( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

7: ◆BYUt189CYA :2008/01/30(水) 19:38:29.82 ID:6/Vur52L0
西の戦場に降り立った影は、銀の色を放っていた。

从ξ゚ -゚ノリ「…………」

それは疑いの声を受ける人物。
前髪の一房を金に染めた彼女は、無という感情を振りまいて立つ。

「あ、あれは――」

硬い唾を呑み込んだ一人の兵が、そう呟く。
西のメンバーにおいて銀髪の彼女に由縁を持っていると思われる人物は多い。
いや、それを差し引いても、人員の大半が彼女に様々な興味と恐怖を抱いていた。

未だ不明な正体は何なのか、と。
そして、もし最悪の結果だった場合、自分達は一体どうすれば良いのか、と。

从ξ゚ -゚ノリ「…………」

しかし、彼女からは何も語ろうとしない。

ミ,,"Д゚彡「……御嬢様」

('A`)「…………」

そして、相対するように視線を向ける二人も同様だった。


    第四十九話 『四方決戦 Ver/West 【Turning point of Moment】』



9: ◆BYUt189CYA :2008/01/30(水) 19:40:32.59 ID:6/Vur52L0
対応する二人と、現れた一人の関係は一言で片付けられる。

一方は、主従。
一方は、友人。

言葉こそありふれたものではあるが、
その内容の云々など、ここまで物語について来てくれた読者には言うまでもないかもしれない。

一人は親愛を示し、一人は真愛を示している。

前者は主人として、後者は女性として、彼女に想いを持っていた。
難儀な気概を持つ彼女は、その想いを真正面からは受け取ることをしなかった。
ただ、何度も向かい来る感情に対し『少しだけ応えてみようか』などと思っていた矢先に、

从ξ゚ -゚ノリ「――――」

まさか、こんなことになろうとは誰が予想しただろうか。

だがしかし、と思う声もある。
彼女が彼女であるという証拠は、まだないはずだ、と。
確かめるべきは、最も縁の深い――

ミ;,,"Д゚彡「……っ」

フサギコの役目だと、皆が思っていた。
その声無き声を背に感じたのか、代表するように彼は一歩踏み出す。

ミ,,"Д゚彡「――貴女は、私の知る御嬢様なのですか?」



11: ◆BYUt189CYA :2008/01/30(水) 19:42:26.72 ID:6/Vur52L0
放たれた言葉は一縷の望みを表していた。
仮に彼女がツンではないとすれば、それこそ全力を以って打ち倒すことが出来るからだ。

しかしそれは逆に、ツンという存在が既に無いという証明にも繋がってしまう。

要するに、どちらに転んでもフサギコからすれば複雑な状況が待っているのだが
ならばいっそ、という気持ちが決して無いわけではなかった。

だが、それを感情が許さないのも事実である。
故に目の前の彼女がツン本人である方を、フサギコは無意識に望んでいた。

从ξ゚ -゚ノリ「…………」

反応と呼べる動作はない。
虚ろな目で、警戒の姿勢をとる西軍の面々を見渡している。
少し離れた正面に立つフサギコなど、見えていないかのようだった。

( ´_ゝ`)「さて、どーっすっかねコレ」

(´<_` )「俺達はリーダーの意見に従うが」

ミ,,"Д゚彡「……結論を出すには情報が足りません。
      彼女が無事なのか否か、あの女性が御嬢様なのか。
      せめて、それだけでも知りたい」

( ´_ゝ`)「だなぁ。 もし仮に彼女がツンちゃんであったとして、それに気付けないでフルボッコじゃ色々とまずい。
     倫理的な意味でも感情的な意味でも」



12: ◆BYUt189CYA :2008/01/30(水) 19:43:51.86 ID:6/Vur52L0
軽く放たれた言葉に、フサギコは少し鋭い視線を向ける。
兄者は肩をすくめ、

