( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

7: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 20:34:24.53 ID:B/Xg8yzC0
【現在の戦況】
□□□□□□□□□□□▲▲▲□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□▲▲▲□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□●●●●●●●□□□□□□□□□□
□□□□□□□□●●●●●●●●●□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□×□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□×××□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□×××××□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□×××××××□□□□□□□□□□
□□□□□□□□××××■××××□□□□□□□□□
□□□□□□□××××■  ■××××□□□□□□□□
□□□□□□××××■  ★  ■××××□□□□□□□
□□□□□□□××××■  ■××××□□□□□□□□
□□□□□□□□××××■××××□□□□□□□□□
□□□□□□□□□×××××××□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□×××××□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□×××□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□×□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

□=荒れ地(1マス約100m)、×=異獣、■=結界、★=中枢、▲=本陣、●=四世界混合軍

本陣:( ・∀・) 从・∀・ノ!リ ( ><) (*‘ω‘ *) [゚д゚] (-@ハ@) |;;;|:: (へ) ,(へ)|シ
北軍:川 ゚ -゚) ( ^ω^) <ヽ`∀´> *(‘‘)*
東軍:(,,゚Д゚) (*゚ー゚) (´・ω・`) ( ゚∀゚)
西軍:ミ,,"Д゚彡 ('A`) ( ´_ゝ`) (´<_` ) ('、`*川
南軍:(#゚;;-゚) ノハ#゚  ゚) ( ゚д゚ )
遊撃:(`・ω・´) <_プー゚)フ |゚ノ ^∀^) lw´‐ _‐ノv



10: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 20:36:20.43 ID:B/Xg8yzC0
第四十六話 『The Last ―― Start』

力の激突は、最前線よりも異獣側から生じた。

「先手はもらった! 撃てぇぇ!!」

隊長格の男の声と同時、銃型のEWを抱えた兵士が飛び出し、向かい来る異獣へ向けて一斉射撃を放ったのだ。

横一直線から放たれる魔力弾は、流星の如く僅かな弧を描いて飛翔。
秒にも満たぬ速度で、こちらに牙を立て大群でやって来る異獣へと殺到した。

地平線を染めていた白色が、一瞬にして魔力光に包まれる。

「お次は近接! ブチかませ!!」

撃ち終えた射撃隊の背を飛び越え、剣や槍を構えた兵士達が疾駆を開始。
横一列に並ぶ彼らは殺気の籠もった目で吼え、出鼻を挫かれた異獣の群れを目指す。

手元の引き金を絞り、その刃に魔力の光を携え、力の限りを尽くして

「――――!!」

崩れかけた異獣の壁へと激突。
多量の鐘を打ち鳴らすような大音が響き、

「「おぉぉぉ……ッ!!」」

押した。



13: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 20:38:24.00 ID:B/Xg8yzC0
彼らが純然たる意志で目指している先は一つ。
背後にあるミラー四機を、四ヶ所の定められた位置――『X地点』まで送り届けることだ。

だから、止まらない。

「うおおおっ!!」

尚も抵抗しようとする獣の頭に刃を突き刺し、そのままの勢いで次の獲物へ。
前の者が退けば次の者が飛び掛かり、攻撃の連鎖は止むことを知らない。

横列突撃の後方からは支援砲射撃が光を噴き、異獣と同時に荒れ地をも削っていく。

対する異獣は牙を剥き、進撃してくる人間の行く手を阻もうと吠えた。
力と数のみで充分だと証明するように、ただ前へと敵意を向ける。

「はッ! コイツら大したことねぇじゃねぇか!」

思った以上に善戦していることに気付いたFC兵が、その口元に笑みを浮かべた。
しかし、隣でリロード作業を行っている魔法世界の女は首を振る。

「……油断は禁物よ」

「とは言っても、これほど脆ければラッキーと言わざるを得ないわけだが。
 もしくは拍子抜け、と言った方が正しいか」



16: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 20:39:42.12 ID:B/Xg8yzC0
理由は攻撃手段にあった。
魔力で強化した銃や砲を持つ四世界側に対し、異獣は牙と爪のみ。
遠距離攻撃を持たぬ敵の群れは、後方から放たれる砲撃によって打ち崩されていく。

