( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです
- 298: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:34:38.30 ID:pd2Of4e00
- ( ^ω^)「ロマネスク……でも、僕はお前を……」
〈/i(iφ-゚ノii「謝っても――何をしても――償えるとは――思わねぇ。
もしかしたらこの状況は――俺のやってきたことに――対する罰かも――しれないとさえ思った。
けど、けどよ――」
( ^ω^)「…………」
〈/i(iφ-゚ノii「もし俺が死んで――それが役に立つと――いうのならば。
もし俺が――死ぬことで――お前達の救いとなるの――ならば。
俺は――喜んでこの命を――差し出す覚悟が――ある」
元よりそのために生きてきた。
異獣を倒すことだけが、手段ではない。
このボロボロになった命でも、出来ることがあるのなら。
〈/i(iφ-゚ノii「恥を承知で――頼む、内藤――ホライゾン」
一息。
〈/i(iφ-゚ノii「俺に――世界を救わせてくれ――!!」
- 301: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:36:55.84 ID:pd2Of4e00
- 〈/i(iφ-゚ノii「――!?」
それは突然の揺らぎだった。
胸の魔法石を傷つけられたロマネスクが身体に不調を覚えたのは、
ブーン達の全力の攻防がしばらく続いた頃である。
ガントレットの連続使用と、休みなく続いた攻撃、そして漏れていく黒い魔力が
遂に行動に支障が出るほどまでのレベルに落ちたのだ。
<#ヽ`∀´>「ロマネスク!!」
〈/i(iφ-゚ノii「あぁ――やっちまえ――!」
川#゚ -゚)「あと一息……! トドメは――」
( ^ω^)「――僕がやるお」
迷いなく言ったブーンは、ステップを刻んで後方へ位置をとる。
回避を捨てる腰の深い構えを為し、両拳に意識を集中し始めた。
今戦闘で、限界突破を用いてロマネスクに挑むのは三度目だ。
まさに三度目の正直ということだろう。
何か考えがあるのか、その表情に不安は見られない。
- 306: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:40:01.83 ID:pd2Of4e00
- 川#゚ -゚)「ならば私達のすることは決まっている!
全力で奴の動きを止め……これを最後に繋ぐぞ!!」
<#ヽ`∀´>「最後の足掻きがあるかもしれんニダ! 油断するなニダ!」
*(# )*「誰にモノ言ってンですか!?」
鋭い声を飛ばしたヘリカルは上空にいた。
ステッキの主に下方部分を掴む両手は、間違っても杖としての使い方を考えていない。
それを思い切り振りかぶった彼女は、重力に身を任せて落下を開始した。
*(‘‘)*(ロマネスク! これが、アンタに教えられた私の結果です!!
だから、その身に刻んで――!)
ステッキに付いているトリガーを五度、連続で引く。
応じるように、ソケットからカートリッジが五つ弾き飛ばされていった。
一撃に使用する魔力を追加されたステッキは、光の奔流を生みながら姿を変える。
鎚頭部がパージした。
広がるようにパーツが分かたれ、飛び散るギリギリのところで位置を定める。
空いた空間を中心として、黄金色をした魔力が凝縮されていく。
完成した形とは、かつてハインリッヒとの戦いで使用した――
*(#‘‘)*「ヘリカルハンマァァァ……!」
その巨大化した鎚頭を、ロマネスクの脳天目掛けて振り下ろした。
*(#‘‘)*「ゴールデンクラァァァァアァァッシュッ!!」
- 309: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:41:36.20 ID:pd2Of4e00
- それは打撃という言葉では足りなさ過ぎる攻撃力であった。
インパクトの瞬間、圧縮されていた魔力が一気に展開したのだ。
轟音。
もはや打撃というよりも爆撃である。
金の色が激しく散り、一瞬遅れて衝撃波が半円状破壊を生み出した。
四肢――いや、分子結合すら容易く引き千切る爆発エネルギーが周囲空間を侵す。
その中心地にいたロマネスクは、それをまともに喰らうこととなった。
〈/i(iφ- ノii「……――っぐぉぉ」
爆音の中、激痛に耐える声が聞こえた。
しかし、誰もが聞こえないフリをした。
<#ヽ`∀´>「ロマネスク……あとのことはウリ達に任せるニダ!!
