( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

830: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 23:48:05.13 ID:NP7tvWF90
エピローグ




さて、これを読むこととなる人がいるのかもしれないので、最後に私の願いを記しておこう。

諸君が読んでいる時点で、『ハインリッヒ』が何者かに持ち去られ
しかもクーが誤った道を歩んでしまっているのなら……その道を正してほしい。

彼女に本来の役目を果たさせてほしい。

勝手に作り出した私が言うのはおかしいと思うかもしれない。

しかし……しかし、だ。
私のことはどんなに恨んでも、軽蔑してくれても構わないから



彼女だけはたとえ戦いの中でも、己の役目を全う出来るような『幸福の中』に生きてほしいのだ。






835: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 23:48:46.89 ID:NP7tvWF90




ここで日記は終わっている。




いや、今の状態で言えば『終わっていた』だ。


更にページをめくると、そこには真新しい筆跡で小さな字の群が姿を見せる。






840: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 23:49:45.96 ID:NP7tvWF90
二〇五八年 十二月 三十一日


あと数時間で新しい年ということで、これから日記を書くことに決めました。

『兵器』ではなく『人間』として生きる記念の年だからです。
(言葉にするとちょっと恥ずかしい気もしますが……)


そして、これから起こるであろう素敵な出来事を、出来る限りこの日記に記していきたいです。


これは、僕を作ってくれた人達への報告の意味も含めています。

クーさんと内藤さんが『そうした方がいい』と言ってこの日記を僕にくれたので
頑張って続けていきたいと思います。


で。


その前にケジメとして、今まであったことをまとめておこうと思います。



854: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 23:51:50.86 ID:NP7tvWF90
異獣との戦いから、既に三ヶ月です。

喜びも束の間、存在を世界に知られる前に撤収した僕達は、
モララーさんが用意していた隠しアジトへと戻りました。

そこで互いの無事や情報を確認し合い、
あの戦いで得たモノには祝福、失ったモノには哀悼を捧げ、小さな祝宴を挙げました。
疲れていた僕達は食べるだけ食べて騒いだ後、泥のように眠ったらしいのですが……
そこら辺の記憶が曖昧で、誰かに聞くのが未だに怖いです。


問題は、その後でした。
僕達が騒いでいる間にも様々な情報を集めてくれていた人達が
とんでもないものを発見したのです。


それは、あの戦いの直後に僕らが見たモノでした。


後に『ワールドゲート』という名称を付けられる『空間の穴』。
それが、元の青色に戻った空に三つも出現していたのです。

いきなり空に開いた穴に、世界は驚きと動揺に包まれていました。
不吉な予感を感じて、世界滅亡やら何やらと好き勝手に騒いでいたようですが、
その正体を、僕達は正確に知っていました。


世界交差です。



868: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 23:53:28.11 ID:NP7tvWF90
渡辺さん達が為した世界交差は、
魔法、機械、英雄、そして不滅世界の四世界を完全に繋げてしまっていたのです。


それはつまり、手段さえあれば別世界へ行ける、ということで……。


今では各世界の代表組織同士が結託していますが
当時の混乱ぶりは凄まじかった、と今でも記憶に残っています。


特に僕達の世界は『世界運営政府』という中心組織を失っていたので――

って、ここら辺は政治の話になるので省きます。
僕自身にもよく解っていないですし。


まず最初に『ゲート』をくぐったのは、機械世界の住人達でした。

飛空挺のような大型艦がいきなりこの世界へ現れた時は、
『他世界からの侵略者か!?』などという記事が連日掲載されて大騒ぎでしたっけ。

というのも、
異獣によってボロボロにされた機械世界は、既に限界を迎えていたそうで。

けれど世界交差に関する知識があったのが幸いし、
ほぼ全ての住人を他の三世界へ移送することに成功したそうです。



879: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 23:54:55.61 ID:NP7tvWF90
これを起点として、各々の世界が各世界へコンタクトを取るために
それぞれの手段を使っての行き来が始まりました。


そして粗方の情報を探り終えたところで、各世界の偉い人達が一同に会し、
四つの世界が通じ合ったことを公式に世界へ発表したわけなのです。


その時のニュース映像は、もちろんしっかりと録画しています。

機械世界側の護衛として、ヘリカルさんやニダーさんが映っていたり、
英雄世界の代表者団の中に、居心地悪そうなミルナさんがいたり、
公表会場で、見覚えのある戦闘機が空を飛んでいたり、

