( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです
- 430: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 21:00:41.50 ID:NP7tvWF90
- (;^ω^)「ご、ごめんお。 なんか正面から言われてフリーズしちゃったお」
今ならクーの気持ちが解る。
心に電流が走ったような感覚だ。
これならば、一瞬でも意識を失うのも当然だろう。
浮かぶ感情は暖かく、そして甘い。
ここが戦場であることを忘れてしまうほどの多幸感に、笑みが止まらなかった。
皆なら一目見ただけで『キモっ』と一蹴するであろう表情を浮かべるブーン。
それを呆けるように見ながら
川;゚ -゚)「なんと……」
呟いたクーは、しかし表情を変え、
川 ゚ー゚)「私と同じ、だな」
(*^ω^)「おっおっ」
背後から嫉妬の声が聞こえてきたが、ブーンとクーは無視を決め込んだ。
- 442: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 21:01:59.07 ID:NP7tvWF90
- 地響きが近くなる。
足を引き摺りながら、身体を崩しながら、疲労の喘ぎを漏らしながら。
今も全軍の抵抗を見に受けるケーニッヒ・フェンリルが、しかしハインリッヒだけを目指して向かってくる。
その巨体は随分と小さくなっているように思えた。
魔力を放出し、そして外部から執拗に削られてきたせいだろうか。
しかし、まだ余力があるように見える。
足並みは確かに衰えているが、それでも前を目指すだけの力はあるのだから。
川 ゚ -゚)「……ここで止められるかが鍵だな。
少しでも足止め出来れば、今度は皆で移動の要たる足を押さえることが出来るかもしれん」
( ^ω^)「…………」
川 ゚ -゚)「やはり……怖いか?
いや、別に咎めるつもりじゃないが、君の傍には私がいr――」
( ^ω^)「大丈夫だお。 僕にはクレティウスがいるお」
『む?』
_, ,_
川 ゚ -゚)
(;^ω^)「ぬぉ!?」
- 452: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 21:03:32.93 ID:NP7tvWF90
- 川 ゚ -゚)「そうか……やはり内藤は、私よりもクレティウスの方が頼りになると言うのだな。
ははは考えてみれば当たり前か。
私なんか、ただ他の者達の能力のレプリカが扱える程度だし、
限界突破は使えないし、人間として見ても女性的な魅力は薄いし、
口うるさいし、融通利かないし、いつも黒コートだし、君のことが好きで好きでたまらないし――」
(;^ω^)「ちょ、ま、待つお!
ってか自分分析が妙に的確なのはどうして!?」
いや、そんなことよりも
(;^ω^)「ってか、違うお!
クーはもう、何て言うか……頼りにしたくないんだお!!」
ガ―――川 ゚ -゚)―――ン
(;^ω^)「うわぁ顔普通!