いつかお前に報告出来るよう、何もかもを見てきてやるニダ!」
未だ爆炎と爆煙が舞う中、その中枢をターゲットとしたニダーがライフルを向ける。
既にマジックカートリッジ同時使用数は最大の九に定められていた。
マガジン丸ごと一つ消費する、威力だけを追求した設定だ。
欠点は発射までに時間が少々かかってしまうところなのだが
ヘリカルの攻撃によって時間は稼げており、既に九発ものカートリッジは排莢済みである。
<#ヽ`∀´>「だから――ッ!」
言い、引き金を引いた。
- 314: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:42:56.11 ID:pd2Of4e00
- 光と反動が同時に来る。
前者は銃口から真っ直ぐに走り、後者はライフルどころかニダーの身体すら大きく震わせた。
光はバレーボール大の弾となって飛ぶ。
数十メートルもの距離を一瞬で無にし、状況を掴めていないロマネスクの胸元に直撃した。
大きな鈍い音と、サ行がヤ行と混じったような音が同時に響いた。
威力の飛沫が、赤い空を彩る。
川#゚ -゚)「あとは私が抑え――」
〈/i(iφ- ノii「――待、て」
血反吐に混じるロマネスクの声が聞こえた。
既に覚悟を決めているクーは、それを無視しようとした。
だが、あれだけ自分を殺せと言っていた彼にしては、おかしい言葉だと気付く。
そして見る。
ロマネスクの右腕――ガントレットの手甲部分から、黒色の線が垂れ下がっているのを。
足下まで落ちた線は、地面の中へと消えてしまっている。
- 317: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:43:51.01 ID:pd2Of4e00
- 川;゚ -゚)(いつの間に……いや、それよりも先端は何処だ!?)
嫌な予感がした。
本能的に身体が強張り、意識が周囲を走査する。
爆薬や毒などの性質変化を能力とする黒い粒子のことを考えれば
いつ、どこで何が起きてもまったく不思議ではない。
異変に勘付いたニダー達も、周囲の警戒を始めた。
動きがあったのは直後だった。
その余波は、クー達が予想していたものよりも遥かに大きかった。
それもそのはずである。
動き始めたのは、燃料切れで倒れ込んでいた赤いEMAだったのだから。
*(;‘‘)*「なっ……!?」
川;゚ -゚)「まさか!?」
全長七メートルクラスの巨人が、いきなり起き上がった。
震動は軽度の地震を起こし、フレームの音を軋ませながら大地に立つ。
<;ヽ`∀´>「あ、あそこを見るニダ!」
視線が集まったのは、ウルグルフの開いたコクピットだ。
先ほどシューが奇襲のために開放してそのままだった部位に、ロマネスクの放った黒い粒子が入り込んでいたのだ。
このことから導き出される答えは単純なもので、
川;゚ -゚)「操っているのか!? あの巨体を……!?」
- 324: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:45:33.34 ID:pd2Of4e00
- つまり、今度はEMAが相手らしい。
異獣と戦うにおいて、出来る限りのチューンナップを行なわれたウルグルフは
しかし本来の敵ではなく味方へ牙を剥くこととなった。
刀剣は一本しか残されていないが、それでも充分に脅威である。
そもそも、存在するだけである程度の攻撃力を発揮することが出来る巨人を
疲労困憊のクー達で相手するのは、明らかに分が悪過ぎた。
川#゚ -゚)「だが、まだ負けたわけじゃない……!
