( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

161: ◆BYUt189CYA :2008/06/05(木) 22:11:32.79 ID:Z2i46qCp0
そのまま敵を無視してケンカしそうな勢いだったが、
流石に今の状況くらいは理解しているらしく、二機は一定の間隔を保って飛翔する。

こちらの攻撃に合わせて仕掛けてくれるつもりなのだろう。
過去ならいざ知らず、今の自分達には言葉を交わすまでもない意思疎通だった。

『――で、私は完全に無視かしら?』

从 ゚∀从「!!」

突如、問いかける声と動きがあった。
声はレモナのもので、動きは背後からだ。
風が大きく乱されたと思えば、赤い巨人がハイン達の前に姿を見せる。

从;゚∀从「……って、あれ?」

(,,゚Д゚)「レモナ、お前はそれに乗っているのか?」

『そういうこと。 本来の乗り手のシューが怪我してるからね』

从;゚∀从「で、でも、その足で大丈夫なんですか……?」

心配そうなハインの視線の先には、EMA-02『ウルグルフ』の損傷部があった。
北側の戦闘で攻撃――ブーンの限界突破――を受け、右脚足が大破しているのだ。
メインスラスターが背部にあるとはいえ、これではバランスが取れないだろう。



164: ◆BYUt189CYA :2008/06/05(木) 22:12:53.44 ID:Z2i46qCp0
しかし、レモナの声にまったくの不安は見られない。

『私の腕を嘗めないでもらいたいわ。
 特にギコとしぃ、貴方達なら解っているでしょう?
 それに――』

言い、赤いEMAは右腕を大きく振るった。

『――今の私には、この「剣」がある『もぎゃああああああ!?』』

从;゚∀从「…………」

(,,-Д-)「…………」

力強いレモナの言葉の裏に、何か男の悲鳴のようなものが聞こえたが
ギコ達は関わりを持たぬために無視した。

腕の先には巨大な質量物質があった。
それは無骨な大岩の塊に見え、しかし色は突き抜けるような青を放っている。

剣と呼ぶにはあまりに大きく、らしくないが、ギコとしぃは先の戦いで正体を知っていた。

从 ゚∀从「それは……」

(,,゚Д゚)「青色のEMAが変形して作る、あの大剣か」



169: ◆BYUt189CYA :2008/06/05(木) 22:14:41.20 ID:Z2i46qCp0
『EMA-01「リベリオン」の第四兵装、というか特別形態ね。
 あの戦いでは貴方に振るってもらったけれど、本来の用途はEMA用の大剣。
 二機で一機となった私達に敵はいないわ』

続いて、さぁ、と自信に満ちながら

『あの馬鹿みたいにデカい獣を叩き切りましょう、私と同じ青剣の使い手さん』

(,,゚Д゚)「奇しくも同じ色と種類の武器を扱う、か。
    いいだろう、ここでまた共に戦うのも何かの縁だ。 遅れるなよ」

从 ゚∀从「僕も一緒に戦います!」

(,,-Д゚)「もちろんだ。 これでも頼りにしているんでな」

もはや多くの言葉は要らない。
向こうが信じてくれるのならば、こちらも全力で信じるだけだ。
ハインの強い頷きに満足そうな笑みを浮かべた彼は、突撃姿勢を作り出し、

(#,,゚Д゚)「半端な結果は要らん。 全力で最良の結果を出す。
     ここまで這い登ってきた俺達に、諦めや敗北を突きつけられるわけにはいかない。 
     そして、これはおそらく最後の戦闘だ。 出来るだけ派手にいくぞ……!」

从 ゚∀从「はい!!」

『おうっ!!』

直後。
絆という力で結ばれた三人と三機が、勢い良く散開した。



175: ◆BYUt189CYA :2008/06/05(木) 22:18:03.15 ID:Z2i46qCp0
ハイン、ギコとしぃ、レモナ、シャキンとエクストが獣と戦闘を再開するのを、兄者は竜の頭上で見ていた。
目は先ほどまでのふざけた色を無くし、巨大な獣の一挙一動を逃がすことなく視界に収めている。

( ´_ゝ`)(おかしい点がある以上、その解明を急がねば。
     もしかしたら俺達にとって大きな利点となるかもしれん)

疑問は主に三つ。

巨大な獣が、中枢部から出てきて一歩も動いていない点。
攻撃が噛み付きや咆哮等、あまりに原始的過ぎる点。
そして、異獣の親玉にしては――

( ´_ゝ`)(――どういうことだ?)

