( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです
- 6: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 17:21:52.84 ID:fmjQj92D0
- 一つの大きな残骸が在った。
元々は大きなトレーラーだったものだが、無残に破壊し尽くされている。
原因は目に見えて解っていた。
グシャグシャに歪ませた車体の至る場所に、『棒』が突き刺さっているのだ。
いや、ただの棒ではない。
よく見れば刀である。
光を反射する刀身の美しさもあり、遠くからすれば白色の棒に見えるだけであった。
蹂躙された鉄塊。
突き刺さる大量の刀。
それは一つの前衛的なオブジェにも見受けられる。
だが、見る者は一人としていない。
周囲にある数々の視線は別の方向へ集中していた。
己が先を決める重要な局面へ、である。
第五十一話 『四方決戦 Ver/South 【Dead Men Tell No Tales ... But ――】』
- 12: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 17:26:22.30 ID:fmjQj92D0
- ル(i|゚ ー゚ノリ「初めまして、と言える者もいれば……久方振りだ、と言える者もいるな」
ノハ#゚ ゚)「…………」
(;゚д゚ )「…………」
(#゚;;-゚)「…………」
動く気配は一人分だけだ。
青髪の女――ミリアが、腰に吊った白刀を揺らしながら悠々と語る。
対するように三人が強く睨むも、彼女には通じていないようだ。
最大限の警戒は当然だろう。
目の前にいる敵は、人を超えた人であるからだ。
ル(i|゚ ー゚ノリ「久方振りの良質な殺気だ。 誰もが私を殺したいと思っている。
今まで様々な殺し合いを経験してきたが、この姿になってからはあまりに空虚な戦いが多くてな。
嬉しさの余り、解っていても饒舌になってしまう」
(;゚д゚ )「やはり貴様は――」
ル(i|゚ ー゚ノリ「はて、それはどちらのことを言っている?
我々が数々の世界を食い荒らしてきたことか、それとも私自身が元人間であることか?」
(;゚д゚ )「……人間、だったのか」
ル(i|゚ ー゚ノリ「見れば解ると思うがね。
獣の中で人の形を保っている、ということは原型があったからに他ならない。
まぁ、獣よりも人の遺伝子が多いだけだが」
- 16: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 17:28:20.34 ID:fmjQj92D0
- (#゚;;-゚)「ふぅん……でも、だから言うて加減するほど御人好しやないよ?」
ル(i|゚ ー゚ノリ「むしろ困る。 つまらんからな」
真っ向からぶつかる挑発の応酬。
だが、どちらも大きく構えたまま動こうとはしなかった。
両戦力の中でも秀でた者同士が対峙しているのからには、その誇りのためにも動揺してはならない。
そして、いつ始まってもおかしくない死闘の緊張の中、その時を今か今かと待ち続ける猛犬がいる。
ノハ#゚ ゚)「…………」
ヒートだ。
仮面の中に憎悪を秘めていた彼女が、その感情を露わにしてミリアを睨んでいる。
既に腰は落とされており、その手は武器の柄に掛かろうとしていた。
隣にいるミルナですら漏れ出る殺気を感じられるほど、念が強い。
彼女がミリアを恨む気持ちは当然だった。
かつて異獣に拉致され、『顔』を剥がされた過去を持っている。
それを行なった相手が目の前にいる状況ならば、落ち着いていられる方が難しい。
- 23: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 17:32:57.44 ID:fmjQj92D0
- ル(i|゚ ー゚ノリ「ふふ、ふふふふ」
ノハ#゚ ゚)「…………」
ル(i|゚ ー゚ノリ「やはり私の目に狂いはなかったな。
死なすには惜しいという直感は見事に当たったわけだ。
そこにいる軍神共々、良き闘争を期待することが出来そうで嬉しいよ」
ノハ#゚ ゚)「……ねぇ」
ミリアの言葉など聞こえていないように、ヒートが口を開く。
ノハ#゚ ゚)「貴女にとって私達――いや、人間とは何?」
ル(i|゚ ー゚ノリ「餌だ」
(;゚д゚ )「……!」
ル(i|゚ ー゚ノリ「厳密に言えば、最終的に『餌』となる。
それまでは我々を楽しませてくれる『玩具』と呼ぼう。
その中で奇異な力を持つ者は『材料』と呼ぼう」
(#゚;;-゚)「…………」
かつて異獣に『材料』とされた軍神が、一際強い視線でミリアを睨む。
ヒートはそれよりも更に強く、相手が人間であれば容易く射殺せそうな殺意を送る。
