( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

70: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 21:01:07.35 ID:B/Xg8yzC0
「EMA−01、EMA−02――接敵! 大型異獣との戦闘を開始!」

川 ゚ -゚)「よし、東西は大丈夫だ!
     本陣から最も近い北を担当する我々は、彼らよりも早くX地点を獲る!!
     獲らねば終わった後で笑われるだろうさ! それが嫌ならさっさと攻めるぞ!」

「了解!!」

大型の異獣が出現しなかった北側では、クーやブーン達を中心とした戦力が奮闘していた。
X地点までの数百メートルを逸早く無にするため、全員が一丸となって進軍する。

川 ゚ -゚)「斬り込むぞ、内藤!」

( ^ω^)「おk!」

細かい言葉は要らない。
クーの頷き一つで意思を汲み取ったブーンは、彼女に並ぶようにして駆けた。

低い、這うような姿勢で助走する。
人と獣を隔てるライン――最前線へと飛び出した二人は、襲われる前に跳躍。
そのまま異獣の群れへと突っ込んでいく。

川 ゚ -゚)「君の背中は任せろ!」

( ^ω^)「クーの背中も任せるお!」

だから、と呼吸を合わせ

川#゚ -゚)「「私(僕)の背中は君に預けた!!」」(^ω^#)



77: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 21:03:30.65 ID:B/Xg8yzC0
文字通り背中合わせになった二人は、周囲から襲い来る異獣を薙ぎ払い始めた。

ブーンは拳で、クーは多種多様な武装で。
異獣の壁を隔てた先からは援護砲射撃が、そして味方の剣撃が。

外側と内側の両方からの猛攻に、異獣達は翻弄され始める。

川 ゚ -゚)「よし……!」

これこそがクー達の狙い。
元より敵陣に突っ込むだけで殲滅出来るとは思っていない。
あくまで自分達は囮であり、本命は別にあるのだ。

そしてその本命とは――

*(#‘‘)*「充填完了! 死にたくなきゃさっさと退くですよ!!」

乱暴な合図が上空から飛んでくる。
充分に敵を引きつけていたブーン達は、クーの生やした機械翼で早々に離脱した。

光が、その場にいた異獣を呑み込んだのは直後。

大小様々な桃色光が、まさに降雨のように降り注いだのだ。
問答無用の攻撃意志と共に粉砕の力が地上へと牙を剥き、異獣達を片っ端から打ち抜いていく。

威力の雨に曝された異獣は、為す術もなく砲撃の嵐に朽ちていった。



85: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 21:05:21.34 ID:B/Xg8yzC0
「おおっしゃ! 流石は自称魔砲少女!!」

「大出力砲撃ばんざーい!! 大艦巨砲主義ばんざーい!!」

川 ゚ -゚)「今の内に進軍だ! X地点を確保しろ!!」

<ヽ`∀´>「任せるニダ!」

クーの言葉に、ニダーを先頭として戦闘に自信を持つ一隊が突撃。
砲撃の嵐によって開いた空間を詰めるように走り込み、自軍の道を確定しようとする。

しかし、

「――!? 本陣から連絡! タイプ:フェンリルとは異なる魔力反応が敵群から!!」

(;^ω^)「フェンリルとは違うのかお?」

川 ゚ -゚)「各自警戒! 敵は何処から来るか解らんぞ!」

厳しい言葉に全員の表情が引き締まる。
先ほどの巨大異獣のように、突然現れる可能性だってあるのだ。



92: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 21:06:47.23 ID:B/Xg8yzC0
その時である。

<;ヽ`∀´>「っ!?」

周囲を見渡していたニダーが、真っ先に気付いた。
その足下に見える影が増えていることに。
影が増えるということは、つまり、簡潔に考えて

<;ヽ`∀´>「上ニダ!!」

警戒と報告の意を込めて放たれた声は、その場にいた兵達の首を真上へと向けた。
途端、『それ』を見た者の目が次々と見開かれる。

「なっ――」

在ったのは、翼だった。

(;^ω^)「コイツら、空も飛べるのかお……!?」

言葉で形容するならば簡単である。

『翼の生えた白い狼』。

一体何処から湧いて出てきたのか、空を覆わんとばかりの数で白色が羽ばたいていた。



96: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 21:08:04.55 ID:B/Xg8yzC0
*(;‘‘)*「んな馬鹿な……さっきの大きい奴といい、こんなの一度も見たことがないですよ!?」

(;^ω^)「いよいよ異獣も本気だというわけかお……!」

川;゚ -゚)「射撃の出来る者は撃ち落とせ! 近接攻撃隊は意地でも戦線を維持しろ!!
     ここで押されたら相手の思う壺だぞ!!」

とはいえ、士気が僅かに落ちていくのをクーは感じ取っていた。
正面からではなく、今度は真上からの攻撃も加わったという事実は、一直線に駆けていた彼らの重荷となるのだ。
今はまだ気迫が保たれているものの、状況は時間が経過すればするほど悪くなる一方である。