とにかく、見ていて色々と面白かったです。


公表と同時に四世界は同盟を組むこととなりました。

ちなみに、その裏ではモララーさんやレインさんが色々と動いていたようですが、
これもまた難しい話なので省きます。
なんか知っちゃいけないような気がして怖いですし。


ここに至るまで二ヶ月。

そして正式な交易が始まったのが、つい先週の話です。
まだ色々な問題が山積みのようですが……とりあえず仲良く出来ているようで、僕は嬉しいと思います。



887: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 23:56:41.52 ID:NP7tvWF90
一つの空間がある。

ドアがあり、窓があり、机があり、ベッドがある部屋だ。
家具の色は白を基調としており、よく整理された空間の清涼感を更に溢れさせている。

定期的に聞こえる音は、時計が秒を刻む音だ。
それ以外に、もう一つの音が机から響いていた。

見れば、机に向かっている人影が一つ。

背丈はそんなに高くなく、白とも銀ともいえる頭髪が特徴的な少女だ。
椅子に座った状態の彼女は、一生懸命に鉛筆で何かを記している。

从 ゚∀从「えーっと、『僕は嬉しいと思います』、と……」

最後に小さな丸を刻み、少女は満足そうに頷いた。
しかし今まで自分が書いた文を見直し、そこで首を捻る。

从;゚∀从「……日記ってこんな感じで良いのですかねー。
      好きに書け、とは言われましたけど……あとでクーさんにでも見てもらおうかな」



896: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 23:58:00.95 ID:NP7tvWF90
うん、と今度は強く頷いた少女の耳に、声が届く。


「――ハイン! そろそろ出かけるから準備しておけよ!」


从 ゚∀从「あ、はーい! すぐ行きます!」

凛々しい女性の声に、ハインと呼ばれた少女はすぐに応答した。
椅子から降り、ベッドに放られていた上着を手に取りながら、窓から見える景色に目をやり

从 ゚∀从「外は寒そうですからねー、って雪が降ってる……?」

黒色に近い空に、白色の点が好き勝手滑っていた。
どうりで寒いわけだ、と納得したハインは、暖房のスイッチを切りながら手袋をポケットに突っ込んだ。



902: ◆BYUt189CYA :2008/07/23(水) 23:59:17.25 ID:NP7tvWF90
そのままの勢いで部屋を出て、階段をゆっくりと、しかし急ぎながら下る。
階下に到着して玄関の方を見れば

( ^ω^)「ハイン、こっちだお」

川 ゚ -゚)「外は雪が降っているぞ。 手袋とマフラーは持ったか?」

厚着したブーンとクーが並んで立っていた。

以前に比べ、ほんの少し大人っぽい顔つきになったブーンは微笑を浮かべており、
隣に立つクーは、相変わらず生真面目な顔でハインを心配している。


しかし、以前見え隠れしていた刃のような冷たさが完全に消え去っているのを、ハインは知っていた。


从 ゚∀从「大丈夫ですよ! 行きましょう!」

J( 'ー`)し「ハインちゃん、迷子にならないようにね。
      ホライゾンもちゃんと見てるんだよ?」

( ^ω^)「もちろんだお、カーチャン。 じゃあ行ってくるおー」



908: ◆BYUt189CYA :2008/07/24(木) 00:00:35.31 ID:G49IWC9d0
内藤家を出た三人はまず、一面を覆おうとしている雪に迎えられた。

从 ゚∀从「おぉっ、いい感じですね!
      ホワイトクリスマスならぬホワイト大晦日ですよ!」

川 ゚ -゚)「明日には積もっていそうだな……あまり寒いのは好きじゃないんだが」

( ^ω^)「とりあえず歩くお。
     このままだと、クーが家に戻ってコタツに潜ってしまいそうだお」

川;゚ -゚)「し、失礼な。 そんなことはしないぞ」

从 ゚∀从「ここ最近、寒い朝はずっとコタツの中で丸くなっている人って誰でしたっけ?」

川;゚ -゚)「くっ……か、身体が動かないのだから仕方あるまい」

苦しい言い訳を背に、ブーンとハインはさっさと歩き出した。
少し遅れてクーが追いつき、三人仲良く並んで夜道を歩く。



917: ◆BYUt189CYA :2008/07/24(木) 00:01:50.52 ID:G49IWC9d0
( ^ω^)「皆に会うのも結構久しぶりになるのかお……」

