( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

48: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 20:56:11.67 ID:pd2Of4e00
<;ヽ`∀´>(おかしいニダ……)

そういう結論に至るのは、
異獣と何度も交戦したことのあるニダーにとって当然の帰結であった。
知識や経験が豊富であるが故に、ロマネスクの異常を早くに察知することが出来た。

明らかに硬過ぎる。

いくら魔力とはいえ、その力は無限大ではないし絶対でもない。
多くを蓄え、それを防御力としたとしても、やはり限界はある。

それが、未だまったく見えないのが異常だった。

これまでも防御力の高い敵はいた。
しかし執拗に何度も攻撃を当て続ければ、最終的に瓦解するのが道理だ。

<;ヽ`∀´>(無敵などというふざけた存在は、断じて認めることは出来んニダ――!!)

ライフル側部についたスイッチを捻り、一発に使用されるカートリッジ量を三倍へ引き上げる。
当然、発射までのタイムラグも大きくなるが、単純計算で威力は三倍以上に膨れ上がるはずだ。

構え、狙いを――

〈/i(iφ-゚ノii「――――」

だが、その照準と発砲の合い間、ロマネスクが動いた。
それは漆黒に染まった右腕を背後へ送り、反動を以って打ち出す形だった。



51: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 20:57:48.30 ID:pd2Of4e00
<;ヽ`∀´>(あの距離から何を……!?)

思うと同時、身体が反射的に動いた。
積み重ねてきた勘が、ここからの即時退避を促したのだ。

<;ヽ`∀´>「ッ!?」

飛び退く。
擦れる視界の中、黒の粒子の塊が波打つのが見えた。
地面に伏せたと思った次の瞬間、踊るように跳ね上がって向かってくる。

一瞬前までニダーがいた位置を、黒の奔流が抉るようにして破壊した。

<;ヽ`∀´>「なっ……今のは……!」

*(;‘‘)*「黒い……!?」

それを何と表現すれば良いのか。
ロマネスクの右腕を包むガントレット、その手の甲から噴出した粒子の群が
まるで蛇のような形を作ってニダーに襲い掛かったのだ。

<;ヽ`∀´>「ヘリカル!!」

*(;‘‘)*「私に聞いても解るわけねーでしょ!」



53: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 21:00:02.83 ID:pd2Of4e00
しかし二人は、黒い光だけに覚えがあった。
ロマネスクが好んで使用していた、ウェポンの贋作だ。
だが、その武装に今の攻撃を生む機能はついていなかったはず。

<;ヽ`∀´>(おそらく異獣化した際に付加された力……!)

*(;‘‘)*(そして、決して無視出来ない危険な能力……!)

照らし合わさずとも意見は一致している。
地面を砕く一撃を軽視するほど、自信過剰ではなかった。

<ヽ`∀´>「ここは慎重に行動し、出来る限り敵能力の把握を――」

(#^ω^)「――おぉっ!!」

これからの戦闘プランを考えたところで、彼の眼前にブーンが飛び出してきた。
その傍にはクーもおり、一歩下がった位置で刀を構えている。

<;ヽ`∀´>「お、お前ら……さっきの見たはずニダ! 近付くと危険ニダ!」

(#^ω^)「大丈夫ですお!!」

警告の言葉を一蹴したブーンは、両拳を握り締めて疾駆を開始する。

川 ゚ -゚)「すまない。 だが、これが私達の戦い方だ。
     遠距離からの援護を頼む」

そう言い残したクーも、ブーンの後を追うように走り出した。
あまりの無謀な行為に何かを言おうとしたニダーだったが、もはや止められぬと悟ったように首を振った。



56: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 21:01:34.60 ID:pd2Of4e00
*(;‘‘)*「まったく……本当にアレが、ロマネスクを単独で打ち倒した男なんですかね?」

