( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです
- 72: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 20:48:59.17 ID:TNojT3sl0
- (`・ω・´)「!」
<_;プー゚)フ「こりゃあ……えーっと、何だっけ!?」
【緊急警戒、ですね。 おそらく敵襲かと】
<_;プー゚)フ「マジかよ!?」
敵襲ということは、どこからか敵が迫ってきているということだ。
可能性が一番高いのは、敵の中枢――つまり南からということになるが
まさか、あの北軍が敵の突破を許してしまったとでもいうのだろうか。
あそこにはニダーやヘリカルもいるはず。
そうそう容易く抜かせるとは思えないのだが――
(`・ω・´)「状況を確認する! 場合によっては俺達も出るぞ!
デフラグは補給整備を続けておいてくれ!」
[゚д゚]「OK、ここの守りは俺がしっかりやっといてやるよ」
【御気をつけて】
(`・ω・´)「行くぞ、エクスト!」
<_;プー゚)フ「お、おう!」
- 78: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 20:51:18.22 ID:TNojT3sl0
- 緊張に包まれた本陣であるが、
最もその空気が重くなったのはモララーのいる情報統制の場である。
常に情報を受け渡ししているオペレーターが、矢継ぎ早に引き起こされた状況を報告するが
その声には大きな焦りがあり、そして震えていた。
「戦場の北、南東、南西から多量の異獣反応……!!
その数――数え切れません!!」
从・∀・ノ!リ「まずいのぅ」
( ・∀・)「間に合わなかった、か」
最終決戦が開始されたと同時、
もう一つの状況が動き始めたのを憶えているだろうか。
世界中に散っていた異獣の一部――それでも圧倒的な軍勢が、この戦場に集おうと行動を始めたのを。
時間にして約一時間。
敵の増援が姿を見せるまでの予想時間だ。
もしそれまでに勝利出来ねば確実にこちらが潰される、という全滅へのカウントダウンでもある。
( ・∀・)「…………」
モララーは腕時計に視線を移して確認した。
戦闘開始から分針が一回転しようとしている。
予想とほぼ同一という事実に、嫌味すら言えない、と溜息を吐いた。
- 85: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 20:53:21.80 ID:TNojT3sl0
- ( ・∀・)「位置的に考えて、まず本陣が蹂躙されるだろう」
从・∀・ノ!リ「ここにも防衛のための兵を残しておる。
……数的に見れば、時間を稼ぐ程度が関の山じゃがな」
( ・∀・)「ここをいくら破壊されても構わないが、
切り札である『神の裁き』と『龍砲』だけは壊されるわけにはいかない。
アレらには、不滅世界と魔法世界の純正ルイルが使用されているしね」
絶望的なまでにチェックメイト寸前だが、まだ勝てないとは決まっていない。
今ある駒をいくつか盾に使えば、もう数ターンほどの時間を稼げるのだ。
その間に勝負を決められねば本当に敗北が確定するが、まだ悲観するのは早過ぎる。
( ・∀・)「問題は南東と南西から来る敵か。
もしかすれば南軍が挟み撃ちにされるかもしれない。
その場合、西と東の援護があったとしても……果たしてどれだけ持つかどうか」
从・∀・ノ!リ「じゃが、あそこのミラーは既に破壊されておるぞ」
( ・∀・)「酷い言い方をすれば『時間を稼ぐためだけの壁』と見ることも出来る、というわけだね。
軍神君達の働きに期待するしかあるまいか。
ともかく、今をどうするか決めねばならん」
モララーはそう言い、腕を組んで深く考える姿勢に入った。
現状という図に全ての駒を並べる。
同時、隣に今出来ることをリストアップして列挙。
最も力を発揮出来る組み合わせを、高速で弾き出す。
- 90: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 20:55:23.91 ID:TNojT3sl0
- ( ・∀・)「ポリフェノール君、レイン君」
从・∀・ノ!リ「む?」
|;;;|:: (へ) ,(へ)|シ「はいはい、何でしょうか?」