川 ゚ -゚)「そうだな」

从 ゚∀从「この数ヶ月、本当に様々な出来事がありましたからね。
     四世界が繋がったり、他世界の技術が入ってきたり、先週からは本格的な貿易も始まりましたし、
     皆さん、激変した環境に慣れるので大変だったと思いますよ」

川 ゚ -゚)「私達は早くから魔力とか色々知っていたが、
     一般の人にとっては初めて見るモノばかりだったろうからな。
     しかし最近になってようやく、街もテレビも落ち着いてきたようだ」

( ^ω^)「うんうん……だからこうして、久しぶりに皆に会える機会が出来たんだお」

同じ世界の人間ならともかく、
他世界の者であれから一度も会っていないメンバーもいた。

まだ他世界へ自由へ行き来できるような状況でもない上、
特に忙しいであろうミルナやレインなどは、手紙のやり取りすら出来ない状態にあった。

しかし、今日は大晦日だ。
世界が繋がって初めて迎える新年ということもあり、
地位や所属問わず、この一日だけでも休みをもらっている人間は多いらしい。

そこでモララーの提案として、あの時の主要メンバーでバーボンハウスか何処かに集い、
ささやかに新年を迎えるパーティでもしよう、ということなのである。

企画名は『本当は我々が世界を救ったけれどこれ秘密だよふふふ』パーティらしいのだが、今のところ全員が無視している。



922: ◆BYUt189CYA :2008/07/24(木) 00:03:13.67 ID:G49IWC9d0
( ^ω^)「おっ」

しばらく行くと、明かりを漏らす店舗が見えてきた。
そして白い店の玄関口にて、『準備中』の札をドアに下げようとしている若い男の姿があった。
人の良さそうな顔の青年は、こちらに気付いて一層の笑みを見せる。

(´・ω・`)「やぁ、こんにち……いや、もう『こんばんは』かな?」

バーボンハウスの店長であるショボンだ。
戦いの後、彼は右胸の傷を治すために入院していたわけだが
ほんの数日前、めでたく退院することが出来ていた。

从 ゚∀从「こんばんはー」

( ^ω^)「ショボン、もう動き回っても大丈夫なのかお?」

(´・ω・`)「うん……っていうか動物みたいに言うの止めようよ。
      あ、そうだ。 今ジョルジュ達に買い物に行かせてて、もうすぐ――」

(´<_` )「お、丁度良いところに戻ってきたみたいだな」

もう一方の道の奥から、弟者の長身が姿を見せた。
隣には両手一杯に買い物袋を下げるジョルジュもいる。
いつも通りのだらしない格好は、しかし彼によく似合っていた。

(#゚∀゚)「おい弟者、いくら俺が力持ちだからってなぁ……って、なんだお前ら来てたのかよ」



926: ◆BYUt189CYA :2008/07/24(木) 00:04:48.55 ID:G49IWC9d0
川 ゚ -゚)「まだクビにはなっていないようだな」

( ゚∀゚)「ったりめぇよ! 仕事も完璧に覚えたからな!」

ブーン一行は『マジで?』という顔でショボンを見る。
すると彼は肩をすくめ、

(´・ω・`)「これが本当なんだよね。
      バーボンハウスを再開してから三日くらいだけど、まだノーミス」

と、苦笑した。

彼が言うには、ジョルジュの変化は戦いの直後らしい。
胸の傷を治療するため、ショボンはしばらく病院にいたわけだが
その間、バーボンハウスの清掃整備はジョルジュが自主的にやっていたのだと言う。

(;^ω^)「……驚きだお」

(´<_` )「いや、ホントに。
     ショボンが退院する前に掃除しとくか、と思って行ってみりゃジョルジュがいるんだもん。
     アイツがいるわけないと思ってたから最初は泥棒かと勘違いしてなー」

(;゚∀゚)「う、うるせぇな。
    だってしょーがねぇじゃん。
    今ンとこ、ここ俺の家でもあるんだぜ?」



934: ◆BYUt189CYA :2008/07/24(木) 00:06:42.70 ID:G49IWC9d0
川 ゚ -゚)「ん? 弟者はその間、どこにいたんだ?」

(´<_` )「ショボンのいないバーボンハウスは美味い飯が出ないからな。
     ずっと兄者のところで寝泊りしてたよ。 ついでに家事も適当に。
     兄者、ここ最近は研究漬けでまともに服も洗ってなかったしな」