<;ヽ`∀´>「さぁ。 何か要素があったかもしれんニダ。
       ウリは、あのロマネスクが内藤に倒されたと未だ信じることが出来んニダ」

だが、と続け

<ヽ`∀´>「……今ので、信じてみてもいい、という気にはなったニダ」

ニダー達が慎重になるべきだと考えた場面で、ブーンとクーは反対に突っ込んでいった。
ブレーキをかけるどころか、迷いなくアクセルを踏み込んだのだ。

本来のニダーならば、その馬鹿さ加減に憤慨するところだっただろうが
予想に反し、顔に表れたのは怒りではなく笑みであった。

ならば一緒に馬鹿をやってみよう、という考えは自然と浮かんだ。

未知の敵に対して躊躇なく向かい合えるブーン達を羨ましく感じ
そして、出来るならば自分も、と思えたのだ。



58: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 21:03:42.08 ID:pd2Of4e00
<ヽ`∀´>「……これが噂のFC病ニカ?」

*(‘‘)*「空気感染するとは思いませんでしたけどね。
    おかげで私の今後の人生プランが狂いまくりです。
    まったく、あんな変な奴らと一緒に戦うなんざ……もう遅いですけどね」

<ヽ`∀´>「ということは――」

*(‘‘)*「――アンタは右。 私は左。
    真ん中を突っ走る馬鹿がいるなら、これがベストです」

つまり同じ意思なのだな、と感じたニダーは強く頷いた。
この胸に湧き上がる高揚感は、きっと偽りではないだろう。

<ヽ`∀´>「求められているのなら、応えるしかないニダ」

*(‘‘)*「あのバカップルは周りが見えてない時がありますからね。
     ま、せいぜい死なない程度に援護してあげますよ」

そんな愚痴をこぼすヘリカルの口元には、やはりニダーと同じような笑みが浮いていた。



63 名前: ◆BYUt189CYA [>>60たくさん] 投稿日: 2008/04/21(月) 21:06:17.33 ID:pd2Of4e00
川 ゚ -゚)「内藤! 私が隙を作る!」

( ^ω^)「解ったお!」

立ちすくむロマネスクを前にして、クーの提案はブーンの思ったものと同一であった。

彼女が強くステップを踏む。
その僅かな滞空時間の間に刀が消え、ブーツが出現した。
手品のような光景だったが、ブーンはそれをいつも近くで見ていたため
特に驚きも目を奪われもせずに与えられた役目に集中する。

クーが隙を作ると言ったのだ。
だから、それはきっと為される。

川#゚ -゚)「見せてやるぞ、異獣! 私とハンレの戦い方をな……!」

地を蹴れば、周囲の景色が吹き飛ぶ。
音速に近い速度を生み出す原因は、彼女の足を纏う透明色のブーツだ。

川#゚ -゚)「シュード(似非)・ギルミルキル――!!」

ワンステップを刻んでロマネスクの横へ。
更に重ねて刻み、たった二歩で背後を取ることに成功する。

〈/i(iφ-゚ノii「――――」

一瞬遅れてロマネスクが反応し、その濁りきった双眸がクーを捉える。
だが、その時点で既にクーは次の行動へ移っていた。



64: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 21:08:47.35 ID:pd2Of4e00
川#゚ -゚)「シュード・ガロン!」

腰溜めに構えた長銃が光を吹く。
三度の発砲音を証明するように三つの光弾が飛び、
ロマネスク本体ではなく、その足下の大地を削った。

煙が舞い上がる。
簡易的な煙幕に包まれたロマネスクは、クーの姿を見失う。

川#゚ -゚)「シュード――!」

〈/i(iφ-゚ノii「!」

次に聞こえた攻撃の声は真横からで

川#゚ -゚)「――アーウィン!!」

手に持つは魔道の書物。
ページが開かれ、風が舞い、クーの描く幻想が実体化する。
それは彼女の心を表わすかのように、『氷』として力を示した。

が、という剛の音が響き、瞬間的に氷の柱が発生した。

生まれ方は単純で、下から上へ叩き上げるように、だ。
その真上に位置していたロマネスクは当然、腹部に直撃を受ける。



67: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 21:10:36.87 ID:pd2Of4e00
川#゚ -゚)「まだ終わらんぞ! シュード・グラニード!!」

