( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

87: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 18:08:17.79 ID:fmjQj92D0
(#゚;;-゚)(今回ばかりは誰かを犠牲にせんと勝てんかもな……)

達観的な意見を思いつつも、
軍神はその不安に負けぬよう拳を握り締め、倒すべき敵を睨んだ。
相手の能力がイマイチ解らないが、僅かな情報を元にして戦う方法を選出する。

(#゚;;-゚)「離れるとさっきみたいに刀が飛んでくる。
    やっぱ接近戦しかないみたいやね。 出来る?」

ノハ#゚  ゚)「接近戦はむしろ臨むところ……でしょう、軍神?」

(#゚;;-゚)「えぇ返事や」

二人の意志は決まっていた。
いよいよこちらも本気で立ち向かわなければならない。
だとするならば、互いにとって得意な間合いで戦うのは最低必要条件である。

ここで問題になってくるのはミリアの持つ能力だ。
近付いての攻撃は、正体不明の防御方法によって防がれてしまう。
まずはその正体を見極めなければ話にならないだろう。

二人は、それを知りながらも強かな笑みを浮かべた。
まるで大きな試練に挑むかのような、そんな挑戦的な表情で――

ル(i|゚ ー゚ノリ「――ならば、相応の曲で応じるしかあるまい」

しかし、それすら超える雄大な笑みを浮かべたミリアに迎えられることとなる。



90: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 18:09:55.08 ID:fmjQj92D0
ル(i|゚ ー゚ノリ「土台は私が直々に整えてやろう。
       どう踊るかはお前達次第だ」

しゃ、という鋭い音。

ミリアが右腕を掲げたのを合図として、その先にある空間に亀裂が入った。
そこから出現する物質は当然のように鋭い刃を持っている。

先ほどと異なるのは、その数が圧倒的に違うことだ。
蛇の動作に似た刃の連なりが、薄ら寒いものをヒート達に与える。

ノハ#゚  ゚)「何を――」

ル(i|゚ ー゚ノリ「言ったろう? どう踊るかはお前達次第だ、と」

(#゚;;-゚)「これ、は……!」

散らばっていく刀。
展開されていく殺意。

それは、どこか蜂の群れのような光景だった。



100: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 18:16:25.02 ID:fmjQj92D0
(メ゚д゚ )「――っうぉ!?」

どれほど吹き飛ばされたのか。
しばらくの滞空時間を経て、ようやく着地することとなった。

勢いのままに背中から落ちる。
強かに腰を打ちつけ、ミルナは情けないうめき声を挙げた。

身体を押していた刀は既に無い。
いつの間にか消えたのか、それとも主の下へ戻ったのか。
ともあれ、戦場からかなり離されてしまったようだ。

(;゚д゚ )(……むぅ、まぁ死なずに済んだだけマシか)

何が目的なのかは解らなかったが
もしミリアが本気であったならば、もしかしたら腕の一本や二本を切り飛ばされていたかもしれない。
仰向けに転がったままダメージのチェックを行ない、重傷がないことを確認する。

(メ゚д゚ )(しかし何という狡猾さ……。
     こちらの心理を深くまで読んでいる)

となれば、軍神はともかくヒートが危険だ。
感情の爆発を抑え込んでいる彼女は、ミリアにとって格好のオモチャであろう。

(;゚д゚ )(とにかく、早く戻らねば……!)



104: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 18:18:31.49 ID:fmjQj92D0
しかし。

(メ゚д゚ )「……?」

立ち上がろうと、地面に添えた手に硬い感触があった。
それは岩や地などといった自然のものとは違い、しっかりとした存在を持つ人工物だ。

思わず見る。

(メ゚д゚ )「これは……?」

自分の手の下に、黒の色をした何かがあった。
明らかに赤褐の大地とは不釣合いな異色を放っている。
指先で何とか摘めるほどしか頭を出していないそれは、微かに丸みを帯びていた。


……何だ?