( ´_ゝ`)「悪いな。 けど事実だろ」

ミ,,"Д゚彡「…………」

(´<_` )「別に『俺達は関係ない』なんて言うつもりはないさ。
     出来る限りサポートするし、助けたいとも思ってる」

任せろ、と言うように、双子の兄弟はそれぞれの武器を掲げて見せた。

ミ,,"Д゚彡「……感謝します。
      けれど、まずは助けられるか否かの確認が先です。
      それまで勝手な行動は控えて下さい」

( ´_ゝ`)「OK。 アンタの拳は痛そうだしな」

('、`*川「――そんな時間があれば良いんだけど」

声を割り込ませたのは、その間に一度たりとも銀髪の女から目を離していないペニサスだ。
既に軽い戦闘体勢に入っている彼女は、誰ともなく呟く。

('、`*川「向こうは俄然ヤる気みたいよ?」



14: ◆BYUt189CYA :2008/01/30(水) 19:45:13.00 ID:6/Vur52L0
从ξ゚ -゚ノリ「…………」

一歩、また一歩。
力無く不気味に近寄って来る姿はゾンビを連想させる。

しかし手に持つ黒い大鎌が、歩く死体などではなく死神だと如実に物語っていた。

('、`*川「答えを出したいなら勝手になさい。
     ただし、このままだと確実に全滅するから――」

ミ;,,"Д゚彡「ですが――!」

('、`*川「人の話は最後まで聞きなさい」

遮るように言い、

('、`*川「何もしないままだと全滅するから、とりあえず戦う。
     ただ、倒されないギリギリを見極めて時間を稼ぐ感じで。
     解らないのに答えを決めちゃうのは辛いのは、私も知ってるから」

思いがけない提案であった。
そして、ありがたい理解の言葉でもあった。

彼女は英雄である。
性格や所属から勘案して、問答無用で敵を屠ることを第一に考えるかと思っていたのだが
そこまでの制御出来ない闘争心を持っているわけではないらしい。



15: ◆BYUt189CYA :2008/01/30(水) 19:46:43.92 ID:6/Vur52L0
('、`*川「ただし同時に彼女を倒すための準備も進めるよう指示する。
     もし駄目だった場合、速攻でケリを着けたいからね」

つまり、一緒に戦っても良い、と。
少しの時間なら稼いでやるから、その間に呼び掛けてみて判断しろ、と。
彼女はそう言っているのだ。

ミ;,,"Д゚彡「あ、ありがとうございます!」

('、`*川「ま、私だってハッピーエンドが好きだもの。
     そのための努力なら、ちょっとくらいやっちゃってもいいかなってさ
     ただし足を引っ張るのは無しよ」

言い切ったペニサスが歩き出す。
背後からフサギコがついて来るのを感じながら、敵を見る。

从ξ゚ -゚ノリ「…………」

身体が向いた先には、正体不明の死神が一人。

ペニサスの闘気を感じ取ったのか足を止め、鎌を抱き締めるようにして構えた。



17: ◆BYUt189CYA :2008/01/30(水) 19:48:09.12 ID:6/Vur52L0
('、`*川(さて、とりあえずどうしましょーかね)

戦いとは読み合いの応酬でもある。
事前に気配を読み取り、敵の強さを推し量り、対応すべき行動を考える。
それを実行に移し、実際得た情報との差異を調整しつつ、相手に勝てる動きを目指すのだ。

そして、対峙してみて初めて解ることもある。

('、`*川(うっわー……)

まず感じ取れた事実は、絶望的なまでに隙がないという点。
というよりも気配そのものがない。
気配が無ければ、相手の動きの予兆を感じることが出来ない。

ペニサス程のレベルの強者になれば、相手の動きを先読みすることを前提として戦闘が展開される。
莫大な経験によってはじき出される直感により、数手先を考えつつ動くのが基本だ。
だが、そこに気配がない敵が出てくればどうなるか。

从ξ゚ -゚ノリ「――――」

('、`*川(やり難そうな相手だなぁ。
     こりゃ、もしかするともしかするかも解らんね)

