( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです
- 77: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:19:59.11 ID:8H9+v4j70
- 「あ、ありえねぇ……」
「やっぱ化物かあの野郎……!」
人型異獣との戦闘光景に、嘆息する声が挙がり始めていた。
視線の先には四人の指輪使い。
そして対する赤髪の人型異獣。
戦っている。
四対一の構図。
しかも高速で、だ。
主にグラニードが戦の先端を走っていた。
続いて他の者の武装が、攻撃の切れ目を補うかのように援護を行なう。
対するは機械化された二腕と、そして機械化された二脚。
前者は蒸気を吐き、後者は地を抉ることにより、向かい来る四つの力を打ち消している。
ぶつかり合いは無数で、しかし状況が動くことはない。
メ(リ゚ ー゚ノリ「はははははははははははっ!!」
四人掛かりの攻撃を捌きつつ、高らかに笑うはキリバ。
後ろで結んだ赤髪が、回避によって振り回される。
- 78: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:21:26.64 ID:8H9+v4j70
- (;´・ω・`)「くっ……!」
(;゚∀゚)「くそっ、コイツの頭ン中はどうなってやがんだ!?」
メ(リ゚ ー゚ノリ「遠慮は要らねぇ! こちとら伊達に最強名乗ってねぇぞォ!?」
決して四人が弱いわけではない。
ギコは言うまでもなく、ジョルジュも戦闘用として作られている。
しぃやショボンも充分訓練は積んでいるし、そこらの下手な兵よりも強いはずだ。
特にギコとしぃ、ジョルジュのショボンのコンビネーションは、ベクトル自体は違うが完成された連携を生み出せる。
しかし、キリバは折れない。
四点攻撃を全て見切り、全て捌き、全て防ぐ。
単一思考しか出来ない普通の人間では不可能な芸当だ。
(#,,゚Д゚)(これが異獣たる所以というわけか――!!)
グラニードで切り込みつつ、ギコは敵を見極めつつあった。
人だと思ってはいけない。
あれは人の形をした別の存在だ。
四肢が在るからと、言葉を話すからと過小評価してはならない。
- 81: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:22:31.96 ID:8H9+v4j70
- (;*゚ー゚)「えいっ!」
(#゚∀゚)「その手に乗ったぁぁっしゃァァァ!!」
しぃの羽片が天から降り注ぐ。
上へと気を逸らされたキリバの足に、今度はユストーンが巻き付いた。
(#,,゚Д゚)「もらったッ!」
メ(リ゚ ー゚ノリ「おおっしゃ、これならどうだぁ!?」
ギコの剣撃を回避したキリバは、その逞しい機械腕を振りかぶる。
しかしそれだけに終わらず、更に硬い音が響くのを聞いた。
メ(リ゚ ー゚ノリ「ひぃぃぃっ殺技その一ィィィ!!」
キリバの握られた拳が、折り畳まれるように腕の中に格納される。
代わりとして出現したのは鋭利な鉄であり、その正体とはいわゆる、
メ(リ゚ ー゚ノリ「リボルビング――!!」
(;,,゚Д゚)「ちィィ!!」
メ(リ゚ ー゚ノリ「バンカーってなぁぁッ!!!」
間一髪、わざわざ叫んでくれたおかげで反応は間に合った。
盾のように構えられたグラニードの刀身に、繰り出された鉄片が激突する。
しかし次の瞬間、稼働の合図と言わんばかりの轟音を以ってパイルバンクされた。
- 85: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:24:28.16 ID:8H9+v4j70
- (;,,゚Д゚)「ぐっ……おぉぉ!?」
あまりの衝撃に、踏ん張っていたはずの足は軽々と地面に別れを告げ
抵抗空しく背後へと吹っ飛ばされる。
それは、地平線の向こうまで運ばれそうな勢いだった。
(;゚∀゚)「何やってんだ馬鹿が!」
それを止めたのはジョルジュ。
灰色の鎖――9th−W『ユストーン』を使う彼は誰よりも早く対応し、その先端をギコの方へと投げる。