- 28: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 17:35:59.62 ID:fmjQj92D0
- ル(i|゚ ー゚ノリ「さぁ、互いの意思は確認した。 始めようか」
両腕を水平に広げ、その五指を大きく開く。
次の瞬間、彼女の手には左右それぞれ三本ずつの白刀が握られていた。
ル(i|゚ ー゚ノリ「これより始まるのは一つの結末だ。
巡りに巡った機運幸運。 それを記念に踊り狂おう。
音として剣拳蹴走(ケンケンシュウソウ)の四重奏をバックに、この世界最高の武踏を!」
ミリアの手品じみた力を前にして尚、軍神達は闘争の意思を曲げない。
もはや言葉は要らないと理解した。
互いが互いを殺すと認め合った以上、あとは力をぶつけるのみだ。
どちらかが消滅するまで止まることはないだろう。
(#゚;;-゚)「準備はえぇな? こっからはフルパワーで行くよ」
( ゚д゚ )「解った。 サポートは任せろ」
ノハ#゚ ゚)「……殺す――!!」
刀を構えたミリア目掛け、二人の英雄と一人の軍神が疾駆を開始した。
- 31: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 17:37:20.17 ID:fmjQj92D0
- ル(i|゚ ー゚ノリ「ははは! さぁ来いよ人間共!
我が白刀にて串刺しのオブジェとなれ!!」
(#゚;;-゚)「あんま人間嘗めンときや……!!」
逸早く飛び出したのは軍神。
英雄すら凌駕する驚異的な運動性が、大地を削りながらの接近を可能とする。
その突進の勢いで放たれるは、巨岩すらブチ壊す一撃だ。
( ゚д゚ )「ヒート! 隙間は俺に任せろ!」
ノハ#゚ ゚)「――言われなくとも!!」
そのバックサイドを、ミルナとヒートがそれぞれ担当している。
左右、そして背後に避けようとも逃さない必中の陣形だ。
ル(i|゚ ー゚ノリ「即席にしては随分と動きが良いようだ」
( ゚д゚ )「人間とは解り合える生物だからな!」
(#゚;;-゚)「何ナチュラルに恥ずかしいこと言うてん――のっ!!」
約五十メートルの距離を三秒で走破した軍神が、そのままの勢いで拳を突き出した。
大気の壁を突き破る一撃は、白い衝撃波を散らしながら――
(#゚;;-゚)「む……!」
突如、合間に出現した三本の刀によって防がれることとなる。
- 33: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 17:39:41.32 ID:fmjQj92D0
- 多重の破砕音。
交差された刀が粉々に砕けたのだ。
当然、それによって軍神の攻撃がミリアに届くことはない。
ル(i|゚ ー゚ノリ「三本でも砕かれるか。 思った以上に強力だな」
(;゚д゚ )(何だ、今のは――!?)
驚くべきは軍神の攻撃を防いだ刀ではない。
その刀が、明らかに不自然なタイミングで出現したという事実だ。
ミリアの両腕には爪のように構えられた左右計六本の刀。
両腕が塞がっている以上、あの防御に使われた三本を出すことは出来ないはず。
更に言えば、ミリア自身はまったく身動きしていない。
まるで、最初からそこに刀が在ったかのような光景だった。
- 35: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 17:41:08.94 ID:fmjQj92D0
- ノハ#゚ ゚)「はぁぁぁぁあああ!!」
軍神の陰からヒートが飛び出す。
右手に包丁刀、左手に槍を携えての二装攻勢。
近接攻撃に特化した構えの赤い影が、ミリアから見て左手側から肉薄する。
だが、
ノハ#゚ ゚)「くっ!」
ル(i|゚ ー゚ノリ「これも、少々足らんな」
軍神の時と同じように、突如出現した刀によって防がれてしまう。
シールドのように据えられたからには、刀ではなく盾としての機能を発揮して攻撃を受け止める。
刀身が撓み、爆ぜる。
しかし、通らない。
軍神とヒートの連続攻撃が、たった六本の刀によって無効化される。
相手は一歩たりとも動いていないというのに。
(#゚д゚ )「このッ!!」
こうなったらダメ押しの三撃目だ。
未だヒートの方を見ているミリアを確認しつつ
彼女とは逆方向から飛び出したミルナが、震脚を以っての崩拳を叩き込もうとした。
- 40: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 17:44:14.49 ID:fmjQj92D0
- 軍神、ヒートときてミルナという連続攻撃は数秒にも満たない速度で放たれる。
いくらミリアと言えども、この三撃目は解っていても反応が追い付かないはず。
事実、未だミリアはヒートに視線を向けたままだ。
この一撃は――!
