( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

377: ◆BYUt189CYA :2008/07/22(火) 16:39:22.04 ID:wcoHHkfi0
だが、違和感は言葉とならずに霧散していく。
感覚では解るのだが、具体的な意識に変換されない典型的な例だった。

(,,゚Д゚)「ちっ……これでは嫌な予感かも解らんではないか。
    だがどちらにしろ、この疑問は解消する必要があるだろう」

そして、と言い

(;,,゚Д゚)「おそらく兄者は既にこの事に気付いている、か。
     まったく、何という嗅覚を持っているんだアイツは……」

(*゚ー゚)「ギコ君、私達はどうする?」

(,,゚Д゚)「俺などが頭を働かせても何の足しにもならんさ。
    このまま攻撃を続けるぞ。 どちらにせよ、奴の纏う魔力を剥ぎ取る必要がある」

そう、己の身は『牙』だ。
難しいことは考えず、敵の喉笛を食い千切ることだけに専心していればいい。
いくら敵が巨大で、強くて、圧倒的だろうが、この事実だけは変わらない。

何より、しぃがいる。

彼女が傍にいれば自分はいくらでも戦うことが出来るだろう。
それは同時に、彼女を護ることにも繋がるのだから。



380: ◆BYUt189CYA :2008/07/22(火) 16:40:38.81 ID:wcoHHkfi0
(,,-Д-)「この戦いが、『牙猫』としての俺の最後の仕事になると良いが……」

呟きに、背中側から応える声がある。

(*゚ー゚)「うん……そうなるように、二人で頑張ろう?
    そして全てが終わったら――」

二人の色が混じったブラックパープルの色彩を放つグラニード。
二人分の体重を支え、尚も光を失うことをしないレードラーク。

ギコは剣を、しぃは翼を構える。

(,,゚Д゚)「あぁ、もし全てが終わったら戦いとは無縁の人生を歩もう。
    この地獄のような光景からすれば、きっと何もかもが芳醇に見えて……幸せだろうさ」

そのためにも負けるわけにはいかない。
絶対に生きて勝利する。
自分のために、そして愛する彼女のために。

从 ゚∀从「行きましょう、ギコさん! しぃさん!」

隣を飛ぶハインに促され、ギコは深呼吸を一つ。
未来を憂う感情から、今の障害を叩き切る意志に切り替え、

(,,゚Д゚)「……行こう。
    ハイン、遅れるなよ……!!」

身体の中にある不気味な軋みを感じながら、ギコは再度の突撃を開始した。



386: ◆BYUt189CYA :2008/07/22(火) 16:42:37.06 ID:wcoHHkfi0
*(‘‘)*「流石、不滅世界側のエースだけありますね……」

ようやく良いポジションを探し当てたヘリカルは、
空中でありながら近接戦を挑むギコ達を見て、ふと感想を漏らす。
並々ならぬ気迫と勇猛さ、そしてそれらの根拠となる実力だった。

聞くところによれば、指輪騒動の初期から戦いに参加していたという話だ。
1st−W『グラニード』一本で戦い抜いてきた実力は伊達ではないらしい。

*(‘‘)*「さて」

勢いを味方として戦うギコ達を見ながら、ヘリカルは更に上を目指す。
そこには桃色の竜に乗る兄者がいる。

兄者はケーニッヒ・フェンリルを見ていた。
しかしいつもの腑抜けた表情は無く、代わりとして鋭く熱い視線があった。
戦闘に参加することなく、彼はひたすら敵の観察に集中しているようだ。

*(‘‘)*「何か解りましたか?」

傍まで行って問いかけると、ややあって兄者の顔が上がった。

( ´_ゝ`)「……ん? おぉ、ヘリカルちゃんか。
     とりあえず違和感だけが残る感じでな……これがなかなかどうして」

あの兄者がここまで考え込むということは、よほど気になるのだろう。
そして、その疑問に執着するのにも理由がありそうだった。



392: ◆BYUt189CYA :2008/07/22(火) 16:43:48.29 ID:wcoHHkfi0
( ´_ゝ`)「しかしなんだ、この妙な感覚は……音か、光景か、匂いか、別の何かか。
     理屈から来るモノじゃなく、おそらく五感に訴える何か……?」

