( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

3: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 19:28:02.91 ID:NP7tvWF90
残る距離は四〇〇メートル。

既に中間地点を突破された状況だが、それぞれの追撃と待ち伏せによる攻撃は確実に効果を生んでいる。
というのも、当初に比べ、ケーニッヒ・フェンリルの歩調が更に遅くなっていた。

しかも大きさが変化している。
遠くから見ることではっきりと解る。
数メートルほどの違いだろうが、全高が低くなっていた。

人間達の度重なる猛反抗、そして異獣を生み出すための魔力消費が効いているのだ。

小さくなれば、その分だけ歩幅も狭くなる。
つまりハインのために時間を稼ぐことが出来る。
言わずとも理解出来る自明の理を、皆は黙して実行していた。

そしてここにもまた、時を稼ぐためにケーニッヒ・フェンリルを待ち構える姿がある。

( ´_ゝ`)「ふむ……予想時間より遅れている。
     どうやらこちらにとって追い風が発生しているらしい」

(´<_` )「皆、頑張っているみたいだな」

流石兄弟だ。
桃色の竜の頭に乗っている二人は、互いを支え合うようにして背を合わせている。
度重なる戦闘に、既に二人の体力は限界を超えていた。



8: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 19:29:45.40 ID:NP7tvWF90
(´<_` )「兄者、その腕は大丈夫か?」

兄者の左腕は微動だにしない。
ケーニッヒ・フェンリルの攻撃を受けての怪我だ。
急ぎのために止血くらいしかしておらず、痺れるような激痛が兄者を苦しめている。

しかし弟者には、『何も問題ない』と言ってあった。

( ´_ゝ`)「お前の方こそ、さっき限界突破を放ったばかりだろう?」

弟者も顔色が悪かった。
止まらない汗を拭いもせず、ただ荒い息を吐いている。
気を抜けば気絶してしまいそうなほど、彼の意識は安定を失っていた。

しかし、彼も首を横に振り、

(´<_` )「ここで倒れているわけにもいかないさ」

( ´_ゝ`)「強情だな。 誰に似たんだか」

(´<_` )「さぁ? けど一つ言えるのは、兄者も似たようなものだってことだ」

( ´_ゝ`)「む」

(´<_` )「左腕、動かないんだろ。
     まったく……ロクな処置もせずに何をしてるんだ」



13: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 19:30:50.08 ID:NP7tvWF90
呆れたような弟者の言葉に、兄者は笑みを浮かべた。

( ´_ゝ`)「弟が無茶しようとしてるのに……兄が、それをただ見てるだけってわけにはいかんだろう」

(´<_` )「双子だから、兄とか弟とかの差は小さいんだけどなぁ」

( ´_ゝ`)「いーの。 お前は俺の弟なの」

随分と地響きが近くなっていた。
疲労が満ちている目を南へ向ければ、巨大な獣が一歩一歩こちらへ向かってきている。
足下や周囲では、未だに魔力の破裂による光が連鎖しており、

( ´_ゝ`)「見ろよ、弟者。 まだ頑張ってる奴らがいるぞ」

(´<_` )「根性だけはあるからな」

( ´_ゝ`)「必死にもなるよ……何せ世界がかかってんだから」

勝てば存続。
負ければ破滅。

その採択を、ある程度自分達で選べるのだから必死は当然だ。



17: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 19:31:54.14 ID:NP7tvWF90
( ´_ゝ`)「……そろそろ俺達も仕掛けるか。 ところで何か案、ある?」