( ・∀・)「『龍砲』と『神の裁き』の起動準備を開始してくれ。 今すぐに」
二人は、放たれた言葉の意味を理解するのに数秒を必要とした。
退避させようとするならば、まだ解る。
本陣が向かい来る多量の敵に蹂躙されるのは時間の問題であり
ならば、切り札となる二つの魔法兵器は破壊されないよう退避させるべきである。
しかしモララーは『起動準備』と言った。
从・∀・ノ!リ「つまりそれは……せめて、一矢報いるという意味かの?」
( ・∀・)「そういう風に諦めて自棄になるのは私が一番嫌う行為だよ。
勝算がある方に賭ける。 それだけだ」
|;;;|:: (へ) ,(へ)|シ「解りました。 ならば、すぐに手配を」
モララーの腹心であるポリフェノールは、
もはや理由を聞く必要はない、と通信機を取り出して指示を開始する。
彼のやってきたことに間違いはなかったし、それを誰よりも信じているからだ。
从・∀・ノ!リ「…………」
だが、まだ顔を合わせて日が短いレインは、未だ疑いの念を持っているようだった。
- 98: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 20:57:19.04 ID:TNojT3sl0
- ( ・∀・)「私の采配を信じられない、という顔をしているようだが」
从・∀・ノ!リ「おぬしの手腕は心得ておる……が、この判断が正しいとは思えぬのだ」
確かに『攻撃は最大の防御である』という格言もある。
しかし失敗が一切許されない今作戦において、モララーの指示はあまりにも軽率ではないのか。
切り札を危険に曝してまで無理に発動させるなど、レインからしてみれば愚策と思う他ない。
切り札は、あくまで切り札である。
確実に効果を為せる時を狙い、使うならば必殺でなければならない手札のはず。
たとえ絶大な効果を持っているとしても、使い時を誤ればただの空札に成り下がる。
从・∀・ノ!リ「ここが使い時かのぅ?」
( ・∀・)「正直に言えば使い時などあまり考えていない」
从・∀・ノ!リ「……では、何を思っておる?」
( ・∀・)「信じている。 それだけだ。
戦いに赴いている彼ら全員が最高の結果を出すことを、私は信じている。
だから、それに準じた案を立てただけだよ」
从・∀・ノ!リ「しかし失敗すれば元も子もなかろう?
今の我らに必要なのは、出来るだけ勝率を高めることではないのか?」
( ・∀・)「君は勘違いをしている。 この戦いに勝率など何の意味もないんだよ。
勝つしかないんだ。 負けることなんてありえたらいけないんだよ」
- 105: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 21:00:23.45 ID:TNojT3sl0
- 言わんとすべきことは解る。
大まかな概要は根性論に近いだろう。
( ・∀・)「いいかね? 我々は『最高の結果』を出すことでしか生き残れないんだ。
戦いの最先端にいる彼らこそがそれを一番望んでいるし、本気で結果を出そうと戦っている。
だと言うのに、本陣に控えている私達がそれを信じずに妥協しようと言うのかね? それが本当に最善なのかね?」
まるで独り言のように彼は、いいや、とかぶりを振る。
( ・∀・)「最先端と本陣の本気に差が出た場合、それは後で小さなヒビとなる。
ヒビは更に大きく広がり、やがては溝となって致命傷に転ずるだろう。
故に我々の役目は……常に最高の結果に準じた行動を選ぶことなのだよ」
从;・∀・ノ!リ「む……ぅ……」
レインは、感嘆の息が漏れるのを必死に押し留めた。
自分の考えがまったく間違っていたと気付かされたのもそうだが
改めてモララーの信念に感服せざるを得なかったからだ。
これで相手に感情を悟られては、仮にも魔法世界の一国を治める身としては悔し過ぎる。
从・∀・ノ!リ「……解った。 我もおぬしと同じように皆を信じる。 その通りにいこう」
( ・∀・)「現場指揮はそちらに任せるよ。 君の手腕は高く評価しているのでね」
从・∀・ノ!リ「これはこれは。 ならば評価に恥じぬ働きをせねばのぅ」
|;;;|:: (へ) ,(へ)|シ(もしかして社長の平行存在とは――)
