( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

554: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 21:38:24.68 ID:fmjQj92D0
ル(i|゚ ー゚ノリ「戦いの中で何をふざけたことを――」

(#゚д゚ )「おぉッ!!」

ル(i|゚ ー゚ノリ「ぬっ!?」

刃を交えていたミルナの力強さが変わった。
踏み込みはもちろん、防御時の反発力が段違いに。
ヒートと共に戦えることを認識し、限界以上の出力を得たのだ。

(#゚;;-゚)「んじゃ、本領発揮ってことで! 行くよぉ!!」

ノハ#゚  ゚)「「把握!!」」(メ゚д゚ )

テンションの上乗せを狙うかのように軍神が吼えた。
続いて、二人の英雄もそれに倣って攻撃の意思を見せる。

疾駆した。
一丸ではなく三方向に散るようにして。
今までのどの疾走よりも速く、力強い。

ミルナを中央に、それぞれの斜めに軍神とヒートが構える陣形だ。

(#゚;;-゚)「突撃! 突撃! そして突撃――!!」

狙いは三人同時連続攻撃。
ブロスティークの効果もあって弱体化したミリアを
ここで一気に崩してしまおう、との判断を元にした猪突猛進だ。



571: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 21:40:55.95 ID:fmjQj92D0
ル(i|゚ ー゚ノリ(こいつら――!?)

正面にブロスティークがある以上、白刀『テセラ』を迂闊に使用するわけにはいかない。
ここは防御に徹するのが上策と直感したミリアは、意識を内側に集中する。

軍神の拳は三本。
ヒートの斬撃は四本。
ミルナの斬撃も四本。

一度の防御に必要なのは計十一本の刀で
それがテンポとして一秒に一・五回分ほど消費される計算だ。
即ち――


「「はあああああぁぁぁぁぁ!!」」


秒間平均十五本もの刀が一度に割れ、砕かれ、破壊されていく。


五秒もすれば五十近くもの刀が粉砕され
更にその刃が、吹雪のように散らされていく。
律義に太陽光を反射し、戦場を輝きの場へと変貌させた。

撃音。
砕音。
咆哮。

攻勢の意志が集束し、耳を聾さんばかりの大音を打ち鳴らしていく。



584: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 21:42:56.10 ID:fmjQj92D0
ル(i|゚ ー゚ノリ「ようやく出たな……! 感情の力が!
      それで私を喰い殺せるか試してみるがいい!」

(#゚д゚ )「それは俺の役目ではない!」

ル(i|゚ ー゚ノリ「何!?」

ノハ#゚  ゚)「おぉぉぉぉッ!!」

ミルナの背後からヒートが来る。
視線すら交わしていないにも関わらず、正確なタイミングで追撃が来る。
まるで背中に目があるようにミルナは進路を譲り、それを信頼しているヒートは迷わず走った。

ル(i|゚ ー゚ノリ「――だが、そのような貧弱な武器で何が出来る!?」

ヒートに残された武装は二つ。
壱ノ武『飛燕』と四ノ武『梟』だ。
包丁刀は、今の連続攻撃の最中に砕け散ってしまった。
そして残ったどちらも近接攻撃には向いておらず、前者は攻撃用ですらない。

だが、ヒートは迷わず走った。

(#゚;;-゚)「ちゃんとこっちも見といてなぁ!」

ミリアの背後に、軍神が忍び寄っていたのが見えていたから。



593: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 21:44:20.63 ID:fmjQj92D0
ル(i|゚ ー゚ノリ「蜘蛛姫は囮か! 小賢しい真似を!」

察知さえ出来れば時間は要らない。
背を狙う軍神に意識を集中させ、三本の刀を出現させる。
その隙にミルナが右方へ移動しているのに気付き、更に意識を分散させる。
次の瞬間だった。