EMAを相手せずともロマネスク本体を叩けば!」
簡単には言うが、難しいことだった。
既にロマネスクはEMAの背後に隠れてしまっている。
現状の要素から考えれば、EMAを無視してロマネスクを撃破するのは厳しい。
川;゚ -゚)「くそっ……!!」
その場にいる全員が、希望を見失いかけたその時――
「――行くお」
ただ一人、それでも闘志を絶やさなかった青年が、飛び出そうと構えていた。
- 331: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:46:52.68 ID:pd2Of4e00
- (# ω )「おぉ……っ!」
その姿勢は奇異なものだった。
右足を前に出し、膝を軽く曲げての前屈したポーズだ。
加えてその両腕は後方へと投げ出し、しっかりと伸ばされている。
まるで、戦闘機が発進を待っているような光景だ。
川;゚ -゚)「あれは――」
真っ先にクーが気付いた。
ブーンの四肢に、それぞれ莫大な魔力が宿っている。
外側に発せられるものではなく、内側に集中するタイプの波動だ。
だが、おかしい点がある。
その四肢に宿る魔力の総量が、既にブーンの用いることの出来る限界だったのだ。
おそらく最大の初速と加速を得るための限界突破なのだろうが
これでは、発射した後の攻撃がまったく普通の打撃となってしまう。
川;゚ -゚)(君は……何を考えている……!?)
- 337: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:48:05.35 ID:pd2Of4e00
- しかし彼は言った。
自分がやる、と。
EMAを前にして尚、行く、とも。
それを踏まえた上で、自分のとるべき行動は一体何か。
川 ゚ -゚)「……そうだ」
疑うことではない。
疑問を持つことでもない。
今の自分に唯一出来ることは、
……彼を信じることだ。
信じて、信じて、信じ抜くことだ。
限界まで信じて、それでもくじけそうになった時、さりげなく手を差し伸べることだ。
間違っても、行動すらしていない彼の邪魔をすることではない。
川#゚ -゚)(ならば、私はこんなことをしている場合では!)
心の中を一陣の風が吹いた気がした。
それは突風という勢いを以って、今の今まで陰りを与えてきた雲を取り払う。
清涼な空気が、脳を満たしていくのを自覚した。
- 342: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:49:11.27 ID:pd2Of4e00
……あぁ、こんなに簡単なことだったんだ。
状況だとか、関係ない。
敵がどのような歴を持っていようとも、関係ない。
元より自分は戦闘のために――
違う。
強く否定する。
それは以前の自分だ。
今の自分は、違うと言い切れる。
何故ならば、
川 ゚ -゚)(私は……彼と共に歩むために全力を尽くす、ただの女だ――!!)
- 345: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:50:21.87 ID:pd2Of4e00
- ブーンは思う。
一度決めた以上、あとは前進しか残されていない、と。
今出来る最大のことを、力の限りこなすだけだ、と。
『いいか、内藤ホライゾン。
奴とまともにぶつかって打ち勝つには、攻撃力が足りない』
( ω )(…………)
『攻撃力を生む要素は二つ。 「力」と「速度」だ。
今の内藤ホライゾンには、そのどちらもが足りていない』
だから、と続け
『力を望め、内藤ホライゾン!
私は力の門番だ。 求められればその分だけ応じよう!
内藤ホライゾンが望む分だけ、望む限りの力を示そう――!』
- 356: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:52:02.93 ID:pd2Of4e00
- (#^ω^)「解ったお……!!」
同じように、だから、続け
(#^ω^)「僕は君に望むお!
僕が望む力の限界を超えた先、限界を突破した果てにある結果を望むお!