本来なら鉄屑だと捨て置くことが出来るはずなのだが、
何故か今、この黒い物体が気になって仕方なかった。



108: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 18:20:14.45 ID:fmjQj92D0
今、必要なモノだとは思えない。
それよりも急いでヒート達の援護に駆けつけなければ。
たとえミリアにとって雑魚同然であっても、囮くらいにはなれるのだから。

しかし、これがどうしても――

(メ゚д゚ )「……!」

とうとう己の内に生まれた衝動を抑え切れなくなった。
身体が痛むのも無視して、ミルナは地面を拳で掘り始める。

(メ゚д゚ )「っ! っ!」

第六感というべきか。
そこに何かが『在る』と、根拠も無しに確信しながら。
吹き飛ばされたミルナの様子を見に来た兵達が、訝しげに彼の奇行を見るのも気にせず。

まさか、と思った。

ありえない、と。

しかし直感が告げている。
探し出せ、とうるさいほど警告している。



112: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 18:23:26.13 ID:fmjQj92D0
要素はあった。

ここは元々世界政府の本部があった地だ。
それは異獣出現によって全て消滅させられてしまい、今の赤褐大地が生まれた。
だが、そこに在ったモノまで消されたとは限らないのではないのか。


その中で、今、自分のいる位置は何処だ。



南側。



世界政府本部がまだ健在だった頃、『彼女』と戦った方角は何処だ。



南側。



符合している。
当たり前だというのに異常に思えた。

こんな出来過ぎた話があるのか、と恐怖すらした。



117: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 18:25:01.24 ID:fmjQj92D0
(;゚д゚ )「ッ……っ!」

無我夢中で地面を抉る。
そこに『何か』があると確信しながら。
段々と見えてくる黒色の正体に、止まらぬ汗を流す。

大きく掘られた地面から出てきたのは――

(;゚д゚ )「……やはり」

この黒い巨重量物質を忘れるはずがない。
それは、かつてダイオードが使っていた魔剣。


――ブロスティーク。


大の男の身長を軽く凌駕する長刀身に、底の見えない深い闇色。
多くの血を吸ってきた刃は、しかし一つの欠けすら存在しない。
地面に埋まっていたというのに傷一つない神秘の武具が、その姿を見せた。

(メ゚д゚ )「ダイオード……」

ここにきて直感は確信へと変わった。

彼女は、この地で死んだのだ。
あの銀髪の女によって殺されたのだ。



126: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 18:29:07.12 ID:fmjQj92D0
(メ゚д゚ )「…………」

彼女の正体を知った今、仇を討ちたいとは思わなかった。
英雄ではなく、そして同じ世界の人間でもない。


しかしミルナにとって、この力はあまりに魅力的過ぎた。


(メ゚д゚ )「これを、使うのか……?」

思わず自分に問いかける。
誇りだとか、大義だとか、そういう次元の話ではない。

使っても許されるのか。
それ以前に使いこなせるのか。
そういった疑問が、ミルナの中で渦を巻いた。

あの力をフルパワーで使用出来るのならば、これ以上の力もない。
もしかしたらミリアに唯一対抗することが可能となるかもしれない。

だが、しかし。
自分に、そんな大層な力を持つ資格が――

ミルナが渋い表情で剣を見やり、散々苦悩していたその時だった。


『……辛気臭い男だねぇ』



129: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 18:31:30.84 ID:fmjQj92D0
(メ゚д゚ )「は?」

どこからか、そんな溜息混じりの声が聞こえた。
思わぬ出来事に慌てて周囲を見るが、付近には誰もいない。

『……あら? 喋れてる? 本当に?』

(;゚д゚ )「剣が……!?」

脳に直接響くような声の出元は、ミルナが持つ魔剣からだった。

『成程……どうやら戒めが解けちゃったみたいだねぇ。
 ということはアンタ、普通の人間かい?』

(;゚д゚ )「普通というのがよく解らんが……特殊ではないと思っている」

答えた後で、いやに自分が冷静だということに気付く。
あまりに予想外な出来事に対し、逆にフリーズしてしまったのだろうか。
そんな彼を放り、魔剣はペラペラと言葉を並べていく。