*(;‘‘)*「はぁ?」

( ´_ゝ`)「ヘリカルちゃんは何も感じない?」

*(‘‘)*「んぅー……」

兄者と同じように目を向ける。
見えるのは巨大な身体を持つ獣と、それを倒さんとするハイン達だ。
互いの勢いが最高潮に達しているのか、隙間がないほど激しい攻防が繰り広げられている。

*(‘‘)*「特に何も感じませんが」

( ´_ゝ`)「感じない、か……やはりもう一つの疑問も問いかけるに値するっぽいな。
     だが、それだと逆にこの感覚の説明が……」

*(‘‘)*「こっちはアンタが何を考えてるのかさっぱりです。
    別に変わってるようには見えませんがねー」

そう言ったヘリカルは、ハイン達を援護するためにステッキを構えた。
そのままの姿勢で兄者の桃色ドラゴンに降り立ち、自身を砲台とするため重心を固定する。
だが、直前に動きがあった。


( ´_ゝ`)「変わっているようには……見えない?」



398: ◆BYUt189CYA :2008/07/22(火) 16:45:01.04 ID:wcoHHkfi0
兄者の表情が変わる。
眉をひそめた形から、目を見開く形へ。

( ´_ゝ`)「何だ……? 俺は今、何を思った?」

それは、

( ´_ゝ`)「『それはおかしい』と……しかも無意識に、瞬間的な反射のように思った……のか?
      何故? どうして? 確かに変わっているようには――」

言葉が止まる。
緊張に身を固めた兄者の視線は、ケーニッヒ・フェンリルを見ていた。

しかし先ほどまでのように行動を見るのではなく、全体を見通すように。

(;´_ゝ`)「ま、さか……」

そうすることで解る事実があった。
根本的であり、原初であり、前提を否定するような事実が。
あまりの馬鹿馬鹿しさに兄者は慌てて思考を再トレースするが、結果は同じだった。

(;´_ゝ`)「おいおいおい、俺達はとんでもない勘違いを……!?」

*(‘‘)*「……?」

ほぼ確定だ。
だとするなら、ケーニッヒ・フェンリルの脅威性の妙な低さや、
保有する能力に対する説明、そしてそのことによって派生する事象の全てが理解可能となる。



404: ◆BYUt189CYA :2008/07/22(火) 16:46:36.04 ID:wcoHHkfi0
そもそも、これほどまでの数の手下を持つこと自体に疑問を持つべきだったのだ。


更に言えば、ミリアやキリバ等の圧倒的な力を持つ獣。

人間というデータを用いた実験研究。

自身の身体から生み出す手下の形状が似通っていること。


それら全て、不可思議なのである。
異獣という生物が為したと考えると、尚更に。

しかし今、兄者の脳裏に浮かんだ仮説から考えれば多少納得することが出来ていた。
もちろん全貌を解き明かしたわけではないが、運良く肝心な部分を掘り出せた感覚を得ている。

仮説の本質が正しければ、異獣を倒すためにとるべき手段とは――



407: ◆BYUt189CYA :2008/07/22(火) 16:47:32.11 ID:wcoHHkfi0
(;´_ゝ`)「ヘリカル、通信機を! 皆に知らせなきゃならん!!」

*(;‘‘)*「慌てずアンタの腰に下がってるそれ見てから言ってください!」

(;´_ゝ`)「俺の腰!? 腰ってどこ!?」

集中する余り、忘却の彼方へ飛んでいってしまっていた自分の状況を、兄者はヘリカルの声で思い出した。
早く皆に伝えようと慌てて視線を落とし、自分の腰を手探りで探す。

(*´_ゝ`)「あ、あっt――」

硬い感触に顔が綻んだ時。
兄者は三つの感触を、ほぼ同時に得た。


前方から照らす大きな光を。
ヘリカルの焦りに満ちた声を。
太陽を前にしているかのような熱を。


( ´_ゝ`)「……へ?」

瞬間、兄者のいた位置に複数の魔力弾が殺到し、爆発を引き起こした。



417: ◆BYUt189CYA :2008/07/22(火) 16:49:13.60 ID:wcoHHkfi0
*(;‘‘)*「――!?」

一瞬だった。

無理もない。
考え事をしているくせに、ケーニッヒ・フェンリルへ接近していたのだから。
距離が短ければ、その分だけ危険も多くなると解っていたはずなのに。

止める間はなかった。
ケーニッヒ・フェンリルの身体から生える獣からの砲撃は、射出から直撃まで数秒もかかっていない。
その間に出来ることと言えば、警告の声を放つくらいのものだった。