生命を持ったかのような動きでグラニードを絡め取り、吹っ飛ぶ身体を何とか抑えた。
(;,,゚Д゚)「くっ……すまん」
( ゚∀゚)「貸し一! 後で返せよ!」
メ(リ゚ ー゚ノリ「おぉっと、次はテメェが相手してくれんのか?」
(;゚∀゚)「げぇ!? マジですかよ!」
今度は、四人の中で一番近くなったジョルジュがターゲットとなったようだ。
まだユストーンをギコの方へと放っているため、迂闊な防御は出来ない。
このままでは一撃で終わってしまう可能性すらあった。
- 88: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:26:03.61 ID:8H9+v4j70
- (´・ω・`)「ジョルジュ、そこから退くんだ!」
サポートに入ったのはショボン。
遠巻きに見ている兵から借りたのか、その両手にはマシンガンのような銃器が握られている。
狙いも付けずに発砲。
魔力光を携えた弾丸がキリバの行く手を阻んだ。
それに続くように、上空援護を担当するしぃの羽片が降り注ぐ。
( ゚∀゚)「っしゃぁ! そのまま足止めとけよ!」
ユストーンを回収したジョルジュが駆けた。
どうやら攻撃するつもりらしいが、サポート系に属するユストーンで何をするつもりなのか。
絡め取るか、鞭のように振るうかくらいしか用途がないはずだが――
(#゚∀゚)「一晩かけて考えた必殺技を食らいやがれッ!」
先端を振り回し、ワンステップで足を地面に打ち付け、全力投球と言わんばかりのフォームで投擲する。
浅く弧を描いた鎖は何度もキリバの周りを走り、囲うように展開され
それを確認したジョルジュは必殺技とやらの名前を叫んだ。
(#゚∀゚)「チェーン・クロス・スクラブッ!!」
メ(リ゚ ー゚ノリ「おぉっ?」
仰々しい言葉と同時、取り囲んでいた鎖が一気に範囲を狭めた。
一本の鎖が、しかし何重にもなってキリバの身体を締め上げる。
- 91: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:27:55.56 ID:8H9+v4j70
- しかし、それだけではない。
尚も走る鎖が、その身を使ってキリバの身体を強烈に擦ったのだ。
メ(リ;゚ ー゚ノリ「おぉ!? 熱っ、擦過して熱いっ!」
(;゚∀゚)「うぇぇ!? 熱いだけかよ!?」
普通ならばユストーンが纏った魔力によって皮膚が断裂、上手くいけば四肢の切断さえも行なえたはず。
しかし、やはりと言うべきか、キリバの持つ魔力に打ち消されてしまったようだ。
(#,,゚Д゚)「だが隙は出来た――喰らえッ!」
そこに復活したギコが飛び込む。
再度、キリバとの激突が開始された。
(´・ω・`)「今はまだ何とかなってるけど、どうやって倒せば良いんだろう……」
(;゚∀゚)「っつかテメェはウェポン使わねぇで何やってんだ?」
(´・ω・`)「ギコさんならともかく僕程度の技量じゃ、あんな敵を接近戦なんて不可能だよ。
刺突の予約だって確実に回収出来るか解らないし」
5th−W『ミストラン』の能力『刺突の予約』は、一見すれば利便性の高いようにも思える。
だが、実を言えば極端に使い所が限定される能力なのだ。
例えば、確かに予備動作無しでの刺突は強力ではあるが、同時に殺気を乗せてしまうという弱点も抱えている。
戦いに身を置く者ならば察知、そして回避は容易いだろう。
- 94: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:29:19.46 ID:8H9+v4j70
- その後のルールである『刺突の回収』を考えれば、無闇に撃てる代物ではない。
前提として、ミストランの能力は『攻撃と命中の入れ替え』とも言える。
先に命中させた後で攻撃をする――つまり攻撃した位置を、ミストランで再び攻撃して因果を回収するというシステムだ。
これが、どれだけの危険を孕んでいるか解るだろうか。
もし、敵が刺突を回避したら。
もし、敵が刺突を受けても動かなかったら。
そうなれば、わざわざ回収のため敵の下へ行かなければならないのだ。
回収位置は予め決まっているため、よほどの手を使わない限りは無傷での回収は困難。