『回りくどいねぇ。 そんなに自分に自信がないのかえ?
 まぁいいさ。 あたしが喋れてるってことは、つまりそういうことだろうからね』

(;゚д゚ )「お、お前は一体……」

もはや何が何なのか解らない。
混乱する頭で、そう問いかけるのが精いっぱいだった。



135: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 18:33:27.12 ID:fmjQj92D0
『ん? あぁ、そっか。 外から見てりゃ気付かんわねぇ。
 あたしの名は、は――じゃなくて、今はブロスティーク=エザンカ=ミゾークか。
 面倒だからブロスとかブロスティークとでも呼びな。 不本意だけどね』

(;゚д゚ )「剣の意志、だとでも言うのか……!?」

『んー、そんなもんかねぇ。 実はあたしもよく解ってないんだけどさ。
 天才様の考えるこたぁ難しくて難しくて……あー、イチだったら説明出来たんだろうけど。
 まぁいいさね。 面倒だ』

まさか剣が喋るとは。
しかも、ひどく軽い調子で。
あの禍々しい雰囲気からは微塵も想像も出来ない。

何やら高揚している様子で喋る声は、ミルナにとって理解の及ばぬ独り言を撒き散らす。

そもそも『いきなり剣が喋った』という事実にすら追いついていない彼にとって
魔剣――ブロスティークの言葉を理解しろ、と言うのは酷な話である。

そんな中でただ一つ解ったのは、この声の主は『御喋り好き』ということだった。

(;゚д゚ )(というか、ダイオードもよく我慢出来たものだな……)

元持ち主である彼女に同情を禁じ得ない。
それほど、小うるさい性格だと思えた。



140: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 18:35:22.03 ID:fmjQj92D0
『あー、そこンとこ微妙だねぇ。
 使われてる間はずーっと口にチャックされてたし』

(;゚д゚ )「ど、読心術!?」

『馬鹿言ってんじゃないよ。 アンタとあたしは既に接続されてるからねぇ。
 残念だけど意識の共有させてもらってるから諦めな』

はっはっはっ、と快活に笑うブロスティーク。
声と喋り方からして中年の女性という印象を受ける。

(;゚д゚ )「……何が何なのか解らん」

『見て解る通り、あたしゃーうるさいからねぇ。
 秩序守護者に使われてる間は色々と封じられてたみたいでさぁ。
 確かダイオードの御嬢ちゃんは死んだんだろ? じゃあ復活ってわけだね』

(メ゚д゚ )「やはり死んだのか」

というか今、あのダイオードのことを『御嬢ちゃん』と言わなかったか。
しかし年齢の上下について問うのも怖かったので黙っておいた。
そんな心情を知ってか知らずか、ブロスティークは軽快に言葉を放つ。

『アンタも見たろ? あたしは途中で腕ごと落とされちゃったけどさ。
 しかもだーれも拾ってくれないわ、大きな衝撃があって地面に埋まるわで散々さね。
 ま、こうしてアンタに発見されたから良しとするけど。 ははははは』

で、と続け

『――随分とアンタ傷だらけだけど、もしかして戦ったのかい?』



145: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 18:37:57.84 ID:fmjQj92D0
(;゚д゚ )「そ、そうだ……! すぐに戻らねば!」

あまりに奇異な出来事に時間すら忘れてしまっていた。
今もまだ戦闘は継続中であり、その最先端ではヒートと軍神が戦っている。
簡単に吹き飛ばされた自分を情けなく思うが、だからこそ逸早く戻らなければならない。