「だが――」

押しているのは良い。
士気の向上に直結するし、押せている間は押すべきだ。

だが、そこに納得出来る理由がないことに、漠然とした不安を覚える者は少なくない。

相手は異獣である。
数々の世界を渡り、その全てを食い尽くしてきた化物以上の何か。
全戦全勝であることなど、この世界にいる時点で解りきっている。

そんな『生物としての最強種』と言っても差し支えない連中が、果たして今の状況を許すのだろうか。



21: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 20:41:02.75 ID:B/Xg8yzC0
「おい、アンタ機械世界所属だったよな?
 この状況をどう思う?」

英雄世界の兵に問われ、射撃を一旦止めた男は異獣へと視線を向ける。

「いつも通りだな。
 機械世界で行なっていた異獣との戦闘でも、このような状況はよくあった。
 奴らの強みはその数、そして動物特有の身のこなし。 正面衝突では俺達に分がある。
 しかし――」

「しかし?」

「だからこそ思う。
 これが奴らの本気なのか、と」

男の呟きには、はっきりとした警戒の色が混ざっていた。
雰囲気を感じ取った周囲の兵士らが、その表情を更に険しくする。



24: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 20:42:24.46 ID:B/Xg8yzC0
彼らの目前には敵の本陣。
血のように赤い空の下に在る、血のように赤い半透明のドームがそれだ。

本来ならば、異獣の抵抗は今まで以上のものでなければならない。
しかし、人が獣を力で押している現状を見れば――

「……気持ち悪ィな」

誰かが言い、誰かが頷いた。

「でも今は力の限り進むしかないわ。
 後で巻き返されるにしろ、今の内に有利な状況を作っておかないと」

「難しいことは頭の良い奴に任せるとしますか」

補給隊から渡されたマジックカートリッジホルダーを腰に掛け、兵士達は走り出す。
少しでも敵の数を減らし、結界を破壊するためだ。

「行こう。 眼前の敵を砕いて道を作るのは俺達の役目だ」



27: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 20:43:53.43 ID:B/Xg8yzC0
「世界中に散っている異獣……動き始めました」

緊張した声が響くのは、四世界の戦いを統括する後方の本陣だ。
通信用機械を前に座っているオペレーターの一人が、微かに震えた声を発する。

「動いたのは一部ですが、それでもこの戦場にいる異獣の数よりも多いようです」

( ・∀・)「到着はいつだね?」

「この速度なら一時間程で」

( ・∀・)「……それまでに決着をつけねばなるまいか。
     間に合うと良いのだが」

「間に合わなかった場合は――」

( ・∀・)「今はまだ何とかなっているが、その圧倒的な数に押し潰されるだろうね」

「「……っ」」

その場にいた人間の、息を呑む音。
彼らの不安を感じ取ったモララーは、敢えて笑みを浮かべた。

( ・∀・)「だが、信じよう。 最前線で戦う彼らのことを。
     きっとやってくれるはずだ。 私達はそのサポートを全力でこなす。 いいね?」

諭すような声が、一瞬だけ恐怖に包まれた空間を中和した。
そうとしか思えないほど、本陣の空気が変わったのだ。



31: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 20:45:28.55 ID:B/Xg8yzC0
从・∀・ノ!リ「流石じゃな、モララー」