- 112: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 21:02:08.78 ID:TNojT3sl0
- 一瞬、ポリフェノールの脳裏をある推測が過ぎるも、
自分のすべきことはあやふやな真実の追求ではなく、任された仕事であると思い直す。
確かに四世界の混合軍である以上、もしかすれば平行存在が同じ部隊にいる者も多いかもしれない。
しかし、それが何だと言うのか。
もはや自分達は一つの個として動いている。
所属していた世界・組織など何も関係ない。
不滅でも英雄でも機械でも魔法でも、FCでも連合でもイルドでもオークスでもない。
『異獣に抗う』という目的を同一した者達の、組織でも何でもない集まりなのだ。
ならば自分のすべきことを見誤ってはならない。
特に会社の立ち上げ時からの長い関係であるモララーに任されたのならば
彼の望む結果の120%を出さねば、FCの名が泣くであろう。
|;;;|:: (へ) ,(へ)|シ「では、私は『神の裁き』の準備を――」
从・∀・ノ!リ「我は『龍砲』の発射用意を――」
( ・∀・)「『神の裁き』は十五分後に、『龍砲』はその一分後に発射だ。
あとは彼らが間に合うのと、本陣を持ち堪えてくれるのを祈ろう」
- 128: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 21:05:04.40 ID:TNojT3sl0
- もはや完全な博打に近い。
ミラーを運んだ者達の了承もなく『神の裁き』を射出し、その直後に『龍砲』の一撃をブチ込む、というのだから。
もし、そのタイミングが少しでもズレてしまえば――
場を包む冷えた緊張を感じ取ったのか、モララーは小さな笑みを浮かべた。
( ・∀・)「あり得ないことを考えるのは止めたまえよ。
勝利は我らの必定と思え。 この戦い――勝てる、と」
「「……! 了解!」」
モララーの根拠がまったくない激励に
その場にいた全員が表情を引き締めて行動し始める。
悩んでいても仕方がないと気付いたのだ。
出来ることをやって、それで駄目であるならば絶望しよう、と。
出来ることをやって、それで成功したならば希望を持とう、と。
恐れることはない。
皆、生きる時も死ぬ時も一蓮托生だと理解した。
- 134: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 21:06:46.98 ID:TNojT3sl0
- 極限の危機を目前にして尚、本陣は結束を更に強めた。
理屈などない、しかし心強いモララーがいれば――
( ・∀・)「――む」
その、モララーの微弱な機敏を感じ取れた者はいなかった。
やるべきことに集中している中では仕方の無いことだったのかもしれない。
それが幸運だったのか、それとも不幸だったのか。
秩序という未来への道筋が消え去っている『今』の中で解る者はいない。
( ・∀・)「……すまない、レイン君。 一つ頼みがある」
从・∀・ノ!リ「うむ?」
( ・∀・)「しばらくの間、この場を君に任せたい。
私は少々用事が出来てしまった」
从・∀・ノ!リ「用事? こんな時に用事とは――」
|;;;|:: (へ) ,(へ)|シ「いってらっしゃいませ」
( ・∀・)「すまないね。 ちょっと馬鹿を叩き伏せに行ってくるよ」
- 143: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 21:08:47.02 ID:TNojT3sl0
――人知れずカウントダウンが始まる。
人か獣か、どちらが生き残るか決定するための。
人か獣か、どちらが滅びるかを決定するための。
軋みを挙げて、壊れかけた時間が崩壊を指すために動き始める。
もはや逃れ得ぬ濃密な死を背後に、
希望を捨てない人々が最後の足掻きを開始した。
- 152: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 21:10:56.06 ID:TNojT3sl0
- 決戦の戦場へ集おうとしている大量の敵がいた。
最初に激突した規模に匹敵する数であり、その持ち得る力に僅かな差異もない。
全てが白色である。
頭の先から垂れた尾まで、全てが白の体毛によって覆われている。
他の色があるとすれば、血のような赤く深い紅色の瞳が二対。