迫力なら確かにある。
大きく、血のように赤い目で睨まれれば竦み上がるのも解る。
空にいる自分ですらこれならば、地上の皆の恐怖は相当なものだろう。

だが、おかしい。

ハインやギコとしぃが戦っている。
シャキンやエクスト、レモナも手を貸している。
『蝶のように舞い蜂のように刺す』とは、あんな光景を言うのかもしれない。

だからこそ、違和感を覚える。



179: ◆BYUt189CYA :2008/06/05(木) 22:19:12.34 ID:Z2i46qCp0
( ´_ゝ`)(確かにギコさん達は強い。 一連の戦いで成長しただろうし、元々から経験があった。
     しかし……それだけの要素、あれだけの人数で異獣の親玉に対抗出来ているのはどういうことだ?)

彼らがあっさり倒されるとは思っていないが、押し過ぎてはいないだろうか。

これならば、異獣と化したツンや、
彼女が生み出した3rd−W『ウィレフェル』の限界突破の方が、まだ手強い気がした。

あの巨大な獣は、ただ防御力が非常に高いだけだ。
更に噛み付き等の攻撃力は一撃必殺でも、全て回避されているのだから意味が無い。
最後の敵として見れば、さほど手強くないのだ。

( ´_ゝ`)(どうしても腑に落ちん……何だ? 何かを見落としているのか?
     それは俺達にとって不利なものなのか? それとも逆に……)

最初に見た違和感も気になる。
空間を割って出現した獣、そして『龍砲』が発射された後の獣。
同じ存在でありながら、何か重要な部分が異なるように思えたのだ。

( ´_ゝ`)(微妙な予感がするな……ハインちゃん達には悪いが、俺は観察を続け――)

その時だ。
ギコ達の猛攻を受けていた獣が、一つの動作を行なう。

(;,,゚Д゚)「……ッ!? 咆哮か!?」



181: ◆BYUt189CYA :2008/06/05(木) 22:21:02.77 ID:Z2i46qCp0
空気を深く吸い込む動きは、後の破裂の大きさを示唆していた。

先ほどのような衝撃が発せられるとするならまずい。
今度こそ、兵達の闘争心を折られるかもしれないからだ。

(;,,゚Д゚)「ちィ……!」

止めなければ。
しかし、そう易々と止められるか。
現状、動きを中断させるほどの攻撃をぶつけるしか手段はないだろう。
そう考えたのはギコだけではないらしく、ハインも険しい表情で獣を見ていた。

从;゚∀从「でも、やるしかありまs――」

( ´_ゝ`)「待て、諸君! お前らは防御を優先しろ! 手は打ってある!!」

(;*゚ー゚)「え……」

『えぇー……』

『うわー、頼りねぇ……』



183: ◆BYUt189CYA :2008/06/05(木) 22:22:34.02 ID:Z2i46qCp0
兄者の鋭い声に、空を飛ぶ数名と数機が動きを止めた。
その間にも獣は空気を吸い終わり、今にも発せられようとしている。
今から行っても間に合わないと判断したギコは、グラニードを盾とするように構えながら

(;,,゚Д゚)「これで失敗でもしたら本当に叩き斬るぞ……!!」

( ´_ゝ`)「失敗……? 失敗と言ったか?」

咆哮が来る。
大地を抉る衝撃が、今にも生まれようとしている。
そんな光景を高い位置から見下しながら、兄者は笑みを浮かべた。

( ´_ゝ`)「言い返そう! この俺に失敗などあり得ない!
     何故なら――」

高らかに上げた腕は、すぐさま地上を指差し、


(#´_ゝ`)「――流石な俺の成功は、流石な弟が叶えてくれるのだからな!!」


言った直後、戦場の空気が破裂する。



192: ◆BYUt189CYA :2008/06/05(木) 22:24:10.79 ID:Z2i46qCp0
(´<_`;)「まったく、全面的に弟に頼り切る兄がどこにいるというのだ……」