( ・∀・)「世辞はいい。 そちらの首尾はどうだね?」

从・∀・ノ!リ「余裕がないのぅ。
      これから『龍砲』のチャージに入る。
      正確な時間を予測することは出来ぬが、一時間には間に合うはずじゃ」

( ・∀・)「解った。 タイミングの調整はこちらに任せたまえ。
     結界が破れ、破壊すべきターゲットが判明次第撃つぞ」

从・∀・ノ!リ「うむ」

その時だ。


「――!? 敵群の中に巨大な魔力反応が!」


( ・∀・)「巨大? それは異獣か?」

「種別は……はい、間違いなくタイプ:フェンリル! で、ですがこのサイズは――!」



36: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 20:47:17.93 ID:B/Xg8yzC0
東の戦場。
その変化に対応出来た兵は少なかった。

「うぉぉぉぉ!? 何だありゃ!?」

前方の白い獣の群れの中、いきなり巨大な何かがそびえ立ったのだから無理もない。

「で、でけぇ……!」

戦慄する兵達の視線の先にいるのは、異獣だった。
姿形は白狼そのものであるが、ただ一つ違う点は身体のサイズ。

全高約七〜八メートル。
その巨体が、突如として敵群の中から出現したのだ。
一心不乱に前進していた兵達の表情が、一瞬にして強張り引き攣る。

(;゚∀゚)「うぉー! でっけぇのが来たぞ!!」

(´・ω・`)「ギコさん!」

(,,゚Д゚)「あぁ、ここは俺達の出番らしい――!」



40: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 20:49:02.61 ID:B/Xg8yzC0
装甲車の上で指揮を執っていたギコが、巨大異獣を相手にするため地面に降り立った。
他の兵達に比べ、攻撃力の高いウェポンを扱う自分達が適任だという判断からである。
それに

(,,゚Д゚)「ウォーミングアップくらい済ませておかねばな!
    行くぞ、グラニード!!」

応じるように青い巨剣が姿を生み、跳躍の姿勢を生み出し

(;*゚ー゚)「ギコ君、待って!!」

という、上空からのしぃの声によって、前へとつんのめる結果に終わった。

彼女は背に生やした機械翼で空を飛び、戦況を高度から分析・援護していたはず。
何かを見つけたのか、と視線を上げた時。

(;,,゚Д゚)「!?」

その視界を、青い色が高速で通過していった。

《――!!?》

轟音が響いたのは直後。
見れば、その青い色が巨大異獣に激突している。

一瞬だけ動きが止まった光景に見た、色の正体とは――

(,,゚Д゚)「EMAか!!」



44: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 20:50:46.12 ID:B/Xg8yzC0
――時間は数分前に遡る。


『レモナ、シュー。 出番じゃ』

|゚ノ ^∀^)「OK……待ちくたびれるところだったわよ」

薄暗いコックピットの中で、レインの声がノイズ混じりに聞こえた。
軽い返事を返したレモナは気を引き締めるようにレバーを握る。
続いてペダルの重さを確認するように浅く踏み込み、サブウインドウに浮かぶ機体のステータスを確認。

万全だ。
問題はない。
あとは合図と共に本陣を飛び出し、前線へと駆けつけるだけでいい。

|゚ノ ^∀^)「シュー、聞こえてたわね?」

『うぃうぃ』

|゚ノ ^∀^)「……米は?」

『ん、持った』

|゚ノ ^∀^)「あ、持ってるんだ……んじゃあ、ちゃんとついて来なさいよ。
      って言っても途中までだけど」

『レモナは東軍、私は西軍。
 仕事は遊撃及び一般兵じゃ荷が勝ち過ぎる敵の相手……だね』

|゚ノ ^∀^)「そゆこと。 西は任せたからシッカリね」



49: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 20:52:28.46 ID:B/Xg8yzC0
『こちらの発進用意は完了した。
 聞くまでもないじゃろうが、二人とも準備は良いな?』