鉄鋼よりも堅く、下手な刃よりも鋭い灰色の三本爪。
粘ついた液体を滴らせる生々しい舌。
それは誰がどう見ても狼に似た獣であった。
しかし安易に獣と断ずるには、それはあまりに獣とかけ離れていた。
貪欲に力を蓄えていく最上級の有限。
数々の世界を蹂躙する『世界の天敵』。
大軍としての力でありながら、もはや個として蠢く集合体。
その一部――だとしても想像を絶するほどの大規模な量――が三方向から、この戦場に集いつつあった。
- 159: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 21:13:18.24 ID:TNojT3sl0
- 戦力を分散させた混合軍にとって、これは致命的な強襲であった。
何せ、全軍を集めても当初の敵数に劣っていたのだ。
東西南北と本陣に五分割された戦力程度で凌ぎ切るのは、不可能に近い。
しかも依然として各軍共に通信が遮断されている。
この危機を真に知っているのは本陣だけであり、他四軍は予想時間しか伝えられていないのだ。
幸いと言えるのは、その予想通りの時間に敵援軍が到着したことだが
圧倒的な戦力差を考えれば――
<_;プー゚)フ「うーん……これを貧乏クジって言うのかね?」
(`・ω・´)「どうせ何処にいても同じだ。 生きたければ黙って戦うんだな」
そうぼやく二人は、先ほどまでいたそれぞれのコクピットに逆戻りしていた。
本陣の北側から来る多量の敵を駆逐するためだ。
出来る限りの補給を済ませてはいるが、全力で飛ぶならば長くは保てまい。
<_プー゚)フ「……ま、最悪の場合は地面に降ろして機銃ブッ放せばいいか」
【いざとなれば自爆も可能です】
(`・ω・´)「カミカゼアタック、とかいう精神性自棄行為か。
あまり好きではないがな」
敵群は、既に視認出来る距離まで迫っている。
急遽敷いた防衛線からの迎撃射線によって動きを鈍らせてはいるが
このままではジリ貧なのは誰の目にも明らかであった。
- 168: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 21:15:15.42 ID:TNojT3sl0
- <_プー゚)フ「ちぇっ、レモナの奴もタイミングが悪ィ。
もうちっとだけ待ってりゃ、ここで大活躍出来てたのによ」
(`・ω・´)「そう言うな。 もしかすれば彼女がキーとなる戦いがあるかもしれんのだ」
<_プー゚)フ「だと良いがねぇ。 あのワガママ娘が役立つっつーのも癪な話だが。
案外、敵を倒すための切り札になってたりしてな。 変形とかしてさ」
はは、と軽い調子で笑うエクストだが
後でレモナの活躍を聞くことが出来たとすれば、果たしてどんな表情を浮かべるのだろうか。
[゚д゚]「おっし、やれる限りのこたぁやったぞ!」
(`・ω・´)「時間をとらせてすまなかったな」
[゚д゚]「本陣に残ってる戦力で、広範囲をカバー出来るのはお前らだからな。
完璧に仕上げられなかったのが心残りだが頑張ってくれよ」
<_プー゚)フ「任せとけよオッサン。 アンタは堂々とここで構えてりゃいい」
[゚д゚]「全部を若造に任せるほど老いちゃいねーよ、馬鹿もんが。
後ろは俺やビロード達が守ってっから安心して戦って来い」
( ><)「頑張るんです!!」
(*‘ω‘ *)「ぽぽっ!」
その場に居合わせたビロードとチンが、各々の持つ武器を振ってこちらを見る。
横で雑用をこなしているモナーが『え?僕は?』などと言っているが
どうやら彼は自分の役割の限度をイマイチ理解していないらしい。
- 181: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 21:17:37.77 ID:TNojT3sl0
- そんな彼らに見送られながら、二機の戦闘機が再び空に舞い戻る。
今まで暴れていた戦場とは真逆の方角へ、そして攻略ではなく防衛のためだ。
途中、エクスト機から通信が入る。
『――しっかしあのオッサン馬鹿だよなぁ』
(`・ω・´)「…………」
『あんなガキが本陣で気張ろうとしてんの知ったら、何が何でも止めるしかねぇじゃんかよ』
(`・ω・´)「……そうだな」
【反応確認、距離700――】
少し飛べば見えてくる。
北側から南下進軍してくる白色の群れ。
