( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです
- 6: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 17:50:44.65 ID:8H9+v4j70
- 【現在の戦況】
□=荒れ地(1マス約100m)
□□□□□□□□□□□▲▲▲□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□▲▲▲E □□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□M□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□●●●□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□●×■××□●□□□□□□□□□
□□□□□□□□M●×■ ■×●●M□□□□□□□□
□□□□□□□●E ×■ ★ ■×●□□□□□□□□□
□□□□□□□□●●×■ ■××□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□××■××□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□●●×××□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□●●×□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
×=異獣、■=結界、★=中枢、▲=本陣、●=四世界混合軍、E=EMA、M=ミラー
勝利条件: 東西南北にある四ヶ所のX地点の制圧(内一枚破壊済)
- 9: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 17:52:11.98 ID:8H9+v4j70
- 【各軍の状況】
本陣: 『龍砲』の準備中。
所属: ( ・∀・) 从・∀・ノ!リ ( ><) (*‘ω‘ *) [゚д゚] (-@ハ@) |;;;|:: (へ) ,(へ)|シ
北軍: 順調に進軍していたが、人型異獣の襲撃を受ける。
所属: 川 ゚ -゚) ( ^ω^) <ヽ`∀´> *(‘‘)*
東軍: X地点接近していたが、人型異獣の襲撃を受ける。
所属: (,,゚Д゚) (*゚ー゚) (´・ω・`) ( ゚∀゚)
西軍: X地点接近していたが、人型異獣の襲撃を受ける。
所属: ミ,,"Д゚彡 ('A`) ( ´_ゝ`) (´<_` ) ('、`*川
南軍: 早々に南を制圧するも人型異獣の襲撃を受け、ミラーを破壊される。
所属: (#゚;;-゚) ノハ#゚ ゚) ( ゚д゚ )
遊撃: エクストとレモナは補給のために本陣へ。シャキンとシューは戦闘続行。
所属: (`・ω・´) <_プー゚)フ |゚ノ ^∀^) lw´‐ _‐ノv
異獣: 結界を守るために行動。 人型異獣も介入を開始する。
所属: ル(i|゚ ー゚ノリ メ(リ゚ ー゚ノリ 从ξ゚ -゚ノリ 〈/i(iφ-゚ノii
??:上空から接近中。
所属:???
- 16: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 17:54:05.34 ID:8H9+v4j70
本陣からの連絡が途絶え、嫌な予感を背に受けた時だった。
目指していた方角から、強烈な衝撃波が発生したのは直後。
それは津波のような勢いと迫力で襲い掛かる。
(;,,゚Д゚)「ぐっ……皆、伏せろ!!」
(;゚∀゚)「おわぁぁぁ!?」
「「な、何だぁ!?」」
味方はおろか敵さえも巻き込む衝撃波は、一瞬で東全域を包みこんだ。
圧倒する衝撃。
強烈な風が肌を薙ぎ、飛んできた砂利は装甲を連打する。
多量の音は、しかし嵐のような轟音によって掻き消された。
第四十八話 『四方決戦 Ver/East 【Unlimited Three Kinds】』