叩き上げの反動を利用し、振りかぶった両腕の先に巨剣を生み出す。
自身に対する引力をを最大限に発揮しながら、それは断頭台のような勢いで刃を落とした。

川#゚ -゚)「――っはぁぁ!!」

激音。

斬撃の音ではなく、何か硬い物体を殴ったような重い音だった。
あまりの防御力に舌を巻くクーであったが、それでも充分に体勢を崩せたのを見る。
だから信じる男の位置すら確かめず、しかし確信しながら吼えた。

川#゚ -゚)「内藤! 今だ!!」

(#^ω^)「OVER ZENITH――!!」

タイミングは、この上なく完璧であった。
晴れかけた砂煙を吹き飛ばしながら、ブーンは両拳を発光させる。

次の瞬間には、彼の周囲に二つの白い拳が浮遊していた。



71: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 21:12:54.40 ID:pd2Of4e00
(#^ω^)「クレティウス! 右だお!!」

『了解した』

予め決めておいたのだろうか。
ただ『右』という命令に対し、クレティウスはブーンの望む結果を提示する。

それは、彼の右腕へ二つの拳が集う、という現象だった。
纏わりつくように接近した拳は、そのまま回転運動を開始する。
高速で、ブーンの腕の周囲を回り始めたのだ。

速度を上げていく過程で二つの拳は視認不可となり、ただ白色が腕を纏うような光景に変貌した。

(#^ω^)「名付けて『Fist Duet +』――!!」

『その名はどうかと思うが、回転数安定域に達したぞ! いけ!!』


踏み出し、固定し、振りかぶり、捻り、伝導させ、繋ぎ、一気に――


(#^ω^)「おぉぉぉぉぉおおおおお!!!」


――打ち出す!



74: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 21:15:17.96 ID:pd2Of4e00
格闘の基本を忠実に押さえた一撃は、ただ真っ直ぐに飛んだ。
体勢を崩しているロマネスクの胸部に突き刺さるような軌道だ。
その速度に、誰もが直撃を予感する。

だが――

〈/i(iφ-゚ノii「――――」

(;^ω^)「おっ!?」

拳が『それ』に当たった瞬間、黒に染まった。
いや、そこを中心点として黒色の粒子が散ったのだ。

それは一瞬だけ広がりを見せ、そして逆再生のように集約を始める。

『内藤ホライゾン!』

(;^ω^)「わ、解ってるお!」

もはや是非もない。
圧倒的な危機感を得たブーンは、当てた拳を引きながら後退した。
その判断がまったく正しかったことを証明したのは、直後だった。

(;^ω^)「うわっ!?」

集中した黒霧が臨界点に達し、爆発を引き起こしたのだ。



77: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 21:17:19.76 ID:pd2Of4e00
生まれたのは炎ではなく、衝撃波だ。
咄嗟にガードした両腕に、金属棒で殴られたような痛みが襲いかかった。

川;゚ -゚)「内藤!!」

(;^ω^)「くっ……今のは何なんだお!?
     だって、さっきは――」

最も接近していたブーンとクレティウスは、はっきりと原因を見ていた。
数倍に膨れ上がった打撃を突き出した瞬間、ロマネスクは

……右腕を、ガードするように胸元へ持ってきた。

だが、それだけなら突き抜けたはずだ。
如何に黒のガントレットが頑丈とはいえ、あんな不安定な体勢でブーンの一撃を防御出来るわけがない。
それを為したのは、手の甲から噴出する黒の粒子だ。

川;゚ -゚)「しかし、さっきと形状が違う……」

(;^ω^)「…………」

これは一体、どういうことだろうか。



79: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 21:19:08.13 ID:pd2Of4e00
先ほどニダーを襲ったのは、同じ黒の粒子だが
その群れとなって為していた形に明確な違いがあった。
最初は蛇のように細長く、次は盾のような役割を果たし、そして爆発まで引き起こした。