(´<_` )「先の戦いのように、バリアを張って頭から突撃するのが妥当だと思うが」

( ´_ゝ`)「自分のことを考えてから言いたまえ君ィ。
     そんなフラフラな状態で、まともな限界突破が出来るものか」

(´<_` )「実は兄者も、竜を保持し続けるだけで結構キツいんだろ?」

(;´_ゝ`)「…………」

(´<_` )「双子だから何となく解るんだよなぁ」

ずっと一緒にいたわけではない。
幼少時以降、指輪による騒動までは別々の場所で生きてきた。
ある意味、二人は限りなく他人に近い兄弟と言える。

しかし、その身体に流れる血だけは本物だった。



22: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 19:33:11.48 ID:NP7tvWF90
( ´_ゝ`)「しかしどうすっかね。
     玉砕覚悟で立ち向かわなきゃ、このままだと何も出来んぞ」

(´<_` )「世界を救うために死ぬか、世界を救えずに死ぬか……か」

( ´_ゝ`)「柄じゃないよなぁ」

(´<_` )「でもこの世界は壊されたくない、と俺は思う」

( ´_ゝ`)「偶然だな。 俺もだ。
     こんな芳醇で、美味しくて、素晴らしい世界を壊すなんてもったいない」

初めから答えは決まっていたようなもの。
どんな条件であろうとも、ここでケーニッヒ・フェンリルを迎え撃つ。
全力を出し切り、一秒でも長く時間を稼ぐのだ。

それは、自分達の生きる世界のためでもあり、

( ´_ゝ`)「俺達を信じてくれたハインちゃんのためにも、だな。
     ホントあの子良い子だよ」

(´<_` )「うむ……さて、そろそろだぞ」

弟者の言葉に視線を向ければ、ケーニッヒ・フェンリルが更に近く見えている。

満身創痍の双子の力だけで何とか出来る状況とは思えないが
しかし、何もせずに見過ごすことはしたくない心境だった。



25: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 19:34:36.86 ID:NP7tvWF90
自分達を信じてくれた少女に応えるためにも、たとえ無謀であろうと挑む。

それは、損得などでは計れない信頼の度量。

兄者は思う。
世界を救う彼女に対応する全てとまでは言えないが、出来る限りの結果を返すのが義というもの。
何より彼女は、自分に知識を与えてくれた恩師の大切な子供なのだ。

(´<_` )「兄者、この身体が保つ限りの最大出力を維持するつもりだが……もし力尽きたらすまん」

隣で12th−W『ジゴミル』を解放した弟者が言う。
申し訳なさそうな響きは、おそらく自信の無さが直結しているのだろう。

連戦に続く連戦に身体は疲労し、限界突破も本日三度目だ。
今までのことを考えれば、むしろよく持った方だと兄者は判断する。

( ´_ゝ`)「その時はその時だな。
      ま、成るように成るだろう」

今までもそうだった。
行き当たりばったりで死線を潜り抜けてきたのだ。

少し過去を思い出しながら、兄者は桃色の竜に突撃を命じ――


「――あーあ、そんなことだろうと思いましたよ」



30: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 19:35:56.60 ID:NP7tvWF90
( ´_ゝ`)「お?」

突然の声。
響きは少女のもので、空にいる兄者達よりも更に上からだ。
見上げれば、

*(‘‘)*「まったく……アンタらは突撃することしか思いつかないんですか?」

<ヽ`∀´>「手を貸しに来たニダ」

ヘリカルとニダーが、空飛ぶステッキに腰掛けていた。
滑るように飛ぶ二人は竜の傍まで降りてくる。

*(‘‘)*「二人よりも四人。
    攻撃力的に心許ないメンバーですが……まぁ、そのくらい集まれば何とかなるんじゃないですか?」

(´<_`;)「簡単に言ってくれるな。 何か良い案でもあるのか」

*(‘‘)*「んー、一斉に撃ちまくるとか?」

(;´_ゝ`)「ヘリカルちゃん、悪いけど人のこと言えたもんじゃないよ」

*(;‘‘)*「……うるせー馬鹿」



36: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 19:37:01.46 ID:NP7tvWF90
気まずい視線をニダーへ向けるが、彼もまた首を横に振る。
つまり彼らは、具体的な作戦も考えずに手伝いに来たことになり、

