( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです
- 7: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 20:06:39.48 ID:TNojT3sl0
- 四方の分隊が、四体の異獣との戦闘を開始した丁度その頃。
通信を妨害され、各地の状況が不透明となってしまった今
本陣として構えてあるここでは軽い混乱に陥っていた。
その中で最も早く現状を理解したモララーは、状況打破のために指示を飛ばす。
まず、慌てるな、と。
そして、今を確認しろ、と。
原因解明は最初から放棄していた。
敵ががこちらの知に及ぶ存在ならば『やってみよう』とも思えたかもしれないが
相手が相手であることを考えれば、上手く解明出来たとしても対抗手段がない可能性が高かった。
だから、彼らは落ち着いて対応する。
こういう時こそ足を地にしっかりと置き、出来る最良の動きをとらねばならないのだ。
しかし最大の危機であることは間違いない。
現状は言わば、綱渡りの途中でバランスを崩された状態である。
故に皆は真剣に、そして必死に何とかしようともがいていた。
ここでもまた、一つの決着があることを誰もが予感しながら。
第五十話 『終わる仇討ち (表)』
- 13: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 20:08:52.90 ID:TNojT3sl0
- [゚д゚]「場所空けろ! 馬鹿が帰ってきたぞ!!」
そんな中にデフラグの怒号が通り、周囲にいた兵達が慌てて退避する。
少し広く作られたスペースに、巨大質量が風を散らしながら降り立った。
灰色のボディを持つのは、エクストの駆るGDFである。
[゚д゚]「よし! さっさと補給だ!」
応、と様々な機具を手に持った男達が駆け寄る。
脚立を設置し、長いホースやPCを繋いでいった。
それと時を同じくして、空気の抜けるような音と共に風防が開いていく。
<_プー゚)フ「ふぃー……誰か飲み物頼むわぁ」
[#゚д゚]「こっちは忙しいんだっつの! 自分で取りに行きやがれ!!」
(;><)「は、はい、飲み物なんです!」
[#゚д゚]「テメェは人が好過ぎるんだよ! 無視してこっち手伝え!」
手に持つ工具を投げそうな勢いで言うデフラグに
エクストは肩をすくめて『冗談が通じねぇオッサンだ』と呟いた。
- 16: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 20:11:33.70 ID:TNojT3sl0
- 慣れた手つきで機体から降りたエクストは、機体のボディを軽く叩く。
<_プー゚)フ「お前、良い感じだ。 また頼むぜ?」
(*‘ω‘ *)「ぽぽー」
<_プー゚)フ「おおう、お前も頑張ってくれよな」
チンから手渡されたタオルを手に、エクストは少し離れたところに置いてあるボックスに腰掛けた。
<_プー゚)フ「…………」
一瞬の沈黙の後、周囲に誰もいないことを確認し
<_;プー゚)フ(うぁぁぁぁあああ……足がガクガクするぅぅぅうう)
しっかり気を張っていなければ崩れ落ちそうだった。
いくらエクストとはいえ、あの敵の群れの中で生き残れたことに奇蹟を覚えていたりする。
上下左右全てが敵で埋め尽くされている戦場など、そもそも初体験であった。
幸いと言うべきは、その敵が遠距離攻撃手段を持っていなかった、ということか。
それでも危険であることには変わりない。
もし機体のどこかにしがみ付かれたりすれば、速度を命とするGDFの致命傷となる。
その中を飛び、生きて帰れたことに心底感謝した。
- 17: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 20:14:39.76 ID:TNojT3sl0
- だいぶ消費してしまった水分を補給しつつ、思い出したかのように溢れ出す汗を拭い
<_;プー゚)フ(マジで死ぬ覚悟だったんだが、
こうやってまた地面を踏めるとは……人生って素晴らしい)
シャキンが聞いたら鼻で笑われかねない発言を平気で吐き出した。
それほど、彼の精神は疲弊してしまったらしい。
と、音が聞こえる。
周囲から響く機械音ではなく、遠くから来る飛行音である。
<_プー゚)フ(シャキンか?)