じゃなくて、そういう意味じゃないんだおー!!」
その後、ブーンの説得は一分にも及んだ。
流石にあまり時間をかけ過ぎるとケーニッヒ・フェンリルが来てしまうので、
クーも控えめにむくれていてくれたのが幸いした。
- 464: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 21:05:06.21 ID:NP7tvWF90
- 結局ブーンが言いたかったこととは、
川 ゚ -゚)「頼り切るのではなく、自分から率先して頼らせたい……か」
( ^ω^)「今までクーには甘えてばかりだったから。
今回の戦闘だってクーは指揮官みたいでかっこよかったし、こりゃ僕も負けてられないな、と」
川 ゚ -゚)「別に一生甘えてもらっても構わんのだが」
(;^ω^)「そ、それは魅力的な提案だけど、僕も男なんですお……!」
川 ゚ -゚)「そういうものか……」
よく解らん、と唸るクーは本当によく解っていないのだろう。
しかし男に生まれた以上、好きな人におんぶに抱っこではかっこ悪過ぎるというもの。
今までが今までだけあって最後くらいは自分が先頭に立ち、クーを引っ張っていきたいのである。
( ^ω^)(でも、本来の関係はそんなのじゃなくて――)
解っている。
こんな自分がクーを引っ張っていくのは難しい、ということくらい。
そもそも大事な戦いで我を通すのは危険過ぎる。
- 480: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 21:06:50.20 ID:NP7tvWF90
- ( ^ω^)「クー。 そういえば、どういう作戦で足止めするか決めてるのかお?」
川 ゚ -゚)「うむ。
ロマネスクと戦う時も確認したが、私達の中で最大の攻撃力を持つのは君だ。
それを基本に考えない理由はない」
( ^ω^)「っていうことは……」
川 ゚ -゚)「私が14th-W『ハンレ』で道を作り、君が一撃を見舞う、という方法だな」
クーのウェポンは限界突破が使えない。
去年の年末での事件では擬似的に使用出来たようだが、その条件は限定的なものだ。
つまりクーの力は万能だが、ここ一番の爆発力がないという欠点を抱えており、
こういう場面に直面すると途端にサポート役に回らざるを得ないのだ。
( ^ω^)(…………)
川 ゚ -゚)「安心してくれ。
君が突き進むための道は、必ず私が――」
( ^ω^)「クー」
川 ゚ -゚)「ん?」
( ^ω^)「僕に一つ提案があるお」
その提案とやらをクーに話す。
すると今度は、彼女が大慌てする番であった。
- 484: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 21:07:41.97 ID:NP7tvWF90
- 二人は堂々と並び立つ。
満身創痍に近いが、しかし迫力はまったく失っていないケーニッヒ・フェンリルを前に
ブーンとクーは、まったく怖じることなく立ちはだかっていた。
震えはある。
嫌な汗も流れる。
だが、目線は真っ直ぐなままだ。
逸らした方が負け、と言わんばかりに睨みを利かせている。
先ほどまであった柔らかさなどまったく見る影はない。
決意と覚悟も新たに、二人は完全な戦闘体勢でケーニッヒ・フェンリルを迎えようとしていた。
川 ゚ -゚)「……絶対に阻止するぞ。
命以外の、何を投じてでも」
( ^ω^)「解ってるお。 ハインには近付けさせないお」
同時にウェポンを解放。
クーの左手には透明色の刀が、ブーンの両手には白色のグローブが出現する。
今まで何度も使い、助けられ、共に戦ってきた戦闘のパートナーだ。
それでも、ケーニッヒ・フェンリルからしてみれば小さな力かもしれない。
大した傷も刻めずに潰される程度の力なのかもしれない。
しかし、
川 ゚ -゚)「その全てをぶつけていった結果……その累積は、確実に表れている」
- 490: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 21:08:55.27 ID:NP7tvWF90
- 全軍の集中攻撃を受けた巨獣の身体は傷だらけだ。
特に足の損傷は酷いものがあり、兵達の抵抗が凄まじかったことが解る。
今、特に派手に暴れているのは英雄だ。
ミルナやヒートを中心とした軍が、激流のような突撃と攻撃を繰り返していた。
真正面から堂々とケーニッヒ・フェンリルに挑む姿は、まさに神話に出てくるような英雄である。
川 ゚ -゚)「……そろそろ射程範囲内だな」
少し目を鋭くして確認。
巨体過ぎて距離感に少し違和があるが、クーの目は誤魔化せない。
彼女の情報を全面的に信じたブーンは、両の拳を握り締め、右足を一歩引いて構えた。
( ^ω^)「クレティウス。 頼むお」
『了解だ』
両拳のグローブが光に包まれた。
ややあって輝きは分離し、それが何度か続き、合計八つの光球をブーンの周囲に浮くこととなる。
現界。