それが例え人殺しの向こう側にあろうとも、僕は『救い』の言い訳で乗り越えるお!!」
それが
(#^ω^)「どんなに醜いことだとしても……今ここにある思いは本物だお!!」
『ならば吼えてみせろ! 契約の鍵語を!!』
応、と答える代わりに、最大の力を引き摺り出すための起動言詞を、心の底から放った。
(#^ω^)「――O V E R Z E N I T H !!」
- 358: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:53:22.34 ID:pd2Of4e00
- ど、という音が聞こえ、それが一瞬で後方へと吹き飛ばされた。
同時に景色も、前方の一点を中心として放射線状に溶けていく。
それが、超高速での疾駆を開始した自分の視界だと気付いたのは、すぐ後だった。
(;^ω^)「う、ぉぉ――っ!?」
予想以上の初速に驚く。
身体がバラバラになりそうな感覚は、少なからず恐怖を与えてくる。
この速度を生み出したのは、間違いなく限界突破の力である。
しかも過去の限界突破のアレンジバージョンだ。
ただ根本的に異なる点が一つ。
強化符という表現を用いて、外部影響からの加速を得る過去のモノに対し
今のブーンが放ったのは四肢の内部で力を直接発動させるモノだ。
大気や空間に触れて少なからず効果が減衰する符と違い、
四肢内部での発動は、全ての付加効果を余すことなく受けることが出来る。
もちろん神経や筋肉に掛かる負担も相当なものだが、強化符を撒くのに比べて七割増しの力を得ることが出来るのだ。
いわば、これは『強化符・四肢全開発動』である。
だから、この加速は当然だった。
今まで体験した中で最も速度を感じるのも、当然だった。
逆を言えば、最も強い力を発現することが出来たということに等しい。
- 368: ◆BYUt189CYA :2008/04/21(月) 23:55:58.48 ID:pd2Of4e00
- (#^ω^)「お――!!」
だから、躊躇うことをしなかった。
流星の如くの爆発的加速の中、ブーンは倒すべきターゲットを見据えて疾駆する。
相手は自分の五倍ほどもある機械仕掛けの巨人だ。
そしてその奥にいる、ロマネスクという存在を打ち倒さなければならない。
だが、足りないものがある。
限界突破の力を速度につぎ込んだ故に、今度は攻撃力が抜けている。
この速度で鉄の塊にぶつかれば、自分など一瞬で潰れて死んでしまうだろう。
『覚悟があるのならば示せ! 更なる契約鍵語を!』
(#^ω^)「ッ〜〜〜!!」
風が強い。
もはや大気の壁だ。
連続でブチ当たるに等しい衝撃は、突き出した首の骨を折ってしまいそうだった。
しかも、そうしてる間にも距離は高速で縮まっていく。
でも、と強く思う。
世界を救いたい、と言った男がいる。
自分なんかよりも、強く、気高く、願っている。
そんな男が、自分に頼り、結果を待っているのだ。
それを、叶えてやらなくてどうする――!
- 383: ◆BYUt189CYA :2008/04/22(火) 00:00:32.06 ID:YYm99VFG0
- (#゚ω゚)「ううおおおおおああああああああ!!」
今しかない。
ここでやらねば後悔する。
絶対に、だ。
確信出来る。
だから、やるんだ。
あの男を救うために。
(#゚ω゚)「OVER――!!」
更に溜めて
(#゚ω゚)「OVER ZENITH――!!!」
直後、身体の内部に激痛と、大きな軋みを感じた。
- 392: ◆BYUt189CYA :2008/04/22(火) 00:02:36.76 ID:YYm99VFG0
- もうこの身体も、かなりのガタがきているようだ。
限界突破の連続使用は、流石に堪える。
しかし、力の望みは成功した。
初速を得て、加速を追加した上で、更に攻撃力を高められた。
これがブーンの出せる最大の力だ。
(#゚ω゚)「でも――!!」
まだだ、と思った。
(#゚ω゚)(まだだお! まだ足りないお!!)