ノハ#゚  ゚)「そこだあああああああああああ!!」

ル(i|゚ ー゚ノリ「っ――!?」

攻撃手段に乏しいヒートが一気に突っ込んでくるのを、ミリアは見る。
予想外な行動に判断が一瞬だけ遅れ、それが致命傷となった。

ル(i|゛ -゚ノリ「がっ!?」

右の視界が黒に染まる。

いや、違う。
これは――

ル(i|゛ -゚ノリ「刺、された……のか……」

右目に深々と入り込んだ黒塗りの刃。
人間如きに傷付けられた、という事実を反芻するミリアを前にして
ヒートは握ったままの飛燕に力を込め

ノハ#゚  ゚)「もう、躊躇わない!!」

体重を掛けながら、その刃を思い切り下方へ切り払った。



604: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 21:46:01.11 ID:fmjQj92D0
ル(i|" -゚ノリ「ぐ、ぁ……!」

飛び散る鮮血と、白色の何か。
流石に痛覚はあるようで、その刺激でようやくミリアは現状を理解したようだった。
しかし未だ半分ほど信じられぬようで、掌に落ちた真っ赤な血を凝視する。

ル(i|" -゚ノリ(これが……私の血……?)

(メ゚д゚ )「傷を入れた……! やはり完全無欠ではなかったか!」

ノハ#゚  ゚)「あの防御方法は自動なんかじゃない。 意識を引き金にしてる。
     だから隙を――本当に小さな穴だけど、恐れず突けばダメージを与えられる」

(#゚;;-゚)「気ィつけぇよ。 まだ終わっとらん。
    さぁ、鬼が出るか蛇が出るか……」

右目を失ったミリアは更に形勢不利となる。
こちらは軍神にヒートとミルナ、そしてブロスティークが揃っている。

ル(i|" -゚ノリ「…………」

だが、それでも勝ち目が見えてこないのは何故だろうか。

沈黙が訪れた。
どうにも嫌な沈黙だ。
この後で危険なことが起きるような、そんな予感がする。



613: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 21:47:30.04 ID:fmjQj92D0
ル(i|" -゚ノリ「く――」

俯くミリアが、呻いた。
呼応するようにヒート達は武器を構える。

決して小さくないダメージを受けたミリアが、あのまま黙っているわけがない。
しかも見下していた人間に傷付けられたのだ。
プライドに大きな裂傷が入ったと見てもいい。

となれば、怒りによって更に攻撃が激化することも考えられる。

ル(i|"ー゚ノリ「く、は――」

再度、呻き声。
吐かれた息は蕩けるような粘着性を持っている。
恍惚とした吐息は、明らかに場違いなものだ。

ル(i| ーノリ「はは……は――」

ミリアは、大きな黒い何かが心を覆うのを自覚していた。
これまで圧倒的優位に立っていると知っていたが故に、この痛みが新鮮なものとして映ったのだ。

結果、感情が沸騰する。

証明するように、顔を覆う手の隙間から、吊り上がった口端が覗いた。


ル(i|"∀゚ノリ「くはははははははははははははははははははは!!!」



625: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 21:49:19.50 ID:fmjQj92D0
溢れ出す感情は『興奮』だ。
抑えられない衝動に欣喜雀躍の様相を見せるミリア。
残った左目を見開き、淑やかに閉じられていた口を獣のように大きく広げて狂い笑う。

(;゚д゚ )「わ、笑って……?」

(#゚;;-゚)「……鬼でも蛇でもない。 イヤーなのが出たかもわからんね」

高らかに響いたのは笑い声だった。
今までとはまったく別種の、狂気すら感じさせる笑いだ。
顔半分を血に濡らしたままの破顔は薄ら寒いものがあった。

ル(i|"∀゚ノリ「これだ! これだよ! 私はこれを待っていた!!
       遂に貴様らは私の喉に牙を当てるまで肉薄した!
       待っていた甲斐があったというもの! やはりお前達は――!!」

『負け犬の遠吠えにしか聞こえないねぇ』

ル(i|"∀゚ノリ「何とでも言え……! 今の私は歓喜に打ち震えている!」

すぅ、と深く息を吸い

ル(i|"∀゚ノリ「このような人間を殺し尽くすことが出来るのだとなぁッ!!」

瞬間、劇的な変化がミリアの周囲を蹂躙した。

上半身を前へ落とし、両腕を胸の前で勢いよくクロスさせると
いきなり無数の刃が彼女を覆い尽くすように、甲高い音を立てて出現したのだ。



633: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 21:50:39.93 ID:fmjQj92D0
(;゚д゚ )「なっ――」