( ^ω^)「あ、そうか。 兄者さんは……」

(´<_` )「そういうこと」

( ゚∀゚)「おい、ショボン。 これ冷蔵庫に入れといた方がいいんじゃねーの?」

(´・ω・`)「そうだね……まだ皆が集まるには早いだろうし、頼むよ」

( ゚∀゚)「りょーかい」

素直に返事をしたジョルジュは、
両手一杯の買い物袋を揺らしながらバーボンハウスの中へと入っていく。
今まで見たこともない反応と行動を、ブーン達は呆然としながら見送った。

(;^ω^)「な、なんかジョルジュがジョルジュに見えないお……! う、裏人格!?」

从;゚∀从「少し見ない間に大人っぽくなってますよ……! に、偽物!?」

(´<_` )「お前らはあんまり変わってないなぁ」



943: ◆BYUt189CYA :2008/07/24(木) 00:08:00.43 ID:G49IWC9d0
はは、と軽い笑いを飛ばす弟者の横、クーが腕につけてある時計に目をやり

川 ゚ -゚)「さて、そろそろ行こうか。
     また数時間後には戻ってくるのだし、積もる話はその時だな」

( ^ω^)「解ったお。
     ってなわけで、今から三人で中心街の年越しイベントに行ってくるんだけど
     バーボンハウスでのパーティに何か必要なモノがあったら買ってくるお?」

(´・ω・`)「うーん、今の買い出しでほとんど揃ったんだけど……そうだね、少し高めのお酒を頼もうかな?
     全部が全部安い酒っていうのもアレだしね」

从 ゚∀从「了解です!」

ショボンと弟者の見送りを背に受けながら、三人は再び雪降る夜道を歩き始めた。
少し広い通りに出た後は、適当なバス停からバスに乗り、都市ニューソクの中心街を目指す。



954: ◆BYUt189CYA :2008/07/24(木) 00:09:30.35 ID:G49IWC9d0
移動は十数分で終わりだ。

中心街に近いところでバスを降り、人の流れに沿って歩く。
迷子になってはいけないので三人で手を繋いだままだ。
そうしてしばらく歩いていくと、急に視界が開ける場所に出る。

从 ゚∀从「おー」

都市ニューソクの中心街、その大通りだ。
いつもは大量の車が行き来する道路を、今日は人間が支配していた。
様々な出店、イルミネーション、そして人のざわめきが、真昼のような錯覚を与えてくる。

これは年に一度、大晦日に開催される大規模イベントの副産物であった。

从;゚∀从「凄い人ですね……!」

川 ゚ -゚)「そういえば、私とハインはこっちの方へ来るのは初めてだな。
     去年までは神社の方に行っていたから」

( ^ω^)「あ、そうだったお。
     じゃあ、この人の量はちょっとビックリだお?」

川 ゚ -゚)「うむ」

腕を組んで真顔で頷くクーだが、これでも本当に驚いているのだろう。
最近になって彼女の機敏な感情を読み取れるようになってきたブーンは、そう判断する。



960: ◆BYUt189CYA :2008/07/24(木) 00:10:35.37 ID:G49IWC9d0
( ^ω^)「んじゃ、あっちの方から見ていくお」

と、勇み足で雑踏の中へ入ってから数分後。

「お!? 内藤じゃねーか!?」

何やら聞き覚えるのある声が、ブーン達の背中にぶつかってきた。
たこ焼きを買おうとしていたブーンは肩をびくりと震わせ、何事かと後ろを見る。

<_プー゚)フ「ほらやっぱ内藤だ!
         クーもハインもいるぜ!」

おーい、とこちらに手を振るのはエクストだった。
あの時よく見たパイロットスーツではなく、完全な私服姿だ。
隣には、更に二人の男がいる。

<ヽ`∀´>「久しぶりニダ」

(`・ω・´)「元気だったか?」

ニダーとシャキンだ。
二人とも、エクストと同じく私服姿である。
それぞれの手には、出店で買ったであろう食べ物があった。



970: ◆BYUt189CYA :2008/07/24(木) 00:11:59.21 ID:G49IWC9d0
( ^ω^)「おっおっ、三人揃ってこんばんはですおー」

川 ゚ -゚)「どうやら無事にこちらの世界へ渡って来れたようだな」

<_プー゚)フ「いやいや……マジで大変だったぜ。
        各世界の交流が始まったとはいえ、まだ気軽に旅行なんて出来る御時世じゃねぇしな。
        モララーの旦那の助力が無きゃ、こっちに来れるのはまだ数ヶ月先立ったさ」