|゚ノ ^∀^)「えぇ」

『うぃ』

『武運を祈っておるぞ。 世界の平和が確認出来た頃、また会おう』

通信が途切れ、機体の正面から整備兵達が離れていく。
もはや目の前に邪魔なものは存在しない。

|゚ノ ^∀^)「EMA−01『リベリオン』、出るわよ!!」

『同じくEMA−02『ウルグルフ』、行ってきます』

宣言に等しい言葉と同時、青と赤の巨体が急加速する。
同時、背部スラスターに備えられた鉄片が展開し、翼のように広げられた。

景色が後方へと吹き飛ぶ。

本陣待機の技術者や警護する兵達に見送られ、二機のEMAは低空高速滑空の姿勢へ。
そして、そのまま戦場となった荒れ地へと突入した。



53: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 20:54:25.70 ID:B/Xg8yzC0
まず見えたのはこちらに背を向ける人の軍で、その後に白獣が群れを為している光景。
その先には元世界政府本部の無残な姿があり、半透明・赤色の巨大ドームがそれを包んでいる。

|゚ノ ^∀^)(あれが、私達の目指すべき――!)

『レモナ』

|゚ノ ^∀^)「えぇ、解ってるわ。 そっちは御願いね」

『ん』

短い、しかし確かな返答を最後にシューからの通信が途切れる。
あとは救援要請などの『ネガティヴな状況』が来ない限り、彼女の声を聞くことはないだろう。
もしくは、全て終わって互いが生きていた時――

|゚ノ ^∀^)「……シュー、また会いましょう」

右のサブウインドウの中、赤いEMAが二本の剣を展開しながら離れていくのを視界の隅で追う。
しかし振り払うかのように軽く首を振り、正面ウインドウを見据えた。

目指す先には、その巨躯を持ち上げていく獣。
小さき人を踏み潰し、引き裂くために動き出そうとする敵に対し

|゚ノ#^∀^)「さぁ、行くわよッ!!」

ウェポンパネルを叩き、薙刀状の近接武器を展開――右のアームに確定。

そのままの勢いで、巨大異獣へと身体ごとぶち当たった。



57: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 20:57:06.55 ID:B/Xg8yzC0
《――!!?》

(,,゚Д゚)「EMAか!」

『コイツは私に任せて!』

肩からぶつかった姿勢で、そのまま身をロールさせる。
回転によって自動的に放たれた薙刀の石突きが、巨大異獣の横顔を直撃した。

《!?》

ゴ、と悲鳴のような音を立てる巨大な獣に対し、EMAは更に容赦なく攻撃を仕掛ける。

(;゚∀゚)「ってか、ここじゃ踏まれそうで怖ぇっての! どっか行け!!」

『あぁもう解ってるわよ! 先に行ってる!!』

背部スラスターに高密度の光が灯った途端、爆発的な推力を得たEMAは
尚も抵抗しようとする巨大異獣を全力で押した。



63: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 20:58:44.35 ID:B/Xg8yzC0
足元にいる異獣を何体も踏み潰しつつ、レモナは単機で敵のど真ん中へと突撃していく。
表示されるマップを確認し、ちょうどX地点のすぐ傍へと自機を置き

|゚ノ ^∀^)「ようやく思い切り暴れられるわね!」

ここで周囲の敵を掃討しておけば、ギコ達の負担がかなり軽くなるだろう。
後は彼らが来るまでに、せめて目の前の異獣を倒しておかねば――

|゚ノ;^∀^)「っ!」

牙を立てる巨大異獣に攻撃しようとした瞬間、レモナはウインドウの隅の変化を見る。

|゚ノ;^∀^)「これは……まだいるってわけね……!」

小さな山が三つ、巨大異獣の背後で増えたのだ。
まるで地面から生えたかのような白色は、その形を獣へと変容させていく。

たった一体だった大型の獣は、たった数秒で四にも数を増やした。

対応は早い。

レモナはすぐさまウェポンパネルを叩き、ライフル型EWを左アームに確定する。
そのまま両の手に備えられた武器を構え

|゚ノ#^∀^)「さぁ、全力でかかってきなさい!
      その程度の大きさと数で、私を易々と倒せると思わないことね!!」

お前達の相手は自分だ、と、高らかに吼えた。



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