ミ;,,"Д゚彡「御嬢様……!」

銀髪の女が身を揺らす。
沿うように大鎌が地面と水平に構えられる。

それを睨みつつ、ペニサスは遺書を書いてこなかったことを少し後悔した。



20: ◆BYUt189CYA :2008/01/30(水) 19:49:36.19 ID:6/Vur52L0
今までで最高潮の緊張が走る西の戦場。

中心はペニサスとフサギコ、そして銀髪の女で、緊張の根源もそこだ。
そこから少し離れた場所で皆が動向を見守っている。

更には、

( ´_ゝ`)「さて、俺らは……」

(´<_` )「うむ、不本意ではあるが準備を進めよう」

双子が顔を見合せ、それぞれの指輪を掲げた。

( ´_ゝ`)「もしあの女がツンちゃんじゃなかったり、ツンちゃんであっても助けられないと確定した時。
     フサギコさんの代わりに俺達が手を下さなきゃならん」

(´<_` )「だが、彼女ほどの存在を倒すには強力な攻撃が必要だ」

( ´_ゝ`)「だから俺がそれを作り上げる」

(´<_` )「そして俺がそれを守り通す」



23: ◆BYUt189CYA :2008/01/30(水) 19:50:55.73 ID:6/Vur52L0
頷いた二人は足を数歩後ろへ下げた。

適度な間合いを得た弟は銀髪の女へ、つまり兄と同じ方向を向く。
そのまま12th−W『ジゴミル』を解放する。

(´<_` )「さぁ、ここが正念場というモノだな。
     ジゴミル……頼むぞ」

対し、兄者も4th−W『アーウィン』を解放した。
右手に重さが現れ、そして光の線が四角の形を描き、本という存在を確定する。

( ´_ゝ`)「今日の俺は一味違うぞ。
     ようやく本領発揮といこうじゃないか、なぁ?」

同意を促す問い掛けにアーウィンが応えた。
その直後、一陣の風と共に兄者の周囲に異変が起こる。

足下だ。

兄者を中心とした半径三メートルほどの範囲に、
桃色の魔方陣のような光の模様が浮かんだのである。



26: ◆BYUt189CYA :2008/01/30(水) 19:52:39.83 ID:6/Vur52L0
「おぉ! すっげぇ」

(*´_ゝ`)「むふふ、そうだろうそうだろう」

「何か魔法使いっぽく見えるぞ!?」
「ってかアレは本当に兄者なのか……ま、まさか偽者?」
「確かにあんなかっこいい雰囲気を持つ兄者はこちらとしても断固受け付けないと言うか」

( ´_ゝ`)「おいちょっと待て、泣くぞ」

「泣くと宣言しつつ嘘泣きしながらのガチ泣き……! やっぱりアレは兄者だ!」

よく解らない激励を受けながら、兄者は魔方陣を植えつけていった。
光が徐々に増え、逆カーテンのような形を帯びていく。
次いで、ひ、という高い音が付属した。

( ´_ゝ`)「時が来るまで、限りなく魔力を練り上げていく。
     弟者、ガードは頼むぞ」

(´<_` )「任せておけ兄者。
     俺は戦いにおいてこれしか能がないが、だからこそ誰にも負けんつもりだ」

二人が不敵な笑みを浮かべた時。
その前方で、甲高い撃音が響いた。

(´<_` )「――始まったか」

( ´_ゝ`)「大丈夫だ、ペニサスさん達ならきっと」



31: ◆BYUt189CYA :2008/01/30(水) 19:54:18.16 ID:6/Vur52L0
(´<_` )「ところでカメラとか準備していなくて良いのか?」

( ´_ゝ`)「む? 何故だ?」

(´<_` )「いや、ほら。 ペニサスさんの服装的に考えて、
     激しく動いた時に見える下着的なものを――」

( ´_ゝ`)「……あのさ、弟者。 俺だって流石に空気読めるよ?
     それに今は手が離せないわけで」

(´<_` )「ふむ、それはすまなかった」

( ´_ゝ`)「だから他の奴に頼んどいた」

(´<_` )「……兄者に心から接するのが馬鹿らしくなるなぁ」

(;´_ゝ`)「う、嘘! ちょっと場を和ませるために言ってみた冗談だ!
     だからそんな遠い目は止めて、俺を見てくれ!」

あぁ空気読めてない辺りやっぱりアレは兄者だな、と皆が安息する中、

('A`)「…………」

一人、装甲車の屋根上にいるドクオは、開始された戦闘を凝視していた。
銀髪の女の挙動一つ一つを、そして微かな違和感も見逃さぬよう。

その瞳には、言い得ぬ意志が確かに宿っていた。



32: ◆BYUt189CYA :2008/01/30(水) 19:55:57.03 ID:6/Vur52L0
撃音が響く。
ペニサスと銀髪の女がぶつかり合う音だ。