しかもあまり時間を掛けてしまえばペナルティまで受けてしまう。
故にキリバのような強敵に対し、決して安易に使って良い能力ではないのだ。
(´・ω・`)「悪いね。 だから僕は援護に徹するよ」
( ゚∀゚)「ならしっかりと頼むぜ……仲間のミスで死にたくねぇからよ!」
(´・ω・`)「大丈夫。 君のような馬鹿はそんな簡単に死なないから」
(;゚∀゚)「お前トコトン俺のこと嫌いみたいだな」
(´・ω・`)「……どうでもいいから早く行きなよ」
何か言いたそうにしつつも、ギコのサポートへ向かうジョルジュ。
その背中を見送ったショボンは、小さく溜息を吐く。
(´・ω・`)「やれやれ……嫌いな奴をいつまでも雇うわけがないじゃないか」
そんな愚痴は、当の本人の耳に入ることなく大気に溶けていった。
- 102: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:31:06.97 ID:8H9+v4j70
- (メ,,゚Д゚)「はっ、はっ――!!」
メ(リ゚ ー゚ノリ「ひゅ〜……よくもまぁ、ここまで一人でやれたな」
二人は動きを止めて対峙していた。
いくら強者といえど、生物の範疇内にあるからには酸素を求めるのが自然。
だが、これではキリバがギコの酸素補給を待ってやっているかのような光景だった。
いや、実際その通りである。
そしてだからこそ、ギコは違和を感じられずにはいられない。
(メ,,゚Д゚)「……解せんぞ異獣」
メ(リ゚ ー゚ノリ「お?」
戦いを開始してから、常に感じていた妙な感覚の正体とは――
(メ,,゚Д゚)「何故、貴様は俺ばかりを相手する?」
そう、目の前で好戦的な笑みを浮かべるキリバは、
まるでギコにしか眼中にないかのような戦い方をしている。
しぃやジョルジュ、ショボン達の攻撃は回避か防御だけで済まし、残る攻撃の意志は全てギコに注いでいるとしか思えないのだ。
- 106: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:32:47.73 ID:8H9+v4j70
- メ(リ゚ ー゚ノリ「…………」
(メ,,゚Д゚)「隠しても無駄だ。 既に確信を持っているからこそ聞いたのだから」
メ(リ゚ ー゚ノリ「へぇ、どうやらテメェはタイプが異なるみてぇだな」
(メ,,゚Д゚)「…………」
メ(リ゚ ー゚ノリ「短絡的じゃねぇし、愚直でも猪突猛進でもねぇ。
他の奴らとはちょっと違う。 成程な」
キリバの言葉を、ギコは理解することが出来なかった。
――『他の奴ら』とは誰のことか、と。
背後にいるのは仲間達だ。
だが、短絡的で愚直で猪突猛進なのはジョルジュだけである。
しぃやショボンは、彼の言う人間性のカテゴリーには当てはまらない。
(メ,,゚Д゚)「何を、言っている……?」
メ(リ゚ ー゚ノリ「何も知らずに死ぬのは嫌か。
だったら教えてやるよ」
嫌な予感、と言うべきか。
薄ら寒いものがギコの心臓を撫でる錯覚。
メ(リ゚ ー゚ノリ「――全てテメェのことさ」
- 111: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:34:25.45 ID:8H9+v4j70
- 静かに、ギコだけにしか聞こえない呟きのような声は、しかし耳に大きく残響した。
メ(リ゚ ー゚ノリ「俺はな、ギコに殺されたんだよ」
(;,,゚Д゚)「…………っ」
メ(リ゚ ー゚ノリ「嘘言うんじゃないって? ハハ、そりゃあ見当違いな疑問だわなぁ。
さっきテメェが言ったはずだぜ。 『既に確信を持っているからこそ』ってよ」
確かにキリバがギコを執拗に狙うのも、それなりの理由があるとは思っていた。
しかし、返ってきた言葉は『殺された』。
探れる記憶の範囲内には、まったく心当たりがない。
キリバ自身はギコに殺された、と言ってはいるが彼にそのような経験はないのだ。
(メ,,゚Д゚)(だが、意味のない嘘を吐くような奴ではなかろう。
何か意味があるはず……)
見れば、不敵な笑みを浮かべるキリバがいる。
どうやら考える時間を与えているつもりらしい。