- 21: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 17:55:51.84 ID:8H9+v4j70
- 果たしてどれほどの間、地面に伏せていたのか。
ほんの一瞬かもしれないし、数分だったかもしれない。
衝撃と音が後方へ消え去った後、周囲から次々と安堵の声が漏れた。
(;゚∀゚)「ぷはぁ!」
(;´・ω・`)「くっ……何だったんだ……?」
(,,゚Д゚)「しぃ、無事か?」
(;*゚ー゚)「私は大丈夫だけど――」
いつの間にかギコの傍にいたしぃが、不安げに周りを見た。
防御が間に合わなかった者は遠くへ吹き飛び、衝撃起点の近くにいた者は顔を押さえてうずくまっている。
飛んできた破片や、吹き飛ばされた異獣の激突による副次的な被害が主のようだ。
(;,,゚Д゚)「まずいな……だが、今の内に攻めるか立て直すかしなければ――」
その声は、東の戦場にて突然に降り注ぐ。
「イィィィィィ――――!!」
(;゚∀゚)「な、何だぁ!?」
(;´・ω・`)「ギコさん! 上だ!!」
「ヤッッッホォォォォォォ!!!」
叫びに似た咆哮に対し、ギコの研ぎ澄まされた反応が一瞬だけ速く動いた。
半ば強引に振り上げたグラニードに、金属がぶつかるような音が激音として鳴り響く。
- 29: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 17:57:31.66 ID:8H9+v4j70
- (;,,゚Д゚)「貴様は――!?」
メ(リ゚ ー゚ノリ「はっはぁ! 俺参上!!」
グラニードの切っ先。
右足を突き出しての剣に乗る姿勢で、赤髪の男――キリバは獰猛な笑みを見せた。
しかし、それも束の間、
メ(リ゚ ー゚ノリ「へへぇ、なかなかやるじゃねーか……よっと!!」
膝のバネのみの力で宙へと跳ねた。
降り立ったのは赤。
羽織っている黒の布に、その色はよく映えていた。
た、という軽い音を立てて着地する様は、余裕を体現しているようにも思える。
メ(リ゚ ー゚ノリ「ってことで、ヨロシク」
声にも微塵の恐れはない。
黒いコートのような服のポケットに手を突っ込んだまま、不敵な笑みでこちらを見据える。
ショボンの隣にいたジョルジュの、硬い唾を呑み込む音がやけに大きく響いた。
- 31: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 17:59:06.46 ID:8H9+v4j70
- (;゚∀゚)「……テメェが人型の異獣ってヤツかよ」
メ(リ゚ ー゚ノリ「そういうこったね。 キリバって呼んでくれ。
んでさ、最初のインパクトって大事だと思ったから叫んでみたんだけど、どうよ?
『俺を誰だと思ってやがる!』とかの方が良かった?」
ヘラヘラと笑うその姿は、以前のものとは異なっていた。
その身体を包んでいるのは分厚く見える黒いコート。
機械化されているはずの腕は、外側のポケットの中へと突っ込まれている。
メ(リ゚ ー゚ノリ「ようやくこの時が来た。
期待通りやってくれるとは思ってたが、こっちの予想以上だ」
(,,゚Д゚)「何を――」
メ(リ゚ ー゚ノリ「流石に四世界の力が揃い踏むと贅沢出来ンのな。
この戦力や使用魔力量から見て、テメェらの生きる意志ってもんが見えたよ。
ちなみに胸張っていいぜ? なんせ、ここまで攻め込まれたのはお前らで二度目だ」
(;*゚ー゚)「二度目……?」
(;゚∀゚)「ちょっと待てよ。 今まで異獣ってのは色んな世界に行って来たんだろ?
ってことは――」
メ(リ゚ ー゚ノリ「そ。 今テメェらが想像した通りさ。
潤沢な魔力を求めて無数の世界と戦ったが、そのほとんどはここまで来る前に壊滅してんだよね」
- 34: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:01:21.05 ID:8H9+v4j70
- ぞくり、と悪寒が背を撫でたのを、その場にいた全員が自覚した。
ここまで踏み込めたことによる歓喜や勇みなどではない。
ここからが地獄なのだ、と宣言されたようなものだからだ。
(;,,゚Д゚)「馬鹿な……結界の外を守っていた異獣は、それほど強くなかったぞ」