たとえ防御されたとしてもブチ抜けるパワーが必要だ。
ならば、追加される拳は二つでは足りない。
もっとだ。
もっと、更に、力がいる。
集中しろ。
意識を集めろ。
あらん限りで力を望め。
相棒である8th−W『クレティウス』。
ウェポンでありながらウェポンではない彼ならば、必ずや応えるはず。
元より力を引き出すデバイスだ。
望めば望む分、クレティウスは相応の力を提示する。
それが限界突破であり、『OVER ZENITH』である。
- 398: ◆BYUt189CYA :2008/04/22(火) 00:04:09.05 ID:YYm99VFG0
- (#゚ω゚)「――ッ!!」
脳髄が沸騰しそうなほど熱く、痛い。
心臓は高速で打ち鳴らされ、今にも破裂しそうだ。
血液も、神経も、筋肉も、今まで以上に躍動しようとしている。
鼻に強い痛みが走った。
途端、右の鼻穴から勢いよく血が流れ出る。
それは垂れ、口の中に入り、粘った鉄の味を舌に伝えてきた。
(#゚ω゚)「……おぉおおおぉぉぉ!!」
気持ち悪い、と感じる暇すらなかった。
あと一歩で届くという予感がブーンの意識を支配する。
――だから、壊れそうなほど軋む身体で、ブーンは残る一歩を、躊躇なく踏み込んだ。
(#゚ω゚)「っはぁ……ぁあぁぁぁああ!」
スローだった視界が、突如として現実の速度へ戻る。
EMAとの距離は残すところ十メートル。
力を望んでから、ほとんど時間は経っていない。
あれだけ力み、苦しみ、身体に鞭打った時間は、秒にすら届いていなかったのだ。
だが、それでも良かった。
周囲を泳ぐ複数の気配で解る。
ブーンは、速度を緩めることをしない。
- 405: ◆BYUt189CYA :2008/04/22(火) 00:05:15.65 ID:YYm99VFG0
- *(;‘‘)*「なっ……!」
ヘリカルの声が聞こえた。
煙を突き抜けてきたブーンの姿を見て、驚いている。
川;゚ -゚)「まさか、君は――」
クーも同様だった。
情けなく鼻血を出しているブーンに驚いているのか。
もしくは――
川;゚ -゚)「――いつの間に、そこまでの力を……!?」
ブーンの周囲に浮く、クレティウスの拳。
その数、八。
やっと二つ出せるようになっていたはずのブーンは、
一瞬の間に四倍もの数の拳を従わせ、ロマネスクに肉薄していた。
クーが驚くのも無理はない話だった。
ブーンは限界突破としての成長プロセスを、爆発的な速度で踏破している。
『拳二つ分』だと定められた限界を大きく突き破っているのだ。
本来ならば時間を掛け、ゆっくり高めていく限界の上限を完全に無視している。
こんな短期間――それも秒の間に高めた力が、ブーンという存在を破壊しないのが不思議でならなかった。
- 413: ◆BYUt189CYA :2008/04/22(火) 00:07:53.91 ID:YYm99VFG0
- (#゚ω゚)「喰らうおッ!!」
吼える。
(#゚ω゚)「『Fist Octet +』……!!」
合計八つの拳が両手に――それぞれの手に四つずつ――集い、回転し始める。
火花を散らして鳴らすはギアの悲鳴に近い。
甲高く、しかし分厚い機動音は、これから与える一撃の強さを物語っていた。
『――――』
対し、操られたEMAは防御の姿勢を見せた。
両腕を腹部分に持ち上げ、腰を低く構える。
だが
(#゚ω゚)「そんなもので……っ!!」
踏み込み、捻り、溜め、振り絞り、その両拳を、同時に、
(#゚ω゚)「僕とクレティウスと止められると思うなァァァ!!!」
- 432: ◆BYUt189CYA :2008/04/22(火) 00:11:23.23 ID:YYm99VFG0
- ぼ、という大気を割る音。
白光に染まった両拳が、EMAの防御を突き破る。
撃音。
そして、大きな光。
〈/i(iφ-゚ノii「!!」
ロマネスクの身体が構えた時には、既にブーンは目の前へ肉薄していた。
その表情は
〈/i(iφ-゚ノii(泣いて――)
(# ω )「――ッ!!」
一瞬だけ見えた光は、白色ではなく透明だった。
だから、ロマネスクは精一杯の笑みを浮かべ
〈/i(iφー゚ノii「――ありがとよ」
自分の身体に突き刺さる両拳を、安らかな表情で受け入れた。
戻る/第五十三話