- 114: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:35:35.57 ID:8H9+v4j70
- (メ,,゚Д゚)(奴は異獣……最強を名乗る生物……世界を渡り、力を……)
思った時、思考の端に引っかかるものが一つ。
異獣は世界を渡り歩き、更なる力を求める強欲な獣だ。
以上の旨、そしてこれまでの発言を勘案すると、ギコは一つの事実に辿り着くこととなる。
それは、キリバが彼に執着する理由として充分に納得出来るものだった。
(メ,,゚Д゚)「まさか貴様……」
平行世界が在るならば、平行存在もあり得るという答えに行き着くまで時間は必要ない。
相手はその平行世界を渡るのならば、様々な平行存在も見てきたことだろう。
当然、ギコの名を持つ存在をも延々と、何度となく。
- 121: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:37:05.44 ID:8H9+v4j70
- おぼろげながら解ってきた事実に、自然とグラニードを掴んでいる手に力が込められた。
視線は冷たくなり、目の前でヘラヘラと笑う赤髪の男を睨む。
メ(リ゚ ー゚ノリ「気付いたか。 そう、俺は――」
(メ,,゚Д゚)「――おい」
何故か自慢げに放たれ掛けた言葉を、しかし拒むように、
(メ,,゚Д゚)「たったそれだけのため、この俺に挑んできたというのか」
メ(リ゚ ー゚ノリ「は? ……それだけ? 今、それだけって言ったか?」
(メ,,゚Д゚)「いつまでも何かに固執している人生が、とても誇れるとは思えんのでな。
そんな貴様に一つ言っておいてやろう」
単にギコは許せなかったのだ。
この男は、そのような下らない意味を以って戦おうとしていたのを。
だから、言った。
(メ,,゚Д゚)「――依存はただの停滞だ」
- 124: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:38:05.64 ID:8H9+v4j70
- かつては己に向かって投げかけられた言葉。
その意味を理解したからこそ、今、目の前にいる敵が許せなかった。
故に、『忠告』の声は当然の帰結である。
ギコが気に入らないのは動機ではない。
敵が己を見て戦っていない、という一点が酷く苛立たせたのだ。
メ(リ ー ノリ「――――」
対するキリバは笑みを止めてしまっていた。
身体こそ震えを起こしているが、しかし表情だけ時が止まったかのように。
それは見る者に仮面を連想させた。
彼は、そうか、と深く息を吸い
メ(リ#゚ ー゚ノリ「――だったら殺してやるよォォォォ!!」
途端、キリバの身から不可視の波動が放たれた。
(メ,,゚Д゚)「ッ!!」
(;゚∀゚)「おぉ!? なんだぁ!?」
正体は殺気。
キリバの目的を考えれば、ヤツ自身が持つ全ての憤怒だ。
『ギコ』という存在に対する抑え切れぬ憎悪が、戦場の空気を焦がす。
- 126: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:39:31.55 ID:8H9+v4j70
- メ(リ#゚ ー゚ノリ「今までのどんなギコよりテメェはムカつきやがる!!
そうさ! 俺は単に復讐してるだけだよ!!」
(メ,,゚Д゚)「だったらソイツに言ってやれば良いだろう――!」
メ(リ#゚ ー゚ノリ「死んでたんだよ!! 俺がこうして生き返った頃には既になぁ!」
(メ,,゚Д゚)「だから他の世界の俺まで殺して回ると言うのか!?
どれだけの数の世界があると思っている!? だとすれば、お前の復讐は――」
メ(リ#゚ ー゚ノリ「終わらねぇことくらい解ってるさ……!」
金属の擦れる音が響いた。
それは不規則に単一で鳴っていたかと思えば、次第に音を重ねて巨大になっていく。
音源は足下。
キリバの足を構成するマシンが、唸りを上げて動き始めたのだ。
高速回転するナットのような部品が空気を巻き込み、引き裂きの重音を周囲に撒き散らす。
メ(リ#゚ ー゚ノリ「だが、俺はそんなに物分かりが良い奴じゃねぇんだ!