( ´_ゝ`)「期待させといて落とすなんて酷くね?」

*(;‘‘)*「う、うるさいうるさい!
     アンタ達みたいな必殺技なんか持ってねぇんだから仕方ねぇーでしょーが!!」

何とも切実な声である。

ともあれ状況が少し変わった。
突撃の姿勢を見せていた竜をなだめつつ、兄者は考える。

( ´_ゝ`)「戦力が増えたのは喜ばしいのだが、肝心の手段が乏しいのが残念だな。
     しかもあんまり時間的余裕もないし……」

(´<_` )「ううむ……」

こんなことをしている間にもケーニッヒ・フェンリルは動いている。
目前とまではいかないが、かなり近い位置まで進まれていた。



42: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 19:37:59.17 ID:NP7tvWF90
<ヽ`∀´>「もう手段は選んでられないニダ。
      ここは各々、持ち得る全ての攻撃力をぶつけるしか――」

( ´_ゝ`)「――お?」

<ヽ`∀´>「ニカ?」

何かに気付いた兄者はニダーを、いや、その背を見ていた。

彼の背には斜めに掛けられたライフル型EWがある。
ニダーの愛用する、魔力を弾丸として打ち出せる特殊な銃器だ。


( ´_ゝ`)「…………」

<ヽ`∀´>「…………」


(*´_ゝ`)「貸してっ☆(キラッ)」


<;ヽ`∀´>「断固として断るニダッ!!」

(;´_ゝ`)「あ、ちょ、おま、人が下手に出てりゃイイ気になりやがって!」

<;ヽ`∀´>「それのどこが下手ニカ!?
       ……ってヘリカル! 何するニカ!? あ、あ、あぁぁぁあ!!」



48: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 19:39:47.49 ID:NP7tvWF90
(´<_` )「――というわけで」

<;ヽ`∀´>「また獲られたニダ……」

(;´_ゝ`)「ちょっと借りるだけだから、そんな落ち込むなよ……」

*(‘‘)*「でもニダーのライフルなんか何に使うつもりですか?」

( ´_ゝ`)「お前ら完全に忘れてるだろ。
     俺がこのEWをメチャクチャにイジり倒したってことを」

それは決戦が始まる前。
アジトにて、ニダーとヘリカルが装備強化の相談を持ちかけた時だ。
本来はデフラグに頼むところを、不在を理由に兄者が受け持ったのだが、

<;ヽ`∀´>「ちょ、ちょっと待つニダ……!
       あれはゲシュタルトブラストの機構を組み込んだんじゃないニカ!?」

( ´_ゝ`)「それはフェイクだッ!!」

「「「何で!?」」」

三人分の問い掛けに兄者は腕の動きで答えた。
ボルトを引き、生まれた隙間に左手指を捻じ込んだのだ。



53: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 19:41:40.17 ID:NP7tvWF90
<;ヽ`∀´>「え……?」

すると、ややあって『かちり』という硬い音が聞こえた。
何かが外れるような音が続き、ライフル型EWがその形を変えていく。
まったく心当たりのない機構に、ニダーは目を丸くして兄者の動きを追った。

( ´_ゝ`)「ふふふ、この俺がゲシュタルトブラストを組み込むだけで終わると思っていたか?」

<;ヽ`∀´>「出来ればそうあってほしいと願っていたニダ……」

(´<_`;)「――って、兄者! 兄者! もう敵がかなり近くなってるぞ!!」

作業を進める兄者の耳に、慌てた弟者の声が飛び込んでくる。

地を踏み砕く音に混じって羽ばたきの群音も聞こえてくるのは、
雑魚が先行して、こちらに向かってきているということだろう。

(´<_`;)「このままじゃケーニッヒ・フェンリルに攻撃する前に、俺達がやられる!」

( ´_ゝ`)「落ち着け弟者。 何も問題はない」

(´<_`;)「すまん! 控え目に言っても問題だらけだ!」



57: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 19:42:48.61 ID:NP7tvWF90
弟者の慌て様も仕方がなかった。
空から大量の異獣が接近してきているのだから。