少し遠くを見れば、先ほどまで無かったはずの竜巻のような光景が目に入る。
おそらく敵の新たな攻撃なのだろう。

『あー時間とらせちゃったみたいだ。 すまないねぇ。
 こうなったらあたしも連れて行っておくれよ。 力になるからさ』

(;゚д゚ )「!?」

『まぁ、掘り出した時点であたしを使う気満々だったんだろ?
 本当なら「勝手にやっとくれ」と思うところだったんだけどねぇ……。
 どうも懐かしい匂いがするんだよ、これがさ』

(メ゚д゚ )「……懐かしい、とは?」

『とりあえず走ろうか。 話は移動しながらでも出来る』

(;゚д゚ )「う、うむ」

剣に急かされるという、なかなか経験出来ないことを体験しつつ
ミルナは右手に持っていたブロスティークを肩に担ぎ上げる。

(メ゚д゚ )(武器が言葉を話す、か……まるでアレだな)

その意外な軽さに驚きつつ、ミルナは内藤ホライゾンの持つ武器を連想した。



149: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 18:39:16.30 ID:fmjQj92D0
『さぁさ、久々の戦場だ。 楽しみだねぇ』

彼女の声はどこまでも御機嫌で、
あのダイオードが持っていた武器とは思えない空気を醸し出していた。

(;゚д゚ )(……どうにも調子が狂うな)

『ははは、だからダイオードもあたしの意識を封じたんだろうねぇ』

それは笑って良いところなのか。
判断のつかない冗談か本気かの言葉に、ミルナは眉をひそめて首を振る。

これは、あれだ。
モララーやペニサスなどといった人種と同じだ。
いわば『まともに取り合うと馬鹿を見る』タイプだ。

『アンタは随分とストレートみたいだけど?』

こうやって心を読んでくるあたり、更にタチが悪い。

(メ-д-)「……行くぞ」

『そうこなくっちゃ!』

あまりに想定外なブロスティークの正体に頭を痛めつつ、ミルナは戦場へと戻り始めた。



152: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 18:41:10.37 ID:fmjQj92D0
ミルナの欠けた南側の戦場では
まさに刀の雨が容赦なく降り注いでいた。

ノハ#゚  ゚)「くっ……!」

(#゚;;-゚)「ったく、面倒な……!」

ル(i|゚ ー゚ノリ「ははははははは! そら、踊れ踊れ!」

中心部にいるのはミリアだ。
両腕を広げ、心底楽しそうに笑い
その周囲を飛び交う刀の中、必死に回避を続けている軍神達へ愉しげな視線を向けている。

まさに攻撃の嵐とはこのことか。

何十、何百もの白刀が縦横無尽に飛び回る。
流石の英雄と軍神も、この前代未聞な光景に手を焼いていた。

回避を基本として、それでも避けられない刀は拳や剣で砕くが
いくら壊しても一体どこに隠しているのか次々に補充されてしまう。
終わらない刀の雨の中、軍神とヒートは踊るようにして身を動かしていくことを強制された。

ル(i|゚ ー゚ノリ「ほぅら、速く動かねば串刺しになるぞ!」

今や南の戦場は風切音と、金属音と、粉砕音の大合唱の場と化していた。



156: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 18:42:33.28 ID:fmjQj92D0
(#゚;;-゚)「ちィ、このままやといつまで経っても近付けん……ッ!」

たかが刀と見くびるなかれ。
一本一本が高密度の魔力を纏っているのだ。
まともに喰らってしまえば、いくら軍神でもダメージは免れない。

ノハ#゚  ゚)「肉を切らせて骨を断つ、しかない?」

(#゚;;-゚)「肉だけで済めばえぇんやけどな」

見たところ、あの刀全てにミリアの意志が宿っている。

今は自由気ままにランダムで飛ばしてはいるが
もし攻撃してくる姿勢を見せれば、その全ての刃が殺到してくるのは明白だ。
おそらく、手が届く前に串刺しにされて終わりだろう。