こうするしか自分の感情を抑え切れないんだよ――!!」
羽織っていた布を剥ぎ取れば、無骨な腕が姿を見せた。
機械で占められた巨腕は分厚く重い。
低い駆動音を響かせ始めた二本のそれは、獲物を前にした獅子のような迫力を持っている。
- 131: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:41:02.27 ID:8H9+v4j70
- メ(リ#゚ ー゚ノリ「だからテメェ『も』殺すのさ!!」
(メ,,゚Д゚)「勝手な理屈で殺される身にもなれ!」
メ(リ#゚ ー゚ノリ「戦いってのはそういうもんだろう!?」
(メ,,゚Д゚)「お前達の低俗な戦いと一緒にしてもらっては困る!」
メ(リ#゚ ー゚ノリ「あああああああああムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつく!!!
楽には殺さねぇぞテメェ! 俺の怨念を全て受け、絶望して死ね!!」
本格的な戦闘が始まった。
今までのぶつかり合いは、いわばウォーミングアップ。
人知を超える獣が、ついに本気で人へ牙を剥く。
メ(リ#゚ ー゚ノリ「まずは教えてやる!」
地が爆ぜた。
(メ,,゚Д゚)「!」
迎撃にグラニードを構えるギコ。
関わらず、その駆動音唸る巨腕を振りかぶるキリバ。
両者、一歩も退かずに激突する。
メ(リ#゚ ー゚ノリ「俺はテメェのせいで死んだ! テメェという存在がいなければ、今頃俺は、俺は――!!」
(メ,,゚Д゚)「言いたいことが理解出来んな!」
メ(リ#゚ ー゚ノリ「だったら身を以って知れよ……殺される恐怖ってヤツをなぁぁぁ!!」
- 135: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:42:30.69 ID:8H9+v4j70
- 足首の金属が更に回転速度を上げる。
生み出される大気の渦が、周囲の荒れ地を削った。
ど、という大音。
示す事実として、キリバの足下が破砕する。
(メ,,゚Д゚)(……何という魔力量だ)
見る限り、グラニードが纏うそれの二倍はありそうだ。
あの状態での攻撃を受け続ければ、武器破壊という事態さえ引き起こされかねない。
ならば、とギコは人差し指をトリガーに引っかけた。
これを引けば、セットされているマジックカートリッジから魔力の供給を受けられる。
纏う量が多くなるということは、単純に攻防力の上昇に繋がる。
いちいちリロードしなければならないが、受けられる恩威の効果は絶大だろう。
メ(リ#゚ ー゚ノリ「おおおらぁぁぁあ!!」
怒りに瞳を燃やすキリバが、咆哮と共に向かい来る。
(メ,,゚Д゚)(回避はむしろ危険――迎撃するしかない!!)
覚悟と同時、拳と剣がぶつかった。
- 137: ◆BYUt189CYA :2007/12/29(土) 18:43:56.66 ID:8H9+v4j70
- メ(リ#゚ ー゚ノリ「だぁぁぁぁぁぁりゃあああああ!!」
(メ,,゚Д゚)「うおおおおぉぉぉぉぉッ!!」
ここからは完全に力と力のせめぎ合いとなる。
一歩でも退けば、そして一瞬でも気を抜けば雪崩のように勝負が決まるだろう。
両者共に理解しているからこそ、肌を魔力に灼かれながらも勢いを止めない。
弾ける。
(メ,,゚Д゚)「お前の恨みはこの程度か……ならば俺には届かんぞ!」
言う間にカートリッジリロードを行なう。
少しでも時間を稼がねばならない。
リロードの暇すらない連続攻撃に踏み込まれてしまえば、敗北は確実だ。
メ(リ#゚ ー゚ノリ「まさか俺を殴る蹴るしか出来ねぇ単細胞、とか思ってんじゃねぇだろうな?」
(メ,,゚Д゚)「…………」
メ(リ#゚ ー゚ノリ「だったら見せてやろうじゃねぇか!」
応じるように変化があった。
キリバの右腕、その先端である手が内部へ格納されたのだ。
先ほどのパイルバンカーと同じ光景だが、続きが違っている。
(メ,,゚Д゚)(何も出てこない――!?)
てっきり同じ攻撃が来ると思っていたギコは、前進か後退かの判断を迷ってしまった。
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