数は最初にぶつかった規模に比べても見劣りしない。
それを、本陣に残った戦力だけで凌ぎ切るしかないのだ。
(`・ω・´)「防衛戦において危険なのは敵を広範囲に布陣させること。
エクスト、お前は右翼側を頼む。 せめて左右の敵を削るぞ」
『りょーかい。 んじゃ、生きてたらまた後で会おうぜ。
カミカゼアタックするなら知らせろ。 俺も一緒にやってやるからよ」
- 189: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 21:19:20.83 ID:TNojT3sl0
- 隣を飛んでいた灰色の機体が離れる。
ここからはまた単独戦となり、互いが互いの生存を願うことになるわけだが
その直前、エクストが訝しげな声を挙げた。
『……あ? 何だありゃ?』
(`・ω・´)「どうした?」
『白……敵の援軍……? 別方向から!?』
慌てる言葉に、流石のシャキンも身を強張らせた。
今いる敵をどうにか止められるか、という瀬戸際に駄目押しの援軍とは。
まったく敵も容赦が無さ過ぎる。
『――って、おい、なんか違ぇぞ!!』
(`・ω・´)「……報告は簡潔に正しく頼む」
『え、ええっと……なんか白い装甲服着た連中が向かってきやがって――おぉ!?』
(`・ω・´)「エクスト!」
『あ、あぁすまねぇ! とにかくコレ見ろ!!』
エクストの機体から映像が送られてくる。
いい加減、最初からそれをしろと言おうと思っていたのが、ようやく通じたらしい。
- 201: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 21:21:35.65 ID:TNojT3sl0
- 映し出された光景は単純なものだ。
白い装甲服を着た小規模の部隊が、東側から現れたのだ。
西側に回り込もうとしていたシャキンよりエクストが先に気付いたのは当然である
だが彼らが何者で、そして何を思ってこの地獄に駆けつけてきたのかは不明だった。
【あの服装……そして、肩に刻まれているマークは――】
逸早く映像を解析したキオルが言い、シャキンもそれに気付く。
(`・ω・´)「奴らは、まさか……!」
『――えますか!? こちら――です!』
直後、割り込むようなノイズに乗って男の声が届く。
魔力を応用した高速通信ではなく、電子機器を使った普通の通信だ。
(`・ω・´)「聞こえている。 お前達は何だ? 何故、ここにいる?」
『我々は世界運営政府に所属していた、残存戦闘部隊!
私はその指揮を任された田中ポセイドンという……えーっと、しがない一兵士であります!』
世界運営政府とは、かつてこの世界の中で最高の権力を持っていた統制機関だ。
第三次世界大戦を経てバラバラになってしまった各国をまとめ上げ
無償で復帰支援まで行ない、そうして全ての国を傘下に収めた男が頂点に立つ大組織である。
- 215: ◆BYUt189CYA :2008/02/20(水) 21:23:02.80 ID:TNojT3sl0
- いわば、史上初の『世界統一』を為すという結果を打ち立てたわけだが
その栄光は長くは続かなかった。
FC残党による奇襲。
その隙を突いた異獣の強襲。
秩序守護者や英雄の期待外れ。
それらの不運が重なった結果、世界政府は呆気なく瓦解した。
本拠地があった場所は異獣に占領され、
あろうことか主の命さえ奪われ
そして、多くの仲間も何もかもを失った。
しかしその混乱の中に消失したはずの部隊が、今ここに姿を見せている。
これは一体どういうことなのだろうか。
『世界政府だぁ?
まさか今更、古巣を取り戻しに来た、なんて言うつもりじゃねぇだろうな?』
(`・ω・´)「エクストは黙っておけ。
で、その残党軍がどうしてここまで来た?」
『隊長が私達に言った言葉をそのまま伝えるならば、「人類の敵を倒すため」。
そして――「お前達と戦い、その隙に異獣に奪われ失った誇りを取り戻しに」、と……!』
隊長という人物が誰を指すのかシャキン達は知らない。
常に笑顔で、しかし心の奥底でドス黒い怨念を滾らせている男のことを、知るわけがない。
知らないが、その言葉に込められた意志はしっかりと感じとることが出来た。
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