赤い目は兄者達が乗る桃色の竜を見据えており、今にも襲い掛かろうと牙を剥いている。
今のまま何もせずにいれば、大した抵抗もすることが出来ずに食われてしまうだろう。

(´<_`;)「くっ……こうなったら限界突破で皆を――!」


(#´_ゝ`)「弟者ッ!!」


(´<_`;)「!?」

今まで聞いたこともないような兄の鋭い声に、弟者の身が固まる。
そして次の瞬間、猛烈な音と光が来た。

音は光線。
光は桃色だ。

《ギュ――!?》
《ア"ァァァァァァァァァアァァ!?》

上空から雨のように降り注ぐ光の線は、的確に空飛ぶ異獣の背を穿った。



64: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 19:43:58.20 ID:NP7tvWF90
獣の悲鳴が連鎖、大合唱となり、遅れて弟者の驚きが追う。

(´<_`;)「な、何だ!? 何が起きた!?」

( ´_ゝ`)「大丈夫だと言っただろう。
      なぁ、ヘリカル?」

放たれた声は上を向いていた。
その方向から降りてくる影がある。
コミカルなステッキに腰掛けて、こめかみをピクピクさせているヘリカルだ。

*(#‘‘)*「まったく……私がアンタの言葉を忘れてたらどーするつもりだったんですか」

( ´_ゝ`)「むしろ憶えてた方に驚きだね。
     『お前に俺の護衛を頼みたい』……ふふ、予防線を張っておいて正解だったか」

*(‘‘)*「はいはいワロスワロス。
     んで?
     私がこうやってアンタ達を護ってやったからには、結果を見せてくれるのでしょう?」

( ´_ゝ`)「うむ、任せろ」

と、兄者は右腕で抱えているものを軽く掲げた。
ニダーから借りたライフル型EWは、変形に変形を重ね別の形になってしまっている。

兄者の隣には、持ち主であるニダーが口をあんぐりと開けて呆けていた。



73: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 19:45:08.83 ID:NP7tvWF90
<;ヽ`∀´>「ウ、ウリのライフルは何処へ行ったニダ……もはやその形は……」

既にライフルではない。
銃身部分が縦に大きく開き、全体の長さも1.5倍ほどに展開している。

形状から判断するならば、『バズーカ』が一番近いかもしれない。

<;ヽ`∀´>「ウリが長年愛用してきたEWになんてことを……」

(*´_ゝ`)「わはははは、天才だな俺」

言いながら変形したバズーカ型EWを竜に手渡す。


受け取った竜は、まったく迷いなくそれを口の中に放り込んだ。



77: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 19:46:20.38 ID:NP7tvWF90
<;ヽ゚Д゚>「……あ!? あぁ!? あぁぁぁぁぁぁぁぁあっぁあぁぁぁぁ!?」

*(;‘‘)*「「えぇぇぇぇぇぇ!?」」(´<_`;)

( ´_ゝ`)「良いリアクションしてくれるなぁ」

ニダーの反応は当然と言える。
愛用していた武器を獲られ、挙句の果てにペットのようなモノに食されたのだから。
あまりのショックに顔の造形も壊滅しよう。
そして弟者とヘリカルも、兄者の奇行に怖れ慄きながら自分の武器を胸に抱きかかえた。

そんなニダーが『orz』のポーズをとると同時、
兄者達の足下――つまり桃色のドラゴンに動きがある。
尻尾を始点として、頭へ向かって震えを走らせたのだ。

<;ヽ゚Д゚>「な、な、な……!?」

( ´_ゝ`)「言ったろう? 俺に不可能はない、と」

(´<_`;)「すまん兄者、記憶の限りでは言っていないはずだが……」

( ´_ゝ`)「…………」

少し沈黙した兄者は気を取り直し、

(#´_ゝ`)「見よ! これが俺達の切り札だ!!」

次の瞬間。
桃色のドラゴンが盛大に嘔吐した。



86: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 19:48:23.23 ID:NP7tvWF90
いや、よく見れば動きだけだ。