今までのものとは比べ物にならない規模。
しかも、

ノハ#;゚  ゚)「散った刀の破片が!?」

先ほどの大攻勢で何百、何千と叩き割った刀が再生しようと動き始めていた。
褐色の大地すら覆い尽くさんという量の刃が蠢き、元の形を成していく。

剣山だ、とミルナは思った。

ミリアを中心とした大地から再生した刀が、そして空中から生まれ出づる刃が。
四方八方へ好き勝手に伸び、互いの身を擦り合わせての金属音は一つの生物のようだ。
あれが一斉に放たれ、そして運悪く避け損なえば、おそらく千度八千度と串刺しになってしまうだろう。

ル(i|゛∀゚ノリ「ははははははははははははははははははぁぁぁ!!!」

(;゚д゚ )「ッ……!?」

(#゚;;-゚)「来るよ!!」

鼓膜を震わせる笑声に身を固めた直後。
タイミングを合わせてきたかのように、何千もの刀が一斉に発射された。

それは現代兵器に例えれば、爆発時に鉄球を撒き散らす『クレイモア地雷』である。



641: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 21:52:27.04 ID:fmjQj92D0
一斉に広がる死の線。

赤の景色が一瞬で白に染められ、刃は無差別に何もかもを切り裂こうと飛ぶ。
離れている味方軍に比べ、圧倒的に近いミルナ達は最大限の危険に晒されることとなった。

(;゚д゚ )「う、ぉぉ……!?」

咄嗟にブロスティークを盾とするように構える。
銃弾のようにして飛んできた刃が刀身に当たり、連続した高音を発していく。

(;゚д゚ )「俺はともかく他の奴らが! ブロスティーク、何か結界のような能力はないのか!?」

『ってか能力の使用が不可だねぇ。 残念だけど、そもそも条件が合ってない』

(;゚д゚ )「そんな――っくぉ!?」

圧倒的な数だが攻撃基準が無差別なのが幸いだった。
ミリアを中心として放射線状に刃が走ることから、正面にブロスティークを構えていれば問題ない。
盾を持たない軍神もヒートも心配ではあったが、このような単純な攻撃であれば――

その時、視線の端を違和感が過ぎった。

(;゚д゚ )「これは……!?」

幾重もの直線の中、微かに曲線軌道が混じっている。
一度は傍を通過していった刀の一部が、切っ先をこちらに向けた動きだ。

『無差別直線軌道の中にホーミングを混ぜて……! ミルナ!!』

(;゚д゚ )「解っている! 皆、無事でいろよ――!」



648: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 21:53:56.86 ID:fmjQj92D0
ノハ#;゚  ゚)(くっ、考えてるな……!)

突如として別方向から襲い掛かってきた刃を回避したヒートは、敵の狡猾な戦法に舌を巻いていた。

同じ刀の中に二種類の動き、という事実は回避基準の乱れを誘発する。
もちろんこちらに向かってくる刀だけ防御すれば良いだろうとは思うが
そこで活きてくるのが、先ほどから乱射されている直線軌道の方の刃だ。

あの刀には明確な意思が宿っていない。
ただ真っ直ぐ飛ぶことしか命じられていない。

つまり、全ての刀が『偶然』当たるのを期待して放たれているのだ。

そこに殺気などあるわけがなく。
視界に捉えるか、風や音を読んで回避するしかない。
邪魔をするように追い掛けてくる方の刀を避けながら、だ。

――全て考えられている。

ノハ#゚  ゚)(ただ単に暴走したわけじゃあない……!)

左方からきた刃を飛燕で弾きつつ、思う。

とにかく今は回避だ。
果たして何十、何百、何千、何万もの刀を隠し持っているのか。
終わりの見えない全方位攻撃に、ヒートは再び集中し始める。



656: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 21:55:17.28 ID:fmjQj92D0
ステップを刻み、出来るだけ後方へ。
下がれば下がるだけ判断の猶予が増えるからだ。

だが、それすらも奴は読んでいた。

ノハ#゚  ゚)「!?」

風向きが変わったのに気付く。
前から吹きつけるものではなく、背後へ吸い込んでいくような。
同じように見えて決定的に何かが違う、この違和感の正体とは――

き、という音が微かに響いた。

まずい。
何か解らないけど、駄目だ。
直感による焦燥に煽られ、本能が警告する。


このままだと危険だ――!