光が弾け飛ぶと、そこには別の物体が出現していた。
光の数に対応した八つの拳である。
- 498: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 21:10:11.58 ID:NP7tvWF90
- 川;゚ -゚)「『OVER ZENITH』の言葉も無しに……」
『元々、あの鍵語はウェポンの音声認識のためだからな。
ウェポンとは多少異なる私にとっては、術者の覚悟を知るための言葉に過ぎない』
( ^ω^)「ってことは……」
『もう、いちいち問いかける必要はあるまい、ということだ。
これでも私は、君を高く評価しているつもりでな』
覚悟は既に知れている。
ならば、あとは意志さえ察知出来れば手を貸してくれる。
それはつまり、クレティウスがブーンを認めていることに他ならない。
(;^ω^)「……こんな僕だけどNE」
『謙遜することはないと思うが。
闘争も何も知らなかった男が、ここまで戦えるのは誇っていい。
なかなか出来ることではない』
( ^ω^)「おっおっ」
『私はかつて君のような、一般人から戦いの世界に巻き込まれた女を知っている。
彼女も君と同じように戦おうとして……しかし、自分の無力さを嘆いていた。
だから、そうやって戦えること自体が稀有なんだ』
- 508: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 21:11:41.63 ID:NP7tvWF90
- クレティウスが過去を語るなど珍しい。
珍しいだけに、ブーンは少しばかり嫌な予感を心の中に思った。
この戦いが終わったら二度と会えないような、そんな予感だった。
振り払うように首を振る。
今は、今だけは後ろ向きな考えに引っ張られるわけにはいかない。
( ^ω^)「……うっしゃ! いっちょやったるかお!」
『あぁ』
川;゚ -゚)「内藤、本当に良いのか?」
( ^ω^)「お?」
川;゚ -゚)「その……君の限界突破に私の拳も組み込むなど……」
- 514: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 21:12:49.65 ID:NP7tvWF90
- ブーンの提案とは、このことだった。
クレティウスが操作する八つの拳と、ブーンの拳、合計九つの拳を一つにまとめて放つのが彼の限界突破なわけだが
ここにクーの拳も一つ追加して、拳の数を十に増やそう、という内容である。
川;゚ -゚)「君も知る通り、私のハンレに限界突破が使えないんだ。
加えるとしてもノーマルの……いや、その劣化した拳を加えることになる」
それでも良いのか、とクーの視線が問うていた。
だからブーンは迷いなく頷き、
( ^ω^)「たとえ劣化だとしても、その拳は正真正銘クーの拳だお?」
川 ゚ -゚)「……!」
( ^ω^)「それが事実であるなら僕は何でもいいお。
大切なのは攻撃力とかじゃなくて……君と一緒に、同じ位置で立ち向かうことだから」
あ、と付け加え
( ^ω^)「もちろんクーが一緒に来てくれるだけで
僕のやる気もアップして、自動的に攻撃力が一・五倍くらいになるお!
だから、一緒に!」
- 526: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 21:13:59.01 ID:NP7tvWF90
- 右手を差し出すブーン。
限界突破モードの手甲に包まれた手は、戦いによって傷だらけだ。
それを見ながら、クーは浅く眉を歪めた表情で思う。
……この傷は、私が刻んだようなものだ。
ブーンを巻き込んだのは自分。
その後の戦いも彼の意志で戦ったとはいえ、責任を感じないわけがない。
責任を誇示する気はまったくないが、しかし果たさねばならない、とも思っている。
だから自分はこの手を握るべきなのだ、と心が言っていた。
川 ゚ -゚)「…………」
( ^ω^) ハヤクハヤクー
川 ゚ -゚)(しかし……何故だろうな)
新たに不思議な感情が心に浮かんでいた。
――責任だとかそういう理屈無しに、この手を握りたい、と。
これこそが自分の本当の感情だということに気付くのは直後で。
苦笑を浮かべそうになるのを我慢しながら、クーは自然とブーンの手をとっていた。
- 536: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 21:15:03.40 ID:NP7tvWF90
- 川 ゚ -゚)「こんな私でも役に立つのなら。
そして君と一緒に一つのことを成し遂げられるのなら、これ以上の喜びはない」
( ^ω^)「僕もだお!」
言った二人は、同時に前を見た。
ハインを食い殺すために進軍するケーニッヒ・フェンリルを。
未だ、誰かが戦っている戦場の最前線を。
川 ゚ -゚)「雑魚はどうするつもりだ?」
( ^ω^)「……強行突破するお」
川 ゚ -゚)「解った」
そうするしかないだろう。
