( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

227: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 22:54:47.01 ID:pd2Of4e00
同じように、シューも過去を思い出していた。
走馬灯のように脳裏を過ぎる過去の中、基本を学んだ時軸を。

『ところでシュー。 お前は戦う時、敵のどこを見てる?』

『足下。 なんだか安心するから』

『……他人の足下見て安心するっつーのもすげぇな。
 でも、そりゃあ駄目だ。 色々と危ねぇ。
 見るなら目だ。 相手の目を睨みつけるように見るんだ』

『目……し、視線と視線が絡み合う……?』

『なに息を荒げてンだ、お前は。
 いいか? 人間っつーのは、どうしても目を誤魔化すことは出来ねぇんだ』

『?』

『嬉しい時は目を細めるし、怒った時は鋭くなるだろ?
 いちいち考える暇もない戦いの中だと、特に解りやすくなるだろうよ』

『ふむ……だから師匠は、いつも私の目を見て話すのか』

『いいか? 今度からは相手の目をよく見て戦え。 目は情報の塊だ。
 ついでに自分の意思をぶつけることで、敵を怯ませたりすることも出来る。
 まぁ、これは私だけが可能とする必殺技だがな! どうだすごいだろ!』

『うわーすごーいかっこいーそんけーするー』

『…………』



232: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 22:56:28.03 ID:pd2Of4e00
lw´‐ _‐ノv(相手の目を見ろ……そこに全てがある……!!)

〈/i(iφ-゚ノii(あのガキの目付き――まさか――!)

互いに一瞬の回想を経て、遂に両者の距離がメートルを切る。



ロマネスクは振りかぶった黒刃を。

シューは腰に構えた刀を。



lw´‐ _‐ノv「あぁぁぁ――ッ!!」


〈/i(iφ-゚ノii「――!!」




直後、二つの影が交錯した。



234: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 22:57:52.74 ID:pd2Of4e00
場に、き、という甲高い音が響いた。

勝負を決する一撃は一瞬で放たれ、二人は少し離れた位置に着地する。
少し遅れ、全ての動作要因を失ったEMAが、勢い余って大地に倒れ込んだ。

轟音と、大きな揺れ。

lw´‐ _‐ノv「…………」

〈/i(iφ-゚ノii「…………」

一番近い位置にいながら、二人は微動だにしなかった。

だが、その停滞も長くは続かない。
互いの渾身の一撃が出た以上、結果は必ず表れる。


lw´‐ _‐ノv「――うっ」


苦痛の呻き声を上げたのはシューだった。
着地した姿勢のまま、力無く地面に倒れてしまう。
少し鈍い音を立てたのは、頭をぶつけたためだろうか。

川;゚ -゚)「シュー……!」

身体を動かせるまで回復したクーが慌てて駆け寄った。



237: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 22:59:35.41 ID:pd2Of4e00
lw´‐ _‐ノv「――――」

川;゚ -゚)「おい! しっかりしろ!」

lw´‐ _‐ノv「……あ、ぁ」

川;゚ -゚)「無事か!? 待ってろ、今すぐ――」

lw´‐ _‐ノv「アイム、ウイナー……!」

川 ゚ -゚)「…………」

lw´‐ _‐ノv「いてっ」

川;゚ -゚)「あ」

しまった。
思わず流れで頭を叩いてしまった。
こんなフザけたことをほざいても、怪我人だろうに。

げふぅ、とわざとらしい声を挙げたシューは、右拳を掲げて親指を上げ

lw´‐ _‐ノv「出来れば丁重な扱いを望む。
       肋骨が二十本くらい持っていかれてると思うから」

川;゚ -゚)「……それはもはや人間ではない」



241: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:01:06.38 ID:pd2Of4e00
言う割には随分と余裕があるようにも思えた。