川 ゚ -゚)「内藤、下は任せた!
     私はヘリカルと一緒に空の敵を迎撃する!」

( ^ω^)「把握!」

10th−W『レードラーク』を背に出現させたクーは、上空で迎撃を開始するヘリカルの下へと飛ぶために姿勢を落とした。
しかし、その動きを止める声が通信機から響く。

『――おぉっとぉ! その必要はねぇぜ!!』

川;゚ -゚)「!? この声は……!」


直後、一陣の風が空を駆け抜けた。



101: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 21:09:38.33 ID:B/Xg8yzC0
瞬刻に見た色は『灰』。
風を切り裂くというよりも、背後に従えて飛ぶ姿は威風堂々。

『さぁて、パーティの始まりってなぁ!!』

エクストの駆るGDF『ミョゾリアル』が、空を埋め尽くそうとしている異獣の間を疾走した。

<_プー゚)フ「いやっほおぉぉぉぉ!!」

景色の吹き飛ぶ光景を映し出すコクピットの中。
エクストは、溜めに溜めた気合を声として発した。

《――!?》

敵のど真ん中を駆け抜けるという高速のGDFに無謀さに、空を飛んでいた異獣の反応が一瞬だけ遅れる。

<_プー゚)フ「はっは! ノロマが!!」

言葉通り、時既に遅し。
異獣達が振り向いた頃には、GDFの機首がこちらを見据えている。

それは、愚鈍な獲物を視界に捉えた猛禽の睥睨に等しかった。

<_プー゚)フ「獣は獣らしく地面に這い付くばってりゃいいんだよッ!!」

スロットルレバーを前方へ突き出すと同時、両翼の兵装を展開。
二門のブースターが光を噴き、翼前面がミサイルを吐き出すための殻を開いた。



110: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 21:11:51.36 ID:B/Xg8yzC0
加速。

加速、加速。

加速、加速、加速、加速――


<_#プー゚)フ「おらおらおらおらおるぁぁぁぁぁぁ!!!」

爆発的な速度を盾に、今度は逆方向から突撃。
同時に機銃が弾丸をバラ撒き、翼からはマイクロミサイルが白い尾を引いて発射される。
それは数あるマニューバの中で、最も攻撃力の高い戦闘のためだけの機体挙動。


名を、『アサルト・パレード』と言った。


持ち得る速度と武装を最大限に利用する強襲法だ。
その攻撃力の高さは半端ではなく、しかしリスクも充分に高いクレイジーなものである。

しかし異獣の群れを前にしたこの局面では、効果てき面だった。


GDFが高速で通過した直後、爆発が後から追う形で連鎖。
ミサイルが螺旋を描き、機銃は問答無用の直射線に乗って敵を砕いていく。

まだ薄暗かった戦場を、空から多量の魔力光が照らした。



118: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 21:13:18.64 ID:B/Xg8yzC0
<_プー゚)フ「絶・好・調である! なんてなぁ!!」

『――おい、エクスト! 勝手に出るな馬鹿!』

見れば、本陣の方角から黒色の戦闘機がこちらに向かってきている。
声はシャキンのもので、軽い怒りに満ちていた。

<_プー゚)フ「いいじゃねぇか、結果オーライだろ!」

爆発を生み出した魔力の残滓。
それを少し離れた上空から見つつ、シャキンはエクストの憎たらしい声を聞く。

『ってか、お前もさっさと来いよ! 全部俺が食っちまうぜ!』

(;`・ω・´)「コイツ……久々の空でテンションが上がってるのか……?」

ひゃほー、などと言いながら通信が途切れる辺り、相当なものらしい。
途端、前方に見える空域に魔力の爆発がいくつも起きる。



128: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 21:15:05.30 ID:B/Xg8yzC0
と、そこで軽い電子音が鳴った。
ステータスや情報を示すサブウインドウの隅、小さな文字が走り、機械的な女性の声が響く。

【――早死にするタイプですね】

(`・ω・´)「あぁ。 だからこそ俺がサポートしてやらねばならん。
      まったく面倒だ」

【その割には楽しそうです】

(`・ω・´)「キオル、お前は何を馬鹿なことを――」

【本当にそう御思いですか?】

(;`・ω・´)「……今更だが、お前は俺の苦手なタイプかもしれん」

少し似ている、とも思った。
機械世界に残ってるはずの、GIFの製作を手掛けた研究者に。
ガナーという名を持つ彼女もまた、自分の何かを見透かしたような言動をしていたと思い出す。

(`・ω・´)「あぁ……サポートが面倒なのは本当だが、楽しいのもまた事実だ。
      俺と一緒に飛べる腕を持っているのは、兄さんとアイツくらいだからな」

だから、と続け

(`・ω・´)「こんなことをしても――」

軽い音と共に放たれるは、機体底部に装備していたマイクロミサイルの群。
放射状に広がり、エクストの飛び回る空域へと殺到し――大きな爆発を引き起こした。



134: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 21:16:35.95 ID:B/Xg8yzC0
『うぉぉぉぉぉ!!?』