ブーンは四肢内部に展開する符で、クーはギルミルキルで超速の突撃を掛けるつもりだった。
ギルミルキルは言うまでもなく、ブーンの方もロマネスク戦で見せた通り、爆発的な加速を得ることが出来る。
ケーニッヒ・フェンリルを護るように展開している多くの異獣は、その速度にモノを言わせて散らす算段だ。
もちろん危険は多いだろう。
しかし彼とならばどんな障害だろうと――
その時である。
いきなり、二人の背後で音が鳴った。
正体は銃器を鳴らす音で、
「しゃーねぇな。 雑魚の方は俺らが撃ち落としてやるよ」
- 548: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 21:16:05.87 ID:NP7tvWF90
- ( ^ω^)「!!」
そこにいたのは混合軍の兵士だ。
最終防衛ラインを護らんと、ブーンとクーについて来た者達である。
「何か役に立ちたいからな」
「せめてあのフラフラ飛んでる雑魚共は俺達にくれよ」
「君達は、ケーニッヒ・フェンリルの土手っ腹へ拳をブチ込むことだけに集中してください」
川 ゚ -゚)「皆……」
「勝利の女神のエスコート。 最高じゃないすか」
「ヒモ付きなのがアレだがな」
「内藤は自力で何とかしろ」
(;^ω^)「うえぇぇぇぇぇぇ!?」
ブーンの声に、冗談だよ、と皆が笑った。
しかしその表情もすぐに引き締まり、
「だから、頼むぜ。
その拳はお前らのモノだけじゃねぇ……死んじまった奴も含めて俺達全員の意思を乗せた拳なんだ。
キッチリカッチリ全て籠めて殴ってきてくれよ」
無骨な男の手がブーンの肩を思い切り叩いた。
その音と衝撃と微かな痛みは、確実に心に刻まれる。
- 567: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 21:17:45.37 ID:NP7tvWF90
- ( ^ω^)「……解りましたお。 絶対に果たしますお」
川 ゚ -゚)「ありがとう」
構える。
今度は二人ではなく、数十の人の群れとして。
背後で皆が銃口を持ち上げる音が鳴り、応じるようにブーンは前方を見た。
……己の拳で穿つべき敵を。
背中に熱を感じた気がした。
戦いに疲労した兵達の血が滾る体温だ。
それが、とても心強い。
今から強大な障害へ挑むというのに、不思議と大きな不安はなかった。
川#゚ -゚)「GET SET――!」
クーの言葉に、ブーンは腰の重心を下げていった。
視線は前を見たまま上半身を傾け、膝を折り、踵を僅かに浮かせる。
隣の気配を耳で感じてみれば、クーが足に透明色のブーツを纏っていくのが解った。
- 580: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 21:19:20.65 ID:NP7tvWF90
- 瞬間、銃口が光を噴く。
ブーンとクーの背後から撃ち出された弾丸の群れは、一直線にケーニッヒ・フェンリル目掛けて飛んだ。
滞空時間はほんの数秒で、次の瞬間、着弾の音が遅れて聞こえてくる。
「今だ! 行けよ希望の護り手ッ!!」
川#゚ -゚)「「ッ!!」」(^ω^#)
言葉に押されるように地を蹴った。
足の内部で力が発動し、膨らむような感覚と焼けるような痛みが来る。
しかしこれこそがブーンの身を高速で飛ばすための代償であった。
撃音一つ立て、ブーンの身体が爆発的な速度を得る。
視界が一瞬で背後へ。
壁のような厚みのある大気に顔をしかめ、しかし前を目指した。
隣にはクーがいる。
ブーンと同じように身を前へ倒し、コートをはためかせながら高速で跳躍していた。
その両足には透明色のブーツがあり、彼女もまた音速超過の勢いに乗っていることが解る。
彼女はブーンの視線に気付くと、高速で流れる景色の中、強く頷いた。
- 590: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 21:20:25.96 ID:NP7tvWF90
- ( `ω´)「――ッ……!!」
風が強い。
音が聞こえない。
ただ、あるのは速度だけだ。
前方。
巨獣を護るように展開していた異獣の一部が崩れている。
先に放った一斉射撃のおかげだ。
このまま一直線に突っ込めば、渾身の拳をブチ込むことが出来るだろう。
しかし、先んじた動きがあった。
開いた穴を埋めるように異獣が集ってくる。
血のように赤い眼は、既にブーン達を捉えていた。
- 599: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 21:21:26.97 ID:NP7tvWF90
- タイミングはギリギリか。
いや、僅かに足りない。
音速超過の速度で向かっているとはいえ、少しばかり距離が開き過ぎていたようだ。
そして何より、異獣の統率力を甘く見ていたのが、この状況を作り出していた。
このままではまずい。
獣の群れの中に突っ込んでしまう。
(;^ω^)(くっ……!)