だが、肋骨が折れているのは事実だろう。
シューの左手は脇腹に添えられており、時折、苦痛の吐息が漏れている。

川;゚ -゚)「まったく、無茶をして……君が死んでしまったら悲しむ人がいるだろうに」

lw´‐ _‐ノv「急に時間を稼げと言われたので」

川 ゚ -゚)「自分の命を危険に晒す理由にはならん」

lw´‐ _‐ノv「……なるよ」

川 ゚ -゚)「何?」

lw´‐ _‐ノv「理由には、なる。
      私が踏ん張らなかったらクー達が死んでいたかもしれない。
      見てきた世界も人も何もかもが違うけど、クー達は私の仲間なんだ。
      だから、本気で頑張る理由になる。 っていうかなった」

川 ゚ -゚)「…………」

一瞬、クーの言動が凍った。
軽く目を見開いた表情は驚きに近い。
だがそれもすぐに溶け、申し訳なさそうに眉をハの字に傾けた。

川 ゚ -゚)「……すまない。 ここは叱るところではなかったな。
     ありがとう、シュー。 君のおかげで態勢を立て直すことが出来た」

lw´‐ _‐ノv「ゆーあーうぇるかむ」



243: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:02:39.82 ID:pd2Of4e00
川 ゚ -゚)「その調子だと死にはしないだろうな。
     それよりも、ロマネスクはどうなった……?」

背後を見る。
シューと一騎打ちしたロマネスクは、着地した位置から動いていなかった。
つまりそれは、無事で済んではいない、という事実に繋がっていた。

〈/i(iφ-゚ノii「――――」

体勢は変わっていた。
こちらに背を向けて膝を折った着地姿勢から、立ち上がってこちらを見る姿勢へ、だ。
だがその左手は胸部に添えられ、ガントレットに包まれた右腕はだらりと下げられている。

<ヽ`∀´>「ダメージを受けている……?」

表情こそは無だが、その動作は壊れかけの機械のようだ。

〈/i(iφ-゚ノii「くはは――こりゃあ、効いた――ぜ」

川;゚ -゚)「一体どうなった?」

(;^ω^)「クー、見るお。 アイツの胸の石から黒い煙が……」

〈/i(iφ-゚ノii「あの小娘――最初から俺の胸――狙いで来やがった」

<ヽ`∀´>「つまりその煙は……」

いわば、燃料漏れとでも言えるだろうか。
詰まっている魔力が霧状になり、胸元の宝石から噴出している状態だ。
シューの放った一撃が、先ほどブーンが傷つけた箇所を更に抉ったのだ。



246: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:04:03.35 ID:pd2Of4e00
あの速度を考えれば、かなりの集中力が必要だったはず。

まさに針の穴に糸を通すような芸当だ。
しかも加えて、ロマネスクの一撃を骨折で済ませている辺り、抜け目もない。

不思議な言動が目立っていたシューだったが
やはり伊達に護衛役を名乗っているわけではなかったようだ。

*(‘‘)*「……要するに、今のアイツは弱り始めたってことですか?」

<ヽ`∀´>「そう判断しても良いかもしれんニダ。
      力の源から力が抜けていっているなら――」

好機、という言葉が四人の脳裏を過ぎる。
傾いていた戦況が平行に戻り、そして逆側に傾いていっているようなイメージだ。
そんな思惑を代表するように、クーが言った。

川 ゚ -゚)「穿つべき個所も解った。 そして敵は崩れ始めている。
     ならばここで攻めないわけにはいかない」

だがそれは、ロマネスクを殺すということだ。

( ^ω^)「…………」

川 ゚ -゚)「内藤」

( ^ω^)「……解ってるお」



249: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:05:04.41 ID:pd2Of4e00
ブーンは改めてロマネスクを見た。
その目に浮かぶ迷いが、先ほどと比べて小さくなっているようにも思える。
クーを傷つけられたことが、彼の中で何か変化を起こしたのだろうか。

( ^ω^)「解りたくないけど解ったお。
      アイツを殺すんじゃなくて、せめて救うために……僕は戦うお」

<ヽ`∀´>「それでいいニダ。
      誰もロマネスクを殺したくて殺すわけじゃないニダ」

*(‘‘)*「真に恨んで殺し尽くすべきは元凶である異獣です。
     この胸にかかるイライラは、発散すべき敵にぶつけましょう」

結局のところ、皆、同じ思いだった。
助けることが出来るのならば、と心の底から願っている。

しかし現実は、無情にも『不可能』という結果を提示した。

だからニダーは、本来の彼が持つ冷静さで現実を見据えた。
だからヘリカルは、強い心で湧き上がる怒りを抑えつけた。
だからクーは、ロマネスクを異獣として認識することで感情を殺した。