兄者が示した直下。
大地に立つ弟者は、黄金の盾を構えていた。

視線の先には二つの白い大樹――獣の前足があり、見上げれば統括する巨大な身体がある。

軽い地震のような震動は、その足を通じて発せられていた。
敵が集まってきたところを咆哮で蹴散らすつもりらしい。

(´<_` )「兄者の言っていた通りだな。
     だが、そんなことはさせない……そのために俺がここにいるのだから」

弟者は最前線に立っていた。
抗いの心を取り戻した兵達を背後に置き、彼一人が突出している。

まるで後ろの兵達を護ろうとしているかのようなポジションで、実際にそのつもりだった。

(´<_` )「託された役目をここに果たそう……!」

息を吸い、

(´<_`#)「――OVER ZENITH!!」



199: ◆BYUt189CYA :2008/06/05(木) 22:25:51.43 ID:Z2i46qCp0
反応するように、黄金の盾が光を発した。

今まで見せてきた中で最も強い輝きを見せた盾は、弟者の『護る』という意志を具現化する。
加えて兄者から託された使命感も重なり、一つの大きな力を示した。


(´<_`#)「12th−W『ジゴミル』! 奴に俺達の最大の護りを見せつけてやるぞ!!」


返答として、多量の鈴を鳴らすような音が響く。
それは弟者の周囲を起点に地面を伝って広がっていった。


正面、ケーニッヒ・フェンリルが吼える。


大気の爆発が生まれた。

獣の口から発せられた暴力的な振動は、球状の圧を見せながら迸っていく。
触れたモノ全てを弾き、砕く不可視の衝撃が、近付く存在全てを破壊しようと――


しかしその直前、別の大音が侵攻を遮った。



205: ◆BYUt189CYA :2008/06/05(木) 22:27:35.89 ID:Z2i46qCp0
(´<_`#)「う――」

それは、地面から突如として出現した黄金の巨大壁で、

(´<_`#)「―お――」

ケーニッヒ・フェンリルの発した衝撃とぶつかり、


(´<_`#)「――ぉぉぉ――」


撓み、軋み、今にも壊れそうで、


(´<_`#)「――――ぉぉぉぉぉぉ――」


しかし、


(´<_`#)「―――――――――ぉぉぉああああああああああッ!!」


弟者の気迫が、ジゴミルと通して力となった次の瞬間、

《――――ッ!!?》

大きく弾け飛ぶこととなる。



209: ◆BYUt189CYA :2008/06/05(木) 22:28:37.90 ID:Z2i46qCp0
巨大な壁だ。

一年半前、対ハインリッヒ戦で見せた壁を遥かに凌ぐ大きさである。
ケーニッヒ・フェンリルを包囲するように出現したその黄金の壁が、咆哮の圧を一身に受け止めたのだ。

背後にいる味方軍勢を衝撃から護るために。
そして、最も信頼する兄の信頼に応えるために。

耐久の音が連鎖する。
更に根本部に亀裂が入り、ぎし、という軋みの悲鳴を挙げている。
しかしそれでも折れることなく、黄金壁は尚も衝撃を防ぎ続けた。


黄金の守護と、巨獣の咆哮がせめぎ合う。


行き場を失った衝撃が強風となって四方へ逃げ始め、
魔力が激しく作用した結果、火花に似た光の粒子が周囲に撒き散らされる。

更に轟音が重なり、さながら大型ハリケーンが目の前にいるような光景が展開していた。



219: ◆BYUt189CYA :2008/06/05(木) 22:30:21.62 ID:Z2i46qCp0
優勢なのは咆哮だった。
あんな巨体から放たれたモノを、人一人が何とか出来るわけがない。
事実、軋みの音は更に大きく、そして増えている。

(´<_`#)「あぁぁぁぁあああああ……!!」

気合の声虚しく、壁が、弟者が押されていく。
応じるように、限界を超えた防御性能が、更に限界を超えていく。

しかし、それを上回る破壊力が正面からぶつかっていた。
このままでは咆哮が終わる前に弟者の身が吹き飛んでしまう。

(´<_`#)「耐、えろ……ジゴミル……!」

強風と轟音の中、衝撃を一手に引き受ける弟者は歯を噛み

(´<_`#)「確かに、俺達の力は、あの馬鹿デカい獣には……及ばないだろう!
      だが、だがしかし――!!」

今にも吹き飛びそうな身体を押さえつけ、


(´<_`#)「――俺達の『護りたい』という意思だけは、絶対に負けていないはずだぁぁぁあッ!!」


音と光が、一瞬で消滅した。



236: ◆BYUt189CYA :2008/06/05(木) 22:37:11.78 ID:Z2i46qCp0
全ての音と光が消えた後、耐久の限界を超えた黄金壁が崩れていく。