メ(リ゚ ー゚ノリ「まぁ、末端の雑魚だしな。
他の世界の連中も、コイツら相手なら奮戦出来るケースだってあるさ」
(;゚∀゚)「じゃあ、何で結界を破る前にやられてんだよ!」
メ(リ゚ ー゚ノリ「んなもん簡単だ。
数が圧倒的に違い過ぎたんだよ」
どういうことだ、とギコは表情で問う。
メ(リ゚ ー゚ノリ「つまり本来なら、世界中に散ってる異獣は全てここに集ってたってことだわな。
お前、もしそうだったらテメェらがここまで来れるわけがねぇって解ってる?」
(´・ω・`)「本来なら――ということは、今回のケースは特殊ということだね」
(,,゚Д゚)「……俺達と戦いたがっている、というモララーの勘は当たったようだ」
- 37: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:02:31.21 ID:8H9+v4j70
- メ(リ゚ ー゚ノリ「解ってんなら話は早ぇ」
赤髪の男――キリバが右腕を掲げた。
その拳を握り締め
メ(リ゚ ー゚ノリ「さぁ、戦ろうぜ!!」
言葉と同時、地を蹴った。
既に闘争心に火が点いているのか、その表情には貪欲な笑みが見てとれる。
(#,,゚Д゚)「ちィ――!!」
対し、グラニードを構えて飛び出すはギコ。
それを見たキリバの笑みが、更に深く濃くなった。
メ(リ゚ ー゚ノリ「いいねいいねぇ! やっぱ戦いってのはこうやって始まらなきゃな!!」
(#,,゚Д゚)「その笑み、すぐに消してやる!」
メ(リ゚ ー゚ノリ「やってみろ――よッ!!」
二人の距離が零となった瞬間、魔力を帯びた拳と剣が激突した。
物理法則を書き換える力同士の衝突により、周囲空間が歪曲を起こす。
そのうねりが限界点まで達した瞬間、
(;´・ω・`)「うわっ……!」
二人を中心として、大気が破裂した。
- 42: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:03:53.35 ID:8H9+v4j70
- メ(リ゚ ー゚ノリ「やるじゃねーか!
なら、これはどうだァ!?」
(#,,゚Д゚)「おぉぉぉッ!!」
互いの武器がぶつかり合う度に、強烈な音と魔力光が周囲に飛び散る。
本来ならば、押し負けるのはギコだった。
グラニードに備わっている魔力だけでは、キリバのパワーに太刀打ち出来ないからである。
しかし今のギコは、圧倒的な力を持っているはずの異獣と互角に打ち合っていた。
(,,゚Д゚)(ふン……FCもたまには良い仕事をする)
ここにきて活きたのがウェポンの強力化。
アジトにて、今作戦の対策として行われた魔力での武装強化だ。
纏っている魔力が濃ければ、その分だけ攻防力が上がる。
(,,゚Д゚)(いや、ここで意固地になる必要はないか……感謝するぞ、FC!!)
そこにギコの持つ戦闘勘が合わされば――
(#,,゚Д゚)「――互角にさえ戦えるッ!」
メ(リ゚ ー゚ノリ「お? おぉ!?」
ぶつけたグラニードが、キリバの腕を弾き飛ばす。
決して当たり負けはしないという事実に、ギコの顔に強かな笑みが浮かんだ。
- 46: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:05:25.16 ID:8H9+v4j70
- (#,,゚Д゚)「しぃ、ジョルジュ、ショボン! 援護を任せた!
コイツはここで仕留めるぞ!!」
(;*゚ー゚)「わ、解ったよギコ君!」
( ゚∀゚)「っしゃぁ! ぶっ殺ッ!!」
(´・ω・`)「ここでミラーをやらせるわけにはいかないからね」
メ(リ゚ ー゚ノリ「安心しろ。 テメェらとの戦いが終わるまでデッケェ鏡にゃあ手を出さねぇ。
だからよ――」
向かってくるギコ達に対し、歯を剥いた笑みを浮かべ
メ(リ゚ ー゚ノリ「せいぜい俺を満足させるよう、全力で掛かってきやがれッ!!」
世界で最も危険な獣が、ついに牙を剥いた。
- 49 名前: ◆BYUt189CYA [>>46訂正] 投稿日: 2007/12/29(土) 18:07:44.41 ID:8H9+v4j70
- (#,,゚Д゚)「しぃ、ジョルジュ、ショボン! 援護を任せた!