結果は火を見るより明らかである。

いくら魔力で強化した装甲服を着ていても、
あれほどの規模の砲撃を受けてしまえば無事でいられるはずがない。
最悪、死体すら残らずに消し飛んでしまった可能性すらあった。

*(;‘‘)*「…………」

これが生死を賭けた戦闘の一つの終末。

呆気なく、儚く、そして人間の脆さを痛いほど知ることの出来る終わり方だ。
もう何度も人の死を見てきたが、やはり慣れることなどない。



423: ◆BYUt189CYA :2008/07/22(火) 16:50:00.29 ID:wcoHHkfi0
*(;‘‘)*「そ、んな……」

爆発によって発生した熱と煙を間近で浴びながら、ヘリカルは構えようとしていたステッキを力無く下げた。

あんな距離からの砲撃など人間の技量で防げるわけがない。
解っていたが、しかしだからこそ余計に感じる自分の未熟さに、彼女は強いショックを受ける。
意識が一瞬で熱く、そして徐々に冷たく、やがては白く染まっていくのだ。

その中で浮かぶのは後悔の念。

もう少し自分が警戒していれば。
もっと自分に技量があれば。

駄目だと解っていながらも、そう思わずにはいられない。
人はどうしても『かもしれない』という幻想に憧れを抱いてしまうもの。

ヘリカルも例外なく、止まっていく思考の中で溢れていく後悔にどうすれば良いのか解らずにいた。

このままでは感情が爆発する。
自責による『泣き』という感情が。

間にも、ひ、という嗚咽が喉から出そうになる。



433: ◆BYUt189CYA :2008/07/22(火) 16:51:18.16 ID:wcoHHkfi0
だが、その直前――

「――っ」

小さな声。
それが、表情を歪めかけたヘリカルの耳に届いた。
溜めていた酸素を短く吐き出す音で、音源は煙の中からだ。

*(;‘‘)*「あ、ぇ、うそ……」

(;´_ゝ`)「げほっ、う、嘘とは何だ、嘘とは……! イテテ……」

煙を裂いて現れたのは、確かに兄者であった。

が、身に纏っていた装甲がいくつか吹き飛んでおり、兄者自身の身体にも多数の傷が刻まれている。

特に左腕の損傷は酷く、だらりと力無く下げられた手は肌色の部分の方が少ない。
咄嗟に盾として使ったのだろうが、しかしそれだけでこの程度の怪我とは考え難かった。

*(;‘‘)*「だ、だって……あんな砲撃を受けて、どうして……?」

(;´_ゝ`)「確かに流石の俺も驚いたが、この竜が咄嗟に動いてくれてな……」

視点を下げれば、桃色の竜が胸部から煙を上げているのが見えた。
おそらく砲撃を受ける直前に身を伸ばし、着弾位置をズラしたのだ。
兄者の怪我は、その余波によって受けてしまったのだろう。



451: ◆BYUt189CYA :2008/07/22(火) 16:52:58.55 ID:wcoHHkfi0
余波でこの威力である。
もしこれが直撃であったなら、本当に身体ごと消し飛んでしまっていたはずだ。

(;´_ゝ`)「っつ……だが、これで通信機は無事だ……」

そう言う兄者の右手にあるのは、傷一つ付いていない通信機械だった。

*(;‘‘)*「ま、まさかそれを守るために左腕を!?」

(;´_ゝ`)「これで奴を倒せるのなら安いもんだ……そして、この程度で済んで良かった」

*(;‘‘)*「でも――!」

(#´_ゝ`)「――ヘリカル!」

いきなりの強い響きに、ヘリカルは思わず身をすくませた。
対し、兄者はすぐに柔和な表情へ戻り、

( ´_ゝ`)「またこのようなことがないよう、お前に俺の護衛を頼みたい」

*(‘‘)*「え……」

( ´_ゝ`)「お前の実力なら安心して任せられる。 頼んだぞ」



462: ◆BYUt189CYA :2008/07/22(火) 16:54:14.99 ID:wcoHHkfi0
痛みを押して言い切った兄者は、早速スイッチを入れる。
皆に聞こえるよう、範囲を全域に設定し、