665: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 21:57:04.45 ID:fmjQj92D0
ノハ#;゚  ゚)「くっ!?」

咄嗟に身を捻る。
視界の隅で、ミルナが全力で後方へ跳ぶのが見えた。

そして、それを追う白色の光も。

ミリアの切り札『テセラ』が再び使用されたのだろう。
だが先ほどヒートに襲い掛かった波動と比べ、圧倒的に規模が大きい。
それは津波のように地面を砕きながら、扇状範囲の全てを食い尽くしていく。

ノハ#;゚  ゚)(間に、合わない……!?)

二度目にして、またもや喰らってしまうのか。

だが、既に全てを呑む光が眼前に迫っている。
逃げ道がないことを悟ったヒートは身を丸め、自身の保護を優先する。

直後、轟、という音と同時に衝撃が身体を貫き、

ノハ#;゚  ゚)「ぐっ……うぅ……ぁ! ミルナ……!」

そのまま、意識が暗転した。



671: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 21:58:36.24 ID:fmjQj92D0
嵐が通過したような光景と音だった。

正体は風ではなく光だったわけだが、それでは尚性質が悪いと言える。
比較的平坦だった地面は大きく抉れてしまい、その威力の程を示している。

(;-д- )「ぐ、ぅ……」

ノハ#   )「うっ、ぁ……」

荒れ果てた地面に、二人の男女が倒れていた。
光の波動に巻き込まれたミルナとヒートだ。
叩きつけられた衝撃もあってか、すぐに動けそうにない。

(#゚;;-゚)「……まったく、やってくれる」

その傍に軍神が立っていた。
流石に無事ではなく、身体にいくつかの裂傷が刻まれている。

どこか余裕があった瞳には、既にそのような楽観的な輝きが消え失せていた。

これでも軽傷に入る内だった。
並の使い手であれば、おそらく即死だったはずだ。

あの攻撃の中で生きて――しかも意識を保っていられたのは、
ひとえに彼女の卓越した技術と、機械皮膚を通した身体機能の恩威と言える。



683: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 22:00:12.87 ID:fmjQj92D0
ル(i|"ー゚ノリ「理解したか、軍神?
       どんなに状況が不利になろうとも、このテセラがあればいくらでも逆転することが出来る。
       お前達は最初から負ける戦いに挑んでいたのだよ」

(#゚;;-゚)「逆を言えば、その武器を失くしてしまえば勝てるってことやろ?」

ル(i|"ー゚ノリ「だが、テセラを持っている限りは失くすこともあるまい。
       この圧倒的な力があれば、どのような敵をも滅ぼすことが可能なのさ。
       もはや『唯一の支配』はオマケと言えよう」

(#゚;;-゚)「……何やそれ?」

ル(i|"ー゚ノリ「テセラの固有能力。
       これと決めた一つの物質を原子レベルまで操ることを可能としてな。
       お前達のような低脳から生まれる技術では及びつかない、まさに神の力だ」

成程、と軍神は納得した。
もしミリアの言う固有能力とやらが真実ならば、今までの攻撃全てに説明がつくからだ。

おそらく彼女は『刀』という物質を『唯一の支配』とやらに設定しているのだろう。
刀を用いた射撃から防御、再生に至る全ての事象は、この固有能力からきているのだ。

(#゚;;-゚)「にしても、随分と親切なことで」

ル(i|"ー゚ノリ「ここまで愉しませてくれたのだ。 礼代わりとして聞き入れておけ。
       まぁ、すぐに死ぬのは決定事項だが」



688: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 22:01:37.65 ID:fmjQj92D0
(#゚;;-゚)「……ふぅん」