数十にも上る魔力爆光が生まれ、空を制そうとしていた異獣らが次々に巻き込まれていく。
その隙間を縫うように、小さな灰色の点がちょこまかと飛び回るのが見えた。

『――て、てててててててめぇぇぇ!! 殺す気かぁぁぁ!!?』

(`・ω・´)「そう、エクストなら避けてくれるのさ」

【随分と信頼なされているようで】

(`・ω・´)「これくらいで死なれてはたまらん」

『半分博打だったろテメェ!!』

(`・ω・´)「……さて、次は俺の番だ」

『あ、おい!』

エクストの声は無視。
スロットルレバーを操作。
間一髪で爆撃を回避し、ふらふらの状態でこちらに帰ってくるGDFを一瞬で追い抜き去る。

しかしエクストと言えど意地はあるようで、すぐさまシャキンが駆るキオルの追跡に入った。



142: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 21:18:46.72 ID:B/Xg8yzC0
『待ちやがれってんだ! お前は俺の後ろを飛べ!!』

(`・ω・´)「文句があるなら自力で前に出るんだな」

『……上等じゃねぇか!』

両者、更に加速。
既に周囲は異獣だらけだというのに、この二人は個人の勝負に熱中し始めていた。

<_#プー゚)フ「あんにゃろう……いつも俺の尻ばっか追いかけてきてたくせに!!」

高速で景色が吹き飛ぶ中、エクストは嘘を平気で吐きながら小さな金属を取り出した。
緑色の指輪――13th−W『ラクハーツ』だ。

<_#プー゚)フ「見せてやるぜ、俺の新しい力をな! ウェポンセーットアーップ!!」

センスの欠片もない台詞と共に、その指輪をソケットにはめ込む。

そう、これこそがアサヒの施した指輪の新たな使い道。
指輪を強化するのではなく、

<_#プー゚)フ「指輪で機体を強化すんだぜオラァ!」

まばゆい緑光と共に変化が起きる。
それはコクピットではなく、鋭く伸びる灰色の翼に、だ。

発光。

光を纏って完成した形は、やはり翼だった。
だが、淡い魔力を纏っている観点から見ても、ただの翼であるわけがなく――



151: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 21:20:24.36 ID:B/Xg8yzC0
( ´_ゝ`)「弟者! あっちの防御を! ここは俺が任された!」

(´<_` )「把握!」

その直下では、西軍が南軍を背後に引き連れて進軍していた。
赤い色の半透明なドームを左に見つつ、彼らは一心不乱に駆ける。
結界の真西へと到着すれば、後はほぼ無傷の南軍を送り出せば良いという算段だ。

('、`*川「これこそまさに千切っては投げ、千切っては投げって感じよねー」

ワンステップで踏み込んだ彼女は、そんなことを呟きながら軽く右足を跳ね上げる。
その強靭な顎に引っ掛かったと見るや否や、音速さえ超えそうな勢いで足首を振った。

《――!?》

ごゅ、という生々しい音が響く。
しかし感知する頃には、その異獣の脳は停止していた。
それを繰り返すだけのペニサスは、ただ異獣を用いてリフティングをしているようにも見受けられる。

「直上! 敵が来ます!」

ミ;,,"Д゚彡「くっ……上から来られるとなると、温存している戦力までが!」

翼を大きく広げた異獣が飛来。
空を飛ぶ相手に剣や槍が届くわけもなく、自然と迎撃は銃器持ちの兵に絞られる。

その分、陸で敵を相手している者達への援護が少なくなるという結果は当然のことであった。



155: ◆BYUt189CYA :2007/11/17(土) 21:22:03.96 ID:B/Xg8yzC0
ミ,,"Д゚彡「ここが踏ん張りどころですね……!」

『手伝いましょか?』

ミ,,"Д゚彡「軍神さん? いえ、私達に任せて下さい!」

(;´_ゝ`)「あ、おい! フサギコさん上! 上!!」

兄者の声に空を見上げれば、すぐ傍まで迫りくる異獣の姿があった。
その牙からは涎が垂れ、鋭利な爪がフサギコの身体を引き裂こうと――

ミ,,"Д゚彡「っ!?」

腰に差した剣型EWを抜こうとした時。
今にも襲い掛かろうとしていた異獣が、一瞬の光と共に弾き飛ばされる。

ミ,,"Д゚彡「なっ――!?」

動体視力が良い彼は、何処から攻撃が来たのかを見ていた。

それは己の背後。
補給の役割も兼ねる装甲車の、その屋根にあたる部分から。

('A`)「…………」

こちらを見ているのは、鈍く暗い視線だった。



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