「なっ……」
「まさか、たった一人で本当に防ぐなんて……」

崩壊の音を前に、弟者に護られた面々が震えた息を吐いた。
多少のダメージがあるかと思っていたのだが、よもや全てを防ぎ切るとは、と。

(´<_`;)「ぐっ……!?」

そして舞い上がった砂煙の中、弟者は膝を折って地面に倒れ込む。
まるで身体中の全ての力が吸い取られたような感覚だ。
もう指一本動かせるほどの体力も残っていない。

(´<_`;)「……っ……何とか、なったか……」

荒い息を吐きながら、弟者は安堵した。

皆を護れた、という達成感もあったが、
それよりも何よりも、兄者の期待に応えられたのが嬉しかった。

傍らに落ちるは金の指輪。
弟者は、疲れ切った目でその輝きを見ながら、

(´<_` )「ありがとう、ジゴミル。 お前のおかげだ」

と、本心からの感謝の言葉を放った。



250: ◆BYUt189CYA :2008/06/05(木) 22:41:03.23 ID:Z2i46qCp0
少しの沈黙が訪れる。

《――――――》

己の攻撃を阻止された驚きからか、巨大な獣は倒れた弟者を見ている。

しかし。

「……? お、おい! ありゃ何だ……!?」

ケーニッヒ・フェンリルの身体に異変が起きたのを、誰かが発見した。
白色の毛がざわめいたと思えば、大きく膨らみ、波打ったのだ。

それらは骨と肉を擦るような音を出しつつ、ケーニッヒ・フェンリルから独立して蠢いている。
一つの肉片として浮き上がったそれは、重力に従って地面へと落下した。
不気味な光景の正体は、次の瞬間に判明する。

「!?」

地面に落ちた肉片の一部が、自律して動き始める。
もがき、苦しむようにのたうつのも束の間、四肢のようなモノを形成しながら立ち上がったのだ。
生物的変形とも言える変化を遂げた結果の姿とは、

川 ゚ -゚)「獣、か……!」

異獣だ。
生まれてきたのは、これまで何度もぶつかってきた、あの白い狼そのものだった。



256: ◆BYUt189CYA :2008/06/05(木) 22:43:27.45 ID:Z2i46qCp0
開戦当初から散々戦った相手が再度、混合軍の前に立ち塞がる。
それだけならまだしも面倒なことに、サイズが以前に比べて数倍に膨れ上がっていた。

(#゚∀゚)「まだ手が残ってンのかよ……うっぜぇな!」

「って、まずいぞ! 弟者さんが――!!」

呆気にとられかけた一人の兵が気付いた。
自分達を護るため、最前線に出ていた弟者が真っ先に狙われてしまうことに。

(´<_`;)「ハァ……はぁ……っ」

弟者は倒れたまま動くことなく、ただ喘いでいた。
限界突破の反動が、彼の身体を蝕んでいるのだ。
近付いてくる異獣から逃れる体力すら残っていないらしい。

そんな事情など知る由もない数体の大型獣は、動けない弟者の身体を引き裂こうと跳躍の姿勢を作り、

《!?》

しかし、眼前に降り立った一つの影に動きを止められた。

( ゚д゚ )「……ここから先へは一歩も通さない」

騎士王ミルナ。
堅牢を体現する一人の英雄が、立ちはだかる。



266: ◆BYUt189CYA :2008/06/05(木) 22:45:29.76 ID:Z2i46qCp0
(´<_`;)「ミ、ミルナ……?」

( ゚д゚ )「弟者。 貴方の全身全霊を賭けた守護、見事だった」

いきなり現れた敵に、異獣は牙を剥いて襲い掛かった。
対するミルナは腰を深く落とし、拳を構えて

(#゚д゚ )「その誇るべき黄金の盾……ならば俺は、それを守る盾となろう!!」

殴打した。
飛び掛ってきた獣の顎を叩き上げ、その懐へ潜り込む。
そのまま身体をかち上げるように伸ばしながら、身を異獣の脇腹へぶつけた。

《――ギュォォ!?》

次の瞬間、ミルナの三倍はあろうかという巨体が吹き飛ぶ。
体内を循環するエネルギーを一点にまとめての攻撃――頸という技術だ。

( ゚д゚ )「だから安心してゆっくり休んでくれ。
     もしかしたら次の咆哮が来るかもしれない、その時のために。
     その間、皆を護る盾は俺が護り抜いてみせよう」