自分でさえこの様だったのだ。
ここまでは酷くないにしろ、疲れ切っている相棒の顔を見るのが少し楽しみでもある。
だが、帰還してきたのは彼の期待した存在ではなかった。
青色。
そして、人の形をした巨大な機械人形。
――EMA『リベリオン』だ。
- 22: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 20:17:09.97 ID:TNojT3sl0
- 攻撃を受けたのか、千切れたバックパックを抱えて地面に降り立った青い機械。
突然の第二波に、休憩していた整備兵が慌てて腰を上げた。
<_プー゚)フ「……へぇ、あの御嬢ちゃんも無事か」
多くの仲間は未だ生死不明である。
とりあえず、一人の無事が解っただけでも儲けものだ。
コクピットが開く。
膝立ち状態のEMAから一人の女が飛び降りた。
驚くほど綺麗に着地したのはレモナだった。
だが、その表情に明るい要素は一つもない。
どうやら相当まいっているらしい。
<_プー゚)フ(ま、しゃーないか。
EMAと俺らは孤軍奮闘するようなもんだしな)
周囲に仲間がいるかいないか、という要素は非常に大きいものがある。
彼でこんな状態ならば、彼女の疲労は想像を絶するものだろう。
もしかしたら緊張を解いた途端に倒れてしまうことだって考えられる。
|゚ノ ^∀^)「…………」
黙ってこちらに歩いてきた彼女はエクストを一瞥すると、すぐに目を背けた。
近くにあったボックスに座り、大きな溜息を吐く。
単純に溜息とは言うが、その属性はネガティヴなものではなかった。
- 26: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 20:19:46.68 ID:TNojT3sl0
- <_;プー゚)フ(うーわ……こいつキレてやがる)
これだから子供は、と声にならぬ声で言う。
何と言えば良いのか。
レモナの溜息は、身体中に溜まった怒りを吐き出したかのような音が込められていたのだ。
<_プー゚)フ「よぉ、これ飲む?」
ボックスから取り出した飲料水を見せる。
が、その厚意は呆気なく無視された。
<_プー゚)フ「なぁなぁ、聞いて――」
|゚ノ#^∀^)「――うっさい!!」
<_;プー゚)フ「おぉ怖っ。 そこまで怒鳴ることねーじゃんかよー」
それでもとりあえず飲料水を投げる辺り、彼は意外と御人好しなのかもしれない。
無論、それをしっかりと受け取るレモナもだ。
……気まずい沈黙が流れる。
周囲では騒がしく駆け回る整備兵などが見えるが、ここだけは妙に静かだった。
もしかしたら気を遣われているかもしれない、とエクストは苦笑する。
そんなことをしなくても良いのに、と。
- 27: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 20:22:17.71 ID:TNojT3sl0
- <_プー゚)フ「ったく、大変なのは俺らだけじゃねーのになぁ?」
|゚ノ#^∀^)「…………」
<_プー゚)フ「んだよー。 返事くらい寄越せよー。 寂しいじゃんかよー」
|゚ノ#^∀^)「うるさいって言ってるでしょ?」
<_プー゚)フ「何気負ってんだよ、お子様」
|゚ノ#^∀^)「――ッ!!」
放たれた言葉に、レモナが感情を表すように勢いよく立ち上がる。
それをエクストは冷ややかな目で見た。
<_プー゚)フ「御嬢ちゃんだけじゃねーんだ。
誰もが怖ぇし、誰もが勝ちたいと思ってる。
背負ってるモンは皆、同じなんだよ」
|゚ノ#^∀^)「何かを失った気持ちがアンタなんかに――!!」
<_プー゚)フ「そういう考え方してるからお子様なんだろーが。
そんなんだから世間から『ゆとり』なんて呼ばれンだよ」
|゚ノ#^∀^)「――ッ!!」
これには相当頭にきたか、遂にレモナは会話を打ち切るようにそっぽ向いてしまった。
あちゃー、と額に手を当てるエクストの狙いは別のところにあったのだが
もはや両者の関係はレッドゾーンを軽々と突破してしまったようだ。
- 30: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 20:24:35.95 ID:TNojT3sl0
- <_;プー゚)フ(機嫌損ねさせてどーすんの俺……)
明らかに失態である。
鼓舞するならまだしも、苛立ちを募らせてしまうとは。
これが原因で死なれでもしたら泣くに泣けない。
どうにかしてフォローを入れなければなるまい、と覚悟したエクストは
出来るだけ軽い調子で
<_;プー゚)フ「あー、そのー、つまりアレだ。
……ゆとりはゆとりらしく、ゆとりを持てっていうか」
|゚ノ#^∀^)「……は?」
<_;プд゚)フ(あわわわわわわわわ)
この時のレモナの顔を、エクストは一生忘れることは出来ないだろう。
年下に、これ以上ないというほど完全に見下された衝撃は割と大きい。
空気を和ませようとした矢先の反応では、尚更だった。
- 31: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 20:26:55.59 ID:TNojT3sl0
- |゚ノ#^∀^)「アンタいい加減、空気読みなさいよ?