(#´_ゝ`)「――聞こえるか、皆!!」

怪我人とは思えない鋭い声で、言った。
地上に、一瞬のざわめきが広がるのを見る。
返事はすぐに来た。

『無事だったか、兄者』

クーだ。
おそらく皆を代表しての返答だろう。
うむ、と頷いた兄者は、額から右目に流れてきた血すら拭わず続ける。

( ´_ゝ`)「いいか、よく聞いてくれ。
     あの馬鹿デカい異獣を攻略する方法がある」

『本当か……!?』

こんな状況で冗談など言うものか、と思ったが、
日頃の自分の行いを思い出した兄者は、苦笑しながら首を振った。

( ´_ゝ`)「そもそも大きな勘違いをしていたんだ。
     今、俺達が戦っているあのデカブツは……異獣の王様なんかじゃない。
     少なくとも俺達にとっては、な」



467: ◆BYUt189CYA :2008/07/22(火) 16:55:12.90 ID:wcoHHkfi0
『どういうことだ』

( ´_ゝ`)「これまでの奴らの行動を見る限り
     奴の固有能力は、『自分自身の分身を生み出す』みたいなものだと思っていいだろう。
     そしてそのために必要なのは大量の魔力で、
     他の世界の純正ルイルを食ってきたのは、このためだと思われる」

つまり世界征服や崩壊が第一目的ではないのだ。
あくまで『魔力を手に入れる』のが目的であり、だから異獣はこのような軍勢を保っていられるのだ。

聞こえてきたのは、クーの納得のいかない吐息だ。

『……だが、それではおかしくないか。
 奴らは自分達を増やし、その群で魔力を手に入れ、また自分達を増やしていくのだろう。
 そこには理由が見えない』

そう、理由がない。
何のためにこのような軍勢を持つのか。
何故、無限に力を蓄えていくのか。

誰もが一度は疑問に思い、しかし答えを出せない問い掛け。

だが、兄者は一つの答えを見出していた。



475: ◆BYUt189CYA :2008/07/22(火) 16:56:24.03 ID:wcoHHkfi0
( ´_ゝ`)「単純に考えて、力を求めるのは何故だと思う。
     例えば俺達が魔力を知り、魔法を用い、武力を強化したのは何故だ?」

問いに、クーは沈黙した。
ややあってから返答が来る。


『……「敵」か』


( ´_ゝ`)「そうだ、敵だ。
     自分達を脅かす敵が、倒さねばならない天敵がいるからこそ生物は力を求める。
     だったら、こうは考えられないか?」

一息。

( ´_ゝ`)「異獣にも敵がいる……もしくは敵がいた、と」

『…………』

その瞬間、戦場から声が消えたような気がした。
誰もが兄者の言葉を聞き、その仮定の答えを吟味する。



484: ◆BYUt189CYA :2008/07/22(火) 16:57:58.05 ID:wcoHHkfi0
と、そこでヒートの声が割り込んできた。

『ごめん、少しいいかな。
 ミリアが妙なことを言っていたけど、流石兄者の言うことを考えると頷けるかも……』

四方戦の時だ。
ミリアが、肉迫してきたヒートに対して切り札を発動させる瞬間、
彼女は意味の解らないことを言っていた。


ル(i| ー ノリ「集められ! 管理され! 整頓され! 自己満足の一手段とされ――!」

ル(i| ー ノリ「知らぬ方が幸いにもなろうさ!
      知れば抗いたくもなる! 無謀だと知ろうとも!」


今思えば、その『敵』のことを言っていたのかもしれない。
直接ミリアの声を聞いたヒートは、特にそう感じていた。

『ふむ……推測の域は出ないが仮にそうだとしよう。
 ならば兄者の言う、王ではない、という言葉の意味は?』

( ´_ゝ`)「簡単さ。
     その迫力に気圧されて見えなかったかもしれんが、アレはただデブなだけだろ?」

あっけらかんとした言葉に、クーの言葉が消えた。



490: ◆BYUt189CYA :2008/07/22(火) 16:59:24.99 ID:wcoHHkfi0
しかし、確かにそうだ。
己の分身を生み出す、という能力を除けば、ただ異獣が巨大化しただけに過ぎない。
特殊な攻撃能力を持っているわけでもなければ、言葉を放って偉そうなことを言うでもない。