从 ゚∀从「確かシャキンさんとエクストさんって、あの後は魔法世界の方にいたんですよね?
     ほら、機械世界の人達が自分の世界を一時放棄したから……」

(`・ω・´)「あぁ、そうだ。
     しかし今日から俺達はこっちの世界に住むことになる」

川 ゚ -゚)「む……そうか、君達は――」

(`・ω・´)「確か内藤もそうだったんじゃないか?」

( ^ω^)「まだ試験に通ったわけじゃないから何とも言えないですお。
     もし受かってたら、エクストさんとシャキンさんとは同僚になる……はずですお」

<_プー゚)フ「まぁまぁ、積もる話はバーボンハウスの隅っこでやってくれや!
        こんなに人がいて騒がしいことだし、ぱーっと騒ごうぜ!」

む、と眉をひそめるシャキンだが、それ以上は何も言わなかった。
黙々と、手に持つ焼き鳥を食べる作業に戻る。



980: ◆BYUt189CYA :2008/07/24(木) 00:13:39.79 ID:G49IWC9d0
川 ゚ -゚)「ニダーは今、何をしているんだ?」

<ヽ`∀´>「……カキ氷というものを食べてるニダ。 寒いニダ」

川;゚ -゚)「いや、そうではなく……仕事の話だ」

<ヽ`∀´>「……特に以前と変わらんニダ。
      機械世界の軍隊は解体されたが、今度は四世界混合の軍を作る動きがあるらしく
      ウリはおそらくその隊に志願することになりそうニダ」

何か今、さらりと機密情報を喋っていた気がしたが、クーは敢えて無視を決め込んだ。

川 ゚ -゚)「平和には馴染めんか?」

<ヽ`∀´>「別にそんなことはないニダ。
      けれど、その平和を守るための戦いというのを経験してみたいだけニダ」

ニダーらしい意見だった。
異獣という戦う相手を見失い、果たしてどうするのかと思っていたのだが
また新たな目的を見出せたらしい事実にクーは強く頷いた。

川 ゚ -゚)「私達はもう戦いを捨てた身だが……頼むぞ」

<ヽ`∀´>「任せるニダ」



37: ◆BYUt189CYA :2008/07/24(木) 00:20:02.45 ID:G49IWC9d0
エクスト達と別れたブーン達は、更に大通りを歩いていく。

彼らがこちら側に来ることが出来ているということは、
おそらく大部分メンバーもこちらに来ているだろう。
もしかしたら、他の人にも会えるのではないか、と期待しながら歩いていると、

「内藤か?」

と、後ろから呼び止められた。

( ^ω^)「お? ミルナさんにギコさん……?」

そこにいたのはミルナとギコだった。
ミルナは壁に背を預けた状態で、ギコは車椅子に座った状態でこちらを見ている。
どちらも表情が出にくいタイプだが、二人の顔には確かに柔らかい表情が浮いていた。

川 ゚ -゚)「珍しい組み合わせだな」

(,,゚Д゚)「む?」

( ゚д゚ )「さっきたまたま出会ってな。
     しぃとヒートが飲み物を買ってくる間、ここで待っているわけだ」

( ^ω^)「おっおっ、成程」



54: ◆BYUt189CYA :2008/07/24(木) 00:23:10.59 ID:G49IWC9d0
从 ゚∀从「ところでミルナさん、よくこっち側に戻ってこれましたね」

あれからミルナは英雄世界の代表者の一人となっていた。
どうやらペニサスの推薦もあったらしく、ちょっと前まではテレビにもよく出ていたりする。
かなり仕事が忙しいようで、実は戦いが終わってから言葉を交わすのはこれが初めてだった。

( ゚д゚ )「うむ……まぁ、代表者と言っても下っ端な方だからな。
     それとあの戦いの功績者ということもあって、今日と明日だけ休みをもらえた」

少し痩せただろうか。
仕事に忙殺されているのか、なかなかトレーニングも出来そうにないのが実情らしい。

从 ゚∀从「ギコさんは……まだ足、痛いんですか?」

(,,゚Д゚)「いや、ほとんど問題ない。
    あと一週間もしたら松葉杖生活が始まる、と医者は言っていたが」

川 ゚ -゚)「大変だったろう」

(,,゚Д゚)「しぃに迷惑をかけっ放しなのが特に、な。
    車椅子が終われば、家事やらを手伝えるようになるから――」

(*゚ー゚)「――ギコ君! まだそんなこと言ってるの?」

(;,,゚Д゚)「!?」



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