こんな時にふざけたこと言って何がしたいのよ?」
<_;プー゚)フ「えっと……」
|゚ノ#^∀^)「皆が頑張ってるってアンタが言ったわよね?
そうよ、頑張ってるわよ。 私だってアンタだって命晒して戦ってるわ。
だったら何でそういうふざけたこと言って私を苛立たせるの?
ねぇ? 敵なの? アンタ敵のスパイなの?」
<_;プー゚)フ「生まれてきて申し訳ございませんでした……」
|゚ノ#^∀^)「会った時から思ってたけど、アンタ全体的に不謹慎なのよね。
纏っている空気が失礼っていうか雰囲気が下品っていうか――」
既に白旗を上げているエクストに向けて、レモナは容赦なく罵声を浴びせる。
|゚ノ#^∀^)「人が少ない時間を最大限に使って休憩してるわけ。
死ぬかもしれない、という覚悟を再構成させながら体力を回復させてるわけ。
それをアンタは空気読まずに話しかけてきて、あまつさえ稚拙な説教とギャグで私を苛立たせた。
お子様なのはどっちなのかしら? ねぇ? ゆとりって呼んでいい? いいわよね?」
<_;プー゚)フ(めちゃくちゃ体力余ってんじゃん……余裕じゃん……)
とりあえず、ここは彼女の気が済むまで発言を控えた方が良さそうだ。
エクストはうんざりした表情を見せぬよう俯き、口に咥えたストローで水分を補給する。
彼とて休憩する目的でここにいるため、罵声を真に受けて精神力を擦り減らすのも馬鹿らしいと考え
飛び込んでくる重い声を右から左へと受け流すことにする。
- 33: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 20:29:30.85 ID:TNojT3sl0
- それからというもの、レモナの小言は五分間にも及ぶこととなる。
必然、逃げられないエクストは、もはや悟りの境地を開いて無我となっていた。
|゚ノ#^∀^)「くどくどくどくど――」
<_;フ- -)フ(――――)
心に浮かぶ言葉とは、『魔法世界の人間ってのは、総じて何故こうも小うるさいのか』という疑問だ。
この戦いに挑む前、準備に費やした一週間でも同じことを思ったことがある。
レインに『幼女』と言ったら三時間説教され、シューの米菓子をちょっと勝手に食べたら訓練という名の拷問に付き合わされ
仲良く話していたビロードとチンとの会話に割り込んでみれば、その後、自室に大量のミカンが投入されたりもした。
総じて言えるのは、我が強い、という点だろうか。
どうも彼らは自分のテリトリーを特に大切にする部分があるように思える。
良く言えばマイペースで、悪く言えばワガママ、といったところだろう。
|゚ノ ^∀^)「……ふぅ」
<_;プー゚)フ(やっと終わった……)
|゚ノ ^∀^)「何か言ったかしら?」
<_;プー゚)フ「いえ! 何も言っておりません!
言うとすれば反省の意を示す言葉だけかと! Sir!!」
つい癖で大袈裟な敬礼をしてしまった。
やばい、と咄嗟に思うも、レモナの表情に怒気が生まれないのを見て安堵の息をこぼす。
どうやら存分に吐いた罵声のおかげで機嫌が元に戻ったらしい。
そう願わずにはいられない。
- 36: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 20:31:32.87 ID:TNojT3sl0
- |゚ノ ^∀^)「まぁいいわ。
反省したんなら心を鬼にした甲斐もあるってものだし」
<_;プー゚)フ(このガキ、よく言う……ッ!!)