一人は両脚を武器とし、一人は黒い大鎌を武器とする。

どちらも高速だ。
ただ、質が異なっている。

二人の動きは動と静。

('、`*川「……ふっ!!」

从ξ゚ -゚ノリ「――――」

激しく動き、跳び、激流のような攻撃を仕掛けるのがペニサスで
対し、その中心点で鎌を構えて静かに迎撃するのが銀髪の女だ。

何もかもが異なる両者ではあるが、その力は拮抗していた。

ミ,,"Д゚彡「……っ!」

その中を縫うように走るフサギコ。
手には、魔法世界の技術で作られたブレードタイプのEWが握られていた。
拳と斬撃の間を潜り抜け、出来るだけ近くで銀髪の女の様子を見ようとする。

だが、彼女はそう簡単に隙を見せてくれない。



34: ◆BYUt189CYA :2008/01/30(水) 19:57:42.61 ID:6/Vur52L0
ミ;,,"Д゚彡(せめて私の手に3rd−Wがあれば――)

持っているブレードでは、銀髪の女に対抗することは難しかった。
西軍の中でまともに対することの出来る戦力はペニサスのみ。
故に自分の役割は、銀髪の女の正体を見極めるために走るしかない。

何と歯痒いことか。

力がない自分を、ここまで恨めしく思ったことはない。
執事としての能力は決して低くないと自負してはいるが、この場面で役立つことはないのだ。

ミ,,"Д゚彡「……っ」

手を出せない悔しさに、フサギコは固く拳を握り締めた。

('、`*川(ふぅむ)

ちょっと休憩、と距離をとりながら足を止めるペニサス。
少し荒れた息を整えつつ、何度かぶつかってみての敵の強さを吟味する。

从ξ゚ -゚ノリ「…………」

力はこちらが勝っている。
速さもこちらが勝っている。
反応速度も戦闘経験だって負けているつもりはない――はず。

だが、何故か圧倒することが出来ないでいた。



35: ◆BYUt189CYA :2008/01/30(水) 19:59:19.97 ID:6/Vur52L0
('、`*川(どゆこと……?)

敵の動きは愚鈍そのもの。
足捌きはまったく見ていられないし、身体の動かし方からして何か間違っているとしか言いようがない。
ペニサスからすれば、銀髪の女の動きは素人以下のはずである。
だというのに、未だ一撃すら与えることが出来ない。

('、`*川(やっぱり異獣だからなのかなぁ)

異獣とは、世界を食う獣。
喰えば喰った分だけ力を蓄えることが出来る。
そして、各能力を最も高い値に更新し続ける際限のない敵。

それがあの女にも適用されているとすれば、彼女のデタラメな戦闘力の説明はつく。
だが、

('、`*川「それじゃあ、今度は変な動きの説明が出来なくなるんだよねぇ……」

相手は常に最適化しながら戦うようなもの。
その動きは常に、知り得る中での最強最速でなければならない。
しかし、銀髪の女の動きは――

('、`*川「!」

瞬間、し、という鋭い音が聞こえたと同時、

从ξ゚ -゚ノリ「――!」

銀髪の女の肩部に、光が直撃した。



38: ◆BYUt189CYA :2008/01/30(水) 20:00:45.89 ID:6/Vur52L0
誰もが突然のことに目を見開く中、銀髪の女の姿勢が僅かに揺らぐ。
しかしその隙をペニサスは突くことが出来なかった。
別のことに意識をとられていたである。