腹の中身を吐き出そうとする動きの中、口から出てくる物がある。
それは胃液や吐瀉物などではなく、金属製の筒のような物体で、

<;ヽ`∀´>「……まさか!?」

果たしてニダーの予感は的中した。

竜の口から迫り出してきたのは砲口であった。
兄者が食わせたEWを解析し、自身のサイズに合うよう魔力で再構成したのだ。
己の思い描く結果が完成したのを見届けた兄者は、強かな笑みを浮かべる。

( ´_ゝ`)「ニダーさんのEWに、我が飛竜の機動力……この二つの要素を合体させた、いわば『砲竜』。
     限界突破ならではの荒技だぜっ!」

(´<_`;)「おぉ……! でも『だぜ』はちょっとダサい!」

(#´_ゝ`)「竜の構成魔力も砲弾に使用するから、普通に撃つより何倍も強力!
      加速しながらブチ込めば……その威力は更に膨れ上がるっ!!」

*(;‘‘)*「アンタは本当にとんでもないことを……!」

<;ヽ`∀´>「なんという無茶な……」

( ´_ゝ`)「褒め言葉として受け取っておこう。
     さぁ、行くぞ諸君!」



92: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 19:49:42.70 ID:NP7tvWF90
(´<_`;)「行くって……」

弟者の問いに兄者は頷き、

(#´_ゝ`)「加速しながらの最大の一撃を、ケーニッヒ・フェンリルに叩き込むのだ!」

皆は前へ視線を向けた。
ケーニッヒ・フェンリルがこちらに向かってくる光景が見える。
その周囲には翼を羽ばたかせる多数の獣がいる。

兄者は、あの中に突っ込む、と言っているのだ。

( ´_ゝ`)「いいか? 竜の操作は俺がやる。
     ヘリカルは砲撃で道を開き、弟者はヘリカルの攻撃を抜けてきた敵から竜を護るんだ。
     そしてニダーさん」

<;ヽ`∀´>「?」

( ´_ゝ`)「進むべき道はアンタが指し示してくれ。
     アンタの冷静な観察力と、異獣に対する経験と情報。
     それだけが、あのケーニッヒ・フェンリルへの道を知っているはずだ」

先とは打って変わっての真剣な表情。
ニダーは、兄者の切り替えの早さを少しは知っていた。

<ヽ`∀´>「…………」

そしてこうなった時の彼は、かなり容赦がないことも。



100: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 19:50:52.83 ID:NP7tvWF90
真剣そのものな眼差しに、ニダーは再度、敵の群れを見た。

<ヽ`∀´>「…………」

ケーニッヒ・フェンリルを護るように展開している軍勢は、雑に見えて統率されている。
指揮官がいるのか、それとも全ての獣の思考がリンクしているのか。
ニダーには詳細など解らないが、一つ言えるのは、

<ヽ`∀´>「……このまま何も考えずに突っ込んでも駄目ニダ」

( ´_ゝ`)「ふむ」

<ヽ`∀´>「つまり道をこじ開ける必要があるニダ。
      大量の獣という壁に穴を開ける。 それが出来るのは――」

*(‘‘)*「私ってことですね。 良いですよ。
    撹乱に弾幕に突破口の抉じ開け……これくらい忙しい方が集中出来るってもんです」

言いながらステッキを撫でるヘリカルの声には自信が溢れている。

彼女の砲撃能力の高さは、既に皆が知っていることだ。
高威力広範囲のレーザーや雨霰と降らせるビームシャワーなど、その攻撃方法も多い。
何より単独行動がとれるというのが最大の強みと言える。



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