気のない返事を寄越した軍神は、ミリアを無視して歩を進めた。
未だ意識を取り戻していないミルナとヒートの傍まで行くと、

(#゚;;-゚)「ちょいと借りますよ、と」

未だ硬く握っているミルナの手から、黒色の巨剣を奪い取った。

ル(i|"ー゚ノリ「成程。 良い判断だ」

(#゚;;-゚)「身体一つで戦うよりも、まぁマシでしょ」

『――失礼だねぇ、アンタ。 あたしを誰だと思い?』

(#゚;;-゚)「剣」

『ストレートでよろしい。
 で、驚かないのかい? その剣が喋ってるわけだけどさ』

(#゚;;-゚)「んー? おぉ剣が喋ったー」

『……まぁいいさ。 クソ度胸があると思っておくよ』

不満気な調子だったが軍神が持ち主になることに異論はないようだ。
かつての敵が持っていた武器にしては、やけに友好的である。



711: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 22:05:53.74 ID:fmjQj92D0
『そりゃあ、あの時はダイオードの小娘にいいように扱われてたからねぇ。
 同じ扱われ方でも、意志を尊重してくれる方に傾倒するのは当然じゃないかえ?』

(#゚;;-゚)「なんやよう解らんけど、ダイオードを小娘呼ばわりする根性が気に入ったわ。
    あと勝手に思ってること覗くな」

『フィーリングってやつかねぇ。 もっと早くに出会っておきたかったよ、アンタとは』

直感的に二人は思う。
相性がとても良い、と。
ミルナは保守的だったが、対する軍神は攻撃的だ。
どちらかと言えば後者の方がブロスティークの気性に合っている。

(#゚;;-゚)「……ええか? ミルナとヒートは気絶中。
    今まともに戦えるのはウチしかおらん。 これがどういうことか解る?」

『絶体絶命』

(#゚;;-゚)「阿呆」

苦笑した軍神はしかし、にやり、と口元を歪め

(#゚;;-゚)「手柄を独り占めするチャーンス」

『……アンタ、いいねぇ。 うん、すごくいい。 正式にお付き合いを申し込みたいくらいだ』

(#゚;;-゚)「ウチはレズやないし熟女趣味もない――ってかそれ以前の問題やなぁ」

『釣れないねぇ』



721: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 22:08:26.55 ID:fmjQj92D0
(#゚;;-゚)「さて、こんな漫才しとる場合やない。
    準備も舞台も整ったところで、獣退治と洒落こみましょか?」

ル(i|"ー゚ノリ「ふむ、待ちくたびれたぞ」

(#゚;;-゚)「待っててくれるなんて優しいことで」

ル(i|"ー゚ノリ「そういう美学もあると、この世界のテレビとやらで学習したのだが。
      奴ら、敵が目の前で強化装甲を装着していたりするのに攻撃しないのだよ。
      おそらくだが、自分の力が圧倒的であることを示唆する行為なのだろう」

(#゚;;-゚)「はぁ……でもその場合、法則から考えれば負けるのアンタになるわけやけど」

ル(i|"ー゚ノリ「無いな」

(#゚;;-゚)「そか」

追加として、残念、と少し寂しげに呟く。
しかしその音もすぐに空に溶け、

(#゚;;-゚)「んじゃあ、さっさとケリ着けようかね!!」

いきなり軍神が地を蹴って跳んだ瞬間、
誰かの命のカウントダウンが始まったことに、誰も気付けるわけがなかった。



726: ◆BYUt189CYA :2008/03/28(金) 22:09:57.33 ID:fmjQj92D0
身体の大部分を覆う機械皮膚。
備えられた力を、機能を、全て起動させる。
特殊な処理を施された皮膚の中を魔力が循環し、周囲の物理法則を、軍神に有利となるよう歪める。

これにより彼女は英雄と同レベル、もしくは以上の運動性を得られるのだ。

身体が一気に軽くなる。
少しの力で、その何倍もの効果を得られる。

だから、疾駆した。

前から来る風が頬を撫でるのを感じ、更に前へ。
地を蹴立て、走る。

(#゚;;-゚)「お――!」

思考の先にある答えはシンプルなものだ。

――目の前にいる異獣を倒す。

ずっと昔から、それこそ軍神となった時から課せられた使命である。
恨みのため、軍のため、人のため、修羅となって獣を蹴散らすのだ。

彼女の半生は、そのために生かされることによって完成したと言っても、過言ではない。



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