入る、と思った次の瞬間。
(;゚д゚ )「ッ!?」
彼女の身に当たるはずの拳は、その直前、やはり同じように出現した刀に阻まれる。
二度あることは三度あるとは言うが、まさか当然のように実現するとは。
ル(i|゚ ー゚ノリ「ほぅ? 我が刀に触れても拳が死なぬとは。
英雄神も面白い土産を置いていったものだ」
英雄神が行なった一つの変革とも言える『英雄の遺伝子』。
世界の質すら変更するそれは、英雄世界にあった純正ルイルの力を以って発動した。
その遺伝子、つまり英雄としての素質を持つ者達の体内に、魔力が宿るのは必然の話である。
己の身一つで異獣と対することが出来る唯一の人間種族。
それが英雄であり、その名で呼ばれる真の理由だった。
が、今はそれどころの話ではない。
この敵が持っている力の意味を、ミルナ達は計りかねていた。
(;゚д゚ )「オートプロテクションの類か……!?」
ル(i|゚ ー゚ノリ「そんな生易しいモノであれば、お前達にとってどれほど良かったか」
- 42: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 17:45:32.97 ID:fmjQj92D0
- ミリアが、動く。
両腕を翼のようにして広げ、口元に笑みを浮かべて。
左右三本ずつ刀を構えた姿は、獲物を前にした猛禽類そのままだ。
ル(i|゚ ー゚ノリ「さぁ、次は私の番だな」
(#゚;;-゚)「!」
ル(i|゚ ー゚ノリ「警戒しているな? しているのだな?
いいぞ。 警戒するということは未だ恐怖があるということだ。
その恐怖こそが私を昂らせる」
(;゚д゚ )(来る……!?)
ル(i|゚ ー゚ノリ「踊り狂えよ」
声を皮切りとしてミリアの腕が掻き消える。
いや、これは――
(;゚д゚ )「むぅ!?」
――咄嗟に防御した腕に大きな衝撃が走った。
- 45: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 17:47:15.09 ID:fmjQj92D0
- ル(i|゚ ー゚ノリ「ほぅ、受け止めたか」
(;゚д゚ )(何という速度か……!)
見えなかった。
追えなかった。
攻撃を受け止めた後で、それがミリアが投げ放った刀だと気付かされたのだ。
まさに瞬間移動という速さの攻撃を受け止められたのは、
ミルナの英雄としての直感が働いたおかげである。
だがそれは必然ではなく、まったくの偶然としか言えなかった。
もし数瞬でも反応が遅れていれば、おそらく胸を裂かれて戦闘不能になっていただろう。
(;゚д゚ )「ぐ、ぅぅ……!?」
異変に気付いたのは直後だ。
今、盾のようにして構えられた両腕に刃が一本、横薙ぎ気味にぶつかっている。
腕は強固な魔力装甲で覆われているが、それでも大きな痛みが骨の芯まで響いていた。
それはいい。
しかし、その刀が腕から離れない。
柄を持って押し付ける透明人間がいるのか、尚も装甲へ刃を食い込ませている。
それはまるで、刀自体に意識があるような光景だった。
(;゚д゚ )(何だ、これは……! 奴の能力か!?)