そうしなければならないから。

ロマネスクを殺さなければ、道が開けないから。



252: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:06:32.13 ID:pd2Of4e00
一方を得るために、一方を失う。

それだけのことだ。
どちらかを選ばなければならないケースなのだ。
今回は世界そのものと、ロマネスク一人の命だったというだけ。

いや、ロマネスクを選んだとしても救いは何一つないのだろう。
世界と、そこで暮らしている人々が死に、ロマネスクは異獣となって半永久に生き続ける。

抗いの意思を持って戦う一人の人間として
誰も救われない結果を選ぶわけにはいかない。

目の前の不幸に惑わされて、大事なモノを失うわけにはいかないのだ。

(  ω )「クー」

歪な動きをするロマネスクを見据えながら、ブーンは言う。

(  ω )「アイツを見てると心が痛いお……すごく痛いお。
     こんなに苦しいなら、すぐにでも逃げてしまいたいお」

川 ゚ -゚)「……そうだな」

(  ω )「でも異獣を放置したら、こんな思いをする人達が――
     いや、もっと苦しい思いをする人だって出てしまうんだお」

川 ゚ -゚)「…………」



255: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:08:16.76 ID:pd2Of4e00
(  ω )「傲慢な考えかもしれないけど……そんな人達を、これ以上増やしたくないって本気で思ったお。
     だからクー。 苦しいかもしれないけど、一緒にアイツを――」

川 ゚ -゚)「解っている。 私も君と同じ思いだ」

( ^ω^)「ありがとうだお。
     もちろん、クレティウスにも協力してほしいお」

『私は最初からそのつもりだ。
 全ては力を担う内藤ホライゾン、君次第だということを忘れるな』

( ^ω^)「うん。 もう迷わないお」

白のグローブが包む両拳を、握り締める。


……殺す覚悟は出来たか?


答えはNO。
否定だ。
断じて認めない。

だからブーンは、こう思う。


……救う覚悟は出来た。



256: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:09:35.49 ID:pd2Of4e00
( ^ω^)「――――」

右足を引き、構える。
隣ではクーが、背後ではニダーとヘリカルが武器を鳴らす。
図らずも最初の構図と同じになったわけだが、各々の思惑は比べて洗練されていた。

川#゚ -゚)「行くぞ……!」

<ヽ`∀´>「…………」

*(‘‘)*「…………」

もはや確認など要らない。
必要なのは無情の刃だけだ。
ここから四人は、人の感情を捨てた修羅となる。

(#^ω^)「こんなふざけた戦い……すぐに終わらせるお……!!」

ブーンの言葉を皮切りに、敵のいない戦いは終局へ向かい始めた。



259: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:10:43.21 ID:pd2Of4e00
数々の威力が交わり、連続し、音を鳴らし、血潮を撒き、止まらない。

黒の波動が鼓動する。
白の打撃力が吼える。
透明の多武装が奔る。
光の線が周囲を踊る。
堅実射撃が実を穿つ。

「おぉ……ッ!!」

もはや誰が放ったのか解らない気合の発声。

スウェーバックで攻撃を回避したブーンの声か、身を回して斬撃を放つクーの声か。
空から雨のように光線を落とすヘリカルの声か、全体を見据えて指示を飛ばすニダーの声か。

誰でも良かった。
ただ、誰のものでもなくならなければ良かった。

だから、速く。
だから、繋げる。
だから、戦う。
だから、走る。

総じてまとめ上げられた高速連動戦闘運動は、止まることを知らない。



262: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:13:48.22 ID:pd2Of4e00
声が聞こえる。
剣撃と射撃の音の中に、会話が混じっている。