ル(i|゚ ー゚ノリ「我が攻撃の味は如何かな。
       楽しんでもらえているようで何よりだが」

(#゚;;-゚)「死ね。 氏ねじゃなくて死ね」

ル(i|゚ ー゚ノリ「ははは、面白い冗談だ。 もっとやれ」



157: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 18:44:20.47 ID:fmjQj92D0
近付けないだけならまだしも、動き続けないといけない状況が軍神を焦らす。
敵を前にして、ただ体力を消耗し続けるだけなど我慢ならないからだ。
そして何より、彼女を苛立たせるのはミリアの存在である。

彼女は戦いが始まってから、一歩も動いていない。

たったそれだけではあるのだが
比較的プライドの高い軍神にとって許せない要素の一つだ。
強者とは強者であるからこそ強者、というように、彼らは自分以上の強者を嫌う傾向にある。

(#゚;;-゚)「…………」

――ヒートの言う通り、ダメージ覚悟で行くか?

危険な考えが脳裏を過ぎる。
仮に全力で突撃したとしても、刀の串刺しから抜けられる確率は低いだろう。
せいぜい敵の攻撃をこちらに向けさせることくらいしか効果はないはず。

(#゚;;-゚)(現状による攻撃は無意味……やけど、このまま逃げ続けるのにも無理がある。
     やっぱり、どうにかせんと勝ちようがないっぽいなぁ)



162 名前: BYUt189CYA 投稿日: 2008/03/28(金) 18:46:02.51 ID:978EpB1o0
ル(i|゚ ー゚ノリ「ふふ、ふふふふ」

ノハ#゚  ゚)「…………」

ル(i|゚ ー゚ノリ「やはり私の目に狂いはなかったな。
      死なすには惜しいという直感は見事に当たったわけだ。
      そこにいる軍神共々、良き闘争を期待することが出来そうで嬉しいよ」

ノハ#゚  ゚)「……ねぇ」

ミリアの言葉など聞こえていないように、ヒートが口を開く。

ノハ#゚  ゚)「貴女にとって私達――いや、人間とは何?」

ル(i|゚ ー゚ノリ「餌だ」

(;゚д゚ )「……!」

ル(i|゚ ー゚ノリ「厳密に言えば、最終的に『餌』となる。
      それまでは我々を楽しませてくれる『玩具』と呼ぼう。
      その中で奇異な力を持つ者は『材料』と呼ぼう」

(#゚;;-゚)「…………」

かつて異獣に『材料』とされた軍神が、一際強い視線でミリアを睨む。
ヒートはそれよりも更に強く、相手が人間であれば容易く射殺せそうな殺意を送る。



164: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 18:46:07.84 ID:fmjQj92D0
真正面から来た刃を避けつつ、でぃは思考を進める。

(#゚;;-゚)(ウチらは基本能力高いけど『必殺』と呼べる技を持っとる奴がおらん。
     『おーばーぜにす』みたいな能力も持っとらん。
     つまり決定打が欠けとる……けど――)

一つだけ望みを見出せる要素があった。
ダイオードとの戦いで見せた、軍神に備わる機械皮膚の全機能活性化だ。

あの瞬発的かつ圧倒的な加速力を生み出せれば
刀の嵐を抜け、そして行われるであろう防御を貫けるかもしれない。

だが、それでは駄目だ、と思う。

ミリアを見れば、その余裕の程が手に取るように解る。
つまり彼女が、何か他の手を隠していないわけがないのだ。
たとえ防御を貫いたからと、そのまま拳がミリアに届く保証はどこにもない。

機械皮膚の機能は、まだ切り札の一つとして持っておくべきだ。

(#゚;;-゚)(しかし、このまま敵の攻撃が止むのを待つのも現実的やない。
    もう一つ何か要素があればええんやけど……)

手の空いたEMAか何か呼んでみるか。
しかし、最強と名高い南軍が援護を要請するなど――



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