文句の一つでもかましてやりたくなるが、それでは五分前にタイムスリップしてしまう。
彼にしては珍しく我慢強く、その場をやり過ごすことにしたようだ。
[゚д゚]「おーい、御嬢ちゃん! 突貫でやったが本当にバックパックは要らんのかい?」
|゚ノ ^∀^)「えぇ、それも修理するとなると時間が掛かるでしょうし。
それよりライフルの方は――」
[゚д゚]「言われた通り、ロングバレルを装着しておいたが……」
|゚ノ ^∀^)「ありがとう」
<_;プー゚)フ「――ってぇ、ちょっと待った!?
何でテメェの方が先に補給修理終わってんだよ!?」
エクストの驚きも無理はない。
レモナよりも先に到着した彼の機体が、何故か後回しになっているのだから。
手間で見ても、戦闘機と人型兵器なら前者の方が早いはずだというのに――
[゚д゚]「御嬢ちゃんに頼まれてなぁ。 最優先で仕上げてくれって」
<_;プー゚)フ「なん……だと……!?」
- 40: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 20:34:15.49 ID:TNojT3sl0
- |゚ノ ^∀^)「デフラグさんって優しいわよねぇ。 素敵なオジサマって私、好きよ?」
[*゚д゚]ゞ「よせやい。 女に優しくするのは男の義務だっつーの」
<_;プー゚)フ「オッサン何やってんだぁぁぁぁ!!」
柄にもなく頬を緩めるデフラグに、エクストの悲痛な声は届いていないようだ。
それを見届けたレモナは満足そうに頷いてから腰を上げ
補給整備が終わった己の機体へと足を向ける。
|゚ノ ^∀^)「あ」
完全に背を向ける直前、思い出したかのように振り向き
|゚ノ ^∀^)「……一応、感謝しておくわ」
<_プー゚)フ「え?」
|゚ノ ^∀^)「アンタに色々と怒鳴り散らしたら気分がスッキリした。
まぁ、まだ恨み辛みは全然残ってるけど、無茶を留める理性は取り戻せたわ」
気まずそうに、頬を掻き
|゚ノ;^∀^)「その……わざわざありがとう」
<_;プー゚)フ「は?」
- 44: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 20:35:56.34 ID:TNojT3sl0
- |゚ノ ^∀^)「解ってンのよ。 アンタがわざと私を怒らせたんだって。
自分に矛先を向けて解消させるなんて、なかなか男らしいじゃない」
<_;プー゚)フ「え? あ、いやまぁ、な? その程度、男の義務の範疇ってぇかさ、うん」
そんな意図など微塵もなかった彼としては笑うしかないだろう。
むしろ本命であったギャグを怒りで返された辺り、微妙な面持ちを浮かべずにはいられない。
その表情を照れ隠しと勘違いしたレモナは、満足げな笑みを浮かべる。
|゚ノ ^∀^)「じゃ、先に行ってるわね」
今度こそ背中を向け、EMA『リベリオン』の下へ向かう彼女を、
何も言えなかったエクストは呆けるようにして見送った。
<_;プー゚)フ「……えー」
[゚д゚]「……お前さぁ、良い人ってよく『思われる』タイプだな」
<_;プー゚)フ「あぁ……おそらく知らない内に、しかも一方的に」
[゚д゚]「損な性格だことで」
<_;プー゚)フ「せめて自覚出来てりゃなぁ……」
大きな溜息を吐く彼の肩を、デフラグは頷きながら優しく叩いた。
- 49: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 20:38:55.21 ID:TNojT3sl0
- レモナがリベリオンと共に東の戦場へ出撃した後、入れ替わるようにして新たな機体が帰還してきた。
<_プー゚)フ「おりょ? ありゃあ――」
まず耳に入ったのは飛行音。
それを聞いたエクストは、感情が少し昂ったのを自覚する。
この戦いに挑む時に初めて聞いて、鼓膜に焼きついた音だからだ。
ほとんど空になったボトルを足下に置き
新しいボトルとタオルを持ったエクストは、早足に整備場としている本陣の一角へ向かう。