合計して四種の言葉の群れは、当事者にしか聞こえない呟きに等しかった。



〈/i(iφ-゚ノii「ニダー」

<ヽ`∀´>「……ロマネスク」

〈/i(iφ-゚ノii「何だよ――暗い顔して。
       いや――最初から――そうだったっけな」

<ヽ`∀´>「ロマネスク。 ウリはアンタを殺すことに躊躇いはないニダ」

〈/i(iφ-゚ノii「そうだ――それでいい。
        俺は――人間だからな」

そう言うロマネスクの瞳に、もはや生を望む光はない

〈/i(iφ-゚ノii「あぁ――ひとつ、お前に――問いたいことがあった。
       これは――お前しか――信用出来ねぇ――からな」

<ヽ`∀´>「……言うニダ」


〈/i(iφ-゚ノii「――この世界は、どうだ?」



269: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:17:53.29 ID:pd2Of4e00
<ヽ`∀´>「…………」

〈/i(iφ-゚ノii「聞かせて――っくれよ。
       もしかしたら俺は――そこで生きたかも――しれねぇんだ。
       もう叶わねぇ――けど、よ――頼むわ」

<ヽ`∀´>「……良い世界とは言えんニダ」

〈/i(iφ-゚ノii「ほぅ――?」

<ヽ`∀´>「統一されておらず、国同士は未だに牽制し合ってるニダ。
      トップに立つべき人間は己の利ばかりを求め、今も争ってるかもしれんニダ」

〈/i(iφ-゚ノii「そうかい――そりゃあ――」

<ヽ`∀´>「しかし」

〈/i(iφ-゚ノii「?」

<ヽ`∀´>「ここには、良い書物がたくさんあるニダ。
      物語や論説が多いということは、この世界の人間の心が豊かである証拠ニダ。
      そういう意味では――」

一息。

<ヽ`∀´>「最高ニダ」

〈/i(iφ-゚ノii「はン――この幸せモンが。
       俺の分まで――楽しんできやがれ――!」



273: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:22:06.80 ID:pd2Of4e00
〈/i(iφ-゚ノii「おい――」

*(  )*「…………」

〈/i(iφ-゚ノii「素直じゃねぇ――な。 クソガキが」

*(  )*「死人と話すと地獄に引き摺り下ろされますからね」

〈/i(iφ-゚ノii「なんだ――泣いてンじゃ――ねぇよ」

*(  )*「……ッ!!」

〈/i(iφ-゚ノii「――俺ァ、敵だ。
       躊躇なく――やれよ――いつものように」

*(  )*「だ、だって……」

鼻水をすする声が、ロマネスクには心地よく聞こえた。

*(;;)*「アンタが! 私にとっての何なのか知らないから!!
     教えてくれて、守ってくれて……それでこの結果ですか!?
     こんな現実クソ喰らえですよ!! アンタにはまだ――」

〈/i(iφ-゚ノii「聞け――ヘリカル」

*(;;)*「うっ……ひんっ……」

〈/i(iφ-゚ノii「いつか言ったな――? 敵を人だと思うな、と――」



283: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:26:41.19 ID:pd2Of4e00
〈/i(iφ-゚ノii「だからよ――それの延長線上――だ。
        俺を――人だと思うな」

*(;;)*「ッ!? それは!」

〈/i(iφ-゚ノii「いいんだよ――本当のことだしな。
       この身体は――既に獣――同然。
       それよりも――お前は――俺を乗り越えて――生きろ」

*(;;)*「生きることが、アンタを殺してまでの価値があると……!」

〈/i(iφ-゚ノii「――馬鹿野郎。
        お前まだガキ――だろ」

*(;;)*「でも!!」

〈/i(iφ-゚ノii「ここまで――きて、迷って――ンじゃねぇ。
       他の奴に――示しがつかねぇ――だろ」

だから、と言い

〈/i(iφ-゚ノii「俺を殺して――未来に生きろ――お前には――先がある。
       俺の見ることが――出来なかった――異獣のいない――世界を――
       たっぷりと見て――楽しんで――こいや」

*(;;)*「アンタは……いつも勝手に……っ、私のことなんか……!
     でも、だから――私は――!」



288: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:28:14.55 ID:pd2Of4e00
〈/i(iφ-゚ノii「よぉ――人造人間」

川 ゚ -゚)「そんな呼ばれ方をするのは久々だな」

〈/i(iφ-゚ノii「不思議なもんだ――ハインリッヒにしても――何にしても。
       この世界の――人間を存続させるための――切り札が――人外だなんてな」