272: ◆BYUt189CYA :2008/06/05(木) 22:47:23.99 ID:Z2i46qCp0
ミルナの強い視線の先、また新しい異獣が生まれようとしていた。

数は一つではなく、複数。
しかも、その全てが以前に比べて巨大化している。

まるで親を護ろうとするように、ケーニッヒ・フェンリルの子といえる存在が次々に誕生していた。

( ゚д゚ )「振り出しに戻っているような光景……。
     だが別格の異獣や結界を破壊し、敵の親玉の目前まで迫っている分、有利なはず。
     怯む理由はないな」

「……そういうことだ。
 決して恐れることはない。 私達は、確かにここまで走ってきたのだから。
 流してきた血や汗は紛れもなく本物だ」

弟者を護るために構えるミルナを、背後から追い越す影が複数あった。



275: ◆BYUt189CYA :2008/06/05(木) 22:49:08.56 ID:Z2i46qCp0
( ゚∀゚)「ようやくクソ憎たらしい獣を殴れるぜ。 ここからハイパーフルボッコタイムだな」

9th−W『ユストーン』と5th−W『ミストラン』を両手に持つジョルジュ。

('、`*川「んでも、その前にこの雑魚の群を何とかしないとねぇ」

リラックスしながらも、強い覇気を纏うペニサス。

ノハ#゚  ゚)「問題ない……全て蹴散らし切り刻むだけ。
     ただ大きくなっただけで、私達を止めることなど出来はしない」

空っぽの黒い巨剣を肩に担ぐヒート。

<ヽ`∀´>「……遂に来たニダ、異獣」

大きなライフル状の魔法武器を抱えるニダー。

*(‘‘)*「この場に至るまでに死んでいった人達の意志も加えて、存分に殺し尽くしましょう。
    せめて、そのくらいはしないと腹の虫が収まりませんです」

返り血を浴びたファンシーなステッキを振り回すヘリカル。

( ^ω^)「おっおっ、みんな揃ってると心強いお」

嬉しそうな笑みを浮かべ、準備運動するように肩を回すブーン。

川 ゚ -゚)「これだけのメンバーが集まっているのだ……負ける気がせんな」

そして14th−W『ハンレ』を手に、皆を統括するように真ん中に立つクー。



283: ◆BYUt189CYA :2008/06/05(木) 22:51:29.30 ID:Z2i46qCp0
横一列に並ぶ七人の後姿はどこまでも力強かった。
上からの重圧に対し、がむしゃらに抵抗出来る強さを持ち合わせているようだ。
そして更に、クー達を希望とする軍が追うように来る。

「流石ラスボス、でっけぇな……」

「だが、その取り巻きまでデカいのはやり過ぎだろ」

「ビビることはないぞ。
 つまりは、ちょっと大きなライオンやトラが行く手を阻んでるってだけのことだ」

「アレを『ちょっと』って言い表せる隊長すげぇ……どう見ても象くらいありますよ」

「大きさなんてどうでもいいんだよ。
 その分、こっちは数で囲んでボコボコにすりゃいい」

「……どっちが悪者か解らないわね」

「戦いは常に数、つまり物量で決まると言っても過言じゃない。
 しかし奴らは数を捨てて質を選びやがった。 存分に後悔させてやろう」

もはやどの世界所属の人間か解らなくなった、人の群れだ。
誰もが強い表情を浮かべ、震えることなく武器を持っている。



295: ◆BYUt189CYA :2008/06/05(木) 22:56:18.13 ID:Z2i46qCp0
川 ゚ -゚)「遂にここまで来たぞ、皆」

そして、

川 ゚ -゚)「クルト博士、リトガー、渡辺、ロマネスク……。
     その他、戦いの中に散っていった者達の意志は、全て心の中にある」

(#^ω^)「最後の戦いだお……!!」

『何も残すことなく、何も後悔することなく。
 全ては遠き時の果てに……私はきっと、答えを見出す』

皆の士気は頂点まで達した。
あとは、目の前にいる獣の群、そしてケーニッヒ・フェンリルを打倒するだけだ。

川 ゚ -゚)「行くぞ――」

息を吸い、


川#゚ -゚)「総員、迷うことなく突撃しろ……!!」


声を皮切りとして、人と獣の最後の激戦が始まった。



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