でも中枢だけを狙って攻め込むんなら……」

lw´‐ _‐ノv「世界に散った異獣を相手にしなくて済む分、数での不利は軽減される。
      後はこっちの戦力をどこまで高められるか、どういう戦略をとるかで勝てるかも? かも?」

( ・∀・)「確かに、そのやり方が唯一希望が見えるだろうね。
     希望といっても限りなく小さいわけだが。
     他国の軍が封じられつつある現状、戦えるのは私達だけになりそうだしね」

从・∀・ノ!リ「何にせよ、このままジリ貧になるのが一番まずい。
      時間を掛ければ掛けるほど、補給面などの状況が悪くなる一方じゃからな」

|゚ノ ^∀^)「どうせ負けても放置しても世界が終わるんでしょ?
     だったら例え勝率が低くても戦わなくちゃ、死ぬだけじゃない」

(;^ω^)(……女の人の方が強いお)

(;゚д゚ )(……あぁ、少し情けないな)



94: ◆BYUt189CYA :2007/10/20(土) 20:59:59.00 ID:vB90+Vhe0
(´・ω・`)「で、モララーさん。
     敵の中枢を指標として提示したってことは、この作戦でいくつもりだったんでしょう?
     それがベストだと僕も思うんですが……戦力はどうするんですか?」

<_;プー゚)フ「え、マジで最初からこのつもりだったの?」

(`・ω・´)「お前は少し黙ってろ」

( ・∀・)「戦力増強案はある。 これを見たまえ」

指を弾く。
合図として、ポリフェノールがPCコンソールを叩いた。
画面に表示されていた全ての情報が格納され、新たな情報が花火のように連続して開く。

それを見た全員の目が、みるみる内に見開いていった。

(;,,゚Д゚)「これ、は――」

<_;プー゚)フ「おいおいおいおい、マジかよ……!?」

(#゚;;-゚)「へぇ」

それは全戦力を底上げするための具体的なプランであった。
具体的、と言っても複雑なものではない。

( ゚д゚ )「全武装、全装甲に使用される魔力を四倍〜五倍にまで高める……そんなこと出来るのか?」



96: ◆BYUt189CYA :2007/10/20(土) 21:01:27.13 ID:vB90+Vhe0
( ´_ゝ`)「人工魔力だけじゃ量も純度も足りないぞ。
     強化は大賛成だが、どうやって魔力を調達するんだ?」

( ・∀・)「君達は異獣が現れたことにしか目が行っていないようだね。
     その副産物をすっかり忘れている」

(;><)「副産物ですか?」

从・∀・ノ!リ「成程……『純正ルイル』か」

(`・ω・´)「そうか……!
      秩序が破壊されたことにより、この世界の純正ルイルが見つかるようになった。
      それを手に入れれば、全装備強化など容易いというわけか」

(´<_` )「しかし、だとしたらノンビリしてて良いのか? 条件は俺達も異獣も同じだぞ。
     もし奴らに先に奪われでもしたら、それこそ勝ち目なんか無くなる」

( ・∀・)「……非常に勝手な意見ではあるが、それはないと私は思っている」

ノハ#゚  ゚)「うん、私もそう思う」

( ゚∀゚)「じゃあ俺も!」

(*‘ω‘ *)「ぽぽぽ!」

( ゚∀゚)「あ? 何だって?」

从・∀・ノ!リ「聞いたらたぶん泣くだろうから言わん」

(;´・ω・`)(あんな可愛い顔して何を言ったんだろう……)



104: ◆BYUt189CYA :2007/10/20(土) 21:03:53.59 ID:vB90+Vhe0
( ゚д゚ )「ヒート、どういうことだ?」

ノハ#゚  ゚)「上手く言葉に出来ないんだけど、奴らはきっと私達の行動に手を出すことはしない。
      何て言えばいいのかな……多分、待ってるんだと思う」

( ・∀・)「だね。 先ほどの疑問の通り、異獣は力と数を持ちながらも何故か本格的な活動に出ない。
     強者が弱者を食らわない理由など一つ。 利用価値が残っているからだ。
     その価値が無ければ生かしておく道理などなく、とっくの昔にこの世界など破壊されているよ」

ミ,,"Д゚彡「利用……価値、ですか」

<_;プー゚)フ「嫌な響きだな、おい」

( ・∀・)「世界中の軍事施設が制圧されているというのに、我々だけ何もされていない点。
     奴らの狙いは純正ルイルにも関わらず、それを探そうとする動きを見せていない点。
     二点を繋げる理由は、そう多くないはずだ」

む、と唸り声を上げつつ、皆は各々考えを巡らせる。

( ・∀・)「まぁ、単純に考えて――我々が純正ルイルを持って攻めてくるのを待っている、だろうね」

(;^ω^)「待ってる? 何でそんなことを……?」

( ・∀・)「こちらにはEMA二機に搭載された魔法世界の純正ルイルもある。
     いちいち不滅世界の純正ルイルを探し出し、それからこちらを攻めるよりも
     我々がどちらも手に入れて戦いに赴く方が、異獣からすれば正に『鴨が葱を背負ってくる』状態だ」



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