川 ゚ -゚)「確かに……この身は人ではない。
     だが、生まれてから今までの記憶は作られたものじゃない。
     そういう意味で私達は人間だよ。 人間でいたいんだ」

〈/i(iφ-゚ノii「――そうかい」

川 ゚ -゚)「だから再び死んでくれ。 私達のために」

〈/i(iφ-゚ノii「正面切って――言われると何て――返せばいいか――解んねぇな。
       まぁいい――んで? やっぱ――黙ってた方がいいか?」

川 ゚ -゚)「ふン……好きなことをほざいておけばいい。
     私が許す」



291: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:30:38.61 ID:pd2Of4e00
〈/i(iφ-゚ノii「その――心は?」

川 ゚ -゚)「私が憶えておいてやる。 そのためだ。
     他の誰もが貴様を忘れようとも、私だけはロマネスクの存在を憶えておこう。
     彼もまた、方法は違えど世界を救った戦友だ、とな」

〈/i(iφ-゚ノii「――はン――馬鹿じゃねーの――反吐が出らぁ」

だが、否定はしなかった。
ロマネスクはバツの悪そうに少し黙り、そしてしばらくして口を開く。

〈/i(iφ-゚ノii「――じゃあ――俺も――憶えておいてやるよ。
       もしテメェらが――異獣に敗北し――全て――食い尽くされたとしても、
       異獣の中で――半永久的に――生きるだろう俺が――全員――憶えておいてやるさ」

意外と律義な面を見たクーは、苦笑。
しかしすぐに真っ直ぐな視線を向け、強く言う。

川 ゚ -゚)「絶対にそんなことはあり得ないから心配しなくていい。
     ここには、クルト博士や渡辺、お前の意志を継いだ私達がいるからな」

ロマネスクも、声だけで苦笑を返した。

〈/i(iφ-゚ノii「は――っ、そりゃあ――安泰だわ」



293: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:31:55.50 ID:pd2Of4e00
〈/i(iφ-゚ノii「おい――クソガキ」

( ^ω^)「……僕には内藤ホライゾンって名前があるお」

〈/i(iφ-゚ノii「間抜けな――響きだ。
       こんな奴に――俺は一度負けちまったのか」

( ^ω^)「…………」

〈/i(iφ-゚ノii「――さ、殺せよ」

(;^ω^)「でも……いや、どうして……? 死ぬのが怖くないのかお?
      どうしてそんなに簡単に生を諦め切れるんだお?」

〈/i(iφ-゚ノii「おいおい、一回――死んだ身だぞ?
       今更、死ぬのを――怖がっても仕方ねぇだろ」

それにな、と付け足し

〈/i(iφ-゚ノii「俺は――どうしようもなく――世界を救いたいんだ」

(;^ω^)「……!」



296: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:33:12.99 ID:pd2Of4e00
〈/i(iφ-゚ノii「ニダー達に――聞いたかもしれねぇが――俺はアイツらとは同郷だ。
       つまり――解るだろう? 俺も異獣を――滅ぼしてぇんだ。
       その手段が――焦りのせいか――乱暴になっちまった――けどな」

確かに、そうだ。
ブーン達は、この男にも随分と手を焼かされた。
ツンは攫われ、ウェポンは奪われ、フサギコは重傷を負わされ――

だが、この男も『世界を救う』という信念の下に動いていたのだ。

違いは、手段だけだった。
和平的に進めようとした渡辺とは違い、急進を求めたのがロマネスクだ。
やり方が違うだけで、両者は同じ目的を心に刻んでいたはずなのだ。

〈/i(iφ-゚ノii「だが――何ともアホらしい――話さ。
       焦っていた俺と――着実な歩みを――目指した渡辺――どっちも死んじまった。
       結局、俺達の願いは――テメェらに預けられることに――なったわけだ」

だからと言って、彼がやってきたことを許すことは出来ない。

特に感情の方が妥協しないはずだ。
それだけのことをされてきたわけで、ブーンの思いは当然と言える。
他の者達も同様だろう。



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