このことから考えられるロマネスクの能力とは――

川;゚ -゚)「私の14th−W『ハンレ』同じタイプ――複数の形を持つ何か、か」

(;^ω^)「僕もそう思うお。
     多分、あの黒い粉みたいなのを操って……」

〈/i(iφ-゚ノii「――――」

どうやら長々と相談する暇は与えてくれないらしい。
ロマネスクが近付いてきたのを見て、ブーンとクーは警戒しながら構える。

川;゚ -゚)「何を出してくるか解らない。 気をつけろ。
     こういう相手は先手を譲ると厄介だぞ」

(;^ω^)「うん。 でも、もう一つ解ったことがあるお」

川 ゚ -゚)「何?」

( ^ω^)「僕がアイツの腹を攻撃しようとした時、アイツは右腕で防御したんだお。
     ニダーさん達の射撃やクーの攻撃は無視してたのに」



81: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 21:21:11.30 ID:pd2Of4e00
川 ゚ -゚)「……君の攻撃力が脅威だったんじゃないか?」

( ^ω^)「それも考えられるけど……もしかしたら――」

ある一つの仮定が思考に浮かびかけた時、
射程範囲と判断したのか、ロマネスクが速度を変えた。
悠々と歩いてくる格好から、身を前に倒した軽い疾駆の姿勢だ。
もはや確信を得るまでの猶予はない。

(;^ω^)「クー、もう一回だけ試してみたいお! だから――」

川 ゚ -゚)「解った。 何とか隙を作ってみる」

ブーンの思いを察したクーは、全てを聞くまでもなく即答する。

彼の願いは自分の願いだ。
本気で応えなければならない。

〈/i(iφ-゚ノii「――――」

だが、先ほどと同じ戦術では防がれてしまうだろう。
だから、クーは頭の中で次の行動を吟味する。

パターンを読まれる可能性は低い。
何せ、こちらには十四種類もの武器があるのだ。
単純な組み合わせだけでも膨大な数なだけに、数度の攻防では見切ることは不可能だと言える。



84: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 21:22:43.11 ID:pd2Of4e00
川 ゚ -゚)(今度はユストーンを使うか……)

向かってくるロマネスクを見据えながら、クーは右腕に透明色の鎖を生み出した。
この補助的な意味合いの強いウェポンを起点にして、先ほどのような連続攻撃を叩き込む算段だ。

来る。
攻撃の意思を見せた時こそが、最大の隙だ。

川#゚ -゚)(絡め取るべきは右腕――もらった!!)

行動の起源である肩に視線を集中していたクーは
僅かに躍動したのを見逃さず、右手に巻いておいたユストーンを振るった。
自律機能を持つ鎖は一瞬だけ遠心力に身を持っていかれながらも、その頭をロマネスク目掛けて飛ばす。

〈/i(iφ-゚ノii「――――」

対するロマネスクの動きは単純なものだ。
ユストーンを防ぐため、振りかぶった右腕のベクトルを変える。

川#゚ -゚)(だがッ!!)

それを見越していたクーは、完璧と言えるタイミングで強く念じた。
結果、ロマネスクと触れ合う寸前まで迫っていたユストーンが、その身を突然に消滅させる。
防御しようとしていた右腕が空振ることで、小さな隙が生まれた。

〈/i(iφ-゚ノii「!」

川#゚ -゚)「最初から手の内を見せる馬鹿がいるものか――!!」

一瞬で手元に戻ったハンレを、今度は別の形に変化させた。



85: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 21:24:12.20 ID:pd2Of4e00
生み出されたのは透明色の斧だ。
短い柄に大きな両刃を持つそれは、トマホークと呼ばれる投擲目的の武具である。
かつてはVIPにいた大男が使い、そして今はエクストが用いる破壊の戦斧――13th−W『ラクハーツ』だ。

川#゚ -゚)「はぁぁぁっ……!」

構える姿はトマホーク。
投げる姿はサイドスロー。
飛ぶ光景はブーメラン。

果たして、その結果は――

〈/i(iφ-゚ノii「!?」

爆発する。
無防備となったロマネスクに触れた刃が爆ぜたのだ。
広がるような炎と光に混じり、大音が周囲に撒き散らされていく。

(;^ω^)「うわっぷ……!?」

川#゚ -゚)「内藤、準備しておけ! タイミングは察しろ!」

爆風に煽られながらも、クーは追撃を目指した。
手元に戻ってきたラクハーツを指輪に戻し、次なる形へと変貌させる。

その場に、しゃん、という涼しい音が響いた。

川#゚ -゚)「シュード・レードラーク!!」



86: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 21:26:14.77 ID:pd2Of4e00
僅か数歩の助走で跳ぶ。
背に生えたクリアカラーの機械翼がクーの身を空へ舞い上がらせた。
滴り落ちる光は幻想的で、見る者を魅了する美しさを持っている。