- 50: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 17:49:47.79 ID:fmjQj92D0
- ル(i|゚ ー゚ノリ「そらそらそら! その腕、いつ砕けてしまうかな!?」
たった一本の刃で苦戦しているというのに、無情にも追加の投擲が行われてしまう。
更に重ねられる攻撃。
吹き飛びそうになる腕を抑えつけつつ、ミルナは歯をくいしばって身を固め続ける。
それでも痺れる痛みに、両腕の感覚が無くなり始めた時、
ノハ#゚ ゚)「――ミルナ!!」
紅蓮の色を纏う、待ち望んだ救援が飛び込んできた。
ミルナの腕を斬り裂こうとしていた三本の刀が、横からの攻撃で砕け散る。
ノハ#゚ ゚)「よくも……!」
そのまま反転したヒートは、悠然と構えるミリアの元へ疾駆した。
ル(i|゚ ー゚ノリ「次はお前が私と踊ってくれるのか?」
ノハ#゚ ゚)「その口――いや、そのふざけた存在自体を潰してやる!
塵芥一つ残してなるものか……!!」
ル(i|゚ ー゚ノリ「それは楽しみだ」
- 56: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 17:52:11.22 ID:fmjQj92D0
- ヒートの猛攻は苛烈の一言では説明出来ないほど強烈だった。
しかし、包丁刀を槍を駆使した前方特化攻撃は、ミリアに届くことが無かった。
あの奇妙な防御方法が、またしても彼女の攻撃を防いでいるのだ。
多重の金属音ばかりが打ち鳴らされる。
一撃で身を破壊される刃が重なり、まるで雪のように散っていく。
勢いで言えばヒートが押しているようにも見えた。
堅牢を誇るミリアの周囲を跳ね、寸劇を見出す技術は流石だ。
だが、それでいてただの一度すら掠らせもしないミリアの実力も、相当なものだろう。
(#゚;;-゚)「んー、一対一やと勝ち目ないっぽいねぇ。
ってかあの能力がよぅ解らん」
(;゚д゚ )「のん気に言ってる場合か!」
(#゚;;-゚)「慌てても仕方ないやろーに。
今はどうすればマトモに戦えるか考えなあかん」
軍神の言う通り、現状はミリアとまともに戦えているとは言い難いものがあった。
数はこちらが勝っている。
技量だって、そこいらの兵には負けないと自負している。
今までの戦闘による経験も、しっかりと身についている。
しかし、それですらミリアには届かない。
力の押し通しが駄目だというのならば、策を以って隙を見出すしかないだろう。
情報が足りないのが現状であることを踏まえれば、これからは相手の出方を伺う必要が出てくる。
- 62: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 17:56:16.07 ID:fmjQj92D0
- ノハ#゚ ゚)「くっ……」
結局、隙を見出せなかったヒートが下がった。
『蜘蛛姫』の業名を持つ彼女でも一度として刃を浴びせられないとなると
いよいよこちらの危機が、具体的な形になってきたようだ。
ル(i|゚ ー゚ノリ「その程度か、人間。
我らに刃向かう覚悟は、生きようとする意志は。
それとも、ただのスロースターターというわけか?」
余裕綽々といった様子で口端を吊り上げる。
全てを見下し、その上で愉悦を求めるサディストの笑みだ。
それは、決して人間が浮かべて良い笑みではない。
ル(i|゚ ー゚ノリ「人間とは感情の撃鉄がそれぞれ違うと聞く。
だが、その中にも法則性というものがあってな。
例えば――」
ゆらり、と動く右腕。
ル(i|゚ ー゚ノリ「――大切なモノを傷付けられたり」
白色の肌の切っ先が向くは、仮面の女の方角。
ノハ#゚ ゚)「ッ!?」
- 68: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 17:58:19.72 ID:fmjQj92D0
- 次の瞬間、ミリアの周囲から出現した十数もの刀が一斉に『発射』された。
円状順列連射の形で放たれた刃は一つの直線として飛ぶ。
あれをまともに喰らってしまえば、ヒートと言えども致命傷は免れないだろう。
( ゚д゚ )「ヒートッ!!」
彼女が黒の脇差を握ったのを見たミルナは
先ほど彼女がしたように、横から刃を砕きにかかった。
超速で走る刃に、恵まれた動体視力を合わせて拳を放つ。
鳴り響く砕音。
一本一本は大したことのない強度だが、今や速度もあってか弾丸と化している白い刃。
そんな物体を横から殴れば摩擦によって皮膚が傷付くのは当然の帰結だ。
しかしミルナにとって拳よりもヒートの方が大切であるが故に
ダメージなどまったく気にすることなく、無心で拳の連打を叩き込む。
ノハ#゚ ゚)「ミルナ! 無茶はしないで!」
(#゚д゚ )「残念だがお前を護るのは、俺の役目でな。
それにさっきの借りもある……却下だ!」
(#゚;;-゚)「――!? ミルナ!」
軍神の鋭い声が聞こえたのと、ミルナが殺気を身に受けたのは同時だった。
- 76: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 18:00:31.49 ID:fmjQj92D0
- ル(i|゚ ー゚ノリ「そう……人は大切なモノを護ろうとして、自分を疎かにしてしまうのさ」
ミルナは見る。
ここにきて第二射が行なわれたのを。
先ほどよりも増した数の刃は、全てミルナの方へと切っ先を向けていた。
(;゚д゚ )(本来の狙いは――この俺!?)