<_プー゚)フ「お、やっぱり!」
その漆黒に染められた身を見間違えるわけもなく。
エクストは、彼自身に比べて随分と優雅に着陸した機体に近寄り、
<_プー゚)フ「よぉ、生きてたか馬鹿」
(`・ω・´)「お前こそ生きていたか馬鹿」
と、二人の男は拳をぶつけて再会の挨拶を済ませた。
- 55: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 20:42:14.04 ID:TNojT3sl0
- (`・ω・´)「そうか。 レモナは何とか落ち着いてくれたか」
整備兵がキオルに補給を始めるのを横目に、シャキンはエクストから彼女の状況を聞いていた。
タオルで額の汗を拭い、水分を手早く補給する姿は戦闘慣れしたパイロットらしい姿でもある。
<_プー゚)フ「感謝しろよ? 俺の卓越したセンスから生み出されたギャグが功を為したんだ。
アイツの爆笑するとこ、お前にも見せてやりたかったぜ」
[;゚д゚](この馬鹿、よく言う……)
(`・ω・´)「ほぅ、意外だな」
<_プー゚)フ「だろぉ? あのワガママ娘が俺のギャグに抱腹絶倒! たまらんね!」
(`・ω・´)「いや、そっちじゃなくて、お前の笑い話が他人に通じるとは……」
<_プー゚)フ「ひでぇなぁ」
(`・ω・´)「――興味がある」
<_;プー゚)フ「へ?」
それは思ってもみない提案であった。
一瞬でエクストの額に汗が浮かぶ。
あの、ふざけた雰囲気をあまり好まないシャキンが、まさか、まさか――
(`・ω・´)「俺にも聞かせてくれ。 そのレモナが抱腹絶倒したというギャグを」
【私にも御聞かせ下さい】
- 60: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 20:44:33.24 ID:TNojT3sl0
- <_;プー゚)フ「え、いや、ちょ……」
何故、と思わずにはいられなかった。
どうしてこのタイミングで聞くのか。
いつもなら興味なさげに次の話題に移るというのに。
(`・ω・´)「さっきまでちょっと無茶をしていてな。
心の緊張を解す意味でも、お前の言う抱腹絶倒ギャグとやらを聞きたい」
【後学のためにも是非】
前者(シャキン)はともかく後者(キオル)はどういうつもりだ一体。
独自にネットか何かに繋げば早い話じゃないか。
あの某ライトノベルの人工知能みたいに余計な知識を憶えて、主人を困らせればいいじゃないか。
(`・ω・´)「さぁ」
【さぁ】
<_;プー゚)フ「え、っと……いや、まぁ……ね?」
二人(一人と一機)に迫られ、エクストは口端を微妙に吊り上げた表情で後退する。
しかし、
[゚д゚]「ケチケチせず、聞かせてやればいいんじゃねぇかぁ?」
と、いやらしい笑みを浮かべたデフラグが退路を阻んだ。
- 67: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 20:47:07.19 ID:TNojT3sl0
- <_;プー゚)フ(この裏切り者がぁぁぁぁ!!)
[゚д゚](別に徒党組んだ覚えはねぇなぁ)
(`・ω・´)「…………」
<_;プー゚)フ(いつも俺のこと蔑ろにするくせに、こういう時だけ……っ!)
世の中は理不尽なことだらけである。
自分の思う通りには、なかなか行ってくれないのである。
<_;プー゚)フ「えーっと、その、だな……うん」
【wktkです】
(`・ω・´)「? 何だそれは」
【ワクワクテカテカ、という待ち望む気持ちを短縮した若者の言葉です】
(`・ω・´)「成程。 では、wktk」
<_;プー゚)フ(これは……逃げられねぇ……策略……いや、天然……恐ろしいっ……!)
期待の眼差しを向けてくる二人(一人と一機)に、とうとう折れるエクスト。
遂に彼の口を開き、自称抱腹絶倒のギャグが飛び出そうと――
その時。
本陣を包み込むように、鋭く重い音が響き渡った。
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