コイツはここで仕留めるぞ!!」
(;*゚ー゚)「わ、解ったよギコ君!」
( ゚∀゚)「っしゃぁ! ぶっ殺ッ!!」
(´・ω・`)「ここでミラーをやらせるわけにはいかないからね」
メ(リ゚ ー゚ノリ「安心しろ。 テメェらとの戦いが終わるまでデッケェ鏡にゃあ手を出さねぇ。
だからよ――」
向かってくるギコ達に対し、歯を剥いた笑みを浮かべ
メ(リ゚ ー゚ノリ「せいぜい俺を満足させるよう、全力で掛かってきやがれッ!!」
世界で最も危険な獣が、ついに狩りを開始した。
- 52: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:08:50.92 ID:8H9+v4j70
- 戦いが始まった東の空では、高速の空中戦が行なわれていた。
戦場を支配している存在は三つ。
小さな黒い鉄鳥と、それを追う巨大な獣が二体。
一見して、それは鳥の狩猟を思わせる光景だ。
しかし逆である。
追いすがる大型異獣の方が、実のところ狩られる側だった。
狩られないために黒く小さな戦闘機を追い、狩られてしまう前に狩ろうとしているだけ。
(`・ω・´)「そろそろ良いか」
【起動速度には達しております。 後のタイミングはそちらに――】
(`・ω・´)「図る必要はない。 今すぐにやる」
自然な動作で取り出したのは一つの指輪。
エクストが使ったものと形状は同じだが、その色は違う。
血のような深紅。
不気味に光るそれは、否が応にも寒気を感じさせる。
- 53: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:09:55.83 ID:8H9+v4j70
- (`・ω・´)「いくぞ、ギルミルキル。 俺の狂気を糧に暴れて見せろ……!」
コンソール脇にあるソケットにセット。
途端、機体ステータスを示していたウインドウの背景色が、白から赤へと染まる。
重く圧し掛かるような闇が周囲を包むという錯覚を、シャキンは頭で得た。
【パターン:スーパーソニック……オーバーエクスチェンジ】
機体の各部から何かが蠢く駆動音が響き、明らかに空気を変えてしまう。
もはやこの機体はキオルであって、キオルではない。
ただ戦うためだけの殺戮兵器と化す。
【チェンジ完了。 続いて高機動モードへの変形を行ないます】
まず動いたのは翼。
左右へ突き出していた鉄片が、僅かに後方へと向けられる。
続いて背後からせり出した装甲板が風防を包みこみ、
コクピットと外界を完全に遮断してしまった。
暗闇になったのは一瞬で、すぐに内部電燈がシャキンを照らす。
正面下部のメインと、左右のサブウインドウが視線の高さへ移動し、周囲の景色を映し出した。
【高機動モード変形完了。 6th−Wとの接続を確認――完了】
- 56: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:12:02.42 ID:8H9+v4j70
- ここに至るまで約十秒。
悪くはない速度だ、と思いつつ、シャキンはスロットルレバーを握り直た。
キオルの機械的な声が続く。
【これより超高速戦闘に移行します。
戦闘機動――特にギルミルキル使用時、強大なGに襲われる危険性がありますので御注意を。
機体強度的に能力使用には問題ありませんが、貴方の身体には――】
(`・ω・´)「言うな。 それよりもこの戦いを終わらせることに集中するぞ」
【了解。 細かい補正は私が。 貴方は操縦に集中してください。
この機体、貴方が思う以上に暴れん坊なので御注意を】
(`・ω・´)「あぁ、解っているさ」
狩猟開始。
ペダルを踏み込み、機体の速度を更に上げると、Gキャンセラーでも処理しきれないGが身体を襲う。
この時点で血液の循環が異常をきたし始めていた。
ブラックアウトという現象だ。
ブラックアウトとは、プラス方向の巨大なGがパイロットにかかった際、
脳から血液が下半身に集中することで、視野が暗くなり呼吸が困難になる症状を言う。
高機動モードでの加速だけでこれだ。
ギルミルキルを使用した際、どれだけの重圧が襲うのか想像も出来ない。
- 60: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:13:56.19 ID:8H9+v4j70