まんまと騙された。
いや、誘き寄せられたのだ。
(;゚д゚ )「ぐっ……!?」
まともに防ぐ暇もない。
辛うじて掲げた右腕に純白の刃が直撃する。
その衝撃たるや、とても華奢な刀が生み出したとは到底思えないものだった。
足が浮く。
地に張っていた重心が、いとも容易く剥がされていく。
ノハ#;゚ ゚)「ミルナ!!」
(;゚д゚ )「っ!? おおおおぉぉ!?」
ヒートの手がミルナを掴もうとするが、惜しくも空を切る結果に終わった。
そのまま勢いを止め切れなかった彼は、半ば引き摺られるようにして吹っ飛んでいった。
- 79: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 18:03:47.18 ID:fmjQj92D0
- ノハ#;゚ ゚)「……!」
(#゚;;-゚)「止めとき。 あの程度で死ぬような男やない。 すぐ戻ってくる」
ノハ#;゚ ゚)「でも!」
(#゚;;-゚)「ってか、アンタさえもここからいなくなると非常にまずいんよ。
ウチ一人やと死ぬわ、普通に」
ノハ#;゚ ゚)「く……ぅぅ……!」
ル(i|゚ ー゚ノリ「はは、最愛の男が傍にいなければ本気を出せぬか?
それとも心配で心配で、実力が発揮出来ぬか?」
ノハ#゚ ゚)「き、さまは……どこまで私達を馬鹿にすれば気が済む!?」
ル(i|゚ ー゚ノリ「何を言う。 ただ戦術的に考えた結果、あの男にしばらく退場願っただけだ。
その程度のことでいちいち吠えられては耳が痛くなってしまう」
ノハ#゚ ゚)「くっ――!」
言い返したい気持ちが湧き上がるが、今回はミリアの言うことの方が正しい。
情を捨てるべき戦場に情を持ち込んでいるのは自分である。
そこを突かれたとしても、文句を言うのは御門違いだろう。
- 81: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 18:05:34.30 ID:fmjQj92D0
- ル(i|゚ ー゚ノリ「案ずるな。 あの男も、後でお前達と同じ所へ送ってやるさ。
月並みの言葉だがな」
ノハ#゚ ゚)「私達は死なない……!
死なず、そして貴様らを生かさず勝利する……!!」
ル(i|゚ ー゚ノリ「それは不可能だと先に言っておこうか」
(#゚;;-゚)「…………」
嘗められている。
英雄と軍神を前にして、ミリアの余裕は有り余るほどだ。
悔しく思う反面、軍神としては彼女の言に賛成するしかなかった。
予感がする。
誰かが死ぬ、と。
一人、あるいは、全員が。
圧倒的な死の予感が背後まで迫っているのを、軍神は一人感じていた。
このような大きさの死を内包するには、一人や二人の消滅では足りないかもしれない。
それほどミリアの力は、群を抜いて高いと判断せざるを得なかった。
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