川;゚ -゚)(どうにもならんか……!)
迷う時間も隙もなかった。
もはや止められない速度の中、二人は危険地帯へ跳び込んでしまう。
- 611: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 21:22:37.41 ID:NP7tvWF90
- 風が途切れ、入れ替わるように生暖かい空気が二人を包む。
そこは地獄だった。
三百六十度、全てを獣が覆うという光景。
天の光は全て敵、と言った状態である。
血走った眼はこちらを睨み、羽ばたき一つで跳びかかれる姿勢を作っていた。
ほんの数秒後、おそらく自分達は八つ裂きにされた後で食べられてしまうだろう。
未だ宙にいる以上、ここから逃げることなど出来はしない。
(;^ω^)「クーっ!!」
咄嗟に叫び、右手を出していた。
素早く反応したクーは、左手でそれを力強く掴む。
(;^ω^)(せめてクーだけは……っ!)
川;゚ -゚)「な、内藤!?」
手繰り寄せ、抱き締めた。
川;゚ -゚)「止めろ! それでは君が――!?」
クーが暴れるのを力で抑えつける。
何か必死に叫んでいるが、ブーンの耳には入らなかった。
- 620: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 21:24:12.34 ID:NP7tvWF90
- (;^ω^)(どっちにしろ、このままじゃ二人とも死んじゃうお!
何か手が……)
その時、視界に入ったのはクレティウスだ。
限界突破時だと、ある程度の自律行動を行えることを思い出し、
(;^ω^)(クレティウス! クーだけでもここから連れて逃がしてくれお!!)
『…………』
何故か反応がない。
未だグローブが現界していることから意識があり、そしてこの声も届いているはずなのだが。
(;^ω^)「聞いてんのかお!? クレティウス!!」
『内藤ホライゾン』
(;^ω^)「!?」
『――危険に飛び込んだ以上、君が見て良いのは前だけのはずだ』
え、という疑問を放つ前に音が来る。
直後。
連続した光の帯が、異獣の群れを真横から串刺しにした。
- 642: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 21:27:23.92 ID:NP7tvWF90
- 串刺しの正体は槍に見え、しかし異なる。
最終防衛ラインから来る援護砲撃だ。
間髪入れず連射される威力の光が、ブーンとクーの周りにいる獣を砕いていく。
(;^ω^)「こ、れは……!」
『仲間を信じるのが仲間だろう。
ならば彼らを信じ、君は目的を果たすべきだ』
それが、と言い
『彼らに対する最大の返礼となる』
(#^ω^)「……ッ! クー!!」
川#゚ -゚)「あぁ、解っている!」
思うと同時に身体が動いていた。
抱き締めていたクーの身体を開放し、右手と左手を繋げた状態で四肢を広げる。
初速に乗じて風に乗るように飛んだ。
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