( ´_ゝ`)「思うに、俺達がケーニッヒ・フェンリルと呼ぶ獣は『原型』だ。
     あれを基本として雑魚が設計・生産されているんだと思う」

つまり、

( ´_ゝ`)「……ありゃあ、王でも何でもない。
     名付けるなら『異獣製造機』さ。
     魔力という原料を身体に貯め、延々と自分のコピーを作るだけの、な」

通信機の向こうから、クーの息を呑む音が聞こえた気がした。

無理もない。
今まで最大の敵と思っていたケーニッヒ・フェンリルの正体が、ただの製造機だと言われたのだから。
この仮説に辿り着いた兄者ですら、最初は自分の思考を疑ったほどである。

しかし一連の異獣の行動を見る限り、この考え方が一番正しく思えるのだ。

無機的でありながら矛盾を孕んでいる。
まるで、狂ってしまった機械のように。

キリバやミリアが妙な言動をとっていたこともあったのは、それが原因の一つなのかもしれない。



500: ◆BYUt189CYA :2008/07/22(火) 17:01:01.04 ID:wcoHHkfi0
( ´_ゝ`)「無論、これが絶対の正解だとは言わない。
     まだ足りない真実があるだろうし……今の俺達では、奴らの全貌を理解するのは不可能だ」

だが、と言い

( ´_ゝ`)「重要なのは正体を知ることじゃなく、奴らを倒すこと。
     そして倒すにおいて、俺が思う仮説を皆に聞いておいてもらいたかった」

『随分な御高説だな……それは良いが、ちゃんと倒す方法はあるのだろうな』

呆れた調子のギコの声に、兄者は頷きを返す。

( ´_ゝ`)「先ほども言った通り、異獣ってのは魔力の塊なんだ。
     魔力が獣の形をとっている、と言い換えてもいい」

『あのケーニッヒ・フェンリルが異獣製造機だと考えた場合の理論だな?
 だが信じるに値する証拠はあるのか?』

( ´_ゝ`)「うむ、それを今から言うところだったのだ」

兄者は一つの発見を、この戦いの中で見出していた。
それはケーニッヒ・フェンリルを見た時から抱いていた違和感。
『何かが違う』という漠然とした感覚の正体とは、


( ´_ゝ`)「――あの馬鹿デカい巨体な、実は最初と比べて小さくなっていってるんだ」



510: ◆BYUt189CYA :2008/07/22(火) 17:02:31.65 ID:wcoHHkfi0
『『……は?』』

( ´_ゝ`)「言ったろう? 奴らの身体は魔力の塊だ、と。
     そして奴らの防御力の源も魔力だ。
     即ち攻撃を受ける度、攻撃する度、自分の身体を削っているようなものなんだ」

最初に一瞬だけ姿を見せたケーニッヒ・フェンリルと、
こちらの切り札である『龍砲』を受けた後のケーニッヒ・フェンリル。

同じ存在でありながら、兄者はどうしても違和感を拭い去ることが出来なかった。

その疑問を解消するために行なったのが、先ほどまでの観察である。
桃色のドラゴンに乗り、空中戦を繰り広げる味方も手伝わず、ただ敵を見続けた。

攻撃を受ける時。
己の分身を生み出す時。
魔力弾を打ち出す時。

全ての魔力を消費する行為を観察し、兄者は遂に確信する。
僅かに、ほんの少しずつケーニッヒ・フェンリルが小さくなっている、ということを。

『ってことは……』

( ´_ゝ`)「出会い頭に撃ち込まれた『龍砲』を回避したのは、そういうことなのだろう。
     逆を言うなら……もし『龍砲』のような強力な攻撃を正面から叩き込むことが出来れば
     ケーニッヒ・フェンリルの縮小化――上手くいけば弱体化も狙えるかもしれん」

『『……!』』



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