かつて、ハインリッヒと空中戦を繰り広げた堕天使の再来だ。

*(‘‘)*「っつーか便利過ぎじゃねーですか、おい」

空飛ぶステッキに腰掛けるのはヘリカルだ。
高所へ位置取ったクーの傍へ、身軽な調子で寄ってくる。

川 ゚ -゚)「便利? だとするならば次は『卑怯』か?」

む、と渋い顔をするヘリカルを横目に、クーは自信を持って告げる。

川 ゚ -゚)「ありえない、と言おう。 これが私が親と言える人からもらった力。
     それを否定することは出来ない。 何故なら、私はここにいるからだ」

*(‘‘)*「反則的だからこそ生き残れたとは言えないんですかね?」

川 ゚ -゚)「違うな。 これは、ハンレは卑怯で反則的な武器などではない。
     クルト博士が私に遺してくれた――いわば『加護』さ」

一際大きく嘶く機械仕掛けの翼。
骨格を最大限にまで広げ、己の威厳を示すように魔力光が散る。

本来ならば力無く落ちるはずの羽が、勢いよく発射された。
しかも少数ではなく、確認するのが面倒になるほどの数だ。

それらはマシンガンのような勢いを以って、地上へ雨霰と降り注ぐ。



89: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 21:30:03.91 ID:pd2Of4e00
「「援護――!!」」

追うように光が訪れた。
ニダー、ヘリカルからの支援砲撃だ。
手の空いている、近くの兵からも助力が来ていた。

川 ゚ -゚)「仲間とは……良い。 とても良いものだな、ヘリカル。
     私は嬉しい。 この心に湧き上がる歓喜の感情が心地良い」

*(‘‘)*「馴れ合うの、嫌いですけどね。
    でもま、こういうシンプルでディープな関係もたまには良いです」

川 ゚ー゚)「君は素直じゃないな」

苦笑し、クーは身を落とした。
背中の翼を消失させたのだ。
光はクーの左手に集まり、指輪の形へ再生される。

川 ゚ -゚)「接近戦を仕掛ける。 手伝え」

*(‘‘)*「へーへー。 人遣いが荒いことで」

文句を言いつつも一緒に降下を始めたヘリカルは、クーの意図を読み取っているようだった。

*(#‘‘)*「変形機構を持つ汎用ステッキ型EW――全開使用は久々ですよ」

ステッキを振り回す。
回転する毎に、機械音を上げて変形していくのは頭部分だ。
コアの役目も果たしている部位が下がり、より手に近い位置へと移動する。
成した形は『刃のない剣』に近く、実際、その通りであった。



92: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 21:32:35.96 ID:pd2Of4e00
*(#‘‘)*「ヘリカルブレード……!!」

鍔から大量の光が吹き、その飛沫が刀身へ変貌した。
魔力そのままをブチ当てるという高威力武装形態だ。
かつて使用したハンマーのように、その大きさや長さは優に人の身三人分を越える。

川#゚ -゚)「こちらも負けてられんな! シュード・ウィレフェル!」

対し、クーの武器は鎌である。
浅く弧を描いた刃と柄は、両手に添えるように確定される。

得物を構える彼女達のターゲットは、未だ爆炎と煙に取り囲まれているロマネスクだ。

川#゚ -゚)「喰らえ!」

*(#‘‘)*「不本意ダブルアタック――!!」

なんだそれは、と文句を言う暇はなかった。
言葉が終わると同時に、刃がロマネスクを捉えたからだ。

*(#‘‘)*「だらっしゃ!!」

川#゚ -゚)「っ!」

まずはヘリカルの全体重、それに重力加速を加えた下方への一撃。
物質化せず、ただ魔力の塊である刀身がロマネスクの身体を袈裟に払った。

それでも勢いが止まらない刃は地面を粉砕し、轟音と共に赤土を激しく舞い上がらせる。



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