- だが、
(`・ω・´)「ここで躊躇している暇など、ない……!」
確定する。
右のスロットルレバーを押し出し、機体を百八十度反転。
背後から追ってきている大型異獣へ機首を向け、突撃を敢行した。
《――!!》
気付いた異獣が牙を剥く。
小さな機体を引き裂こうと、爪を振り立てた時。
(`・ω・´)「ギルミルキル起動! 音速を超えろ――!!」
声と共に、黒色の戦闘機の姿が消えた。
そのあり得ぬ事象に異獣の目が見開く。
振りかぶった前足はストップを掛けられ、標的の行方を探す。
左右――いない。
上下――いない。
背後――いない。
何処へ消えたのだ、と追従してきていたもう一体の異獣へ視線を向けようとした時。
――その顔が、首ごと掻き消えた。
- 65: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:15:30.59 ID:8H9+v4j70
- 断面に見えるは肉と骨。
一瞬遅れて、溢れ出すように血液が噴出する。
身体を統率する頭を失った異獣は、そのまま力無く地上へと落ちていった。
そして残った一体も、何が起こったのか知る前に腹を貫かれる。
銃撃ではない。
砲撃でも、魔力攻撃でもない。
《……!?》
たった一撃で内臓の大半を潰された異獣は、痙攣し始めた目玉で攻撃の正体を知る。
高機動モードとなり、更に黒色が増した鋭角的な機体。
それが、血を滴らせながら背を見せて飛んでいた。
敵は速い。
いや、速いという言葉では説明が出来ない。
神速、電光石火――それでも何かが足りない。
言うなれば『刹那』。
一回指を弾く間に六十、或いは六十五のそれがあるとされる時間の最小単位。
その中に生きていると思わせるような速度を持った敵は、姿さえ視認させずに狩りを行なったのだ。
ただの異常に住む獣ごときに、見切れるわけがない。
やはり四世界を繋げたのは正解だった。
獣は最期に小さく口の端を吊り上げ、そのまま命から手を放した。
- 70: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:17:16.76 ID:8H9+v4j70
- (;`・ω・´)「――がはっ」
一瞬で異獣二体を葬った機体のコクピット。
仕留めたと見るや否や、シャキンの口から少量の血が吐き出された。
【やはり異を超えた速度――到底、人が耐えられるものではないようです】
(;`・ω・´)「いや、良い……あの速度であれば敵を凌駕することが出来ると解ったしな」
【ですが、今の攻撃で機動用魔力の大半を失いました。
補給へ戻りましょう】
(`・ω・´)「……そうだな。
しかし大型二体を一瞬で倒せたが、すぐに補給が必要になるとは……」
【万全の状態で行なえば、今よりマシかと】
(`・ω・´)「そう願うしかあるまい。 すぐに戻るぞ。
東の奴らが奮闘している内に、援護へ向かう」
【了解――ですが】
機械音声が、珍しく言い澱み
【あまり多用すれば貴方の身体に異常が……いえ、もう既に出ているのでしょう。
もしかすれば、この戦いが終われば貴方はもう二度と――】
(`・ω・´)「気にするな。 本望さ」
- 73: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:18:46.22 ID:8H9+v4j70
- それからしばらく沈黙が流れるが、シャキンは特に気にしなかった。
この戦いに全てを賭けるつもりで来ているのだ。
全て終わった後がどうなっていようとも、後悔など一切ない。
と、そんな時。
(`・ω・´)「ん……?」
前方、つまり本陣の方角から何かが来る。
【EMA−01『リベリオン』確認】
キオルの声と同時、機体のすぐ傍を青い巨人が通過していった。
何の挨拶もないところを見るに、あまり頭は冷えていないらしい。
(`・ω・´)「……どうにも嫌な予感がするな」
【予感、というものがあまりよく解りませんが、確かに余裕はないようですね】
(`・ω・´)「急ごう。 未来を決める戦に遅れるのは悔しい」
【了解】
若干速度を上げつつ、シャキンは本陣を目指した。
その胸中に、一抹の不安を抱えたまま。
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