('、`*川「アンタ……」

ペニサスは、その超人的な動体視力で光弾の来た方角を把握していた。
その先にいる人物を呆然と見つめる。

('A`)「…………」

離れた場所に停まっている装甲車の屋根部分。
今しがた撃ったカートリッジを排莢しているのは、ドクオである。
落ちたカートリッジの金属部が、やけに大きな音を立てた。

誰もが、動けないでいた。

今までの彼ではない雰囲気を感じ取ったのか。
その空気は、味方はおろか敵である銀髪の女の動きさえも止まらせている。

ミ;,,"Д゚彡「な、何を――」

ようやく我に返ったフサギコが問うと同時

从ξ゚ -゚ノリ「っ!」

光弾が再度、銀髪の女に襲い掛かった。



40: ◆BYUt189CYA :2008/01/30(水) 20:02:13.32 ID:6/Vur52L0
('、`*川「何だ何だぁ?」

ミ;,,"Д゚彡「何をしているんですか、ドクオさん!?」

ようやく事態を呑み込むことが出来たフサギコは、慌ててドクオの元に駆け寄る。

ミ;,,"Д゚彡「まだ本格的な攻撃は控えて下さい!
       彼女を助けられるかどうか――」

('A`)「…………」

ドクオは、まるで聞こえていないかのようにリロード作業を続ける。
何かにとり憑かれているとも思える光景だ。

その様子を、更に遠巻きに見る目がある。

( ´_ゝ`)「何やってんだ、ありゃ」

(´<_` )「どうやらドクオが暴走しているらしい」

( ´_ゝ`)「ふーん……」



49: ◆BYUt189CYA :2008/01/30(水) 20:03:46.15 ID:6/Vur52L0
意識を集中させつつ、兄者はちらりとドクオの方を見る。
それによって魔法陣が少し歪んでしまったのを修正し

( ´_ゝ`)「ありゃあ暴走とはちーっと違う気もするがなぁ……」

(´<_` )「?」

兄者の意味深な言葉に、弟者が首を捻る。
どう見ても突っ走っているようにしか見えないのだが、この兄は別の側面を見ているのだろうか。

とはいえ、こんな兄である。
適当なことを言っている可能性は否めないだろう。
だが、たまに的を射るような鋭いことを言ったりもするのも事実なわけで。

(´<_` )(ややこしい兄だ)

( ´_ゝ`)「何か言った?」

(´<_` )「いいや、何も。 兄者は自分のことに専念しておいてくれ」

( ´_ゝ`)「把握」

(´<_` )「……大事にならなければ良いが」

盾を構えたまま弟者は誰にも聞こえないよう、そう呟いた。



56: ◆BYUt189CYA :2008/01/30(水) 20:05:55.04 ID:6/Vur52L0
戦いの場は軽度の混乱に包まれていた。
ペニサスと銀髪の女がぶつかり合う中、割って入るようにドクオの射撃が来るのだ。

テンポを崩されるペニサスは苛立ちげに舌打ちするが
それで好き勝手に撃ってくるドクオが止まるわけもない。

('、`*川「まったく……どいつもこいつもワケ解らんわー」

た、と軽いステップを刻みながら愚痴をこぼす。

別に自分が狙われているわけではない分マシだが、
フェイントのために後退した直後の射撃は勘弁してほしい。
それはフォローでも何でもなく、ただの邪魔である。

ミルナやヒートレベルの人間ならば、動きを読み取った上でのサポートが出来るかもしれない。

だが、ドクオはあくまで素人なのだ。
そんな知識も経験も何もかもが追い付いていない攻撃など、敵味方両者からすれば障害にしかならない。

('、`*川「ま、そんなの無視出来るけど――ねッ!!」

ダッシュ、跳躍、撃蹴。
高速の勢いと共に速度の跳ね上がった一撃を、銀髪の女に見舞った。
硬い音は、金属と骨が激突するものだ。

从ξ゚ -゚ノリ「――……」

横薙ぎに払われた脛を鎌の柄で受け止めた彼女は、その首を奇妙な方向にまげる。



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